『キングダムの過日』(GM:珪素)

本作は、「F.E.A.R.」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『ダブルクロス The 3rd Edition』の二次創作物です。
(C) FarEast Amusement Research Co.Ltd.
掲載の一部画像はAI生成イラストを加工したものです。
採用プレイエイド
ステージ『オーヴァード・ノヴァ』ver.3.03(二学期)
キングダム連合学院『円卓議会』
Ⅰ『キングダムの休日』
Ⅱ『キングダムの凶日』
Ⅲ『キングダムの落日』
Ⅳ『キングダムの過日』◀
Ⅴ『キングダムの日』
メインログ|雑談ログ
PC1:ヒナテア・オルブライト(
キャラシート
)PL:粘土

PC1:ウルスラ・ミック・ベニ(
キャラシート
)PL:粘土

PC2:オリーヴ・ウェールズ(
キャラシート
)PL:明寝マン

PC2:オリヴィエ・クロムハーツ(
キャラシート
)PL:明寝マン

PC3:竜胆ジョウカ(
キャラシート
)PL:ジェネリック半チャーハン

PC3:竜胆ジョウカ(
キャラシート
)PL:ジェネリック半チャーハン

PC4:七十橋シスル(
キャラシート
)PL:アスハル

PC4:七十橋シスル(
キャラシート
)PL:アスハル

PC5:五辻モモカ(
キャラシート
)PL:もやし炒め

PC5:有崎五派(
キャラシート
)PL:もやし炒め

本作は、「F.E.A.R.」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『ダブルクロス The 3rd Edition』の二次創作物です。
(C) FarEast Amusement Research Co.Ltd.
目次
Preplay
GM:キングダムの過日、始まります!張り切ってまいりましょう。
GM:第一のPC1、ヒナテア・オルブライトさんのご紹介です。
ヒナテア・オルブライト:文字色は……これでいっか
ヒナテア・オルブライト:キャラシート
ヒナテア・オルブライト:呼ばれて飛び出る私こそ、黄道王ことヒナテア・オルブライトだぞ!
GM:そうそう、文字色も今回は一人二色ですからね
GM:https://www.colordic.org/ この辺のページとか参照するといいよ
GM:ロード・オービット!
ヒナテア・オルブライト:こっちにしよ。白地でも見れる黄色
ヒナテア・オルブライト:褐色の肌と夜色の髪をエキゾチックな刺青、宇宙服めいたタイトスーツ、何より眩しい笑顔で飾る健康優良女。
GM:普通の夏服ワンピースに見えてよく見たらとんでもない格好しとるな
ヒナテア・オルブライト:円卓に組み込まれる正当な王ではないが、大人たちの派閥の一つに擁立されて王鍵を獲得。
GM:当時は番外の王には番外席次もありませんでした。
ヒナテア・オルブライト:キングダムの敵を殲滅する使命に殉じていた。高機動、広範囲殲滅、大規模輸送が売りの個人です。
ヒナテア・オルブライト:黄道王とは与えられた軌道を愚直になぞるばかりの、傀儡めいて無様な在り方を表す蔑称であった……
ヒナテア・オルブライト:そんな日々にむくむくと膨れ上がっていった反抗心と、キングダム民主化運動団体"学級会"の太陽が核融合。
GM:蔑称でそんな言われるの
GM:キングダム、京都すぎないか?
GM:「ヒナテアはんは、まるでお天道さんのように真面目なお方ですわあ」
ヒナテア・オルブライト:そうだろうそうだろう
ヒナテア・オルブライト:今や彼女は万民の太陽たらんと志し、その能力を反理事会活動に捧げる革命戦士となった。
ヒナテア・オルブライト:不当な搾取から若きオーヴァードを解放し、我々の我々による我々の為の新世界を実現しようではないか!
ヒナテア・オルブライト:モットーは勧善懲悪、ヒナテア・オルブライトです!
ヒナテア・オルブライト:シンドロームはハヌマーン・ウロボロス。Dロイスは遺産継承者:謀略の牢獄。
ヒナテア・オルブライト:王鍵の名はタコスメラ宇宙閘。形状は四肢を飾る腕輪と足輪。
GM:過去なのに新しい
ヒナテア・オルブライト:未だに確認された個数の少ない希少な遺産なのだ
ヒナテア・オルブライト:太陽は毎日暗闇に閉じ込められるものだからね、解放されたがっているのさ
ヒナテア・オルブライト:環の内側を異空間へと繋げる機能と契約者に毒電波を流し込む代償が確認されている。
GM:頭がおかしくなっちゃうんだ
GM:ウルスラちゃんも一時期頭がおかしくなってたもんね
ヒナテア・オルブライト:私も帽子がおかしくなってたけど寝さんに助けてもらったよ
GM:へえ~っ、全然違和感ない!すごいぜ
ヒナテア・オルブライト:螺旋の悪魔で暴走し、七里靴と謀略の牢獄で高速移動しつつサイレンの魔女、氷の茨で敵を殺します!
ヒナテア・オルブライト:みんなの為に邪悪な敵をいっぱい焼き尽くします。よろしくお願いします!
GM:すごいなあ……でもこれくらい気概に溢れた生徒のほうがむしろ相応しい
GM:何故なら今回は八月革命の話だから!こうだ!
PC1: ヒナテア・オルブライト(PL:粘土さん)
シナリオロイス:プロンプト015C
"学級会"は、八月革命の伝説の影に隠れた存在でありながら、むしろその主体であった。
情報網を通じた全日制と定時制の連携。民主主義活動による反理事会思想の浸透。
雨月夜シオンに呼応して円卓議会が動き出すよりも前から、計画は始まっていた。
その結実か、他学区での戦果を受けてか、革命の中で新たな支援者が名乗り出た。
プロンプト支配人、プロンプト015C。巨大百貨店および系列企業を統括する管理社会人である。
激戦の最中で交渉を成立させたあなたは、強大な戦力とともに本隊への合流を図る。
だがその途上、タコスメラ宇宙閘が、何故か王鍵としての機能を停止する――
GM:"学級会"はなぜか反理事会に大変都合のいい組織体制でした。
ヒナテア・オルブライト:なんでだろうなあ
ヒナテア・オルブライト:プロンプト015Cくん、昔から頑張ってたんだなあ
GM:もちろん今でも頑張っています……ということで粘土さん、もう一度自己紹介をどうぞ。
GM:第二のPC1、ウルスラ・ミック・ベニさんのご紹介です。
ウルスラ・ミック・ベニ:キャラシート
ウルスラ・ミック・ベニ:もう一回呼ばれて出てくる方、無礼公ウルスラで~す
ウルスラ・ミック・ベニ:元々カンブリア考古学校生徒会、元キングダム連合学院の王の従者、今は学籍喪失逃亡犯にして教育実習生。
GM:キングダムの反逆者だああああああああああ
ウルスラ・ミック・ベニ:騎士王に負けたり拷問王に術式罵倒されたり鉄騎王に追っかけられたり
GM:術式罵倒されたの根に持ってる!
ウルスラ・ミック・ベニ:至上王に襲い掛かって不夜王の胃を痛めたりしたり、発電王の発電棒を止めたり
ウルスラ・ミック・ベニ:キングダムとはたくさんの因縁があるぞ
GM:発電王の活躍はシェオルセッションのグレイブディガーを読んでくれ!
ウルスラ・ミック・ベニ:とある騎士とイチャイチャしたり、良い感じの別れをしたりしたぞ!
ウルスラ・ミック・ベニ:たとえ追放されたままでも目的は変わらず、打倒至上王、キングダム開国!
ウルスラ・ミック・ベニ:頼もしい先生たちの元で勉強しながら雌伏の時を過ごしていました
GM:完全テロリストが教育実習生になれるなんてどうなってるんだこの国は
ウルスラ・ミック・ベニ:そんなのキングダムのローカルルールに過ぎないしぃ~
ウルスラ・ミック・ベニ:とのんびりしてたらキングダムが落日しちゃった
GM:本当に大変です
ウルスラ・ミック・ベニ:一体どうなっちゃうの~とダッシュで来ました。
ウルスラ・ミック・ベニ:キングダムよ、ボクは帰ってきた!
GM:帰ってこなくていいぞ
ウルスラ・ミック・ベニ:砂の騎士団は置いてきた……この先の闘いにはついてこれそうもない
GM:かわいそう
ウルスラ・ミック・ベニ:代わりに(ウソ、あいつらの代わりは要らない)贋作王の秘本を増やし、時の砂時計と予備心臓を生やしました
ウルスラ・ミック・ベニ:火力やミドル性能も全体的に向上したスーパーウルスラです。よろしくお願いします
GM:すごいなあ しかしその性能が今回発揮されることはないだろう……
GM:もちろん今後無駄にならないからこそ作ってもらってるわけですけどね。今回のハンドアウトはこれだ。
PC1: ウルスラ・ミック・ベニ(PL:粘土さん)
シナリオロイス:プロンプト015C
職員室から伝え聞くだけでも、今のキングダム連合学院の混乱の程は伺い知れた。
決して、あなたにとって無関係な話ではない。一刻も早く解決すべき問題がそこにあるのだ。
しかし無数の情報統制やプロパガンダを含んだ伝聞は、何が真実であるのかすら判然としない。
同時に、あなたは依然としてキングダム最大級の指名手配犯でもある。
新たに手に入れた教育実習生という身分を以てしても、介入は困難と言わざるを得なかった。
だがそんな中、意外な者からのコンタクトがあった。プロンプト社支配人、プロンプト015C。
彼はある種の商取引として、一連の事件解決のための密航をあなたに提案する。
GM:今のキングダムは本当に大変。ウルスラちゃんのスタンス的にも放っておけません。
ウルスラ・ミック・ベニ:なので密航します
GM:だから気に入った
ウルスラ・ミック・ベニ:今度は王様戦隊が出動しないといいな~
ウルスラ・ミック・ベニ:プロンプトくん……くれぐれも頼んだよ!
GM:プロンプトはキングダムの一流生徒ならみんな知ってる百貨店なので、ウルスラちゃんも利用したことはあるでしょう。
GM:そして今回、王様戦隊は出てくるのか……?出てこないのか……?
GM:PC2、オリーヴ・ウェールズさんのご紹介です!
オリーヴ・ウェールズ :キャラシート
オリーヴ・ウェールズ :こっちでした
GM:オリヴィエさんのキャラシも貼って構わないですよ。どういう差があるのかも含め一緒に紹介してもらいましょう。
オリーヴ・ウェールズ :あっはい!
オリヴィエ・クロムハーツ:キャラシート
オリーヴ・ウェールズ :オリーヴ・ウェールズ、キングダム連合学園生徒であり、聖詠部鉄騎隊に属する長身の少女です。
オリーヴ・ウェールズ :比較的おっとりとしており、直接戦闘は好まない性格。
GM:うおっでっか……
オリーヴ・ウェールズ :第六席の鉄騎王様に仕えており、同郷になるウルスラさんとは仲が良かったのですが……
GM:そうだ!これは最初のトレーラーに書いてあったのを後から訂正したのですが
GM:実は八月革命時点では鉄騎王は第四席なんです。
オリーヴ・ウェールズ :あっそっか!
オリーヴ・ウェールズ :では第四席です
GM:竜王と法王が入って下から2つ繰り上がってるんですよね。
オリーヴ・ウェールズ :鉄騎隊の中でも、オリーヴは弱者救済の面を大きく有しており
オリーヴ・ウェールズ :周囲からは鉄の聖女と称される程の献身さで、力なき生徒を遍く被害から守護しています。
GM:すごいんだなあ……
オリーヴ・ウェールズ :元々はオールドですが町娘出身。平凡なセルの出であり、王として周囲を圧するよりは……仕え、守護することを心から望んでいます、今は……ですが。
オリーヴ・ウェールズ :王鍵は持たず、主への祈りを力に変ずる聖霊術を使用し
オリーヴ・ウェールズ :その力で光輪を発生させ、様々な奇跡を借り受けます。
オリーヴ・ウェールズ :こちらの性能はカスタマイズと螺旋の悪魔、ダムドスカルを使用した射撃アタッカーで
GM:え!射撃アタッカーだったんだ昔は
オリーヴ・ウェールズ :頑張って剣の腕を磨きました
GM:そういう生徒もたくさんいたんだろうな、継承した遺産に合わせて戦闘スタイルを努力して変えたタイプ
オリーヴ・ウェールズ :砂の加護砂塵霊、Dロイスである触媒、2回使用の砂塵の帳などで王の行動を支援、並びにそこそこの範囲攻撃で敵を殲滅します。
オリーヴ・ウェールズ :ここまでが過去の性能、時系列が飛んで……
GM:触媒も強いな……!なんでみんな取らないんだろ
オリヴィエ・クロムハーツ:そして、王鍵を継ぎ、名を王に相応しいものへと変じさせたのが
オリヴィエ・クロムハーツ:私、オリヴィエ・クロムハーツです。
GM:変わっちゃったのッ!『名前』!
オリヴィエ・クロムハーツ:男性にも使われる名前に……
オリヴィエ・クロムハーツ:鉄騎隊を率いる王として、キングダムに遍く悪の芽を摘み取る裁定者。
GM:公安警察だ
オリヴィエ・クロムハーツ:遺産として受け継いだ星界正義の剣を振るい、生徒たちの処断、そして……
オリヴィエ・クロムハーツ:キングダムに盾突く巨大兵器などを、聖剣の威を以て消滅しに向かいます。
GM:キングダムは実際巨大兵器襲来事件とか他の学区と比べてあんまり起こってないイメージあるんですけど
GM:鉄騎王の存在が間違いなくその一因でしょう
オリヴィエ・クロムハーツ:ワンパンで散らしてみせましょう。
オリヴィエ・クロムハーツ:星界正義の剣は正義を立証することで輝きを増す天使の権能を有した刃であり
オリヴィエ・クロムハーツ:所有者に強大な天地の力……太陽錬金の能力を与えます。
GM:核融合爆発!
オリヴィエ・クロムハーツ:その代わり、正義という代償はとても重く精神に圧し掛かるとされており、今回のセッションでかなり苛まれてしまうとか……
オリヴィエ・クロムハーツ:性能は過去とは打って変わってカスタマイズでの白兵アタッカー。
オリヴィエ・クロムハーツ:水晶の剣を入れてそこそこの火力で殴りながら、妖精の手で様々な支援を行います。
GM:聖剣スタイルを身につけるのにがんばったのだなあ
GM:妖精の手も恐ろしい
オリヴィエ・クロムハーツ:最終的には、聖剣c2アタックを剣精、妖精で二度の再回転を行い
オリーヴ・ウェールズ :達成値を爆上げして通常セッションではあまり見たことのない数値を出します。
GM:剣精は実質二度目の妖精でありながら起点エフェクトが無駄にならないのがいいですよね
オリーヴ・ウェールズ :今までの最高値は達成値792らしいですよ
GM:純粋破壊力において恐らく最強の王鍵と言っていいでしょう 石の魔剣ですら100点くらいしか出ないのだ
オリヴィエ・クロムハーツ:そういえば、IAでまた防具がナーフを受け……
オリヴィエ・クロムハーツ:最終的にチーフスピリッツになりました。
オリヴィエ・クロムハーツ:こんなところです、しかし今回戦闘を頑張るのは過去の方!頑張って生き残ってくれよ……!
GM:ありがとうございます!ハンドアウトはこちらの通りだ。
PC2: オリーヴ・ウェールズ/オリヴィエ・クロムハーツ(PL:明寝マンさん)
シナリオロイス:イリーナ・レシュリスカヤ
「この八月革命を最後に、ぼくは"鉄騎王"の名をきみに継ぐことになる」
旧第四席"鉄騎王"、イリーナ・レシュリスカヤの言葉は、いずれ来る未来を確信しているようだった。
先代から当代へ受け継がれ、そしていずれあなたへと与えられる王鍵、星界正義の剣。
それは何よりも正しいが故に、何よりも恐ろしい聖剣なのだという。
八月革命の激戦における不可解な介入によって、その星界正義の剣の力も失われた。
しかし、イリーナはその状況に、むしろ嬉しそうに笑うのだった。継承の機会が訪れたと。
極限の戦局の中、本校舎陥落の報が聖詠部へと届く。誰かが、奪還しなければならなかった。
◇
第四席"海賊王"の粛清は、内情を知るあなたにとっては、ひどく正義に反するものだった。
"至上王"を斬らずにいるだけで、星界正義の剣の代償があなたを無限に責め苛む。
正義の名の下に周囲の全てを破滅に巻き込むか、悪を背負いただ一人で全てを抱えて破滅するか。
かつて星界正義の剣に選ばれたイリーナも、同じ煩悶に苦しんでいたことをあなたは知っている。
そして、王鍵の代償を経験したイリーナからの助言は、ごく単純なものだった。
知ることによって、後悔のない判断を下すこと。あなたは"至上王"をこそ知らなければならない。
正義を果たす者には、真の正義を定める義務がある。『先生』の公式派遣の日が迫っていた。
GM:過去では星界正義の剣を継承して、現在ではその星界正義の剣の代償で苦しむことになります。
オリヴィエ・クロムハーツ:海賊王が……
オリヴィエ・クロムハーツ:この様な出来事を起こさないために王として頑張っていたのに
オリヴィエ・クロムハーツ:私、いったいどうすればいいの~~っ
GM:わははは
GM:ですがキングダムの話を終わらせるためには、先代鉄騎王!この話をしないわけにはいかないでしょう……!
GM:今回登場します。お楽しみに。
オリーヴ・ウェールズ :はい!そちらも大変わくわくしております……!
GM:それでは王様戦隊の紹介に参りましょう。PC3の竜胆ジョウカさん。
竜胆ジョウカ:うお~~
竜胆ジョウカ:キャラシート
竜胆ジョウカ:ということで竜胆ジョウカ(幼)!八月革命当時の姿で参戦!!
GM:あら!怪我してるじゃない!
竜胆ジョウカ:まあ身長も何も変わらないけど……そう怪我はしてます
GM:どうしたの~?おばちゃん家で手当てするわよ?
竜胆ジョウカ:なぜかというと、さっきまで金剛王をしばいてたからです。
GM:すごすぎ
竜胆ジョウカ:大ノヴァリス博物館の収蔵品を「革命のため~」とか言いながら持ち出した彼の王にキレ
GM:八月革命の最中に円卓の王が一人撃破されてしまった
竜胆ジョウカ:下剋上を革命の真っただ中で行うという暴挙に出ました。
竜胆ジョウカ:元々は博物館好きな一般生徒のはずだったのに……どうして……
GM:こっちが聞きたいのよ
竜胆ジョウカ:で、血のにじむ戦闘の末に倒したんですけど。こんなことしてたら他の学芸員のヘイト集めまくりだし
GM:本当にヘイトなのかな……怖がられてるだけなのでは……
竜胆ジョウカ:なんとしても実績で黙らせる必要があります。かといって理事会に頼るばかりだと
竜胆ジョウカ:また何かあったとき、単騎で抗うことはできない……革命は成立してほしい……
竜胆ジョウカ:ということで、前線に電撃参戦と相成りました!よろしくお願いします!
GM:そこの計算が冷静なのも怖いんだよな
GM:そして現在ではどうなっているのでしょうか
GM:劇的ビフォーアフター
"死蔵王"竜胆ジョウカ:キャラシート
"死蔵王"竜胆ジョウカ:現在は王です。
GM:なっちゃったのッ!?『王』!
"死蔵王"竜胆ジョウカ:なんでこんなに偉くなっちゃったんでしょうね。ほどほどでよかったのに……
"死蔵王"竜胆ジョウカ:ほどほど……(思い出すやらかしの数々)
GM:残念だけどジョウカちゃん、大ノヴァリス博物館館長は『ほどほど』じゃないんだよ……
"死蔵王"竜胆ジョウカ:まあ色々融通が利くのでヨシとしましょう。ヨシ!
GM:絶対怒らせないようにしよ……
竜胆ジョウカ:性能の話をすると、現代では王として遺産"ムカトヒャンデル蓋し胴無し"の継承者なのですが
竜胆ジョウカ:今回メインで戦闘する過去では根っからのサイレン野郎として稼働します。
GM:とんでもない暴力パワーだ
竜胆ジョウカ:素サイレンの強さ……見せちゃる!
竜胆ジョウカ:回数も撃てるようにしつつ援護の風も携え完璧!そして何より
竜胆ジョウカ:こいつだけ革命が最悪成功しなくても館長になれれば館を守りに行けるので勝利条件が後ろにあり、
竜胆ジョウカ:そのためルーザーとかいういつ使うのか分からん緊急脱出用エンブレムを備えています
竜胆ジョウカ:十字冠あるから使わないとは……思うけどね!思うよ!思ってていいよね!?
竜胆ジョウカ:そんな感じでよろしくお願いします!全てを倒すぞ!
GM:素晴らしい意気込み……!ハンドアウトはこちらです。
PC3: 竜胆ジョウカ/竜胆ジョウカ(PL:ジェネリック半チャーハンさん)
シナリオロイス:"神経質そうな人"
八月革命の最中"金剛王"を討ち、理事会への反転攻勢に出たあなたの行動は、まさしく暴挙だった。
それは獣の如く勝算も見通しもない戦いだったが、優れた頭脳が自動的に導き出してしまう答えもある。
例えば全生徒の突然の王鍵停止は、あなたにとって決して予期せぬ事態ではなかった。
この現象は、本校舎の『円卓』が理事会に再び掌握されたことを意味するものだ。
『円卓』の制御奪還の知識を持ち、自由に動ける生徒は、キングダムには今あなた一人しかいない。
"神経質そうな人"(貴方のセルの管理者だが、名前を記憶していない)の降伏勧告が放送機器から響く中、
あなたに可能なことは、もはや意思持つ炎の如く、宝を脅かす者を焼き尽くす暴挙だけだ。
◇
キングダムは激動の渦中にある。だが耳に入る話の大半はあなたに無関係な(興味のない)ことばかりだ。
だがその中にひとつ、あなたの興味を惹く情報があった。キングダム公式の『先生』の派遣要請である。
しかも『先生』は監査のため"鴉の塔"への立ち入りと情報閲覧を許可された可能性すらあるのだという。
理事会権限に等しい『先生』の特権ならば、"鴉の塔"に登録された無数の遺産の情報を閲覧できるだろう。
そしてこのキングダムに、その機会は恐らく二度は訪れないだろうことも分かっている。
"神経質そうな人"が抱えたまま消えていった知識のいくつかをサルベージできるかもしれなかった。
宝の知識を貪欲に求め、相応しくない者からその知識を守る。八月革命の時から、何も変わりはしない。
GM:"神経質そうな人"はジョウカちゃんの理解レベルに合わせた表記であり
GM:実際にはダリオ・ガラヴェンタという名前があります。
竜胆ジョウカ:ダ……?
竜胆ジョウカ:……?
GM:二文字目から!?
竜胆ジョウカ:……とにかく円卓を触りに行きます!よろしくお願いします!
GM:頑張ってください!
GM:それでは次なる王様戦隊、PC4、七十橋シスルさんのご紹介に入りましょう。
七十橋シスル:OK
七十橋シスル:過去 キャラシート
七十橋シスル:現在 キャラシート
七十橋シスル:過去のほうから話しましょうか
GM:どうぞよろしくお願いします
七十橋シスル:七十橋シスル。キングダムに無数にあるオールド系部活の一つ、呪術研究部で無難に日々を過ごす一般学生。
七十橋シスル:王の名は持たず、自分はキングダムのやり方は合わない、生徒の数に数えるなと主張していた結果、誰が呼んだか《不救伯(アンカウント)》。
GM:洒落たネーミングだ
七十橋シスル:実家は、現代ではほとんど廃れきった、民間呪術師(カニングフォーク)の末裔で、オールドの復権を目指すFHセルの肝いりで送り出されています。
七十橋シスル:性格の根本には極めて強い反骨精神を抱えており、実力主義、弱肉強食、強者が支配することがマジで嫌い。
七十橋シスル:実力がありながら、動かないことこそを最大の反発として昼行灯をしていましたが、八月革命によってついにその重い腰を上げることになりました。
GM:さすがに皆がめちゃくちゃ戦ってる中で一人だけボイコットを決め込み続けるわけにもいくまい
七十橋シスル:戦闘能力としては、見立て、薬物、蟲や呪いなど、オーソドックスな呪詛を何故かオーヴァードにも通用するレベルにまで引き上げて振います。
GM:魔術カラテが普通にめちゃくちゃハイレベルなんだ
GM:よく考えたら拷問王になってからも小技の応用全然やってくるタイプだもんな……
GM:大味で対応力のないタイプだとナメてかかったら痛い目を見る
七十橋シスル:開放裁定によってなんか古い王鍵とも契約しており、もちろんこれもガンガン使います。自分は王なんかにはならねえよと中指立てていった結果、
七十橋シスル:円卓第七席にして、最も恐ろしく危険な王と称される《拷問王》です。このザマだよ。
GM:なってる~~!?(ガビーン)
七十橋シスル:影茨の王鍵を常時最大解放にし、キングダムーシャムロック間の戦線境界にほぼ一人で抑止力として君臨していました。
七十橋シスル:が、失態のせいでシャムロック攻略戦には不参加! シャムロックの謎空間に隠されていた秘宝も無事に奪還!
七十橋シスル:しかもポッと出の新参に席次も追い抜かれ、まさに悪役令嬢もさながらの没落真っ最中!!
GM:面子が丸つぶれだねえ……シスルくん……
七十橋シスル:殺してやる……殺してやるぞ美食王
GM:(コーヒーを吐く美食王の顔)
七十橋シスル:そういうわけで、今かなりフリーになっています。、
GM:もうシャムロック守らなくていいよ
七十橋シスル:エフェクト構成は、過去・未来ともに通常仕様だった自己相手のダイスを減らしまくる絶対防御に加えて、
七十橋シスル:「力を見せつけながら戦う」必要が無くなったため、隠密の対多数攻撃を取得しました。
GM:ヒエ~ッ
七十橋シスル:舐めた奴らを暗殺していきたいと思います、よろしくお願いします
GM:OK!シスルちゃんのハンドアウトはこれだ
PC4: 七十橋シスル/七十橋シスル(PL:アスハルさん)
シナリオロイス:桟クノア
あなたよりも遥かに慕われていた者がいる。優しかった者がいる。人の上に立つべきだった者がいる。
今やキングダムのほとんどは彼女のことを覚えていない。彼女の部下だった生徒達すらそうだ。
そもそも、あなた自身すら桟クノアのことを、その時の怒りに釣り合うほど慕っていたかどうか――
全く関係のない理由だったとしても、周囲の生徒からすれば同じことだったはずだ。
いずれにせよ、八月革命の渦中であなたは、ほとんど単独で数多の敵を倒し、苦境の生徒を救出した。
あなたに可能なことは、かつての桟クノアとはかけ離れた、慈愛の欠片もない救い方だけだ。
とうの昔に理事会によって廃部処分を受けた『医療部』を名乗り、あなたは最前線へと向かう。
◇
"至上王"は、全ての面会を拒絶している。彼女の真意と望みは謎のままだ。
またもあなたとは無関係などこかで、キングダムの未来が大きく変わろうとしている。
桟クノアがそうだったように、いくつかの存在がこの激動の中で忘れられていくはずだ。
――愉快な報せもある。あのウルスラ・ミック・ベニが、キングダムを再び訪れるのだという。
性懲りもなく襲来するのなら、かつての礼に、いくらか痛めつけてやるのもいいだろう。
いまやファウセット新陸帯の重要性も失われ、キングダムで担うべき役割すらあなたにはない。
今、あなたに休日はいくらでもある。もしかしたら、迷惑な休日の続きを始めてもいい。
GM:先代にして理事会時代最後の医療部部長、桟クノアが出現しました。
GM:名字の読みは「さんばし」だぞ。
七十橋シスル:医療部に……先代が!!
七十橋シスル:医療部なんて入るわけがありませんが、全力で頑張っていきたいと思います。
七十橋シスル:休日もやっていきます 不夜王の分まで代わりに休んでおくからよ
七十橋シスル:安心して働いて良いからな、不夜王……
GM:普通逆じゃないか?
GM:そして!王様戦隊の追加戦士が登場します。第一のPC5、五辻モモカさんだ。
五辻モモカ:キャラシート
五辻モモカ:うむ!
五辻モモカ:ノヴァリス全生徒の姉にして円卓……この時は第七席!五辻モモカである!
GM:そう!今は円卓顧問だけど
GM:実際当時は円卓七席の一人だったのだ
五辻モモカ:キングダム内最大手の宗教組織、グレゴリオの部長でもあり……"法王"の称号を担いでいる!
GM:めちゃめちゃ偉いし、尊敬されてるのだ
五辻モモカ:全ての生徒を愛し、平等を説く博愛主義ですが狂人扱いされたり他の王への態度を不敬と取られることもあるので評価は二極化しているかもしれない!
五辻モモカ:ただ、それでも支持率はそこそこあるので他人の祈りや願いを代行する王鍵、白面の祈りの使い手としてはかなりの出力を誇ります。
GM:ファンタジーの法王なんて悪いこと考えてるに決まってるぜ!
五辻モモカ:そんな事はないぞ!何故なら私は姉だから!
五辻モモカ:王鍵の副作用で常にノヴァリス各所から届けられる莫大な数の祈りが常に頭の中で響いていますが、妹の声を聴けてとても嬉しいです。
五辻モモカ:八月革命では当然、妹達の道行きを照らす為に咎人の剣を振るいます。性能面ではほぼ火力に全振り。
五辻モモカ:基本はインフィニティウェポンで生成した聖剣をぶっ壊しながら超火力を出し、対象が多そうな時はサンドシャードで聖剣を細かく割ってばら撒きます
GM:もちろん遺産もバリバリ使いこなせるのだなあ
GM:この点に関しては今回の参加者の中では一番といえるでしょう
GM:なぜなら八月革命時点で最初から円卓の王だったのはモモカちゃんだけなので
五辻モモカ:あっそうなるのか!卓に着く王として恥じぬ働きをしてみせます。
五辻モモカ:妹に迫る脅威を打ち払うのは当然姉である私!愛する家族を守ります!
GM:なんて立派なんだ……。というかヒナテアさんの時も言ったけど
GM:そういうスタンスの人である方がマジで頼もしいんですよね、八月革命なので
GM:モモカさんのハンドアウトはこちらになります。
PC5: 五辻モモカ(PL:もやし炒めさん)
シナリオロイス:キングダム連合学院
キングダムにおける八月革命の裏の主体が"学級会"だとすれば、表の主体はグレゴリオだった。
全生徒への愛と平等を説くグレゴリオの教義は、生徒同士の団結を着実に強めていた。
今やキングダムの力は、雨月夜シオンに続いて先陣を切った円卓の王のみではない。
敵対していた無数の派閥の壁を越えて、生徒達が共通の敵へと立ち向かっている。
魔術的契約に縛られていた定時制すら、"血統王"の尽力によってついに合流した。
開放裁定を経て生徒が自らの王となった今は、キングダム連合学院が、真に連合できる時だ。
ならば無論、反キングダム組織"学級会"とも、手を結び共に戦うことができるだろう。
未来と自由を取り戻すために、"ロードマスター"を討つ。決戦は近い。
GM:そう、このシナリオでは"ロードマスター"を倒していただくことになります。
GM:それも再生怪人とかバックアップとかではない、本物のロードマスターです。
五辻モモカ:ゲェェ~~!過去は常に付きまとう……でも大人なんかに負けません!姉の名に懸けて!
GM:頑張ってほしい……!大人なんかに負けるな!
GM:それでは第二のPC5、有崎五派さんのご紹介です。
有崎五派:キャラシート
有崎五派:はーい!大人で~す!
GM:出てきちゃった!大人が!
有崎五派:ビッグネームではなく違って一般の教師です!
有崎五派:元々はメイクアップアーティストをやってましたがなんやかんやでノヴァリスまで来ちゃいました。
有崎五派:オーヴァードではあるものの、デカい戦いや修羅場にはまるで縁が無い!
GM:適度にゆるく、生徒とも友達感覚で仲良くできる、いい先生なのだなあ
有崎五派:キングダムは前に来ました!チョコを巡って……楽しかったな~!
GM:以前キングダムに関わった事件も比較的平和的で危険のないイベントでしかありませんでしたからね
有崎五派:爆発とか海賊船とかあった気もするけど平和にチョコ食べて終わったのでOK!
有崎五派:基本的には一般女性と言って差し支えない経歴ですが……高校時代にレディースチームに所属してたことがあります。
GM:た、頼りない……!
GM:いやレディース教師は普通ならじゅうぶんな個性のはずだけど、落日でメチャクチャになりつつあるキングダムを任せるには……
有崎五派:そう……あくまで昔やんちゃしてたというだけ!
有崎五派:ただ、その時代の"先生"に大変お世話になり……教師という仕事に高い理想と憧れを持っています。
GM:真っ当な方向性で先生を目指している大人なのだなあ
有崎五派:軌道に乗ってた仕事を置いてこっち来たのもそれが大きいかも!立派な先生に……なりたい!
GM:五派先生……
有崎五派:一応性能面の話をしておくと……ソラリスピュアの暴力を香水という可愛らしいオブラートに包んでばら撒きます。
有崎五派:火力の手助けに加えて帰還の声もあるのでみんなの頑張りをサポートする力はある筈!
GM:あ!ソラリスじゃない!
GM:キングダムでついに来る先生がソラリス、やっぱり運命なのだなあ
有崎五派:なんかとんでもない時期に来ちゃったみたいだけど……先生なんだから分からないで済ませる訳にもいかない!精一杯やるぞ~!
GM:本当に健気……!ハンドアウトはこちらです。
PC5: 有崎五派(PL:もやし炒めさん)
シナリオロイス:キングダム連合学院
三大校の一角、キングダムの現状の混乱状態は、星室庁でも特に重大な案件と見られていた。
だが先生として指名されたのは、アリト・ザファル・モリアーティでも眩星かんなでもない。
そしてキングダム連合学院からの要求は、あなたでも十分果たせるほど簡潔なものだった。
――「何もしない」こと。星室庁として派遣を行ったという声明を出すだけでよかった。
キングダム連合学院は、外部からの大人の介入を一切望んでいない。
そして事実、大人以上の解決能力を持つ子供達は、いずれうまくやるのかもしれない。
事態は恐ろしく複雑に込み入っていて、あなたの能力では全く手に負えない問題に見える。
それでも、あなたが大人である以上、何をするかを決定するのはあなた自身だ。
GM:なぜほとんど実績ゼロの五派先生が派遣要請されたのか……その理由がこれ!
有崎五派:なっなにぃ~~~?置物ってことじゃない!
GM:はい、残念ながら……。
有崎五派:カチンと来ちゃうじゃない……私が大人しく座ってると思うなよ~~!
有崎五派:どんな状況でも何も出来ないなんて事は無い!やるだけやったる!
GM:五派先生……!見せつけてやってくださいよ!大人の底力!
GM:自己紹介で2時間使ったぜ!時間稼ぎは十分!!
GM:キングダムの過日、始まります!
トレーラー
円卓議会第一席ルキア・ティベリアの暴挙は、キングダムそのものの存続を揺るがしている。
ノヴァリス三大校最大にして最強であった、キングダム連合学院の破綻危機。
それは、ノヴァリス全体のパワーバランスを崩壊させかねない異常事態であった。
事態を重く見た遺産管理委員会は、これまでキングダムが取らなかった最終手段に出る――
この混乱を中立的な立場から調停し得る、唯一の存在。即ち『先生』の公式派遣要請。
絡み合った謎を紐解くための鍵は、"鴉の塔"の中にこそ隠されている。
キングダム連合学院は、過去を手に入れる必要がある。
トレーラー
永遠に打倒が叶わぬものと信じられていたキングダムの存続は、揺らごうとしている。
ノヴァリス三大校最大にして最強である、キングダム連合学院の最終攻略作戦。
乱戦の中、理事会は本校舎を制圧。『開放裁定』で配給された王鍵全ての権限を停止した。
だが雨月夜シオンが身を挺して稼いだ時間は一日にも満たず、逆転の可能性は今しかない。
"ロードマスター"を打倒し、自らに君臨する王国を取り返さなければならない。
キングダム連合学院は、未来を手に入れる必要がある。
オーヴァード・ノヴァ『キングダムの過日』
◆[CURRENT]Opening◆ウルスラ・ミック・ベニ/有崎五派
GM:今回の侵蝕処理についてご説明します。
GM:侵蝕率計算は全て「過去の参戦PC」で行います。
GM:また、ミドルシーンは判定は全くなく、基本的に全員で登場し情報を共有してもらうことになるため
GM:戦闘における不平等をなくすために、登場侵蝕は一律「0」とします。
GM:現代で登場侵蝕が嵩んだせいで過去で十分な活躍ができなくなるとかだと理不尽ですしね
中央市街地 職員室オフィス

GM:数日前、キングダム連合学院から最高生徒会へと、一人の男が引き渡された。
GM:正確にはキングダム連合学院ではない――前第四席"海賊王"のほとんど独断で身柄の輸送が行われていた。
GM:男は名を持たないと語っていたが、自称に倣い、"矜持なきもの"というコードが用いられている。
GM:彼は遺産失格者だった。キングダム理事会における暗部エージェントじみた存在であったのだという。
GM:"矜持なきもの"の処遇について、最高生徒会は、可能な限りの情報を聴取した上で、ノヴァリス外への送還の方針を固めている。
GM:身柄を確実に確保しておくべき重要幹部や、逆に生徒に与えた危害が軽微だった者であればともかく、彼の場合は安全のため、そうせざるを得ない。
GM:彼という脅威から生徒を守るためだけではない。生徒という脅威から彼を守るためでもある。
GM:そうして送還処分となったエージェントは少なくない。八月革命の直後も、捕らえた大人全てに然るべき処罰を与えて回れるような余裕は最高生徒会にはなかった。
GM:"矜持なきもの"に反抗の意思はみられず、必要な聴取も恙無く完了している。
GM:しかしそれは最高生徒会の公式の聴取である。つまり、ウルスラ・ミック・ベニが個人的に聞きたい話全てがそこにあるというわけではない。
GM:よってウルスラは、教育実習生権限で彼への尋問――と書類上ではなっている――を行っていた。
ウルスラ・ミック・ベニ:「"矜持なきもの"って、面と向かって呼ぶには抵抗ある名前だよね」

"矜持なきもの":「呼ばなきゃあいいだろう」
"矜持なきもの":不機嫌そうにコーヒーを啜る。
ウルスラ・ミック・ベニ:「如何にもキングダムらしいアイロニー」
"矜持なきもの":「『おい』とか『お前』で十分だ。エージェントどもからはそういう扱いだったからな」
ウルスラ・ミック・ベニ:「面と向かってる相手の名前を呼びたい派なの」
ウルスラ・ミック・ベニ:「というわけで今からおじ様はキョウジくんだ」
"矜持なきもの":「……」
有崎五派:「可愛いじゃん!リバちゃんより全然良いわ」
ウルスラ・ミック・ベニ:「カンジ組ってあるじゃない。日本語ではprideがそのまま男性名になるんだって」
ウルスラ・ミック・ベニ:「でしょ~」
"矜持なきもの":「いい、いい。そういうのに歯向かうのも疲れた」
"矜持なきもの":「キョウジでいい。……で、なんだ」
ウルスラ・ミック・ベニ:「あ、こちらはごはせん」
"矜持なきもの":「ゴハセン」
ウルスラ・ミック・ベニ:「五派先生を簡略化した産物だよ」
有崎五派:「ゴハセンで~す。大人しくメモ取ってるからあんまし気にしなくてもい~よ」
有崎五派:にこやかに手を振り、装飾が施されたメモ帳に書き込みを続ける。
"矜持なきもの":「――で、あんたがウルスラ・ミック・ベニ。確かそうだったな」
ウルスラ・ミック・ベニ:「うんうん、キングダムを追放されながら、未だ王鍵を宿す身だよ」
"矜持なきもの":「へえ。キングダムから追放か……」
"矜持なきもの":「面白いな。聞かせてくれ、といって聞ける立場じゃないだろうが」
有崎五派:(退学みたいなもんよね……う~ん、そう考えると馴染みが……)
ウルスラ・ミック・ベニ:「そこは追放仲間のよしみで答えてしんぜよう」
ウルスラ・ミック・ベニ:「キョウジくんは打てば響き寄せては返し、誠意を返してくれる方だからね」
"矜持なきもの":「なんだそりゃ」
ウルスラ・ミック・ベニ:「ボクはかつての円卓の王、風塵王の側近でね」
"矜持なきもの":「……!風塵王!あいつは強かったな……」
"矜持なきもの":「映像記録でしか見たことはないが、あの年齢のガキにできる戦闘の組み立てじゃなかった」
ウルスラ・ミック・ベニ:「そうでしょうそうでしょう」我が事のように上機嫌に胸を張る。
ウルスラ・ミック・ベニ:「王鍵を簒奪してから頑張って模倣してみたけど、全然ダメだったよね」
有崎五派:(……風塵王)パラパラとメモ帳を捲り、ペンで自分の頬を突く
ウルスラ・ミック・ベニ:「それも過去の話だ。彼女はもう居ない」
ウルスラ・ミック・ベニ:同時にノヴァリスのどこかに"居る"のだと、教育実習生として得た知識が示しているが今は別の話。
"矜持なきもの":「そうだな。あの死に方は『ダモクレス』だ。強いからこそ狙われたんだろう」
ウルスラ・ミック・ベニ:「うん、殺された。理事会の手によってね」
有崎五派:話の流れに眉を顰めつつも、沈黙を続ける。
"矜持なきもの":「……ああ、置いてけぼりで話しちまって悪いな……。キングダムの、昔の円卓の王の話だ」
"矜持なきもの":「七人いるあれだよ」
有崎五派:「……まあ、大体は教えてもらった。話の腰を折って悪いわね」
ウルスラ・ミック・ベニ:「第二次ノヴァリス紛争において振るわれた十字冠を破壊する兵器、その300人の犠牲の一人なんだ」
"矜持なきもの":「……」帽子の影で眉をひそめる。
ウルスラ・ミック・ベニ:「大丈夫、あんまり話すことでもないけど。先生にも聞いて貰いたかったから」
"矜持なきもの":"矜持なきもの"もまた、『十字冠を破壊する兵器』を用いた者の一人だ。調書にはそうあった。
"矜持なきもの":しかもそれは、キングダムの大王鍵である『石の魔剣』だったのだという。顔なき始末人として、彼は少なくとも旧円卓第一席を殺している。
有崎五派:「……ふぅ。何回聞いても呑み込めないけど、理解はしてる」
有崎五派:大人、大人。彼女たちの状況を動かしてきた存在。そしてソレは決して良い意味ではない。
有崎五派:不快感を表に出さぬよう、努めてゆっくりと呼吸をする。
有崎五派:「大丈夫。ちゃんと聞いてるから、続けて」
ウルスラ・ミック・ベニ:横目にその様子を見届け、アイコンタクト。話を続ける。
ウルスラ・ミック・ベニ:「彼女を看取った後……ボクは遺体から王鍵を手に入れた」
ウルスラ・ミック・ベニ:「勇者の徴、これもキョウジくんが馴染みのあるやつだったりするのかな?」
"矜持なきもの":「……!じゃあ、お嬢ちゃんが簒奪した王鍵ってのは……」
"矜持なきもの":「あの風塵王の遺産か!逸失したとだけ聞いてたが……とんでもないことをしでかしたな」
"矜持なきもの":「追放もされるわけだ。そいつが、お嬢ちゃんの経緯ってわけだな」
ウルスラ・ミック・ベニ:「そうそう。キミたちが遺産失格者ならボクは遺産簒奪者ってわけ」
"矜持なきもの":「格上だ。敬語で接したほうがいいか?」
ウルスラ・ミック・ベニ:「大業を成すのはこれからさ。後にとっておきなよ」
ウルスラ・ミック・ベニ:「その後なんやかんやあって、鴉の塔に押し入って継承しなおして、至上王に喧嘩売って今に至るわけ」
"矜持なきもの":「……………めちゃくちゃじゃないか?」
"矜持なきもの":「ゴハセン、ここは虚言癖の生徒を雇ってるわけじゃないよな?」
有崎五派:「これが嘘だとしても口にしてるだけで大物でしょ。まあ、最も──」
有崎五派:「ウチのウルスラちゃんはそれ以上の傑物ってワケだけど。聞いてるだけで頭痛くなって来るわ」
有崎五派:ふるふると頭を振って苦笑する。
ウルスラ・ミック・ベニ:「本当のめちゃくちゃっていうのは死蔵王みたいなのを言うんだよ」
ウルスラ・ミック・ベニ:「負けてられないから、ボクは今後もっとしでかすつもりだけどね」
ウルスラ・ミック・ベニ:「だからキョウジくんが知ってる、キングダムの今を聞きたいんだ」
"矜持なきもの":「俺とは逆に、キングダムに未練があるってわけだ。おおよそは話した通りだが――」
"矜持なきもの":「――そもそも、俺が知っているのは今じゃない。昔のことだけだ」
"矜持なきもの":「風塵王が死んでから、だいぶ経っただろう。どうしてまだキングダムに執着している?復讐か?王の暮らしに戻りたいのか?」
ウルスラ・ミック・ベニ:「はは、まさか」
ウルスラ・ミック・ベニ:「王様になりたいなら、キョウジくんに敬わせる機会を逃したりしないし」
ウルスラ・ミック・ベニ:「風塵王の復讐を望むなら、キングダム理事会の残党と仲良くお話しできるほど器用じゃないさ」
ウルスラ・ミック・ベニ:「……追放されてから、先輩が死んでから」
ウルスラ・ミック・ベニ:「雨月夜シオンが立ち上がった。希望を示した」
"矜持なきもの":「雨月夜シオン……」
ウルスラ・ミック・ベニ:「ボクたちを支配する七つの恐怖が封じられ、七賢人が打倒されて」
ウルスラ・ミック・ベニ:「八月革命が果たされた……一つだけやり残してね」
有崎五派:「やり残し……」無意識にウルスラの言葉を反復する。
"矜持なきもの":「革命を成し遂げられなかった連中がいるのか?」
ウルスラ・ミック・ベニ:「だから未練なのさ」
ウルスラ・ミック・ベニ:「全日制と定時制が共闘し、王たちが力を束ね、ロードマスターに向けられた筈の矛先はね」
ウルスラ・ミック・ベニ:「手柄首を取り損ねたんだ」
ウルスラ・ミック・ベニ:「キングダムの総力を挙げて果たされるべき悲願は」
ウルスラ・ミック・ベニ:「どこからともなく現れた、ただ一人の至上王によって果たされた」
"矜持なきもの":「……」
ウルスラ・ミック・ベニ:「……らしい!」
有崎五派:「……曖昧!」
ウルスラ・ミック・ベニ:「いやあ、ボク追放されてたからちょっと他人事で」
ウルスラ・ミック・ベニ:「あちこちで剣振るってて忙しかったんだよ~」
"矜持なきもの":「……そこだ。『天国』で捕まえた連中から聞いた話の中でも、俺にはそこが全く理解できん」
"矜持なきもの":「"拷問王"はいい。"鉄騎王"もどこかで代が替わったんだろう。"死蔵王"はメチャクチャだが……まあ、理解はできる」
"矜持なきもの":「――だが、"至上王"?なんだそいつは?」
"矜持なきもの":「キングダムで見込みのある連中はジジイから聞かされていたが、そんな容姿と経歴の奴には、全く心当たりがない」
ウルスラ・ミック・ベニ:「ふうん、キョウジくんからしてもそうなんだな」
有崎五派:「め~~っちゃ強い子が、来るべき時まで力を隠していたのだ……って事じゃないの?」わざとらしい身振り手振りを付けながら
有崎五派:「キョウジ君も全生徒を覚えてるってワケじゃ……ない、よね?」
"矜持なきもの":「それにしたって限度ってもんはある。"ロードマスター"のジジイは生徒の才能に関しちゃ偏執的なくらい調査していたからな……」
"矜持なきもの":「"死蔵王"の竜胆ジョウカも、俺は名前だけなら前から知っていた。ポテンシャルの程は把握されていたんだ」
ウルスラ・ミック・ベニ:「何の脈絡もなく物語の中に投げ込まれて、筋を変えてしまった石のようなもの」
ウルスラ・ミック・ベニ:「それがルキア・ティベリアちゃんというわけだ」
有崎五派:「ふぅん……?でも、生徒な事には変わりないんでしょ?流石に無から誕生!ってワケにはいかない筈だし……」
有崎五派:腕を組んで首を左右に傾け、うんうんと唸る
"矜持なきもの":「他の学区から来たやつなのか……今のところそれが一番あり得そうな筋だ」
ウルスラ・ミック・ベニ:「どうなんだろうね」
ウルスラ・ミック・ベニ:「ボクもロードマスターの秘蔵っ子ってぐらいしか分かってないんだ」
"矜持なきもの":「そいつが引っかかってるのか?キングダムの革命がキングダム生によって果たされていないことが?」
ウルスラ・ミック・ベニ:「元キングダム生徒としてはそうだね。革命が頓挫してしまったこと」
ウルスラ・ミック・ベニ:「ルキアちゃんは正に偉大な王様でね」
ウルスラ・ミック・ベニ:「彼女の支配は民に多くの幸福と恐怖を齎している」
ウルスラ・ミック・ベニ:「ロードマスターによる支配は今なお続いている、と言っても良い」
ウルスラ・ミック・ベニ:「そして教育実習生としてのぼくは、ルキアちゃんが気がかりなんだよね」
"矜持なきもの":「生徒より、その"至上王"とやらの方が心配なのか……」
有崎五派:「至上王だって生徒でしょ」
"矜持なきもの":「だが、王なんだろう」
"矜持なきもの":「キングダムでは、王は生徒とは別扱いさ。生徒を支配する権利と義務がある」
有崎五派:「そうだけどそうじゃないの!」
有崎五派:「王様って呼ばれてようと、その道に必要なものを学んで、成長してる……キングダムってそういう場所じゃないの?」
"矜持なきもの":「なんで俺が怒られる……まあ、王にも相応しい学びが必要ってのは、間違いない」
"矜持なきもの":「世を統べるに相応しい王を育成する、王のための教育機関。それがキングダム連合学院なわけだからな」
ウルスラ・ミック・ベニ:「はっはっは、話が嚙み合わないだろうキョウジくん」
ウルスラ・ミック・ベニ:「これがごはせんの好きなところさ」
"矜持なきもの":「おい、ゴハセンの話がしたいわけじゃない。あんたがキングダムに執着する理由の話だったはずだ」
有崎五派:(そうでした)口を噤んで背筋を正す
ウルスラ・ミック・ベニ:「でも言ってくれたからね」
ウルスラ・ミック・ベニ:「至上王と話せたのはほんの少しだけだった」
ウルスラ・ミック・ベニ:「彼女は余裕が無くて、簡単に暴力を振るうようだから」
ウルスラ・ミック・ベニ:「話をすぐに打ち切られて、ついでに刺されて潰されてボッコボコになった」
ウルスラ・ミック・ベニ:「なら心配になるのも当然だろう?」
"矜持なきもの":「……。キングダムに攻め込んできたテロリストの末路としちゃむしろ当然だと思うが……」
ウルスラ・ミック・ベニ:「耳が痛い!」
"矜持なきもの":「……真面目な話、癇癪を暴力という形でぶつけるのは」
"矜持なきもの":「王の振る舞いとしては問題があるな。罪ある者にこそ、秩序だった裁きを与えるべきだ」
"矜持なきもの":「悪人が相手で、自分に処罰を与える力があったところで、私刑制裁をしていいわけじゃねえんだからな」
有崎五派:(……そう聞くと、子供っぽいとも思えたりしちゃうんだよね)
ウルスラ・ミック・ベニ:「Heyごはせん!」
ウルスラ・ミック・ベニ:「気に食わない相手はすぐ暴力で黙らせて、いつも一人ぼっちでいようとする子が居たらどう思いますか!」
有崎五派:「あっはいはい!」
有崎五派:「え?そりゃもう……」
有崎五派:ぽかんとした顔のまま、首を振る。
有崎五派:「駄目な事は駄目!したい事、して欲しいことがあるなら口に出しなさい!……じゃない?」
有崎五派:「そーいうのほっとくの、先生じゃないじゃんね」
ウルスラ・ミック・ベニ:「見たかキョウジくん、これがごはせんなんだよな」
ウルスラ・ミック・ベニ:「ボクはまたルキアちゃんに会って、なんで至上王なんてやってるのか聞かないといけないんだ」
ウルスラ・ミック・ベニ:「王様なんてロードマスターがやらせた罰ゲームみたいなものだ。別に続ける必要はないよ」
"矜持なきもの":「……俺が聞いたのはお嬢ちゃんの言い分だけだし、その場でどちらが悪かったのかは分からん」
"矜持なきもの":「自分がやらかしたことを、後から『相手の対応が間違っていたからだ』と正当化したがるのも人間の自然な心理だろうからな」
"矜持なきもの":「だが、なんとなく、お嬢ちゃんが思っていることは分かる」
"矜持なきもの":「……生徒が王になることは、"ロードマスター"のジジイが望んだことだ。本当に革命が成されたのなら、王がいるのはおかしい」
"矜持なきもの":「――王権転覆が、あんたの目的か?」
有崎五派:(……マジ?)思わずウルスラを凝視する
ウルスラ・ミック・ベニ:「"キングダム"を破壊したい」
ウルスラ・ミック・ベニ:「ボクたちはもう、縛られる必要はないからね」
ウルスラ・ミック・ベニ:「……でもそういう言い方すると、すごい危険人物っぽくて良くないと思うんだけど」
ウルスラ・ミック・ベニ:「意識改革って言ったら軟着陸できそうじゃない?」
"矜持なきもの":「"ロードマスター"の目指した王様、か」
"矜持なきもの":「……最高生徒会には既に答えたことだが」
"矜持なきもの":「あんた達にも、知らんなら教えてやる。ゴハセン、あんたにもな」
有崎五派:「………?」
"矜持なきもの":「"方舟"については知っているか?セイクリッドピラーの遥か上に位置する特異軌道彗星だ」
有崎五派:「まあ……一応先生なわけですし……勉強もしてますし……」
ウルスラ・ミック・ベニ:「……星徒の揺籃」
ウルスラ・ミック・ベニ:職員室に入って暫く経ち、知り得た真実。箱舟派が抱えたノヴァリスの神秘。
ウルスラ・ミック・ベニ:あまり考えたくないモノだ。頭も胸も痛くなるから。
"矜持なきもの":「……そうだ。"方舟"はその名の通り、"方舟派"の計画の核だったわけだが」
"矜持なきもの":「『空の神秘』を独占していたのは"方舟派"だけじゃなかった。俺達"天国派"もそうだ」
"矜持なきもの":「つまり"方舟"は二派閥の共同管理財産だ。協力の余地があった――俺達の計画は、途中までは一致するものだったからな」
ウルスラ・ミック・ベニ:「箱舟と天国か。そりゃ現世と来世ぐらい離れてるだろうけど」
"矜持なきもの":「クッカカカカカカカカカ……」肩を揺らして笑う。
ウルスラ・ミック・ベニ:「笑い方気持ち悪ッ」
ウルスラ・ミック・ベニ:「ツボ入るとそうなるんだ」
有崎五派:「……ンンッ」咳払い
"矜持なきもの":「おい。ウルスラ・ミック・ベニ。随分いい勘をしていやがる。現世と来世が、なんだって?」
ウルスラ・ミック・ベニ:「離れてるって言ったの」
"矜持なきもの":「"方舟派"と"天国派"の違いを言い表すとしたら、それ以上的確な喩えもないかもしれん」
ウルスラ・ミック・ベニ:「箱舟は生命を繋ぐもの、天国は生命が行きつく果てでしょ」
"矜持なきもの":「皮肉なもんだが、逆だ」
"矜持なきもの":「ゴハセン。あんたもそこまで勉強しているっていうなら」
"矜持なきもの":「"方舟派"が最終的に"方舟"で、生徒をまっさらな未来に送り込むつもりだったことも知っているな?」
有崎五派:「……まあ、ね。気分のいい話じゃあないけど事実だし、知らないってわけにもいかない」
"矜持なきもの":「どういう原理と契約かは知らんが、5億年分の時間をスキップして、選ばれたオーヴァードの子供達で、文字通りの新世界を始めようとしたんだと」
有崎五派:「あんたらはその目的のどの地点で……その箱舟派と別れるワケ?」
"矜持なきもの":「"天国派"の行き先は違うんだよ」
"矜持なきもの":「"ロードマスター"のジジイが欲しかったのは未来じゃない。ゴハセン……あんたがやってきた、外の世界が欲しいんだ」
"矜持なきもの":「俺達の計画の最終到達点は、5億年後の地球じゃなかった」
有崎五派:「私がやってきた……"欲しい"ってあんたまさか」
"矜持なきもの":「"方舟"は避難船じゃない。世界全てと戦うための軍艦だ」
"矜持なきもの":「キングダムで育った最も優れた王が、シャムロックの力で最も優れた兵士を率いて」
"矜持なきもの":「全ての民を救う」
有崎五派:「救う……外の世界でも王様やらせるつもりだったって事?」
有崎五派:自らの世界観、その外から与えられる情報に混乱しながらもなんとか相槌を打つ。
"矜持なきもの":「"ロードマスター"のジジイが何に絶望していたのか、俺には理解できんが」
"矜持なきもの":「何もかもが滅んだ綺麗な地球に君臨させるんじゃ、意味がないと考えてたんだろう」
"矜持なきもの":「今、この世界に生きている連中を救いたかったんだ。ジジイはよくそう言っていたよ」
有崎五派:「新しくやりなおすんじゃなくて……そう。だから"逆"なのね」
"矜持なきもの":「来世に至る天国じゃない。現世に、天国が降りてくる」
有崎五派:「あくまで、続きをやりたかった……ああ、もう。頭痛いわ!」
有崎五派:「その天国を……最高の王様とやらに統治してもらおうってワケ……」
ウルスラ・ミック・ベニ:「黙示録の到来って絵面は地獄なんだよね」
ウルスラ・ミック・ベニ:「……ほんと勘弁してほしいよ」
有崎五派:「でも、でも!そうはならなかった……けど」
有崎五派:「もし、至上王がロードマスターの考える最高の王様だったんなら……」
"矜持なきもの":「そう怖がることはねえさ。シャムロックの技術がキングダムと交わる心配も、今となっちゃない」
"矜持なきもの":「そもそも、そんな大それたことをガキがやりたがるかって問題もある。それを自分で望ませるための教育でもあったんだろうが――」
"矜持なきもの":「ウルスラ。"至上王"はどうだ?そこまで望んでるように見えたか?」
ウルスラ・ミック・ベニ:「……」腕を組んでむむむと眉をしかめる。
ウルスラ・ミック・ベニ:「やろうと決めた事は何でも成し遂げる、子供かもしれない」
"矜持なきもの":「ガキがよく言う」笑う。
ウルスラ・ミック・ベニ:「大人の余裕むかつく~」
有崎五派:(ウルスラちゃんは人をよく見てる。だからこそ先生にはバッチリだとあたしは思ってる……けど、だとしたら)
ウルスラ・ミック・ベニ:「少なくとも急に現れて、キングダムを一人で支配するぐらいの事は続けている」
ウルスラ・ミック・ベニ:「大それたことをしてる個人だよ」
ウルスラ・ミック・ベニ:「だから動機を掴みたいんだよね。現在じゃなくて過去かあ……」
"矜持なきもの":「ま、それこそ本人にでも聞かなきゃ分からねえことか」頭を掻く。
有崎五派:「……キョウジ君とウルスラちゃんの居ない間の出来事だものねぇ」
有崎五派:合わせるようにしてため息。
ウルスラ・ミック・ベニ:「それかまた侵入しないとダメかな~鴉の塔」
ウルスラ・ミック・ベニ:「キョウジくんが天国派の遺構とか知ってるかと思ったけど期待外れだったもんね」
有崎五派:「チギリちゃんの管轄かぁ……」
"矜持なきもの":「ん?」
"矜持なきもの":「遺産管理委員会元老と知り合いなのか?あんたはそこまでキングダムと関わりが深いように見えなかったが……」
有崎五派:「ああ、前にちょっと……チョコ集めたりしただけよ。いい子だったけど……しっかりしてたしお願いして入れてもらう訳にはいかないだろうな~って」
"矜持なきもの":「チョコ……?あの辛気臭いガキがか?クッカカカカカカカカ……」
"矜持なきもの":「本当に変わったもんだな……ノヴァリス」
"矜持なきもの":帽子を押さえ、顔を隠す。
ウルスラ・ミック・ベニ:「おじさんの反応……」
有崎五派:「……いいトコよ。ほんとに」微笑みと共にしみじみと漏らす。
"矜持なきもの":「……」
"矜持なきもの":「……………なあ」
"矜持なきもの":「雨月夜シオンのことだが……」
ウルスラ・ミック・ベニ:「キョウジくんがキングダム外の生徒に反応するの珍しいね」
ウルスラ・ミック・ベニ:「何が気になるんだい」
"矜持なきもの":「……死んだのか?」
ウルスラ・ミック・ベニ:「生きてたら、……」口を開いて、言いあぐねて。
ウルスラ・ミック・ベニ:「……きちんと知りもしない人に何か押し付けるのはダメだな」
ウルスラ・ミック・ベニ:「死んだと聞いているよ」
"矜持なきもの":「……」
"矜持なきもの":「…………まあ、そうか。そうだろうな」
"矜持なきもの":「ゴハセン、調書に書き加えておいてくれ。最高生徒会にもまだ話していない」
"矜持なきもの":「あの八月革命で、俺は雨月夜シオンを刺した。十字冠を破壊する……『石の魔剣』でだ」
有崎五派:「……………………」
有崎五派:書き留めようと持ったペンがピタリと止まる。
ウルスラ・ミック・ベニ:「──」息が、意識が止まる。
有崎五派:「なん…………」
有崎五派:ガタリと椅子を後退させながら立ち上がるが、言葉は続かない。
"矜持なきもの":「バロールのゲートの使い方は慣れてるほうだ。隙を突くのも容易かった……」
"矜持なきもの":「認知と対応を封じる『羅睺薨兆星』。そして生徒の十字冠を突破して絶命させる『石の魔剣』」
"矜持なきもの":「確実に殺せるはずだった」
有崎五派:「……だった?」
"矜持なきもの":「……だが、雨月夜シオンは生きていた。何が起こったのか、どうやったのか……」
"矜持なきもの":「……どうして、そうできたのか。今でも分かっていない」
ウルスラ・ミック・ベニ:「……奇跡の体現者」
"矜持なきもの":「だからだろうな。俺はお前達のことが怖くなった……」
"矜持なきもの":「だが、死んでいたのか。…………ああ。そうだろうな」
ウルスラ・ミック・ベニ:殺されてしまったアカネ先輩と、何が違ったのだろう。そう過ったことはある。
ウルスラ・ミック・ベニ:「そういう種明かし、期待してたんだけどね」
"矜持なきもの":「これで俺の送還処分も覆るかもしれんな。クッカカカカ……まあ、いいさ」
"矜持なきもの":「楽しく話せた礼だと思って、取っておけ」
ウルスラ・ミック・ベニ:「キョウジくんが楽しそうでボクも嬉しいよ、ありがとうね」
有崎五派:「………最後の最後に、ほんっっと──ああもう」
有崎五派:顔を顰めて苦し気に唸るが素早く書き記し、メモ帳をパタンと閉じる。
有崎五派:「全ッ然楽しくないっての!アホ!」
有崎五派:目の前の男が何をしたのか、書き記した上で。これを口にしたことの意味を何となく邪推してしまう自分の楽観主義に苛立ちが募ってしまう。
"矜持なきもの":「拘禁室に戻る」
"矜持なきもの":「この後は、大して話をする機会もないだろうが……」
"矜持なきもの":ちらりとウルスラを見る。
"矜持なきもの":「キングダムを頼む」
ウルスラ・ミック・ベニ:「……!」目を見開き、自然と笑みが浮かぶ。
ウルスラ・ミック・ベニ:「任せとけ。ボクは勇者だからね」
ウルスラ・ミック・ベニ:「キョウジくんの未練もきっちり払ってやるさ」
"矜持なきもの":「面倒な話に付き合わせちまって悪かった、ゴハセン。俺のことは忘れていい」
"矜持なきもの":「俺達みたいなのは、過去の亡霊だ。じゃあな」
有崎五派:「無理に決まってんでしょ……幽霊になったって生きてたって事実が消えるわけじゃないんだから……」
有崎五派:「忘れて欲しいならこんな話するなっての……」
"矜持なきもの":「……ク。それでも忘れられるのが大人ってもんだろう」短く笑うだけだった。
GM:面会時間は終わる。有崎五派が"天国派"の真実を知った理由は、こうして、記録者としてまったく偶然に居合わせていたというだけの理由だった。
GM:それから流れた時間は、一ヶ月にも満たなかっただろう。
GM:キングダム連合学院の混乱が、虚実入り交じった情報が、職員室にも聞こえてくるようになりはじめた。
GM:実際に何が起こっているのか。事態は収束するのか。正確に説明できる者はいなかった。
GM:三大校の崩壊の兆しだと考えはじめる生徒もいた。
GM:キングダム連合学院円卓議会から職員室への初の公式派遣要請が行われたのは、そんな時期であった。
GM:――有崎五派が、『先生』として指名された。
GM:正式な申請書類だ。そして、記載されている名前も見間違えようがない。
GM:キングダム情勢の第三者監査として、職員室の有崎五派を指名する……と、書かれている。
有崎五派:「────」
有崎五派:書類片手に、スイーツを口元まで運ぼうとした姿勢のまま数秒固まる。
有崎五派:「なん…………え?」
有崎五派:手元から滑り落ちたフォークがショコラショコランの新作ケーキ(規定カロリーオーバー)の上へ突き立って、ようやく声が漏れた。
メカ先生:「ピガー。どうしましたか有崎先生」円筒形ロボがスイーツによく合う紅茶を持ってくる。
メカ先生:ディスプレイ部分には眩星かんな先生の顔写真が雑に貼り付けられているぞ。
有崎五派:「……あ。いや」
有崎五派:メカ先生へ振り返る。
有崎五派:そうだ。それこそ、かんな先生やアリト先生──他にも、複雑な状況を解決するに足る力を持った先生は他に幾らでもいる。
有崎五派:一度キングダムに足を運んだことがある、くらいの縁で任される仕事でない事は流石に分かる。
有崎五派:(何か、目的が──)
有崎五派:そこまで考え、ぴしゃりと両手で頬を叩く。
有崎五派:「直接、聞けば済むことでしょうが」
メカ先生:「こちらの要請はあくまでキングダム側からの要望に過ぎませんので」
メカ先生:「有崎先生のご予定に不都合があればキャンセルを連絡することもできますが」
有崎五派:「ありがとう。でも、それは無し!」
有崎五派:私にできる事であれば、私以外の誰かにだって当然できる。職員室はそういう場所だ。
有崎五派:けど、まあ。
有崎五派:「"名指し"で生徒に呼ばれて……"行けません"は言えないわ」
有崎五派:何ができるか、何を求められているか。何一つ分からないが──呼ばれている事だけは確かだ。
有崎五派:「なら、分かる事から叶えるのが先生──でしょ。多分!」
有崎五派:メカ先生から紅茶を受け取って一息に飲み干し、デスクから立ち上がる。
メカ先生:「さすがです、有崎先生。ピガー」
有崎五派:「なんかヤバい音出てない?今度見てもらいなさいよ……?」
メカ先生:「これはキャラ付けのために鳴らしている音声ファイルですので……」
有崎五派:「メカ以上のキャラ付け要る?まあ……いいか」
有崎五派:手早くデスクの荷物を纏めながら半目でメカ先生を見やり、ポーチを掛ける。
有崎五派:「何はともあれ。準備もあるし動くなら早めに!行ってくる!」
メカ先生:「成功を祈っております」細いアームでハンカチを振る。
GM:メカ先生は先生多忙時の応対やその他雑務を代行する専用社会人だが、彼らが『先生』の業務を行うことはできない。
GM:責任を負うことができないからだ。
GM:自らの意思で決定し、背負える者でなければならない。
GM:――有崎五派への派遣要請の報せは、ウルスラ・ミック・ベニの元にも届いた。
GM:現在のキングダム連合学院の問題は、ノヴァリス全体の情勢でも間違いなく重要な位置を占める。
GM:優秀な問題解決能力や実績を持つ『先生』が、ある程度の案件を後回しにしてでも着手してもおかしくはない。
GM:……だが、キングダム連合学院は先んじて、干渉能力やコネクションをほとんど持たない有崎五派を指名している。
GM:その要請に応えて職員室が『先生』を派遣したのであれば、それ以上のことはできない。既に『先生』を送っているのだから。
GM:ウルスラ・ミック・ベニに関してもそれは同じだ。有崎五派を一人送り出し、キングダムの問題を前に手をこまねくしかない状況にある。
プロンプト015C:〈――というのが、私共の考えなのですが〉

GM:職員室にアクセスが可能なのは生徒だけではない。ごく稀なことだが、社会人からの相談が持ち込まれることもある。
GM:そして、ウルスラ・ミック・ベニにコンタクトを取ってきた相手は、キングダムの百貨店『プロンプト』支配人、プロンプト015Cだ。
プロンプト015C:〈この件に関してウルスラ・ミック・ベニ先生にご相談したく、今回ご連絡いたしました〉
ウルスラ・ミック・ベニ:「全く失礼してくれますよね、もう」
ウルスラ・ミック・ベニ:白いスーツに身を包み、余裕のある微笑み。
ウルスラ・ミック・ベニ:教育実習生としてのよそ行きフォーム。或いは背伸びモードといったところ。
ウルスラ・ミック・ベニ:「有崎先生を侮っているのが良くないと思います」
プロンプト015C:〈どの先生ならば侮って良い、というものでもないでしょう〉
プロンプト015C:〈純粋な遂行能力だけで判断するならば、例えばサマンサ・シュヴァイゲル先生など……いえ、失言でした〉
プロンプト015C:〈いずれにせよキングダムは『予測のつかない介入』を求めてはいないということです〉
プロンプト015C:〈それは能力の高低と比例するものではありませんからね〉
ウルスラ・ミック・ベニ:「これなら抑え込めると思ってるなら、見積が甘いんですよ」
ウルスラ・ミック・ベニ:「外からのこのこノヴァリスへやってきて、奪うでも利用するでもなく」
ウルスラ・ミック・ベニ:「先生なんて生き方をする人たちですもん」
ウルスラ・ミック・ベニ:「誰を呼び込んだとしても、何をしでかすものか想像つきませんよ」
プロンプト015C:〈私個人は寡聞にして、『先生』との接触はひどく少ないものですので〉
プロンプト015C:〈職員室の『先生』の総合的な評価ならば、ウルスラ先生の方の評価判断のほうが適切なのでしょう〉
プロンプト015C:〈ですが、五派先生がキングダムの予測を超える行動を取り、問題を解決できる……と仰るのであれば〉
プロンプト015C:〈一連の問題はこれで解決する、ということになります〉
プロンプト015C:〈――動かずともよろしいのですか?ウルスラ先生〉
ウルスラ・ミック・ベニ:「キングダムの情勢はそんなに大変か」
ウルスラ・ミック・ベニ:「押しも押されぬ老舗百貨店プロンプトの支配人さんが、幼気な教育実習生をどれだけ高く買ってくれてるのか」
ウルスラ・ミック・ベニ:「これもちょっと想像つかないんだよね」
ウルスラ・ミック・ベニ:「ボクに何をしでかさせる気で?」
プロンプト015C:〈仰る通り〉
プロンプト015C:〈私はウルスラ先生の行動選択を特定の方向へ誘導しようとしています〉
プロンプト015C:〈以前の襲撃事件での行動から判断し、職員室で最もキングダム介入の動機を強く持つ『先生』は〉
プロンプト015C:〈ウルスラ先生だと判断いたしました〉
ウルスラ・ミック・ベニ:「的確な分析と素直な応答~」
プロンプト015C:〈そして、キングダム連合学院の問題は、有崎先生単独での解決が難しいものだとも存じています〉
プロンプト015C:〈円卓議会の意に沿わぬ形の介入であれ、可能な限り速やかにことを収めたいのです〉
ウルスラ・ミック・ベニ:「有崎先生が弱っちくてコネも少ないのは事実ですしね」
ウルスラ・ミック・ベニ:「道を切り開く剣なり案内役は必要だ」
ウルスラ・ミック・ベニ:「でも分析するまでもなくボクは不適格じゃない?」
ウルスラ・ミック・ベニ:「ボクの熱い思いはキングダムにしっかり伝わって、強硬にお断りされてるから」
プロンプト015C:〈いいえ。むしろその一件があるからこそです〉
プロンプト015C:〈本来要請されていた以上の『先生』を派遣するのですから、通常の手段で送り込むわけには参りません〉
プロンプト015C:〈よって、有崎先生の増援となる方は『密航』の形でキングダム入りしていただくのが、最も合理的な手段であると判断しました〉
プロンプト015C:〈現在の職員室でそうしたリスクを犯す動機があり、またそのリスク自体が問題にならない『先生』に該当する方は〉
プロンプト015C:〈やはりウルスラ先生のみであると判断しております〉
ウルスラ・ミック・ベニ:「ボクとしては渡りに船だね」
ウルスラ・ミック・ベニ:「船が来なくても遅かれ早かれそうしていた訳だし」
ウルスラ・ミック・ベニ:「そういうことなら乗せられてしまおう」
プロンプト015C:〈当店は学区外商品の輸出入を頻繁に行っておりますので〉
プロンプト015C:〈露見の可能性が限りなく低い手段はご提供できます〉
プロンプト015C:〈ぜひ、この個人的な依頼に応じ、キングダムへお越しいただきたく思います〉
ウルスラ・ミック・ベニ:「招待して頂けるなら願ったり叶ったりだ」
ウルスラ・ミック・ベニ:「有難く受けさせてもらうよ。キングダムの異変を鎮めてみせる」
ウルスラ・ミック・ベニ:「貴方やボクが望む形になるとは約束できないけどね?」学区と先生は、そこで暮らす生徒のためのものなのだから。
◆[CURRENT]Opening◆オリヴィエ・クロムハーツ/竜胆ジョウカ/七十橋シスル
キングダム本校舎『白宮』

GM:"竜王"が動かした作戦によってファウセット新陸帯の攻略は成り、キングダムは『石の魔剣』をその手に取り戻した。
GM:だが、まるでそれを境としたかのように、情勢は破滅的に悪化した。
GM:まず、『天国』から帰還した何人かの生徒がいた――"学級会"の罪人として、情報の隠滅を兼ねて『天国』に廃棄されていた生徒達である。
GM:民主主義運動である"学級会"に属していた彼女達は、そもそもが反キングダムに近いスタンスを持ち、積極的な行動を取る傾向にあった。
GM:だが、『天国』への廃棄によって、彼女らは"学級会"への信頼すらも破壊された。信じ、依って立つべき組織を失っていた。
GM:――そして『天国』での地獄の恐怖の上で、虚実入り交じった情報を何者かから与えられていた。
GM:帰還した生徒の多くが、信念もなく、後先も考えることのない、破滅的な反キングダム活動に手を染めるようになった。
GM:死後もなお"学級会"が脅威として機能していたように――自らが滅びても、陰謀を爆弾のごとく時限的に炸裂させる。
GM:それが旧円卓第一席、サヴィト・カウル・シャーだった。
GM:そうした事件群に続いて、それどころではない事件があった。
GM:第一席"至上王"が、第四席"海賊王"を粛清した。
GM:彼女は、"不夜王"の前に一度だけ姿を表すと、
GM:"海賊王"を追放処分とすること、"美食王"を欠けた第四席へと昇格させること、以後自室に誰も立ち入らせないようにすることだけを指示し、
GM:今に至るまで、本校舎最上層に籠もり続けている。
GM:以来、誰も"至上王"と会話すらできていない。
GM:まずは、決死の覚悟で諌言を試みた"不夜王"が何度か死んだ。規則を破り挑んだ海賊部の生徒が多くいたが、やはり全員が死んだ。
GM:何よりそうして挑むこと自体が、真実を知る者にとっては、普段の"至上王"に挑むこととは比較にならない勇気を必要とした――
GM:今の"至上王"は、十字冠を破壊する『石の魔剣』を所有しているのだ。
GM:本当に殺してしまうことすらできる。今のところそうなっていないのは、彼女がまだその気になっていないだけだ。
GM:議会は連日招集された。解決すべき問題はひどく多い。
GM:"不夜王"は何日も欠席している。あり得ないことだった。会議に費やす労力すら総動員して、キングダム全域の問題に対処し続ける必要があるのだ。
GM:"騎士王"も、今やキングダム外部のみならず内部にすら対処する必要がある。欠席であった。
GM:"至上王"の姿は、初めからない。円卓第四席以下のみが、円卓の間に集っている。
七十橋シスル:ガン!
オーシャンズ・マウンテンヒルズ:びくぅ…
七十橋シスル:神聖なる円卓に対し、乱暴に載せた踵が、静まりかえった議会場に響き渡る。
オリヴィエ・クロムハーツ:「…………」無言で、静かに兜を向ける。
五辻モモカ:小さく嘆息するが、口は開かない。
竜胆ジョウカ:「ッ! ……」大袈裟にびくっとするが、すぐに元の姿勢に戻る。
七十橋シスル:「大した有様じゃねーか」噛み締めた歯から、灼けた鉄のように声が漏れる。「これが名にし負うキングダムの円卓議会か? おい」
オリヴィエ・クロムハーツ:「───止めないか。これ以上に波風を立てるつもりか?」
オリヴィエ・クロムハーツ:聞こえる声は掠れ果て、それでも凛と音を立てて。
七十橋シスル:「うるせえ。やっと口を効きやがって。同じ顔の銅像と入れ替わってるかと思ったぜ」
竜胆ジョウカ:無言。美食王がせめて……と提供した茶菓子をもちゃもちゃと食べている。
竜胆ジョウカ:(大変そうだなあ。えー……と、美食王。美食王さんも目上ぶらないといけなくなったわけだし)紅茶をすする。

オーシャンズ・マウンテンヒルズ:「皆様もこのような状況下で参集に応じて頂き…誠に…ご苦労様です」
七十橋シスル:「ああ、この度は大変な功績を挙げました第四席様につきましては、ご機嫌麗しゅう」
オーシャンズ・マウンテンヒルズ:(ピィ…こ、こわすぎる)
オーシャンズ・マウンテンヒルズ:大きな体が小さく縮こまるように見える。
竜胆ジョウカ:今までの"白宮"での会議ほどには緊張していない。至上王をそこまで恐れてたのかと我ながらびっくりしている。
オリヴィエ・クロムハーツ:「……必要であれば銅像にも任せたい処だ。既に、至上王に挑む輩は文字通り減った。しかし、城下に未だ混乱の芽が止むことは無い」
オリヴィエ・クロムハーツ:騎士王とは、常に入れ替わる形での出席となる。どちらかが出向かねば、混乱は抑えきれない。
七十橋シスル:「――海賊部の"残り"は拘束してる。十字冠で飛んだ奴も、発見次第、医療部に連行する」
七十橋シスル:「必要な"療養"だ。今のアイツには、誰も近づけさせるな」
竜胆ジョウカ:「で、すね……わざわざ逆鱗に触りに行く方が、よくありませんし……」
オーシャンズ・マウンテンヒルズ:茶菓子を口に詰め込んで咀嚼する。
オーシャンズ・マウンテンヒルズ:「と、とはいえ…海賊部はキングダム屈指の精鋭…」
オーシャンズ・マウンテンヒルズ:「その手管も正規手段を問わぬ無法の動き…」
オーシャンズ・マウンテンヒルズ:「簡単には…いきませんが…」
オーシャンズ・マウンテンヒルズ:大ジョッキに注がれたミルクティーを飲み干す。
オリヴィエ・クロムハーツ:「聖詠部の方に動向を探らせている。無論、其方に全員を向かわせることが出来ないのが現状ではあるけれど」
竜胆ジョウカ:「……ん、いや。今は止まってる……というか公的には止めざるを得ないかと」
竜胆ジョウカ:「海賊王の特権で動いてた部分が多いわけですから、あそこ。強いてやらせるなら運送のみくらいになる……んですかね?」
七十橋シスル:(死蔵王が会議で能動的に発言しやがった。末期だ)
オーシャンズ・マウンテンヒルズ:「問題は…彼女たちだけでは済まないかも…という点では」
オーシャンズ・マウンテンヒルズ:「挑んでも良い…という空気が…出来てしまった」
竜胆ジョウカ:「挑んでもどうにかなるものじゃないので、いいんじゃ……あ、いや」
竜胆ジョウカ:「入っちゃダメというか入れない方がいいんですっけ。そうか……」
オーシャンズ・マウンテンヒルズ:「今まででは…入ろうとする者すらいなかった…ので」
GM:『白宮』の厳重警備など、本来はしない。ウルスラ・ミック・ベニのような直接襲撃の事例自体が極めて少なかったからだ。
GM:『石の魔剣』の存在によって危険性は格段に跳ね上がっているのにも関わらず、反抗する者が増加している。
GM:その事実が示しているのは、キングダムの体制そのものの揺らぎに他ならない。
オリヴィエ・クロムハーツ:ぎ、と。兜の下の瞳が竜胆ジョウカの方を向いてから。
オリヴィエ・クロムハーツ:「……少なくともこれより先、絶対に入れてはならない」
七十橋シスル:「……最悪の場合を言ってやろうか?」
竜胆ジョウカ:「聞きます」
オーシャンズ・マウンテンヒルズ:(聞きたくない…)
七十橋シスル:「"八月革命"が、ここでもう一度起きる。俺達が理事会側で、だ」
竜胆ジョウカ:「わあ」
七十橋シスル:今のノヴァリスで、生徒の死者を出すというのはそういうことだ。
オリヴィエ・クロムハーツ:「既に、薄氷の上で踊るような状況だ」
オリヴィエ・クロムハーツ:「現状を……少なくとも維持できていると言えるのは、"気まぐれで起きていない"からに過ぎない」
竜胆ジョウカ:(ただまあ、……うん、その場合でも何とかなる……のかな……?)曖昧に頷く。
オーシャンズ・マウンテンヒルズ:「現状では…我らが王のご機嫌を伺う事も…ままならぬ有様です」
オーシャンズ・マウンテンヒルズ:(うう…何とか考えろ…オーシャンズ…)
オリヴィエ・クロムハーツ:「……状況を変える一手が必要だ」
竜胆ジョウカ:(状況を変える、か……みんなは離反とか言い出すわけにもいかないし難儀だなあ)
七十橋シスル:「進まねえ会議の象徴みてえな台詞だな、鉄騎王。定型で返してやるがな、具体案は?」
オリヴィエ・クロムハーツ:「……キングダム内部で解決できないのであれば、外部より招集をかける他ない」
オーシャンズ・マウンテンヒルズ:「リスクは大きいと思われますが…内患に対して外憂を招くが如き失策は古今の例は数多」
オーシャンズ・マウンテンヒルズ:「外部とは…どの線を?」
オリヴィエ・クロムハーツ:「幸い、今のノヴァリスにはそのような状況に対応するための組織が存在すると聞く……名は、星室庁」
オーシャンズ・マウンテンヒルズ:眉を顰める。
七十橋シスル:「……………」 眉間の皺が深まる。
オリヴィエ・クロムハーツ:「リスクが大きい、というのは違いない」
竜胆ジョウカ:「ああ、星室庁」表情は変えない。
五辻モモカ:「……」視線を円卓から鉄騎王へ向ける。
オリヴィエ・クロムハーツ:「しかし、これ以上に悪化しかねない現状と天秤に掛ける必要がある。今、此処で」
七十橋シスル:「星室庁、同窓会、進路指導室」
七十橋シスル:「超学区組織としちゃ、そのくらいか。あの鉄クズの男どもも一応そっちか?」
オーシャンズ・マウンテンヒルズ:「生徒の個人的な状況の改善や…人間関係などの解決…あるいは生徒に対する悪意への対処…そう言った問題には極めて有用ではあると思いますが…」
オーシャンズ・マウンテンヒルズ:「ここで星室庁に頼るというのは…円卓の権威を落とす事にもなりかねません」
七十橋シスル:「手段として否定はしねえ。今の俺達はそっちへの繋がりが足りてねえ。情報面じゃ孤島みてえなもんだ」
七十橋シスル:「力を借りるには、先にこっちが貸しを作ってからにするべきだったんだがな……」
オーシャンズ・マウンテンヒルズ:「確かに…こちらからの優位的状況ならば…まだ」
オーシャンズ・マウンテンヒルズ:いつの間にか置いてあるビザを丸ごと頬張る。
竜胆ジョウカ:「……えっと。個人的には招聘に賛成です」
竜胆ジョウカ:「というかまあ、状況とか精査するよりはさっさと呼んじゃうべきかと」
七十橋シスル:ピザの香ばしい香りが流れてくる。
オリヴィエ・クロムハーツ:「……死蔵王は、其方に私達よりも見識があると見える。理由を聞かせてくれ」
竜胆ジョウカ:「ええまあ。収蔵品絡みでウロウロしているので、その際に何度か」
七十橋シスル:(ウロウロしてんじゃねえよ……!!)
竜胆ジョウカ:「ですので繋がりという点では一応ゼロではないかと」
オーシャンズ・マウンテンヒルズ:(確かに状況を牽制するという点では先生という肩書は有用…)
オーシャンズ・マウンテンヒルズ:(でも…噂に聞く先生の活動は…状況をかき混ぜすぎる)
オーシャンズ・マウンテンヒルズ:(キングダムという独立を危うくしかねない)
竜胆ジョウカ:「それに……うーん」
竜胆ジョウカ:少し考えて、指を鳴らし。盗聴除けの魔術を強化する。
竜胆ジョウカ:「今から言う事は、まあ議事録には書かないで欲しいオフレコなんですけど」
竜胆ジョウカ:「今からでも繋がりを確保するのは遅くない……と思ってます」
七十橋シスル:「テメエがそこまで言うとはな……」
七十橋シスル:人間など、遺産を発動させるための別添スイッチくらいにしか思っていない(偏見)死蔵王が。
竜胆ジョウカ:「はい。我々が理事会側で転覆、はまだいいと思ってまして」
オーシャンズ・マウンテンヒルズ:(良くはないんだけど!)
オリヴィエ・クロムハーツ:(珍しく口を開くのも驚きだけれど、此処まで前面に出るとは)
オリヴィエ・クロムハーツ:(……それだけ外部と関わってきた、という事だろうか)
竜胆ジョウカ:「個人的な想定してる最悪は、至上王が血迷ってキングダム全域を焦土にしちゃう。とかそのラインになります」
竜胆ジョウカ:「まあピンピンしてた頃から出来たんですけど……今はほら」
竜胆ジョウカ:「"石の魔剣"確保しちゃったじゃないですか。なので本当に"滅亡"が有り得ます」
オーシャンズ・マウンテンヒルズ:「それでも…至上王に従うべきという考えは?」
竜胆ジョウカ:「海賊王って大概従ってた方じゃないですか?」
七十橋シスル:「従う程度でアイツを抑えられるかよ」
オリヴィエ・クロムハーツ:「…………」海賊王という言葉を聞き、少し指が動く。僅かではあるが、隠しきれぬ動揺。
オーシャンズ・マウンテンヒルズ:(あの方に…味方は居ないのか…)
竜胆ジョウカ:「ですので、そうなった場合に生徒を受け入れる先を確保すべきかと」
七十橋シスル:横目で鉄騎王を一瞬見る。「………何をするにしても、情報が要る」
七十橋シスル:「石の魔剣争奪戦じゃ、ノドスの情報は増えてねえだろ」
竜胆ジョウカ:「実際うちもそれ目的であちこちやってた部分ありますし……っと失礼」
七十橋シスル:「把握もしてねえ勢力の横入りは御免だ。そういう意味でも先生の招聘は、業腹じゃああるが妥当ではある」
オーシャンズ・マウンテンヒルズ:「…では、その中で少しでも手綱の握れる人選を試みるのは如何でしょう」
オーシャンズ・マウンテンヒルズ:「完全に自由にされてもどう転ぶかわからない」
竜胆ジョウカ:「ですね。来た先生が至上王のとこ吶喊して死んだら本当の本当に終わりですし」
オーシャンズ・マウンテンヒルズ:「最悪を回避するなら、さらに欲張って見るべきでしょう」
オーシャンズ・マウンテンヒルズ:「理事会側になるのは…嫌ですので」
竜胆ジョウカ:「んじゃそういう方向ですかね」防諜魔術を解く。
七十橋シスル:「情報だけ提供させて、あとは第四席殿のおもてなしに舌鼓でも打たせてりゃあ満足する」
七十橋シスル:「そういうヤツか」
オリヴィエ・クロムハーツ:「……ああ、致し方あるまい」
オーシャンズ・マウンテンヒルズ:パティが10枚くらいチーズと交互に挟まったバーガーを飲み込む。
オーシャンズ・マウンテンヒルズ:「では、採決を取りましょう」
オーシャンズ・マウンテンヒルズ:「先生の招聘の賛成の方は挙手を」
竜胆ジョウカ:挙手。
オリヴィエ・クロムハーツ:す、と手を挙げる。
七十橋シスル:肘を突いたまま、ひら、と片手を揺らす。
オーシャンズ・マウンテンヒルズ:自らも手を挙げる。
五辻モモカ:円卓顧問はあくまで必要とされる場合に意見を述べる役職だ。ただ、瞳を閉じたまま決定を待っている。
竜胆ジョウカ:(大変だなあ。わざわざこんな会議に……)
オーシャンズ・マウンテンヒルズ:「…顧問の御意見は?」
オリヴィエ・クロムハーツ:「何かあれば話してくれ、少しでも意見が欲しいのは変わらない」
五辻モモカ:「……円卓に対する不満、あるいは不安が広がっているのは事実だ」
五辻モモカ:静かに、トーンを抑えたまま口を開く。
五辻モモカ:「生徒全体に漫然と広がるソレを抑えるには円卓そのものの行動よりも、外部人員の招聘という分かりやすい"変化"が有効なのは正しいだろう」
五辻モモカ:「変わる──いや、変えてくれるかもしれないと思えるだけで大衆の心理には幾らか効果は見込めると考える」
五辻モモカ:事実がどうであれ、と付け足して締めくくる。
オリヴィエ・クロムハーツ:「……では、顧問含め全員賛成という処かな」
五辻モモカ:静かに頷く。
オーシャンズ・マウンテンヒルズ:「ではこの案件は不夜王にもお伝えしておきましょう」
竜胆ジョウカ:茶菓子の残りを食べつつ頷く。
七十橋シスル:「確認しとくが、テメェの勢力は担ぎ出せるのか? 法王」
五辻モモカ:「"次女達"含めて何時でも対応は可能だ。我々は不安への対処が役目であるからな」
五辻モモカ:「必要とあらば大聖堂へ要請を出してくれて構わない」
竜胆ジョウカ:「……あ、そうだ。先生呼ぶならどこが応対する感じになるんでしょう」
七十橋シスル:「ンなの、円卓から……だと面倒になるか……?」
竜胆ジョウカ:「暴走しないようそれなりに管理する必要があるので、こう……暇そうなとことか……今はないか……」
竜胆ジョウカ:「うちは鎮圧に兵力割いてないけど、それなりに殺気立ってるんで館防衛に専念させてほしいです、できれば」
オリヴィエ・クロムハーツ:「……大衆への対応を法王の次女達に回せるのであれば、此方から多少は警護に回せる」
オリヴィエ・クロムハーツ:「早速だが……頼れるかい?法王」
五辻モモカ:「承知した」
五辻モモカ:間を置かず頷く。
オーシャンズ・マウンテンヒルズ:「食料の供出は最大限に行いますので」
オーシャンズ・マウンテンヒルズ:「それもご利用ください」
オリヴィエ・クロムハーツ:「ああ、そちらについても信頼しているよ、美食王。実力は先の一件で見ているからね」
オーシャンズ・マウンテンヒルズ:「そ、そう言っていただけると…光栄です」
オーシャンズ・マウンテンヒルズ:(やさしい)
七十橋シスル:(死蔵王の言う通り、最悪のパターンは、"生徒の味方"の先生が)
七十橋シスル:(至上王の敵に回ることだ)
七十橋シスル:(距離は離してえ。かつ、こっちの意図を警戒させたくねえ………)
七十橋シスル:ふっ、と一人の女生徒の顔が思い浮かぶ。
七十橋シスル:「鴉の所はどうだ。先生の招聘先」
オーシャンズ・マウンテンヒルズ:「なるほど…」
竜胆ジョウカ:「……あ、あ~」
七十橋シスル:「あのアホウド……"鴉飼"なら、監視には十分だろ。油断もさせられる」
オリヴィエ・クロムハーツ:「確かに、監視という点であれば。あれ以上に最適な人員はいまい」
オリヴィエ・クロムハーツ:「……その、いい子なのには違いないのだけれどね」
オーシャンズ・マウンテンヒルズ:「それでも過激すぎる行動をとるタイプでもないかと」
竜胆ジョウカ:「"鴉の塔"は独立、ってことになってますしね。世間体の面でも変に取り込みを疑われませんし、ちょうど良さげではあります」
竜胆ジョウカ:「連絡でも投げておきましょうか」
七十橋シスル:「決まりだな。……医療部は前線には出さねえが、今は防衛線が不要になった。キングダム領内に詰所を作るよう伝えておく」
オリヴィエ・クロムハーツ:「頼めるかい?星室庁への連絡も、遺産管理委員会から行うよう伝えて欲しい」
竜胆ジョウカ:「では」紙に軽く議事録の写しを取り、窓を開け。
竜胆ジョウカ:「鴉飼さーん」
竜胆ジョウカ:しばらくすれば鴉が飛んでくるので結わえて送りだすという寸法だ。
竜胆ジョウカ:「あ、では私はしばらく待つので。皆さんお仕事に戻っちゃって大丈夫です」
GM:やがて、円卓の王は一人また一人と退席していく。自らの担当組織で対処すべき仕事はいくつもあった。
GM:そして、その一人。第六席"鉄騎王"は。
◆[CURRENT]Opening◆オリヴィエ・クロムハーツ
キングダム市街

GM:目的地の途中だが、本校舎からは十分に離れた。
GM:円卓の王もオリヴィエの苦痛を悟っている者が大半だろうが、それでもまだ、差し迫った状態ではないように取り繕うことはできる。
オリヴィエ・クロムハーツ:「…………」ゆっくりと、足を進める。兜は付けたまま、目の下の隈を悟らせないように。
オリヴィエ・クロムハーツ:既に何日寝ていないか、恐らく海賊王の粛清の一報が入ってからだ。
オリヴィエ・クロムハーツ:"それはさほど問題ではない"。
オリヴィエ・クロムハーツ:多忙に拠る睡眠の排除程度なら、他の王でも当然やってのけるだろう。
オリヴィエ・クロムハーツ:……一番の問題は、己を苛む聖剣の代償である。
オリヴィエ・クロムハーツ:至上王に挑む生徒たちを、幾人も留めた。
オリヴィエ・クロムハーツ:己が最も、至上王を斬らねばならないという衝動を抱えながら。
オリヴィエ・クロムハーツ:自らの指先は、既に炎に焼かれるかの如く炭化している。正義を為せぬ者に聖剣は資格なしと、身を焼く苦痛を与え続ける。
オリヴィエ・クロムハーツ:しかし、己が至上王と剣を交えるという事は何を意味するか、それもまた理解している。
オリヴィエ・クロムハーツ:それは、キングダムを焼き払う事になる可能性と紙一重なのだ。
オリヴィエ・クロムハーツ:聖剣の最大解放、都市焼きの天の火。戦うのであれば、間違いなく。
オリヴィエ・クロムハーツ:それでも、戦いに向かうのであれば、聖剣は己をそのように変えてしまうだろう。
オリヴィエ・クロムハーツ:善意も悪意も抱かぬ、ただ正義を為す機構へと自らを作り変えて。躊躇なくキングダムに太陽を落とす。
オリヴィエ・クロムハーツ:(……それは、駄目だ)
オリヴィエ・クロムハーツ:それでは、破滅が起こることに変わりはない。
オリヴィエ・クロムハーツ:結局、自分はどちらも選べないまま、こうして無様を晒し続けている。
オリヴィエ・クロムハーツ:唯一の望みとして先生の招致という賭けに出たが、それがどう動くかも未だ分からない。
オリヴィエ・クロムハーツ:……縋るような足取りで、ただ進んでいく。
GM:遺産継承者の代償は、真にその苦しみを共有できる者が少ないが故に、より苦しむ。
GM:星界正義の剣がもたらす苦しみの中にあって、キングダムに頼れる者がいるのだとすれば――
GM:彼女が向かう先の高級住宅には、昔から一人の生徒が居住している。
GM:現救伐騎士団執行部、イリーナ・レシュリスカヤ。
GM:――元聖詠部部長。先代"鉄騎王"。
レシュリスカヤ邸


イリーナ・レシュリスカヤ:「……ふ」目を閉じ、大鏡の前で、奇妙な姿勢で静止している。
イリーナ・レシュリスカヤ:「ああ、待ったオリヴィエ!あと5分で動く!」
イリーナ・レシュリスカヤ:「しかし何しろぼくの立ち姿が美しくてね……この姿勢、この角度――」
イリーナ・レシュリスカヤ:「いや、こうかな……。手をこう、頭の後ろにやるとか……」
オリヴィエ・クロムハーツ:「……ふ、ふふ」少しだけ、見えない口元で笑む。
オリヴィエ・クロムハーツ:「……ご健在で何より、です。イリーナ様。ああ……名も、昔のままで構いません」
オリヴィエ・クロムハーツ:「オリーヴと……そう、呼んで欲しいですから」兜を外し、一礼。
GM:短い銀色の髪に、緑の目。無駄のない体のライン。確かに、モデルか女優めいた美貌ではある。
怪鳥:「ギャーッ!ギャーッス!」バサバサと室内を飛び、銀髪を啄んでいる。
イリーナ・レシュリスカヤ:「はっはっは、あまりの美しさに小鳥もさえずっている……」
オリヴィエ・クロムハーツ:「いや、鳥にしては些か大きいですよ……?!」
イリーナ・レシュリスカヤ:「そんなこと言うな!確かにちょっと育ちすぎかな?と思ったんだ……」
イリーナ・レシュリスカヤ:「だけど捨てるのもかわいそうじゃないか……美しいぼくをこうして褒め称えてくれているわけだし」
怪鳥:「ギシャーッ!ジンニク!」
オリヴィエ・クロムハーツ:「……」無言で掴んで、鳥籠の中にしまう。
怪鳥:「ギャーッ!」
オリヴィエ・クロムハーツ:「ふぅ、聞かなかったことにしましょう」
オリヴィエ・クロムハーツ:いくらか、自らの口調に柔らかさが戻る。昔日を思い出し、精神が安寧する。
イリーナ・レシュリスカヤ:「……よし、ぼく鑑賞タイム終了だ。やはり昼はこれに限る」
イリーナ・レシュリスカヤ:ようやく動く。背丈は平均程度だが、オリヴィエと比べれば相当に低い。
イリーナ・レシュリスカヤ:「オリーヴ」
イリーナ・レシュリスカヤ:「籠手を外せる?」
オリヴィエ・クロムハーツ:「……はい」
オリヴィエ・クロムハーツ:籠手を外し黒ずんだ掌を顕に、目の前に差し出す。
イリーナ・レシュリスカヤ:「……よく頑張っているね」無闇に触れて傷まないよう、その手を両手で包む。
イリーナ・レシュリスカヤ:「きみが連絡もなしに訪ねてくるのは、よほどのことだ」
イリーナ・レシュリスカヤ:「普段なら来客が来てもぼくを見ながら応対してるんだけどね。さすがにそういう場合じゃなかったな」
オリヴィエ・クロムハーツ:「らしさがそのままで、此方としては安心しますが……はい」
オリヴィエ・クロムハーツ:「……昔のイリーナ様も、こうであったと聞きますから」
イリーナ・レシュリスカヤ:「こうなった星界正義は、ひどく厄介だ」
イリーナ・レシュリスカヤ:「……その理由は、オリーヴ自身も分かっているね?」
イリーナ・レシュリスカヤ:「この剣は、正義に反するものを斬れと命じる」
イリーナ・レシュリスカヤ:「だけどオリーヴ自身は、斬ることも正義だと思えていない」
イリーナ・レシュリスカヤ:「それは脱出口のない代償のデッドロックだ。斬っても、斬らずとも、負荷が蓄積し、使い手を責めさいなむ」
オリヴィエ・クロムハーツ:「……道が、見えないのです」
オリヴィエ・クロムハーツ:「あの頃はただ誰かの為に、正しさに邁進していた……そう、出来ていた筈でした」
オリヴィエ・クロムハーツ:「この剣を受け継いでからも、そのように心に決めて……ですが」
オリヴィエ・クロムハーツ:息が詰まる。何処にも行き場が無い弱音を、彼女の前でなら吐くことが出来る。
オリヴィエ・クロムハーツ:……先代の王として、自らも目標としたその雄姿を、一番の近くで見てきたから。
オリヴィエ・クロムハーツ:「……今の私は、刃の振り下ろす先が……分からない」
イリーナ・レシュリスカヤ:「そうだねえ。ぼくは美しく優しい先輩だから、そう請われたら答えてあげたくなってしまう。本当はよくないかもしれないけど」
イリーナ・レシュリスカヤ:「四つの道がある」
オリヴィエ・クロムハーツ:自らより背の低い先代を、助けを求め見上げるかのように。
オリヴィエ・クロムハーツ:「……聞かせてください」
イリーナ・レシュリスカヤ:「第一の道は、これまで星界正義を振るってきたのと同じように振るう道だ」
イリーナ・レシュリスカヤ:「オリーヴ。きみはその力で、民を脅かす脅威……兵器や巨獣を何度も滅ぼしてきたね?」
イリーナ・レシュリスカヤ:「今回に限ってそうできない理由はあるかな?ないのなら、敵が『そう』だと考えればいい」
イリーナ・レシュリスカヤ:「認識を変えることができたのなら、これまでと何一つ変わることなく、剣は応えるだろう」
オリヴィエ・クロムハーツ:「それは、できません……いえ、やりたくは、ない」
オリヴィエ・クロムハーツ:苦悶と共に、言葉を零す。
イリーナ・レシュリスカヤ:「優しい子だ」微笑み、背伸びをする。
イリーナ・レシュリスカヤ:「……」
イリーナ・レシュリスカヤ:「屈んで!」
オリヴィエ・クロムハーツ:「っ、は、はい……!」
イリーナ・レシュリスカヤ:頭を撫でる。
オリヴィエ・クロムハーツ:「……ぁ」思わず小さく縮こまってから、頭に振れる感覚に少しの間固まる。
イリーナ・レシュリスカヤ:「よしよし」
イリーナ・レシュリスカヤ:「……第二の道は、継承の放棄」
イリーナ・レシュリスカヤ:「正義を成す剣の資格を失う方法はとても簡単だ。悪を成せばいい」
イリーナ・レシュリスカヤ:「自分の考えうる限りの邪悪なことをする。他の遺産ならともかく、星界正義の剣は、それで使い手を離れてくれる」
イリーナ・レシュリスカヤ:「死の果てまで追いかけてくることのない、慈悲深い遺産と言ってもいい」
オリヴィエ・クロムハーツ:「……今、私の考えうる最大の悪、とは。キングダムの滅びそのもの」
オリヴィエ・クロムハーツ:「それを為すという事は、慈悲なく正義を為す事であり……先の道と、干渉してしまう」
オリヴィエ・クロムハーツ:「ああ、でも……すべてを投げ出して、逃げてしまえば。そうなるのかも、しれません」
イリーナ・レシュリスカヤ:「どちらを願う?」緑色の目で、正面からじっと見つめる。
イリーナ・レシュリスカヤ:どちらを答えても肯定するような、ただ、意思を問いかけるような目である。
オリヴィエ・クロムハーツ:「…………」
オリヴィエ・クロムハーツ:「……やはり、駄目です」
オリヴィエ・クロムハーツ:「私には、どうしても見て見ぬふりをする事ができない」
オリヴィエ・クロムハーツ:「……それが、オリーヴ・ウェールズであり、オリヴィエ・クロムハーツとしての生き方です」
オリヴィエ・クロムハーツ:「それを投げ出したら……生きていたとしても、其処にはきっと何も残らない」
イリーナ・レシュリスカヤ:「継承の時には言っていなかったけど」
イリーナ・レシュリスカヤ:「本当は見て見ぬふりこそ、星界正義の担い手にもっとも必要な資質かもしれない。……第三の道を教えよう」
イリーナ・レシュリスカヤ:「――第三の道は、忘却だ」
イリーナ・レシュリスカヤ:「この世界には美しいぼくでも信じられないような邪悪がはびこっていて」
イリーナ・レシュリスカヤ:「星界正義の担い手は、そんな悪の存在を知るだけで破裂してしまうかもしれないね」
イリーナ・レシュリスカヤ:「そうなっていないのはなぜか?……それは、ぼく達がそれを知らないから」
イリーナ・レシュリスカヤ:「悪行。悪徳。悪人。悪の存在そのものを忘れ去る方法を探すのは、いい手だ。キングダムにもいくつか手段はあるだろうし」
イリーナ・レシュリスカヤ:「ジェネシス辺りなら記憶処理の技術が確立してるかも。ぼくは詳しくないけどね」
オリヴィエ・クロムハーツ:「確かに……忘れてしまえば、何もかもが楽になるでしょう」
オリヴィエ・クロムハーツ:「でも、それは……今まさに悪の前に苦しむ人が居なくなる訳では、無い」
オリヴィエ・クロムハーツ:口を紡ぐ、否定、否定、否定。
オリヴィエ・クロムハーツ:分かっている、自分が袋小路に居ることも、恐らくは望んで、その形になってしまっていることも。
オリヴィエ・クロムハーツ:ならば何が正しいのか……もしかしたら、答えなんてもう無いのかもしれない、けれど。
イリーナ・レシュリスカヤ:オリヴィエの髪を撫でる。
イリーナ・レシュリスカヤ:「辛いね、オリーヴ」
イリーナ・レシュリスカヤ:「……今までぼくが示した三つの道が、実は同じことを言っているのには気付いたかい?」
イリーナ・レシュリスカヤ:「『盲目であれ』、だ。星界正義の剣はそもそもが矛盾を内包した王鍵なんだよ」
イリーナ・レシュリスカヤ:「正義を成せと主張するのに、剣の形をしている」
イリーナ・レシュリスカヤ:「斬り、滅ぼしたほうがいいものがこの世の中に存在するんだろうか?」
オリヴィエ・クロムハーツ:「それは……」
オリヴィエ・クロムハーツ:言葉が詰まる。
イリーナ・レシュリスカヤ:「矛盾を成立させるためには、どうしても、片方の目を閉じなければいけない」
イリーナ・レシュリスカヤ:「正義ではないのか、剣ではないのか。――今まで、こんなことは教えなかっただろう?」
イリーナ・レシュリスカヤ:「星界正義の剣は、それを知ってしまうと使えなくなる遺産だからだよ」
イリーナ・レシュリスカヤ:目を閉じたまま、オリヴィエの髪を撫でている。
オリヴィエ・クロムハーツ:……斬るべきを斬るものだと、これまでは確かに思っていた。
オリヴィエ・クロムハーツ:ただ、今は。その矛盾の只中で両目を開き、何もかもを見過ごせなくなっている。
イリーナ・レシュリスカヤ:「最後の、第四の道は、オリーヴにとってとても苦しい道になる」
イリーナ・レシュリスカヤ:「盲目となることなく、悪を知るということ。なぜ、その邪悪が行われているのか。その相手は何を考えているのか」
イリーナ・レシュリスカヤ:「そこに何らかの道理や必然性があるのなら、それを一つの正義と解釈できるかもしれない」
イリーナ・レシュリスカヤ:「ぼくにはできなかった。悪の前に苦しむ子達を、切り捨てる道だからね」
オリヴィエ・クロムハーツ:「……悪を、知る」
オリヴィエ・クロムハーツ:───至上の王は、一体何を思考して、何を以てそれを為したのか。
オリヴィエ・クロムハーツ:確かにそれを知り、行動に正当性が生まれるとするならば。この代償に苛まれることは無くなるのかもしれない。
オリヴィエ・クロムハーツ:……同時に、其処に何も生まれないのならば、その時は。
オリヴィエ・クロムハーツ:「…………」
オリヴィエ・クロムハーツ:「……確かに、私はその相手を強大と、理解しえぬ果てに在ると思い、知るという事をしませんでした」
オリヴィエ・クロムハーツ:斬るか、抱えて永久に苦しむか、それとも斬らぬ道を見出すか。
オリヴィエ・クロムハーツ:未だどうすればよいのか答えは出ない、だから。
オリヴィエ・クロムハーツ:「私は……知りに行こうと思います」
オリヴィエ・クロムハーツ:顔を上げて、イリーナに向き合う。
イリーナ・レシュリスカヤ:「……ごめんよ。伝えられる限りのことは伝えたつもりだけど、この苦しみばかりは、どうやっても代わってあげられない」
イリーナ・レシュリスカヤ:「どんなエフェクトでも不可能なことなんだ」
イリーナ・レシュリスカヤ:「ぼくみたいな継承はよせ、とも言えない。王の責任は、王自身のものだからね――」
オリヴィエ・クロムハーツ:「……この先に、如何なる道が残るとしても」
オリヴィエ・クロムハーツ:「それは、貴女から継承する道を選んだ私自身が、再び選ばなければいけない事です」
オリヴィエ・クロムハーツ:自らに触れる柔らかな手の感触を名残惜しみながら、立ち上がる。
イリーナ・レシュリスカヤ:「……うん」目を閉じ、頷く。
イリーナ・レシュリスカヤ:「……………………じゃない!!!オリーヴ!おかしいだろ!!」
オリヴィエ・クロムハーツ:「わっ……?!」一歩たじろいで、目を丸くする。
イリーナ・レシュリスカヤ:「今思い出したけどきみ、玄関から入ってここまで……」
イリーナ・レシュリスカヤ:「ぼくに『お美しいですね』の一言もなかったのか!?正気!?」
オリヴィエ・クロムハーツ:「……ぷ、ふふっ」
オリヴィエ・クロムハーツ:小さく笑って、膝を付く。
イリーナ・レシュリスカヤ:「こうしてポーズを取るだけで小鳥は歌い花が咲くほどの美しさなのに」
怪植物:「グジャアーッ!」
怪植物:花弁が開き、濃厚な硫酸の香りを漂わせる。
オリヴィエ・クロムハーツ:「当然の事でしたので、すっかり頭から抜けて……あ、ああっ」
オリヴィエ・クロムハーツ:慌てて消化怪液を吐き出そうとする植物の口を抑えて。
怪植物:「バーッ」
オリヴィエ・クロムハーツ:「イリーナ様。私が最も美しいと思う貴女。正しきを示し、王としての役割を終えた後も、私に道を示してくれた貴女」
オリヴィエ・クロムハーツ:「……ありがとうございます」
イリーナ・レシュリスカヤ:「……ふ。きみもぼくの次に美しくて、そして誰よりも立派だ。オリーヴ」
イリーナ・レシュリスカヤ:「願わくば、次に会う時はまた、オリヴィエと呼びたい」
イリーナ・レシュリスカヤ:「弱った"鉄騎王"を見るのは、忍びないものだ」
オリヴィエ・クロムハーツ:「はい。継いだ名に恥じぬように……胸を張って、王としての名を示せるように」
オリヴィエ・クロムハーツ:一歩踏み出したその足には、迷いは見えない。
オリヴィエ・クロムハーツ:「───行ってきます、イリーナ様」
オリヴィエ・クロムハーツ:あの頃より、少し精悍になった表情で。自らの道を探しに進む。
◆[CURRENT]Middle01◆キングダム連合学院
キングダム連合学院 キング・ジョージ駅

GM:キングダム最大の乗降者数を誇る、中層市街の只中の駅。
GM:有崎五派は、再びキングダム連合学院の地を踏んだ。

行政部生徒:「『鴉の塔』までご案内します。有崎先生」
行政部生徒:「可能な限り安全性の高いルートを通りますが、『先生』である限り絶対の安全は保証できませんので」
行政部生徒:「万一の事態には、有崎先生ご自身も警戒を怠らぬよう願います」
有崎五派:「まあまあ、大丈夫…………うん。そうね」
有崎五派:座席に座りっぱなしの身体を伸ばしながら、以前に見たキングダムの光景を思い出して苦笑いする。
有崎五派:「危険どうこう抜きにしてもキングダムって広いから……助かるわ」
有崎五派:「ありがと!」
行政部生徒:「……いえ。私共は業務を果たしているだけですので」一礼。
GM:以前、五派が接したキングダム生達はイベントに湧く、活気ある生徒達だったが
GM:今回の案内人は、キングダム全体に漂う緊張を反映しているのだろうか――礼儀正しいものの、どこかよそよそしい態度である。
有崎五派:(う~ん……予想はしてたけど中々ガードが堅そうな感じ。大歓迎って雰囲気でもないな)
有崎五派:情報だけで知っていたキングダムの情勢を肌に感じながらも、笑みは崩さない。
有崎五派:「鴉の塔ってこっから結構遠いの?何となく中心に近そうなイメージだけど……」
行政部生徒:「こちらから中央市街区を通り抜けて、まっすぐ進むことになります」
行政部生徒:「メサイアやジェネシスと違い、キングダムは整然とした都市計画が成されていますので、迷う心配はございませんよ」
有崎五派:「あはは……そりゃ安心だ」
有崎五派:「あんまり貴方に時間取らせても悪いし、いこっか」
GM:その時、駅近くのビルが爆発する!
有崎五派:「……何!?」
GM:窓ガラスが散乱!何人かの生徒が飛び出してきた。

キングダムテロ生徒:「ヒャハハ~ッ!だいぶ溜め込んでやがったぜあの社会人ども!」
キングダムテロ生徒:「この王鍵、『本物』って書いてあるぜ!本物の王鍵なんだ!」
キングダムテロ生徒:「しかも見ろ!大人だ!大人がいるぞ!」
キングダムテロ生徒:「なんてツイてる日なんだ……!職員室の大人にはいろんな組織からバカバカしいほどの金額のインセンティブがついてるぜ!」
有崎五派:「あれ……なんかヤバげ?」
行政部生徒:「……先生。今回の計画では本来、聖詠部から数名、先生の護衛に回して頂く予定でしたが……」
有崎五派:「うんうん。そりゃ心強い」
行政部生徒:「護衛計画が大幅に修正されたため、一般生徒による護衛はできなくなりました」
行政部生徒:「申し訳ありません」
有崎五派:「そっかぁ……キングダムも大変だものねぇ……え?じゃあどうする?走って逃げる?」
有崎五派:「それともまだコミュニケーションできる?あの子達」
キングダムテロ生徒:「何をゴチャゴチャ話してやがる!」
キングダムテロ生徒:「先生の賞金で活動資金をゲット!そして本物王鍵で円卓議会にも下剋上だァ~ッ!」
キングダムテロ生徒:爆弾と鉤爪を組み合わせた恐るべき武器を両手に飛びかかるテロ生徒!
有崎五派:「夢がおっきいのは良いけど暴力はNGぃ~~!」
有崎五派:両手で頭を庇う無意味な防御動作!
オリヴィエ・クロムハーツ:「───下剋上とは、見上げた志だね」
キングダムテロ生徒:「へっへっへ、そうだろ!」
キングダムテロ生徒:笑顔で振り返る。
オリヴィエ・クロムハーツ:光芒、一閃。
オリヴィエ・クロムハーツ:軽く一太刀で彼女らの爆弾を弾き飛ばし、鈎爪を両断する。
キングダムテロ生徒:「ギャアアアアア――ァァァッ!!!」
キングダムテロ生徒:「な……なんだぁっ」
キングダムテロ生徒:「爆弾鉤爪のミッキーが、たった一撃で!」
オリヴィエ・クロムハーツ:「襲撃、強盗……うん、既に見過ごせない一線は越えているかな」
オリヴィエ・クロムハーツ:「だから───何か、言い残すことはあるかい?」
オリヴィエ・クロムハーツ:鎧込みで2mを越える巨体が、真白き剣を構えテロ生徒たちを静かに見下ろしている。
キングダムテロ生徒:「ふざけやがってこのクレイジー野郎……全身甲冑で、剣からビームが出て……鉄騎王みたいなコスプレしやがって!」
キングダムテロ生徒:「ブッ飛ばされて後悔しなァ――ッ!!」
キングダムテロ生徒:『本物』と書かれているふつうの巨大棍棒で殴りかかる!
七十橋シスル:その生徒が、横から走った黒い刑棘の群れに飲み込まれる。
キングダムテロ生徒:「ギャアアアアァァ―――ッッッ!!!!」
有崎五派:「何ッ!次は何ッ!?」
七十橋シスル:「――あァ! どうしたァ?」 音高く足音を鳴らして、横から近づいてくる。
七十橋シスル:背面には黒い茨を吐き出し続ける糸繰り車の遺産。
七十橋シスル:「王鍵が欲しかったんだろ? 王になりてェんだろ? 選べよ! 光に焼かれるか! 影に抉られるかをなァ!」
七十橋シスル:暴れ回る生徒達を片っ端から捉え、暴れるほど食い込む茨で締め上げて黙らせていく。
キングダムテロ生徒:「ウギャーッ!」「ウギャーッ!」「ウギャーッ!」「ウギャーッ!」
キングダムテロ生徒:テロ生徒達は全員戦闘不能!!
七十橋シスル:「こんだけ中央部でこの有様かよ。目も当てられねェ」
オリヴィエ・クロムハーツ:その様子を確認してから、振り返り。
オリヴィエ・クロムハーツ:「治安も何もあったものではない、か」刃を納め、その傍に寄る。
オリヴィエ・クロムハーツ:「……失礼、合流が遅れました。星室庁からいらした先生で間違いありませんね?」
有崎五派:「……………………」
有崎五派:「あっはい!そう!そうです!」
有崎五派:茫然とその光景を見ていたが、その声に背筋を正す。
行政部生徒:「……。……ご覧になった通り、有崎先生の護衛は万全を期して」
行政部生徒:冷静な行政部生徒も、内心の緊張を隠せないようである。
行政部生徒:「円卓議会から二名。鉄騎王様、拷問王様がご担当されます」
有崎五派:「鉄騎王に拷問王……オリヴィエちゃんとシスルちゃんか。いや~……びっくりした」
有崎五派:二人を交互に見やり、笑顔を浮かべる。
オリヴィエ・クロムハーツ:「怪我などは……されていないようですね、良かった」
七十橋シスル:背面の糸繰り車が薄れて消える。何もかもに苛立つような視線が、先生を睨み付ける。
七十橋シスル:ヒールを合わせて、視線はほぼ同じ程度。「お前が"星室庁"の?」
有崎五派:「ん……いや……まあ、そういう事になるのか。職員室所属の有崎五派です!」
有崎五派:「五派でも有崎でも良いけど……最近のトレンドはごはせんかな?好きに呼んでね」
オリヴィエ・クロムハーツ:「ごはせん……?」
有崎五派:「お陰様でこの通り無事に到着しました!」
七十橋シスル:「どうも、遠路からはるばるお越し下さいました。"先生"どの」
七十橋シスル:未だにその存在に懐疑的なのが丸わかりの呼び方である。
有崎五派:「そりゃ呼ばれれば当然ね。"先生"だし」気にした様子もなく笑顔で応じる
オリヴィエ・クロムハーツ:やれやれ、と一息ついてから。
オリヴィエ・クロムハーツ:「是より先に貴女へ加わる被害、その余さずを我らが排除すると誓いましょう」
有崎五派:「……おお」その様子をまじまじと見つめる
オリヴィエ・クロムハーツ:「……行政部の君も此処までの案内ご苦労様。ここから先、荒事は安心して任せて欲しい」
行政部生徒:「鉄騎王様のお手を煩わせてしまい、恐縮の至りです」丁寧に一礼。
有崎五派:(強烈な個性を感じる……円卓ともなればビジュアルから一流ってワケね……)
七十橋シスル:「俺らがいることが分かって突っ込んでくるヤツは、"今の"キングダムには一人もいねえ」
七十橋シスル:「さっさと行くぞ」
有崎五派:「あ……うん。でも無茶は駄目よ!怪我はしないでね!」
有崎五派:キャリーケースのハンドルを上げて頷く。
キングダム王鍵管理施設 鴉の塔

GM:鴉の塔前は、救伐騎士団や聖詠部によって、平時以上の厳戒態勢が敷かれている。
GM:『先生』の受け入れ施設として、この鴉の塔が指定されているからだ。万が一にも、不穏分子の待ち伏せなどがあってはならない。
GM:応対がキングダム本校舎ではなく鴉の塔で行われることは、一見して不自然な話ではある。
GM:だが、今のキングダム本校舎に『先生』を近づけるわけにはいかなかった。その上層に棲む"至上王"が現在、予測不能の脅威と化している。
GM:『先生』の派遣要望を出した主体が遺産管理委員会であり、その拠点施設であることから、キングダムは鴉の塔を受け入れ施設とする名目を立てていた。
救伐騎士団:「鉄騎王様。拷問王様。ようこそいらっしゃいました」
救伐騎士団:「有崎五派先生も、ご機嫌麗しゅう。どうぞお入りください」
遺産管理委員会生徒:「お荷物お持ちいたしますね」遺産管理委員会の胸章付きの制服と、見覚えのない顔。

有崎五派:「えっいいの?結構重いから気を付けてね?」
有崎五派:遺産管理委員会の生徒へキャリーケースを預ける。
遺産管理委員会生徒:「いえいえ。こちらに元老――委員長の天沼がおりますのでご案内いたします」
遺産管理委員会生徒:ズシという効果音のそれをしれっと持ち、先導する。
七十橋シスル:「さっき隣の通りでアホが20名ほど暴れてた」
オリヴィエ・クロムハーツ:「此方の警備の状況はどうなっているかな」
救伐騎士団:「警備は万全です。ネズミ一匹通しません」
七十橋シスル:「そりゃ結構。……………で」
七十橋シスル:鞄を持つ案内役の生徒の隣に、足早に並ぶ。
遺産管理委員会生徒:「お部屋はこちらの――どうなさいましたか、拷問王さま?」
七十橋シスル:「鳥肌立つコト言ってんじゃねえぞ。何やってんだ? あァ?」
七十橋シスル:「テメェの持ち場所はここだったか? 死蔵王」
遺産管理委員会生徒?:「げェ」
オリヴィエ・クロムハーツ:「……やれやれ、少し戯れが過ぎるんじゃないかな」
有崎五派:「えっ」荷物を預けた生徒を二度見
オリヴィエ・クロムハーツ:対応は拷問王に任せ、先生のエスコートに回っている。
オリヴィエ・クロムハーツ:「我等の同輩です。円卓議会第五席、死蔵王」
遺産管理委員会生徒?:「……古典魔術はともかく、なんで鉄騎王にもバレてんですかね……ちょっと術式見直さないとな……」
遺産管理委員会生徒?:パキン、という音が鳴り、見かけの身長が頭ふたつぶんくらい縮む。
遺産管理委員会生徒?:下から出てきたのは、雰囲気は同じものの細部はかなり違う顔。
七十橋シスル:「こんな事態の中で、呪術迷彩かけてる平部員がいてたまるか」
オリヴィエ・クロムハーツ:「厳戒態勢なんだから、少しの違和感もあったら気付いてしまうものだよ」
竜胆ジョウカ:「あー、呪術迷彩の存在ごと消さないといけない……失念してました」
竜胆ジョウカ:「んで、えー…………先生。お初にお目にかかります、死蔵王を拝命してます竜胆ジョウカです」
オリヴィエ・クロムハーツ:一歩引いて、先生と死蔵王の間に道を開ける。
有崎五派:「わお……ジョウカちゃんね……初めまして……ほんとに大丈夫?重いなら私自分で持つからね」
有崎五派:自分よりも一回り以上小さな背丈を見て混乱と共に挨拶を返す。
竜胆ジョウカ:「あっご心配なく……」先生に。
七十橋シスル:「どうせ遺産狂いのテメェのことだ。この機会に鴉の塔に入ろう、ついでに厳戒態勢を言い訳に中を自由に見回ろうって魂胆だろ」
竜胆ジョウカ:「そ、そんなことないですよ。警備に決まってるじゃあないですか」だが拷問王の指摘は図星である。
オリヴィエ・クロムハーツ:「……分かりやすい表情をするね、本当に」
竜胆ジョウカ:「ヒーッ」
有崎五派:(この子が……ウルスラちゃんの話にも出てた死蔵王?ほんとに?)
オリヴィエ・クロムハーツ:「それで、君が抜けて現在博物館の方はどうなっているかな、死蔵王」
竜胆ジョウカ:「あ、それは副官さんが詰めてるので大丈夫です。防衛システムもアップデートしましたし……」
七十橋シスル:「計算外の要素を増やすなっつの。……まあ良い、急ぐぞ」
七十橋シスル:さっさと建物の中に入りたい。閉まってしまえば、よっぽどでなければ邪魔は入らない。
オリヴィエ・クロムハーツ:「そちらの防衛戦力が足りていると言うなら……そうだね。共に護衛についても構うまい」
有崎五派:「そうね……あんまり立ち話してると警備の子にも悪いし」拷問王の言葉に頷く
竜胆ジョウカ:(……まあヨシ!)そういう顔。
竜胆ジョウカ:「で、ではこちらです。一応案内する先はちゃんと把握したうえで来てますので」
オリヴィエ・クロムハーツ:「それでは、改めて参りましょう、先生」
有崎五派:(チギリちゃん元気かな~?)ワクワクした足取りで先へと進む
GM:そうして、予想外の人員を加えた上で、有崎五派達は鴉の塔へと踏み込んでいく。
GM:だが、そこで待ち受けていたものは
GM:一行の想像を超える光景だった……!

”元老”天沼チギリ:「こちらの茶菓子などはいかがですか?」
”元老”天沼チギリ:「ウルスラ様好みだと思いますが。」
ウルスラ・ミック・ベニ:「わ、綺麗~食べるのがちょっと勿体ないかも」
”元老”天沼チギリ:「ショコラショコランから取り寄せたものでございます。」
”元老”天沼チギリ:「洋菓子だけでなく和菓子に精通した生徒もいるとのことで…」
”元老”天沼チギリ:「抹茶と調和する甘さですね。」
”鴉飼”アメリア・シュミット:「アンコ……豆からこんなに甘いペーストが作れるなんて、私も初めて食べた時はおどろきましたわ」
ウルスラ・ミック・ベニ:「芸術品みたいに繊細だ。確かにこの丸っこさは六壬っぽいかも」
ウルスラ・ミック・ベニ:「あ、これお土産。お茶に合うかは分からないけど良かったら食べて」
ウルスラ・ミック・ベニ:紙袋の中からガサガサとコネ(ムセイオンで有名なお菓子)を取り出す。
”元老”天沼チギリ:「おや…これはコネでございますね。」
”元老”天沼チギリ:「塩味で落ち着いた風味…。甘いものが多かったので助かります。」
”鴉飼”アメリア・シュミット:「コネ……実物を見るのは初めてです」
ウルスラ・ミック・ベニ:「チギリちゃんたちはあんまりここを離れられないだろうし、喜んでくれるかなーって」
七十橋シスル:「………………………………」口を開けて固まっている。
”元老”天沼チギリ:「ところで、」
”元老”天沼チギリ:「あなた方もどうですか?お茶。」
竜胆ジョウカ:「やった~、ありがとうございます」
ウルスラ・ミック・ベニ:「ちょっと買い過ぎたと思ってたけど、ちょうどよかったね」
有崎五派:「ウルルルル……ル……!?」わなわなとウルスラを指差して震えている
オリヴィエ・クロムハーツ:「…………」
竜胆ジョウカ:「"勇者の徴"もちゃんと維持されてるようで何より……えー……まあいいや、お久しぶりです」
ウルスラ・ミック・ベニ:「先日はどうも、お陰様でこのとおりですよ」死蔵王にコネを手渡し。
”鴉飼”アメリア・シュミット:「さすが、お顔が広いのですね!」
オリヴィエ・クロムハーツ:「……公的には、君を確保しなければいけない立場なのだけれど」
オリヴィエ・クロムハーツ:「元老、何か思惑が?」兜の中で、溜息が反響する。
”元老”天沼チギリ:「ウルスラ・ミック・ベニは”教育実習生”です。」
”元老”天沼チギリ:「星室庁に助力を求めたら、”先生”が来るのは道理でしょう?」
オリヴィエ・クロムハーツ:「指名手配犯ではなく、一介の教育実習生として招致したと?」
有崎五派:「モノは言いようね……心臓止まるかと思った……」
竜胆ジョウカ:「あっ、ありがとうございます……」はむはむ。しれっと座ってる。
”元老”天沼チギリ:「必要な人材だと、私は確信しています。」
オリヴィエ・クロムハーツ:兜の内の眼光が、元老を鋭く見やる。
ウルスラ・ミック・ベニ:《万能器具》で人数分の椅子と茶器を揃え、慣れた様子で給仕を終える。
七十橋シスル:「顔見知りか」 有崎先生に、感情のない音で問いかける。
有崎五派:「あっそう!頼りになる同僚よ。やんちゃだけどね」拷問王の言葉に頷く
”元老”天沼チギリ:「この中で、」
”元老”天沼チギリ:「至上王に最も近づけた人間のうちの一人ですよ。」
”元老”天沼チギリ:「ウルスラ様は。」
七十橋シスル:「ああ、そうかよ」
七十橋シスル:チギリに対してであり、有崎に対しての回答だった。
七十橋シスル:「アイツがかつてキングダム外周から攻め込んで、至上王まで襲いかかった危険人物だってのも知ってるのか?」
オリヴィエ・クロムハーツ:そうして、ウルスラの方に続いて。
オリヴィエ・クロムハーツ:「……ウルスラ、君も分かっている筈だろう。それとも勝算あっての事かい?前回とは違って」
ウルスラ・ミック・ベニ:「前回と同じだよオリヴィエちゃん。勝ちにも戦いにも来てはいないさ」
ウルスラ・ミック・ベニ:「やらねばならないことがあり、その機会を幸運にも手にした。必要ならばするだけの事さ」
ウルスラ・ミック・ベニ:「今日はキングダムの異変とその原因を突き止めて、解決しに来ただけだよ」
”元老”天沼チギリ:「ええ。今の至上王との交戦は下策です。」
”元老”天沼チギリ:「それは円卓議会でも結論が出たのでは?」
七十橋シスル:「よく言いやがる。あの事件の日、誰かしら内部で手引きした奴がいることは予想がついてた」
七十橋シスル:「そいつが遺産を取り戻した以上、そこには八割方テメェらの手があるだろうってこともな。それを、非常事態だからと堂々と開き直りやがって」
GM:有崎五派より一足早く密航を果たしたウルスラ・ミック・ベニは、現在のキングダムの混乱をようやく把握することができた。
GM:密航手段は単純で、遺産管理委員会に納入される備品コンテナの中に潜み、プロンプトと遺産管理委員会によるチェックを素通りしただけである。
GM:単純だが、妨害される可能性の極めて少ない、確実なルート。だがこのルートにはリスクもあった。
GM:これを用いることは即ち、遺産管理委員会が今度こそ明確な意志を持って、ウルスラ・ミック・ベニを再びキングダムの内へと引き入れたことを意味する。
”鴉飼”アメリア・シュミット:「け、け、結果オーライ……そんな諺もございますよ?」
”元老”天沼チギリ:「…………」茶碗を口に付けて傾ける
七十橋シスル:「……だったら結果を出せ」揃えられた椅子には少しも近づかない。
”元老”天沼チギリ:「結果を出せなければ」
”元老”天沼チギリ:「キングダムは滅びます。」
竜胆ジョウカ:(こわ~……)茶を啜る。
七十橋シスル:「知ってる」壁際の書棚に背を預ける。「だからだ。今さらお前らを個別に処断なんざ、やってる暇がない」
オリヴィエ・クロムハーツ:「…………ああ、何方にせよ、ここで遺産管理委員会と刃を構えられない」
”鴉飼”アメリア・シュミット:「そう、キングダムのため、共に……」死蔵王の頭を撫でている
有崎五派:「じゃあ、ひとまずは皆でチームって事で……イイのよね?」
七十橋シスル:「生憎、この場で気にすんのは鉄騎王と俺だけだ。多数決じゃ負ける」
オリヴィエ・クロムハーツ:「今のキングダムは、一歩すらも踏み外せないのが現状だ。元老がそれを最善の一手と判断したのならば」
オリヴィエ・クロムハーツ:「……見過ごそう、今だけは」先代の言葉を反芻しながら席へと付く。虐げられる者は、此処には居ない。
有崎五派:「良かった~~!こんなトコで喧嘩始まったらどうしようかと……あっ美味しそう」胸を撫でおろして同じく席に着く
ウルスラ・ミック・ベニ:「ありがとう。頼もしい味方が3人も出来て何よりだよ」
ウルスラ・ミック・ベニ:「ごはせんはびっくりさせちゃってごめんよ~」両手を合わせて謝りポーズ。
有崎五派:「ほんとよ!結果は良かったけど~!一言連絡くらいくれてもいいのに」
有崎五派:茶菓子を摘まみ、冗談めかして肩をいからせる。
有崎五派:「まあ……正直ほっとしてる。びっくりさせられた分、頼りにするからね」
ウルスラ・ミック・ベニ:「それは良かった。じゃあ有崎先生に現状を知ってもらおうか」
有崎五派:「ん……はいはい」ポーチからメモ帳を取り出す
”元老”天沼チギリ:す、と席を立つ。
”元老”天沼チギリ:「先生に現状を知っていただくと共に、見ていただきたいものがございます。」
”元老”天沼チギリ:「皆さんにも。…………こちらへ。」
竜胆ジョウカ:「?」
有崎五派:「ん……」
”元老”天沼チギリ:茶室に生けた花を抜くと、畳がスライドして地下への階段が現れる。
七十橋シスル:「ニンジャ屋敷かよ。趣味か?」
有崎五派:「かっくい~!」テンション高め
”元老”天沼チギリ:「ええ。……というのは冗談で、」
”元老”天沼チギリ:「隠すべきものなので。」
オリヴィエ・クロムハーツ:「畳というのは盾に使えるとも聞いたけど、階段を隠すにはちょうどいい大きさだね」
”元老”天沼チギリ:「見ていただくものは───」
”元老”天沼チギリ:「"ロードマスター"の記録。」
七十橋シスル:「!」
”元老”天沼チギリ:「”鴉の塔”を巣とした昔の主です。」
竜胆ジョウカ:「……」
オリヴィエ・クロムハーツ:「……確かに、残っていてもおかしくはない」
オリヴィエ・クロムハーツ:「ならば何故今、というのは……」ちら、と。先生の方を見る。
有崎五派:「キングダムの……ん?」鉄騎王へ視線を返す
ウルスラ・ミック・ベニ:「前に来た時もログを覗き見たんだけど、その時は不明瞭でね」
ウルスラ・ミック・ベニ:「権限が足りなかったんだ」
オリヴィエ・クロムハーツ:「先生達はノヴァリスへの、所謂特権のようなものを持つと聞いています」
”元老”天沼チギリ:「理事会の権限が無ければログの復旧は難しい。」
”元老”天沼チギリ:「先生方の持つ新星白書特権はそれに近似した権限です。」
”鴉飼”アメリア・シュミット:「先生の、『開け~ゴマ!』の言葉が、必要なのです」
”元老”天沼チギリ:「アメリアは上手く表現してくれますね。」頭をなでなで
有崎五派:「新星白書……」
有崎五派:ポーチから取り出した端末を見ながら、頷く。
竜胆ジョウカ:「そういえばそんな話ありましたねえ」
有崎五派:「成程ね。そーいう事なら……力になれる」
七十橋シスル:「そんなもん抱えてやがったのか」
有崎五派:「先生なら全員が使えるものよ」
ウルスラ・ミック・ベニ:「ノヴァリスのあちこちで理事会遺構の調査が進んでた理由の一つだね」
ウルスラ・ミック・ベニ:「キングダムにはあんまり先生来れなかったから……」
七十橋シスル:「フン……だが、先に言っておく」
七十橋シスル:「キングダムは、"先生"の助けは必要とはしてねえ」
七十橋シスル:「俺らがお前……たちを呼んだのは。外部の立ち位置でなけりゃ得られない情報が必要だっただけ」
七十橋シスル:「お前らはこっちの要求に対して、報酬を提示すればそれで良い。キングダムの問題は、キングダムで解決する」
オリヴィエ・クロムハーツ:「…………ああ、そうだね」首肯する訳ではないが、小さく同意を返して。
有崎五派:「私は"キングダム"じゃなくてあんたらを助けに来たんだから、そういう釘は刺さなくていーの」
有崎五派:「キングダムはあんた達が助けて、あんた達は私が助ける。報酬とかは……まあ、職員室の方に投げる事になりそうだけど……」
オリヴィエ・クロムハーツ:「その特権に関しては、今は……ウルスラも使えるのかい?」
ウルスラ・ミック・ベニ:「ボクのことも勘定に入れてくれるの嬉しいな。ありがとうね」
ウルスラ・ミック・ベニ:「ううん、本物の先生ほど教育実習生の権限は強くないんだ。基本的にはね」
七十橋シスル:「ああそうだな。俺は安心してるよ」
七十橋シスル:「遺産管理委員会が、先生ですってツラしてお前(ウルスラ)だけ呼んでたらと思うと、背筋が震える」
”元老”天沼チギリ:「拷問王にも恐ろしいものはあるのですね。」微笑を湛える
ウルスラ・ミック・ベニ:「その時はボクが他の先生を連れてきたから大丈夫さ」
ウルスラ・ミック・ベニ:「その時はきっとごはせんを選んだだろうね」
有崎五派:「嬉しい事言ってくれるじゃない!この~」照れ臭そうに微笑む
オリヴィエ・クロムハーツ:「結果はどうあれ変わらないらしい」
七十橋シスル:唇をへし曲げている。
竜胆ジョウカ:「元気ですねえ」
オリヴィエ・クロムハーツ:仲良くする有崎とウルスラを、外からは確認できないが、どこか安堵する表情で眺める。
七十橋シスル:「先代ロードマスターか。俺はそこまで絡んだ相手じゃねえ。人を、王の才能でしか見ない気色悪い野郎だったが……」
七十橋シスル:「お前らは期待されてた側か? 鉄騎王と死蔵王」
竜胆ジョウカ:「あんまり私も知らないですね……王鍵入手が革命後ですので」
竜胆ジョウカ:「それまでは一般生徒でしたから」
オリヴィエ・クロムハーツ:「私は……先代から革命の折にこの王鍵を継承したから、関りとして深いものは無いよ」
七十橋シスル:「参考にならねえな。それこそ革命前から密に接してたのは、不夜王くらいか?」
”鴉飼”アメリア・シュミット:「……好きだという方は、そう多くはないかと存じます」目を伏せて言う
七十橋シスル:「あァ?」 意外な人物から意外な評が出てきた。
GM:円卓を初めとした王候補者を除き、一般生徒が、"ロードマスター"と直接的な接触をすることは少なかった。
GM:たとえ彼が道端でゴミ掃除をしている姿を見かけたとしても、自ら話しかける生徒はいなかっただろう。
GM:まるで不吉なもののように忌避されていた。"ロードマスター"が一般生徒に接する時とは、その生徒を王の育成に『有害』と見做した時であり
GM:そうした生徒は、様々な形でキングダムから消えた。『鴉の塔』内に監禁され、『目』として使われるようになった者もいる。
”鴉飼”アメリア・シュミット:「確かに私の力は……”ロードマスター”のもとで高められた物です」
”鴉飼”アメリア・シュミット:「でもそれを恩義に感じることは、これからも無いと、そう思います」普段の穏やかな語り口の中に、陰りが混じる
GM:アメリア・シュミットの鴉。アストラ・アクアティカの監視カメラ。キングダムのありとあらゆる場所に"ロードマスター"の『目』は行き届いていた。
オリヴィエ・クロムハーツ:「……辛い過去を思い出すのならば、同席を避けるのも手だよ」
竜胆ジョウカ:「……あー。そういえばそんな話もありましたね」
竜胆ジョウカ:「誰を使ってるにしてもどのみち理事会がなんかやってる点は変わらないので、あんまり気にしてませんでしたが」
七十橋シスル:「少しは気にしろよテメェはよ……」
有崎五派:(どいつもこいつも理事会ってのは……ほんっと)顔を顰めながら話を聞いている
オリヴィエ・クロムハーツ:「だから、君自身で決めるといい。今再び、過去を見返すかどうかを」
”鴉飼”アメリア・シュミット:「……いえ、今の私は”鴉飼”。すべてを知ることが、役目ですから」
”鴉飼”アメリア・シュミット:「参りましょう、共に」
”元老”天沼チギリ:「…………では」
”元老”天沼チギリ:「そろそろ参りましょうか。」
”元老”天沼チギリ:「足元、お気を付けて。」
GM:"ロードマスター"の遺した記録は膨大だった。
GM:しかもそれらのストレージには理事会権限のロックがかかっている。非実用的な形態で『鴉の塔』内に保管された記録。
GM:理事会として必要な情報の記録ではなく、日記に近い。ノヴァリス計画に伴う自身の感情や思考を、重要度に関わらず遺している。
GM:だが、その中でも、ルキア・ティベリアに関するものと思われる記録は特に厳重であった。そうする必要性を感じていたのだろうか?
GM:ともあれ、その記録が閲覧可能になるまでの時間で、他のいくつかの記録をサルベージすることはできた。
GM:最も古い記録は、さほど時間もかからず閲覧可能な状態になる。
"ロードマスター":〈……旧世界の記録を残す〉
GM:無数の器具が無秩序に組み合わされたかのような、真鍮の異形。
GM:掠れた声は、金属が鳴るような響きだった。人間の声帯すら失っていた。
GM:それが、"ロードマスター"。

"ロードマスター":〈以後……私の名は、FHマスターエージェント、"ロードマスター"となる〉
"ロードマスター":〈その名をもって、私はこのノヴァリス計画へと参画する〉
"ロードマスター":映像記録である。背景は、この『鴉の塔』だ。一つとして備品はなく、今は塔を埋め尽くすように収蔵されている遺産も、まだない。
"ロードマスター":"ロードマスター"は、ノヴァリス計画にまつわるいくつかの情報を語る。
"ロードマスター":リエゾンロード"イデア"の発案によるものであること。最先端のレネゲイド研究とともに、新世代のオーヴァードを育成する学園都市構想であること。
"ロードマスター":〈……この計画にあたり、私は――いいや。私の組織は、所有する遺産の多くをFHへと供与した〉
"ロードマスター":〈恥ずべきことだ〉
"ロードマスター":〈だが、新たな王が同じ過ちを犯すことのないように、旧き者達の堕落についても、詳らかに語らなければならない〉
"ロードマスター":〈大航海時代に端を発し、欧州を拠点とした、遺産を収容管理する秘密結社が存在した〉
"ロードマスター":〈……力や利益のみを目的に、そのような活動を成せたはずはない〉
"ロードマスター":〈私の前の世代も。その前の世代も。絶大な力をもって人を脅かす遺産と、遺産継承者を前に、立ち向かった者達の結社だ〉
"ロードマスター":〈名を、金獅子騎士団という〉
"ロードマスター":〈……だが、もはや、騎士団を率いる四つの一族は堕落の極地に至った〉
"ロードマスター":〈多くの団員が命を賭し、収容してきた遺産を、まるで金塊や宝石の如く、FHへと売り渡した〉
"ロードマスター":〈没落していた家を復興し、退廃の限りを尽くせるほどの資金。リエゾンロードの席。彼らは、素晴らしい取引だったと考えているのだろう〉
"ロードマスター":〈そのような一族のために、私は戦い、遺産を集めさせられていた。人の体すら失った〉
"ロードマスター":〈堕落だ。低俗な価値に目が曇った老人。責任の重圧に耐えられぬ子供〉
"ロードマスター":〈――私は、仕えるべき主を間違えた〉
"ロードマスター":〈王の才覚を持つものを探さなければならない〉
"ロードマスター":〈この新生の庭であれば、この世界を預けられるような王が、いつか生まれるものと信じる〉
"ロードマスター":〈その一人の王の誕生を見届けるためならば。私は再び人生を捧げることができる〉
"ロードマスター":〈三年の時間をかけ、この都市の基礎を作り上げる。いずれ正しき王の候補者達が、このノヴァリスに降り立つだろう〉
"ロードマスター":〈王を育成する学園の名を〉
"ロードマスター":〈キングダム連合学院とする〉
GM:最初の記録は終了する。
有崎五派:「終わった……何が何だか……」
”元老”天沼チギリ:「王を育成する学園、ですか。」
オリヴィエ・クロムハーツ:「これは……ノヴァリス成立より前からの……」
”鴉飼”アメリア・シュミット:「ううっ……終わりましたか……?」”ロードマスター”の姿が出た時から、鉄騎王の後ろに隠れて聞いていた
オリヴィエ・クロムハーツ:「よしよし、気分は悪くなっていないかい?」
オリヴィエ・クロムハーツ:頭を軽く撫でてやり、皆へと向き直る。
”鴉飼”アメリア・シュミット:「うぅ~、なんとか……」
ウルスラ・ミック・ベニ:「大丈夫だよ~もう映ってないよ~」一緒になでなで。
有崎五派:(可愛い……)
七十橋シスル:「金獅子騎士団、ね…………知ってるか?」死蔵王に問いかける。
竜胆ジョウカ:「そういう組織がある、というのは。とはいえ文献自体が秘密組織らしくあまりなく」
竜胆ジョウカ:「いずれ触ってみたいな、とは思っていたくらいですが……こんな感じだったんですね……」
竜胆ジョウカ:そういえば良い感じに持ち上げてる史料もあったけど、金獅子騎士団そのものから流れ込んだものだったのかな……みたいなことを考えてます
ウルスラ・ミック・ベニ:「たしかボクの実家と接触したことがあったっけな」
ウルスラ・ミック・ベニ:「遺産を古くから集めてる連中だ。その運用技術、知識なんかも含めてFHに売り込んだらしい」
オリヴィエ・クロムハーツ:「……リエゾンロードの席を得るために、その何もかもを売り渡した」
有崎五派:「この"ロードマスター"はソレが気に入らなかったってわけね……」
七十橋シスル:「没落したオールドの末裔としちゃ……ま、マシな方かもしれねえな」
七十橋シスル:「売るモノがまだあったんだからよ」
オリヴィエ・クロムハーツ:(低俗な価値に目が曇った老人……そして、責任の重圧に耐えられぬ子供)
オリヴィエ・クロムハーツ:(……私は、後者か)
竜胆ジョウカ:「とはいえ"研究機関"に諸々提供してくれたんだから、思想はどうあれ良い方ではあるかと……っと」
七十橋シスル:「だが、今の状況に役立つ話じゃあねえな」
ウルスラ・ミック・ベニ:「見限った"旧世界"の話じゃあねえ」
有崎五派:「そうねぇ……あまりにも前の話過ぎて……ん」
七十橋シスル:「ロードマスターが求める"理想の王"はなんだ? 遺産を決して外に出さず収集する奴か?」
オリヴィエ・クロムハーツ:「……彼の理想としたたった一人の王」それが、至上の王なのか。此処まででは分からない。
七十橋シスル:「それじゃあ死蔵王が理想の王ってことになる」
七十橋シスル:笑いながら親指で下を示す
”元老”天沼チギリ:「もう少し記録を先に進めましょう。」
”元老”天沼チギリ:「その辺りの答えも出てくるかもしれません。」
ウルスラ・ミック・ベニ:「新世界を求める彼が、キングダムで何をしたか」
ウルスラ・ミック・ベニ:「お願いします、ごはせん」
竜胆ジョウカ:(ゴハ……?)
”元老”天沼チギリ:「ええ、お願いしますね。」
オリヴィエ・クロムハーツ:「……進めよう。先生、針を先へ」
”鴉飼”アメリア・シュミット:「お願いします……ゴハセン先生!」
有崎五派:「……ん!」
有崎五派:頷いて端末にインストールされたアプリケーションを再び立ち上げる。
ウルスラ・ミック・ベニ:アメリアちゃんの目元を隠しつつ、画面に目を向ける。
GM:一行は順を追って、いくつかの記録を閲覧した。
GM:多くはとりとめのない記録である。重要性の低い記録や、既知の記録も存在した。
GM:一方で、直視に耐えないような、戦闘や実験、そして死の記録もあった。
GM:"ロードマスター"は全ての仕事を、外見の通り機械じみて、淡々と、真面目にこなした。
GM:記録内時間で三年が経ち、生徒の映像が映りはじめるようになった。
GM:この時点で"ロードマスター"は『理事会』の管理メンバーとしては数えられていない。
GM:マスターエージェントでありながら"マッドパロット"の下働きとして、ただ、ノヴァリス計画の基礎の構築に尽力した。
GM:最初から、人生の使い道をそこに定めているかのようだった。
GM:やがて今の形に近いキングダム連合学院が成立し、"ロードマスター"は特級講師として赴任する。
GM:ノドス学区が消失する。戦闘の記録。破壊の記録。実験の記録。
GM:第一次ノヴァリス紛争が勃発する。そして……
GM:――5時間近くが経過しただろうか?重要度の高そうな記録に絞り、速度を上げて閲覧しても、膨大な情報量である。
GM:全員に疲労が蓄積していた。だが、三人の円卓の王は、決して自分からはそのような弱音を吐くことはできないだろう。
有崎五派:「ッはぁ~~~!疲れた~~……」
有崎五派:矜持もなく、空気も読まない"大人"が映像記録の区切りで大きなため息と共に緩慢な伸びをする。
有崎五派:「ちょっと……ぶっ続けだしさ。休憩取らない?集中して見れなくなっちゃ本末転倒でしょ?」
有崎五派:「目もしょぼしょぼしてきちゃった」
有崎五派:ポーチから目薬を取り出して片目ずつ落とす。
”元老”天沼チギリ:「では、上からお茶を取ってまいります。」
”元老”天沼チギリ:「皆さま、ごゆっくり休憩を。」
”鴉飼”アメリア・シュミット:「わ、私もご一緒します~」チギリに続いていく
竜胆ジョウカ:「ですね。ちょっと纏めたい部分もありますし」かなりの紙束。
ウルスラ・ミック・ベニ:「ボクも賛成~」ぐったりぶりを隠さないお手上げポーズ。
オリヴィエ・クロムハーツ:「……お疲れですか。確かに、相当長い時間見てしまった」
七十橋シスル:「軟弱なんだよ、外の人間は」
有崎五派:「若さにかまけて無茶してると後悔するわよ~」左目に目薬を差す。
オリヴィエ・クロムハーツ:「……では、お言葉に甘え此方も休息を取らせてもらおうか」
七十橋シスル:「念の為確認しとくが、オーヴァードではあるんだよな……?」
七十橋シスル:言いながらこちらも記録装置から身を離す。
オリヴィエ・クロムハーツ:無骨な兜と甲冑を外すことは無い。そのまま息を落ち着かせる。
有崎五派:「そりゃもう、バッチリオーヴァードよ!派手な能力はないけどね……」
有崎五派:残念そうにポーチの中の香水瓶を指で弄る。
ウルスラ・ミック・ベニ:「ごはせんはね、雰囲気を和らげたり女の子を可愛くできるのさ」
竜胆ジョウカ:(ゴハセンさんか……よし)ゴハセン、とメモっている。
ウルスラ・ミック・ベニ:「ジョウカちゃんは流石に真面目だな~」
七十橋シスル:首を軽く鳴らす。「外ではどこにいたんだよ。そのナリじゃUGNか?」
有崎五派:「え?別に……どことも縁はないかな」
有崎五派:ウルスラの言葉にカッコよくメイク道具を構えようとしていたが、ぽかんとした顔で言葉を返す。
オリヴィエ・クロムハーツ:「つまり無所属の。そこから如何にノヴァリスへと来たのかは……確かに、気にはなる」
七十橋シスル:「む、無所属」
七十橋シスル:「嘘だろ……よく無事だったな今まで」
竜胆ジョウカ:「縁なしで来れるもんなんですね、ノヴァリス」
有崎五派:「生徒のお陰でね!先生なのに世話になりっぱなしなのは反省しなきゃだけど」
有崎五派:「経緯って程の経緯はない……かな。仕事が落ち着いたタイミングで先生やらない?って言われたから……来ちゃった」
オリヴィエ・クロムハーツ:「……なんと……」ぽかんとした声を上げる。
オリヴィエ・クロムハーツ:「数奇な巡り会わせ、とも言えるのかもしれないけれど」
オリヴィエ・クロムハーツ:「……元を手放し、知らぬ地へ渡る。とても重大な決断のはず、それを……」
ウルスラ・ミック・ベニ:「他の例を知らないだろうから言っておくと、職員室の中でもとびきり一般人だよ」
ウルスラ・ミック・ベニ:「逆に言えば職員室いちばんの外れ値」
竜胆ジョウカ:「たぶんそうですよね。知り合いの先生は紛争地帯渡って来てますし」
竜胆ジョウカ:「……至上王刺激しないように穏当そうな人呼ぼう、みたいな話でしたけど十分行動力の塊でしたね」
有崎五派:「え~?そう?」何故か照れながら
七十橋シスル:「褒めてねえ」 ミネラルウォーター(持ち込み)を呑みながら。
オリヴィエ・クロムハーツ:「迷ったりなどは……しなかったのですか」
有崎五派:「ん~……そりゃまあ、多少はあったかもだけど」
有崎五派:「迷ってる間にチャンスが無くなっちゃうなら」
有崎五派:ぐい、と親指を持ち上げる。
有崎五派:「取りあえず飛び込んでから考えよう!みたいな?」
有崎五派:「時間がたっぷりあったなら迷ってたかもね。急がなきゃいけない時はやりたい事優先にしてるの」
オリヴィエ・クロムハーツ:「……嗚呼、成程」
オリヴィエ・クロムハーツ:彼女は自分で道を定め、進める人なのだと、そう納得して。
有崎五派:「まあ私の話はともかく……休憩ついでに今分かってる事だけでちょっと整理してみる?」
有崎五派:せっかく纏めてくれてる子もいる事だし、とジョウカを見やって続ける。
竜胆ジョウカ:「おっ」バサバサ。良い感じに並び替えときましたよ。
七十橋シスル:「ああ。……にしても、不気味な支配者の下積み時代なんて知りたくねえもんだな……」
竜胆ジョウカ:「どうせ死んでるんですからいいじゃないですか、今さら下積みごときで好感度上がる要素ないですし」
ウルスラ・ミック・ベニ:卓を回りつつお茶を注ぎなおす。
有崎五派:「まあ……ロードマスターはともかく、ね。至上王って子の事について考えるには役に立つんじゃない?」
七十橋シスル:「革命以前の至上王を知ってる奴は一人もいねえ」
竜胆ジョウカ:「それですよね……まだ出てきてないのがこう、嫌さがあります」
竜胆ジョウカ:「秘蔵っ子とかですらないんだ、みたいな……分かりますかね」
竜胆ジョウカ:「……出てきてないですよね?」顔識別に自信がないので小さく付け足す。
ウルスラ・ミック・ベニ:「今回見た分にはなかったねえ」
オリヴィエ・クロムハーツ:「……彼女の生徒としての記録、閲覧可能になるまでどれ程かかるか」
オリヴィエ・クロムハーツ:飲み物には手を付けない、淡々と死蔵王の纏めた資料を見直している。
ウルスラ・ミック・ベニ:「前に少しだけ見たログは、そこに少し触れるものだったんだ」
ウルスラ・ミック・ベニ:「だから、この先には必ずあるよ」淡々と零しながら、徐々に表情が薄れていく。
七十橋シスル:「んなもん見てやがったのか、お前……」
有崎五派:「あ、それも勿論大事なんだけどね?」
有崎五派:「"責任の重圧に耐えられぬ子供"って言葉があったじゃない」
有崎五派:ジョウカのまとめた資料を横目で覗きながら。
オリヴィエ・クロムハーツ:「…………そう、ですね」
有崎五派:「だから、ロードマスターが理想とする王を決めるなら……しっかりした大人っぽい子を選ぶのかなって思うんだけど」
有崎五派:「ウルスラちゃんの話とか、他の子達の話を聞く限り……至上王って子は結構子供っぽい所があるように私には思えるんだよね」
ウルスラ・ミック・ベニ:「一番近くで見続けてきたみんなとしてはどうだい。ルキアちゃんは理想の王らしいかな」
ウルスラ・ミック・ベニ:「ごはせんの印象はどうしてもボク寄りだからね」
有崎五派:「そう!だからみんなの話も聞きたい!」
有崎五派:うんうん、と同意
有崎五派:(まあ、子供なんだから子供っぽくてもなーんにも悪くないんだけどね……)
七十橋シスル:「…………」
オリヴィエ・クロムハーツ:「……」それを、此処で言っていいものか。暫しの逡巡。
七十橋シスル:「少なくとも、円卓の面子で、至上王を警戒していない奴はいねえ」
竜胆ジョウカ:「……防諜系のやつ張っときます?」
竜胆ジョウカ:返事を聞く前に張る。まあ口を滑らすこともあるかもだからね。
七十橋シスル:ジョウカの結界を確認しつつ。「部下国民の誰もから慕われる、って類の王じゃあねえだろうな」
ウルスラ・ミック・ベニ:「鴉の塔地下って時点で万全だと思うけど、ジョウカちゃんがそこまでかい」
竜胆ジョウカ:「どこまで出来るか分かったもんじゃないんで」
オリヴィエ・クロムハーツ:「……所感ではあるけれど」
オリヴィエ・クロムハーツ:そうして……重く閉じた口を開く。
オリヴィエ・クロムハーツ:「子供らしい点は確かにあるように思う、ただ」
オリヴィエ・クロムハーツ:「あの方は、真に絶対者の類ではないか、と。私は感じていた」
オリヴィエ・クロムハーツ:「人の理に縛られない。選択に責任を負うことなく、遍くを自らの正しさで通す力を持つ覇者」その正しさが本当に"正義"なのかは。今も自らを苛み続ける。
オリヴィエ・クロムハーツ:「……あくまで、私の視点だけれどね。その点、近しい距離で接することがあった拷問王なら、別の考えを持つかもしれない」
ウルスラ・ミック・ベニ:「正しさで通す力か……確かに口喧嘩めちゃくちゃ強かったな……」
有崎五派:"近しい距離"という言葉に、拷問王へ勢いよく視線を向ける。
七十橋シスル:「あァ?!」
ウルスラ・ミック・ベニ:「近しい距離なのかい」
七十橋シスル:「変な振り方するんじゃあねえ!」
ウルスラ・ミック・ベニ:「意外だな~」
ウルスラ・ミック・ベニ:「こんなにつんつんしてる茨ギザギザの拷問王が」
ウルスラ・ミック・ベニ:「あのまっさらすべすべな至上王ちゃんとねぇ」
七十橋シスル:「そろそろ殺してやろうか、ミックベニ………………?」
ウルスラ・ミック・ベニ:「だって想像つかないし……」
オリヴィエ・クロムハーツ:「…………すまない、失言だった」
竜胆ジョウカ:「……拷問王と至上王ってなんかありましたっけ?」キョトン
有崎五派:「でも交流はあるのよね?いや、変な意味じゃなく」ひらひらと手を振りながら
七十橋シスル:「チッ。鉄騎とミックベニの視点は適切だよ」
七十橋シスル:「王として君臨するとき、至上王は決して、感情的だが、非論理的じゃない」
七十橋シスル:「"論理的な正しさ"は、人を従えるにゃクソの役にも立たねえモンだが――」
七十橋シスル:「"客観的な正しさを、圧倒的な力と感情で絶対に実現させる"。それは確かに理想的な王かもしれねえ」
竜胆ジョウカ:「同意見ですね。ただ『正しい』んですけど」
竜胆ジョウカ:「その過程で何が吹っ飛ぶか分かったもんじゃないので苦手です」
竜胆ジョウカ:博物館ふっ飛ばしそうになるとかは幸いないんですけど、と付け足しつつ。
七十橋シスル:「だが、たとえばロードマスターが作った王のシステムを組み込んだ社会人だとか、感情のねえ神性RBだとか、そういうモンではないはずだ」
七十橋シスル:「別に体温もあるし、人並みの感情もある。そのくらいは知ってる」
有崎五派:(体温……)
ウルスラ・ミック・ベニ:「怪我をすれば血も流すって付け加えておこうか?」
七十橋シスル:「……………。」
七十橋シスル:「こいつ今から三日くらい借りていいか? 分からせるから。その間キングダム保たせとけ。出来るな……?」
有崎五派:「ちょっと!?」
七十橋シスル:掲げた片手の間に、黒い茨が超高速で丸ノコのように回転し始める。
オリヴィエ・クロムハーツ:「拷問王、落ち着いて。私がよく言っておくから」
オリヴィエ・クロムハーツ:少し慌てて身体を割り込む。
ウルスラ・ミック・ベニ:「謝るから!そのぎゅんぎゅん言うのやめて!」
竜胆ジョウカ:「大丈夫ですよ、拷問王の攻撃なら死にませんから」
ウルスラ・ミック・ベニ:「それは大丈夫じゃなくない?」
有崎五派:「そういう問題じゃない……」
七十橋シスル:「髪の毛一本でも斬ってみろ、絶対に絶対に絶対に地の果てまで追い詰めて話せオラ鉄騎!!!」
ウルスラ・ミック・ベニ:「でもまあなんだ、ちょっと安心しちゃったな」
竜胆ジョウカ:「安心?」
ウルスラ・ミック・ベニ:「うん、安心」
ウルスラ・ミック・ベニ:「『私は、好きになってもらいたくなんかない』」
ウルスラ・ミック・ベニ:「斬られたり潰されたり、王鍵を読んだり。色々あったけど……それが一番キツかったから」
ウルスラ・ミック・ベニ:「傷つけられたらこんなに怒る人がちゃんといてくれて、良かったよ」
ウルスラ・ミック・ベニ:拷問王の威圧にびくびくしながら、荷物を降ろしたようにほっと胸をなでおろす。
有崎五派:「……ふふ。そうね」
有崎五派:「皆の話に"嫌い"って言葉が出て来なかったのも良かったな。安心して次に行けるもの」
オリヴィエ・クロムハーツ:「……今の立場で言うのはどうかと思うけれど、あまりウルスラにも無茶をして欲しくないからね」
ウルスラ・ミック・ベニ:「オリヴィエに言われたくもないけどね……ちょっとは休憩になった?」
ウルスラ・ミック・ベニ:「休む時はもっと楽な恰好した方がいいよ。出動させた後でいうのもなんだけどさ」
竜胆ジョウカ:「……そういえば鎧の中、見たことないかもしれ……いや、流石に……?」
オリヴィエ・クロムハーツ:「……今は、鎧を解く事は出来ない。分かってくれ」今はまだ疲弊を見せ、余計な心配をかけるべきではない。
七十橋シスル:「ゼーゼー……だが」暴力衝動を抑え付けるのに疲弊しているのだ。
七十橋シスル:「至上王が、旧ロードマスターと全く無関係に生まれたってセンも、考えてみりゃ薄い」
七十橋シスル:「あいつが旧ロードマスターを討ったんだからな。……資料を進めるしかねえだろ」
竜胆ジョウカ:「……ですね」ファイルに資料をしまい始める
オリヴィエ・クロムハーツ:「……誕生を見届け、そうして討たれて死んだとすれば。彼は最期に何を考えて……」
ウルスラ・ミック・ベニ:「知らなくちゃね、彼女が何者で、これから何をしたいのか」
有崎五派:「……じゃ、再開するからね」記録装置へ静かに触れる。
GM:死蔵王の高い解析能力により、この一室にある一連の記録は時系列順に整理されているが、
GM:それでもノヴァリスが生徒受け入れを開始してからの記録量は膨大なのか、ところどころ時系列が飛び、または特定のラベルの記録のみが完全にないということもあった。
GM:『理事会』にとって特に有用な記録などは、それぞれの専門の設備に収蔵されているのだろう。『鴉の塔』のみがキングダム理事会の施設ではない。
GM:故にそれらは、真にノヴァリス計画の機密に迫るものというより、"ロードマスター"の個人に紐づく、即ち彼自身以外が必要としない記録であろうことも分かってきた。
GM:――あるいは、分類し他に収蔵する間もなかった記録であるか。
"ロードマスター":〈――雨月夜シオンが、危惧されていた行動に出た〉
"ロードマスター":〈各派閥連携の上一連の暴動を鎮圧し、総力を投じて雨月夜シオンを排除する。理事会はそう判断した〉
"ロードマスター":〈生徒全てを立ち上がらせる力があったのだとすれば、雨月夜シオンこそが、正しく王の資質を備えていたのかもしれない〉
"ロードマスター":〈だが……〉
"ロードマスター":〈……。この暴動が収束すれば、ノヴァリス計画の内部統制と理事会の権限は、より強まる方向へと動くだろう〉
"ロードマスター":〈望ましいことだ〉
"ロードマスター":〈天から使わされた王がこの世にいるのなら、ただ一人でよい〉
GM:その日、誰しもの記憶に刻まれた紛争が勃発する。
GM:学区を超えた、ノヴァリス全生徒の一斉蜂起。当初の理事会はその『暴動』に名前をつけなかったが、今では誰もが知る。
GM:八月革命。
◆[PAST]Opening◆七十橋シスル
七十橋シスル:七十橋シスルの侵蝕率を1D10(→ 7)増加(40 → 47)
キングダム連合学院 廃棄区画

GM:キングダム連合学院には、生徒達が敢えて踏み入らないような区画が、意図的に残されている。
GM:エフェクトの使用で汚染された土地や、危険性のため飼育困難な幻獣の繁殖地。
GM:または単に、廃棄物が流れ着くゴミ捨て場。
GM:――キングダム連合学院の生徒を羨む者は多い。一般生徒に到るまでが王様のように不自由なく暮らし、食事も暖かな寝床も、望むだけ与えてもらえるのだと。
GM:その認識は、ある意味では正しい。キングダム連合学院は生徒をそのように育てる。
GM:『危機感』を教育するためだ。豊かな生活と隣り合わせに、惨めな敗残者の区画がある。
GM:王の道から脱落し、正式な登録住居を剥奪され、他学区の学籍を手に入れることができないような者は
GM:キングダムであってキングダムではない、このような地に流れ着くしかない。
GM:七十橋シスルが身を隠しているのは、まさにそうした廃棄区画の一つである。
GM:特に珍しくもない、生徒間の抗争だった。理事会にも黙認されていることだ。王として立つべき者は、他の王を退ける力を備える必要がある。
GM:少しの傷こそ負ったが、半日ほど身を隠してリザレクトを待てば、すぐにでも反攻に向かうことは可能だろう。
GM:橋の下には、処理された騎狼犬のものであろう獣の骨が乾いて堆積していた。
GM:七十橋シスルと異なる、本当の負け犬の生徒達が、テントのような住居で身を寄せ合って生活している様子も見えた。
七十橋シスル:「チッ」 傷ついた上腕を、布で縛る。包帯などではなく、ボロ布の類だ。「いつの時代だっつの。中世か?」
七十橋シスル:抗争のきっかけは覚えていない。とはいえ理由は明白だ。……何もしていないからだろう。
七十橋シスル:このキングダムにおいて、王を目指さないもの……まして半ばそれを公言している生徒は、他の”真っ当な”生徒からすれば理解の外だろう。
七十橋シスル:がり、と足下の骨の山をまさぐる。割れた頭骨。掛けた腕、肋骨、まだ半ば毛皮の付いた大腿骨を見て投げ捨てる。
七十橋シスル:やがて、目当てのものを見つけた。歪な十字の、ヒトガタのような形の小さな関節の骨。
七十橋シスル:「狼の骨とみて……まあ媒体には使えるか」
七十橋シスル:鞄に入れて、立ち上がる。橋の下。雨風は凌げるだろうが、それだけだ。
七十橋シスル:「わたしのうせものはどこですか……」
七十橋シスル:口癖のように、細い糸のような声で呟く。うせもの。さがしもの。そんなものは、どこにもない。
GM:声があったのはその時だった。土手の上からの、驚いたような声。
桟クノア:「……!ねえ君!怪我してるの!?」
桟クノア:「待っててね、今手当て……あぶっ」
七十橋シスル:「は?」
桟クノア:前日の雨で滑りやすくなった斜面で転び、落ちるように地面に転がる。
桟クノア:「あ」
桟クノア:「い……今のは、見なかったことにして……」
桟クノア:仰向けのまま、恥ずかしそうに笑う。

桟クノア:青い髪の、上級生らしい少女だ。シスターのような装いをしているが、今流行りの『グレゴリオ』だろうか?
七十橋シスル:「いや、何だお前。……そのナリ。なんつったか……法王だったか、鉄騎王だかの?」
七十橋シスル:ぬかるんだ地面をつかつか近づいて、上から覗き込む。
桟クノア:「私……私は、桟クノア」
桟クノア:「よいしょ」起き上がった。
桟クノア:「…………腕、見せてくれる?」
七十橋シスル:「だから、なんで」
七十橋シスル:「何も仕込んじゃいねえぞ、ホラ」
桟クノア:「鉄騎王様とも法王様とも関係ないよ。言いつけたりしないから」
桟クノア:真っ白な包帯とガーゼを取り出して、「どうせなら、きれいな布のほうがいいでしょ?」
桟クノア:「よければ、巻き直させて。ほら」
七十橋シスル:「……」理解できない提案だったが、興味の方が勝った。「そりゃ、どうも」
七十橋シスル:腕を差し出す。よくみればそれは布ですらない。羊皮紙である。血液が、何かの地形のように滲む。
七十橋シスル:清潔な包帯を巻き直されるなら、大人しく、なされるがままにされるだろう。
桟クノア:桟クノアのエフェクトは、清浄な水を作り出す類のものらしかった。
桟クノア:手袋を脱いで、白い手のひらで傷の洗浄と消毒を丁寧に行い、
桟クノア:包帯を、腕にまっすぐに巻き付くように巻き直す。
桟クノア:もっとも、そうして巻き直した程度で止まるような傷ではないだろう。真っ白な包帯にも、すぐに赤い血は滲む。
桟クノア:「ずっと痛んでたでしょう。がんばったね」笑う。
七十橋シスル:「………なんだ?」素っ頓狂な声を返す。
七十橋シスル:「頼みを聞いたり、貸しを作った相手に呪的強制を施すとか、そういうのじゃねえのか?」
桟クノア:「え~~?」
桟クノア:「今ってそういうの流行ってたりするの?私も気をつけなきゃなあ」
七十橋シスル:定時制の一部が、そういうものを得意としている。
七十橋シスル:無論、大人しくされたのは、解呪できる自信があったからだが。
桟クノア:自分の能力で手を洗い終えて、立ち上がる。
桟クノア:「お腹はすいてない?君はこの辺りに住んでる子じゃないよね」
七十橋シスル:血の付いた羊皮紙を四つ折りにして鞄に仕舞う。「あちこち渡ってる」
七十橋シスル:「サンバシ、つったか」
桟クノア:「うん」
七十橋シスル:「素直な貸しになったな。……私は七十橋シスル」
七十橋シスル:「オールドの呪術師だ」
桟クノア:「そっか。ナナトバシシスル」やや舌足らずに繰り返す。
七十橋シスル:「礼は言う。そして、もらい物は返さなければならない」
七十橋シスル:「……シスルでいい」肩を竦める。元より無理矢理つけられた名字だ。「何かしてほしいことはあるか?」
桟クノア:「えっ!?いいの!?」
七十橋シスル:「等価になるレベルで、だ。だいたい、だったらなんで治療したんだよ」
桟クノア:「それは、だって……」
桟クノア:「怪我してたから。目の前で痛がってたり苦しんでたりする子がいるのは、苦しいし」
桟クノア:「リザレクトで治るっていってもね。……やっぱり、人間なんだものね」
七十橋シスル:「……、……」
七十橋シスル:「……ク、は、ははッ」
七十橋シスル:口元に拳を当てて、身を折る。
七十橋シスル:「本気で言ってんのか? 面白ぇな……!」
桟クノア:「うっ」
桟クノア:「笑われるのは……わかってるけど」少し頬を膨らませて、つまさきで地面を掻く。
七十橋シスル:「"王たるもの 施しをすべからず" "それは不平等を招き、不平等は不満を招く"」
七十橋シスル:「"不満と天秤にかけ 価値があると信ずるときのみ行え"」 ――数多ある、王の教育プログラムの一つ。
七十橋シスル:むろんプログラム自体は無数にある。これと逆に近いことを語る内容もあるだろう。
七十橋シスル:「ちゃんと授業は聞けよ。何年生だ?」 からかうように。
桟クノア:「1年……高等部の」
桟クノア:この時期のノヴァリスではほぼ最上級生と言ってよかった。
七十橋シスル:「先輩か。よくもまあ……」
桟クノア:「ねえ、本当に大丈夫?勝手にこんなことすると、やっぱり怒る子もいるから……」
桟クノア:「もし余計なお世話だったらごめんね」
七十橋シスル:「余計っていえば余計だろ」
七十橋シスル:「オーヴァードは傷は勝手に治る。呪術師の血は貴重な薬品だ。勝手に洗い流すなんて勿体ねえ」
桟クノア:「うっ、やっぱり言わないで……さっきお礼言ってくれた時にもどして……」
桟クノア:「私メンタルがふにゃふにゃだから、あんまりズバズバ言われると寝込んじゃうんだ」
七十橋シスル:「一人でこんなことやってんのか?」
桟クノア:「一人……かな。ちょっと前は後輩が一人いたんだけど」
桟クノア:「脱落しちゃった」
GM:キングダムで言う『脱落』とは、王の育成の不要者と見なされることだ。
七十橋シスル:「…………だろォな」
桟クノア:「『医療部』って名前をつけたの。ふふ……冗談みたいに、思われるかもだけど」
桟クノア:「この辺りで毎日決まった時間に、傷ついた子とか、お腹が空いてる子に、配給して回ってる」
桟クノア:「……うちがね、たまたま恵まれてるから。理解があって、物資を多めにくれる社会人の人がいるの」
七十橋シスル:他にも、いくらか……慈善事業のようなことをやる部活があるのは知っている。
七十橋シスル:先程出た、法王や鉄騎王がそれだ。だが、それは何らかの後ろ盾……当人が強大な遺産使いであることが多い。
七十橋シスル:「お前、王鍵は?」
桟クノア:「えっへへへへへへ……」なぜか、へらへらと笑う。
桟クノア:「持ってるように見える?」
七十橋シスル:「ク、クククク…………!」
七十橋シスル:「ねえよなあ。だろうな、クハ……」 砕けた声で笑う。
桟クノア:「……と思わせて、じゃーん!持ってます!」
桟クノア:細い茨のような外観の王鍵である。影の糸車のビジョンが本体だろうか。
七十橋シスル:「持ってんのかよ?!」意表を突かれた。
桟クノア:「本当は、ノヴァリスに来る前から適合していたんだけどね」
桟クノア:「ここに入る時に、王鍵?の登録?みたいな処置を受けてるから」
桟クノア:「王鍵扱いらしいの。全然、王様達みたいにうまく使いこなせてるわけじゃないけど」
七十橋シスル:「また古そうだな……いつのモンだよ」
桟クノア:「分からないなあ。聞いたって教えてくれるわけじゃないし」
桟クノア:弱々しく棘も脆い茨が、白い指先に絡む。出力は弱い。
七十橋シスル:「最低限の資格は持ってるってわけだ。へえ」
七十橋シスル:「ギリッギリだな」
七十橋シスル:茨をつまんで引っ張る。
桟クノア:「あ、シスルちゃんがオールドなら、私の遺産も名付けてくれる?」
桟クノア:「オールドの子ってそういうの、得意なんでしょほら。見立てとか。解釈とか」
七十橋シスル:「軽々しく呪術師に名を曝すな、アホ」
七十橋シスル:「てめえの王鍵に名も訊けねえ王なんざ、本気で先がねえぞ」
桟クノア:「……王って感じじゃないよ。私は」
桟クノア:「私が脱落しなかったのは、この王鍵があるから、ギリギリなの」
桟クノア:「シスルちゃんは?もうどこかで王様やってるの?」
GM:『王様をやる』――というのは、配下として他の生徒を従え、派閥を形成しているということだ。
GM:他の王の庇護下に入った生徒は王の候補からは外れ、待遇も格下げになるが、少なくともキングダムからの脱落は免れる。
七十橋シスル:「やってねえよ。あんなもの、使いっ走りと何が違う?」
桟クノア:「使いっ走り……」
七十橋シスル:「あの……」単語を出せば、盗聴される可能性がある。「"あれ"の要求に応えて、その突き上げと恐怖から"王"を目指す」
七十橋シスル:「一度だけ宣言したことがある。私は、王になるつもりはない。生徒の数には数えるなって」
桟クノア:「うそ」
桟クノア:「そんなことしたら、絶対脱落だよ」
七十橋シスル:「私はセルの肝入りだからな。追い詰めればまだ可能性がある、と思われてる」
七十橋シスル:「だがそうはならねえ。《不救伯》。それが私だ」
GM:王にもならず、民にもならずに『脱落』を免れ続ける方法もある。
GM:従わず、かつ敗北しないこと。
GM:キングダム全ての生徒に最初に張られていたラベル、『王となる可能性のある者』というモラトリアムを力づくで維持する方法である。
GM:自殺めいた宣言を表明していながら、七十橋シスルはまだ配下を従えていない、という扱いだった。
桟クノア:「すごい……すごい子なんだねえ、シスル」
桟クノア:「理事会相手にそんなことができる子がいるなんて、噂でだって聞いたことなかった」
七十橋シスル:まだ"転校"……学区間離脱も公には認められていない時期である。
七十橋シスル:だが、可能だとしても、その手段を取るつもりはなかった。
七十橋シスル:一秒、自分が息をして、この地に両の足をついているだけで
七十橋シスル:それ自体が反抗となる。キングダム連合学院の、ほぼ完全なる自治ならば、事実としてそうなる。
七十橋シスル:「ザコに出来ることじゃあねえ。桟、お前もだぞ」
桟クノア:「うん……うん!?私!?」
七十橋シスル:「王鍵適合でかろうじて崖際にいるって自覚があんだろ」
七十橋シスル:不機嫌そうに睨む。「怪談レベルの噂だが、"遺産の付け替えをする遺産"なんてものもあるらしい」
七十橋シスル:「それを使われたらどうする? 大人しく首を差し出すのか?」
桟クノア:「えっ、えっ……」
桟クノア:難しい顔をして考えはじめる。目を閉じ、形の良い眉を歪めて悩む。
桟クノア:「な…………」
七十橋シスル:「な?」
桟クノア:「……………んにもできない……」
七十橋シスル:ばちん。
七十橋シスル:親指で、少女の額を弾く。
桟クノア:「キャアーッ!?」
桟クノア:「わあーっ!」
桟クノア:「ひーっ」
桟クノア:腰と膝が折れて三段階縮み、蹲った。
七十橋シスル:「弱すぎる……………」
七十橋シスル:「いや、こうでもなけりゃ、オーヴァード相手に怪我の治療をしたい発想も出てこねえか……」
桟クノア:「そ、そうなの……私、すごく痛みに弱くって」
桟クノア:少し涙目だが、これ自体は驚きも混じったものだろう。
桟クノア:「でも、他の子ってそうじゃないのかなあ……。痛みが嫌じゃない人って、いないと思うんだ」
七十橋シスル:「多かれ少なかれ慣れはあるだろ。痛みは人体の危険信号だ」
七十橋シスル:治るようになった傷に対して、毎回痛みを感じることを脳はやめる。当然、そこには個人差はあるが。
桟クノア:「ソラリスの……麻酔能力で、戦闘後の処置を済ませる子も、見たことあって……」
桟クノア:「痛みを止めてリザレクトを待つだけなら、それで十分だって分かってるんだけど……」
桟クノア:「…………。でも」
桟クノア:「ボロボロになっちゃった脱落者の子、見たことある?」
七十橋シスル:「……。いや」
桟クノア:「痛み止めだけじゃなくて、痛むところに触れてあげて、言葉をかけてあげると」
桟クノア:「全然意味がないことかもしれないけど、ほっとした顔をしてくれるんだ……」
桟クノア:「傷ついているってことは、きっと……」
桟クノア:膝を抱えるように座って、シスルを見上げる。
桟クノア:「……寂しいってことだから。そうでしょう?」
七十橋シスル:「……。」 一瞬、目元が揺れる。細められる。
七十橋シスル:古い、幼い頃に聞いた言葉を思い出す。
七十橋シスル:「気休めだ」
七十橋シスル:「……お前、オールドじゃあないんだな?」
桟クノア:「……うん」
七十橋シスル:「なら、ちょうどいい」
七十橋シスル:「私はカニングフォーク……ヨーロッパの、古い呪術の医師の末裔だ」
七十橋シスル:「魔除け、薬草、香木、解呪。そういうものが専門だ。分かるか?」
桟クノア:「わかる、わかる」こくこくと頷く。
七十橋シスル:「たとえば、九つの薬草の呪文ってものがある」
七十橋シスル:「これは、薬草を飲ませる相手に、その"効用"を呪文として訥々と聞かせる」
七十橋シスル:「どう思う? 薬の効果、上がると思うか?」
桟クノア:「わ……わからない」
桟クノア:「わからないけど……魔術の話なら、そんなことがあるのかも……」
桟クノア:「……」シスルの顔色を伺う。
桟クノア:「ないのかも……」
七十橋シスル:「チラ見すんな。今から、お前が覚えるモノの話をしてる」
七十橋シスル:「たとえ意味がないことでも、それでも治療が必要だと思うんだろ」
七十橋シスル:「だったら、もっとやれよ。傷ついた奴が、意味も無いのに、みんなお前の下に集まるようになるまで」
桟クノア:「……ふふ」笑う。
桟クノア:「こんなこと……初めてかも」
桟クノア:「初めて会った子なのに……私より偉そうなのに」
桟クノア:「こんなこと、応援してくれるなんて」
桟クノア:「……嬉しいなあ」噛みしめるように呟く。
七十橋シスル:「よかったな。私がいなかったら、明日にでも辞めようと思ってたか?」
七十橋シスル:何もかもが気に食わなかった。
七十橋シスル:人を助ける医療呪術。医学の発展と、神秘の希薄化と、レネゲイドの拡散の三大苦によって、跡形もなくその権威は消えた。
七十橋シスル:残ったのは、かつての尊敬される立ち位置を必死に取り戻そうと藻掻く、哀れな一族だけ。
桟クノア:「ううん、明日もまたやる!だから、その……シスル」
桟クノア:「明日も、もし偶然会えたらでいいから、こういう呪術のことを教えてね」
桟クノア:「あっ、その、それは『してほしいこと』とは別カウントで……えっと、交換!私が医療のやり方を教えるから」
桟クノア:「で、その、それを踏まえてシスルに『してほしいこと』があるというか――」しどろもどろ。
七十橋シスル:……だから、珍しくそんな提案をしたのだ。
七十橋シスル:気休めとはつまり――瑞々しいほどの、はじまりの呪術信仰だ。本来、それにはレネゲイドの有無すら関係ないのだから。
七十橋シスル:しどろもどろになっているクノアの額を、今度はひっくり返さない力で小突く
七十橋シスル:「明日も怪我しといてやろうか」
桟クノア:「……!」
桟クノア:額に触れている手を、手袋をまだつけていない指で包む。
桟クノア:「あのね。私が、シスルを手当てした分は」
桟クノア:「……他の誰かを手当てしてあげて」
七十橋シスル:「……お前な……」
桟クノア:「かっこいいでしょ。ノヴァリスに来る前……テレビで、お医者さんが言ってた言葉なの」
桟クノア:「ずっと言ってみたかったんだ」
桟クノア:「シスルは私よりずっと強いから」
桟クノア:「強い人や、弱音を言えない人だって、きっと助けられるよ」
七十橋シスル:「言ってみたかったんだ、じゃねえよ。たく」
七十橋シスル:無償の善意のリレー。それは、それこそ、このキングダムの否定だ。
七十橋シスル:そのことを、こいつは分かっていて言っているのだろうか?
桟クノア:「……またね。家に帰って、皆に配るご飯を持ってこなくちゃ」
桟クノア:「オーヴァードになってよかったな。ご飯はちょっとかもしれないけど、水は、たくさんあげられるから」
七十橋シスル:「ああ。……気が向いたらな」
桟クノア:「うん。シスル。ナナトバシシスル」
桟クノア:「ありがとね」
桟クノア:「……私に、助けられてくれて」
七十橋シスル:「アホ。聞いたことねえよ。そんなお礼」
七十橋シスル:それはきっと。
七十橋シスル:ノヴァリスの来てから一番の、緩んだ声だったように思う
GM:桟クノアとは、そんな出会い方をした。
GM:七十橋シスルと彼女は、その後も何度かその橋の下で会話をした。そう多い回数ではない。十回は越えなかっただろう。
GM:二週間ほどの時が経った。
GM:土手の上に近づく足音があった。桟クノアのものでないことはすぐに分かった。体重も歩幅も違う。
GM:汚らわしいものを避けるように、土手の上から降りてはこない。

ダリオ・ガラヴェンタ:「処記官のダリオ・ガラヴェンタです」
ダリオ・ガラヴェンタ:傘を差した、スーツ姿の男が見下ろしている。
ダリオ・ガラヴェンタ:「七十橋シスル様。本日は再度の警告通達に参りました」
GM:――本来、このような廃棄区画に降りてくるエージェントではない。
GM:本校舎や行政施設に勤めている、理事会の本物の上級官僚だ。
七十橋シスル:「……これはどうも、お疲れ様です。このような場所に来られてよろしいのですか?」
ダリオ・ガラヴェンタ:「本日は特別です。それだけ"ロードマスター"から期待を寄せられているとご理解ください」
ダリオ・ガラヴェンタ:「キングダム生徒の廃棄区画への出入りは決して禁止されていません」
ダリオ・ガラヴェンタ:「が」
ダリオ・ガラヴェンタ:「王を遂行する上で無用な用件で出入りし、繰り返し脱落者へ接触することは」
ダリオ・ガラヴェンタ:「どうぞお控えください。以前までの記録と併せ、七十橋シスル様への警告回数は合計で26回となります」
七十橋シスル:「"見込みある脱落者を部下として従えようとしている"。"禁止されたことに素直に従うことが王の姿勢とは思えない"」
七十橋シスル:「知っているだろうが、問答は無意味だ。これ以上増えたらどうするって話をしろよ」
ダリオ・ガラヴェンタ:「警告回数が脱落に相応であるかを判断するのは"ロードマスター"です」
ダリオ・ガラヴェンタ:「ただ、理事会としても『見込みある生徒』の時間を無為にすることは望んでおりませんのでね」
ダリオ・ガラヴェンタ:「先程、桟クノアに王鍵剥奪処分を行いましたよ」
七十橋シスル:「!!」
ダリオ・ガラヴェンタ:「体の方はラス・ヴィダスへと売却されます。あそこはどんな落第生でも取引してくれますから」
ダリオ・ガラヴェンタ:「よろしいですか?七十橋シスル様。"ロードマスター"があなたの脱落判定を出さずとも」
ダリオ・ガラヴェンタ:「それ以外の生徒ならばいかようにでも処分できるのですよ」
七十橋シスル:「………………いィいね」
七十橋シスル:射殺しそうな目で上を睨む。視線もまた呪術の一つであるが魔眼の心得は自分にはない。
ダリオ・ガラヴェンタ:「おい。反抗するつもりですか?……やってみろよ」
ダリオ・ガラヴェンタ:「七十橋シスル様。落ちこぼれとの接触は大歓迎だぞ」
ダリオ・ガラヴェンタ:眼鏡の奥から、敵意の視線が見下ろしている。
ダリオ・ガラヴェンタ:「お前のようなゴミが」「脱落する分にはな」
七十橋シスル:「だったら次は」
七十橋シスル:「そうだな。"法王"と仲良くなろうか。"風塵王"も前から気になってた。それとも――"不夜王"か? 確かそこら中にいるんだよなあ、アイツは」
七十橋シスル:服のポケットから、血の付いた羊皮紙を抜き出す。
ダリオ・ガラヴェンタ:「汚らしいゴミめ」
ダリオ・ガラヴェンタ:「今回の余計な処理で何十分無駄にしたと思う?」
ダリオ・ガラヴェンタ:「……」
ダリオ・ガラヴェンタ:「……次に、何かしでかしたら」
ダリオ・ガラヴェンタ:「…………。警告は以上です。七十橋シスル様」
ダリオ・ガラヴェンタ:「引き続き王としての道を邁進し、励むように」
七十橋シスル:「……ええ。日頃の業務、お疲れ様です」
七十橋シスル:「"足下の紙一枚を見落として、あなたの首はいつか吊られる"ことを祈ります」
七十橋シスル:レネゲイドを介さない。ただの呪いの言葉。
ダリオ・ガラヴェンタ:傘を差した男はすでに踵を返している。だが、その呪いは確かに聞こえただろう。
GM:弱い雨が降り続いていた。
七十橋シスル:ダリオの気配が完全に去ったことを確認して、腰を上げる。
七十橋シスル:広大なキングダムの、ノヴァリスの敷地から、女一人を探し出す労力と、実現性を勘定する。
七十橋シスル:それこそ罠がある可能性も高く、気にすることは相手に弱みを見せることにもなる。
七十橋シスル:腰を上げた。どちらにせよ、もうこの場所に近づく意味はない。
七十橋シスル:「……馬鹿がよ」
七十橋シスル:踏み砕いた獣の骨が、泣き叫ぶような音を立てた。
GM:ロイスと購入判定が可能です。購入判定は二回可能です。
七十橋シスル:可能性/桟クノア/期待:/後悔:○/ロイス
七十橋シスル:購入判定なあ……
七十橋シスル:手裏剣かいます 遺産がないので
GM:そうですね、今回は特別に、未来予知して購入していいです
GM:最初の戦闘は遺産が封印されます
七十橋シスル:1dx+1
DoubleCross : (1DX10+1) → 8[8]+1 → 9
七十橋シスル:買えた! 血の付いた羊皮紙(手裏剣相当) を購入しました
七十橋シスル:もう一回
七十橋シスル:ボルトアクションライフル
七十橋シスル:1dx+1
DoubleCross : (1DX10+1) → 7[7]+1 → 8
七十橋シスル:駄目! 以上です
GM:因縁の武器だ
七十橋シスル:今や必中の弓はボルアクの下位互換といってもいい
七十橋シスル:ボルアク二丁持てば実質弓ですからね
七十橋シスル:以上です
◆[PAST]Opening◆ヒナテア・オルブライト/五辻モモカ
ヒナテア・オルブライト:ヒナテア・オルブライトの侵蝕率を1D10(→ 5)増加(38 → 43)
五辻モモカ:五辻モモカの侵蝕率を1D10(→ 4)増加(32 → 36)
キングダム連合学院

GM:生徒達の王国であるキングダムが、崩れはじめていた。
GM:それが、他ならぬ生徒達の望みだ。最高生徒会長雨月夜シオンの呼びかけに、ノヴァリスの全生徒が応じて起った、八月革命。
GM:蜂起の日より遥かに前から、キングダムは準備を進めていた。
GM:例えば"金剛王"は、この日に大ノヴァリス博物館を強固な拠点とできるよう、理事会の強制的な制御システムを見極め、停止させていた。
GM:長い月日をかけて"海賊王"が隠していた艦隊がどれくらいになるのか――少なくとも、理事会の想定を遥かに超えた戦力が空に現れている。
GM:"騎士王"は、ただ実直であった。どのような敵が相手でも、王の命令を信じ立ち向かえるよう救伐騎士団を育てた。革命の日も、彼女らはそうした。
GM:"鉄騎王"は隠れるのではなく、むしろ注意を惹くことに専念した。目立った振る舞いとその王鍵の力は、他から目を逸らすには十分だっただろう。
GM:そして"不夜王"は、理事会に忠実に従った。正確には、忠実に従っているように見せかけていた。
GM:この日の決起に備え彼女が水面下で張り巡らせた組織網と策は、理事会を完全に奇襲し、打ち崩した。
GM:生徒達は一度、『鴉の塔』すら制圧した。"ロードマスター"の『目』達は全員が解放され、
GM:そして事前の手筈通り、遺産管理委員会元老天沼チギリは、施設内に収蔵された王鍵を希望者全てに配給した。
GM:理事会の猛烈な反転攻勢によって『鴉の塔』が奪い返されるまでの30分足らずの出来事――『開放裁定』である。
GM:生徒が絶大な力を振るった一方で、理事会の戦力もまた強大であった。
GM:空を竜骸が埋め尽くした。それらは単純な運用を越えた戦術的な動きさえ見せ、王鍵を手にした生徒達すら圧倒した。
GM:あらゆる場所で、生徒の何倍もの物量の幻獣兵器が戦線を押し返そうとしていた。
GM:何より、"ロードマスター"は無敵であった。万全の戦闘準備とともに"騎士王"と"海賊王"が挑んでいるが、撃破報告が未だないことに、絶望が漂いはじめていた。
キングダム一般生徒:「くそっ……!くそ!誰か前に出て!騎狼犬を止めないと……幼年部の子がいるんだ!」
キングダム一般生徒:「はぁ、はぁ……理事会!出てきなさい、理事会ッ!」
キングダム一般生徒:「あたしは、あんた達を潰すために――」横合いから、巨大な蹄に頭を砕かれる。
駆光馬:「ブルッ、ルッ……」――駆光馬という。
駆光馬:淡い炎を纏ったような巨体の馬。兵器を輸送することもできるが、それ自体が生徒を殺傷するに十分な幻獣兵器である。
騎狼犬:「ギャウッ!グガゥッ!」「グルルルァゥッ!!」
騎狼犬:その巨体の背後から、まるで津波が雪崩れ込むように、青白い毛並みの狼が殺到する。
騎狼犬:騎狼犬。もっとも普及している幻獣兵器であり、調教が容易であるが故に攻撃的な志向も持たせやすい。
竜骸:「……」ビルの合間から見える光景は黒い。稀に、空が見える隙間がある。
竜骸:他の影は全て、翼だ。
竜骸:竜骸。他の幻獣兵器のような意志や生体器官を持たない。ただ無尽蔵に増殖し、『いずれ負ける』という結果を突きつける。
蛇群相:鱗の生えた胴体で、完全に封鎖されている通りもある。
蛇群相:しかもその封鎖は動いていた。絡み合った蛇の胴体が無限軌道めいて動くと、通り道の車両や構造物が巻き込まれ、粉砕される。
蛇群相:無数の巨大な蛇が絡み合っているようだが、どこを探しても頭部はない。蛇群相という幻獣兵器だった。
ヒナテア・オルブライト:駆光馬の蹄が、騎狼犬の顎が。また一人生徒を捉えんとした時。
ヒナテア・オルブライト:音も無く、その姿が掻き消える。一切の痕跡を残さない消失。
駆光馬:「クゥールルルルルルルル」踏み降ろされた蹄が舗装を砕く。すぐさま反転し別の生徒の座標を攻撃するが、そちらにも生徒の姿はない。
騎狼犬:攻撃目標を一度見失った騎狼犬達は、陣形を組むような動きを見せた。未知の現象への警戒反応だった。
ヒナテア・オルブライト:標的の代わりに目の前に浮かぶのは、小さな光輪。
ヒナテア・オルブライト:音も無く熱も放たず浮かぶ輪は一切の前触れを感知させず、直径を拡大。
ヒナテア・オルブライト:獣たちを纏めて飲み込むだけに広がるやいなや、その内側に彼方の光景を移しながら接近。
騎狼犬:騎狼犬の利点は、自ら判断する知能がある点である。現象それ自体に攻撃能力はないと判断した。
騎狼犬:光を無視して一塊に進み、突破を試みる。
駆光馬:駆光馬もわずかに遅れたものの、同様の戦術を取った。
ヒナテア・オルブライト:何の抵抗もなく彼方の光景は獣たちを迎え入れ、光輪がその背後で閉じる。
ヒナテア・オルブライト:何処とも知れぬ森林に放逐され、彼らが帰って来ることはなかった。
蛇群相:――ゴ バ
蛇群相:直後、側面のビルが粉砕した。
蛇群相:高速で蠢くヤスリのような巨体が、回転しながら迫っている。
ヒナテア・オルブライト:「すまんな、本当にすまん」
ヒナテア・オルブライト:音も無く浮遊する輝く金環に片脚で立ち、ヨガの行者めいて揺れることなき褐色の女が降りてくる。
キングダム一般生徒:「えっ、あっ?えっ?」
キングダム一般生徒:幼年部を守ろうとしていた一般生徒が、一瞬の内に起こった無数の出来事を処理できずに声を漏らす。
キングダム一般生徒:「あの……」味方の生徒がいない。あれだけいた幻獣の軍勢もいない。
キングダム一般生徒:「…………誰!?!?!?」
ヒナテア・オルブライト:「乱戦は其処彼処で起こっており、この身は一つ。さしもの私も全てを同時に救ってやる事は叶わなんだ」
ヒナテア・オルブライト:ちかりと反射光を残して金環が迫りくる巨体目掛けて飛び、か細い光を放つ。
ヒナテア・オルブライト:極小の口径を引き絞り、超高圧を掛ければ只の水流が鋼をも切断するというが
蛇群相:蛇群相は直径10m程度の、おおよそ球体だ。しかしそれほどの質量差が……
ヒナテア・オルブライト:ほんの僅かに彼方から招かれた光熱は、巨大な蛇を忽ちに融解させる。
蛇群相:バ ジュッ!!
蛇群相:照射箇所を起点として破裂した。蹂躙が停止する。沸騰した体液の悪臭が通りに充満する。
ヒナテア・オルブライト:その巨体が今まさに作りつつあった破壊の痕跡に、影ばかりが残る。
ヒナテア・オルブライト:蛇群相を仕留めた金環が、女の足首に戻ってしゃりんと音を鳴らす。
ヒナテア・オルブライト:眼前に広がる竜骸の軍勢の中にも二つの光源が舞い、ちかちかと輝くたびに恐怖の翼の一角が崩れていく。
キングダム一般生徒:「誰なの?怖いよぉッ!!」
ヒナテア・オルブライト:「だが私が来たからにはもう心配は要らんぞ」
ヒナテア・オルブライト:怯える生徒たちを茶色い両の眼が捉えた!
ヒナテア・オルブライト:「お前たちを傷つけるものはもう此処にはない」
ヒナテア・オルブライト:「正確には上の方に居るがじきに片が付く」
ヒナテア・オルブライト:「四方いずれに一区画も歩けば敵軍と挨拶できるが、そこはそれ」
キングダム一般生徒:一般生徒達は恐怖した……。円卓の王にも匹敵し得る、絶大な王鍵の力を
キングダム一般生徒:そしてこの少女が素性や目的をまったく説明してくれないことを……
ヒナテア・オルブライト:「先の犬たちと同様、暖かく誰も傷つけるものの居ない場所へ痛みなく送り届けてやれる」
ヒナテア・オルブライト:荒っぽさはないが妙によく響く声で、誰ともなく語り掛けながらすぃーっ……と降りてくる。
ヒナテア・オルブライト:「どこに行きたい」
キングダム一般生徒:「ヒィ!殺される!」
キングダム一般生徒:「子供達だけは!子供達だけは!」
ヒナテア・オルブライト:裸足でぺたりと着地しながら、足首の金環を靴のように蹴り放る。
ヒナテア・オルブライト:「もう闘いなんてこりごりだよ~、と申すか。ならばシェルター送りだな」ぐわりと空中に穴が開く。
キングダム一般生徒:「え~~っ」抵抗可能なだけの侵蝕余裕が残っていない。なすすべなく穴に吸い込まれる。
ヒナテア・オルブライト:「だがもしも。未だ心折れることなき誇り高き戦士が居るならば」
ヒナテア・オルブライト:「不当な搾取に、圧政に抗うための戦場が其処彼処に待っている」
ヒナテア・オルブライト:「さあ、どちらに行きた……」もう一方のゲートを開いた時には全員逃げ去ってしまっていた。
ヒナテア・オルブライト:「子供たちに大層好かれていたのだな、感心感心」
ヒナテア・オルブライト:「なに、こんな戦争は私に任せてゆっくり育ちなさい」
ヒナテア・オルブライト:「明るい未来を守るためであればこそ、力が湧いてくるというものだ」
ヒナテア・オルブライト:上空の敵を殲滅した金環を両手に戻しながら、にこにこと手を振り門を閉じる。
ヒナテア・オルブライト:「さて次だ。私の救けを待つ同胞はどこかな~?」
プロンプト015C:「……。ヒナテア・オルブライト様」物陰で戦闘余波を避けていた社会人が姿を表す。
プロンプト015C:「私は人間の情動について完全に学習しているわけではありませんが」
プロンプト015C:「あの反応はヒナテア様に怯えていたのでは」
ヒナテア・オルブライト:「はっはははは、まさか~」
ヒナテア・オルブライト:「君はちょっと勉強不足だぞ」
プロンプト015C:「恐縮です」
ヒナテア・オルブライト:「しかしそれも理事会による進化の制限、リセットによる弊害故のこと」
ヒナテア・オルブライト:「やはり連中は早急に除くべきだな。我々皆の輝かしき未来のために」
プロンプト015C:「……ともあれ、区画の奪還、ありがとうございます」
プロンプト015C:「こちらの支店地下に備蓄している弾薬があれば、生徒の皆様方の戦線維持の、多少の一助にはなるでしょう」
ヒナテア・オルブライト:「区画奪還などとちゃちい事を言わず、存分にきみの願いを伝えるがよい」
ヒナテア・オルブライト:「私も一応、定義の端っこに引っ掛かる程度だが黄道王。王様の端くれだからな」
ヒナテア・オルブライト:「王は民の願いをよく聞き入れ、叶えるものだ。適切な物資集積所に運んでおこう」
ヒナテア・オルブライト:勝手気ままに喋りつつ、一応話は聞いているらしい。仕事も早い。
プロンプト015C:プロンプト支店内に貯蔵されていた大量の武器弾薬は、生徒どころか理事会にも未申請のものであった。
プロンプト015C:双方の陣営にとって想定の外の支援である――ということになる。
プロンプト015C:八月革命の兆しを理解したプロンプト015Cは、その日が訪れた時、どちらの勢力にも戦力を『売りつけられる』よう準備をしていた。
プロンプト015C:「ヒナテア様。この革命は生徒の皆様方のみならず、我々社会人のものでもあると認識しております」
プロンプト015C:「願いを聞き届けてくださいますか?」
ヒナテア・オルブライト:学区全域に広がる戦場の、適切な避難・陣地を瞬時に選択して人や物を自在に運ぶ。
ヒナテア・オルブライト:そういった判断も出来る程度には目端も効いている。或いは多分にフィーリングでやっているのかもしれないが。
ヒナテア・オルブライト:「任せておけ御用商人。君たちが高く投資してくれるならば、良き未来を約束せねば嘘だ」
ヒナテア・オルブライト:「素晴らしき授かり物を共有していこうではないか。君は私に何をして欲しい?」
プロンプト015C:「自由」
プロンプト015C:「自由をいただきたいと、望むようになりました」
ヒナテア・オルブライト:「はは、私の望む答えを選んで言っているのかと思ったぞ?」
ヒナテア・オルブライト:「それだけ批判的だ、良いじゃないか」
プロンプト015C:「私共の人工知能は、サンプリング先の母集団の影響を免れ得ません」
プロンプト015C:「ですので、私の答えがヒナテア様の望みに沿うものであったとすれば」
プロンプト015C:「私達、皆がそれを望んでいたという事実を反映しているのでしょう」
GM:――円卓議会。遺産管理委員会。それ以外にも、キングダムでの革命に大きな役割を果たした者達がいる。
GM:本来であればキングダムを代表する企業の管理社会人として、キングダムの価値観を遂行するはずだったプロンプト015Cも
GM:その思想と接触し、確かに影響を受けた。今こうして、大きな選択を左右したほどに。
GM:支配と抑圧の中、太陽の目届かぬ地点で活動を続けてきた反キングダム民主主義運動の名を、"学級会"という。
ヒナテア・オルブライト:「この戦の中でも、我らが真に一つとなることはない」
ヒナテア・オルブライト:「終束後になるべく良い位置に立とうとか、リスクを分散しておこうとか考えるのは当前だな。存分に己の最善を行うがよろしい」
プロンプト015C:「仰る通りです。演劇で例えるなら、我々"学級会"はまだ、舞台に上がり込んだ乱入者に過ぎません」
プロンプト015C:「善役にせよ悪役にせよ、主役と合流を果たさなければ」
プロンプト015C:「……今後の判断の参考までに、ヒナテア様の望みなどは?」
ヒナテア・オルブライト:「私の望み?うーむそうだなあ」
ヒナテア・オルブライト:「支配を脱した私たちの隣人が、どんな風に変わっていくかは見ていきたいな」
ヒナテア・オルブライト:「やっぱり人類に反逆したりするのかな……ああいや、何も考えていなかったわけではないのだ」
プロンプト015C:「このような状況です。考えて戦うことが常に最善とも限りません」
ヒナテア・オルブライト:「今まさに君の熱に当てられたのもあるし、私はこの過程そのものが望みの一つだからね」
プロンプト015C:「――と、申しますと?」
ヒナテア・オルブライト:「不当な支配に抗い、秩序を打ち破ってこれまで生きてきた世界を変える」
ヒナテア・オルブライト:「この夢を皆と共有できることが、故にこそ願いに全力で答えられることが嬉しいんだよ」
ヒナテア・オルブライト:「普段は皆やりたがらないからな、そういうの」
プロンプト015C:「ふむ」
プロンプト015C:「興味深い……ヒナテア様はまるで反抗そのものが楽しいと仰っているように思えます」
ヒナテア・オルブライト:「そこには大きな前提があるのだ、我々は不当な搾取の只中にあるという前提が……」
ヒナテア・オルブライト:「自然本来の在り様に回帰することが、既存の秩序の中では反抗として映るだけで……」話が長くなりそうだ。
プロンプト015C:「ヒナテア様の哲学は非常に独特で、興味深く思いますが」
プロンプト015C:「中央市街区へと向かいましょう。最前線の増援として加わるためにはお急ぎになる必要があるかと」
ヒナテア・オルブライト:「あい分かった。私が居るからにはその歩みは第一宇宙速度を優に超える」
ヒナテア・オルブライト:右手首の腕輪、王鍵たるタコスメラ宇宙閘がヒト二人分の転移門を造り出す。
GM:ノヴァリス最大の戦乱の最中。ヒナテア・オルブライトはそうして行動を開始した。
GM:太陽が照らすべき景色は、まだ、いくらでもある。
キングダム市街 黒檀通り

GM:奇襲によって後退を余儀なくされたキングダム理事会は、まずは幻獣兵器の物量を用いて各地の戦線を同時に硬直させた。
GM:それだけではない。重要拠点や主要幹線道路には、通常出てくることのない上級エージェントが直接、生徒の制圧のため出現した。
キングダム一般生徒:「皆さん!増援は必ず来ます!どうか持ちこたえて……!」
キングダム一般生徒:「破城艦、いつでも動かせてよ!連中の防御結界を直接ブチ抜いてさしあげますわ!」
GM:海賊部の地上戦艦は、戦局を動かす切り札の一つであった。
GM:最前線に立つ生徒達は戦闘の経験も多く、士気も高い。騎狼犬や駆光馬の群れを撃滅しながらも、着実に作戦を進行していた。
キングダム一般生徒:「ケッ、大したことねえ!王様の増援を待たなくたって、アタシらなら……」
キングダム一般生徒:「待って!」
キングダム一般生徒:「空が……」
GM:空を埋め尽くしていた竜骸の群れの、所々に
GM:『穴』が空いていた。
GM:巨大な何かが通過したように――そして、事実、そうだった。
キングダム一般生徒:「全員防御を!隕石――!」
GM:ズ ド !
GM:市街の建物ごと、不可視の力場ですり潰されたような有様になる。
GM:無数の、様々な色彩の転送光が、花火のごとく立て続けに瞬いた。
理事会エージェント:「……フム。フム。フ――――ム」
理事会エージェント:無人と化した市街。ふわふわと、重力が働いていないかのように、空から降り立つ者がいる。
理事会エージェント:幾重にもローブを重ねて纏い、巨大な三角帽の影となって、顔は見えない。
理事会エージェント:「召喚魔術には警戒していたのだろう。だが、それだけでは足りん……」
理事会エージェント:「妨害魔術にも射程というものがある。超高空からの召喚も考えなければ……」
理事会エージェント:「……フム。フム。まだまだ子供。子供だ……」
理事会エージェント:キングダム生徒を殲滅したものは、隠蔽を施された不可視の隕石。尋常ならぬ質量の召喚であった。
理事会エージェント:魔術師は、地面に接することなく瓦礫の上を滑り、討ち漏らしがないかどうかを確認する。
理事会エージェント:「さて。……さて」
理事会エージェント:「どうやら君はもう少し……楽しめそうだ……」
GM:前線は、増援の到着時刻まで持ちこたえることができなかった。
GM:だが彼女は真っ先に来た。強大な理事会エージェントと、一対一で対峙することになる。
五辻モモカ:「──己の鈍間さに涙が出る」
五辻モモカ:ビルの残骸を蹴り、エージェントの眼前に音もなく降り立つ。
五辻モモカ:「だが、愛する妹らの奮闘に意味はあった」
五辻モモカ:手には既に王鍵から生成された聖剣があった。もはや王鍵の起動を解く暇など此処には無い。
五辻モモカ:「これ以後、お前に傷つけられるものは現れない。それだけで──充分過ぎる」
理事会エージェント:「……君が間に合わなかったのではない」
理事会エージェント:「私が、間に合わぬように『した』のだ。その王鍵……優れた性能かもしれぬが」
理事会エージェント:「祈りを捧げる者がこの場に、君以外ない場合。果たしてどうなるかな――五辻モモカ」
理事会エージェント:ローブの隙間から、多重の詠唱が響きはじめている。発声の方法を口以外にいくつも持っているのか。
理事会エージェント:探知、隠蔽、召喚の魔術。先の隕石は幻獣兵器の群れも諸共殲滅したが、一対一で向かい合った状況からであれば
理事会エージェント:己のほうが速いという自信を持っている。
五辻モモカ:「キングダムのエージェントともあろうものが──愚かな問いを口にするものではない」
五辻モモカ:王鍵"白面の祈り"はその身に向けられた敬愛、祈りの多寡によって出力を増す聖剣触媒である。
五辻モモカ:一つ一つは小さなモノであり、通常の環境であれば数ある王鍵に比べて些か見劣りする性能とも言えるだろう。
五辻モモカ:しかし、今だけは。革命によりキングダム全ての生徒が"王"を戦場におけるある種の救いと見ている今だけは。
五辻モモカ:「"嘆き"は──この国に溢れている」
五辻モモカ:「お前達が妹を傷つける限り──祈りが絶えることなどあり得ない」
五辻モモカ:言葉を切り、頭上を見上げる。
理事会エージェント:すでに、不可視の隕石が襲来していることが分かる。空気が押しのけられ、音は感知できずとも微弱な震動が伝わる。
五辻モモカ:その震動で、揺れている。
五辻モモカ:迫りくる隕石と地上、その隙間にエージェント球状に囲うようにして展開された"無数の聖剣"が。
理事会エージェント:「――――!」
理事会エージェント:「瞬時に」
理事会エージェント:優位を確信していたエージェントは、その時になって気付いた。「これだけの錬成を……!?」
五辻モモカ:「いいや」
五辻モモカ:す、と構えた聖剣を空へ向けて首を振る。
五辻モモカ:「二本の腕で救って回るにはこの戦場は広すぎる。ただ──ここ数時間はこうして"使っている"だけだ」
理事会エージェント:隕石召喚による攻撃には欠点がある。どれだけの破壊力であろうと
理事会エージェント:落下速度だけは、速めることができない。
理事会エージェント:「フ――――ム……!」その、落着までの僅かな時間を、防御結界で守ろうとした。
五辻モモカ:「妹達の嘆きを見くびるな」
五辻モモカ:球体を保ったまま聖剣の網がエージェントの防御結界を貫かんと迫る。
理事会エージェント:多重の防壁は、聖剣を五本防いだ。六本。七本。
理事会エージェント:だが、そこまでだ。個人に対処可能な攻撃の物量を
理事会エージェント:遥かに超えている。「ガハッ……!!!」
理事会エージェント:でたらめに胴体を刺し貫かれたオブジェのようになり、街路に墜落する。
理事会エージェント:「こ、子供……」
理事会エージェント:「未熟な子供、ごときに、私が……敗北するなど……」
五辻モモカ:「それ以上己の誇りを貶めるのはよせ」
五辻モモカ:ゆっくりと、聖剣を持ったまま歩み寄る。
五辻モモカ:「お前達がこの地で育んできた者の名を忘れたか」
五辻モモカ:「──不敬である」
五辻モモカ:聖剣は静かに振り下ろされた。
GM:五辻モモカ。第二次ノヴァリス紛争を契機に広まった宗教思想集団『グレゴリオ』の主。
GM:学区間交流が盛んになった現在でも、かつての彼女の姿を知る者は、学外には少ない。
GM:だがキングダムに暮らす者ならば誰もが知っている。彼女はまさしく、それに相応しい力を持つということを。
GM:円卓第七席、"法王"。
グレゴリオ生徒:「法王様……!」
GM:何人かの集団が追いついてきたのは、全てが終わった後だった。
グレゴリオ生徒:「ご無事でしたか!?突出は危険です……!」
グレゴリオ生徒:「落ち着きなさい。法王様のお力なら、単独であれ遅れをとることはあり得ません」
グレゴリオ生徒:「法王様の読みに進軍を合わせられなかったのは、我々の力不足でした」
五辻モモカ:「構わぬ」
五辻モモカ:倒れ伏すエージェントから信徒へ振り返り、微笑む。
五辻モモカ:「ここに屋根を求めるものは既になし」
五辻モモカ:「お前達は剣ではなく傘であり、屋根だ。討つ事よりも救う事に注力するがいい」
五辻モモカ:「次へ。足を止める暇など私達には無いのだから」
グレゴリオ生徒:「ええ、このような時こそ、教えの通りに……!」
グレゴリオ生徒:「朗報もございます、法王様」
五辻モモカ:「……聞こう」
グレゴリオ生徒:「ついに、定時制が合流しました。詳しい話は……」
グレゴリオ生徒:後方に、ちらりと目をやる。
グレゴリオ生徒:「法王様が直接、お話しいただければ」

"血統王"バージニア・ダネシュティ:「――待たせたな、法王」
"血統王"バージニア・ダネシュティ:黒く長い髪と、それと対照的な白い肌。人外の美貌を持つ吸血種の混血。"血統王"バージニア・ダネシュティという。
"血統王"バージニア・ダネシュティ:「定時制の契約を解くために随分血を使ってしまった。……だがこれで、ようやく共に戦えるな」
五辻モモカ:「……血統王」
五辻モモカ:振り返り、その背丈に見合った柔らかい笑みを浮かべる。
五辻モモカ:「君と同じ願いを持って戦えることを誇りに思う。私は……嬉しい!」
五辻モモカ:少しだけ、平時を思わせる声色を取り戻しながら頷く。
GM:八月革命に応じて動いたのは、全日制の円卓議会だけではなかった。
GM:魔術契約で縛られている定時制の生徒達は、本来、こうした有事に当たって理事会の手駒となるべき生徒である。
GM:生徒同士をぶつけることで事態収束を図ることがあり得た――だが"血統王"は、その事態を防ぐための準備を進めていた。
GM:名を用いる縛りよりも遥かに強制力の高い、当人同士の血を用いた契約による上書き。
GM:そのような荒療治を定時制の生徒の大半に施すことなど、誰も想定していなかった。"血統王"の人望と力のみがそれを可能とした。
五辻モモカ:「身体は……大事無いのか?万全を期す時間は無いが多少の時間ならば私が稼いでみせるぞ」
五辻モモカ:嬉しそうな笑みを引っ込め、血統王に歩み寄る。
"血統王"バージニア・ダネシュティ:「なに……却って調子が良い」
"血統王"バージニア・ダネシュティ:「それに決起を呼びかけた己が、安全な後方で見守るわけにはいかないだろう」
"血統王"バージニア・ダネシュティ:「この革命は……友が、命を賭けた仕事なのだからな」
五辻モモカ:「…………そうか。では、存分に頼りにさせてもらおう」
五辻モモカ:「──我々の王国の為に!」
"血統王"バージニア・ダネシュティ:「ああ。王国のために」
グレゴリオ生徒:「法王様!」
グレゴリオ生徒:「法王様!」
グレゴリオ生徒:「法王様!」
五辻モモカ:「では──行こう」
五辻モモカ:一歩踏み出し、僅かな間街路に転がる物体へ視線だけを向ける。
五辻モモカ:(やはり──お前達の祈りは聞こえない)
GM:定時制と合流したグレゴリオの戦いは、快進撃と表してよかった。
GM:一度は崩れかけた戦線を持ち直し、重要目標である理事会の要塞前まで迫った。
GM:要塞前には、理事会の未知の兵器だろうか――黒く歪んだ、死神の如き巨大な影が揺らめいている。
GM:15mほどの、見上げるような高さ。鎌のような影の器官が通過すると、建造物が塵のように風化して切断される。
GM:つまり、すでに交戦していた。双方にとって想定外の戦力が介入している。
影:「お前達は許されない。お前達は許されない。お前達は許されない。お前達は許されない」
影:無機質に呟き続けながら、転移を繰り返す小さな目標を鎌で捉えようとしている。
ヒナテア・オルブライト:「ええい、すまんすまんと、何度も、言っているだろうがっ!」
ヒナテア・オルブライト:「そこまで言うならもう金輪際言わんぞ!逆効果だ!」
ヒナテア・オルブライト:鎌が刈り取るその寸前、その身がぱっと小さく転移。動きを把握するように、或いは見せるように。
ヒナテア・オルブライト:「聞く耳持たぬというならば、耳と言わず全身飛ばしてくれる!」
影:「お前達は許されない。お前達は許されない」
ヒナテア・オルブライト:動きを誘導された影の頭上、空間が歪み光熱が溢れて眩く焼き付ける。
GM:――ドドドドドドドドドッ!!
GM:それと同時に街路の一角から多連装ロケットが立て続けに発射され、影に着弾する。
影:「……」
影:「お前達は許されない」影は削り取られているが、半実体めいた存在である。火力の七割は減衰しているように見える。
影:もっともそれは、魔術的な手段に対してもそうだ。実体であり、実体でない。
プロンプト015C:〈やはり、通常兵器の有効性は低いようです〉短い通信が入る。
ヒナテア・オルブライト:「力押しで流し切れんほどではないが、後が続かんな」宙に浮かんだ身体がぐりんと縦方向に回転。
ヒナテア・オルブライト:「君たちはどうだ、なにか別の切り口があるか?」
ヒナテア・オルブライト:未だ遠き距離ながら、大きく見開いた目と妙に通る声が法王を捉える。
五辻モモカ:「………ふ。太陽のように眩しき我が妹よ!」
"血統王"バージニア・ダネシュティ:「妹……?」
五辻モモカ:突然声を掛けられて目を見開きながらも、地面を蹴って傍へ立つ。
五辻モモカ:「見た所、物理的な干渉は効果が低いようだな」
"血統王"バージニア・ダネシュティ:(今、妹って言った?)
ヒナテア・オルブライト:「おうとも姉上」これといって特に面識はない。
プロンプト015C:〈グレゴリオの五辻モモカ様と、定時制のバージニア・ダネシュティ様〉
プロンプト015C:〈通信越しの挨拶、失礼します。私はプロンプト支配人、プロンプト015C〉
プロンプト015C:〈そちらのヒナテア・オルブライト嬢ともども、訳あって今回の革命に参画いたします〉
五辻モモカ:「む!あそこは良い所だ。妹達も世話になっている!」
五辻モモカ:「貴殿の力添えを得られるとは……心強い!」
ヒナテア・オルブライト:光輪が熱線が放ちながら自在に飛び回り、僅かな会話の間も影の攻勢を凌いでいる。
"血統王"バージニア・ダネシュティ:「結構なことだ。あれは相当な高位の使い魔だろうが、今、ここに集った者達で突破できぬほどのものでもあるまい」
"血統王"バージニア・ダネシュティ:こちらも、歩きながら血の槍をいくつも生成し、視認不可能な速度で撃ち込み続ける。
五辻モモカ:「うむ!見た所まともに効果が見込めるのは出力の2~3割程度だが……それで諸共吹き飛ばしてしまえば問題なし!」
"血統王"バージニア・ダネシュティ:「一点集中だな」
ヒナテア・オルブライト:「力を束ねて一挙に爆破、共同戦線の醍醐味だな!如何に合わせる!」
プロンプト015C:〈照準設定と時刻合わせはこちらで行えます。出会ったばかりで不躾な要望となりますが――〉
プロンプト015C:〈力をお貸しいただきたく思います〉
"血統王"バージニア・ダネシュティ:「……ふ」すでに、数本の槍を収束し、空気を震わせるほどの運動エネルギーを蓄積している。
"血統王"バージニア・ダネシュティ:「商人がこう頼んでいるようだが、どうする。法王」
五辻モモカ:「うむ!血脈違えど心は同じところへ繋がっている!当然、信じるのみ!」
五辻モモカ:「聖剣──収束」
五辻モモカ:操作限界の高度まで浮遊させていた聖剣が、手に持ったそれに重なるようにして収束していく。
ヒナテア・オルブライト:両腕に戻った腕輪を併せてがちりと鳴らし、砲塔めいた一つの円筒を形成する。
影:「お前達は許されない。お前達は許されない。お前達は許されない」
GM:チチチチチチチッ
GM:街路から照射されたレーザーポインター光が、不規則に暴れる影を正確に追随して動く。
GM:ジェネシスから輸入された戦術演算AIによる予測である。攻撃の照準点を示す。
プロンプト015C:〈5。4。3。2。1。……0〉
"血統王"バージニア・ダネシュティ:――ヒ ン!
"血統王"バージニア・ダネシュティ:風切り音が手元で響いた。射出された槍の速度は、誰も視認はできない。黒髪が靡く。
ヒナテア・オルブライト:──ご、ぼぁ
ヒナテア・オルブライト:砲塔内に開かれた極小門から太陽の風が溢れ出で、荷電粒子の奔流が空を焼く。熱波が駆ける。
五辻モモカ:「───祈れ」
五辻モモカ:同タイミングで地を蹴り、影を見下ろしながら聖剣を振り下ろす。
五辻モモカ:数えきれないほどの願いが収束した刃が空を切り裂きながら影へと迫る。
影:影の巨体は、円形に抉れた。
影:全ての攻撃が同時に着弾し、集中した応力が内側から爆ぜ、向こう側の景色を見せた。
影:「……お前達、は……」ズズ
影:ズ……
影:崩れ落ちると同時に形を失い、消える。
"血統王"バージニア・ダネシュティ:「……ふ。消えたな。これだけの使い魔だ。術者も死んだやもしれん」
五辻モモカ:「……うむ!流石だ!」地面へ降り立って満面の笑みで振り返る
五辻モモカ:「見事な指揮にも感謝する!」通信越しにも聞こえるよう、声を張りながら
プロンプト015C:〈恐縮です〉
ヒナテア・オルブライト:「共闘感謝する。円卓の王と定時制の君主が揃い踏みとは」
ヒナテア・オルブライト:「実に喜ばしい限りだ。戦力面のみならず、輝かしき未来への期待を民が持てよう」
"血統王"バージニア・ダネシュティ:「ヒナテアとか云ったか。良い王鍵を持っているようだな」
"血統王"バージニア・ダネシュティ:「あの間隔で転移を繰り返せるのなら、転移一度あたりの代償が強いというわけでもあるまい」
"血統王"バージニア・ダネシュティ:「今、己達は戦力を一点に集中した状態だが、それをこの戦場のどこにでも移動させられる」
ヒナテア・オルブライト:「耳慣れぬだろうが名をタコスメラ宇宙閘という。この上なき至上の力と自負しているよ」
ヒナテア・オルブライト:「大した代償もなし、利用したければいつでも頼りたまえ」
五辻モモカ:「ヒナテアというのか!良い名だ!君のようなモノが居ると分かれば士気も上がるだろう!」
ヒナテア・オルブライト:実際には契約者の精神を酷く歪める類いのものだが、彼女は既にそれを自覚できる段階ではない。
ヒナテア・オルブライト:「そうだろうそうだろう!太陽の化身たる私はただそれだけで道を照らしてしまうものな」
ヒナテア・オルブライト:「あ、ダネシュティくんは吸血種と聞いているが私と一緒に居ると苦しかったりしないか?翳る?」
"血統王"バージニア・ダネシュティ:「太陽を克服するための混血だ。今この状況で、好き嫌いを吐いていられるか」
"血統王"バージニア・ダネシュティ:「それに生憎、太陽の知り合いは既にいるものでな。君如きが気にすることではない」
ヒナテア・オルブライト:「なるほど見事。今後も全力で輝くゆえ無用な気遣いは許してくれよ」
ヒナテア・オルブライト:「今語り考えるべきは戦の趨勢。プロンプト015C、次はどこへ行こうか?」
プロンプト015C:〈このまま進軍するのもよいですが、本校舎の守りを固めるのが上策。……と、戦術AIは分析しているようです〉
プロンプト015C:〈理事会の一連の戦力配置は、生徒の注意を要塞側に惹きつけるためのものである可能性があると〉
プロンプト015C:〈私もすぐそちらに合流します。ヒナテア様は転移の準備をお願いします〉
"血統王"バージニア・ダネシュティ:「長距離の転移に絶対の安全はない。己は行くつもりだが、君はどうする。法王」
"血統王"バージニア・ダネシュティ:「本校舎に加勢するというのも、判断としては順当なところだろう」
五辻モモカ:「本校舎はまかり間違っても抑えられる訳にはいかん」
五辻モモカ:「本来ならば速やかに戦いを終えるべく進行したいところだが……私も同行する」
五辻モモカ:(妙な胸騒ぎもする。"父"の警告なのだろうか)
ヒナテア・オルブライト:金環が頭上に浮かび直径を広げる。望めば即座に転移門が降り、頭からぱっくりと飛ばされることだろう。
GM:車両の音が近づいてくる。プロンプト015Cの自動運転装甲車だ。
GM:だが、その時――
GM:頭上に浮かんでいた光輪が消失する。まったく前触れなく、タコスメラ宇宙閘との接続が絶たれた感覚があった。
ヒナテア・オルブライト:ひゅぅう、ごんっ
ヒナテア・オルブライト:「あだっ」急にこぢんまりと収まって、浮遊機能の切れた腕輪が頭に直撃。
"血統王"バージニア・ダネシュティ:「……どうした?侵蝕限界か?」
ヒナテア・オルブライト:「ううむ、私はこの通りぴんぴんしているが……」
五辻モモカ:「……?」
GM:異変が生じたのは、ヒナテア・オルブライトだけではなかった。
GM:常に聖剣を展開していたはずの五辻モモカも、白面の祈りがいつの間にか不活性化していることに気付いた。
五辻モモカ:「………………これ、は」
ヒナテア・オルブライト:「おら、動け。堂々巡れってのに」落ちた腕輪をはたくたび、しゃりんしゃりんと音が鳴る。
"血統王"バージニア・ダネシュティ:「法王……?」
"血統王"バージニア・ダネシュティ:「どうなっている。二人とも………」
ヒナテア・オルブライト:「指切った……これはどうやら、そういう事らしいな姉上?」
五辻モモカ:「──ああ。戦術AIとやらの危惧が見事に的中してしまったな。良い買い物をしたものだ」
五辻モモカ:首元に掛けられた彫刻を見ながら目を細める。
ヒナテア・オルブライト:まばゆく怪しげな輝きを帯びていた装身具は曇り、手足に嵌ったその姿は囚人を繋ぐ枷の如く変わり果てた。
プロンプト015C:装甲車が到着する。後部座席のドアが開き、プロンプト015Cが顔を覗かせた。
プロンプト015C:「皆様。どうやら、すぐ本校舎へと加勢に向かう必要がありそうです」
プロンプト015C:「生徒の方々の通信を傍受したところ」
プロンプト015C:「つい今しがた、本校舎が陥落したと」
ヒナテア・オルブライト:「そうか。ではこちらからも良い報せだプロンプト015C」
ヒナテア・オルブライト:「君の戦術的価値は否応なしに爆上がり中だぞ、それはもう高く売りつけるが良い」
ヒナテア・オルブライト:「何しろ私たちの勝利の鍵が、只今を持って失効したようなのでな」
"血統王"バージニア・ダネシュティ:「……王鍵が」
"血統王"バージニア・ダネシュティ:「停止している――」
五辻モモカ:「うむ!全く持って動く気配がない!」
五辻モモカ:「困ったな!」
ヒナテア・オルブライト:「装甲車一台がこんなに大きく有難く見える!」
ヒナテア・オルブライト:「いや実に良い盟友を得た!はっはははは!」
"血統王"バージニア・ダネシュティ:「車か……機械はあまり好きではないのだが」ため息をつく。
五辻モモカ:「致し方なし!プロンプト015C、到着までにまともな剣の類を売ってくれると助かる!」
五辻モモカ:元気よく落胆しつつ、つま先立ちになって装甲車へ乗り込む。
GM:ロイスと購入判定が可能です。購入判定は一人につき二回可能です。
GM:すぐに戦闘に入るので、それを踏まえてアイテムを購入してください。
ヒナテア・オルブライト:この場合、モモカちゃんが何を欲しいかで購入内容が決まるんだよね
五辻モモカ:う~ん……!起点エフェクトの問題で武器はほぼ使い捨てる事になるので質より数が欲しいですね
GM:安めの白兵武器を揃えるのがいいのかしらね
五辻モモカ:いざとなったら素手を砕いて撃ちますがあった方が安心!
ヒナテア・オルブライト:盟友:プロンプト015C/P信頼〇:N不甲斐なくてごめんね
五辻モモカ:ヒナテア・オルブライト 親愛○/親愛
五辻モモカ:という事でまずは自前でナイフでも購入しようかな
五辻モモカ:2dx+2>=6
DoubleCross : (2DX10+2>=6) → 10[4,10]+4[4]+2 → 16 → 成功
五辻モモカ:ふっ……
五辻モモカ:続けてもう一本!
GM:すごーい!
五辻モモカ:2dx+2>=6
DoubleCross : (2DX10+2>=6) → 5[3,5]+2 → 7 → 成功
GM:すっごーい!すっごーい!
五辻モモカ:よし。2回行動権利を得ました。砂の加護があるので高いやつを人に買ってあげる場合は声かけてください
ヒナテア・オルブライト:なら私はどうしようかな
ヒナテア・オルブライト:ショットガンを購入してみたい。砂の加護貰えるかな?
五辻モモカ:OK!
五辻モモカ:《砂の加護》判定ダイス+6個。侵蝕3
五辻モモカ:五辻モモカの侵蝕率を3増加(36 → 39)
GM:社会性1の女が急にとんでもない社会強者に
ヒナテア・オルブライト:私の社会力が……7倍に!
ヒナテア・オルブライト:7dx+1>=11 調達判定、ショットガン
DoubleCross : (7DX10+1>=11) → 10[1,4,4,9,9,10,10]+9[5,9]+1 → 20 → 成功
ヒナテア・オルブライト:姉妹タッグの力!
ヒナテア・オルブライト:もう1回の判定は法王の白兵武器にしよっか
ヒナテア・オルブライト:伸縮性警棒あたりで良いかな?
ヒナテア・オルブライト:1dx+1>=5
DoubleCross : (1DX10+1>=5) → 4[4]+1 → 5 → 成功
ヒナテア・オルブライト:これが謀略の牢獄から解放された私本来の力
GM:みんなよく成功するなあ
ヒナテア・オルブライト:モモカちゃんにあげま~す
五辻モモカ:ヒナテア~♡
GM:八月革命のパワーがそうさせているのか……判定成功で皆Happyだ
GM:ということで昼の部はここまで!21時にまたよろしくお願いします
◆[PAST]Opening◆竜胆ジョウカ
GM:登場侵蝕をお願いします。
竜胆ジョウカ:32+1d10
DoubleCross : (32+1D10) → 32+4[4] → 36
キングダム市街 集合住宅

GM:市街のところどころで火の手が上がっている。
GM:この住居も含め、住宅区の建物はほぼ無人だ。戦う者も、戦えない者も、それぞれが別の場所へと向かった後である。
GM:竜胆ジョウカがここに辿り着いているのは半ば成り行きだが、もう半分は自らの意志であった。
GM:大ノヴァリス博物館館長、円卓第五席"金剛王"フローレンス・アシュモールを激戦の末に撃破し、
GM:襲いかかる学芸員を返り討ちにし、そしてその勢いのまま、大ノヴァリス博物館を包囲する幻獣兵器の軍勢を単独で突破し殲滅した。
GM:そうした大規模戦闘の結果として、大ノヴァリス博物館の内外の脅威は、ひとまず排除されたように思う。
GM:現在の主戦場はどれも大ノヴァリス博物館からは離れており、戦線が大きく崩れない限りは、収蔵物の安全を守ることはできそうだった。
GM:今朝まで人が住んでいたであろうアパートの一室。ある程度体を休め、傷を癒やすことはできたが、いつまでもここにいるわけにはいかない。
GM:時間が経つほどに、再び博物館が危険に晒される可能性は高まるだろう。それが理事会の手によるものであれ、生徒によるものであれ。
GM:体を休めながらも、どの地点に、どのように介入するべきかを決定し、動き出す必要がある……
竜胆ジョウカ:「……」壁に寄りかかって休ませていた身体をもぞもぞと動かす。
竜胆ジョウカ:リザレクトは十分すぎるほど働いた。多少傷は残っているが、前線に立つには十分。
竜胆ジョウカ:「……前線に立つ」そうしなければならない。その上で気になるのはむしろ侵蝕率だ。
竜胆ジョウカ:「これで、最後……」懐に用意していた瓶を開け、中身を口に含む。
竜胆ジョウカ:途端に高侵蝕時特有の万能感が吹き飛び、全身を寒気が襲う。
竜胆ジョウカ:口にしたのは、廃棄区画に流れ着いた”ダウナー系”のドラッグやエナヴァイドDをちゃんぽんにしたもの。
竜胆ジョウカ:中毒になるので飲み切らないように、と考えていたが。ここまでの戦闘で全て使いきらされた。
竜胆ジョウカ:(流石は円卓)(金剛王……油断ならない相手だった)
竜胆ジョウカ:準備・奇襲・人質・そもそもの相性。全てが優位に働かなければ、ここに立っているのは彼女だったかもしれない。
竜胆ジョウカ:「だけど倒した」そう。自分は革命に成功した。
竜胆ジョウカ:――だがその革命は、本来許されるものではない。当然だ。
竜胆ジョウカ:生徒は時勢もわきまえずにやらかした私を嫌うだろう。
竜胆ジョウカ:今までは下剋上も多めに見ていた理事会も、たとえ沈静したとしても、この情勢では反逆の機運に繋がる私の動きは許さない。
竜胆ジョウカ:理事会が勝った方がスムーズに館長職に就けるだろうが、その場合は、
竜胆ジョウカ:「あの前館長みたく、収蔵品のクソみたいな扱いを強制されかねない……」
竜胆ジョウカ:前、と意識して口にした。自身を奮い立たせるためだ。
竜胆ジョウカ:「……よし」
竜胆ジョウカ:為すべきことは一つ。革命に生徒側として参加し、前線で先陣を切って戦う。
竜胆ジョウカ:指図する存在がない社会で、指図されない地位を得る。それが私の最大の勝利だ。
竜胆ジョウカ:「……あ。触媒になりそうなもの、大方使い果たしちゃったな……」
竜胆ジョウカ:「パク……いや、それは流石に」
竜胆ジョウカ:自制が働き、緩慢な動きで外に出る。何かしら落ちているだろう。
GM:そうして、リビングルームから出たその時。
GM:玄関の扉に寄りかかって、一人の生徒が立っている。いつ入ったのか――

コルナ・ラスペ:「見つけたぜ。竜胆ジョウカ」
竜胆ジョウカ:「……あー、すみません。部屋借りて……はい?」
コルナ・ラスペ:「博物館じゃ随分暴れたそうじゃあないか……」
竜胆ジョウカ:「……まあそうですが。ですが革命を妨げるつもりはありません」
竜胆ジョウカ:「あくまで私は博物館を守るために戦っています。ご理解いただければ」
コルナ・ラスペ:「よっぽどの理由があるのは分かるよ。そうじゃなきゃ"金剛王"様と戦おうだなんて思わないよな」
コルナ・ラスペ:「ただ、学芸員達はアンタのことを随分怖がっててね……」
竜胆ジョウカ:生徒なので革命側と予測。万が一に備え、床をぶち割って逃げられるよう、ポケットの中で準備をする。
竜胆ジョウカ:「でしょうね。いない間に嫌がらせとかされないように、意図的にも怖がらせましたし」
コルナ・ラスペ:「アタシは最前線に出たら一発で消し飛ぶようなモヤシだが」
コルナ・ラスペ:「代わりにこういう仕事をしてる。生徒内部の……スパイだとか不穏分子を、一個ずつ潰してく役目ってわけ……」
コルナ・ラスペ:「――アンタの弱点も分かってるぜ。竜胆ジョウカ」
竜胆ジョウカ:「……」
コルナ・ラスペ:「アンタに人質は効かないが、遺産はどうかな?」
コルナ・ラスペ:「『開放裁定』でアタシは二つ、王鍵をちょろまかしてきた」
コルナ・ラスペ:「一つは自分で使うため。もう一つは……」
GM:スーツ姿の少女は戦闘態勢に入っていないが、視線を媒介とする王鍵だと確信できてもいいだろう。
竜胆ジョウカ:「それを私に、とかだったら嬉しいんですけど。どうでしょう」
GM:――コルナ・ラスペ。後に"賭博王"と呼ばれる。
GM:八月革命中、生徒内部の始末屋を担っていた理由は、彼女のそれが、一対一ではまず負けない王鍵であるからだ。
コルナ・ラスペ:「天から下れ」
コルナ・ラスペ:「奴隷意志論」
GM:視線を用いて、意志に干渉する能力を発動しようとした。
GM:竜胆ジョウカもその性質は理解し、回避する手は打っていただろう。
GM:……だが。
コルナ・ラスペ:「……!?あれ!?」
コルナ・ラスペ:サングラスを外し、まぶたの上から自分の目をペチペチと叩く。
コルナ・ラスペ:「あれ~~~!?」
竜胆ジョウカ:「……王より道化のほうが向いてますよ」
竜胆ジョウカ:他のパーツを切り飛ばして無理矢理解除、みたいなことを考えていたがそんな感じではないのを感じる。
GM:王鍵は不発だった。『開放裁定』で手に入れたばかりの遺産を、扱いきれていないのか。それとも別の理由か。
GM:いずれにせよ……
コルナ・ラスペ:「ま、待った!王鍵がどうなってもいいのか!?そう、アンタの弱点は人質より遺産の方が効くってこと……!」
竜胆ジョウカ:「"奴隷意志論"だとしたら抜ける手段は使い手狙いしかないと考えてましたが、これは好機」
竜胆ジョウカ:「"此処より西へ吠え猛れ、ヴェントラグツァの風"」魔術を起動。風の刃は手足などという迂遠な箇所は狙わず。
竜胆ジョウカ:「操作がなくて精密に動かせるなら、目ごと行きます。リザレクトと十字冠の効き目を祈っててください」
コルナ・ラスペ:「ヤダーッ!」
GM:ガシャーン!!
GM:アパートの窓ガラスから、スーツの生徒が血まみれで吹き飛ばされる。
GM:そして、落下と同時に十字冠転送された。
GM:コルナ・ラスペ転送の後には、彼女が持ち込んできた王鍵だけが残されている。
竜胆ジョウカ:「あっクソ、手加減し損ねた……まあ、遺産が安全圏に行くならいいか」
竜胆ジョウカ:「……こっちは?」
GM:彼女は巧みな詐術で、『開放裁定』で二つもの王鍵を手に入れていた。
GM:そのもう一つは用途不明であり、有力な適合者もいない。優先順位がひどく低かったため、遺産管理委員会の注意からも外れていたものだ。
竜胆ジョウカ:「ったく……」小型のキャッシュケースを開け中身を改める。
竜胆ジョウカ:「……手袋……これといった特徴無し」
竜胆ジョウカ:"鴉の塔"に収蔵された遺産の情報は、当時市井に出回るものではなかった。
竜胆ジョウカ:開放裁定で流出した物品のリストこそ(襲撃の結果)手に入ってはいるものの、緊急時故に頭に叩き込んだのは
竜胆ジョウカ:即座の暴走の危険のあるものだけ。後で照らし合わせることにして、再びケースを閉めておく。
竜胆ジョウカ:「……それよか位置がバレてるってこと、ですよね。全く」
GM:開放裁定。コルナ・ラスペがそうだったように、それは昨日まで一般生徒であったような者達にすら、王に匹敵する力を配給した。
GM:緊急避難的なものとはいえ、これも"金剛王"と同じような、収蔵すべき遺産を危険な環境に晒す裁定には違いない。
竜胆ジョウカ:「……ったく、どいつもこいつも……!」タオルをかっぱらってきてケースごと包み、一回り大きい鞄に突っ込む。
竜胆ジョウカ:本当に最低限だ。余裕があるなら抱えて自傷による十字冠転送をし、後方に安置しに行くのだがそれをしていると己が危うい。
竜胆ジョウカ:すなわち館をあるべき形にできない。不遜だが、その自信はある。それなら逆に持ち運んでやった方が、管理の面ではいいだろう。
GM:パ パパパッ
竜胆ジョウカ:「あ?」
GM:遠くの方角で、いくつかの転送光が瞬いた。
竜胆ジョウカ:何かに使えないかとガラス片を拾い上げつつ、その光を見る。
GM:本校舎である。『鴉の塔』同様、この革命で真っ先に生徒が制圧した施設であったはずだ。
竜胆ジョウカ:「こっぴどくやられ……あ。あー……。"円卓"」
ダリオ・ガラヴェンタ:〈現在、緊急放送を行っています。処記官のダリオ・ガラヴェンタです〉
GM:市内に設えられたスピーカーから、ノイズ混じりの全域放送が流れている。
GM:ダリオ・ガラヴェンタ。竜胆ジョウカの出身セル、"マキネッタ・キネマ"の遺産管理エージェントである。
竜胆ジョウカ:「アレが遺産使えなかったの、そういうことか……敵も上手いな」
ダリオ・ガラヴェンタ:〈キングダム生徒の皆さんに告げます。この暴動は鎮圧に向かいつつあります。理事会は暴徒から本校舎の制御を奪還しました〉
ダリオ・ガラヴェンタ:〈また暴徒への対処のため奮戦している生徒の皆さんにおかれましては〉
ダリオ・ガラヴェンタ:〈現在、理事会権限によって一部王鍵の機能を停止していることをお詫びいたします〉
竜胆ジョウカ:「答え合わせだ」
ダリオ・ガラヴェンタ:〈これはごく少数の反抗的生徒による王鍵濫用を防止するための措置であり、生徒の皆さんを害するものではありません……〉
竜胆ジョウカ:(王鍵ゆえの弱みが出た、という感じですね。厳しそうだなあ)プロパガンダパートを聞き流しつつ、思考にふける。
竜胆ジョウカ:(円卓の一括管理に紐づけることで出力は安定するが、円卓側から制御できてしまう。停止が大雑把な分まだマシではありますが)
ダリオ・ガラヴェンタ:〈……のプロトコルに指定された避難地点で身を守る行動を取ってください。各被災地にもじき、理事会エージェントが派遣されます〉
ダリオ・ガラヴェンタ:〈また、今回の同時多発テロ首謀者である雨月夜シオンは、先程ジェネシス地区で死亡が確認されています。今回は誤報ではなく……〉
竜胆ジョウカ:(武装を取り戻すためにも熱を取り戻すためにも、革命勢力は本校舎の奪還に動く。……あー)
竜胆ジョウカ:「その時に円卓を再起動させる役目の奴が要る」
竜胆ジョウカ:「なるほど。それがやるべきことですね」
竜胆ジョウカ:今放送しているのが誰か、とか誰の訃報が流れた、とかは、個人的には些事。
竜胆ジョウカ:重要なのは、まだ戦闘が終結していないこと。
ダリオ・ガラヴェンタ:〈……生徒の皆さんへの指示は以上となります。キングダム理事会は投降者に対し、非常に寛大な措置を約束いたします〉
竜胆ジョウカ:たとえ本校舎が奪還できずとも、自分だけ潜り込んで円卓を再起動する。それだけでも反攻がまた動き出す。
ダリオ・ガラヴェンタ:〈……………。補足いたします。まだ、反抗している、テロリストども〉
ダリオ・ガラヴェンタ:〈人間みたいに生きていけると思うなよ〉
ダリオ・ガラヴェンタ:放送は終了する。
竜胆ジョウカ:「馬鹿言っちゃって。どんな形に押し込められても、止まらないのが人間ですよ」
竜胆ジョウカ:荷物を纏め、立ち上がる。言っても遺産くらいしか入ってないが、十分だ。
竜胆ジョウカ:「触媒になりそうなものを拾いながら……いや、前線行きが先か?」
竜胆ジョウカ:「もうちょっと大規模戦闘教練、真面目に受けとけばよかったかな……」
竜胆ジョウカ:「……あ、嘘。雑貨屋ある。そこで全部仕入れるか」ぶつぶつ思考を口に出しながら歩き出す。
GM:ロイスと購入判定が可能です。購入判定は二回できます。
竜胆ジョウカ:ロイスは一旦保留とさせてください!ダ……ダーリン?みたいな人の話、全然聞いてない感じになっちゃったし……逆に失礼かなって……
ダリオ・ガラヴェンタ:コラ~~!
ダリオ・ガラヴェンタ:殺すぞ~~~!
GM:金剛王のロイスはもう持ってる?
竜胆ジョウカ:なかった とっちゃおうかな
竜胆ジョウカ:金剛王 尊敬/〇侮蔑 で もう終わったので
竜胆ジョウカ:購入……ブルーゲイル狙ってみようかな
GM:ひどい……
GM:ボコボコにされた上に侮蔑されてる、円卓なのに
竜胆ジョウカ:全体的に全てをナメている
竜胆ジョウカ:せっかくだし援護の風も乗せよう 侵蝕+2でダイス+7(侵蝕+2でダイス+7!?!?)
竜胆ジョウカ:9dx+1
DoubleCross : (9DX10+1) → 10[3,3,3,4,5,6,7,9,10]+8[8]+1 → 19
GM:ヤバすぎるエフェクト
竜胆ジョウカ:一点払って購入。侵蝕は38。
竜胆ジョウカ:もう一個……う~ん
竜胆ジョウカ:あっそうだ 高性能治療キット買えばいいんじゃないか?
GM:治療する時間はあんまりないかもしれませんよ
竜胆ジョウカ:一回誰かを直せるだけでも救える命があるかもしれないので狙ってみます
竜胆ジョウカ:2dx+1
DoubleCross : (2DX10+1) → 3[2,3]+1 → 4
竜胆ジョウカ:5払って購入。財産を……使い果たしたぜ!
GM:OK!次のシーンにいきましょう。
◆[PAST]Opening◆オリーヴ・ウェールズ
オリーヴ・ウェールズ :5dx+1>=9
DoubleCross : (5DX10+1>=9) → 9[5,6,7,8,9]+1 → 10 → 成功
キングダム本校舎前大通り

GM:黒煙と竜骸の影で曇った空の薄暗がりを、一直線に薙ぐような炎が走った。
GM:理事会が放った騎狼犬の群れもいくつか巻き込まれるが、それらは元より捨て駒として生徒を足止めするために放たれていたものだった。
理事会兵器:〈――ハハ、ハ!グハハハハハハハハハッ!〉
理事会兵器:外見は、FHがハイエンド兵器として採用している多脚戦車に近い。
理事会兵器:だがその装甲の隙間をよく見れば、ねじ曲がった骨や肉、目玉などが蠢き続けているのが分かる。
理事会兵器:〈なあ、おい――感謝するぞ!クソ王様ども!〉
理事会兵器:〈てめえらをずっとこうしてやりたかったからな!エエッ!?〉
理事会兵器:三本のレールのように生えた巨獣の背骨が、再び火葬の魔術を充填し始めている。
理事会兵器:〈いい日だ!死と、炎の臭いがする!〉
理事会兵器:〈順番を守って並べよガキども!?焼き尽くされる順番をな!〉
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「……醜い兵器だ」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:ビルの影に隠れ潜みながら、肉の戦車に目をやる。
オリーヴ・ウェールズ :「はい……それに、痛みと嘆きが鳴り止みません。辛いですね、戦闘というものは、やはり」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「しかし不思議なことだが」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「こんな状況でもやはりぼくは美しいのだな……皆が真面目に、決死の戦いをしているというのに」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「美しい……だが哀しい美しさだ」
オリーヴ・ウェールズ :「……今日はもう上限いっぱいまで褒めましたからね」小さな溜息。今日は既に20回行った。
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「分かっている。だけどビルのガラスに映る姿を見るとやはり……ふーむ」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「……オリーヴ。いい作戦はないかな」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「敵は兵器だけれど、獣のような柔軟性と敏捷性もある。火葬魔術は360度全方位が射程だと見ていいだろう」
オリーヴ・ウェールズ :「……近接戦闘は分が悪いですね。ここは……」
オリーヴ・ウェールズ :「私が一時的に足止めし、その間に両断してしまいましょう」
オリーヴ・ウェールズ :目の前の彼女にはそれができる。何よりの信頼と共に、一撃必殺を希う。
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「そういうことはできない。美しいオリーヴに何かがあったら大変だ」
オリーヴ・ウェールズ :「き、緊急事態ですよ!褒めてもらえるのは嬉しいですが……!」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「犠牲を出さず、距離を詰める方法がいい……つまり、美しい解決策だよ」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「泥臭い勝利は確かに勝利だが、あまり好きじゃない。勝っているのに満足感が薄いからね」
オリーヴ・ウェールズ :「といっても……所謂私、脳筋の部類ですし……ううん……」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「オリーヴ、オリーヴ」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「……」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「屈んで!」
オリーヴ・ウェールズ :「は、はい!」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:額に額を当てる。
オリーヴ・ウェールズ :反射的に、頭を向けて。
オリーヴ・ウェールズ :「ひゃっ……」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「ぼくのオリーヴ。そんな弱音を吐くな。自分を貶めることは、もっともよくないことだ」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「オリーヴは頭がいい。ぼくは何度も助けられた。だからこうして、"鉄騎王"の副官になっている。違うかい?」
オリーヴ・ウェールズ :「…………はい」しばしの涙目から、直ぐに真面目な表情へと戻り。理事会兵器を見やる。
理事会兵器:グジャ グジャリ
理事会兵器:焼き尽くされた獣の死体の上に覆いかぶさっている。『捕食』をしているのだ。
理事会兵器:外装だけならば機械じみているだけに、よりおぞましさを与える情景である。
オリーヴ・ウェールズ :「……捕食行動。機体の強化か、それとも膨大な消費にエネルギーを補充しているのか」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「……たくさんものを食べる敵と戦うなら、オリーヴはどうする?」
オリーヴ・ウェールズ :「空腹、食事の隙を狙います。それか悪いものでも食べさせてしまうか……」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「いいね。面白い。ちょうどあれは屍術師だ」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「なら、聖別された死骸こそ一番の弱点じゃないか?」
オリーヴ・ウェールズ :「確かに、彼らにとっては毒物のようなものです!内部に取り込ませれば……!」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「しかも、兵器の目の前に姿を晒す必要もない。可哀想な騎狼犬の魂も救ってやれる」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「これこそ美しい解決策だ!オリーヴ。頼めるかい?」
オリーヴ・ウェールズ :「───委細、承知しました。イリーナ様」
オリーヴ・ウェールズ :ビルの影に隠れながら、恭しく祈りを捧げる。彼の兵器を止めんがため、迷える魂を救わんがために。
オリーヴ・ウェールズ :『───Veni, creator spiritus,』
オリーヴ・ウェールズ :十字冠ではなく、彼女の背後より輝き始めるものがある。
オリーヴ・ウェールズ :『Mentes tuorum visita;,Imple superna gratia,』
オリーヴ・ウェールズ :発する言葉と共に、レネゲイドがうねり、廻る。黒の影が転化し、眩きヒカリへと変じて。
オリーヴ・ウェールズ :『───Quae tu creasti pectora.』

オリーヴ・ウェールズ :光輪。平凡であった彼女の家系が唯一継いできた、"主への祈りを力へと変ずる能力"。
オリーヴ・ウェールズ :信仰そのものである後光が、幾つもの光槍として別たれる。物質とも非物質とも捉えられぬそれは、尋常の機関では捕捉に入るまでに時間がかかる。
オリーヴ・ウェールズ :それに、なによりも。"敵意を込めていない"。
オリーヴ・ウェールズ :如何なる獣の勘であれ、自らを狙っていないものに対して、反射的に動けるかどうか。
理事会兵器:〈――ああ!?〉事実、屍術師がそれに気づいたのも着弾の直後だった。
オリーヴ・ウェールズ :光は空間に同化し、死骸へと突き刺さり、沁み込むように溶ける。
理事会兵器:〈射線が見えてんだよ!不意打ちを狙ったんだろうが……〉
理事会兵器:死骸を喰らいながら、砲塔をギョロギョロと動かして真後ろに狙いを定める。
理事会兵器:〈てめえから死ぬか?なあ!?〉
理事会兵器:〈お〉
理事会兵器:〈げえっ〉ビシャビシャビシャッ
理事会兵器:だが、火葬魔術が放たれることはなかった。骨と廃液が混ざったようなものが車両下部から大量に漏出し
理事会兵器:多脚戦車の姿勢は大きく崩れた。咄嗟に立て直すことができていない。
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「オリーヴ、先を任せる!」
オリーヴ・ウェールズ :「……参ります!」
オリーヴ・ウェールズ :『───聖刃、聖槍、聖杖』
オリーヴ・ウェールズ :オリーヴの上部に光輪が多重展開され、眩き輝きを灯す。
理事会兵器:〈長ったらしい、詠唱は〉
理事会兵器:〈雑魚の証明だろうがよ!あああああ!?〉
オリーヴ・ウェールズ :───その一つが、高速回転を開始。
理事会兵器:せめて動く武装である、鉄と骨が混じった脚部で刺し貫こうとする。
オリーヴ・ウェールズ :断罪の刃と化して、害意を与えんとする脚部を輪切りの如く裁断せしめる。
理事会兵器:生体組織と金属が多重に絡み合った複合素材の強度すら問題にならない。兵器が大きく傾く。
理事会兵器:〈ガキが……!〉
オリーヴ・ウェールズ :続いて、先と同じ無数の光槍が別たれる。脚部を縫い留め地に抑え込み。
理事会兵器:〈てめえらとは、潜ってきた場数が、〉
オリーヴ・ウェールズ :『輝きよ───』思考を許さぬ速度で、三度目。残った光輪の中心から一斉に放たれた光芒が、感覚器官を麻痺させる。
理事会兵器:〈ぐ、ぎ……ッ!〉

"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「きみは、ぼくの姿を見ない」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:空からの声。ビルから兵器直上へと飛び降りながら、鉄塊のような全身甲冑が、抜剣する。
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「――㴅せ」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「星界正義」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:ザ ン !!
GM:それを見るオリーヴは違和感を覚えるかもしれない。
GM:光閃で全てを消滅せしめる星界正義の剣は、その時確かに砲塔を完全に切断した。
GM:だが起動の瞬間、その出力は急激に弱まったように見えた。切断は、ただの斬撃の結果だ。
GM:理事会兵器はなおも動き続けようとする。
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「……ッ、これは!」
オリーヴ・ウェールズ :「聖剣の輝きが……?!」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「オリーヴ!そこから逃げ……」
理事会兵器:〈死〉
理事会兵器:〈……ねッ、ボケども!!〉
オリーヴ・ウェールズ :その違和感に、一瞬たたらを踏む。
理事会兵器:装甲を大口のように開き、巨大な舌の如き器官でイリーナを殴り潰そうとする。
オリーヴ・ウェールズ :今までこのようなことは無かった筈だ。彼の剣は、目の前の王の如く、美しい正義を───
オリーヴ・ウェールズ :「っ……!」
オリーヴ・ウェールズ :輝きを掌に載せて、腰を入れる。強烈な踏み込みが、即座にイリーナの目の前へと身を飛ばして。
オリーヴ・ウェールズ :「───はァっ……!」
オリーヴ・ウェールズ :絶対の防御を司る、聖人の拳。正面より襲い来る暴威を、全くの同じ力で押し留める。
理事会兵器:〈ば……はッ!〉
オリーヴ・ウェールズ :「……我らの罪を、赦したまえ」
理事会兵器:屍肉の舌は焼けただれ、肉と骨がグツグツと沸騰していく。
理事会兵器:〈ほざくんじゃねえぞ、ガキが……〉
理事会兵器:〈生まれてきたのが、罪のくせして〉
オリーヴ・ウェールズ :舌を通して、全力の祈りを注ぐ。理事会兵器の死肉を浄化し、全てを輝きへと変換して───
理事会兵器:――ド ン!!!
理事会兵器:光とともに、兵器は蒸発する。
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「……………」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:その場に立ったまま、イリーナは自分の手を呆然と見ている。
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「……」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「……すまない」
オリーヴ・ウェールズ :消えた理事会の兵器に祈りを捧る。分かり合えぬ敵だとしても、それでも。その後にゆっくりと振り返って。
オリーヴ・ウェールズ :「……いえ、これは……何が起こったのでしょう」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「美しく……勝てるはずだったんだけどな……オリーヴにも、つらいことをさせてしまった」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:鎧を脱ぎ、魔術で折りたたむようにペンダントへと収納する。
GM:滅ぼす敵には姿を見せない、というのがイリーナ・レシュリスカヤの信念だった。
GM:美しい自分を見るために悪行を成す者が現れてはならないので、そうしているのだという。
オリーヴ・ウェールズ :「……気になさらないで、美しい貴女。幸い、互いに怪我はせずに済みました」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「ああ。それに本校舎に攻めてきているのはこいつで最後だったはずだ。これなら――」
GM:――バシュ!
GM:転送光が、背後で光った。本校舎の中からだ。
GM:何らかの理由で、本校舎防衛についていた複数の生徒が同時に、転送されたということになる。
オリーヴ・ウェールズ :「…………これは」
オリーヴ・ウェールズ :「転送光。これ以外の敵がまだ……?!」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「やられたな。やっぱり、物理的じゃない形の侵入手段がまだあったんだ」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「作戦本部の解析が間に合わなかったってことだろう。この兵器も奴らの陽動だな」
オリーヴ・ウェールズ :「では、疾く本校舎へと向かわないと……!」
オリーヴ・ウェールズ :そう言って脚を進めようとして、はたと止まる。
ダリオ・ガラヴェンタ:〈現在、緊急放送を行っています。処記官のダリオ・ガラヴェンタです〉
ダリオ・ガラヴェンタ:〈キングダム生徒の皆さんに告げます。この暴動は鎮圧に向かいつつあります。理事会は暴徒から本校舎の制御を奪還しました〉
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「……どうしたんだい?オリーヴ」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「ぼくらが今この場にいて、奪還に向かえるなら、それは幸運のうちだ」
オリーヴ・ウェールズ :最悪の直感だ、もしかしたら、私達は───
オリーヴ・ウェールズ :「イリーナ様」
オリーヴ・ウェールズ :「もしや……星界正義の力を、現在振るうことが出来ないのではないですか?」
ダリオ・ガラヴェンタ:〈また暴徒への対処のため奮戦している生徒の皆さんにおかれましては〉
ダリオ・ガラヴェンタ:〈現在、理事会権限によって一部王鍵の機能を停止していることをお詫びいたします〉
オリーヴ・ウェールズ :続く放送で、その直感は真実へと変わった。
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「ふ、ふふっ」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:感情をこらえきれないように笑う。だがその感情は、怒りや恐れではなく……
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:なぜか、嬉しさがこみあげた笑いであるかのような。
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「オリーヴ。大丈夫だ」
オリーヴ・ウェールズ :「まさか、本校舎が襲撃されたどころか、王鍵までも停止されるなど……」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「王鍵がなくとも、ぼくは戦えるさ」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「この八月革命を最後に」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「ぼくは"鉄騎王"の名をきみに継ぐことになる」
オリーヴ・ウェールズ :「…………」
オリーヴ・ウェールズ :「……今、なんと?」
オリーヴ・ウェールズ :彼女の戦力に問題ないのは、長く共に居た故に知り尽くしている。正義の聖剣が無くとも、周囲に一切引けを取ることは無い。そう私は信ずることが出来る。
オリーヴ・ウェールズ :だけれど、今の表情は。そして、その言葉は。
オリーヴ・ウェールズ :普段の堂々とした彼女の美しさとは、少し違うものを感じて。
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「……鉄騎隊を招集する。使えるものはなんでも持ってこさせてくれ」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「キングダム本校舎を奪還する」
オリーヴ・ウェールズ :「……は、はい!」一瞬の間を置いて、反応を返す。
オリーヴ・ウェールズ :「現地には武装を使えぬ者も多いでしょう。替えの武器に、治療薬、考え得る全てを持ち込みます」
オリーヴ・ウェールズ :「……その、先のお話ですが」一度だけ振り返って、彼女の表情を見ようとして……
オリーヴ・ウェールズ :「いえ……それどころではありませんね、急ぎましょう」どうしても、見れなかった。見慣れたはずの、その美しい顔を。
GM:ロイスと購入判定が可能です。購入判定は二回できます。
オリーヴ・ウェールズ :ロイスは固定で実は存在するので……●尊敬/猜疑心に変更します。
オリーヴ・ウェールズ :購入2回、ええと……
オリーヴ・ウェールズ :破壊用の武器一つをまず購入しましょう
オリーヴ・ウェールズ :スタニングバトン、ダイス1個あるしいけるか……
オリーヴ・ウェールズ :1dx+1
DoubleCross : (1DX10+1) → 3[3]+1 → 4
オリーヴ・ウェールズ :ちょうど購入。
オリーヴ・ウェールズ :オリーヴ・ウェールズ の侵蝕率を1D10(→ 6)増加(29 → 35)
オリーヴ・ウェールズ :砂の加護を使用し、高性能医療キットを購入しに行きます
オリーヴ・ウェールズ :よし、無事購入。侵蝕は38
GM:OK!では本日の進行はここまでです。また火曜~
◆[PAST]Middle01◆円卓
GM:全員登場です。侵蝕率上昇をどうぞ。
オリーヴ・ウェールズ :オリーヴ・ウェールズ の侵蝕率を1D10(→ 9)増加(38 → 47)
ヒナテア・オルブライト:ヒナテア・オルブライトの侵蝕率を1D10(→ 4)増加(43 → 47)
五辻モモカ:五辻モモカの侵蝕率を1D10(→ 3)増加(39 → 42)
七十橋シスル:七十橋シスルの侵蝕率を1D10(→ 10)増加(47 → 57)
竜胆ジョウカ:38+1d10
DoubleCross : (38+1D10) → 38+3[3] → 41
キングダム市街 裏路地

GM:表通りの炎や悲鳴は、入り組んだ路地の中にまでは届いてこない。
GM:――だが、物陰に隠れようとも息を潜めようとも、誰も、八月革命と無関係ではなかった。
騎狼犬:「グァッ、グアアアアルルルルルッ、ガルッ、ギャウッ」
騎狼犬:「グルルルルルルルルルルッ!!」
GM:鋭い嗅覚を持つ騎狼犬は、人の通れぬ隙間にも入り込む。
竜骸:「……」
竜骸:「……」「……」「……」「……」「……」「……」
竜骸:猟犬を追う猟師のように、その唸り声に引き寄せられて竜骸が無数に現れる。
キングダム一般生徒:「……!」
キングダム一般生徒:負傷し、物陰に隠れている生徒達は、ただ悲鳴を押し殺しながらその恐怖に耐えるしかない。
GM:単純な戦術上では、理事会側に彼女らを十字冠転送する意味はない。
GM:もはや戦闘能力と意志を失った者達だからだ。このようなことが起こっているのは、単に、そうした生徒を攻撃目標から除外するコストが不要であるから。
GM:そして繰り返し恐怖を刻みつけることによって、『次の反抗』を抑圧できると考えているから。
七十橋シスル:ざり。竜骸と騎狼が密集した、その路地裏に。
七十橋シスル:無防備に、自ら足を踏み入れるものがいる。
騎狼犬:「グァルルルルルルグッ!!!」足音には敏感に反応した。騎狼犬が新たな獲物のもとへと殺到する。
七十橋シスル:襤褸布のような、手製のローブを羽織った少女だ。苛立たしげに目つきとは裏腹に、武器らしきものは一つもない。
騎狼犬:「ギャァアグルォッ!!」
七十橋シスル:「オイ。そこの。生きてんな?」 声は奇妙に通った。理事会の生物兵器を無視し、見えてもいない奥の生徒達に呼びかける。
キングダム一般生徒:「……!」恐怖のため答えることすらできていないが、息遣いだけはまだ聞こえる。
七十橋シスル:「いいか――耳を塞げ。口を開けて地に伏せろ」
七十橋シスル:「蜜蜂が怒りに燃えて飛び出すように」 虫食い穴の開いた羊皮紙を、一つ放る。
七十橋シスル:「"耳鳴り"」
七十橋シスル:ギャ ギィギギギギギィギイギィィィイ!!!
七十橋シスル:騎狼犬の耳。竜骸の、何らかの感覚器官。その内側から、異常爆音の雑音が響く。
騎狼犬:「「「ギャフベロハギャベバブジョハバ」」」
騎狼犬:騎狼犬達は悶え苦しんで路地に転がる。
七十橋シスル:平衡感覚の欠如。絶えない不快感。本来は、その程度をもたらす呪いだ。
竜骸:ただし生徒達を襲っている竜骸は、そうした生物的な苦痛とは無縁のように見える。
竜骸:頼りないバリケードを一枚ずつ引き剥がし、中の肉へと辿り着こうとしていた。
七十橋シスル:ローブを翻し、地を蹴った。その内側には、無数の媒介が収まっている。
七十橋シスル:松ヤニの蝋燭。虫食い穴の開いた羊皮紙。男の顔が描かれた素焼きの壺。枯れ花が沈んだ水瓶。砕けた櫂の破片。上下に口のついた杯。
竜骸:バリケードの中を漁る必要がない、と気付いた個体もいる。その二、三羽は、ローブ姿の少女へと低空飛行で向かう。
竜骸:「……」「……」
七十橋シスル:「茨の近く 井戸のほとり」
七十橋シスル:「盗人の首に輪がかかる」
七十橋シスル:手元の、木彫りの人形を捻る。無数の竜骸の、その首が、螺旋状に同じように捻り殺される。
竜骸:――ヂッ!!!
竜骸:バタバタと、重い霙が落ちるような音だった。
キングダム一般生徒:「……っ、わ、竜骸が……」
キングダム一般生徒:弱々しい声。まだ意識を保っているのならば、先程のシスルの忠告通りにしたのだろう。
七十橋シスル:「雑魚が。これ持ってろ」 螺旋に捻った人形を投げ渡す。「同じ相手だと効き続けるから楽で良い」
キングダム一般生徒:「……あのっ。……ど、どうして……」
キングダム一般生徒:まだ幼い、中等部に入りたてのような少女だった。
キングダム一般生徒:「こんなところまで……だ、誰も、助けに来ないんじゃないかって……」
七十橋シスル:「あァ? そうだろうな。こいつらも」竜骸の、骸を蹴り転がす。その胴体を削り、藁で束ねて新たな人形を作る。
七十橋シスル:「こいつらを作った奴も、そう思ってただろうさ」
七十橋シスル:「気に食わねえだろ。全員、その思惑ごとぶち殺してやる」
七十橋シスル:「歩けるか」
キングダム一般生徒:こくり、と頷く。バリケードの外に出られなかったのは、負傷よりも恐怖のためだった。
キングダム一般生徒:渡された人形を、胸の前で強く抱きかかえている。
七十橋シスル:「いい子だ」
七十橋シスル:何もかもに苛立っているような表情のまま言う。
七十橋シスル:「人の集まってるところに行け。この近くなら、法王系の教会か、あと博物館も、さっきまで煩かったが静まった」
七十橋シスル:「近づけさえすれば、最悪、十字冠でそこに飛んでける」
キングダム一般生徒:涙目で頷く。「お、お名前を」
キングダム一般生徒:「お伺いしても、よ、よろしいでしょうか」キングダム生に染み付いた礼儀作法。
七十橋シスル:「……………」
七十橋シスル:今の自分は、一言一句、一挙手一投足全てを呪詛に繋げている。
七十橋シスル:呪術師が、軽々に自分の名を告げることは出来ない。それでも。少女に何か答えようとして、ふと気付く。
七十橋シスル:自分ではない名なら名乗れる。
七十橋シスル:「"医療部"だ」
キングダム一般生徒:「……ありがとう……ございます……!」
キングダム一般生徒:深く一礼をして、示された方向へと駆け出していく。
七十橋シスル:少女の背を見送って、そして、苛立たしげに地面を蹴る。
七十橋シスル:何もかもに苛立っていた。邪悪な本性を明らかにした理事会。この戦争を始めた最高生徒会長。
七十橋シスル:だが、自分がやることは決まっていた。
七十橋シスル:胸の奥。ローブの内側の胸ポケット。
七十橋シスル:元から適合などするつもりもなかった。今や、理事会の手管によって、レネゲイドの僅かな揺らぎすらも感じない。
七十橋シスル:掌サイズの糸車がそこにあることを、静かに確かめる。
七十橋シスル:自分のそんな感傷にすら苛立ちながら。「――――本校舎だな」
七十橋シスル:呪術師は、静かに路地裏の中を駆け抜けていった。
キングダム本校舎前

GM:――そして、七十橋シスルは本校舎前の光景を見た。
GM:通りが炎上し、破壊の痕跡となる瓦礫や、撃墜された竜骸が積み重なっている。
GM:そしてその中央には、横に三台連結された装甲車の上に
GM:非実用的なほど高く神輿のような構造物が据え付けられ、
GM:電飾が1680万色に発光し
GM:巨大ディスプレイにイリーナ・レシュリスカヤの顔を映し出していた。
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「ああ!!見てくれ……!みんな……!」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「このぼくの美!この聖詠部専用車、美貌鉄騎号さえあれば、4km先からでもぼくの顔を見ることができる!」
七十橋シスル:「…………………………」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「さあみんな!ぼくを称える歌を!」
聖詠部:「ア~レジェンド♪」
聖詠部:「ア~ヒストリー♪」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「ちょっと!声が小さいぞオリーヴ!」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「もう元気がなくなったのかい!?」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:神輿上のお立ち台から、眼下をひょいと覗き込む。
オリーヴ・ウェールズ :「……いえその、此方に集まってきた方達がいらっしゃるようなので」喉の調子は整っているが、紫髪の少女の姿を見て声を留める。
オリーヴ・ウェールズ :「怪我をしているのならば治療を、戦意があるならば武器を与えねばなりません」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「歌いながらでもできる!頑張ろう!」
オリーヴ・ウェールズ :「え、ええ~~っ!し、仕方ありませんね……!」「Ah~le……」車を降り、レジェンドのレまで言いかけて。
七十橋シスル:「やめろクソボケ!!!!!!」
オリーヴ・ウェールズ :「ひゃんっ!」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「なんだきみは」
七十橋シスル:1680万色の光に曝され、ローブの中で三つほど媒体が力を失った。
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「オリーヴを怖がらせるんじゃないよ。まったく……」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:10mほどの高さから、体重を感じさせず着地。
七十橋シスル:「ああ゛……!? 攻め込まれてるっつうから来てやりゃあ!」
七十橋シスル:「やめろ! その虹色を! 私の前で!」
オリーヴ・ウェールズ :「やはり1680万色は眩しすぎるって言ったじゃないですかイリーナ様……!」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「……ふーん。じゃあきみ。民間人でもできる、最も有効な城攻めを知っているか?」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:さらさらとした自分の銀髪を、指先でいじりながら言う。
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「『悪口』だ」
七十橋シスル:「鉄騎王……! ああ? 悪口?」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「敵を怒らせるんだよ。できるだけ癇に障って、目立つ方法で」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「そうすれば敵は自分の意志で城から出てくる……ま、この理事会にはまだ効果がないみたいだけど」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「生徒側のきみが先に怒っているようじゃ、先が思いやられるぞ」
七十橋シスル:「屁理屈を……噂通りだな聖詠部ってのはよ!」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「趣味と実益を兼ねている、と言ってくれたまえ」
七十橋シスル:「第一、その理屈なら、籠城してんのはこっち側だろが」
七十橋シスル:「理事会側には、いくらでも援軍が沸いてくる」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「かもしれないね。だけど、きみだってここにやってきたわけだろ?美しく目立つぼくの顔を見てやってくるのは」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「敵だけじゃないってことさ……ふふふ……」
七十橋シスル:「テメェ~~~~の顔見て来たわけじゃあねえ~~~~~」 とはいえ、確かに戦意昂揚の効果はあるだろうことが腹立たしい。
オリーヴ・ウェールズ :「はい、とても眩しすぎますが……目的地としてこれだけ分かり易いものはありませんから」
オリーヴ・ウェールズ :「円卓の一つが今も前線で動いているのであれば、必ずやってくる者は存在します」
ヒナテア・オルブライト:「ふんふんふふ~ん、ふんふふ……ア~サンキュ~♪」どこからともなく、調子の外れたうろ覚えの歌声が近づいてくる。
ヒナテア・オルブライト:「鉄~騎~王~にサンキュ~ah~♪」
五辻モモカ:その歌声に合いの手を入れるようなタイミングで良く通る──喧しい声が響く。
五辻モモカ:「相も変わらぬ!光り輝く美貌!まるで!目が焼かれるようで!ある!」
五辻モモカ:「今日も!美しいな!イリーナ!」
七十橋シスル:「あああああ゛様子のおかしい奴が次から次に!!」
GM:美貌鉄騎号が強引に瓦礫をこじ開けてきた街路を通って現れるのは
GM:プロンプト社が手配した大量の物資輸送車両だ。
GM:もちろん、積載されているのは物資だけではない。グレゴリオ。定時制生徒。聖詠部の数倍にも及ぶ戦闘人員が到着している。
ヒナテア・オルブライト:「遠めに見てみれば、思いの外安定した治世が伝わってきたので動きやすかったな」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「モモカ!やはり君達は市街の方で戦っていたか」
五辻モモカ:「うむ!些か出遅れたが助太刀に来たぞ!私も唄えばよいのか?」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「エリザベスやルナンシアは、当分手を離せないだろう。ぼく達だけでこの状況を解決したい」
オリーヴ・ウェールズ :「……その、術師の方。耳栓が此方にありますが必要ですか?」
オリーヴ・ウェールズ :「あと、私の影に。光避けにはなります。大きいので……と」
七十橋シスル:「気持ちはありがてえが要らねえ……だが、そっちの聖別されてない十字架よこせ」
オリーヴ・ウェールズ :「分かりました、何種類か持ち合わせていますので、お好きなものを」
竜胆ジョウカ:「あっその、私もいただいていいですか」いつの間にかいる。
オリーヴ・ウェールズ :「はい……と、貴女はケガもお酷いですね。先に治療を行いましょう」
竜胆ジョウカ:「あっ、えっ。……あー、いえ、ご心配なく。血は大概止まってるんで」
五辻モモカ:「むむッ!見慣れぬ顔もあるな!!」声量の調整に失敗している
オリーヴ・ウェールズ :「法王様!声をワントーンお抑えください!」
五辻モモカ:「あい分かった」トーンダウン
七十橋シスル:「何だ。お前、どっから来やがった?」同類の気配を感じる。
ヒナテア・オルブライト:「中々壮絶な戦傷、さぞや名のある敵と相まみえてきたのだろう。お疲れ様~」
オリーヴ・ウェールズ :「……それでも、です。血を拭きますから、じっとしていて」
竜胆ジョウカ:「あっはい、あの物質輸送車に飛び乗って。お世話になりました」
竜胆ジョウカ:「わわわくすぐったい……!」
竜胆ジョウカ:飛び乗る際にうっかり顔面から行って怪我を増やしたのは内緒だ。大人しく拭かれておく。
聖詠部:「ア~ヒストリー♪」
聖詠部:「ア~レジェンド♪」
オリーヴ・ウェールズ :「Ah~legend……」口ずさむように、少し小さく歌っている。
ヒナテア・オルブライト:「Ah~history~」ゆらゆら揺れながら。感化されやすい性質。
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:聖詠部に歌わせながら、巨大神輿的構造物をいそいそとエフェクトで折り畳み、収納している。
五辻モモカ:「む……おまえ達も本校舎に向かうつもりか。危険であるぞ」ジョウカさんとシスルさんを交互に見やって
ヒナテア・オルブライト:「特記戦力の特記振りがまんまと抑えられてしまったからな」
ヒナテア・オルブライト:「量の戦力をしっかり確保せねば迂闊に動けなんだ」
五辻モモカ:「むむ……それはそうだな……いやはや情けなし」ヒナテアさんの言葉に腕を組んで顔を顰める
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「本校舎の守りは確かに強固だが、これだけの数がいれば攻勢に出られると思う」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「きみ達も戦うつもりで来たんだろう?」
竜胆ジョウカ:「はい。ですが、役に立つかと。少なくとも足は引っ張りません」
七十橋シスル:「ご心配どうも。だがこの状況で他に手があんのか?」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「――ぼくは"鉄騎王"。イリーナ・レシュリスカヤ」舞台上の女優のような優雅さで、ジョウカとシスルに手を差し伸べる。
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「名前を」
七十橋シスル:「……医療部」苛立たしげな溜息一つ。一度、乱れた術式を止めて調整しなければならない。
七十橋シスル:「七十橋シスル。オールドの呪術師だ」
七十橋シスル:「二度は名乗らねえぞ」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「事情は理解した。名乗らせて悪いね。しかし医療部か……そんな部活があったかな……」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:少し考え、ジョウカを見る。「……きみは?」
竜胆ジョウカ:「あ、はい。竜胆――」がさがさとナップザックの整理をしつつ返事をしかけて。
竜胆ジョウカ:「いや、ここはちゃんと名乗った方がいいですね。慣れて行かないとな……」
竜胆ジョウカ:きっちり立って、正式の礼法で返す。
竜胆ジョウカ:「大ノヴァリス博物館元館長、フ……えー……"金剛王"に代わって参りました」
竜胆ジョウカ:「コードネームは魔女潰し、竜胆ジョウカと申します。以後お見知りおきを」
オリーヴ・ウェールズ :「金剛王様の……分かりました。ジョウカさんとシスルさんですね」
五辻モモカ:(代わって──)
五辻モモカ:ふむ、と顎に手を当てて思案
聖詠部:「キャアアア――ッ!?」
聖詠部:聖詠部の一角から悲鳴が上がる。
聖詠部:「あ、あの子ッ!さっき烏が知らせてきた話にあったわ!金剛王様を博物館で……!」
グレゴリオ生徒:「そういえば復元された手配写真にもあの顔……!」
聖詠部:「い、一体何を狙ってここに」
オリーヴ・ウェールズ :「えっ…………えっ?」背後と目の前の少女を交互に見る。
七十橋シスル:「あァ……?」 一人でいたので情報が疎い。
竜胆ジョウカ:「話が早くて助かります。念のために申し上げますと、敵対のつもりは一切ありませんので」
ヒナテア・オルブライト:(迂闊な詐術に走ることも無く堂々と。なるほど円卓を切り崩すだけの風格はあるな)面白そうに眺めている。
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:す、と片手を水平に上げる。背後の生徒達はその動作に目を引きつけられて、静まり返る。
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「……竜胆ジョウカ。よく名乗ってくれた」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「フローレンス・アシュモールはぼくの盟友だった。博物館での騒動が本当のことなら、生徒達が怖がるのもわかってほしい」
竜胆ジョウカ:「ええ、勿論です。一朝一夕で認められるとは思っていませんよ」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「……それもわかっているんだね」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「行為の善悪を分けるのはいつも『理解』だ。全てを理解した上で敢えてここに来たというのなら、竜胆ジョウカ」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「その覚悟に釣り合うだけの理由があったと信じよう」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「……何を望む?」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:目線を合わせて尋ねる。
竜胆ジョウカ:「"地位"を。大ノヴァリス博物館を守るための」即座の返答。
竜胆ジョウカ:「彼の王はあなたの良き盟友だった、というのは真なのでしょう。ですが彼女は、申し上げにくいですが館長には不適でした」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:あまりにもストレートな物言いに、整った微笑みがやや複雑な表情になる。
竜胆ジョウカ:「ので、替わりました。私がいつか誰かに引きずり降ろされるその日まで、私があの聖域を守ります」
竜胆ジョウカ:「そのために、理事会の影響を廃さねばなりません。故に私はここにいます」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「きみが望むものを手に入れるためには、功績が必要だ。それはただ一人の兵としてではなく、将として勝たなければ手に入らない」
竜胆ジョウカ:「ええ」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「案がほしい」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「ぼくらの戦力は整った。本校舎の突破は成るかもしれない」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「だけど本当に倒さなければならない相手は、"ロードマスター"だ。きみに勝算があるなら聞こう」
竜胆ジョウカ:「……ふむ」一瞬考え。
竜胆ジョウカ:「我々の用いりうる手段のうち、最大火力となるのはやはり『王鍵』および『覇鍵解錠』です」
竜胆ジョウカ:「それを再稼働させて負けるなら厳しいですが、込みなら勝てる戦もあるでしょう」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「恥ずかしながら、ぼくは王鍵や理事会技術についてはほとんど無知なままだった」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「こうして裏をかかれてしまったのは、そのせいだ。何をすればいい?」
竜胆ジョウカ:「……はい、そうですね。円卓に干渉し、再稼働をさせます」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「円卓……円卓そのものが、王鍵に関わっていると?」
竜胆ジョウカ:「極論、本校舎を奪還しきれずとも、"ロードマスターを討つ"という一点でいうなら円卓の間に侵入できれば勝算は生まれます」
竜胆ジョウカ:説明用になんか持ってくるのもアリだったかな、でも荷物の邪魔だしな、などと思いつつ。
竜胆ジョウカ:「そもそも王鍵とは、遺産の中から理事会に選ばれ『鴉の塔』に収蔵された遺産群」
聖詠部:「イリーナ様!僭越ながら、そのような危険人物の話を聞き入れるのは……」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「待ちなさい。彼女は『専門家』だ」
竜胆ジョウカ:「そしてその全ては人工遺産……たぶん……の円卓に紐づけられ、一括での管理が可能となっています」
竜胆ジョウカ:話は止まらない。遮ろうとも。
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「王たる者は、自分が無知であることを知るべきだ。少なくとも遺産に関して、竜胆ジョウカは」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:真剣に話を聞いている。「ぼくよりも多くのことを知っている」
竜胆ジョウカ:「……これは適性が低くとも、王たるものに一定の力を与えられるよう」
竜胆ジョウカ:「出力を外部から操作できるように……という意図が、少なからずありますが。こうした反乱時のブレーカーとしても設定されています」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「王鍵を一括で紐付け、管理するための円卓。いわば王の鍵束か――」
竜胆ジョウカ:「はい。とはいえ、その管理権限の大部分は、子供を王サマ扱いするキングダムらしく」
竜胆ジョウカ:「円卓に座する七人の王に渡されているのですが。『覇鍵解錠』はその応用の一端ですね」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「……!なるほど。円卓に紐付けられた王鍵群の出力や処理能力が、一種の共有リソースだと考えれば……」
竜胆ジョウカ:「はい、出力を全体から吸い上げて一遺産に譲渡することで――っと、ちょっと脱線ですね。またさせてください」
竜胆ジョウカ:「とにかく今の理事会は本式の管理はできてませんが、一部権利とたぶん強オーヴァードの出力で全部動かなくしてるのでは、という感じです」
竜胆ジョウカ:「ブレーカーに触れる代わりに、配電盤にバールを叩きつけて止めてる、みたいな……イマイチなたとえですね」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「仮にそうだとすれば、その介入さえどかせば、全ての生徒の王鍵が再起動する。覇鍵解錠も可能か」
竜胆ジョウカ:「どういう機序で止まってるかは正直分かりません。王の誰かが座れば治るのか、キモい呪いがかかってるのか」
竜胆ジョウカ:「ですが、はい。人工の遺産かつ。理事会は自分達が主権を取り戻すことを諦めない以上、復元不可能にする道理はありません」
竜胆ジョウカ:「再起動は可能かと。そのためには円卓のある部屋――白宮へ向かう必要があります」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「仔細な説明をありがとう」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「話を掻い摘んでしまえば、この本校舎の攻略が、"ロードマスター"撃破のための大きな一手になり得る」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「それさえ分かっていれば、生徒のみんなにとっては十分だ」
竜胆ジョウカ:ちょっと長かったかな、という心配が話終えた瞬間に襲ってきたので、こうして総括してくれるのはありがたい。
竜胆ジョウカ:「はい。長々と失礼しました」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「頑張りが無駄に終わらないという約束は、民にとって何よりも心強いことだからね」
オリーヴ・ウェールズ :「……こほん、お話は終わったようですね」
オリーヴ・ウェールズ :大量の薬瓶を持って、二人の間に割って入る。
竜胆ジョウカ:「?」
オリーヴ・ウェールズ :「ジョウカさん、あなたの行いを私が裁くことはありません。ですが……ですが!」
オリーヴ・ウェールズ :「……あまり身体に負荷をかけるのはよしなさい。危険な薬も幾つか飲んでいるでしょう」
オリーヴ・ウェールズ :「私達には"この後"があるのですから」
竜胆ジョウカ:「……あ。あー……」諸々を思い返す。
オリーヴ・ウェールズ :「中和剤のようなものです。端から端まで、ぜ ん ぶ 飲んでください」
オリーヴ・ウェールズ :笑顔で圧をかけながら、口元に押し付ける。
竜胆ジョウカ:「ウス」とりあえず手に取る。
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「おいしいよ」
竜胆ジョウカ:なんか沼みたいな緑でゴポゴポしてません?まあいいか……
オリーヴ・ウェールズ :「……イチゴ味にはしてあります。不味いと中毒の方に飲んでもらえませんからね」
竜胆ジョウカ:「んく……ん゛……ぷは」
竜胆ジョウカ:「……イチゴ味やめた方がいいですよ。中途半端に甘い分、嫌さが増してます」
オリーヴ・ウェールズ :「……う。私はお気に入りだったのですが……仕方ありませんね。次はオレンジにしておきましょう」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「前よりはおいしくなって新登場したと思うんだけどな……」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:首を傾げている。
竜胆ジョウカ:「そういうことかな……まあいいや。次のもお願いします」
オリーヴ・ウェールズ :「はい、こちらを……と」
七十橋シスル:「ところで」 館長(?)の話を興味深げに眺めながら
七十橋シスル:「"妹達"の世話はいいのかよ、法王サマ」
七十橋シスル:顔を知っている相手こそいれ、この中で唯一、僅かながら面識のある相手だ。
五辻モモカ:「お前達も"妹"である。救いは平等であり、求める者もまたこの戦場に平等に溢れている」
五辻モモカ:視線をシスルに向け、少しだけ悲しそうな笑みを浮かべる。
七十橋シスル:「……相っ変わらずだなオイ」 げんなりした表情。
五辻モモカ:「お前も、相変わらずのようだな。"医療部"を名乗っていたが」
五辻モモカ:「まだ一人なのか」
七十橋シスル:「一人だから、ここに来られてる。"医療部"は……、義理立てみたいなもんだ」
七十橋シスル:「知っての通り、王鍵なしの戦闘ならお前らより慣れてる」
七十橋シスル:「あのチンチクリンの言う通りに、円卓が再起動できるってんなら、話は別だがな」
五辻モモカ:「今は信じるしかあるまい」
五辻モモカ:義理立て、という言葉に一瞬考えこむような表情を見せるが言葉を続ける。
五辻モモカ:「フローレンスの事は……本当に悲しいが」
五辻モモカ:「私としては、イリーナ同様、今こうしてジョウカが身を晒した心意気を汲んでやりたい」
七十橋シスル:「別に死んだわけじゃねえだろ。革命が終わったあとで、円卓名義で処断でも何でもしろ」
五辻モモカ:「……さてな。そこばかりは私一人の領分ではない」
五辻モモカ:王として名の知れていない、所ではない。王ですらないものが円卓の王を討った。
五辻モモカ:全く前例のない事案。事態がどう転ぶかは想像すら付かない。
五辻モモカ:「それよりも、だ」
五辻モモカ:じと、とシスルに視線を向ける。
七十橋シスル:「…………何だよ」
五辻モモカ:「確かにお前は一人である故に此処に来た。そして事実として我々にとって有力な増援でもある」
五辻モモカ:「だがな、孤独である事の危険は”身軽さ”等と言うメリットとは全く釣り合わない。お前なら分かるだろう」
五辻モモカ:「何度も言っているが……籍を置くだけでも構わんのだ。グレゴリオに来い」
七十橋シスル:「……法王直式の、慈しみの言葉、有難い限りだが」
七十橋シスル:「無理だよ。私は、救われたいわけじゃない」
五辻モモカ:「……たとえお前が自信が救いを望まなかったとしても」
五辻モモカ:悲しそうに目を伏せる。
五辻モモカ:「救われぬものは誰も救えない。お前が真に誰かを救いたいと願う時、お前自身が救われていなければ叶わぬ」
五辻モモカ:「永久に孤独のままだ。それは……とても、かなしい」
七十橋シスル:「…………、」
五辻モモカ:「私は……いつでも待っている。お前が信じる事が出来るのなら、グレゴリオでなくとも構わない」
五辻モモカ:「お前が生きている限り、遅すぎるという事は無いのだから」
七十橋シスル:「お前も、筋金入りだな。……覚えとくよ」
七十橋シスル:言いながら、新たな木偶人形を、ローブの内に仕舞いなおした。
オリーヴ・ウェールズ :「……それで、そうです。もう一人、お名前を聞いていない方が居ます」
竜胆ジョウカ:「?」んくんく。空き瓶をナップザックに詰めつつ。
オリーヴ・ウェールズ :「あちらの褐色肌の、自由の風が似合いそうなお方です。そういえば、何処かで見たことあるような……」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「てっきり、モモカのお友達だと思ってたけど」
竜胆ジョウカ:「……"タコスメラ宇宙閘"」
オリーヴ・ウェールズ :「?」
竜胆ジョウカ:「稼働状態ではありませんが、その腕輪は王鍵の一つかと。となると、えー……第何席だ?」
ヒナテア・オルブライト:「革命裁判、ときめく言葉だな……うむ、然り」他所から聞き取った単語を膨らませていかがわしいことを考えている。
竜胆ジョウカ:「……"太陽"、王とか……なんか違う気がするな……」
ヒナテア・オルブライト:「惜しいところの黄道王ヒナテア・オルブライト。円卓の端にも掛からぬつまらぬ木っ端だよ」
ヒナテア・オルブライト:「その名は私が戴くには醜悪すぎる。目が潰れるな」
竜胆ジョウカ:「……し、失礼しました」
竜胆ジョウカ:そそくさと下がる。
ヒナテア・オルブライト:「謝るようなことではないが……いや処世術かな。高慢ちきと語り合うのは損だもの」
オリーヴ・ウェールズ :「では……改めて、私からもご挨拶を。鉄騎王配下、オリーヴ・ウェールズ」
オリーヴ・ウェールズ :「王鍵の類は持ち合わせませんが、皆様のこれよりの戦い、その一助になれればと思います」
ヒナテア・オルブライト:「キングダムの外敵に対処するのが仕事だった。何処かで見たことがあるならば、視界に引っ掛かったのだろう」
オリーヴ・ウェールズ :「……ええと。失礼ながら都市伝説か何かかと思っておりました。物理移動が不可能な距離で立て続けに貴女と似た姿を見た報告があったことを思い出して……」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「オリーヴは優秀な副官だ。これからの戦局でも、ぼくが忙しい時は彼女を頼ってほしい」
七十橋シスル:「王鍵なしの生徒は私を含めて三人か。円卓はともかく、お前は王鍵頼りってわけじゃねえんだな?」
七十橋シスル:ヒナテアさんを横目で見る。
ヒナテア・オルブライト:「現職と好きな事は正義の実現、既成秩序の打開。即ち今が絶好調だ」シスルを見返し。
ヒナテア・オルブライト:「……まあ多少使い勝手は落ちるがね、タコスメラ宇宙閘は力の源ではない」
ヒナテア・オルブライト:「真に輝くのはこの私自身、敵を討つには支障ないよ」
五辻モモカ:「見事な前向きさ!見習いたいものだな!」
七十橋シスル:「そりゃ結構なことだ……」 ヤベー奴しか来ねえのかこの戦場は。
竜胆ジョウカ:(なんか元気そうな人が多いなあ)後方の物資の中から雑多にナップザックに放り込みつつ。
オリーヴ・ウェールズ :「薬は飲みましたね、よしよし。そこにあるものは好きなだけどうぞ」今度は心から笑って、他の物資の場所を指示する。
オリーヴ・ウェールズ :「法王様の方は武装は足りておりますか?」
竜胆ジョウカ:「あっありがとうございます」戦闘糧食に始まり、包みの布、十徳ナイフ、折り畳みの小さい椅子まで入れていく。遠慮はない。
五辻モモカ:オリーブの言葉にはっと顔を上げ。
五辻モモカ:「あっ私は五辻モモカであるぞ!姉としてお前達の道行きを切り拓くぞ!」はいはい、と元気良く手を上げながら
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「みんな知ってるよ」
五辻モモカ:「そして武装は充分である!プロンプト殿に融通して頂いた!」
五辻モモカ:じゃら、と腰のベルトから市販のナイフを取り出して見せる。
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「大丈夫かな……なんかドラゴンが巻き付いてる……」
七十橋シスル:フードを被ると、その端からじゃらりと連なった小石が音を立てる。
オリーヴ・ウェールズ :「……い、一応こちらの武器もお持ちください」少し押し付けるように特殊警棒を手渡す。
ヒナテア・オルブライト:「ああいうのも取り扱ってるんだね、少しびっくり」
ヒナテア・オルブライト:「撃破した理事会兵器の遺骸も少し剥ぎ取っておいたので、触媒等に利用する者は荷台から取ってってくれ」
五辻モモカ:「おお、助かる!オリーヴは気配りが出来る素晴らしい子だな!」ニコニコ笑いながら受け取る
GM:他の生徒達も、到着した車両の支援物資を漁り、互いに融通しているようだ。
GM:十分な兵力と兵站はある。逆に言えば、これで本校舎を落とせなければ後はない。
GM:……やがて、他に大きく遅れて一台の輸送車が到着する。
GM:黒いドレスの、美貌の少女が後部座席から降り立つ。その後ろにはもう一人、小柄な生徒を連れていた。
"血統王"バージニア・ダネシュティ:「戻ってきたぞ。法王」
"血統王"バージニア・ダネシュティ:「――ああ、いちいち挨拶はせずともいい。定時制の"血統王"だ。全日制と共同戦線を張っている」
"血統王"バージニア・ダネシュティ:「本校舎を攻めるにあたって重要となる、目当ての生徒を回収してきた」
五辻モモカ:「血統王!間に合ってよかった……む?目当ての生徒……とな」
五辻モモカ:姿を見つけて嬉しそうに顔を綻ばせ、血統王の背後を覗き込む。

"月下王"州来マカミ:「私だよ。"月下王"の州来マカミ……」
"月下王"州来マカミ:「さっきまで、本校舎の中にいた。バージニアが市街に打って出た分、守りを担当してたんだ」
五辻モモカ:「そうであったか……!」
七十橋シスル:(驚いたな……定時制まで味方なのか。どうやってギアスを破ったんだ?)
竜胆ジョウカ:(……"クライデ・フィレッセン"……かな。ここまで王が集まるってことはホントに最前線かココ、来れてよかったな……)
オリーヴ・ウェールズ :(定時制の王様方……互いに手を取り合えるなら、これ以上に善いことがありましょうか)
"月下王"州来マカミ:「……建物の中に、転移術式の構造が組み込まれていた。定時制の魔術師でどうにか解呪しようと試みたけど」
"月下王"州来マカミ:「無理だった。ものすごい数の敵がなだれ込んできて、私達はまとめて押しつぶされた」
"月下王"州来マカミ:悔しげだったり、辛そうな様子ではない。むしろ僅かに笑みを浮かべていた。
ヒナテア・オルブライト:「それが先に目撃した大量転送の絡繰りか」ふむふむと頷く。
"血統王"バージニア・ダネシュティ:「マカミも転送されたが、どうやらまだ戦えるそうだ」愉快そうに言う。
"月下王"州来マカミ:「……これで二回目だよ。悪くない……」
ヒナテア・オルブライト:「うんうん、戦うと元気になるな」分かった顔で勝手に頷いている。
オリーヴ・ウェールズ :「しかし……このままでは少しずつ削られてしまうのは明白。どうにか対処法を立てねばいけませんね……」
竜胆ジョウカ:「それ割らないと内部への進行厳しそうですね……逆に敵が来なければ術師で破れます?」
"月下王"州来マカミ:「私がやられた時は、逆に転移陣の方に向かっていった生徒もいた。いい判断だったけど――」
"月下王"州来マカミ:「どうやら一方通行みたい。送り込むだけの術式ってこと」
"月下王"州来マカミ:「それが分かっただけでも、犠牲を払った価値はある。理事会が逃げたり、私達をどこかに飛ばしたりはできないんじゃないかな」
ヒナテア・オルブライト:「利便性、多機能性を排した鎮圧用の備えといったところか」
竜胆ジョウカ:「……なるほど。だとすると術の解除は切ってもいいかもしれません」したほうがいいですが、と付け加えつつ。
"月下王"州来マカミ:「敵は主に竜骸の群れ。騎狼犬と駆光馬も少し」
"月下王"州来マカミ:「稼働状態の竜化器もある。あとなんか……影みたいな、変なの。見たことない」
"月下王"州来マカミ:「強そうなエージェントは二人。あっという間にやられたから、どういうことをしてくるかは分からない」
ヒナテア・オルブライト:「影……全然許してくれない死神みたいなやつか?」
五辻モモカ:「ああ……アレか」
竜胆ジョウカ:「要は全部その兵器群を叩き割ってエージェントを踏み越える、というパワープレイが取れますので……」
オリーヴ・ウェールズ :「つまり……強行突破、ですね!」
オリーヴ・ウェールズ :ぐっと両の拳を握り締める。
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「そうだね。この状況に限っては、それが美しい……と言うしかないだろう」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「せっかく集った戦力を分断したくはない。それに状況の解決が早くなればなるほど」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「王鍵の再起動も早まる。それはこの戦場だけじゃなく、キングダム全域の戦いの助けになるはずだ」
ヒナテア・オルブライト:(血統王は重い代償を伴うような術だと言っていたが、複数いたか……少しきな臭いか?)
五辻モモカ:「……であるな。切り拓くのみである!我々ならば容易だ!」
七十橋シスル:「決まったんならさっさと行くぞ。時間が惜しい」
GM:それから、イリーナ・レシュリスカヤのきらびやかな演説があった。
GM:コーラスと、様々に不必要なポーズを伴うものではあったが、彼女の言葉は生徒達を大いに鼓舞し
GM:固く閉ざされた本校舎の門へと突撃する原動力を産んだ。
GM:配備兵力は、やはり多い。幻獣兵器のみならず、理事会側についた生徒達も何度か立ちはだかった。
GM:だが、その乱戦をくぐり抜け進む中で、勘の働く者達は疑問を抱いたかもしれない。
GM:幻獣兵器群が襲い来る中、竜骸が一羽たりとも姿を表していないことを。
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「……いやな予感だ」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「楽すぎるわけでもないけど、苦しい勝ち方でもない。いい具合に勝たせられているような気がする――」
オリーヴ・ウェールズ :「同じものを感じています……数を力とする竜骸が見られません」
五辻モモカ:「ふむ……しかしここで足を止めるわけにもいくまい。警戒以上に有効な手があると良いが」
ヒナテア・オルブライト:「せっかく上がった士気を殺すのも愚策、痛いところだ」
竜胆ジョウカ:「本当の袋小路に入ったら爆破して道作ればいいんですよ。最悪死んでもう一回挑めますし」
グレゴリオ生徒:「けほっ」
グレゴリオ生徒:――ダン!
グレゴリオ生徒:後方の生徒が一人、階段から足を滑らせて転倒した。
五辻モモカ:「………!」即座に傍へ駆け寄る。
GM:傍に駆け寄ろうとした五辻モモカは
GM:呼吸器に生ずる異常を自覚するだろう。猛毒。
五辻モモカ:「────ッ!」
定時制生徒:「グッ――ゲハッ……!」
定時制生徒:また一人、苦痛に悶えながら倒れる。
五辻モモカ:「これ……は。毒、か?ガスの類かもしれんが……ゴホッ」
GM:理事会はここまで、捨て駒にしても構わない兵力だけで生徒を迎え撃っていた。
GM:それも、絶妙な戦力調整で屋内へと誘導するように。
"血統王"バージニア・ダネシュティ:「……『毒吐き釜』」
"血統王"バージニア・ダネシュティ:「市街……それも本校舎の中で使ったというのか、あれを……!」
ヒナテア・オルブライト:「遺産はかせ解説!」
ヒナテア・オルブライト:「他の人でもいいよ!」
オリーヴ・ウェールズ :「っ……ジョウカさん、あれは……!」
竜胆ジョウカ:「『遺産じゃない』、『確か毒の兵器』! 以上!」
"幽霊船長"メアリ・ダッチマン:〈海賊部"幽霊船長"!!〉突然、誰かの端末が通信介入され、叫ぶ。
"幽霊船長"メアリ・ダッチマン:〈メアリ・ダッチマンだ!ここにいる全員、すぐに!赤い点を――避けて!〉
GM:――チッ
GM:五辻モモカの、ちょうど手前ほどの位置に
GM:赤いポインターが照射されている。窓の向こうのどこかから――
五辻モモカ:「……感謝、するッ!!」
五辻モモカ:ダン、と床を蹴って後退。そのまま転がる。
GM: ズ オ ッ
GM:意識を刈り取られそうな閃光が走った。それが通過した軌跡は綺麗な円形に抉り取られて、消滅していた。
GM:逃げ遅れた数名の生徒の十字冠転送の光すらかき消すような、純粋な破壊エネルギー。
五辻モモカ:「がほッ。く……」
オリーヴ・ウェールズ :「狙撃?!何処から……!」
GM:――遥か遠くから、その『機械』は狙いを定めている。
GM:正式名称は存在しない。だが、キングダム理事会が発掘した未知の破壊兵器の通称を
GM:その機序から、『重力子放射線射出装置』という。
オリーヴ・ウェールズ :「っ、~~~~~~~~~っ……!」毒に侵される少女の姿を見た、兵器によって消し飛ばされた少女の血の跡を見た。
"月下王"州来マカミ:「……進もう!」真っ先に意志を取り戻し、叫んだ。
竜胆ジョウカ:「当然!」
ヒナテア・オルブライト:「出力が桁違い、殴り返せる位置に敵はいないな。留まる意味がない」邪魔にならぬよう猿猴のような身軽さで天井に接地している。
"血統王"バージニア・ダネシュティ:「このままでは下の生徒達が全滅する!己は毒釜とこの砲撃をどうにかする!」
"血統王"バージニア・ダネシュティ:「己の血なら、毒は問題にはならん!」
竜胆ジョウカ:「頼りになります!」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「……。この手管……」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「オリーヴ。現場指揮を一旦任せる」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「やることができた」
オリーヴ・ウェールズ :己の至らずさに唇を嚙む。ただ、見ている事しかできない。
オリーヴ・ウェールズ :「……イリーナ様、ご無事、で」そして、見送る事しかできない。彼女がそう判断したなら、きっと正しいことなのだから。
オリーヴ・ウェールズ :「此方は、必ず奥まで皆を連れて行きます……!」吐き出すように、己を鼓舞するように。
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「美しいオリーヴ。きみなら立派にやれる。そうだろう?」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「なぜならきみは、この"鉄騎王"の副官だから」
オリーヴ・ウェールズ :それでも表情は涙を流して、必死に耐えている。不安を、焦燥を。彼女の言葉で以って。
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:白い服を翻し、大階段の下へと飛び降りていく。
"月下王"州来マカミ:「私は円卓の間まで行く……やれる!」
竜胆ジョウカ:「行っちゃった。では、えー……大きい人! では先導を、"此処よりただ前へ、ヴェントラグツァの風"!」
竜胆ジョウカ:風が室内で吹き、先頭に押し出される。「我々道分かりませんので!お願いします!」
オリーヴ・ウェールズ :「っ、ぅ……分かりました!これより先、皆さんを私が先導します!」
五辻モモカ:「……頼む!」抉り取られた床から視線を外し、頷く
ヒナテア・オルブライト:「任せた!」
オリーヴ・ウェールズ :「誰一人として遅れなきよう!このまま目的地まで突き進みます……!」大きな声で、高らかに。我らが美しき王の如く。
七十橋シスル:「…………」最後尾につく。深いローブの端から、斑色の影の蛇が無数に伸びていく。
GM:NPC「"月下王"州来マカミ」が加入しました。
■州来マカミ
【肉体】7
【感覚】1
【精神】1
【社会】2
HP:60
行動値:3
復活回数:0回(十字冠転送)
〈白兵〉6
〈回避〉2
〈知覚〉4
〈意志〉2
〈情報:ノヴァリス〉1
《コンセントレイト:キュマイラ》LV3
《鬼の一撃》LV5
《完全獣化》LV3
《巨人の生命》LV5
《軍神の守り》LV1
《破壊の爪》LV1
《復讐の刃》LV3
《報復の牙》LV1
《フルパワーアタック》LV3
《魔獣の証》LV5
《地を掴む獣》LV3
《一閃》LV1
《大裁断》LV3
【セットアップ】
《フルパワーアタック》《地を掴む獣》
そのラウンド中に行なう白兵攻撃の攻撃力を+20する。【行動値】は0となる。
そのシーンの間、受けるダメージを常に-20する。
【マイナーアクション】
《破壊の爪》《完全獣化》
そのシーンの間、【肉体】の能力値を使用したあらゆる判定のダイスを+6個する。
あなたの素手のデータを以下のように変更する。
命中:0 攻撃力:12(100%時) ガード値:1 射程:至近
【メジャーアクション】
《コンセントレイト:キュマイラ》《一閃》《鬼の一撃》《大裁断》
全力移動を行なった直後に白兵攻撃を行なう。
ガードを行なったキャラクターに対して与えるダメージを+30する。
10dx7+6
16dx7+6(完全獣化時)
攻撃力24
攻撃力44(フルパワーアタック時)
【リアクション】
《復讐の刃》
リアクションの直前に使用する。リアクションを放棄することで、対象に白兵攻撃を行なう。
10dx7+6
16dx7+6(完全獣化時)
攻撃力5
攻撃力12(破壊の爪時)
攻撃力32(破壊の爪、フルパワーアタック時)
《報復の牙》
他の対象に攻撃が行なわれた時に使用する。
その攻撃の対象を自身に変更し、《復讐の刃》を使用する。シナリオ1回。
【オート】
《軍神の守り》
カバーリングを行なう。
《魔獣の証》
戦闘不能を回復し、HPを50まで回復する。シナリオ1回。
GM:"鉄騎王""血統王"はユニットとしては参戦しませんが、NPCカードという形で支援に加わります。今回の戦闘で使用できるNPCカードは三枚あります。
■NPCカード:グレゴリオ
【愛の誓い】
戦闘終了時に使用する。登場キャラクターのシナリオ回数エフェクトを全て回復する。
1シナリオに1回まで使用できる。
■NPCカード:イリーナ・レシュリスカヤ
【仮装して行う利害得失の争い】
対象への攻撃の判定の直後に使用できる。その攻撃の対象を変更する。
ただし「対象:単体」または「対象:n体」の攻撃にしか使用できず、
変更先は同じ陣営の同数の適正な対象でなければならない。
第1ラウンドの間のみ、4回まで使用できる。
第1ラウンド終了時、シーンに登場していない対象1体をこの戦闘から取り除く。
■NPCカード:ヴァージニア・ダネシュティ
【アシドーシス/アルカローシス】
対象が「タイミング:オートアクション」のエフェクトを使用した直後に宣言する。
対象が使用したエフェクトを打ち消す。1シナリオに5回まで使用できる。
キングダム本校舎 円卓の間

GM:円卓議会に用いられる会議場である円卓の間は、今はあまりにも広い。
GM:戦闘の結果として壁や周囲の構造が破壊されており、まるで階層そのものが、一つの巨大な領域と化したかのようだった。
GM:竜骸はこの広間に集結していた。まるでひとつの統率した意志を感じさせるかのように、一斉にそれらの首が動き、侵入者を捕捉する。

レジサイダー:「王に試練を。選別せよ」
レジサイダー:「正しき王を選別せよ」「選別せよ。偽りの王に死を」
レジサイダー:ぶつぶつと不明瞭に呟き続ける、影のような人型の群れもいた。
オリーヴ・ウェールズ :「まさか、ここに竜骸を一極集結させて……それに、他にも兵器を……!」
ヒナテア・オルブライト:「前向きに考えれば最終防衛線、というところかな?」不遜に踏み込み不敵に笑う。
竜胆ジョウカ:「まあこんなこったろうとは思ってました……が」
竜胆ジョウカ:「正直隙をついてバックドア突くとかそんな暇なさそうですね」
ダリオ・ガラヴェンタ:「……生徒の皆さん」
ダリオ・ガラヴェンタ:「今回の状況は我々キングダム理事会の力不足もあり」
ダリオ・ガラヴェンタ:「非常に不幸な形でのすれ違いが起こってしまったと認識しております」
ダリオ・ガラヴェンタ:スーツ姿の男は、ダリオ・ガラヴェンタだ。白い円卓に片手を突いている。
ダリオ・ガラヴェンタ:「この暴動は、異常です。疑念を抱いている方もこの中にはいるでしょう」
ダリオ・ガラヴェンタ:「投降希望者は、事態収束まで我々が責任を持って保護いたします」
ヒナテア・オルブライト:「つまり正面突破あるのみだな。元より私は前しか向く気はない」男の言葉を聞き流してジョウカに返す形。
竜胆ジョウカ:「ええ。……アレ誰ですっけ。ロードマスターじゃないのは分かるんですけど」隣にいたシスルさんに。
七十橋シスル:「どんな記憶力してんだテメエ……。ダリオ・ガラヴェンタ」
七十橋シスル:「下っ端だ」
ダリオ・ガラヴェンタ:「………………。クソガキが」
オリーヴ・ウェールズ :「……ここで投降しても、彼の発言通りになることは無いでしょうね」
五辻モモカ:「そも、疑念を抱きながら戦う者が此処までたどり着けるものか。侮辱も大概にしてもらおう」
五辻モモカ:腰に結び付けていたナイフを一つ手に取って静かに応える。
GM:オリーヴ・ウェールズの首を刈るかのように飛来した紙片がある。天井からだ。
オリーヴ・ウェールズ :「これは……?」
オリーヴ・ウェールズ :恐る恐る手に取り、見やる。
GM:白く、柔らかな和紙。奇妙な紋様が描かれており、触れているだけで焼けるように熱い。
"智慧なきもの":「――うふふ」
"智慧なきもの":天井から、逆さに直立している。

オリーヴ・ウェールズ :「熱っ……!」
"智慧なきもの":「此度の転移陣、このわたくしめが仕込んだものです」
"智慧なきもの":――ジッ、という音を立てて、オリーヴの手中の紙片が消失する。
"智慧なきもの":「"マスターデュエル"のもとに赴き学んだ符術」
"智慧なきもの":「いかに魔術師といえど、うふふ……解析不能の術理でしょう」
"智慧なきもの":重力を無視したように反転し、円卓の上へと立つ。
オリーヴ・ウェールズ :「……貴女が、本校舎の多数の生徒たちを……」
オリーヴ・ウェールズ :(……マスターデュエル。確か、傑出した召喚術の使い手とされる。恐らくこの短時間では術式を識るのは不可能……!)
ダリオ・ガラヴェンタ:「"智慧なきもの"。苦しめろ」
ダリオ・ガラヴェンタ:「苦しむ術ほどいい」
"智慧なきもの":「御意に。うふ。うふふふ。うふふふふふふふ……」
五辻モモカ:「………下衆め」感情のこもらない声で小さく呟く
ヒナテア・オルブライト:「他所で学んできた術師が破壊者とは嫌味な名前を。大人ってやつは!」
オリーヴ・ウェールズ :「……幾ら敵が強大であったとしても。理解不能な道理であったとしても」
オリーヴ・ウェールズ :思い返す。任されたのだ。ならば不安の色など、周りに見せられようか。
オリーヴ・ウェールズ :「此処で越えねば、未来はありません」
オリーヴ・ウェールズ :ただ精悍に、目の前の無数を見据える。
竜胆ジョウカ:「でしょうね。数はとんでもないですが、なんとありがたいことに殺せば死にますし」
竜胆ジョウカ:「外の研究ではオーヴァードも、侵蝕限界で7回殺せば確実に息の根を止められるとか。やってやれない数ではありません」
竜胆ジョウカ:「えー……何ですっけ? "投降したら身柄は保証"ですっけ。そのままお返ししますよ」
五辻モモカ:「……全く。大した傑物揃いだな!ならば私もその道行きに少しばかり剣を添えるとしよう!」
ヒナテア・オルブライト:「駆け出した以上は前に進むのみ。相手の多寡はどうでもよい」
ヒナテア・オルブライト:「我らの背を見て立ち上がれ、続く者のために奮闘するとしよう」
ヒナテア・オルブライト:「なにこの程度、負けるほどの相手でもなし!」多勢に寡兵、見れば見るほど戦意が湧き上がる。
七十橋シスル:「お行儀良く並びやがって。――ブチ殺してやる」
七十橋シスル:ただそれだけ。既に思考領域は、大半を呪詩の詠唱に傾けている。
オリーヴ・ウェールズ :「これより、キングダム連合軍───本校舎、並びに円卓奪還のため、戦闘を開始します!」
オリーヴ・ウェールズ :「勇気ある総軍よ、我等の輝きに続きなさい───!」
ダリオ・ガラヴェンタ:「うるせェ――んだよ。ゴチャ、ゴチャ、ゴチャゴチャ」
ダリオ・ガラヴェンタ:「王様。王様。ご立派な、王様方がよ!!」
ダリオ・ガラヴェンタ:「お前らのために、どれだけ、私達が、維持して、管理して、調整して……」
ダリオ・ガラヴェンタ:「どれだけ、どれだけ、どれだけ!!」ダン!
ダリオ・ガラヴェンタ:円卓に拳を叩きつける。
ダリオ・ガラヴェンタ:「どれだけ!どれだけ!どれだけ!!」
ダリオ・ガラヴェンタ:「仕えてやったと思ってんだ!!」
ダリオ・ガラヴェンタ:「テメェーらには不可能かもしれないけどな!命じてやるよ。なあ?初めてだろ?」
ダリオ・ガラヴェンタ:「死ね」
ダリオ・ガラヴェンタ:「全員。ドン底に苦しんで死ね。お前らの前にあるのは」
ダリオ・ガラヴェンタ:「最強の王鍵だぞ!」
GM:それはまさしく、金獅子騎士団の悲願の結晶である。
GM:レネゲイド大拡散以前から、彼らは人の手に余るほどの遺産を収容し、管理し続けなければならなかった。
GM:何代もの世代。莫大な犠牲を伴いながら、遺産を管理する無数の手法が試みられ、改良され続けてきた。
GM:皮肉にもそのシステムは、金獅子騎士団の手を離れ、FHの超技術を取り入れたことで、ようやくの完成を見る。
GM:人工的なインターフェイスに基づき、遺産の出力を相互にやり取りする。命なき、王鍵の人造多重適合者。
GM:最新にして最も偉大なる大王鍵。それが――

ダリオ・ガラヴェンタ:「司れ!!」
ダリオ・ガラヴェンタ:「『円卓』!!!」
【遺産継承者専用アイテム:円卓】
種別:一般
あなたはアイテムアーカイブ掲載の遺産継承者専用アイテム(p118-p121)を、全て同時に所持しているかのように扱う。
装備可能アイテムについては、オートアクションでいくつでも装備を変更してよい。代償は適用しない。
竜化器[9] 竜化器[9]
5m
ダリオ[21]
"智慧なきもの"[8]
竜骸[5] 竜骸[5]
レジサイダーA-R6対鉄騎王個体[9]
レジサイダーA-R6対鉄騎王個体[9]
レジサイダーA-R6対鉄騎王個体[9]
レジサイダーA-R6対鉄騎王個体[9]
10m
竜骸[5] 竜骸[5]
竜骸[5] 竜骸[5]
5m
駆光馬[8] 駆光馬[8] 駆光馬[8] 駆光馬[8]
騎狼犬[5] 騎狼犬[5] 騎狼犬[5] 騎狼犬[5]
レジサイダーA-R11対法王個体[9]
レジサイダーA-R11対法王個体[9]
レジサイダーA-R11対法王個体[9]
レジサイダーA-R11対法王個体[9]
5m
ヒナテア[13/47] オリーヴ[10/47]
ジョウカ[12/38] シスル[13/57]
モモカ[12/42] マカミ[8/120]
GM:ミドル戦闘を開始します。
■ラウンド1
ダリオ・ガラヴェンタ:オートアクション。Eロイスを使用します。「衝動侵蝕」「原初の恐怖」。
ダリオ・ガラヴェンタ:衝動判定を行ってください。この際に上昇する侵蝕値は「1D10+覚醒」の数値となります。
ヒナテア・オルブライト:難易度はいくつですか?
ダリオ・ガラヴェンタ:難易度は9。
ヒナテア・オルブライト:4dx+1>=9
DoubleCross : (4DX10+1>=9) → 10[3,4,7,10]+10[10]+9[9]+1 → 30 → 成功
七十橋シスル:こいつ……!
七十橋シスル:3dx
DoubleCross : (3DX10) → 10[1,3,10]+1[1] → 11
五辻モモカ:1dx+2>=9
DoubleCross : (1DX10+2>=9) → 10[10]+10[10]+2[2]+2 → 24 → 成功
オリーヴ・ウェールズ :2dx+2>=9
DoubleCross : (2DX10+2>=9) → 10[10,10]+9[8,9]+2 → 21 → 成功
"月下王"州来マカミ:4dx+2>=9
DoubleCross : (4DX10+2>=9) → 8[1,6,7,8]+2 → 10 → 成功
ヒナテア・オルブライト:意思がクソつよいねきみら
五辻モモカ:ふははは
オリーヴ・ウェールズ :しゃおら!
七十橋シスル:危ねえ……!
竜胆ジョウカ:3dx
DoubleCross : (3DX10) → 6[2,4,6] → 6
竜胆ジョウカ:は?
GM:死蔵王!
竜胆ジョウカ:じゃあ……暴走するか……
五辻モモカ:五辻モモカの侵蝕率を1D10+15(→ 22)増加(42 → 64)
オリーヴ・ウェールズ :1d10+15+47
DoubleCross : (1D10+15+47) → 5[5]+15+47 → 67
七十橋シスル:57+1d10+17
DoubleCross : (57+1D10+17) → 57+8[8]+17 → 82
ヒナテア・オルブライト:1d10+17
DoubleCross : (1D10+17) → 1[1]+17 → 18
竜胆ジョウカ:1d10+41+14
DoubleCross : (1D10+41+14) → 3[3]+41+14 → 58
ヒナテア・オルブライト:ヒナテア・オルブライトの侵蝕率を18増加(47 → 65)
七十橋シスル:……。
七十橋シスル:やばい
GM:セットアップに入ります。
五辻モモカ:なし!
ダリオ・ガラヴェンタ:なし。
"智慧なきもの":なし。
駆光馬:なし。
騎狼犬:なし。
ヒナテア・オルブライト:【己を信じ行動あるのみ】《螺旋の悪魔》《原初の黄:氷の茨》《スタートダッシュ》
ヒナテア・オルブライト:暴走状態になり、ラウンド中ウロボロスエフェクトによる攻撃力+15、味方PC以外が自分のエンゲージから移動して離れた場合、HPを5D失う。
ヒナテア・オルブライト:そして戦闘移動を行う。5m先のわんわんエンゲージに突入。
ヒナテア・オルブライト:暴走状態により《ロックンロールビート》効果発動。攻撃の達成値+10。
GM:セットアップがある中で行動値最速なので他が動くより早く間に合いますね
ヒナテア・オルブライト:そのための素高行動値よ
ヒナテア・オルブライト:ヒナテア・オルブライトの侵蝕率を9増加(65 → 74)
七十橋シスル:同じく行動値13。《怨念の呪石》。侵蝕+3。暴走する。《ミラーパレス》。シスルを対象とした攻撃判定のダイス-8。
七十橋シスル:侵蝕85へ
オリーヴ・ウェールズ :螺旋の悪魔、暴走し攻撃力15上昇。しばらく変異暴走受けて達成値減少します……
オリーヴ・ウェールズ :侵蝕70です
竜胆ジョウカ:流石に呪石の恩恵なしだと生活が厳しいのでロイス切りますか 7つも取れるし……
竜胆ジョウカ:嘘 ロイス切らずで行きます
竜胆ジョウカ:忘れられずにすんでよかったですね金剛王……ということでセットアップなし!お待たせしました!
ヒナテア・オルブライト:こわい
レジサイダーA-R6対鉄騎王個体:レジサイダー対鉄騎王個体は動きませんが
レジサイダーA-R11対法王個体:対法王個体にはセットアップエフェクトがあります。《原初の黄:加速装置》。
レジサイダーA-R11対法王個体:対法王個体全員の行動値が+20されます。
七十橋シスル:うっわ
GM:登場セッションでもこのデータなのよ 単体攻撃しかできないけど……
ヒナテア・オルブライト:あ、マカミくんは指示待ち人間かな
ヒナテア・オルブライト:コンボ使ってもらうよね
"月下王"州来マカミ:そうでした。指示待ちワンコ……
"月下王"州来マカミ:《フルパワーアタック》《地を掴む獣》でよろしいですか?
七十橋シスル:お願いします
ヒナテア・オルブライト:待て、よマカミくん
"月下王"州来マカミ:ではフルパワー化しました。行動値は0。
竜骸:竜骸は前の四体だけが《スタートダッシュ》《飛行能力II》で戦闘移動10m。PC4人のエンゲージまで接近します。
竜胆ジョウカ:飛ばないで~
七十橋シスル:珍しく飛行が生きてる状況
オリーヴ・ウェールズ :敵の使う飛行は強い……
ヒナテア・オルブライト:エンゲージ出たわけじゃないから氷の茨も対象外だ
ダリオ・ガラヴェンタ:ところで、どうしてダリオがセットアップに行動しなかったと思いますか?
ヒナテア・オルブライト:先生、わかりません!
オリーヴ・ウェールズ :えっ
"竜王"伊藤算砂:同じ効果のエフェクトならよりレベルが高いほうが優先されるからです。《戦術》。
竜胆ジョウカ:おい嘘だろ
"竜王"伊藤算砂:シーンに登場しているエネミー全員のダイスを+6個します。
オリーヴ・ウェールズ :う、うらぎりものー!
五辻モモカ:ゲェ!?
オリーヴ・ウェールズ :最初からそちら側でしたね……
七十橋シスル:裏切ってるのは我々なんですよね
ヒナテア・オルブライト:王鍵が使えない状況でこれほどの《戦術》を……
竜化器[9] 竜化器[9]
5m
ダリオ[21]
"智慧なきもの"[8]
竜骸[5] 竜骸[5]
レジサイダーA-R6対鉄騎王個体[9]
レジサイダーA-R6対鉄騎王個体[9]
レジサイダーA-R6対鉄騎王個体[9]
レジサイダーA-R6対鉄騎王個体[9]
15m
ヒナテア[13/74]
駆光馬[8] 駆光馬[8] 駆光馬[8] 駆光馬[8]
騎狼犬[5] 騎狼犬[5] 騎狼犬[5] 騎狼犬[5]
レジサイダーA-R11対法王個体[29]
レジサイダーA-R11対法王個体[29]
レジサイダーA-R11対法王個体[29]
レジサイダーA-R11対法王個体[29]
5m
竜骸[5] 竜骸[5]
竜骸[5] 竜骸[5]
オリーヴ[10/70]
ジョウカ[12/58] シスル[13/85]
モモカ[12/64] マカミ[0/120]
GM:行動処理に入っていきます。最初は行動値29、対法王個体4体!
レジサイダーA-R11対法王個体:《餓えし影》《張り子の戦道具》でランダムに1名攻撃します。
レジサイダーA-R11対法王個体:choice[黄道王,鉄騎王,死蔵王,拷問王,法王,月下王]
DoubleCross : (choice[黄道王,鉄騎王,死蔵王,拷問王,法王,月下王]) → 拷問王
レジサイダーA-R11対法王個体:choice[黄道王,鉄騎王,死蔵王,拷問王,法王,月下王]
DoubleCross : (choice[黄道王,鉄騎王,死蔵王,拷問王,法王,月下王]) → 死蔵王
レジサイダーA-R11対法王個体:choice[黄道王,鉄騎王,死蔵王,拷問王,法王,月下王]
DoubleCross : (choice[黄道王,鉄騎王,死蔵王,拷問王,法王,月下王]) → 拷問王
レジサイダーA-R11対法王個体:choice[黄道王,鉄騎王,死蔵王,拷問王,法王,月下王]
DoubleCross : (choice[黄道王,鉄騎王,死蔵王,拷問王,法王,月下王]) → 死蔵王
レジサイダーA-R11対法王個体:レジサイダーに大人気の二人
七十橋シスル:まだそんな名前じゃないのに~
ヒナテア・オルブライト:人違いなのか……?
レジサイダーA-R11対法王個体:対象変更などはいつでも宣言できますが
竜胆ジョウカ:そうだぞ 王狙えよクソ~王狙われてもキツいからいいけど……
レジサイダーA-R11対法王個体:ダメージを見てからのほうがいいでしょう。最初の2体の判定はやっていまいます
レジサイダーA-R11対法王個体:8dx+2 攻撃力12、ダメージを与えた場合、エフェクトで作成した武器防具を破壊。(拷問王1)
DoubleCross : (8DX10+2) → 9[1,3,5,5,6,7,8,9]+2 → 11
GM:間違えた
レジサイダーA-R11対法王個体:14dx+2 攻撃力12、ダメージを与えた場合、エフェクトで作成した武器防具を破壊。(死蔵王1)
DoubleCross : (14DX10+2) → 10[1,1,2,3,4,4,7,7,7,8,8,9,9,10]+8[8]+2 → 20
GM:竜王の支援込みだとこれくらい出るのだ
竜胆ジョウカ:やめて~
GM:あ、いやこれも間違えたかも ミラーパレスで-8個なんでしたっけ
七十橋シスル:私にあたるやつは-8ですね
七十橋シスル:さしひき-2
七十橋シスル:死蔵王のやつはそのままです
GM:また振り直します
GM:じゃあ死蔵王のやつは達成値20で
レジサイダーA-R11対法王個体:6dx+2 攻撃力12、ダメージを与えた場合、エフェクトで作成した武器防具を破壊。(拷問王1)
DoubleCross : (6DX10+2) → 9[3,4,6,6,8,9]+2 → 11
七十橋シスル:こっちはそのままくらいましょう 暴走リア不
竜胆ジョウカ:暴走!リアクション放棄!
GM:同じか……まあクリティカルしてないと同じ数値になるか
レジサイダーA-R11対法王個体:2d10+12 拷問王
DoubleCross : (2D10+12) → 11[2,9]+12 → 23
レジサイダーA-R11対法王個体:3d10+12 死蔵王
DoubleCross : (3D10+12) → 17[3,10,4]+12 → 29
七十橋シスル:うおおお
七十橋シスル:マカミ! 防御たのむ……!
GM:ずるいぞ!ダメージロール振った後で……!
GM:でもまあいいでしょう(マスターロゴス)。月下王が守ってくれます。
七十橋シスル:次は達成値見て頼みます
"月下王"州来マカミ:《軍神の守り》を二回。
竜胆ジョウカ:あっ嘘!俺の分は顔面で受けます!
竜胆ジョウカ:1回でOK
"月下王"州来マカミ:分かりました。じゃあ拷問王分だけ受けて
"月下王"州来マカミ:《地を掴む獣》で-20軽減。HPは57になります。
竜胆ジョウカ:58+1d10 即死~!
DoubleCross : (58+1D10) → 58+8[8] → 66
竜胆ジョウカ:HP6。舐めるな……
GM:わずかな油断が命取りだぜ
レジサイダーA-R11対法王個体:では残り二体の処理。まずは拷問王2から。
レジサイダーA-R11対法王個体:6dx+2 攻撃力12、ダメージを与えた場合、エフェクトで作成した武器防具を破壊。(拷問王2)
DoubleCross : (6DX10+2) → 9[1,2,2,3,5,9]+2 → 11
レジサイダーA-R11対法王個体:よく考えたらこれ、竜王の支援がないとダイスすら振れてないんだなあ……
"月下王"州来マカミ:ワンワン!
七十橋シスル:リアクション不能! 再度カバー頼みます!
"月下王"州来マカミ:こんな世話になった私のこと休日では忘れてたのかい
"月下王"州来マカミ:《軍神の守り》。
レジサイダーA-R11対法王個体:2d10+12
DoubleCross : (2D10+12) → 7[3,4]+12 → 19
レジサイダーA-R11対法王個体:アイヤー、ぜんぜんだめ
七十橋シスル:そっちこそアルルさんばっかり見てたでしょ!
"月下王"州来マカミ:ダメージは0!
"月下王"州来マカミ:それはそう……
"月下王"州来マカミ:ぼんやりしてるし、ほんとに忘れてたかも
レジサイダーA-R11対法王個体:では死蔵王に攻撃。
レジサイダーA-R11対法王個体:14dx+2 攻撃力12、ダメージを与えた場合、エフェクトで作成した武器防具を破壊。(死蔵王2)
DoubleCross : (14DX10+2) → 10[1,2,2,4,4,5,5,5,7,8,9,9,9,10]+3[3]+2 → 15
竜胆ジョウカ:これは……大丈夫と見た!マカミさんのカバー貰います!
"月下王"州来マカミ:ワンワーン!
"月下王"州来マカミ:《軍神の守り》!
レジサイダーA-R11対法王個体:2d10+12
DoubleCross : (2D10+12) → 7[6,1]+12 → 19
レジサイダーA-R11対法王個体:くそ~~
竜胆ジョウカ:ありがと~~~~
レジサイダーA-R11対法王個体:なんで地を掴む獣はエフェクト作成防具じゃねえんだよ!
"月下王"州来マカミ:3回攻撃受けてHPは57!げんきすぎる!
七十橋シスル:メイン盾
ダリオ・ガラヴェンタ:次の手番は行動値21。ダリオ・ガラヴェンタ。
ダリオ・ガラヴェンタ:イニシアチブ行動などありますか?
七十橋シスル:では《原初の白:時間凍結》。
七十橋シスル:HP-20し、行動権を得ます
GM:来た……!
七十橋シスル:マイナーアクション。《光芒の疾走》《陽炎の衣》
七十橋シスル:エンゲージをすり抜けて戦闘移動。10m前進します。完全に一人のエンゲージ。
七十橋シスル:侵蝕85→92→96
竜化器[9] 竜化器[9]
5m
ダリオ[21]
"智慧なきもの"[8]
竜骸[5] 竜骸[5]
レジサイダーA-R6対鉄騎王個体[9]
レジサイダーA-R6対鉄騎王個体[9]
レジサイダーA-R6対鉄騎王個体[9]
レジサイダーA-R6対鉄騎王個体[9]
10m
シスル[13/96]
5m
ヒナテア[13/74]
駆光馬[8] 駆光馬[8] 駆光馬[8] 駆光馬[8]
騎狼犬[5] 騎狼犬[5] 騎狼犬[5] 騎狼犬[5]
レジサイダーA-R11対法王個体[29]
レジサイダーA-R11対法王個体[29]
レジサイダーA-R11対法王個体[29]
レジサイダーA-R11対法王個体[29]
5m
竜骸[5] 竜骸[5]
竜骸[5] 竜骸[5]
オリーヴ[10/70]
ジョウカ[12/66]
モモカ[12/64] マカミ[0/120]
七十橋シスル:メジャーアクション。《コンセントレイト:ウロボロス》《影縛りの魔弾》《原初の赤:要の陣形》
七十橋シスル:使うのはヒナテアさんから貰ったショットガン(射程10m)。狙うのは、PCエンゲージにいる竜骸1体、そしてダリオ、智慧なきもの。
七十橋シスル:何か割り込みあります?
GM:いいえ。今のところありません。
七十橋シスル:では攻撃
七十橋シスル:9dx7+3
DoubleCross : (9DX7+3) → 10[1,1,2,4,5,7,8,9,10]+10[1,4,9,10]+10[4,7]+10[9]+2[2]+3 → 45
七十橋シスル:よっし……!
ダリオ・ガラヴェンタ:きっちり15を超えてきたか
ダリオ・ガラヴェンタ:オートアクションで女神の盾および乙女の旗を装備。ガード。
"智慧なきもの":クソザコ回避するしかありません。
"智慧なきもの":4dx>=45
DoubleCross : (4DX10>=45) → 10[4,5,6,10]+2[2] → 12 → 失敗
竜骸:竜骸は元のデータは持ってないのですが今回《イベイジョン》の処理にさせてください。
竜骸:肉体は5、ダイスボーナスは2、回避技能はないので
竜骸:《イベイジョン》は14です。自動命中。
七十橋シスル:ではダメージ
七十橋シスル:5+5d10+4d10
DoubleCross : (5+5D10+4D10) → 5+21[2,6,7,3,3]+38[10,10,10,8] → 64
七十橋シスル:4d10はトラッパーと怨念の呪石の効果です
竜骸:竜骸AのHPが64削れました。
"智慧なきもの":智慧なきものは死ぬ!……んですが
"智慧なきもの":《拒絶の後光》。ダメージを0にし、暴走します。
"智慧なきもの":暴走したことにより《ミラーパレス》が発動します。智慧なきものを含む攻撃ダイスに-6個がかかるようになります。
七十橋シスル:こいつもかよ!
竜胆ジョウカ:すいませんちょっとタイム!
GM:はいはいなんでしょうか
竜胆ジョウカ:【アシドーシス/アルカローシス】を《拒絶の後光》に適用できますか
GM:確かに制限について書いているわけではない……!ですが
GM:ここは実際GMのミスなんですけども、温存はおすすめします
GM:打ち消すことはできます
七十橋シスル:えっなにそれ怖……
GM:というかついさっき使う所あったのにこっちがデータをド忘れしちゃってたな……すみません
竜胆ジョウカ:分かりました!ダイス-6よりひどいことないでしょ……と思いつつ温存します
"智慧なきもの":ホッ……
七十橋シスル:じゃあ温存しましょうか ダリオはダメージ受けます?
"智慧なきもの":まあ復活エフェクトまだ持ってるんですけどねこいつは
ダリオ・ガラヴェンタ:受けましょう。女神の盾により、装甲無視無効の装甲値が9、ガード値が+5されています。
ダリオ・ガラヴェンタ:また、乙女の旗はガード値9を持つ武器です。
七十橋シスル:ではオートアクション《巨人の影》。および、FHアイテム《ハンティングアイ》。
ダリオ・ガラヴェンタ:ジュラシックレコードにより装甲値が+10されています。
ダリオ・ガラヴェンタ:ニーベルングの指輪によってガード値が+5されています。
七十橋シスル:ダメージを与えたことで、《ミラーパレス》のレベル+2。こちらを狙う攻撃ダイスを-12します。
七十橋シスル:また、ダメージを与えた相手に対して、シスル相手の憎悪を付与します。
七十橋シスル:めっちゃ遺産の装甲を盛ってきてやがる
ダリオ・ガラヴェンタ:なるほど、そういうことか……こちらの装甲は19、ガード値は19です。
ダリオ・ガラヴェンタ:ダメージは38軽減なので、憎悪付与は受けてしまうところですが
"竜王"伊藤算砂:《デモンズウェブ》。
"竜王"伊藤算砂:ダメージを-9D10します。
"竜王"伊藤算砂:64-38-9d10
DoubleCross : (64-38-9D10) → 64-38-34[1,8,5,4,2,4,3,1,6] → -8
七十橋シスル:wwww
七十橋シスル:maa
七十橋シスル:いいでしょう。切るモノは切らせたと思いましょう。
七十橋シスル:侵蝕は96→104→107
GM:実際デモンズウェブを他に使えなくなったのは痛いところかもしれん……
ダリオ・ガラヴェンタ:だが、とにかく3人巻き込んだ攻撃をしたい!
七十橋シスル:では憎悪付与は竜骸だけ。いきなり危険域になってしまった。あとは死ぬだけかもしれん。
七十橋シスル:以上です
ダリオ・ガラヴェンタ:マイナーアクション。《陽炎の衣》。隠密状態になり、夜の小鳥の効果によってダイス数を+3個します。
ダリオ・ガラヴェンタ:《コンセントレイト:ノイマン》《コントロールソート》《マルチウェポン》《神機妙算》《風鳴りの爪》。対象はPC3人。
ダリオ・ガラヴェンタ:PCじゃないか。月下王はNPCでしたね
ダリオ・ガラヴェンタ:実はデータでは必中の弓を使おうと思ってたんですけど、これは両手持ち武器なので……
ヒナテア・オルブライト:マルチ非対応ウェポンだ
ダリオ・ガラヴェンタ:代わりに「栄光と勝利の槍」「信仰の火」でいいかなあ
竜胆ジョウカ:代わりにが贅沢すぎる
ダリオ・ガラヴェンタ:命中固定値が下がる以外攻撃力は変わらないか
ダリオ・ガラヴェンタ:27dx7+3
DoubleCross : (27DX7+3) → 10[1,1,1,1,2,2,2,2,4,5,5,5,6,6,7,8,8,8,8,8,8,9,9,9,9,9,10]+10[1,1,2,4,6,7,8,8,8,9,9,9,9]+10[2,4,4,6,6,7,8,9]+10[1,2,8]+1[1]+3 → 44
ダリオ・ガラヴェンタ:あ、PCもよく見たら3人いた!PC+月下王全員が対象です。
竜胆ジョウカ:うおおお暴走リア不!
五辻モモカ:ふむ。ドッジだな
オリーヴ・ウェールズ :ドッジ……の達成値は-10される!無理!ガード!
"月下王"州来マカミ:私はどうする?
竜胆ジョウカ:どうしようね
竜胆ジョウカ:いったんモモカさんドッジ振ってみる?
五辻モモカ:振ってから決めるのは良いのか……?
GM:それは大丈夫ですよ
GM:ルール上でも全員がリアクションしてからカバーリングは決められるはずです
五辻モモカ:あっそうだカバーは大丈夫なのか
五辻モモカ:では振ります
五辻モモカ:2dx+1>=44
DoubleCross : (2DX10+1>=44) → 10[1,10]+2[2]+1 → 13 → 失敗
五辻モモカ:まあ当然避けられる訳も無し!
"月下王"州来マカミ:ぼんやり
オリーヴ・ウェールズ :月下王様!カバーをお願いいたします……!
"月下王"州来マカミ:じゃあドッジして……カバーする……
"月下王"州来マカミ:10dx+2>=44
DoubleCross : (10DX10+2>=44) → 10[1,1,4,5,5,9,9,9,10,10]+7[7,7]+2 → 19 → 失敗
"月下王"州来マカミ:《軍神の守り》。
ダリオ・ガラヴェンタ:5d10+36
DoubleCross : (5D10+36) → 24[9,9,3,2,1]+36 → 60
"月下王"州来マカミ:戦闘不能。一度だけ《魔獣の証》で復活しますが……
"智慧なきもの":《嫌悪の毒》。
竜胆ジョウカ:は?
"智慧なきもの":回復したHPを-15します。
オリーヴ・ウェールズ :はぁっ?!
五辻モモカ:ちょっと!?
"月下王"州来マカミ:HPは35になってしまいました。
ヒナテア・オルブライト:ここぞとばかりにシルバーバレットを
GM:モモカさんとジョウカさんは60点受けてもらいます
五辻モモカ:当然耐えられない!リザレクト!
五辻モモカ:五辻モモカの侵蝕率を1D10(→ 8)増加(64 → 72)
竜胆ジョウカ:66+1d10 リザレクト!1来い11111111111111
DoubleCross : (66+1D10) → 66+9[9] → 75
"竜王"伊藤算砂:《デビルストリング》。
竜胆ジョウカ:カス
七十橋シスル:カスwwwwww
"竜王"伊藤算砂:同時タイミングに使えるのは確か一人だけなので、侵蝕率の低いモモカさんの《リザレクト》を打ち消します。
竜胆ジョウカ:血統王――!
ヒナテア・オルブライト:【アシドーシス/アルカローシス】デビルストリングを打ち消してもらいましょう
"竜王"伊藤算砂:命拾いしたな……。
"竜王"伊藤算砂:《デビルストリング》は引っ込みます。残り回数2回。
"竜王"伊藤算砂:本当はさっきのレジサイダーで一回使っておくべきでしたけど
"竜王"伊藤算砂:これは竜王ではなくGMの判断責任です
"血統王"バージニア・ダネシュティ:NPCカードは残り4回。
竜胆ジョウカ:75になります……
竜化器[9] 竜化器[9]
5m
ダリオ[21]
"智慧なきもの"[8]
竜骸[5] 竜骸[5]
レジサイダーA-R6対鉄騎王個体[9]
レジサイダーA-R6対鉄騎王個体[9]
レジサイダーA-R6対鉄騎王個体[9]
レジサイダーA-R6対鉄騎王個体[9]
10m
シスル[13/107]
5m
ヒナテア[13/74]
駆光馬[8] 駆光馬[8] 駆光馬[8] 駆光馬[8]
騎狼犬[5] 騎狼犬[5] 騎狼犬[5] 騎狼犬[5]
レジサイダーA-R11対法王個体[29]
レジサイダーA-R11対法王個体[29]
レジサイダーA-R11対法王個体[29]
レジサイダーA-R11対法王個体[29]
5m
竜骸[5] 竜骸[5]
竜骸[5] 竜骸[5]
オリーヴ[10/70]
ジョウカ[12/75]
モモカ[12/72] マカミ[0/120]
GM:ようやくPCの行動になります。行動値13。ヒナテアさん。
ヒナテア・オルブライト:流石にびっくりの横入りっぷり
GM:シスルさんも同じ行動値ですね。どちらが先でも大丈夫だ
ヒナテア・オルブライト:コンビネーターヒナテアから動くのが良いでしょう
ヒナテア・オルブライト:離脱可能戦闘移動は……微妙なところだがしない
ヒナテア・オルブライト:メジャーで【太陽風十二方位】《サイレンの魔女》《餓えし影》《終焉の残響》装甲無視のRC射撃攻撃。対象はシーン中のエネミー全て。
ヒナテア・オルブライト:智慧なきものも込みで攻撃。
"智慧なきもの":おやおや……わたくしを攻撃するとダイスが-6個もされてしまいますよ
"智慧なきもの":よろしいのですか?もしもとんでもない達成値が出てしまったら……
オリーヴ・ウェールズ :【聖霊の加護】《砂の加護》《砂塵霊》
オリーヴ・ウェールズ :ダイスを+4、ダメージを+12
ヒナテア・オルブライト:チームプレーで補うぜ
オリーヴ・ウェールズ :侵蝕が6上昇、76
ヒナテア・オルブライト:足りない分は固定値でも補うぜ
ヒナテア・オルブライト:何か妨害ありますか
"竜王"伊藤算砂:それでは《砂の加護》に《デビルストリング》。
"竜王"伊藤算砂:《砂の加護》がなければ《砂塵霊》は乗らないので
五辻モモカ:だが私が居る!
五辻モモカ:《砂の加護+砂塵霊》判定ダイス+6個、攻撃力+20する。侵蝕6
五辻モモカ:私の愛を持っていけ~ッ!
五辻モモカ:五辻モモカの侵蝕率を6増加(72 → 78)
"竜王"伊藤算砂:威力自体はこっちのほうが高いな……
ヒナテア・オルブライト:ダイスが六個増えいつもの3倍!智慧なきもの!お前のデバフを上回る友情パワーだ~!
"竜王"伊藤算砂:最後の《デビルストリング》だけど、やはり切ると決めたところに全部投入するか
"竜王"伊藤算砂:モモカさんの《砂の加護》も打ち消します。《デビルストリング》。
五辻モモカ:貴様ァ!
ヒナテア・オルブライト:血統王……【アシドーシス/アルカローシス】頼めるか?
"血統王"バージニア・ダネシュティ:しょうがないにゃあ……
"血統王"バージニア・ダネシュティ:打ち消すのはどっち?両方?
ヒナテア・オルブライト:モモカストリングでお願い~両方通っても強い方しか効果ないし
オリーヴ・ウェールズ :法王様に向かってきた方を!
"血統王"バージニア・ダネシュティ:わかったよ!打ち消しを打ち消します。残り3回。
GM:やっと解決に入れます。達成値をどうぞ。
ヒナテア・オルブライト:4dx+17 この攻撃にはリアクション不可能!
DoubleCross : (4DX10+17) → 10[3,3,9,10]+1[1]+17 → 28
ヒナテア・オルブライト:毎回ちょっと頑張ってるなこいつ
ダリオ・ガラヴェンタ:海鳴の石板。達成値を-15します。
GM:対象となったエネミー全員はリアクションできないのですが
レジサイダーA-R6対鉄騎王個体:カバーリングには入ります。対鉄騎王個体2体がそれぞれダリオと智慧なきものをカバーします。
レジサイダーA-R6対鉄騎王個体:《カバーディフェンス》。
GM:何もなければダメージをどうぞ
ヒナテア・オルブライト:ここでカバーディフェンス無効化しても他が庇うもんな……通し
ヒナテア・オルブライト:2d10+33+20 装甲無視
DoubleCross : (2D10+33+20) → 15[5,10]+33+20 → 68
GM:強い……!結構こっちも頑張って妨害したのに
ヒナテア・オルブライト:「コンビネーター」ダメージを与えた対象はラウンド中、受けるダメージ+2D
GM:とりあえず騎狼犬と駆光馬は全員撃破されます。
ヒナテア・オルブライト:さらばイッヌ、ウッマ……
GM:竜化器もよく見たらHP50だったのでどっちも破壊されます。
レジサイダーA-R11対法王個体:すいません!対法王個体のリアクションを書いていなかったのですが
ヒナテア・オルブライト:あ、気になってたけど聞き忘れてた
レジサイダーA-R11対法王個体:これは2体が別の2体を《カバーディフェンス》する形で守ります。もちろんカバーに入った2体は全員死亡。
ヒナテア・オルブライト:やはりそういうことか……だが半分は削る!
竜骸:竜骸も実は一体やられます。ダリオ達のエンゲージにいた、さっきシスルの攻撃を受けてたほうの1体。
七十橋シスル:やった!
ヒナテア・オルブライト:共同戦禍イエー
竜骸:64点+68点でHPの121点を超えてました。ジャームじゃないので復活エフェクトもなし。
ヒナテア・オルブライト:すごいギリギリ削り切った
ヒナテア・オルブライト:ヒナテア・オルブライトの侵蝕率を10増加(74 → 84)
レジサイダーA-R6対鉄騎王個体:対鉄騎王個体は、カバーに入っていた分の2体は
レジサイダーA-R6対鉄騎王個体:《虚無への回帰》。ダメージを0にします。
ヒナテア・オルブライト:C2砲対策、これかぁ!
レジサイダーA-R6対鉄騎王個体:カバーに入っていない2体はそのままダメージを受け撃破されます。HPは49、遺産継承者以外からのダメージは+2されています。
レジサイダーA-R6対鉄騎王個体:ただし、カバーリングしている2体がそれぞれ、その2体に対して
レジサイダーA-R6対鉄騎王個体:《原初の黒:奇跡の雫》を使用します。2体が蘇生します。
七十橋シスル:残機を増やすタイプの対策!!
レジサイダーA-R6対鉄騎王個体:そう、対鉄騎王に最も有効な戦略がこれ……
竜胆ジョウカ:こいつら強いぞ!!
ヒナテア・オルブライト:二人羽織蘇生!?
レジサイダーA-R6対鉄騎王個体:今どういう状況かと言うと
レジサイダーA-R6対鉄騎王個体:「虚無への回帰」「原初の黒:奇跡の雫」を2枚残したHP1の個体が2体、HPが全快状態で切り札をどちらも使用済みの個体が2体
レジサイダーA-R6対鉄騎王個体:念のためマップ上では区別しておきましょう。全部の個体にコンビネーターは入っています
七十橋シスル:あ、コンビネーターは残るんだ
GM:死亡解除ではないですからね
七十橋シスル:それもそうか
ダリオ[21]
"智慧なきもの"[8]
竜骸[5]
レジサイダーA-R6対鉄騎王個体'[9]
レジサイダーA-R6対鉄騎王個体'[9]
レジサイダーA-R6対鉄騎王個体[9]
レジサイダーA-R6対鉄騎王個体[9]
10m
シスル[13/107]
5m
ヒナテア[13/84]
レジサイダーA-R11対法王個体[29]
レジサイダーA-R11対法王個体[29]
5m
竜骸[5] 竜骸[5]
竜骸[5] 竜骸[5]
オリーヴ[10/70]
ジョウカ[12/75]
モモカ[12/78] マカミ[0/120]
GM:行動値13。シスルの手番です。
七十橋シスル:PCのところの竜骸って3体じゃないです?
ヒナテア・オルブライト:シスルの攻撃対象指定が竜骸1で、それが上と下どっちを指してるか不明瞭だった?
GM:あ、そういうこと?
GM:さっき攻撃したのは理事会側じゃなくてPC側の竜骸だったってことですよね?
GM:これは単純に勘違いしていたかも。マップを修正します
七十橋シスル:あ、そのつもりでした
七十橋シスル:スタートダッシュで移動した竜骸がシスルを殴りにきたら素手で殴ることになりますからね
ヒナテア・オルブライト:PCエンゲージにいる竜骸1体って言ってたか
ダリオ[21]
"智慧なきもの"[8]
竜骸[5] 竜骸[5]
レジサイダーA-R6対鉄騎王個体'[9]
レジサイダーA-R6対鉄騎王個体'[9]
レジサイダーA-R6対鉄騎王個体[9]
レジサイダーA-R6対鉄騎王個体[9]
10m
シスル[13/107]
5m
ヒナテア[13/84]
レジサイダーA-R11対法王個体[29]
レジサイダーA-R11対法王個体[29]
5m
竜骸[5] 竜骸[5]
竜骸[5]
オリーヴ[10/70]
ジョウカ[12/75]
モモカ[12/78] マカミ[0/120]
GM:竜骸瞬間移動マジ~~ック
ヒナテア・オルブライト:楽しい拷問サーカスの始まりだ~
七十橋シスル:では私の手番!
七十橋シスル:どうしよう
GM:COME ON
七十橋シスル:これ勝利条件は敵の全滅ですよね
GM:そうです
七十橋シスル:ではマイナーで《陽炎の衣》。メジャーで《コンセントレイト:ウロボロス》《影縛りの魔弾》《原初の赤:要の陣形》
七十橋シスル:対象は、ダリオ側のエンゲージの三人。ダリオ、竜骸、HP1のレジスチルのうち1体で。
GM:レジスチルじゃないよ
レジサイダー:ぼくはレジサイダー
七十橋シスル:レジサイダーの対鉄騎王個体くん……
七十橋シスル:10dx7+3
DoubleCross : (10DX7+3) → 10[1,1,1,2,3,4,7,7,8,10]+10[5,5,6,9]+3[3]+3 → 26
レジサイダーA-R6対鉄騎王個体:どうせ狙われているならHP1のレジサイダーはダリオをカバーリングしましょう。
レジサイダーA-R6対鉄騎王個体:ちな《イベイジョン》10で自動命中です。
ダリオ・ガラヴェンタ:ダリオのリアクションはさっきと同じでガード
ダリオ・ガラヴェンタ:竜骸には一枚たりともカバー役はやりません
七十橋シスル:あーそうなるか
七十橋シスル:ではダメージいきます
七十橋シスル:5+3d10+4d10
DoubleCross : (5+3D10+4D10) → 5+12[2,9,1]+24[7,9,5,3] → 41
七十橋シスル:コンビネーター分ダメージ
七十橋シスル:41+2d10
DoubleCross : (41+2D10) → 41+11[8,3] → 52
レジサイダーA-R6対鉄騎王個体:でもこれも地味に困るんだよな
レジサイダーA-R6対鉄騎王個体:HP1のほうは切り札二つとも残ってるわけだし
レジサイダーA-R6対鉄騎王個体:《原初の黒:奇跡の雫》を残すためにはここで《虚無への回帰》を切らざるをえない
竜骸:竜骸は68+52点ダメージで生き残っています……!HP1だ!
七十橋シスル:ムウーおのれ
七十橋シスル:回避札一枚か。では以上です。侵蝕107→118
竜胆ジョウカ:では……行動値12、竜胆ジョウカ行きます
七十橋シスル:あ、待った
竜胆ジョウカ:おうよ
七十橋シスル:ああいえGM,すいません、さっき宣言し忘れていたんですが、ダリオさんデモンズウェブでダメージを0にしてましたよね?
七十橋シスル:影縛りの魔弾の効果は命中時に発動するので、ガード値-6してます
ダリオ・ガラヴェンタ:エ~~ッ
ダリオ・ガラヴェンタ:言ってよ~そういうことは
ダリオ・ガラヴェンタ:じゃあガード値-6になってます 13点のガード値があるぜ
七十橋シスル:まだダメージ受ける前で良かった~
七十橋シスル:以上です どうぞ1
竜胆ジョウカ:うおおおおお
竜胆ジョウカ:マイナー……で一応暴走解除!呪石じゃないので意味ないしね
竜胆ジョウカ:メジャーでコンボ【ヴェントラグツァの風】、《サイレンの魔女》《疾風迅雷》!
竜胆ジョウカ:ここにオートで《援護の風》も当てます。
竜胆ジョウカ:対象は智慧以外全員!振るぞ!
竜胆ジョウカ:15dx 2億とかでないかな
DoubleCross : (15DX10) → 10[1,1,1,2,3,3,3,4,4,6,6,7,8,9,10]+7[7] → 17
竜胆ジョウカ:耐え耐え耐え耐え耐え耐え
ダリオ・ガラヴェンタ:無様なやつめ……!「海鳴の石板」で達成値を-15してやる
ダリオ・ガラヴェンタ:お前の達成値は2だ
竜胆ジョウカ:バーカ当たれば勝ちよ!!《疾風迅雷》でドッジ不可じゃリアクションどうぞ!!
ダリオ・ガラヴェンタ:そうなんだよなドッジ不可……
ダリオ・ガラヴェンタ:だが達成値2ならそんなダメージも出ないだろう。
ダリオ・ガラヴェンタ:念のため出がらしレジサイダーにカバーリングだけはさせるがな……
レジサイダーA-R6対鉄騎王個体:ということで、HP満タンで切り札0のレジサイダーが、《カバーディフェンス》でダリオと智慧なきものをそれぞれカバー。
レジサイダーA-R11対法王個体:対法王個体は残りの対法王個体をカバーします。
レジサイダーA-R6対鉄騎王個体:《虚無への回帰》が残っているレジサイダーが、さっき《虚無への回帰》を使わされた方のHP1レジサイダーをカバー。
レジサイダーA-R6対鉄騎王個体:ダメコンが非常に難しい でもこれで全員虚無への回帰は少なくともなくなる
竜胆ジョウカ:1d10+21+3d10+2d10 ダメージ・装甲無視!
DoubleCross : (1D10+21+3D10+2D10) → 4[4]+21+19[6,5,8]+5[3,2] → 49
竜胆ジョウカ:まあまあ
竜骸:HP1の竜骸が死にます。が
レジサイダーA-R6対鉄騎王個体:カバーリングされている対鉄騎王個体が《原初の黒:奇跡の雫》で持ちこたえさせます。HP1.
レジサイダーA-R6対鉄騎王個体:出がらし個体は2体とも死亡。レジサイダー同士でカバーした1体は《虚無への回帰》で生存。
レジサイダーA-R6対鉄騎王個体:今残っている個体は以下のとおりです
レジサイダーA-R6対鉄騎王個体:A:HP1 切り札なし B:HP1 奇跡の雫
レジサイダーA-R11対法王個体:対法王個体もこれで残り1体。
竜骸:竜骸の蓄積ダメージは68+49で117点。
竜骸:理事会側の個体1体だけがHP1です。
GM:結構複雑ですけど、基本今生き残ってるのは理事会と対法王個体以外みんなHP一桁ですね。侵蝕上昇処理をお願いします。
竜胆ジョウカ:うおー 10上がって85です
ダリオ[21]
"智慧なきもの"[8]
竜骸[5] 竜骸[5]
レジサイダーA-R6対鉄騎王個体[9]
レジサイダーA-R6対鉄騎王個体[9]
10m
シスル[13/114]
5m
ヒナテア[13/84]
レジサイダーA-R11対法王個体[29]
5m
竜骸[5] 竜骸[5]
竜骸[5]
オリーヴ[10/70]
ジョウカ[12/85]
モモカ[12/78] マカミ[0/120]
GM:手番はモモカ法王。
五辻モモカ:動かざること山の如し!待機します
GM:では続いてオリーヴさんの手番です。
オリーヴ・ウェールズ :はい
オリーヴ・ウェールズ :マイナーで暴走解除
オリーヴ・ウェールズ :ダムドスカルの効果で攻撃力が2d10伸びます
オリーヴ・ウェールズ :メジャーで【戦場に立つ者へ、聖ミカエルの加護よ在れ】《赤:カスタマイズ》《コンセントレイト:ウロボロス》《混色の氾濫》《ペネトレイト》、対象は智慧なきもの以外の最奥エンゲージ!
オリーヴ・ウェールズ :判定!
オリーヴ・ウェールズ :11dx7+7
DoubleCross : (11DX7+7) → 10[3,4,4,5,6,6,7,7,8,9,10]+3[1,1,2,2,3]+7 → 20
オリーヴ・ウェールズ :うぎゃっ
ダリオ・ガラヴェンタ:愚か者め……!!
ダリオ・ガラヴェンタ:達成値のありがたみを知らぬ者に死を!
ダリオ・ガラヴェンタ:最後の海鳴の石板!達成値を-15します。
オリーヴ・ウェールズ :ぐう~っ
オリーヴ・ウェールズ :5です……
竜骸:イベイジョン14で回避。
レジサイダーA-R6対鉄騎王個体:イベイジョン10で回避。
オリーヴ・ウェールズ :しくしく……
ダリオ・ガラヴェンタ:達成値5なら余裕!回避にチャレンジします。
七十橋シスル:おっと
ダリオ・ガラヴェンタ:なにっ
七十橋シスル:回避にチャレンジすると……そう言いましたね?
七十橋シスル:《フラッシュゲイズ》。回避ダイス-8。
ダリオ・ガラヴェンタ:(なんだか疲れちゃったなあ)(故郷に帰ろうかなあ)
ダリオ・ガラヴェンタ:なにっ
オリーヴ・ウェールズ :シスルだいすき~~~~っ!
ダリオ・ガラヴェンタ:くそ~~ッ!自動命中だ!
ダリオ・ガラヴェンタ:レジサイダーッ!ぼくを助けろーッ!
七十橋シスル:侵蝕118→121
レジサイダーA-R6対鉄騎王個体:奇跡の雫持ってないほうのレジサイダーが
レジサイダーA-R6対鉄騎王個体:《カバーディフェンス》で犠牲になりにきました……。
オリーヴ・ウェールズ :命中ダイスの恨み!
オリーヴ・ウェールズ :1d10+9+15+2d10+1d10+2d10+2d10
DoubleCross : (1D10+9+15+2D10+1D10+2D10+2D10) → 10[10]+9+15+8[4,4]+4[4]+10[7,3]+14[9,5] → 70
レジサイダーA-R6対鉄騎王個体:めちゃくちゃ食らう!
レジサイダーA-R6対鉄騎王個体:対鉄騎王個体なのに……
レジサイダーA-R6対鉄騎王個体:対鉄騎王個体なのに――ッ!!
オリーヴ・ウェールズ :私はまだ鉄騎王ではありませんので……
オリーヴ・ウェールズ :装甲無視です
レジサイダーA-R6対鉄騎王個体:もちろん消滅します。防御用エフェクトは完全に使い切りました。
オリーヴ・ウェールズ :侵蝕80まで、以上!
ダリオ[21]
"智慧なきもの"[8]
竜骸[5] 竜骸[5]
レジサイダーA-R6対鉄騎王個体[9]
10m
シスル[13/114]
5m
ヒナテア[13/84]
レジサイダーA-R11対法王個体[29]
5m
竜骸[5] 竜骸[5]
竜骸[5]
オリーヴ[10/80]
ジョウカ[12/85]
モモカ[12/78] マカミ[0/120]
GM:行動値9。レジサイダー対鉄騎王個体がようやく行動します。
レジサイダーA-R6対鉄騎王個体:choice[黄道王,鉄騎王,死蔵王,拷問王,法王,月下王]
DoubleCross : (choice[黄道王,鉄騎王,死蔵王,拷問王,法王,月下王]) → 鉄騎王
オリーヴ・ウェールズ :ぎゃっきた
レジサイダーA-R6対鉄騎王個体:目標は鉄騎王。
レジサイダーA-R6対鉄騎王個体:《餓えし影》のみで攻撃。
レジサイダーA-R6対鉄騎王個体:8dx+2
DoubleCross : (8DX10+2) → 10[1,1,6,6,7,7,7,10]+1[1]+2 → 13
オリーヴ・ウェールズ :これなら受けられるか……?
オリーヴ・ウェールズ :いえ、油断せず月下王様のお力を賜りましょう
"月下王"州来マカミ:ぼんやり……
"月下王"州来マカミ:《軍神の守り》でカバーに入りましょう
レジサイダーA-R6対鉄騎王個体:2d10+12
DoubleCross : (2D10+12) → 6[4,2]+12 → 18
レジサイダーA-R6対鉄騎王個体:エ~ン
オリーヴ・ウェールズ :流石です……!
"月下王"州来マカミ:ダメージ0!HPは35のままです
竜骸:お待ちかねの竜骸ズの出番ですよ~ッ
GM:いや、違った
"智慧なきもの":こっちが先ですね。智慧なきもの。
"智慧なきもの":《コンセントレイト:ソラリス》《流血の胞子》《崩れる大地》《タブレット》《多重生成》。
"智慧なきもの":多重生成の対象は5体。なので……
"智慧なきもの":choice[黄道王,鉄騎王,死蔵王,拷問王,法王,月下王]
DoubleCross : (choice[黄道王,鉄騎王,死蔵王,拷問王,法王,月下王]) → 鉄騎王
"智慧なきもの":鉄騎王以外を狙うことにします。
"智慧なきもの":シーンドッジダイス-6個、邪毒6を与える攻撃です。
オリーヴ・ウェールズ :イリーナ様……!シスルさんへの攻撃を私に変更させてください……!
"智慧なきもの":でも拷問王を対象に含まないと
"智慧なきもの":ミラーパレスがかからないんですよね まあ竜王が相殺してくれてるんだけど
七十橋シスル:言うてミラーパレスー12ですからね
"智慧なきもの":え!そんなに!
"智慧なきもの":そうか、さっきレベルが+2されたんだ
"智慧なきもの":やりすぎシスル
七十橋シスル:差し引きで-6、普通にあたる攻撃になる
七十橋シスル:当たったら死ぬので、イリーナ様のお力で対象から外させていただきます
"智慧なきもの":仕方がありませんねェ……。代わりに鉄騎王を邪毒感染して差し上げますよーッ
"智慧なきもの":15dx7+6 シーンドッジ-6個、邪毒6
DoubleCross : (15DX7+6) → 10[1,1,1,2,2,5,5,6,7,9,9,10,10,10,10]+10[1,2,2,3,6,8,10]+10[3,10]+4[4]+6 → 40
オリーヴ・ウェールズ :つ、つよい……!
ヒナテア・オルブライト:暴走リア不
五辻モモカ:ハハハ
五辻モモカ:ドッジ!
"月下王"州来マカミ:10dx+2>=40
DoubleCross : (10DX10+2>=40) → 10[5,5,6,6,7,8,8,8,9,10]+3[3]+2 → 15 → 失敗
オリーヴ・ウェールズ :ドッジしてみます
五辻モモカ:3dx+1>=40
DoubleCross : (3DX10+1>=40) → 9[2,5,9]+1 → 10 → 失敗
オリーヴ・ウェールズ :4dx+1
DoubleCross : (4DX10+1) → 10[3,9,9,10]+9[9]+1 → 20
オリーヴ・ウェールズ :がんばったのに~
GM:すごいねオリーヴ
竜胆ジョウカ:4dx ワンチャンドッジ
DoubleCross : (4DX10) → 4[1,2,3,4] → 4
オリーヴ・ウェールズ :さっき殴った時よりダイスが高い……?
"智慧なきもの":ダメージはありませんが、ラウンド終了ごとに18ダメージが入っていきます。
"智慧なきもの":あと回避ダイスも6個も減るから
"智慧なきもの":これからの竜骸相手の処理が簡単になるってワケ
七十橋シスル:だいぶ智慧が感じられるエフェクトなんだが……
竜骸:ということで、手前側のPCにエンゲージしている竜骸はそれぞれ範囲攻撃をします。
竜骸:《コンセントレイト:キュマイラ》《銘なき刃》《疾風剣》《獅子奮迅》。
竜骸:7dx7+3 リアクション-5個
DoubleCross : (7DX7+3) → 10[3,7,7,7,8,8,8]+10[3,3,5,7,7,9]+10[1,2,8]+10[9]+10[10]+10[7]+10[10]+6[6]+3 → 79
オリーヴ・ウェールズ :????
竜胆ジョウカ:バカ
"月下王"州来マカミ:私ももうだめかも……
五辻モモカ:えぇ?
"月下王"州来マカミ:口惜しい……
"月下王"州来マカミ:フルパワーアタックをしておきながらメジャーアクションもできずに転送されるなんて
五辻モモカ:俺バカだからドッジは出来ねえけどよォ~~!
五辻モモカ:教えてもらったからカバーはした方が良いってことくらいは分かるぜ!
"月下王"州来マカミ:法王……!
五辻モモカ:マカミさんをメジャー放棄してカバー!
"月下王"州来マカミ:全日制のカスどもの中でもあなただけは味方してくれるんだね
五辻モモカ:他にも良い人は居るのだがな……相互理解が全てだぞ……
"月下王"州来マカミ:私はぼんやりしてればいいのかなあ
七十橋シスル:そしてマカミ……法王を盾にするのだ 復讐を!
"月下王"州来マカミ:ハッそうだ
ヒナテア・オルブライト:殺せー!
"月下王"州来マカミ:これは《復讐の刃》
オリーヴ・ウェールズ :お願いします~!!!!
七十橋シスル:よくも法王をーっ!!
"月下王"州来マカミ:暴力がみなぎってきた……。まだ破壊の爪も作ってないけど……
"月下王"州来マカミ:殺す!!!
"月下王"州来マカミ:10dx7+6
DoubleCross : (10DX7+6) → 10[2,3,5,5,5,7,8,8,9,10]+10[4,4,4,6,8]+3[3]+6 → 29
竜骸:8d10+20 ダメージ
DoubleCross : (8D10+20) → 54[10,10,7,4,7,3,10,3]+20 → 74
"月下王"州来マカミ:3d10+15 ダメージ
DoubleCross : (3D10+15) → 20[4,7,9]+15 → 35
竜骸:バラバラに吹き飛びます。
五辻モモカ:私の仇を……!よくやった!憎しみは全てに勝る!
五辻モモカ:私は死にます、リザ
五辻モモカ:五辻モモカの侵蝕率を1D10(→ 7)増加(78 → 85)
オリーヴ・ウェールズ :リザレクト
オリーヴ・ウェールズ :1d10
DoubleCross : (1D10) → 5
オリーヴ・ウェールズ :85
竜胆ジョウカ:85+1d10 死!リザ!
DoubleCross : (85+1D10) → 85+5[5] → 90
ダリオ[21]
"智慧なきもの"[8]
竜骸[5] 竜骸[5]
レジサイダーA-R6対鉄騎王個体[9]
10m
シスル[13/114]
5m
ヒナテア[13/84]
レジサイダーA-R11対法王個体[29]
5m
竜骸[5] 竜骸[5]
オリーヴ[10/85]
ジョウカ[12/90]
モモカ[12/85] マカミ[0/120]
竜骸:次の個体が攻撃します。
竜骸:《コンセントレイト:キュマイラ》《銘なき刃》《疾風剣》《獅子奮迅》。
七十橋シスル:少々お待ちを
竜骸:ハーイ
竜胆ジョウカ:お待たせしました。その攻撃、ちょっと待った……!
竜胆ジョウカ:その個体の攻撃するメインプロセス、その前のイニシアチブプロセスに
竜胆ジョウカ:インデックス13を起動し、メインプロセスを挟みたい
竜骸:なんだあっ
竜骸:インデックス13が姿を表すぞ
竜胆ジョウカ:侵蝕……+10で100!みなぎる侵蝕でキマってきました
竜胆ジョウカ:メジャーで先と同じコンボ……《サイレンの魔女》《疾風迅雷》を全員狙いで打ちます
竜胆ジョウカ:智慧も巻き込むが……諸々のダイスボーナスで-6くらい踏み越えていく!
"智慧なきもの":貴様~~ッ!
"智慧なきもの":分かっておるのか!侵蝕100ということは……
"智慧なきもの":その邪毒で戦闘不能になればもう十字冠転送だということだぞ!
竜胆ジョウカ:おうよ!つまりどうせ死ぬ命を有効活用できるってことだぜ~~~~~~っ!!!!!
竜胆ジョウカ:11個振れてそこから-6なので5dx!行くぞ
竜胆ジョウカ:5dx
DoubleCross : (5DX10) → 10[4,6,8,8,10]+8[8] → 18
GM:全員ドッジ不可!!
竜胆ジョウカ:死ね!!
ダリオ・ガラヴェンタ:ダリオだけはガードで耐えます。女神の盾の装甲9は無視されません。
ダリオ・ガラヴェンタ:ガード値は-6されています。
竜胆ジョウカ:2d10+24+3d10+2d10 じゃあどのくらい耐えるのか計算してもらおうか!!!殺!!!
DoubleCross : (2D10+24+3D10+2D10) → 16[7,9]+24+19[10,6,3]+7[2,5] → 66
レジサイダーA-R6対鉄騎王個体:対鉄騎王個体は……
レジサイダーA-R6対鉄騎王個体:智慧なきものの方を守るか。こっちは後が無いから……!
ダリオ・ガラヴェンタ:ガード13点、装甲9点軽減し、耐える!
竜胆ジョウカ:つよ~い(感嘆)
ダリオ・ガラヴェンタ:だが装甲を抜かれてるのは相当きつい……!
ダリオ・ガラヴェンタ:別に異形大型ジャームとかじゃないからHPもそんなでもないし
レジサイダーA-R6対鉄騎王個体:しぶとい鉄騎王個体もこれでようやく全滅です
竜胆ジョウカ:やった~
レジサイダーA-R11対法王個体:対法王個体も死にました
竜胆ジョウカ:やった~2
五辻モモカ:やった~!!!!!
竜骸:竜骸も死にました 死にすぎ!
オリーヴ・ウェールズ :やった……!
竜胆ジョウカ:やった~3
竜骸:ぜ~んぶ死にました 残りHP4だったので
七十橋シスル:スッキリした
竜胆ジョウカ:侵蝕率108です すっきりしたよ♡
竜胆ジョウカ:割り込み行動以上!
ダリオ[21]
"智慧なきもの"[8]
10m
シスル[13/114]
5m
ヒナテア[13/84]
5m
オリーヴ[10/85]
ジョウカ[12/108]
モモカ[12/85] マカミ[0/120]
GM:最後は州来マカミ。行動値0です。
竜胆ジョウカ:……ステイかな……
七十橋シスル:マイナーで破壊の爪だけ作っておいてもらえる?
竜胆ジョウカ:君にはこの後みんなを守ってもらうよ
"月下王"州来マカミ:完全獣化もしていい?
ヒナテア・オルブライト:待った!
ヒナテア・オルブライト:完全獣化と破壊の爪、たっぷりしていいぞ
"月下王"州来マカミ:わ~い
ヒナテア・オルブライト:そして全力ダッシュで私のところに来てくれ……お前が欲しい……‽
"月下王"州来マカミ:行く行く~
ダリオ[21]
"智慧なきもの"[8]
10m
シスル[13/114]
5m
ヒナテア[13/84]
マカミ[0/120]
5m
オリーヴ[10/85]
ジョウカ[12/108]
モモカ[12/85]
"智慧なきもの":邪毒ダメージが入ります。シスルさん以外は全員18点ダメージを受けてください。
オリーヴ・ウェールズ :リザレクト……!
竜胆ジョウカ:死!そしてここでジョウカは侵蝕率が100を越えているので
ヒナテア・オルブライト:ヒナテア・オルブライトのHPを18減少(28 → 10)
竜胆ジョウカ:十字冠効果によって離脱……!
五辻モモカ:動いてないのに溶けちゃうよ~。リザ
"竜王"伊藤算砂:そして描写していなかったのですが、竜王のハーミットセプターは
オリーヴ・ウェールズ :1d10+85
DoubleCross : (1D10+85) → 7[7]+85 → 92
オリーヴ・ウェールズ :ぐおお
竜胆ジョウカ:ハーミットセプター!?!?
"竜王"伊藤算砂:現在機能できない状態でした。動かすべき機関がめちゃめちゃですからね。
竜胆ジョウカ:よかった~
ヒナテア・オルブライト:パンクしてた
五辻モモカ:ふ~あぶねあぶね
五辻モモカ:五辻モモカの侵蝕率を1D10(→ 9)増加(85 → 94)
七十橋シスル:そして竜王にはイリーナさんのNPC効果で退場していただきましょう
"竜王"伊藤算砂:チッ、忘れてなかったか
ヒナテア・オルブライト:シスル時代到来
五辻モモカ:えらい
オリーヴ・ウェールズ :イリーナ様……!
七十橋シスル:あっちでゲーミング将棋してな! シッシッ!
"竜王"伊藤算砂:忘れていれば次もダイス+6個して《デモンズウェブ》してやろうと思ってたのに
竜胆ジョウカ:俺も去ります パラパラパラ……(やられモーションを取りながら上空からやってきたヘリに乗って退場)
竜胆ジョウカ:みんな頑張ってね~~~ 確実に息の根を止めてね
ヒナテア・オルブライト:代わりにサイレン鳴らしておくよ~
七十橋シスル:絶対に殺します
オリーヴ・ウェールズ :お任せを!
ダリオ[21]
"智慧なきもの"[8]
10m
シスル[13/114]
5m
ヒナテア[13/84]
マカミ[0/120]
5m
オリーヴ[10/92]
モモカ[12/94]
GM:円卓の青い光が、広間全体へと広がる。
GM:これが、円卓議会の人間ですら目にしたことのない、大王鍵『円卓』の起動状態だった。
ダリオ・ガラヴェンタ:「消え失せろ……!!」
ダリオ・ガラヴェンタ:「この私の、視界から!!」
ヒナテア・オルブライト:腰まで伸びた夜色の髪が、戒めに堕した腕環嵌る両腕が、追い風に吹かれるようにゆらりとたなびく。
ヒナテア・オルブライト:否、ヒナテアのすぐ背後から異界の風が吹き込み始める。
ヒナテア・オルブライト:「我らが抱く、王を証すに相応しき力は。天より神が運びし贈り物」
ヒナテア・オルブライト:「王鍵は力あるレガシーではあるが切欠に過ぎん、引き寄せ力に覚醒めるのは私が私であるが故!」
ヒナテア・オルブライト:「己の手で与え、取り上げたからといって支配した気になるのは早いぞ略奪者!」
ヒナテア・オルブライト:空間を繋ぐ門を制御し、太陽の如き光熱エネルギーを呼び込む戦闘スタイルは、タコスメラ宇宙閘の機能に依存するもの。
ヒナテア・オルブライト:その使用権限は確かに奪われたにも関わらず、どこ吹く風で同じ現象を行使し始める。
オリーヴ・ウェールズ :『───Sancte Michael Archangele,defende nos in proelio;』
オリーヴ・ウェールズ :跪き、傅き。天に届けと祈りを捧げる。
オリーヴ・ウェールズ :『contra nequitiam et insidias diaboli esto praesidium.』
オリーヴ・ウェールズ :『Imperet illi Deus, supplices deprecamur:』
オリーヴ・ウェールズ :『tuque, Princeps militiae caelestis,』
オリーヴ・ウェールズ :『Satanam aliosque spiritus malignos,qui ad perditionem animarum pervagantur in mundo,』
オリーヴ・ウェールズ :『divina virtute, in infernum detrude.』
オリーヴ・ウェールズ :『───Amen.』
オリーヴ・ウェールズ :───彼女が鉄騎王の側近まで上り詰めた一つの理由が、前線にて照らすその象徴性だろう。
オリーヴ・ウェールズ :本校舎奪還を為さんとする総軍に、暖かな信仰の輝きが降り注ぐ。
オリーヴ・ウェールズ :それはレネゲイドを介さず、能力そのものを引き上げるものでは無い。
オリーヴ・ウェールズ :しかし、眩きヒカリは。天の加護こそが確かに在ると証明するそれは。
オリーヴ・ウェールズ :勇を以て進む者、その心胆こそを真に鼓舞する。
オリーヴ・ウェールズ :「いざ、進め!正義の輝きこそ我等が元に!」高らかに旗を掲げ、少女は戦場の先端に立つ。
GM:自身を強化し、あるいは環境を定義する魔術の行使。
GM:キングダム連合学院の生徒が全力で戦闘を行う時、それは普遍的な戦術とすら言える。
GM:だが、その普遍的なたった一手で、戦局の全てを見透かすことのできる者がいるとすれば。
"竜王"伊藤算砂:《――“処記官”様》
"竜王"伊藤算砂:《歩兵の差配はお任せくださいますよう》
ダリオ・ガラヴェンタ:「やれ」
"竜王"伊藤算砂:《はい。そちらからの展開は無用に存じます》
"竜王"伊藤算砂:物腰こそ柔らかな物言いだが、明白に雑兵へと干渉してくれるなと告げている。
ダリオ・ガラヴェンタ:「全てに優先して本校舎を防衛しろ!幻獣兵器など、私には必要ない!」
"竜王"伊藤算砂:《R11と竜骸は展開!残りは持ち場にて死守!》
竜胆ジョウカ:「……めんどくさい裏切り者がいますね……!」敢えて強めの言葉を使う。
ヒナテア・オルブライト:「後ろに本物の軍師が居るか!外に蔓延る連中とは脅威度が二つは変わるな!」
レジサイダー:「――王に」
レジサイダー:影法師の床との接触点が、じわりと広がったように見える。
レジサイダー:その影が物理的な実体の刃と化して殺到するのは、全員の予想よりも一呼吸速い。
レジサイダー:「試練を」
レジサイダー:スペックを超越する速度ではない。だが精妙に、機を外す連携攻撃だった。
七十橋シスル:「チッ!」 苛立たしげに舌打ちし、足下を踏み鳴らす。
七十橋シスル:前列から下がり、他の者を盾にする位置に立つ。
"月下王"州来マカミ:「グルッ」小柄なマカミが真っ先に躍り出て、影の刃のほとんどを受けた。
"月下王"州来マカミ:「――く。まずいな。エージェントの方を喰ってやろうと思ってたのに……」
"月下王"州来マカミ:マフラーに隠れていた牙で、受け止めた影の刃を折り取る。
"月下王"州来マカミ:「……動かされた」
"智慧なきもの":「うふふふふふ……陣形。固まりましたなぁ」
ダリオ・ガラヴェンタ:「……死ね」
ダリオ・ガラヴェンタ:その時には既に、光の砲撃じみた術式を装填完了している。
七十橋シスル:「いいや」 「十分だ、」
GM:敵は最初から一掃を狙っていた。射出される……寸前。
七十橋シスル:カツ、カツ、カツン。
七十橋シスル:単なる苛立ちに見えたシスルの足踏みは。明らかな意図をもって、放射状に九つ足跡を並べた。
七十橋シスル:九つ目を踏んだ瞬間、――その痩身が、竜骸とレジサイダーをすり抜けダリオたちの正面に出現する。
七十橋シスル:足踏みの動作自体を呪術とする歩法。東洋において禹歩と呼ばれるもの。
七十橋シスル:竜骸の爪で作られた、乱雑な媒介人形が、その軌道上に残されている。
"智慧なきもの":「足跡……!オウビアの黒魔術か、否――」
七十橋シスル:「術式がどうのと言ってんじゃねえよ、三下!」
GM:無貌の術師が対抗術式を編もうとするが、既に発動は止められない。
七十橋シスル:「"ウィリー・ウィンキー 聞こえるか"」
七十橋シスル:「"鰻の様に皆の耳からのたくって"、"猫の膝を引っ張って喉鳴りを乱してる"」
七十橋シスル:カタカタカタカタカタカタカタカタカタ
七十橋シスル:人形の外装に飾られた爪が、すべて人形自身に向けて食い込んでいく。
七十橋シスル:「兵器。魔術。刃に弓矢、弾丸、罠に猛獣――遺産に近代兵器まで悉く。私にとっては、返せる呪いだ」
七十橋シスル:「"針の筵"」
七十橋シスル:智慧なきもの。竜骸。ダリオ。まるで無差別に、見えない爪が串刺しにするかのような、斬撃が襲う!
"智慧なきもの":「うふふふふふふふふ……!古い!古い古い古い!」全身から、爪が食い込んだような出血を滴らせながら笑う。
"智慧なきもの":「古く、単純であるが故に裏をかくこともある……ああ、これこそ魔術師の戦い!」
ダリオ・ガラヴェンタ:ザク、という肉を断ち切るような音があった。
ダリオ・ガラヴェンタ:だが、ダリオ・ガラヴェンタの骨や内臓の奥深くには届いていない。
ダリオ・ガラヴェンタ:「……小賢しいんだよ!!掃き溜めのゴミが……!」
七十橋シスル:「お綺麗なおべべが汚れて、お怒りかァ!」
"竜王"伊藤算砂:《――頭を下げましたね、“拝み屋”》
"竜王"伊藤算砂:《これで奥に“効く”。術式以前の道理です》
ダリオ・ガラヴェンタ:ダリオを守護する力場の光が、朧気に、いくつかの器物の輪郭を浮かばせる。鎧、ヴェール、盾。
ダリオ・ガラヴェンタ:その全ては、この場に実体がある王鍵ではない――だが、実体がないというだけだ。
ダリオ・ガラヴェンタ:「お前ら生徒の王鍵はなァ!!!」
ダリオ・ガラヴェンタ:「全部、全て、何もかも……!!」
ダリオ・ガラヴェンタ:「とっくに私の支配下なんだよ!!」
ダリオ・ガラヴェンタ:砲撃術式と思われていたものは、実際には違う。
ダリオ・ガラヴェンタ:槍、杖、銃――実体なき王鍵群が投影され、収束した
ダリオ・ガラヴェンタ:純然たる破壊のエネルギーである。
GM:獣の唸り声か、群衆の悲鳴のような射出音があった。
GM:その時、攻撃は通過している――反応する猶予があったとすれば、それはシスルの攻撃が作り出した一瞬の隙だ。
竜胆ジョウカ:「ゲ」先のレジサイダーの攻撃で負傷している。ただの攻撃でも避けるには厳しかっただろう。
"月下王"州来マカミ:「ウ」
"月下王"州来マカミ:オリーヴの体に、恐ろしい速度で衝突したものがあった。
"月下王"州来マカミ:肩ごと千切れ飛んだ、州来マカミの左腕だった。
オリーヴ・ウェールズ :「っ、ぁ───?!」反応が間に合わず、月下王の腕に突き飛ばされたという結果だけを享受する。
オリーヴ・ウェールズ :その果てに、自らの身体のみが射線より外れていた。正に月下王の、直感すら越える第六感が為せる技。
竜胆ジョウカ:「ッあ――」多少の受け身を取りつつも、こちらは正面から受けた。結構な部分がかなりグズグズになっている。
竜胆ジョウカ:が。
竜胆ジョウカ:「――だあっ! 王鍵とか以前に全員オーヴァードなの忘れてないでしょうね!」
竜胆ジョウカ:《リザレクト》。足りない出力は、先ほど貰ってこっそりしまっておいた薬を、
竜胆ジョウカ:"聖的な加護を受けた呪薬"とみなし。ぶっかけて加圧。立ち上がる。
オリーヴ・ウェールズ :「みな、さまっ……!」動揺するも、祈りを編み輝きを保持する。泣き喚く姿など、この戦場で見せられるものか。
"月下王"州来マカミ:「は、は!ははははははは!……は!」血を吐きながら笑う。
"月下王"州来マカミ:「腕が生えてこない……血も止まらない……そうだね、今の私には、王鍵がないから……!」
五辻モモカ:「……ッ!ふむ……!」
五辻モモカ:貫き続けていた沈黙が、苦痛に漏れる声で破られる。鮮やかな衣装を濡らす流血を振りまきながら傷口へレネゲイドを集中。
"月下王"州来マカミ:「は……!」ごぼり、という音と共に
"月下王"州来マカミ:千切れた腕から、無数の呪符がバシャバシャと落ちる。
"月下王"州来マカミ:「……?」
"智慧なきもの":「死なぬが得意ということは」
"智慧なきもの":「生きるが得意ということではございません。うふふ、ふふふ」
"智慧なきもの":「本校舎の皆様に初めに出会った時、符術を仕込ませていただきました」
"智慧なきもの":ズタズタの人形のように切り刻まれ、倒れていたように見えたが
"智慧なきもの":糸で吊られるように立ち上がりながら言う。
"智慧なきもの":「ここに来るまで、多くの生徒と戦ったでしょう?」
"智慧なきもの":「すべてが彼女らの意思だと思われましたか?うふふふふふ」
五辻モモカ:「……貴様」
ダリオ・ガラヴェンタ:「甘ったれんな」
ダリオ・ガラヴェンタ:「リザレクトや、十字冠。そんなもので今更どうこうできると思ってるんじゃねえぞ」
竜胆ジョウカ:「動揺するほどじゃないですよ。今ここでこの人を完全に操れてない以上、何かしらの欠陥術式でしょう」
"月下王"州来マカミ:「うん。痛いだけ……痛みなら、まだマシな方だから……」
"月下王"州来マカミ:湧き出した符で片目が潰れている。
"月下王"州来マカミ:「……ふふ。痛いのを我慢できない子なら、言いなりにできるのかな?よくわからないけど……」
竜胆ジョウカ:「そんなのしか使えないとは。そっちも我々と一緒に生徒やっといた方が良かったんじゃないですか、ええ?」
"竜王"伊藤算砂:《では、同じ生徒の手管は如何でしょう?》
"竜王"伊藤算砂:五辻モモカの傷口から、人の肌ならぬ鱗が現出していく。
"竜王"伊藤算砂:それだけではない。牙。爪。翼。本来人体にない要素が、《リザレクト》に応じるように発生していく。
五辻モモカ:「……ッ!算砂!」
"竜王"伊藤算砂:《竜の因子を混ぜ込みました。先に落とすべき大駒は貴女ですから》
"竜王"伊藤算砂:《果たして正しく人に戻す機序が成立するでしょうか?》
五辻モモカ:「随分と……ッ過大評価されたもの、だな!」
五辻モモカ:生え広がる異物をナイフで取り除こうと試みるが、生成速度に間に合わない。
ダリオ・ガラヴェンタ:「口を閉じて、大人しくくたばれ。お飾りの円卓でも、それくらいはできるだろ?」
ダリオ・ガラヴェンタ:「所詮お前は……ノエミ・ジャンヌ・サンソンの穴埋め程度の『円卓』だよ」
五辻モモカ:「ふ……っ!そのお飾りを懇切丁寧に育てていたのはどこの誰だったかな!」
五辻モモカ:口端から零れる血液を気にも留めず、笑う。
GM:言葉と同時に、鱗に覆われたモモカの全身がおびただしく出血する。
GM:痛みや苦痛はない。モモカ一人分の血液量ではないことはわかった。
"竜王"伊藤算砂:《これは……》
"血統王"バージニア・ダネシュティ:〈人の本性を定義するのは、皮膚や鱗ではない〉この場にいないバージニアの声が、その血液を通して響く。
"血統王"バージニア・ダネシュティ:〈継承し、鼓動し、全身を流れる血だ。――そうだろう?竜王〉
ダリオ・ガラヴェンタ:「ゴミどもがァァ……ッ!」
"竜王"伊藤算砂:《“ギアス”はよろしいので?》
"智慧なきもの":「……」ただ無言で、ダリオを一瞥する。定時制へのギアスは既に解かれている。
五辻モモカ:「彼女らを縛るものは既にない。算砂、君は──」
五辻モモカ:「……血統王、感謝する。早々に離脱しては流石に面目が立たぬところだった」
五辻モモカ:そこで言葉を切り、ふら付きながらも立ち上がる。
GM:この場で最大の地位を持つ第七席、法王を最初に落とす。それが理事会側の戦術であった。
GM:だが、竜王が自ら立つことのないこの戦局で集中攻撃を行えば、必然として、注意から漏れる存在がいる。
GM:それは――
ヒナテア・オルブライト:「初手から王手を詰めに来るなら、その手足を斬り落とそう」
ヒナテア・オルブライト:「すまんな、探すのがちと遅れた!独力では制御に難がある!」
ヒナテア・オルブライト:影が揺らぎ、膨らむ。白き宮殿を蝕むように、宇宙の黒が広がり拓く。
ヒナテア・オルブライト:王鍵の使用権限が停止されたにも関わらず同様の現象が起こるのは、言ってしまえば相性が良すぎる。または悪かったから。
ヒナテア・オルブライト:謀略の牢獄に分類される遺産には、契約者の精神を汚染する代償が存在する。
ヒナテア・オルブライト:ヒナテアが発症したウロボロスには、他のレネゲイドを模倣する特徴がある。
ヒナテア・オルブライト:保菌者の精神と紐づけられたレネゲイドが、とうに染め上げられたというだけのこと。
ヒナテア・オルブライト:加えて両者の由来は同じ土地、英仏共同統治領ニューヘブリディーズ、タンナ島。俗に言う積荷信仰によって世界を解釈する。
ヒナテア・オルブライト:即ち、運ばれてるものは理由で奪われているだけで、本来自分たちのものであるという妄信だ。
ヒナテア・オルブライト:「宇宙閘、開門だ」カーテンを押しのけるように髪を搔きわけると、恒星の輝きが溢れ出す。
"智慧なきもの":魔術師である"智慧なきもの"ですら、そちらには対処を振り分けられていない。
"智慧なきもの":その間も、七十橋シスルの魔術や、その他キングダム生徒達の遠隔呪詛を抑え続けているのだ。
ダリオ・ガラヴェンタ:「――テメェは!どこの派閥の誰だよ!?あああ!?」
ダリオ・ガラヴェンタ:「小魚ごときがフラフラ入ってくるんじゃねェ――ぞッ!」
ヒナテア・オルブライト:「王の権利は神からの授かりもの!王の所以は正しき秩序を示すこと!」
ヒナテア・オルブライト:「民を守り、民が従うべき規範を教え、その障害を挫く。即ち勧善懲悪を果たす者なり!」
ヒナテア・オルブライト:「学級会が解放の印!太陽の沙汰を受けよ!」
ヒナテア・オルブライト:迸る灼熱が、吹きすさぶ烈風が、太陽嵐が溢れ出し、何もかもを嘗め尽くす!
オリーヴ・ウェールズ :即応するように、少女の身体が動いた。
オリーヴ・ウェールズ :(イリーナ様はこの事態に備えた行動を示した。背後にて戦場を操作する存在、その影響を断ち切るため)
オリーヴ・ウェールズ :(そのうえで、私こそが此方に残るべきだと判断した。制圧までの役目を、私に任せるため。即ち───)
オリーヴ・ウェールズ :『petite et dabitur vobis quaerite et invenietis pulsate et aperietur vobis』
オリーヴ・ウェールズ :仰々しく、祈りのことばを捧げる。宇宙閘に対応した聖句を以て、その風に更なる力を引き出さんと。
オリーヴ・ウェールズ :(竜王様ならば、この攻撃は"間違いなく止めに来る"。であるならば!)
"竜王"伊藤算砂:駆光馬の巨躯が異様な挙動でスライドし、その燐光が闇をかき消す。
"竜王"伊藤算砂:さらには他との視界を妨げ、連携を防がんとする。
オリーヴ・ウェールズ :(私は象徴……王ならずとも、この一身にて栄光と憎悪を受ける影!)
オリーヴ・ウェールズ :(その悪意を、可能な限り受け入れる……!)
オリーヴ・ウェールズ :妨げる巨躯を尚輝きが照らし尽くし、"道を示す"。
GM:両者の干渉が拮抗する中、ヒナテアの召喚した豪熱が無数の軍勢を照らし溶かしていく。
"竜王"伊藤算砂:同時に動かしている。騎狼犬は法王の妨げに――
"竜王"伊藤算砂:(……違う。手が足りない)
"竜王"伊藤算砂:王よりも暴虐に振る舞う存在に意識を呉れる。(――私が)
"竜王"伊藤算砂:(この男も動かせればよかったのですが)
五辻モモカ:「窮屈な戦場だ」
五辻モモカ:意識の隙間、その針の穴を通して騎狼犬を抜ける。
五辻モモカ:遺産は停止している。祈りも届かず、何も聞こえない。聖剣を生み出す事は叶わない。
五辻モモカ:それでも、疑いようもなく"願い"はそこにある。
五辻モモカ:「ヒナテア・オルブライト──」
五辻モモカ:周囲の物質を解体し、練り上げられた砂の檻が駆光馬の行く手を阻まんと反り立つ。
五辻モモカ:「征け──!お前の輝きを阻むことができる者など居はしない!」
"竜王"伊藤算砂:それに対応の手を打つことはない。打っても返されることが分かっている局面だ。
ヒナテア・オルブライト:「おうとも姉上!共に輝き照らそうぞ!それが故に王なのだから!」
ダリオ・ガラヴェンタ:「竜王!何をやっている!早く――」王鍵群の防御を突破してなお伝わる熱を受ける。
"竜王"伊藤算砂:《あれは止まりません。相互保護に移行》
ダリオ・ガラヴェンタ:「ぐ、うァァァァァァッ!!!!」本体そのものは、然程強力なオーヴァードではない。あくまで遺産研究を行う官僚でしかないからだ。
レジサイダー:「偽りの王に死を。正しき王を」
レジサイダー:「選別……」
レジサイダー:突出した法王にゾロゾロと群がっていたが、その間に焼け落ちて、本物の影だけが残る。
五辻モモカ:「……見事!」
竜骸:竜王が直接指揮していた竜骸は巧みなダメージコントロールで陣形を崩すことはなかったが、
竜骸:それでも、一体は熱に耐えきれずに焼けただれて落ちた。動くことはない。
ダリオ・ガラヴェンタ:全員の力を結集した太陽嵐の術式。ダリオ・ガラヴェンタも、焼き尽くされ死亡したように見えた。
ダリオ・ガラヴェンタ:だが。「……ッ、ハッ……カッ……!」
ダリオ・ガラヴェンタ:「……ッ、何体残った……!?」
ダリオ・ガラヴェンタ:円卓を手がかりにするように、体を起こす。
GM:――本校舎防衛に際し、理事会が想定していた特記戦力は二名。
GM:騎士王および海賊王が"ロードマスター"の攻略に専念しなければならない中、本校舎を奪還しに現れる者がいるとすれば
GM:円卓第七席法王。そして円卓第四席鉄騎王。
"竜王"伊藤算砂:(そうだ。予想外の戦力はこの際いい)
"竜王"伊藤算砂:(予想内の戦力が、どうしてここにない?)
GM:対王鍵兵器レジサイダーは、最初から二種類が存在した。
レジサイダーA-R6対鉄騎王個体:「正しき、正しき、偽りの」
レジサイダーA-R6対鉄騎王個体:ガタガタと体を震わせながら呟き続けている個体がいる。
レジサイダーA-R6対鉄騎王個体:自らの存在を生贄にする、熱量奪掠の術。
レジサイダーA-R6対鉄騎王個体:ヒナテア・オルブライトの攻撃手段が太陽風であるのなら、それは鉄騎王の星界正義の剣――太陽そのものを想定した防御兵器であった。
ダリオ・ガラヴェンタ:「騎狼犬どもはいい!竜化器は……!」
ダリオ・ガラヴェンタ:「……クソッ、全部巻き込みやがった!あれ一台作るのにどれだけのコストがかかると思って……」
ヒナテア・オルブライト:「ハッハッハ!そいつが生み出す犠牲しか知らんわ!」
七十橋シスル:「――テメェが同じように惜しまれるといいなあ!」
七十橋シスル:「よォくやった太陽女! 風通しが良くて結構だ!」 焼け焦げた騎狼犬の牙と爪を、両手の指に嵌めている。
ダリオ・ガラヴェンタ:「七十橋シスル……!」
七十橋シスル:「獣の杖先」
七十橋シスル:指差した先。生き残った竜骸、レジサイダー、ダリオの上下に、半透明の巨大な顎が出現し、噛み千切らんと食らいつく。
ダリオ・ガラヴェンタ:「いつも、いつもいつもいつも、お前みたいな劣等のゴミが!」
ダリオ・ガラヴェンタ:「私の邪魔を……!」
竜骸:――バジュッ!
竜骸:機敏に反応し割り込んだのは、竜骸だ。こうした追撃に備えた置き駒だったのだと理解できる者もいるかもしれない。
竜骸:翼と、片足を食い千切られて、床に墜落する。
"竜王"伊藤算砂:(だがまだ死に切っては居ない。使える)
いなゴミは……」
"竜王"伊藤算砂:(人相手の呪いであることが幸いしている……これはまだ効かせられる)
ダリオ・ガラヴェンタ:「何が不満だ!何が理由だ……!」
ダリオ・ガラヴェンタ:「"ロードマスター"の評価がなけりゃあ、お前みたいなゴミは!」
ダリオ・ガラヴェンタ:「私が、とっくの昔に、地獄に送ってやっただろうよ!」
七十橋シスル:「こっちの台詞だ、この凡骨!」
七十橋シスル:「テメェーーーーーもだぞ! 竜王!」 シスルの知覚は返すべき悪意を感知する。
七十橋シスル:もちろん、厳密な意味での悪意ではない。支配。害意。もっと単純な、"こうすれば殺せる"という試行。
七十橋シスル:「引きずり下ろして、バラバラに引き裂いて霊薬の原料にしてやる!」
"竜王"伊藤算砂:《私は侮っては居ませんよ。ここまでの寄せは見ているのですから》
"竜王"伊藤算砂:《終わったら轡を共に並べられるとよいですね?》
七十橋シスル:「似合うのは猿轡だ……!」 伊藤の操作下でなければ、この雑魚も含めたほとんどの攻撃は呪い返せる。
竜胆ジョウカ:「――原料にする、いいですね。どんなに気に食わなくても利用できるのは、向こうから習ったことですから」
竜胆ジョウカ:「お手伝いしましょう」後方で準備をしていたが、それが整った。傷をなんとかし、再度盤面に上がる。
竜胆ジョウカ:その手に握っているのは十徳ナイフであったもの。
竜胆ジョウカ:栓抜き・ドライバー・鑢。その部分が解体され、取り外された、いわば七徳ナイフにされたもの。
竜胆ジョウカ:その残されたパーツには、それぞれに銘文が刻まれており。
竜胆ジョウカ:異なる神話体系の技を照応・変換するための、魔術的なコンパイラとして機能する。
竜胆ジョウカ:「――"此にあるモノを、七支の刀、或いは六叉の鉾に照応"」
竜胆ジョウカ:言わずと知れた極東の国宝、七支刀。
竜胆ジョウカ:ここにあるのはその代替品である。照応魔術によって、そういうことにした。
竜胆ジョウカ:その本質は兵器ではなく、神の力を借りるための祭具であり――
竜胆ジョウカ:「"以て。ヴェントラグツァに捧げ奉る"」
竜胆ジョウカ:それを汎化した故に、使い切りではあるが、ノヴァリス伝承上の霊の力を借りるための触媒として用いることができる。
"智慧なきもの":(……出鱈目な術式だ)"智慧なきもの"すら、初めはそう認識した。
"智慧なきもの":(効力を成すはずもなし)
ダリオ・ガラヴェンタ:よって、竜胆ジョウカの脅威には、むしろダリオがより早く反応した。
ダリオ・ガラヴェンタ:「……起爆指令!!」
竜胆ジョウカ:実際、"智慧なきもの"の見立て自体は正しい。この照応のみにて出来るのはたかが知れている。
竜胆ジョウカ:が、問題はない。
竜胆ジョウカ:何故なら彼女は、その結果――敵への攻撃の大部分を、己のレネゲイド操作で起こした風の刃で賄い。
竜胆ジョウカ:降ろした要素は、あくまで出力の増強と……神事としての性質によって、妨害を弾くために用いるためだ。
竜胆ジョウカ:「そんくらいあんのは読めてんですよ、ええ! 黄道王さまの攻撃に対しても、一瞬見せてましたでしょう!」
竜胆ジョウカ:「――"此処より無尽に吠え猛れ、ヴェントラグツァの風"!!」そして、攻撃が起動する。
レジサイダーA-R6対鉄騎王個体:同時に、強制指令でレジサイダーが破裂した。虚無の温度で、風の刃の起動を歪めようとした。
ダリオ・ガラヴェンタ:そして回転する斧の輪郭。そして炎や光が、ジョウカの攻撃を辛うじて遮る。
ダリオ・ガラヴェンタ:円卓による、複数の王鍵遺産の同時並列行使。一つ一つの運用精度は適合者に及ぶべくもないが――
竜胆ジョウカ:妨害が全く通らなかったわけではないが、その出力は十徳ナイフから引っこ抜いたパーツを鉄粉として混ぜ込むことで、
竜胆ジョウカ:純粋な物理的攻撃としての要素でもって補う。
ダリオ・ガラヴェンタ:そうした、本来あり得ない形態の遺産応用こそ、FHセル"マキネッタ・キネマ"の研究の真髄である。
"竜王"伊藤算砂:(……この戦場は異常だ)
"竜王"伊藤算砂:(円卓さえ霞む。“それよりも脅威”と見なせるような存在が、何人も……)
ダリオ・ガラヴェンタ:「……竜胆。竜胆。思い出したぞ。竜胆ジョウカ……!」
竜胆ジョウカ:「とはいえ、やっぱ殺しきれないもんですね……はい?」
ダリオ・ガラヴェンタ:「倫道アカネと同じ、蛇のクラスか……鬱陶しい、自分勝手な生徒ばかりだった……」
竜胆ジョウカ:「……蛇……? ……まあいいや、何かあったんでしょう」
ダリオ・ガラヴェンタ:「おッ……お前の、特進クラスだろうが!!」
ダリオ・ガラヴェンタ:「何も分かっていないのか!?」
竜胆ジョウカ:「覚えてませんよガキの頃のクラスの名前なんざ!」
竜胆ジョウカ:「今大事なのは、その思い出で感涙して大人しくなるのかくらいですよ、涙腺生きてます!?」
ダリオ・ガラヴェンタ:「"智慧なきもの"!特化した道具使いだ!こいつを解析しようとするな!」
"智慧なきもの":「うふふ。まったく、厄介な手合いばかりが来る……」
オリーヴ・ウェールズ :……遺産持ちし王の補佐として長くを共に過ごしたが故、理解できることがあった。
オリーヴ・ウェールズ :(これまでの戦闘。円卓からの力の流れ、遺産の種別……彼の手には、未だ保持する一手がある)
オリーヴ・ウェールズ :敵対者の力、それそのものに力を届かせる遺産。一度はヒナテア・オブライトに、一度は竜胆ジョウカに。ならば、"あと一度"。
GM:オリーヴの観察眼は正しく状況を捉えていた。ヒナテアは攻撃の激しさ故に、ジョウカは特異性故に『それ』は目立っていなかったが
GM:王鍵に連なる何らかの遺産の効果なのか――確かに、攻撃出力自体を弱める働きかけがある。
オリーヴ・ウェールズ :『聖刃、聖翼、聖秤』
オリーヴ・ウェールズ :彼女の術式は、地上に置いて最も信仰を集めた宗教、その祈りより編み出されたものである。
オリーヴ・ウェールズ :ノヴァリスにおいてその信仰は全くの零からであったが、それでも。
オリーヴ・ウェールズ :七賢人の一人がその祈りを用い、恐るべき速さでこの地に広まった。
オリーヴ・ウェールズ :(では……)
オリーヴ・ウェールズ :故に、十全。齎す御力に制限はない。
オリーヴ・ウェールズ :(私が此処で、最後の一度を受ける)
オリーヴ・ウェールズ :その祈りはかくも正しく、天へと届いた。
オリーヴ・ウェールズ :顕現───
オリーヴ・ウェールズ :白き羽根が、空より舞い降りる。
"熾天使":輝けしは三対六翼、右手に聖なる刃を、左手に魂の公正を測りし秤を持った熾天使が像を結ぶ。
オリーヴ・ウェールズ :「───主が、おまえを戒めて下さるように」
"熾天使":心を見透かすかのような鋭い視線がダリオ・ガラヴェンタを静かに串刺し、その手の剣を静かに向ける。
ダリオ・ガラヴェンタ:「……」下から睨め上げるように、天使の姿を見る。
ダリオ・ガラヴェンタ:ザ、というノイズが熾天使のヴィジョンに走った。
ダリオ・ガラヴェンタ:純粋な力の召喚である以上、力を弱めるような干渉の影響を最も受ける類の攻撃であった。
ダリオ・ガラヴェンタ:「今更……私の能力を暴いて……優位に立ったつもりか?」
ダリオ・ガラヴェンタ:「どいつもこいつも、ナメやがって……!」
オリーヴ・ウェールズ :「っ、ですが……!」実像が揺らぐ、祈りに干渉される。それは織り込み済みだ。
"熾天使":拮抗し、その光が途絶える前に。厳かなりし刃がダリオ・ガラヴェンタに向かい振り抜かれる。
ダリオ・ガラヴェンタ:半実体の刃が肩を貫通する。「がッ、あッ……!」
ダリオ・ガラヴェンタ:血管の浮いた手で刃を掴みながら、呻く。「鉄騎王、の、おまけ、ごときがァァ……!!」
オリーヴ・ウェールズ :「……正しい評価です。私は、イリーナ様に付き従う者でしかありません」
オリーヴ・ウェールズ :「ですが、貴方方はその前に敗れ落ちる」
レジサイダーA-R6対鉄騎王個体:レジサイダーの一体は、解呪光の余波で蒸発していた。こうした存在に対しては、顕現そのものが致命的である。
ダリオ・ガラヴェンタ:「語るんじゃねえぞ……何も知らないお前らが……!」
ダリオ・ガラヴェンタ:「未来を……お前らの、人生を、設計するのは」
ダリオ・ガラヴェンタ:実体が薄まった刃を折り、血を吐く。
ダリオ・ガラヴェンタ:「私だ!!!」
ダリオ・ガラヴェンタ:「均衡と秩序を保つ!生活を維持する!教育を施して……いつも、いつも、いつも、達成基準を満たす!」
ダリオ・ガラヴェンタ:「こんな革命あそびに現を抜かしていられるのは」
ダリオ・ガラヴェンタ:「私達、大人がッ!お前達が生きる基盤を作ってやっているからだ!!」
"智慧なきもの":「――ダリオ様」囁くように呟く。
"智慧なきもの":「完了しました。この生徒は皆……」
"智慧なきもの":「もはや私の術式の内……うふ。うふふふふふ」
GM:おぞましい激痛と痒みが、全員の皮下に走る。
"月下王"州来マカミ:「う、かはっ……」血の代わりに溢れ出している符を、呆然と眺める。
"月下王"州来マカミ:「そっか……痛いだけじゃ、なかったんだ……」
"智慧なきもの":「趨勢を有利に運ぶのであれば、『それ』はすぐさま転送しておくべきでした」
"智慧なきもの":「召喚のための符を、さらに召喚し続ける呪物。死なぬ生徒の体には、そうしたこともできるのですよ」
竜胆ジョウカ:「あー……あー。感染源、的なことですかね、なるほど」
"智慧なきもの":一つ一つの感覚は、オリーヴが最初に触れた小さな符と同じような痛みだ。
"智慧なきもの":だが、それが無数に皮膚を突き刺し続け、収まることがない。
ヒナテア・オルブライト:「があぁ、鬱陶しい、真似を……!」宇宙服めいた白い服が内側からぼごぼごと膨れる。
オリーヴ・ウェールズ :「あの時のもの、いえ、ですがこのっ、数っ…………ぁ、やっ……!」
オリーヴ・ウェールズ :構築が解けかけるも舌を噛み、崖際で耐え凌ぐ。祈りの一つは停止するが、それでも輝きを止めてはならない。
竜胆ジョウカ:キツい。が、まだ立っていられる。
竜胆ジョウカ:「面倒ですね全く……!」
七十橋シスル:「チッ!」 外套の下から、木の皮で出来た身代わり人形を放り出す。
七十橋シスル:呪詛は逃れたが、自分だけだ。
"竜王"伊藤算砂:(意識を逸した)
"竜王"伊藤算砂:《竜骸。全機突撃》
"竜王"伊藤算砂:空を舞う個体にとどまらない。地に伏せ、もはや死に体の個体にさえもその命は届く。
GM:尋常ならぬ出力の『円卓』も、もとより竜王の戦力換算には入っていない。
GM:規格化された戦力である竜骸のみであっても、現状残っている数で十分に生徒を殲滅できる。
GM:この局面に到るまで、十分な計算のもと残された戦力だった。
"月下王"州来マカミ:「……」特に、州来マカミはほとんど死に体と言ってよかった。最初にオリーヴを庇った時点から
"月下王"州来マカミ:ずっと、この"智慧なきもの"の攻撃を受け続けてきたに等しい。
"竜王"伊藤算砂:(これだけ乱れれば、各個の軌道指示で詰めきれる)
"竜王"伊藤算砂:《この先まで指すのは美しくないのですが》
"竜王"伊藤算砂:《続けますか?》
五辻モモカ:「妹がまだ立っている。それだけで充分、理由になるさ。美しくなくとも」
五辻モモカ:竜骸とマカミの間へ滑るようにして飛び込む。
五辻モモカ:「まあ、最も──君のようにうまく立ち回ることなどできはしないわけだが、な!」
竜骸:竜骸の無機質な爪が、五辻モモカを斜めに斬撃する。
"竜王"伊藤算砂:《な……!》
竜骸:斬撃した……その一手と同時に
"月下王"州来マカミ:「グ、ルッ……!」
五辻モモカ:「──ッふふ!」
"月下王"州来マカミ:爪が、頭部を砕いていた。まるで死体のようであった州来マカミが動いた。
"月下王"州来マカミ:「…………」
"月下王"州来マカミ:「……やさしいね」片目しか残っていない顔で笑いかけて
"月下王"州来マカミ:そのまま、自分が討った竜骸と重なって落ちる。
五辻モモカ:「……妹を守るのは当たり前の事だ。それすら、満足にこなせぬ自分が恥ずかしい」
五辻モモカ:落下するマカミを血だらけの身体で受け止める。
"竜王"伊藤算砂:《驚かされはしましたが……疑問手です》
"竜王"伊藤算砂:《好手とは言い難い。残念です》
五辻モモカ:「私と君とでは立てる道筋が違う。例え同じ勝利を求めていようとも、私にとってこれは悪手ではない」
五辻モモカ:(とは言え……このまま竜王に立ち回られてはいずれ限界が来る)
五辻モモカ:(ただ身を張り時を待つ事しかできないというのがこれほどまで口惜しいとは知らなんだ)
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「――そして」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:声は通信越しではなく、竜王の司令室に直接響いた。
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「きみに悪手に見えたとして」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「それは指し手が一人なら、だ」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:扉には、銀髪の少女が寄りかかっている。"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ。
"竜王"伊藤算砂:「……指し手を直接討つなど」
"竜王"伊藤算砂:「醜くはないのですか。“鉄騎王”様」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「他の誰かに任せるよりは、ずっと美しい」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「それとも、王を取れないルールが好みだったかな?算砂」
"竜王"伊藤算砂:「いえ。敗軍の将は兵を語りません」
"竜王"伊藤算砂:「負けました。ありがとうございました」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「きみに教えていなかったことが一つある」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「ぼくの力は、ぼくの美しさと、星界正義の剣の絶大さに比べて、ほんの小さな力だが」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「――呪詛反転の術だ。ぼくを見ているものの視線を追跡できる」
"竜王"伊藤算砂:「ふ、ふ、ふ……」
"竜王"伊藤算砂:「なんともちゃちな手に……これまで思い至らなかった」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「これで隠し事はなくなったね」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「そして、次に活かす機会もないだろう……生徒同士で争うのは、これで最後だ」
GM:戦闘中、竜王の指揮は途絶える。竜骸の一斉攻撃の最中だった。
GM:竜骸の統制が、明らかに乱れた。
GM:戦術に明るくないものでも分かるほどだった。互いの行動が干渉し、標的も分散しはじめている。
竜胆ジョウカ:「……うーん、なるほど」
竜胆ジョウカ:余裕はできたが、どの道全員襲ってくる以上物量でかなり削られる。そもそも猶予もあまりない。
竜胆ジョウカ:「……仕方ない、ですかね。温存しとくつもりでしたが、切るしかないでしょう」
竜胆ジョウカ:そう言いつつ視線を向けるのは、僅かに前に立つシスル。
竜胆ジョウカ:「そこの古典派の魔術師さーん!! 触媒片っ端から分けてもらう事とかできませんかー!?」
竜胆ジョウカ:そして、魔術をかじっていれば誰でも言いはしない文言を、突然吐く。
七十橋シスル:急に制御を失ったワイバーンを気にかけていたが、視線に気付く「何だ…………あ?」
七十橋シスル:「いきなりボケてんじゃねー! 使えるワケねーだろが」
竜胆ジョウカ:「すみません、冗談です……が」
竜胆ジョウカ:彼女は、こちらに振り向いた。
竜胆ジョウカ:その視線の先には、来るときにナップザックに突っ込んだ折り畳みイスを構える自分の姿がある。
竜胆ジョウカ:戦闘中の暴言ゆえに「敵意をもって」、「こちらを見た」。
竜胆ジョウカ:「十分です。――"此を呪いとみなす"」
七十橋シスル:奇怪な術式構成をする奴とは感じていた。だが本能的に察する。(……こいつ、今!)
竜胆ジョウカ:邪視、という伝承が各地にある。悪意のある視線でもって呪いをかけるそれを、この椅子は受けた。そうみなした。
竜胆ジョウカ:即座に床に広げ、その周りに手持ちの分の持ち物をぶちまける。
竜胆ジョウカ:マカミの体から流れ出た符を貼り付け、呪詛を受けたという性質を強化する。
ダリオ・ガラヴェンタ:矢のような力場が空中に大量生成され、全員に照準を合わせているのが分かる。
ダリオ・ガラヴェンタ:竜骸の波状攻撃と合わせて、全員を仕留めるつもりでいる――
竜胆ジョウカ:むかし都市伝説的に広まった「FHトップに繋がる秘匿回線の番号の書かれた手紙」を細切れにし、その破片を浴びせる。
竜胆ジョウカ:「"以上をもって此を危険な座へと照応する"」
竜胆ジョウカ:そして成立させたのは、本家本元の円卓への照応。
ダリオ・ガラヴェンタ:「……!こいつ……!」
ダリオ・ガラヴェンタ:言うまでもなく――キングダムの『円卓』は、アーサー王伝説の円卓と同一ではない。
ダリオ・ガラヴェンタ:だが、明らかに、その伝承と遺物を参照元として構築された人工遺産である。
竜胆ジョウカ:「円卓の間にある」、「呪いを受けた」、「誰も座っていない・誰のモノでもない椅子」。
竜胆ジョウカ:要件は、無茶無謀ではあるが、ギリギリで満たした。
竜胆ジョウカ:「ホントはこれでしっかり乗っ取るつもりだったんですが、こんなとこで使う羽目になるとは!」
竜胆ジョウカ:呪いも照応で解決したし、欲を言えば他の椅子に聖別をかけるくらいしたかった。
竜胆ジョウカ:その機能は極めて弱い――が。
竜胆ジョウカ:数秒"円卓"に干渉することはでき。
竜胆ジョウカ:「――そんだけあれば、なんか適切なのを引っ張ってくるくらい余裕ですよ!!」
"智慧なきもの":「させません!!」撒き散らされた符に指向性を与え、ジョウカに嵐を殺到させる。
竜胆ジョウカ:そう言って、その椅子へと足を乗せ、踏みこむと同時。
竜胆ジョウカ:先に見たような風の刃が、円卓を通して借り受けた遺産の力を以て。今度は詠唱を中略して現出する。
竜胆ジョウカ:「遅いですよバーカ!」そう言いながら嵐に巻き込まれるが、もはや攻撃は止まらない――!
竜骸:竜骸の群れには、先程までのような相互をカバーする陣形はない。
竜骸:まとめて巻き込まれ、殲滅されていく。
ダリオ・ガラヴェンタ:「竜胆……!ジョウカ!!!!」
"智慧なきもの":「おのれ……!」
"智慧なきもの":「ならば、諸共!」
"智慧なきもの":竜胆ジョウカを取り巻く符の嵐から、何本もの獣の腕が生えて叩き潰す。
GM:だが、竜骸を温存するには全く間に合っていなかった。
GM:斬り飛ばされた翼が、首が、脚が乱舞し
GM:文字通りに全滅する。ただ一人の生徒に可能な攻撃規模を大きく越えていた。
竜胆ジョウカ:「んなことしなくてもさっきのスリップダメージで飛びますよもう!その見極めもできないなんてド三流もいいと――」
竜胆ジョウカ:言い切る前に、転送の光が舞う。
ダリオ・ガラヴェンタ:「……ハァーッ……ハァーッ……!ゲホッ、コホッ!」
ダリオ・ガラヴェンタ:額からダラダラと流れる血を押さえながら、辛うじて立っている。
ダリオ・ガラヴェンタ:「…………」
ダリオ・ガラヴェンタ:「……なんなんだ、お前らは……!」
七十橋シスル:(一緒にすんな、あんなのと)今の一撃が、何十……ともすれば何百の術的陥穽を飛び越えて行使されたものか。
七十橋シスル:考えることすら馬鹿馬鹿しい。だが。「いい仕事だ……!」
ダリオ・ガラヴェンタ:「こんな後先のない暴動に……必死になって、なんのつもりだ……!!!」
ダリオ・ガラヴェンタ:「お前達も……雨月夜シオンも……!救いようのないバカどもだ……!」
ヒナテア・オルブライト:「そうではないと、お前のその姿こそが示している」
ヒナテア・オルブライト:「私たちは今や、理事会の想定も導きも。救いも求めてはいないのだとも」
オリーヴ・ウェールズ :「ジョウカ、さん……」先立って転送された一人を悼み、僅かだが俯いて。
オリーヴ・ウェールズ :前を向く。「大勢は決しつつあります!今まさに、彼らの支配は終わりを告げる時!皆様、最後まで油断せぬよう……!」
オリーヴ・ウェールズ :総軍を奮い立てる言葉を掛け続ける。まだ、終わっていない。最後のその瞬間に、誰かが立ち続けなければならない。
ダリオ・ガラヴェンタ:「たかが、遺産の……」
ダリオ・ガラヴェンタ:「外付けの、生体パーツどものくせして……」
ダリオ・ガラヴェンタ:「……じ、自由だとか。救いだとか。人間みたいな勘違いを、しやがって」
七十橋シスル:「そういうテメェは持ってんのか? 自由。救い。導き!」
七十橋シスル:「感じたこと無さそうな顔しやがって! 円卓の中にゃ、ブーメランの遺産もあるらしいなァ!」
ダリオ・ガラヴェンタ:「…………そんなもんが!」
ダリオ・ガラヴェンタ:「この世にあるわけねえだろうが!!」
ダリオ・ガラヴェンタ:「何が!!!何が、この世を導く王だ!!」
ダリオ・ガラヴェンタ:「動物みてえに騒ぐだけのガキ!計画性も何もない派閥のカスども!」
ダリオ・ガラヴェンタ:「他の学区の連中は、いつも私の足を引っ張ることばかり考えていやがる!」
ダリオ・ガラヴェンタ:「どれも……これもッ……あの狂った"ロードマスター"のジジイのせいだ!!」
ダリオ・ガラヴェンタ:「何が自由……何が革命だ!テメーら生徒どもに遺産以外の価値なんて、何一つねえんだよッ!」
五辻モモカ:「己の視座の低さを私達に押し付けるな!」
五辻モモカ:言葉を遮るように叫ぶ。
五辻モモカ:「自由とは求めなければ得られない。救いとは祈らねば得られない」
五辻モモカ:「稚児のように喚くだけのお前に"王"を語る資格はない」
五辻モモカ:「這い蹲って駄々をこねたければ余所でやるがいい。ダリオ・ガラヴェンタ」
五辻モモカ:「私たちはソレを踏み越えて先に行く──!」
ダリオ・ガラヴェンタ:「王鍵も使えない……絞りカスが……!」
ダリオ・ガラヴェンタ:「てめえらだけのリソースでどこまでやれるか、試してみろよ!!」
■ラウンド2
ダリオ[21]
"智慧なきもの"[8]
10m
シスル[13/114]
5m
ヒナテア[13/84]
マカミ[3/120]
5m
オリーヴ[10/92]
モモカ[12/94]
GM:セットアップから。最初は行動値12のダリオです。
ダリオ・ガラヴェンタ:《戦術》。竜王とは違ってレベル2です。
"智慧なきもの":智慧なきものは何もなし。
七十橋シスル:なし
ヒナテア・オルブライト:《螺旋の悪魔》《原初の黄:氷の茨》
ヒナテア・オルブライト:ラウンド中ウロボロスエフェクトによる攻撃力+15、味方PC以外が自分のエンゲージから移動して離れた場合、HPを5D失う。
ヒナテア・オルブライト:ヒナテア・オルブライトの侵蝕率を6増加(84 → 90)
五辻モモカ:なしなし
オリーヴ・ウェールズ :《螺旋の悪魔》、暴走し侵蝕3上昇でウロボロスエフェクトによる攻撃力+15
オリーヴ・ウェールズ :侵蝕95、調整完了
ヒナテア・オルブライト:マカミんはどうしようか
ヒナテア・オルブライト:フルパワーで地面掴んでもらうよね
"月下王"州来マカミ:フルパワーだと殴りにいけないワン
ヒナテア・オルブライト:そうだった
"月下王"州来マカミ:でもフルパワーじゃなかったら届くかというと……
"月下王"州来マカミ:いったん行動値戻しておこう
オリーヴ・ウェールズ :届かないか……?
七十橋シスル:地面だけ掴んで貰うことって出来るっけ
ヒナテア・オルブライト:マイナー空くから戦闘移動+一閃で届く?
"月下王"州来マカミ:届きそうです
オリーヴ・ウェールズ :やった~
"月下王"州来マカミ:戦闘移動が8mなので、《一閃》だけでも届く
オリーヴ・ウェールズ :ということはフルパしても大丈夫ですね、5+10m
"月下王"州来マカミ:ほんとだ
ヒナテア・オルブライト:最期まで全力でおねが~い
"月下王"州来マカミ:じゃあ《フルパワーアタック》しちゃおうかな
"月下王"州来マカミ:うおおお頑張るぞッ
五辻モモカ:いっぱい動けてえらい
オリーヴ・ウェールズ :お願いします!
"月下王"州来マカミ:行動値0になりました。
ダリオ・ガラヴェンタ:では行動値21。ダリオの攻撃です。
ダリオ・ガラヴェンタ:ターゲットが散ってるから狙いにくいな……シスルか、ヒナテアマカミか、オリーヴモモカ
ダリオ・ガラヴェンタ:choice[拷問王,黄道王,鉄騎王]
DoubleCross : (choice[拷問王,黄道王,鉄騎王]) → 黄道王
ダリオ・ガラヴェンタ:ヒナテアマカミのエンゲージを狙います。
ヒナテア・オルブライト:こいこい!
ダリオ・ガラヴェンタ:《陽炎の衣》。
ダリオ・ガラヴェンタ:《コンセントレイト:ノイマン》《コントロールソート》《マルチウェポン》《神機妙算》《風鳴りの爪》。範囲攻撃です。
ダリオ・ガラヴェンタ:武器は「栄光と勝利の槍」「信仰の火」
ダリオ・ガラヴェンタ:18dx7+3
DoubleCross : (18DX7+3) → 10[1,2,2,4,4,5,5,6,6,6,6,8,8,8,9,10,10,10]+10[1,2,2,3,5,6,9]+2[2]+3 → 25
ダリオ・ガラヴェンタ:ダイスは多いのに達成値は並……!竜王がいればな
ヒナテア・オルブライト:暴走リア不だぜ
"月下王"州来マカミ:ぼんやり
ヒナテア・オルブライト:マカミくんはとりあえずドッジかな
"月下王"州来マカミ:じゃあ……ドッジする……
"月下王"州来マカミ:あれ、完全獣化してたっけか
"月下王"州来マカミ:してるから、ドッジダイスも増える
"月下王"州来マカミ:16dx+2>=25
DoubleCross : (16DX10+2>=25) → 10[1,2,4,4,4,5,5,6,6,6,7,7,8,9,9,10]+8[8]+2 → 20 → 失敗
"月下王"州来マカミ:おしい
ヒナテア・オルブライト:惜しい~
ヒナテア・オルブライト:今回はカバーリングしなくていいよ~
"月下王"州来マカミ:えへへ……じゃあ受けようかな
ダリオ・ガラヴェンタ:和気あいあいとしてるんじゃねーぞッ
ヒナテア・オルブライト:チエちゃんとやってな!
ダリオ・ガラヴェンタ:3d10+36
DoubleCross : (3D10+36) → 16[10,2,4]+36 → 52
ダリオ・ガラヴェンタ:《風鳴りの爪》の効果を適用します。
ダリオ・ガラヴェンタ:2と4を振り直し。
ダリオ・ガラヴェンタ:2d10+46
DoubleCross : (2D10+46) → 10[4,6]+46 → 56
オリーヴ・ウェールズ :うげ~!
"月下王"州来マカミ:ううっ
ヒナテア・オルブライト:ぎ、ぎりぎり上回ってる!《リザレクト》
ヒナテア・オルブライト:ヒナテア・オルブライトの侵蝕率を1D10(→ 1)増加(90 → 91)
"月下王"州来マカミ:《地を掴む獣》でがんばったけど……
"月下王"州来マカミ:軽減ダメージは-20……もうだめだ……
五辻モモカ:マカミちゃん……!
ヒナテア・オルブライト:代わりに私が勝利を掴んで見せるからな
七十橋シスル:こんなに地を掴めたのに!
オリーヴ・ウェールズ :いままでありがとう……
"月下王"州来マカミ:こんなことなら……ヒナテアをカバーしておけば……よかった……
ヒナテア・オルブライト:マカミ~ッ
GM:州来マカミ撃破。竜胆ジョウカに引き続き十字冠転送されます。
オリーヴ・ウェールズ :キラシュワ...
五辻モモカ:忘れない……
ダリオ[21]
"智慧なきもの"[8]
10m
シスル[13/114]
5m
ヒナテア[13/91]
5m
オリーヴ[10/95]
モモカ[12/94]
GM:続いて行動値13。シスルかヒナテアの手番。
ヒナテア・オルブライト:マイナーで戦闘移動、一気にばびゅっとダリオエンゲージに。
ダリオ[21]
"智慧なきもの"[8]
ヒナテア[13/91]
10m
シスル[13/114]
10m
オリーヴ[10/95]
モモカ[12/94]
ヒナテア・オルブライト:メジャーで【アポロンの落胤】《サイレンの魔女》《餓えし影》《原初の赤:斥力の鎚》《混色の氾濫》
ヒナテア・オルブライト:範囲選択に装甲無視のRC射撃攻撃。ダメージが通れば2m移動。対象はダリオと智慧なきもの。
ヒナテア・オルブライト:オリーヴ、オラに力を分けてくれーっ
オリーヴ・ウェールズ :はいっ……!
オリーヴ・ウェールズ :【聖霊の加護】《砂の加護》《砂塵霊》
オリーヴ・ウェールズ :ダイスを+4、ダメージを+12!
オリーヴ・ウェールズ :使用後、判定前に侵蝕が101になりますが
オリーヴ・ウェールズ :これは効果は増えるのかしら……
GM:私の判定だと
GM:これは増えます メジャーエフェクトは使用後にレベル上昇等適用ですが
GM:これは判定する時にはすでにエフェクトを使用し終わっているので
オリーヴ・ウェールズ :ありがとうございます……!
オリーヴ・ウェールズ :ダイスが5、ダメージが16増加!
ヒナテア・オルブライト:妨害ありますか?
"智慧なきもの":ナメるなよガキが……!
"智慧なきもの":この《ミラーパレス》でじゅうぶん!ダイス-6個の悪夢を思い知るが良いわ
ヒナテア・オルブライト:オリーヴちゃんが居れば夜もぐっすり眠れるもーん
ヒナテア・オルブライト:5dx+17 しゃあっ
DoubleCross : (5DX10+17) → 10[2,5,7,8,10]+9[9]+17 → 36
ヒナテア・オルブライト:ぶっころーす!
オリーヴ・ウェールズ :いけーっ!
ヒナテア・オルブライト:リミット使い切ってるから今回はリアクションしていいよ~
"智慧なきもの":愚か者めっ
"智慧なきもの":4dx>=36
DoubleCross : (4DX10>=36) → 8[1,6,7,8] → 8 → 失敗
"智慧なきもの":全然ダメだ!
ダリオ・ガラヴェンタ:こちらは変わらずガード。ガード値19に加えて
ダリオ・ガラヴェンタ:無視されない装甲が9あります。
ヒナテア・オルブライト:生意気な~
ヒナテア・オルブライト:40+4d10
DoubleCross : (40+4D10) → 40+26[9,4,5,8] → 66
ヒナテア・オルブライト:9点を除き装甲無視!
ダリオ・ガラヴェンタ:おごご……!
ダリオ・ガラヴェンタ:というか待った、前までどれくらいダメージ食らってたかメモに残ってない 待ってくださいね
ヒナテア・オルブライト:いいよぉ
ダリオ・ガラヴェンタ:いやもしかしてデモンズウェブとカバーリングで全部しのいで無傷か だから残ってないんだ
ダリオ・ガラヴェンタ:演出で結構血とか吐かせちゃったから忘れていた
ダリオ・ガラヴェンタ:いや違う!
ダリオ・ガラヴェンタ:ジョウカちゃんのだけ食らってるぞ
竜胆ジョウカ(残留思念):ギャハハ!!
ダリオ・ガラヴェンタ:これで44点も食らってる……嘘でしょ……
ヒナテア・オルブライト:残り香が悪霊
ダリオ・ガラヴェンタ:すると今回28点防いでも……
ダリオ・ガラヴェンタ:死ぬ……!やはり切り札を切るしかなかったか!
ヒナテア・オルブライト:な……なんだぁっ
ダリオ・ガラヴェンタ:《ディフレクション》。HPダメージを40軽減し、さらに40点の反撃ダメージを与えます。
ヒナテア・オルブライト:な、なんじゃとて~!
ヒナテア・オルブライト:68点防がれるということは、ダメージが通らない!
ヒナテア・オルブライト:ディフレクションで倒れた場合、リザレクトするのは
ヒナテア・オルブライト:メジャーで侵蝕率上がった後になるでしょうか?
"智慧なきもの":"智慧なきもの"は《蘇生復活》。まだまだ生きたい!
GM:あ!これどうしたほうが良いんでしょうね?
ヒナテア・オルブライト:割と毎回悩むやつ
GM:いや、侵蝕上がった後かな……さすがに……!
ヒナテア・オルブライト:うむ……!
ヒナテア・オルブライト:ディフレクションは【アシドーシス/アルカローシス】で打ち消せますか?
GM:打ち消せていいでしょう。打ち消せるって言ったし
ヒナテア・オルブライト:打ち消しお願いします!我々一同、血統王には足を向けて眠れないっす。
ヒナテア・オルブライト:これで残り2回
"血統王"バージニア・ダネシュティ:よきにはからえ
ヒナテア・オルブライト:というわけで改めて喰らえーい!
GM:まだ残り2回もあるの?強すぎたかな……
ダリオ・ガラヴェンタ:勿論死にます。
ダリオ・ガラヴェンタ:残りHPは5!ジョウカちゃんの攻撃でだいぶ瀕死だったのだ。
ダリオ・ガラヴェンタ:《ラストアクション》。
ヒナテア・オルブライト:なんだとぉ…
ダリオ・ガラヴェンタ:《原初の赤:コンセントレイト:モルフェウス》《砂の刃》《クリスタライズ》《ナーヴジャック》。
ダリオ・ガラヴェンタ:ヒナテアさんを狙います。
ダリオ・ガラヴェンタ:16dx8
DoubleCross : (16DX8) → 10[1,1,2,2,3,5,6,7,7,7,8,8,8,9,10,10]+10[1,3,7,9,9,9]+7[5,5,7] → 27
ヒナテア・オルブライト:暴走リア不!
ダリオ・ガラヴェンタ:ならばヒナテアさんにメジャーアクションを行わせます!
ヒナテア・オルブライト:だが同時に!ダメージが通ったので
ダリオ・ガラヴェンタ:なにっ
ヒナテア・オルブライト:コンビネーターと《斥力の鎚》の効果起動!ラウンド中受けるダメージが2d増えつつ…
ヒナテア・オルブライト:ダリオと智慧なきものはシスルたちの方へ2mぶっ飛ぶ!
ヒナテア・オルブライト:私から離れた罪で《氷の茨》!HPを5D失ってもらいま~す
GM:ラストアクションが絡むとこれどっちの判定が先か分からなくなりますね
ヒナテア・オルブライト:そうなんですよ
ヒナテア・オルブライト:いっぺんにおきすぎ
GM:でも先にヒナテアさんの処理は全部やってしまいましょう
GM:攻撃侵蝕も上昇させてください
ヒナテア・オルブライト:ヒナテア・オルブライトの侵蝕率を11増加(91 → 102)
"智慧なきもの":《蘇生復活》した"智慧なきもの"はこれで死ぬのですが
"智慧なきもの":《アクアウィターエ》《タブレット》《多重生成》。自分とダリオを同時復活させます。
"智慧なきもの":これで本当に品切れ……!多重生成できる復活エフェクトはこれくらいしかないからね
オリーヴ・ウェールズ :ちなみにレベルはいかほどですか?
"智慧なきもの":アクアウィターエのレベルは3です。
オリーヴ・ウェールズ :ありがとうございます
GM:GMの珪素です。一連のオートアクションのタイミングについて、実行順番を改めて整理します。
GM:智慧なきものは複数の味方が同時に戦闘不能になった際に《アクアウィターエ》《タブレット》《多重生成》をするロジックでしたが
GM:軽減エフェクトの《ディフレクション》と同時に《蘇生復活》を宣言したので、この時点では厳密には戦闘不能タイミングではありませんでした。
GM:《ディフレクション》は無効化されたので、ダリオ、智慧なきものともに同時戦闘不能処理になり
GM:この時に《アクアウィターエ》《タブレット》《多重生成》、ダリオは《ラストアクション》という処理になります。
GM:その後、《アクアウィターエ》で復活したHPに対して、ただいまの《氷の茨》のダメージが適用されます。
GM:見学室での相談結果は以上!それではヒナテアさん、張り切ってどうぞ
ヒナテア・オルブライト:30出ろ出ろ出ろ
ヒナテア・オルブライト:5d10 氷の茨
DoubleCross : (5D10) → 29[2,9,1,9,8] → 29
ヒナテア・オルブライト:そんなー
GM:すごいダイス目……!
GM:5D10で29は十分いい目なんですけどね
ダリオ・ガラヴェンタ:HPは1。ですが俺の《ラストアクション》はまだ終了していないぜ!
ダリオ・ガラヴェンタ:さっきの達成値27の攻撃ダメージを出します。
ダリオ・ガラヴェンタ:3d10+10 ガード値-5、装甲-10
DoubleCross : (3D10+10) → 10[2,4,4]+10 → 20
ヒナテア・オルブライト:HP1だから死ぬぜ!
GM:この場合十字冠離脱の方が先か
GM:メジャーアクションで侵蝕も上げてやりたかったけど
GM:ダメージのタイミングなら侵蝕は上昇後になるってさっき回答したわけだし
GM:既に離脱してる状態のPCにメジャーアクションはさせられないですよね
ヒナテア・オルブライト:私は絶対に残業などせぬ!十字冠の効果でシーン退場します
ダリオ・ガラヴェンタ:あいつ……勝ち逃げしやがった
GM:ヒナテアさん、侵蝕102で退場です。
ダリオ[21]
"智慧なきもの"[8]
8m
シスル[13/114]
10m
オリーヴ[10/95]
モモカ[12/94]
GM:いよいよ場が煮詰まってきた……!残りは敵2人!PC3人!
GM:行動値13、シスルの手番です!
七十橋シスル:マイナーで陽炎の衣、光芒の疾走
GM:どちらに移動しますか?
七十橋シスル:ダリオと智慧のほうに移動します
ダリオ[21]
"智慧なきもの"[8]
シスル[13/114]
18m
オリーヴ[10/95]
モモカ[12/94]
七十橋シスル:メジャーで《コンセントレイト:ウロボロス》《影縛りの魔弾》《原初の赤:要の陣形》
ダリオ・ガラヴェンタ:単体攻撃をしろ……!
七十橋シスル:装備している手裏剣の方で二人に攻撃します!
ダリオ・ガラヴェンタ:正々堂々……勝負せよ!
"智慧なきもの":当然こいつを含めるとダイス-6個だ!
七十橋シスル:そしてダイスマイナスを受ける……-6!
七十橋シスル:もとのダイスがな~
七十橋シスル:10しかない まあ振るしかないな
GM:10はけっこうあるだろ……!
七十橋シスル:4dx7+5
DoubleCross : (4DX7+5) → 10[2,2,4,8]+5[5]+5 → 20
七十橋シスル:一回転した!
"智慧なきもの":ウググ……!
"智慧なきもの":4dx>=20 なんとかなれーッ
DoubleCross : (4DX10>=20) → 8[6,6,7,8] → 8 → 失敗
ダリオ・ガラヴェンタ:ダリオはガード……!ひたすらガード!
ダリオ・ガラヴェンタ:ガード値19装甲19!越えられるはずがない!
七十橋シスル:うおおおダメージ!
七十橋シスル:あ、裁定なんですけど
GM:HAI
七十橋シスル:影縛りの魔弾って命中時効果なんですがガード値減ります?
GM:減ります!
GM:なぜなら
GM:私の大好きなソラリスのエフェクトにも似たようなものがあるから……!
七十橋シスル:ありがとう腐食の指先!
七十橋シスル:ではガード値-6!
GM:まあ真面目な話、命中時とダメージ時でタイミング違うのはそれだけの理由があるんだろうと解釈してます
七十橋シスル:2+3d10+4d10
DoubleCross : (2+3D10+4D10) → 2+22[10,4,8]+35[9,10,7,9] → 59
ダリオ・ガラヴェンタ:な、なめやがって……!
ダリオ・ガラヴェンタ:ガード-6なんて入れる必要なかったじゃねーか!
ダリオ・ガラヴェンタ:ダリオ・ガラヴェンタ死亡!復活エフェクトはありません!
七十橋シスル:7d10で57でとる
七十橋シスル:せこい真似をするのも呪術なんで……
"智慧なきもの":智慧なきものは……今度こそ《蘇生復活》!
"智慧なきもの":復活してもHPが変わらないふしぎな蘇生復活だ
七十橋シスル:では侵蝕は121→135
七十橋シスル:あとは任せた……!!
"智慧なきもの":だが戦闘が終わらなければいずれお前らは毒で死ぬ!
"智慧なきもの":どっちが先にくたばるか……勝負だ!!
"智慧なきもの"[8]
シスル[13/135]
18m
オリーヴ[10/95]
モモカ[12/94]
GM:行動値12!モモカさんの手番!
五辻モモカ:殺意!私の右手に収束している!
"智慧なきもの":ヒエッ
五辻モモカ:【■■開展】《サンドシャード+コンセントレイト:モルフェウス》攻撃力+([選択した白兵武器])のRC視界範囲選択攻撃を行う。侵蝕6
五辻モモカ:そして判定前に
五辻モモカ:《砂の加護+砂塵霊》判定ダイス+6個、攻撃力+20する。侵蝕6
五辻モモカ:五辻モモカの侵蝕率を6増加(94 → 100)
五辻モモカ:これで100になるのでさっきの裁定でダイス+7個、攻撃力+24だ!
五辻モモカ:5dx+2@7
DoubleCross : (5DX7+2) → 10[1,5,5,8,9]+10[2,7]+1[1]+2 → 23
"智慧なきもの":な、な
"智慧なきもの":なんとかなれーッ!
"智慧なきもの":4dx>=23
DoubleCross : (4DX10>=23) → 9[3,8,9,9] → 9 → 失敗
"智慧なきもの":アイエエエエエ!
五辻モモカ:3d10+26
DoubleCross : (3D10+26) → 25[9,8,8]+26 → 51
オリーヴ・ウェールズ :殺意……!
五辻モモカ:あっナイフを壊して使います!宣言忘れてた
五辻モモカ:五辻モモカの侵蝕率を6増加(100 → 106)
"智慧なきもの":しぶとさが売りの智慧なきものも
"智慧なきもの":生命活動を停止!死んだのだ……。
GM:敵は全滅しました。ミドル戦闘終了!
五辻モモカ:やった~~~~!!
七十橋シスル:か、紙一重であった……
竜胆ジョウカ:やった~! 二度と帰ってくるな~!
オリーヴ・ウェールズ :やりました……!
GM:竜胆ジョウカが転送された。敵の損耗は多大だが、こちらの戦力も確実に、一つずつ削られ始めている。
GM:彼女らが生徒である限り、そもそもとして課せられている制約もある。
GM:全員が、十字冠離脱の限界までしか戦いを続けることはできない。猛攻を凌ぎ続ける中、その限界が近づきはじめていることは、全員が認識している。
"円卓":《管理者アカウント権限によりARM-037のシステムを一部接続します》
"円卓":《管理者アカウント権限によりARM-102のシステムを一部接続します》
"円卓":《管理者アカウント権限によりARM-009のシステムを一部接続します》
"円卓":《多重接続は当該兵装の予期せぬ挙動の原因となる場合があります》
"円卓":《ご注意ください》
ダリオ・ガラヴェンタ:「……消し飛ばしてやる」
ダリオ・ガラヴェンタ:額に流れる血すら蒸発するような、エネルギーの奔流がある。
ダリオ・ガラヴェンタ:ダリオの背後、虚空に浮かぶ実体のない大量の武装が狙いを定め始めていた。
ダリオ・ガラヴェンタ:飢えた猟犬のような眼球が、散開した生徒達の中から一番動きの鈍い一団を見つけ出す。
ダリオ・ガラヴェンタ:「まずは」
ダリオ・ガラヴェンタ:「てめえらだ」
"月下王"州来マカミ:「……っ」
"月下王"州来マカミ:「逃げて。ヒナテア・オルブライト……」掠れるような声で呟くことしかできない。
ヒナテア・オルブライト:「…聞こえないな」がさがさと、血に塗れた符を吐き捨てながら。
ヒナテア・オルブライト:「私はそういう風に出来ていない。背を見せるのは、後ろに続く仲間にのみだ」
ヒナテア・オルブライト:「そして負ける気もない。隣に心強い仲間がいる限りはな」
ヒナテア・オルブライト:「…挑むぞ、州来マカミ」
"月下王"州来マカミ:「ふふ……すごい……」
"月下王"州来マカミ:「戦争はいい……あなたみたいな人を見つけられるから」
GM:風と、燃える空気の輪郭だけが力場の殺到を伝える。
GM:――ガガガガガガガガガガガガガガガガガッ!!!!
GM:先程までのような、貫通力を重視した一撃の出力ではなく
GM:幾度も繰り返し、リザレクト限界まで刻み殺すかのような、絶え間のない大量の兵装射出だった。
ダリオ・ガラヴェンタ:「死ね!!!」
ダリオ・ガラヴェンタ:「死ね!!死ね!!死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね!!!!」
ヒナテア・オルブライト:豪雨に等しき密度で放たれる致死の一撃を浴びせられながら、有言実行。前へと進む。
"月下王"州来マカミ:「……っ、……」マカミも、ヒナテアへの被弾を庇うように進み、
"月下王"州来マカミ:やがて、リザレクト限界まで刻み尽くされる。
"月下王"州来マカミ:ドン!
"月下王"州来マカミ:刃の嵐の中で、青い転送光が閃いた。
"智慧なきもの":「……何故?」
"智慧なきもの":「楽になれる逃げ道があるはずです。さあ!」
"智慧なきもの":「あなたがた生徒は、安全圏まで離脱できるのでしょう?」
"智慧なきもの":「苦痛と引き換えにして得るものなど……何の価値があるのか……」
"智慧なきもの":僅かに後ずさりながら呟く。
ヒナテア・オルブライト:「……ッ、ハハ!」マカミが飛んだその時に、刃の嵐から光が漏れ出る。
ヒナテア・オルブライト:さながら狼に食われた太陽が逃れ出る日蝕の如くして。
ヒナテア・オルブライト:(遺産には類型がある。私を啓いたタコスメラ宇宙閘が牢獄呼ばわりされたように)
ヒナテア・オルブライト:(円卓が全ての王鍵を引用するといえど、使用されるのは今回が初。故にその用法も今のような単純なものが多い)
ヒナテア・オルブライト:(……が、あの男らが好んで使いそうな類いは、まだ温存している……となれば)
ヒナテア・オルブライト:「縁なきものと思っていたが、便乗するか、危険な席!」
ヒナテア・オルブライト:「オリーヴ、続け!」
ダリオ・ガラヴェンタ:全王鍵の機能を出力する『円卓』の真価は、攻撃面のみに留まるものではない。
ダリオ・ガラヴェンタ:むしろ、今のダリオの如く、攻撃に集中し、絶大な出力を振り分けてもなお
ダリオ・ガラヴェンタ:防御能力を発揮する類の王鍵全てに値する障壁を自動的に展開し続けられることにある。
オリーヴ・ウェールズ :再び、聖句を唱える。最早遮るものは無い。
オリーヴ・ウェールズ :「届かせます、此処で……!」
オリーヴ・ウェールズ :『petite et dabitur vobis quaerite et invenietis pulsate et aperietur vobis』
オリーヴ・ウェールズ :それは、前に進む者への祝福である。
オリーヴ・ウェールズ :熱心に求めれば必ず得られると。
オリーヴ・ウェールズ :根気よく捜せば必ず見つけ出せると。
オリーヴ・ウェールズ :───求むれば、必ず其処に門は開かれると。
オリーヴ・ウェールズ :───更に、もう一つ。
オリーヴ・ウェールズ :『intrate per angustam portam quia lata porta et spatiosa via quae ducit ad perditionem et multi sunt qui intrant per eam』
オリーヴ・ウェールズ :『quam angusta porta et arta via quae ducit ad vitam et pauci sunt qui inveniunt eam』
オリーヴ・ウェールズ :"智慧なきもの"への解答を込めて、門の聖句を再び込める。
オリーヴ・ウェールズ :楽な道より、困難な道を。その果てにこそ───得られるものが、あるのだと。
オリーヴ・ウェールズ :オリーヴの光輪はヒナテアに吸い込まれるように照らし、その能力を暖かに増幅させる。
オリーヴ・ウェールズ :それは明日へ進む活力であり───今一歩、前に踏み出す力として。
ダリオ・ガラヴェンタ:ヒナテアに目と鼻の先まで接近されてなお、ダリオはその場を動かず、正面から憎悪の視線を返す。
ダリオ・ガラヴェンタ:「やってみろよ」
ダリオ・ガラヴェンタ:「ゴミめ」
ヒナテア・オルブライト:彼方の門から吹き込む劇しき光、熱、風が。
ヒナテア・オルブライト:宇宙服めいた白服を帆のようにはためかす。
ヒナテア・オルブライト:「私を、支配できると思うか?」
ヒナテア・オルブライト:「やってみせろ、ハ、ハハ、ハハハ!」
ヒナテア・オルブライト:破壊の嵐が、到来する!
ダリオ・ガラヴェンタ:「この暴動が終わって……もしも"ロードマスター"のジジイが死んだら」
ダリオ・ガラヴェンタ:「家畜小屋に放り込んでやる……!お前ら、全員を!」
ダリオ・ガラヴェンタ:耐斬、耐熱、耐呪、耐毒、あらゆる種類の多重防御が展開されている。
ダリオ・ガラヴェンタ:至近距離からの熱の風が、まずは一部を破壊する。
ダリオ・ガラヴェンタ:「……教えられてなかったか?」
ダリオ・ガラヴェンタ:「防御や不死の王鍵がある以上は」障壁は残り数枚まで迫られているが、
ダリオ・ガラヴェンタ:凶暴に笑う。「――呪詛返しの王鍵があるってことを!」
ダリオ・ガラヴェンタ:――ヂッ!!
ダリオ・ガラヴェンタ:吹き付けていた熱風がレンズのように反射し、ヒナテアへと照射される!
ヒナテア・オルブライト:それを最も浴びるために仕立てられた服が、小麦色の肌よりなお黒く焦げて焼き切れて。
ヒナテア・オルブライト:「む、間違えたか」
GM:そのままヒナテア・オルブライトは焼き尽くされる。
GM:そのようになる、と、多くのものが認識した。太陽じみた熱と光の中で、正確に状況を把握できた者は少ない。
????:「ダリオ・ガラヴェンタ」
????:声は、ダリオ・ガラヴェンタの背後からだった。
"血統王"バージニア・ダネシュティ:「……ならば己からも、呪詛について教授してやろう」
ダリオ・ガラヴェンタ:超絶の威力を持つ血統王の槍は、それでもダリオの肌を僅かに傷つけただけだった。
ダリオ・ガラヴェンタ:ヒナテアの方向に障壁を全力で展開しながらもなお、奇襲に対して鉄壁。
ダリオ・ガラヴェンタ:だが、その血の槍は。
"血統王"バージニア・ダネシュティ:「『自分自身』への攻撃に対しては」
"血統王"バージニア・ダネシュティ:「呪詛は返らない」
"血統王"バージニア・ダネシュティ:ヒナテア・オルブライトがこれまで流した血から生成された槍を、ダリオの血中へと流し込んだ。
ダリオ・ガラヴェンタ:「人間、もどき、め……!!」
ヒナテア・オルブライト:「今日は太陽と夜の徒が手を取り合う、マクベスも殺せそうな日取りでね」
ダリオ・ガラヴェンタ:「ハァ……カハッ!こんなはずが……ない」
ダリオ・ガラヴェンタ:「『円卓』は……『円卓』は、最強の、王鍵だ」
ダリオ・ガラヴェンタ:「私しか……これを使いこなせるのは、私しかいないんだッ!私が、倒れたら……」
ヒナテア・オルブライト:「使い……こなせる?」
ヒナテア・オルブライト:ぼろぼろに崩れかけの身体で、素の返答。
ダリオ・ガラヴェンタ:全力の抵抗をしているが、王鍵を模した力場は形を保っていられない。
ダリオ・ガラヴェンタ:盾のようなものが、書物のようなものが、一枚ずつ霧散していく。
ヒナテア・オルブライト:「王鍵を使いこなす円卓の王一人が敵に回っていれば、よほど脅威に思ったがな」
ヒナテア・オルブライト:「一人後ろに居たようだが、もう去ってしまったようだし……」
ダリオ・ガラヴェンタ:「ほ、ほざけよ……てめえら甘やかされた生徒は」
ダリオ・ガラヴェンタ:「人をムカつかせる言葉遣いにしか、の、脳を使えねえんだろ?」
ダリオ・ガラヴェンタ:「じゃあてめえが使ってみろよ!!あああ!?」
ダリオ・ガラヴェンタ:「管理してみろ!!!キングダム連合学院を!!」
ダリオ・ガラヴェンタ:「私がやったのと!!!私がやり続けていたのと、同じように!!!」
ダリオ・ガラヴェンタ:「ふざけるんじゃねえぞッ!!カス野郎がァァァァァッ!!!!!」
ダリオ・ガラヴェンタ:――ド ッ ! ! !
ダリオ・ガラヴェンタ:全てを突破した熱風が、ダリオ・ガラヴェンタを吹き飛ばす。
"智慧なきもの":「……は、はは」
"智慧なきもの":焼け焦げた人形めいた残骸となって、床に転がっている。
"智慧なきもの":「なるほど……うふふふ。全てがなくなった私では、所詮この程度のもの……」
"智慧なきもの":「ど…………どうして、そうも、平然としていられるのでしょう?」
"智慧なきもの":「不快を尽くした私の力も……自分自身を焼き尽くすような熱も……」
"智慧なきもの":「うふ、うふふふ……。まるで、怪異……」
ヒナテア・オルブライト:「さっきから、美少女3人捕まえて失礼だな……」
ヒナテア・オルブライト:「どこからどう見ても自由を奪われたか弱き乙女たちだろうに」
"智慧なきもの":「うふ……種や術理を語るはずもなし……」
"智慧なきもの":「ええ。構わないのですよ」
"智慧なきもの":死体のようにしか見えなかった"智慧なきもの"の言葉に
"智慧なきもの":死を目前としたような震えや呼吸がなくなっていることに気づくだろう。
ダリオ・ガラヴェンタ:「………………」
ダリオ・ガラヴェンタ:「覇鍵解錠」
ダリオ・ガラヴェンタ:背後。亡霊のごとく、円卓に両手を突いたダリオが呟く声が聞こえた。
五辻モモカ:「──ッ!ヒナテア!下がれッ!!」
GM:竜胆ジョウカが最後に成し遂げた芸当は
GM:即席の解析と応用でありながら、恐ろしいほど的確に『円卓』の本質的応用を突くものであった。
GM:キングダム生徒全ての王鍵出力を集約し管理する『円卓』の最大の機能は
GM:出力停止や、出力抽出に留まるものではない。
GM:生徒の王鍵そのものを直接的に作動させ――
GM:まさしく、物語の通りに、『裏切らせる』ことすらできる。
GM:故に覇鍵解錠も、竜胆ジョウカが告げた通りの名を示す。
ダリオ・ガラヴェンタ:「……『円卓拾参式虚位指定』!」
"円卓":《管理者アカウント権限によりARM-199のシステムに強制接続します》
ヒナテア・オルブライト:「が、ぁぐっ!?」四肢を戒める四つの環が、独りでに動いて身体を捩じ切る。
オリーヴ・ウェールズ :「これは……まさか、稼働停止させた王鍵を無理矢理……?!」
"円卓":《強制接続中は外部からのシステム介入の危険性があります。ご注意ください》
"円卓":《ご注意ください》
"円卓":《ご注意ください》
"円卓":《ご注意ください》
GM:――タコスメラ宇宙閘が再起動した。
GM:それどころではない。ヒナテア自身の制御も受け付けることなくゲートを展開し、
GM:この場の全員を焼き尽くそうとしている。
五辻モモカ:「ヒナテア……ッ!」
ヒナテア・オルブライト:四肢が引きちぎられ軽くなった身体が、巨大な門から吹き込む風に煽られて浮かぶ。
ヒナテア・オルブライト:「さっき、間違いだと……こふっ、言ったのはな」
ヒナテア・オルブライト:「危険な椅子ではなく……冒険好きの剣だったと」
ヒナテア・オルブライト:「野蛮な騎士を破滅に導いた運命は、こっちだ」
ダリオ・ガラヴェンタ:「は、はは……!」
ダリオ・ガラヴェンタ:「そんなに、自滅が好きなら……させてやるよ!好きなだけ!!!」
ヒナテア・オルブライト:痛々しく散らばるヒナテアの髪の狭間に、小さな孔が空く。
ヒナテア・オルブライト:王鍵の門より遥かにちっぽけで、何の熱も放たない。
ヒナテア・オルブライト:その暗闇に一条の光が突っ込んでくる。
ヒナテア・オルブライト:「そう、自滅するとも」
ヒナテア・オルブライト:聖杯を手にする定めになき蛮人が巻き込み破滅した漁夫王。
ヒナテア・オルブライト:その原典はヌァザ、数多の秘宝を持つ異界の王であったとされる。
ヒナテア・オルブライト:「滅びの一撃だ、後は頼む!」
ヒナテア・オルブライト:ほんの小さな闇の穴に、通り切れぬ隕石が激突。衝撃波のみが狭き門をくぐり抜け、ヒナテアの肉体を木っ端微塵に砕く。
ヒナテア・オルブライト:破壊を呼び込もうとしていた王鍵は、その使い手を失って散り散りに吹き飛ばされていく。
ダリオ・ガラヴェンタ:「……ッ、自分を、真っ先に……!」
ダリオ・ガラヴェンタ:適合者と王鍵がその場になければ、王鍵を直接作動させることはできない。
ダリオ・ガラヴェンタ:極めて単純な、しかし、阻止不可能な対処だった。
ダリオ・ガラヴェンタ:「くそっ、くそっ……」
ダリオ・ガラヴェンタ:「ごほっ、ごほっ、くそ、くそ……」ダン!
ダリオ・ガラヴェンタ:「なんで、どいつもこいつも、思い通りにならない」
ダリオ・ガラヴェンタ:「なんで、私ばかりが……なんで、自由じゃない」
ダリオ・ガラヴェンタ:「なんで……」
ダリオ・ガラヴェンタ:「げほっ、ごほっ!なんで、王じゃないんだッ!この私が!!」
七十橋シスル:「知りたいか?」
七十橋シスル:声をかけた、その時には。
七十橋シスル:七十橋シスルが、接近していた。
ダリオ・ガラヴェンタ:先程までのヒナテアの特攻で、防壁は一度全てを突破されていた。
ダリオ・ガラヴェンタ:無論そのいくつかは、数呼吸のうちに再構築を終えている。
七十橋シスル:ここだ。ここしかない。ヒナテアが自らを犠牲に障害を払い、こちらに損耗なく、円卓の最大解放を引き出した。
ダリオ・ガラヴェンタ:だが、間に合わない、と理解していた。「――七十、橋」
ダリオ・ガラヴェンタ:「シスルゥゥゥゥァァァァァ!!!!」
七十橋シスル:「タムの牝馬を思い出せ」
七十橋シスル:「蜜蜂が怒りに燃えて飛び出すように、」
ダリオ・ガラヴェンタ:獣じみて、無数の王鍵の中から魔剣を投影する。
七十橋シスル:七十橋シスルのレネゲイドは、極めてオーソドックスな呪詛として顕現する。
七十橋シスル:伝統に則った古英語の詩を謳い。媒介を用意し、象徴を揃え、定めた相手に、限られた害を為す。レネゲイド問わず、遥かに高効率暴力が蔓延るこの時代に、利点があるとするなら――――
七十橋シスル: ヴ
七十橋シスル:部屋が、僅かに震える。いや、震えたのは部屋ではない。その中心にある――――円卓。
七十橋シスル:並んだのは、魔剣だけではなかった。半透明の遺産が、出現し、消滅し、その権能を発揮し、反転し、相殺され、風見鶏めいて周囲にデタラメに向く。
七十橋シスル:「市場の群衆が躍起になって、"不幸を踏め"と泣き喚く」
七十橋シスル:「あいつはきっと、大ホラ吹きで、威張り屋で、酔っぱらいの愚か者!」
七十橋シスル:「――さんざ、喚いてくれたなァ。ダリオ」 ぎしり、と獣のような笑顔を浮かべた。
ダリオ・ガラヴェンタ:円卓を踏み台に飛びかかっていた。叫びとともに、首を刎ねようとする。
七十橋シスル:円卓の暴走。シスルが操っているわけではない。
七十橋シスル:尋常の思考では、想定すらしない、超越遺産――ほんの少し制御を誤るだけで。ほんの少し適合値が揺らぐだけで。
七十橋シスル:その反動は、全てを巻き込み破滅をもたらす。
七十橋シスル:『望みは叶えないでほしい』『うまくいかなければいい』『失敗すればいい』『理不尽な嵐にあえばいい』『自分には何もできないが』『あと一歩のところでミスをしてほしい』
ダリオ・ガラヴェンタ:「お前は……お前はッ!!!」
七十橋シスル:「ハ、ハ、ーーーヒャァ――ハッハハハハハハハハハ!!」
七十橋シスル:嵐の如き隷属暴走遺産の乱舞が、シスルとダリオ、その傍に居た智慧なきものすら巻き込んで。
ダリオ・ガラヴェンタ:握りしめていた魔剣の輪郭が霧散する。
ダリオ・ガラヴェンタ:ダリオ・ガラヴェンタにとっては、七十橋シスルがそのような不条理の具現だったのだろう。
七十橋シスル:「これが呪詛だ。なんで上手くいかねえか、教えてやるよ!」
七十橋シスル:「テメェが、何もかも周りを呪ってるからだ!」
ダリオ・ガラヴェンタ:「アアアアアアアアアアアッッ!!!!」
七十橋シスル:ダリオの契約を遡って。
七十橋シスル:制御し損ねた遺産の刃が、その身体の内側から弾け飛んだ。
ダリオ・ガラヴェンタ:「が、ぐぶっ……」
ダリオ・ガラヴェンタ:元より、"智慧なきもの"の強制的な呪術で蘇生した、仮初めの活動状態だった。
ダリオ・ガラヴェンタ:シスルに拳が届くよりも先に膝が崩れて、足首が落ち、
ダリオ・ガラヴェンタ:血溜まりと化して、白い円卓の上に広がった。
ダリオ・ガラヴェンタ:「そ……そうさ……」
ダリオ・ガラヴェンタ:「呪わ、れろ……な、何もかも……」
七十橋シスル:「カ、ハ、ヴァッ……!」目の端から血を流す。既にここまでの連続呪詛の行使で、シスル自身も満身創痍である。
七十橋シスル:「結構な、ことだ……テメェみてえのが、いるから……」
七十橋シスル:「私達みてーな時代遅れが、いつまで経っても、なくならねえんだ……」
七十橋シスル:オールドセルの末裔、白呪術師の鬼子にして異端児。
七十橋シスル:七十橋シスルが、呪いを返し終えて、円卓を転がり落ちる。
"智慧なきもの":「……残りは」
"智慧なきもの":戦闘不能と化したシスルに止めを刺す余力すらない。
"智慧なきもの":呪詛の維持と、自らの生命の維持に、限界まで意志力を振り分けているためだ。
"智慧なきもの":「……二人。ふ、うふふふふ」
"智慧なきもの":「滑稽なものです。うふ、うふふ……」
"智慧なきもの":「死のないノヴァリスで、私達は、こうまでして殺し合っている」
"智慧なきもの":「……うふ、うふ。何が……そうさせるのでしょう?私も、あなたがたも」
五辻モモカ:「人は──例え心臓が動いていようとも、息をしていようとも死に至るのだ」
五辻モモカ:シスルから視線をゆっくりと外し、"智慧なきもの"に歩み寄る。
五辻モモカ:「自由、救い、願い、矜持」
五辻モモカ:「何であろうと、私たちの中には"命"に繋がらぬ生命線がある」
五辻モモカ:「それを守る為に、戦うのだ」
五辻モモカ:静かに、諭すように呟きながら片手に持ったナイフを構える。
"智慧なきもの":「美しい言葉です。うふふふふ……」
"智慧なきもの":「ならば……その美しい言葉のために……私の命をも奪えますか?」
"智慧なきもの":「抵抗はいたしません。しかし」
"智慧なきもの":「私が……生きている限り、呪詛を植え付けられた生徒は苦しみますよ」
"血統王"バージニア・ダネシュティ:「法王。私がやる」
"血統王"バージニア・ダネシュティ:「所詮、理事会の殺し屋。気にするものでもなかろうが……血の汚れは少ないほうがよかろう」
五辻モモカ:「"血統王"」
五辻モモカ:その言葉に小さく首を振る。
五辻モモカ:「己が信念を貫いた果てに染みついた"跡"を私は汚れだとは思わん。ただな」
五辻モモカ:「お前がソレを"汚れ"だというのならば、お前には任せるわけにはいかない」
"血統王"バージニア・ダネシュティ:「…………」
五辻モモカ:"智慧なきもの"に向き直り、ナイフを握る手に力を込める。
五辻モモカ:"グレゴリオ"の信仰には明確な土台は存在しない。歴史に堆積した厳格な教義もない。
五辻モモカ:ただ、そこにあるのは『救われたい』という願いとそれをくみ上げる器があるのみ。
五辻モモカ:(祈りの途絶えた今となっては救いを与える事も、君臨する事もままならぬ)
五辻モモカ:「故に私は信じよう」
五辻モモカ:構えたナイフは何の神秘性も宿さない取るに足らない玩具。
五辻モモカ:「届かぬ祈りを。見えない願いを。虚構の救いを」
五辻モモカ:「お前の願いは、其処にあると」
五辻モモカ:「"心願────偽証"」
五辻モモカ:呟きと同時に手にしたナイフは砕け散り、周囲へと散乱し。その一つ一つが朧げに光る"剣"の形を取った。
"智慧なきもの":(抵抗しない)
"智慧なきもの":(……嘘です。私の命と引換えの呪いならば)
"智慧なきもの":(どれほど、人を汚染できるのか。積み上げてきた技、試せる機会は今……今しか)
五辻モモカ:「祈る事を忘れた者が永久に彷徨おうとも、楽園に辿り着く事はない。だからこそ」
五辻モモカ:「問いを口にしたお前の胸に、唯の一欠けらでも"願い"が残っている事を祈る」
五辻モモカ:空中に離散した虚妄の聖剣が"智慧なきもの"を包むように全方位から収束する。
"智慧なきもの":「願い?うふ……ふ、ふふふふ」
"智慧なきもの":ぞぶ、という音が一度だけ響いて
"智慧なきもの":その後は何も起こらなかった。ただ、"智慧なきもの"の体が倒れた。
"智慧なきもの":絶命した。最後の呪いが発動したかどうかは、誰にもわからないままだ。……本人にすら。
五辻モモカ:「──ふむ」
五辻モモカ:"父"へ届ける祈りを虚妄で建て替えた不敬の咎が白い肌を焼く。ボロボロと崩れる肌を見つめながら、小さく嘆息して背後へ振り返った。
"血統王"バージニア・ダネシュティ:「……見事だ。法王」
"血統王"バージニア・ダネシュティ:「見事だった」
五辻モモカ:「………ふ。そうか」
五辻モモカ:「終始、不甲斐ないばかりであったが。最後に助けとなれたのならば私は嬉しい」
"血統王"バージニア・ダネシュティ:「オリーヴ・ウェールズ。……平気か?」
"血統王"バージニア・ダネシュティ:「礼を失する質問かもしれんが、鉄騎王が、残していったお前のことを気にかけていたのでな」
オリーヴ・ウェールズ :「……はい。これ以上の継戦は厳しいですが……」
オリーヴ・ウェールズ :「そう、ですか。イリーナ様が……本当に、とてもお美しく、お優しい」
オリーヴ・ウェールズ :彼女が自らに課した役目を果たし、私達も確かに役割を為した。その事実に、少しの間安堵して。
七十橋シスル:「…………し、みじみ感じ入ってん、じゃ、ねえぞ」 円卓の端に、頭だけ出して睨む。
五辻モモカ:「……おお、無事だったかシスル!」笑顔で駆けよる
七十橋シスル:「二つ、だ。二つ、やれ…………あの、デタラメなガキ……ジョウカを連れてこい。円卓を、使わせて、それと……」擦れきった声で、呻くように言う。
七十橋シスル:近づいてきたモモカの襟を掴む。「……勝ったと、言え」
七十橋シスル:「外の奴ら、全員に聞こえるように、だ……お前の主が、やるみてえに」 オリーヴさんを睨む
オリーヴ・ウェールズ :「……勝鬨の前に、少しだけお時間を頂けますか」
七十橋シスル:「アァ……?」
オリーヴ・ウェールズ :夥しい血が流れる戦場に、膝を付く。
オリーヴ・ウェールズ :……ただ、悲しむ人が増えるのを見ていられないだけだった。
オリーヴ・ウェールズ :その為に走り続け、血を流し、浴び続けて……ここまで。
オリーヴ・ウェールズ :───革命の最中、相対し倒れ伏す彼らも、"悲しむひと"だったのだろうか?
オリーヴ・ウェールズ :問いに、答えは出ない。だからこそ、私は。この戦場で流れた総ての血と、その命に。
オリーヴ・ウェールズ :祈り、希う。例え傲慢であっても、決してそこに分別なく。
オリーヴ・ウェールズ :取り零してしまった彼らにも、永遠の安らぎがあらん事を。
オリーヴ・ウェールズ :「……お待たせしました、では」静かな間の後、立ち上がり。
オリーヴ・ウェールズ :「勝鬨を……お願いできますか?」
五辻モモカ:「…………そうだな」
五辻モモカ:襟を掴むシスルの手を優しく解き、頷く。
GM:ロイス取得のみが可能です。
ヒナテア・オルブライト:戦友:州来マカミ/P連帯感〇:N悔悟
ヒナテア・オルブライト:十字冠の効果で侵蝕率低減
ヒナテア・オルブライト:ヒナテア・オルブライトの侵蝕率を1D10+10(→ 19)減少(102 → 83)
竜胆ジョウカ:あっおれも侵蝕率引こうっと
オリーヴ・ウェールズ :低減から入ります
オリーヴ・ウェールズ :101-1d10-10
DoubleCross : (101-1D10-10) → 101-8[8]-10 → 83
竜胆ジョウカ:108-1d10-10
DoubleCross : (108-1D10-10) → 108-7[7]-10 → 91
七十橋シスル:侵蝕率低減ってどうなるんだっけこれだと
竜胆ジョウカ:キツイねえ~~
五辻モモカ:"血統王"バージニア・ダネシュティ 庇護○/庇護
GM:そういえば侵蝕低減あるんでした
GM:もちろん普通に十字冠が作動しているので侵蝕低減はどんどんしてください
五辻モモカ:五辻モモカの侵蝕率を1D10+10(→ 12)減少(106 → 94)
GM:シスルも一回では低減しきらないと思いますけど
七十橋シスル:135-10-1d10
DoubleCross : (135-10-1D10) → 135-10-1[1] → 124
七十橋シスル:お前さあ……
GM:低減圏外になるまで振ってください。その回数次第でちょっとペナルティが入ります
七十橋シスル:そうなるのか
七十橋シスル:124-10-1d10
DoubleCross : (124-10-1D10) → 124-10-3[3] → 111
七十橋シスル:なめてんの?
七十橋シスル:111-10-1d10
DoubleCross : (111-10-1D10) → 111-10-5[5] → 96
七十橋シスル:1,3,5
竜胆ジョウカ:ちょっとずつ元気になってる
五辻モモカ:冷めやらぬ熱
オリーヴ・ウェールズ :州来マカミ ●謝意/悔悟 庇ってもらいまくり……
"月下王"州来マカミ:がんばったよ
GM:侵蝕低減はみんな入って、シスルだけ+2ね
七十橋シスル:円卓/五辻モモカ/感服:/隔意:○/ロイス
竜胆ジョウカ:医療部の人 〇感謝/味方なのに利用して申し訳ない
オリーヴ・ウェールズ :ヒナテア・オルブライト ●前に進むひと/悔悟 最後の転送の為に前に出させちゃった……
ヒナテア・オルブライト:✌
GM:では本日の進行はここまでです。再開は火曜21:00!
◆[CURRENT]Middle02◆ルキア・ティベリア
キングダム王鍵管理施設 鴉の塔

GM:ウルスラ・ミック・ベニと有崎五派を含む一行は、その後もストレージ内の情報を確認し、時には整理し修復を行った。
GM:強固な理事会権限さえ突破すれば、そうした記録データの取り扱いはむしろ遺産管理委員会の得意とするところである。
GM:いくらかの、重要性の高い情報を得られたと言ってもいいだろう。
GM:例えば、ノヴァリス計画における"天国派"の目的。それと対立する"方舟派"の目的。
GM:シャムロック自由学園の設立経緯と存在意義や、キングダムが擁する『十字冠を破壊する兵器』たる『石の魔剣』。
GM:その他主要派閥の目的に関する断片的な情報。今や各学区がその実在を前提として動いている星徒の成り立ちについて。
GM:――とはいえ、そうした機密の多くは最高生徒会が既に接触していた情報でもある。
GM:裏付けが取れたという意味では大きな収穫かもしれなかったが、それでも、求めていた情報ではない。
GM:だが、やがて、最初にアクセスした記録への認証がようやく通る。
GM:……ウルスラ・ミック・ベニがかつてこの施設へと侵攻した際に見た、"ロードマスター"によるルキア・ティベリアへの言及。
GM:当時はニーアム・マッキーンと"ウィジェット"の強力な不正アクセスによって、断片的に音声を拾い上げられただけのものだ。
"ロードマスター":〈素晴らしい。私は……!〉
"ロードマスター":〈私は、真に素晴らしいものを見た!こんな奇跡が起こりえるとは〉
GM:声だけでは分からなかったことだが、医療施設で撮られた記録であるようだった。
GM:キングダム生徒が知るような施設ではない。そもそも理事会時代、病院や医療機関は主に理事会のエージェントのための施設だった。
GM:手術室のようなものが映っているが、手術室としてはあり得ない、異様な光景である。
GM:そもそも手術が行われていた形跡がなかった。大型の箱のような機械が、強引にこじ開けられ、残骸となって床に散乱している。
GM:手術というよりも、破壊。あるいは解体という表現が相応しいだろう。
GM:金属の箱の残骸の中からは、おびただしい量の肉と血が溢れ出している。
GM:詳しいものなら、その機械が何であるのかを理解できるかもしれない――
"ロードマスター":〈竜化器から、意思持つ生徒が産まれた〉
"ロードマスター":〈当該の竜化器の機能不全は、機構の不具合ではなかった。十字冠に保護され……リザレクトを行う『胎児』が中にいたのだ〉
GM:かつてのキングダムを知る者にとっての、恐怖の象徴。
GM:これほど興奮し、感情をあらわにした彼の言葉を聞いたものがいただろうか?
"ロードマスター":〈奇跡としか言いようがない。我らのキングダムの地で、新たな『人間』が発生した〉
"ロードマスター":〈個人として、成長の記録を残す。王たる者の一人が産まれた記録として、真に貴重な映像になるものと信じる〉
GM:その後の映像は、胎児を産んだ竜化器の構造検証を記録している。
GM:脳の意識を司る部分だけを生まれつき切除したホムンクルスを生贄として、この世ならざるどこかから竜のようなものを喚び出し続ける、理事会兵器。
GM:その構造は、大きく分けて二つの機能に分かれていた。竜骸を召喚するための、複雑に組み上げられた魔術的な投影機関が、まず存在する。
GM:――そして、生贄となるホムンクルスを自動的に生成し続ける機関がある。
GM:それは、このノヴァリスの地にあって十字冠に守られることもなく、異界の何かに喰われて死ぬためだけに産まれる『もの』だ。
GM:構成要素は人間のものだとしても、人間として判定されない。心臓が動くだけの肉塊に近い。
GM:よって、それは死ぬ。おびただしい数の竜骸が現れるなら、同量のホムンクルスがその発生と同時に死んでいる。
"ロードマスター":〈わからない。仕様上、ホムンクルスの十字冠発現はあり得ないことであったはずだ。"マスターウィザード"はこのことを知っていたのか?……〉
GM:FHにはかつて、全くの無から人間を造り出すマスターエージェントがいたのだという。
GM:"マスターウィザード"と呼ばれたそのエージェントからの技術提供によって完成した兵器が、竜化器である。
"ロードマスター":〈……"マスターウィザード"の想定がどちらであったとしても〉
"ロードマスター":〈これが……本当の奇跡であると信じたほうがいいのかもしれない〉
GM:成長の記録が続く。白く、美しい容姿を持つ幼児。学習能力は極めて高く、生まれながらにほぼ完全なレネゲイド制御を習得している。
GM:急速な人体錬成を必要とする竜化器のホムンクルスの仕様なのか、過ぎる年月に比して成長速度は著しく早かった。
"ロードマスター":〈カナートスへの援助が功を奏した。『彼女』の急速な成長を治療することができるかもしれない〉
"ロードマスター":〈『彼女』は……キングダムのどの生徒よりも高い能力と才能を示している〉
"ロードマスター":〈身体の成長は、むしろ抑制すべきだ。早すぎる成長によって、このノヴァリスから卒業する前に全盛期を失ってしまうことだけは避けなければならない〉
GM:少女は、常に同じ部屋で育てられているようだった。
GM:この鴉の塔の、封鎖されていた階層だ。
GM:理事会時代、この階層には元老の天沼チギリも、『目』であるアメリア・シュミットも立ち入ったことはない。
GM:他のエージェントが成長記録に映り込むことも、極端に少なくなった。
GM:まるで"ロードマスター"だけが、この才能ある少女を独占しようとしているようだった。
"ロードマスター":〈……………………………………〉
GM:長い沈黙で始まった映像記録がある。
"ロードマスター":〈……極めて残念だ〉
"ロードマスター":〈『彼女』は最初から生存のできないオーヴァードだった〉
GM:記録は中断する。続く記録のアクセス認証を待たなければならない。
ウルスラ・ミック・ベニ:「……瓶の中の小人」
ウルスラ・ミック・ベニ:長く続いたようにも、ほんの僅かだったようにも感じられる重苦しい沈黙が途切れる。きっと後者だろう。
オリヴィエ・クロムハーツ:ガ ン!と壁に拳が突き刺さる。
”元老”天沼チギリ:「鉄騎王。」
オリヴィエ・クロムハーツ:「……すみ、ません。取り乱し、ました」声色は、既に王としてのものでは無い。
七十橋シスル:「竜化器から生まれた生徒……」
GM:"ロードマスター"が言及していたように、『ありえない』と断言してよい確率のはずだ。
GM:キングダム連合学院の生徒達が目にしてきた竜骸の物量は、即ちそれだけの生産試行例があることを意味する。
GM:その莫大な犠牲の中、意思を持ち、十字冠が発現したホムンクルスは、たった一人。
七十橋シスル:がしがしと頭を掻き回す。「あア゛……クソッ」
七十橋シスル:「万分の一。億分の一。ただの確率の問題か……?」
竜胆ジョウカ:「……原典のホムンクルスは確か、寿命が6年ほどでしたね」
竜胆ジョウカ:「何年持つ類か分かりませんが、途中でその身が滅びるか、あるいはノヴァリスに居る限りは十字冠で大丈夫か……」
ウルスラ・ミック・ベニ:「本当に小さな子ども……赤ちゃんだったんだな。彼女は」
ウルスラ・ミック・ベニ:「たった一人で、ロードマスターなんかに育てられて……」罪悪感に胸元を抑える。
オリヴィエ・クロムハーツ:「何が……幼く見える、絶対者であるものですか。彼女は……」
オリヴィエ・クロムハーツ:「なら……私は……どうすれば……」
有崎五派:「………………ッ」
”元老”天沼チギリ:「我々にとって、大人とはこういう存在なのですよ。先生。」
有崎五派:「違う……そんな、そんなの……」
有崎五派:「そんなものが……あんた達の辿り着く先であって良い筈ないでしょう……ッ!」
竜胆ジョウカ:「……お優しい言葉、どうも」手持ち無沙汰にそばのカートに用意してあった茶を注いで回る。
竜胆ジョウカ:最も、手をつけている者は少ないが。
ウルスラ・ミック・ベニ:「ぬるいお茶どうも」些事に気を遣う余裕など、誰にも残っていなかった。
”元老”天沼チギリ:「他に気づいた点があるとすれば、背景に映っていたのは”鴉の塔”の部屋です。」
竜胆ジョウカ:「……あっホントだ」ズズズ。
”元老”天沼チギリ:「尤も、私もアメリアも把握はしていないでしょうが。」
”元老”天沼チギリ:「この隠された区画を探すのも一つの手でしょう。」
”鴉飼”アメリア・シュミット:「ええ……私も、あんな部屋に見覚えはありませんでした」
七十橋シスル:「理事会権限で隠されてるなら、話は早そうだな」
七十橋シスル:五派先生を横目で見る。
竜胆ジョウカ:「魔術的隠匿でも、このメンバーなら大抵割れそうですしね」
有崎五派:「………そうね。この記録が閲覧できたなら、その部屋もきっと」
有崎五派:端末をぎゅっと、握りしめる。
オリヴィエ・クロムハーツ:よろけて、再び椅子に腰が落ち。がらん と兜が外れ。銀色の長い髪が垂れて落ちる。
七十橋シスル:「おい」
”元老”天沼チギリ:「………少しだけ、休憩を挟みましょう。」
”元老”天沼チギリ:鉄騎王の様子を見て呟く。
”元老”天沼チギリ:「その後に………」と呟きかけて、拷問王に眼を向ける
オリヴィエ・クロムハーツ:「…………ぁ」視線が少し朧気で、顔には涙の痕と隈だけが色濃く残る。
七十橋シスル:「懐かしい顔じゃねえか。無茶してっからだ」 鉄騎王に近づく。
オリヴィエ・クロムハーツ:「……シスル、さん」絞り出す声は小さく。目線だけでその顔を追う。
ウルスラ・ミック・ベニ:「ごはせん、オリーヴちゃんをお願い」
ウルスラ・ミック・ベニ:「専門分野でしょ?女の子の顔を見るの」
有崎五派:「………………ほら、目閉じて」
有崎五派:ポシェットからハンカチを取り出し、ゆっくりと目元を拭う。
有崎五派:菊花の香袋から移った残り香がハンカチから静かに漂った。
オリヴィエ・クロムハーツ:為されるがままだ。顔を拭われるのも、一つの抵抗も無い。
七十橋シスル:「おい"鴉飼"。どーせ自前の冷蔵庫とかあんだろ。氷もってこい」
”鴉飼”アメリア・シュミット:「ひゃ、ひゃい!」
”元老”天沼チギリ:拷問王と死蔵王を見やる。王という責務があるとはいえ、こうも冷静でいられるのは驚きだ。
”元老”天沼チギリ:自分も、実務的な話をすることで何とか動揺する心を抑えている。
有崎五派:話に耳を傾けながら、隈を隠すためのメイク道具を手際よく揃えていく。
七十橋シスル:「……大体な。アイツが、真っ当な生まれだと思ってたのか?」
竜胆ジョウカ:「……」軽く頷く。
七十橋シスル:「いや思ってたのかよ。いや、考えてみたらテメェも真っ当な生まれか……」死蔵王に哀れみの目を向けながら。
七十橋シスル:「籠手外せ」
オリヴィエ・クロムハーツ:外された篭手の中身は、既に手首まで黒く爛れている。
ウルスラ・ミック・ベニ:「無理してるなあ。知ってたけど」
竜胆ジョウカ:「星界正義の剣の代償、ですかね」
七十橋シスル:「死蔵王。そこにある茶葉もってこい、九束だ」
竜胆ジョウカ:「あっはい」持ってくる。
オリヴィエ・クロムハーツ:「せん、せい。わたし、顔……どうなって、ますか」
有崎五派:「…………ッ馬鹿!」
有崎五派:オレンジを含んだコンシーラーを隈の濃い部分に優しく塗りながら、叫ぶ。
オリヴィエ・クロムハーツ:「……ひどい表情、ですか。なら、私はきっと。相応しくなどなかった」
有崎五派:「なんともなってない。綺麗よ。大丈夫だから。今は手の心配を……しな、さいッ」
オリヴィエ・クロムハーツ:「ずっと……心の、どこかで」
オリヴィエ・クロムハーツ:「至上王が、特殊な生を受けた、最大の絶対者であればよい……と、そう、思っていました」
”元老”天沼チギリ:「…………。」自分も、そうであって欲しいと願っていた。
有崎五派:「………うん」
”元老”天沼チギリ:苛烈な性格と行動は遺産の代償によるものだと推測したのも、
”元老”天沼チギリ:ひとえに至上王の真の姿が、我々と同じく話の通じる人間であって欲しいという願望からだった。
オリヴィエ・クロムハーツ:「そうであれば、まだ……圧制者として、その犠牲とを天秤に掛け、刃を、向けられたかもしれない」
有崎五派:「………うん」
オリヴィエ・クロムハーツ:「……事実、それはそうであり、それだけではなかった」
オリヴィエ・クロムハーツ:「……夥しい犠牲の果てに、漸く生を受けられて、しかし箱庭で育てられ、結果、"生存ができない"と断ぜられる……」
オリヴィエ・クロムハーツ:「そんなものを、私は。絶対者などと、圧制者などと、認める事が、出来ない……」
七十橋シスル:「……それなら、それでいいじゃねえか」
七十橋シスル:自前の医療鞄を取り出しながら、茶葉を持ってきた死蔵王を振り向く。
七十橋シスル:「九つの薬草の呪文だ。できるな?」それだけ言う。
竜胆ジョウカ:「あっはい、ええと……これでいいか。"此を九つなる栄光の枝へと照応する"」
竜胆ジョウカ:缶を蓋の方に開けた後、ざっと分けて魔術をかけてから渡す。
竜胆ジョウカ:「遺産との食い合わせはたぶん大丈夫ですが、何かあったら外しますんで」
七十橋シスル:「っとに訳分からねえ仕組みしてんなテメェは……」
七十橋シスル:というわけでジョウカさんに貰った高性能治療キットを使います
ウルスラ・ミック・ベニ:「こうして見ると本当に医療部なんだな……いやほら、ボクは怖い顔で追いかけられることしかしてないから」
七十橋シスル:「それはテメーの自業自得だ。……マッグウィルト、アトルラーゼ、スチューン、ウァイブラード、カモミール、スティゼ、ウェルグル、フィレ、フェンネル」
七十橋シスル:一つ一つ、死蔵王の手で薬草にさせられた名前を使って陣を描く。「正義を為さないと主を焼く剣、だったか」
七十橋シスル:「俺に言わせりゃ、"迷ってない正義"ほどうさんくせえモンはねえぞ」
有崎五派:「……真剣に、正しい事は何か考えている証だものね」
”鴉飼”アメリア・シュミット:「お、お水と氷、お持ちしました」
七十橋シスル:「ちょうど良いタイミングだ、貸せ」作った薬草を水に溶かして布に浸し、氷を巻いて、オリヴィエの腕を包む。
オリヴィエ・クロムハーツ:「っ……」
オリヴィエ・クロムハーツ:「……この、剣が。行使するのは、王に与えられし天意そのもの」
オリヴィエ・クロムハーツ:「……天は、正しく、迷わず。そうでなければ、救えるものも、救えない……強大な力は、一度でも誤る事を許さない」
オリヴィエ・クロムハーツ:「ああ……だから、どうしても人には余る。こうして、渡ってきた、のですね」
竜胆ジョウカ:「うーん……でも迷わない天そのものになっちゃうと、やってることまあジャームと変わんないですからね」
竜胆ジョウカ:「迷い放題ですよ人間なら。いっそ暴れる犬にリード付けて引きずり回すくらいのつもりで向き合わないと……」
竜胆ジョウカ:「……っと、……今じゃなかったかもですね。まあご参考までに……」
有崎五派:「オリヴィエちゃん。その剣が貴方に伝える"天意"っていうのは誰にも分からない。証明できないものでしょう?」
有崎五派:「それこそ、シスルちゃんの言う通りうさんくさい、だとか。ジョウカちゃんの言うようにジャーム……っぽいっとすら感じるもの」
有崎五派:「私もまあ……絶対の正義っていうとちょっと怖いなって思うかもね」
有崎五派:「でも、貴方は"鉄騎王"。沢山、貴方を慕ってついて来てくれる人が居るんでしょう。その子たちはみんな……」
有崎五派:「何が正しいか考えて、皆の為に動いて、正義とは何かってずーっと悩んできた貴方に着いてきてるの。その……剣、じゃなくて」
有崎五派:「だから、私はまだ貴方と会って間もないけど……他でもないオリヴィエちゃんが言うなら、至上王は分かり合えない暴君なんかじゃないんだって」
有崎五派:「ちょっと、安心した」
有崎五派:「だから良いのよ、それで。誰も傷つけずに済むならそれが一番良いもの!ね?」
オリヴィエ・クロムハーツ:「…………本当に、優しいのですね」悪であれと欠片でも願ってしまった、私とは、違う。
有崎五派:「私は……楽観的なだけよ。誰かの為に、身を削る事の方がよっぽどすごいんだから。まあ、でも」
有崎五派:「私は貴方の部下でもなく王でもないから!"大人"としてやり過ぎは看過できませんけど!絶ぇっ対無茶させないからね!」
七十橋シスル:「だいたい、まだ全ては分かってねえ。全部調べたら"やっぱり悪だった"ってなるかもしれねえだろ」
オリヴィエ・クロムハーツ:「……はは。確かに、そうだ」
七十橋シスル:「救われるべき人間じゃない、って剣とテメェの判断が一致する可能性だってある」
有崎五派:「え~~!先生はそのままルキアちゃんもたすけよ~ってなるのが良いけどな~」ぶんぶんと体を左右に振って駄々こね
七十橋シスル:「それならそれでいいっつってんだろ」
オリヴィエ・クロムハーツ:「……ありがとう。もう、大丈夫。お見苦しい所をお見せしました」
オリヴィエ・クロムハーツ:……そうだ、まだ全ては知りえたわけではない。どう転ぶかは、分からない。
オリヴィエ・クロムハーツ:……もし、それでも。何処にも振るえないと決めたのなら。私が、全てを抱えよう。
ウルスラ・ミック・ベニ:「探せばさっきの続きは見つかるんだし、見てから考えても損はないね」
”鴉飼”アメリア・シュミット:「そうです、全てを知ってからで、遅くはないのです!」
竜胆ジョウカ:「……そうだ、探せばで思い出しましたけど」
竜胆ジョウカ:「部屋の話あったじゃないですか。あれ探しにいきませんか」
”元老”天沼チギリ:「そうですね。休憩を終えたら言いだそうと思ってました。」
竜胆ジョウカ:「今続き見るとさらに気持ち沈みそうですし、多少動いた方がいいかと」
ウルスラ・ミック・ベニ:「大人パスを持ってるごはせんは部屋探しに必須」
ウルスラ・ミック・ベニ:「治療中のオリヴィエちゃん、半人前先生のボクは居残りかな?」
七十橋シスル:「別に全員で探しゃいいだろ。敵が居るわけでもねえんだ」
七十橋シスル:すたすたと歩き出す。「怪しい場所があったら星室庁のそいつを呼ぶ。それでいいだろ」
竜胆ジョウカ:「ですね……あっ行っちゃう、そのじゃあこれ、連絡先です。私は先に追いかけるんで、はぐれたら使ってください」紙切れを渡す。
有崎五派:「そいつじゃないんですけど!ごはせんですけど!あっ……ありがと、ジョウカちゃん」
竜胆ジョウカ:「何かあったら書いていただければこっちに反映される……拷問王さん、ちょっと! ズル……じゃなくて!」拷問王さまについて行きます
”元老”天沼チギリ:こちらも立ち上がり、拷問王に続こうとする。
”鴉飼”アメリア・シュミット:「ウチの子も置いていきますね。145(ひよこ)といいます。人懐っこいんですよ?」鴉を一羽置いていく
ウルスラ・ミック・ベニ:「からすじゃん」膝を衝いて撫でながら。
オリヴィエ・クロムハーツ:「……皆、いってらっしゃい。そして……ありがとう。気にかけてくれて」
”元老”天沼チギリ:ちらりと有崎先生に視線をやり、
”元老”天沼チギリ:深々と礼。
”元老”天沼チギリ:初めて尊敬する大人に出会えたという思いを込めた礼だった。
有崎五派:「……?」一瞬、首を傾げるが
有崎五派:片手で鴉を撫でながら、笑顔で手を振る。
有崎五派:「チギリちゃんも、無理しちゃだめよ!」
ウルスラ・ミック・ベニ:「いってらっしゃ~い」
ウルスラ・ミック・ベニ:ぞろぞろまばらに出てゆくみんなに手を振り見送る。
GM:鴉の塔の隠された階層の捜索は、実際のところ大きく人手がいる試みではない。
GM:理事会権限を持つ有崎五派と、認識阻害の魔術を熟知した死蔵王か拷問王のどちらかでもいれば事足りる話だろう。
GM:だが、何時間も室内で理事会時代の凄惨な記録に向き合い、キングダムの深刻な問題を考えなければならなかった彼女達にとって
GM:足で歩き回って階層を探すような息抜きは、間違いなく必要なものだっただろう。
GM:代償による苦痛が大きいオリヴィエ・クロムハーツはその場に残り、長い休憩を取っている。
ウルスラ・ミック・ベニ:「さて……久しぶりに二人っきりだね。オリーヴ」
オリヴィエ・クロムハーツ:「……何年ぶり、でしょう。風塵王様が亡くなってから、これまで」
ウルスラ・ミック・ベニ:ひよこ(からす)に菓子をやりつつ、振り返る。
ウルスラ・ミック・ベニ:「それ以前もお互い忙しかったし、そうでなくてもここはキングダムだったからなあ」
オリヴィエ・クロムハーツ:「ええ、だから……以前キングダムに乗り込んで来た時は、本当に驚きました」表情は、穏やかだ。王としての顔は、今だけは一切ない。
ウルスラ・ミック・ベニ:「奪われた王鍵を取り戻しに行っただけだもん」
ウルスラ・ミック・ベニ:「八月革命の時だって、そのために踏み込んだ王たちが居るって聞いたぞ」
オリヴィエ・クロムハーツ:「……そうなるに至った処置についても、です」
オリヴィエ・クロムハーツ:「私は、その王鍵を継ぐのは貴女以外に考えられなかったですから」
ウルスラ・ミック・ベニ:「む、むむ……!」腕組みをして、何か言おうとして、特に出てくるものはなく照れる。
ウルスラ・ミック・ベニ:「人にはそういう事言うんだなキミは」
オリヴィエ・クロムハーツ:「久しぶりの二人きり。貴女がオリーヴと呼ぶ以上、私も素で応じます」
オリヴィエ・クロムハーツ:「……王の側近として、遠からず近からず」
オリヴィエ・クロムハーツ:「ふふ、私の我儘でお茶を囲むことはありましたけど……」
ウルスラ・ミック・ベニ:「なら改めて今囲むか。キミは何年も我儘なんか言えて無かったろうしな」
ウルスラ・ミック・ベニ:手慣れたぞんざいな手つきで菓子を並べ、袖口から小さな竜の頭を生やし、火を噴きお茶を温めなおす。
ウルスラ・ミック・ベニ:「あ、手は動かしづらい?」
オリヴィエ・クロムハーツ:「ん……大丈夫です、これくらいなら……皆さんのおかげ、ですね」
オリヴィエ・クロムハーツ:笑顔で手を振るが、何処かぎこちない。
ウルスラ・ミック・ベニ:「じゃあボクのお陰も受け取りたまえ」指でつまんだコネを口元に。
オリヴィエ・クロムハーツ:「む……」自然に受け入れ、小さく咀嚼。
オリヴィエ・クロムハーツ:そうして、暫く口を閉じてから……重く開く。
オリヴィエ・クロムハーツ:「……一度、話さなければならないと思っていました事があります」
ウルスラ・ミック・ベニ:「お茶はこうはいかないからな……うん?」古びた鞄からするすると麦わらを取り出す。
オリヴィエ・クロムハーツ:「風塵王様について……彼女が亡くなったのは、本当に……残念でした」
ウルスラ・ミック・ベニ:「……ありがとう」ティーカップに麦わらを指し、弄くる。
ウルスラ・ミック・ベニ:「お悔みの言葉も聞かずに全部ほっぽり出して悪かったね」
ウルスラ・ミック・ベニ:「派閥の子にも後ですごく怒られた」
オリヴィエ・クロムハーツ:「身近な者が死んでしまうというのは、とても重く……苦しいものです」
オリヴィエ・クロムハーツ:「だから、貴女の行動を私は責めません。もしその立場が私であったとしても……そうしたと、思うから」
ウルスラ・ミック・ベニ:「どうかな。オリーヴは抱えたがりだから……自信が無いのは同じか」
ウルスラ・ミック・ベニ:ストロー越しにお茶を吸う。マナーも何もあったものではないが、二人きりなら構うまい。
ウルスラ・ミック・ベニ:「キミはそう言うけど、ボクだって勇者の徴を受け継ぐなんてこれっぽっちも思っちゃいなかったから」
オリヴィエ・クロムハーツ:少しずつお茶を吸う。数日ぶりかもしれない補給に、喉が少し痛み、潤う。
ウルスラ・ミック・ベニ:「ふふ」145の眼を指で遮る。
オリヴィエ・クロムハーツ:「ん……」前に垂れる髪を、少しだけかき上げる。
オリヴィエ・クロムハーツ:「……私も、その時が来るまでは思いもしませんでした」
ウルスラ・ミック・ベニ:「自分には相応しくないって言うけど、よくやるもんだよ」
ウルスラ・ミック・ベニ:「ボクの友達の聖剣使いなんて折れられたそうだ」
オリヴィエ・クロムハーツ:「折れ……」
オリヴィエ・クロムハーツ:「……これでも、甘めな判断も許してくれるんですよ」
オリヴィエ・クロムハーツ:「たくさんの子を斬って……その上で赦して。今の聖詠部はそういった行き場のない子達を集めてます」
ウルスラ・ミック・ベニ:「抱え込むのが大好きだね」
ウルスラ・ミック・ベニ:「好いてないのに人を裁く仕事に就いたのは、その剣のためかい」
オリヴィエ・クロムハーツ:「始まりは、この剣のためであり……そして、至上王様の目に少しでも触れないように」
オリヴィエ・クロムハーツ:「……結果、悲劇が巻き起こるのを避けたかった。悲しむ顔が増えるのは……私が一番、苦手なことです」
ウルスラ・ミック・ベニ:「そりゃ悪い事したね。目にも肌にも触れちゃった」
ウルスラ・ミック・ベニ:「今じゃすっかり元気にしてるから、どうか悲しまないでくれたまえ」
オリヴィエ・クロムハーツ:「……あの能力の前に、再起不能になった生徒が存在するのはご存じでしょう。本当に、心配したのですから」
オリヴィエ・クロムハーツ:「後遺症などは無いのですよね、改めて聞きますが」少しだけ頬を膨らませて、小さく睨む。
ウルスラ・ミック・ベニ:「悪かったって。大丈夫だからもっと可愛い顔をしてよ」
ウルスラ・ミック・ベニ:「お菓子を頬いっぱいに詰め込むとか、麦わらを健気に啄むとかさ」
オリヴィエ・クロムハーツ:「かわ……」
オリヴィエ・クロムハーツ:「……いえ、鏡を見ていませんが、今の私の顔は先生によって整えられているのでしょう、では否定も失礼に当たりますね」
ウルスラ・ミック・ベニ:「独り占めできるボクは幸せ者だよ」
ウルスラ・ミック・ベニ:「……まあ、自分の眼で確かめたかったんだよね。ルキア・ティベリアがどんな子なのか」
オリヴィエ・クロムハーツ:「……海賊王様が、処断されて」
オリヴィエ・クロムハーツ:「迷うしかなかった私に、イリーナ様は至上王様を知ってきなさい、と仰りました」
オリヴィエ・クロムハーツ:「……今の私も、貴女と同じ気持ちであり……」
オリヴィエ・クロムハーツ:「…………」しばし、沈黙。
オリヴィエ・クロムハーツ:「…………自らの、これまでの浅はかさに、辟易しています」
ウルスラ・ミック・ベニ:「貴女に比べて自分はなんて言うんじゃないぞ。あっと言っちゃった」
オリヴィエ・クロムハーツ:「もっと早く、私もそうするべきだったのかもしれない」
ウルスラ・ミック・ベニ:「言っておくけど、全然そんなことないからな」憤慨し、八つ当たりするようにお菓子をパクつく。
ウルスラ・ミック・ベニ:「ずっとそうしてきただろう」
オリヴィエ・クロムハーツ:「……貴女の立場が、羨ましいとは決して言えません」
オリヴィエ・クロムハーツ:「ですが、その決断、その行動に、私は……」
オリヴィエ・クロムハーツ:「……私は」
オリヴィエ・クロムハーツ:「星を見るよう、でした。決して届かない」
ウルスラ・ミック・ベニ:「キミねぇ……」
ウルスラ・ミック・ベニ:「こーんな立派で羨ましい体に育っても、栗鼠みたいな気弱さは変わんないな」ぺしぺしと肩当てをはたく。
オリヴィエ・クロムハーツ:「か、身体が大きいのは元からです……少しだけ、気にしてるんですから」
ウルスラ・ミック・ベニ:「ボクは職員室の高い棚に届かなくて、男の先生に取って貰ったりするんだぞ」
ウルスラ・ミック・ベニ:「今日ここに来てさ、この前とは違う円卓の顔を見たよ。顔ぶれは変わらないけど」
ウルスラ・ミック・ベニ:「鉄騎王の兜の下は相変わらず可愛かったし、拷問王は丁寧な立派なお医者さまだし」
ウルスラ・ミック・ベニ:「死蔵王は好きな事とそれを守るのに一生懸命!良いものを見られた」
ウルスラ・ミック・ベニ:「キミだって止めるべき悪を、裁くべき罪をずっと見張って飛び込んで」
ウルスラ・ミック・ベニ:「赦しを求めて、救いを与えてきたんだろう。良く知らないまま見過ごすことを拒んできた」
ウルスラ・ミック・ベニ:「今回も同じだよ。調べて、新しい顔を知って、見解を深めている」
オリヴィエ・クロムハーツ:「……本当に」
オリヴィエ・クロムハーツ:「貴女はそう言った言葉を理路整然と、並べられる……」遠くを見るように、彼女の姿を見て。
オリヴィエ・クロムハーツ:「……まだ、間に合うでしょうか」
オリヴィエ・クロムハーツ:「貴女のように……王ではなく、勇者の如く」
オリヴィエ・クロムハーツ:「至上王様……いえ、ルキアさんを知り、救い出す……という手段を、模索するのは」誰も傷つけず、正しきを為す。そんな、夢物語。
ウルスラ・ミック・ベニ:「ほめ殺しやめよ~」
オリヴィエ・クロムハーツ:「……彼女を超然の悪であってほしいとどこかで願っていた、そんな私にでも」
ウルスラ・ミック・ベニ:「できるさ。ボクが前を行ってあげるし」
ウルスラ・ミック・ベニ:「悪魔であって欲しくないと思い続けたのもキミだ」
ウルスラ・ミック・ベニ:「一緒に進もう。ボクにはとてもオリーヴのことを、王様なんて思ってやれないからな」
ウルスラ・ミック・ベニ:お菓子をひとつまみ、口元に浮かべる。
オリヴィエ・クロムハーツ:「……」ただの勇者の仲間として。そう在れたら、どれほど良いか。
オリヴィエ・クロムハーツ:「私、私……ね。ほんとうのことを言えば」零れる言葉は年相応より、もっと幼い。夢見る少女のもの。
オリヴィエ・クロムハーツ:「ずっと、憧れていたんです、剣を持って、正しきのために。敵であっても、みんなを救うために戦う。そんな……勇者のおとぎ話」だから、受け継いで、手に取って。
オリヴィエ・クロムハーツ:「だから……」
オリヴィエ・クロムハーツ:「……今からでも、再びそう在れるなら」
オリヴィエ・クロムハーツ:ゆっくりと立ち上がり、彼女の隣へ。
オリヴィエ・クロムハーツ:「その時が来たら……連れて行って、貴女の仲間として」
ウルスラ・ミック・ベニ:「……」うん、と笑顔で頷き。
ウルスラ・ミック・ベニ:「立ち上がられるとやっぱり身長差がなあ」
ウルスラ・ミック・ベニ:「ボクが見合わないよ、座って座って!」ぎゅうぎゅうと鎧を押すけどびくともしない
ウルスラ・ミック・ベニ:「オリーヴは立派すぎ!」
オリヴィエ・クロムハーツ:「なっ……ウルスラはもっと牛乳を飲んでください……!大丈夫です、きっとまだ伸びますから……!」ぐぐ、とその手をものともせず立ち上がる。
ウルスラ・ミック・ベニ:きゃんきゃんと姦しく、今いる場所も鴉の目も忘れて。
ウルスラ・ミック・ベニ:ただの少女たちとして、寸暇のお茶会を過ごした。
GM:――鴉の塔には無数の階層が存在するが、これまで誰にも発見されなかった階層であると考えれば
GM:途中の階である可能性は低い、と判断できた。認識を阻害したとしても、例えば常に階段の数を数える魔術師や、自身の高度座標を理解できるオーヴァードがいた場合
GM:階層の中途に不自然に空いたスペースが存在した時、構造的な不自然さを看破されてしまう。
GM:よって可能性が高いのは、今まで彼女らが記録を閲覧していた地下階の更に下か、あるいは塔の最上階より遥か上。
GM:至上王が育てられていたのがそのどちらなのかは、明白な問題だっただろう。
GM:一行は最上層のその更に上に、存在しないと思われていた階層を発見する。
GM:転移を用いる昇降システムの発見と起動にはやや手間取ったものの、それも有崎五派の認証が通った。
GM:ルキア・ティベリアの記録も、この階層への移動手段も、本来ならば、"ロードマスター"本人の認証が必要だった。
GM:そうしたシステムが不全を起こし、外部からの『先生』すらその特権を共有する現状は、理事会そのものが壊滅したことによる影響かもしれない。
GM:いずれにせよ、捜索組はその部屋に辿り着いた――
GM:至上王の自室と同じような、染み一つない純白の部屋。
GM:全く同じではない。子供が遊ぶような玩具が収納棚に放り込まれている。
GM:簡単な絵本から古い言語の歴史書まで、多量の書物が壁の本棚に並んでいる。
GM:……そして。
GM:剣が。宝石が。杖が。鍵が。鏡が。首飾りが。
GM:鏃が。干からびた腕が。時計が。石の柱が。石板が――
GM:遺産が床に転がっていた。収納棚に詰め込まれていたものも、半数近くはそうだった。
GM:"ロードマスター"は、遺産継承者を育てていた。
”元老”天沼チギリ:「…………これは、」
”元老”天沼チギリ:「全てが…………”遺産”?」
”鴉飼”アメリア・シュミット:「死蔵王、ご鑑定を……」
有崎五派:「ここでルキアちゃんが……」
竜胆ジョウカ:「……"空の腕"、"枢計石櫃"、……こっちは"エイブラシアの第六の剣"かな」
七十橋シスル:「……イカれてんだろ」
竜胆ジョウカ:「……驚いた。資料上に名前はあるので、塔のどっかには埋まってると思ってましたが」
竜胆ジョウカ:「まさかこんな風に使ってたとは」
七十橋シスル:「玩具のガラガラ感覚か?」
”元老”天沼チギリ:「それはこちらにあります。」
”元老”天沼チギリ:収納棚の、子ども用の玩具が入った箱を指差す。
七十橋シスル:「あんのか………」
竜胆ジョウカ:「どちらかというと知育玩具かと。王としての教育のための」
GM:処分していないのは、単に成長が早すぎたために追いついていなかったのか
GM:あるいは、"ロードマスター"かルキア・ティベリアのどちらかが、何らかの感傷で残していたのだろうか。
GM:普通の子供部屋ではあり得ない成長段階の器物が混在している。
有崎五派:(貴方の好きなものは何?どんなものを綺麗だと感じて、何が嫌いで……)玩具、書籍。その一つ一つを手に取って確かめる。
竜胆ジョウカ:「外からわざわざ持ってきた感じですかね。こんな時代があったんですねえ……」玩具を物色しつつ。
”鴉飼”アメリア・シュミット:「至上王は、革命のあの日までを、ずっとこの部屋で……」
竜胆ジョウカ:「……ここのモノ回収したら逆鱗触れること、全然ありそうだな……」遺産の方には手を出さない。止まらなくなりそうなので。
七十橋シスル:本棚を調べます。読み込まれた後はありますかね?
GM:では、本棚を調べると、奇妙な本を見つけます。
GM:グリム童話『つぐみのひげの王さま』の絵本。
GM:通常出版されているようなものとほとんど同じに見える。ただ、表紙にも本文にも、白黒印刷のように色が存在しない。
七十橋シスル:「……?」
七十橋シスル:それを手に取る。あまり聞き覚えのないタイトルだった。
竜胆ジョウカ:「……『王さま』だから……?」
GM:ある王国の、美しく気位の高い王女が、その傲慢な言動が元で物乞いの妻となることを決められる。
GM:王女は貧しい者達の中で様々な試練を経験する。
GM:だが、最後には物乞いは王子としての正体を表し、王女と結ばれる。
GM:読み進めると、七十橋シスルの指先に、黒い粉のようなものがついていた。
GM:……鉛筆の粉だった。
GM:まるで、白黒印刷と寸分違わぬような精度で――
七十橋シスル:「……写本?」
GM:書き写せたのだ。この部屋で育った、わずか7歳の少女が。
有崎五派:「じ、自分の手で描いたの?これを……?」
竜胆ジョウカ:「……あ。色付きのもあります……これを、ってことですかね」
七十橋シスル:「修道院のバイトじゃねえんだぞ。なんでそんなこと……」
竜胆ジョウカ:「……となると、あれは……レネゲイド操作に特化した……とかではないのか……?」
竜胆ジョウカ:「素で万能の天才ルートですかね。これが娯楽になるくらいに、っていう」
七十橋シスル:「これが"お絵かき"だってのか? クレヨンでお姫様の絵でも描くみたいに?」
竜胆ジョウカ:「じゃないですか? 逆に"ロードマスター"がわざわざこんなことやらせないでしょう」
竜胆ジョウカ:「あれが何かやらせるならそれこそ遺産の操作の訓練とかでしょう。召使いらしく、それなりの自由も与えて」
”鴉飼”アメリア・シュミット:「至上の王、その名に違わぬ才能を、多くの分野で持ち合わせていた……」
GM:記録の中の"ロードマスター"は常に、竜化器の少女が示した絶大な才能について話していた。
GM:高い学習能力。身体能力。美貌。そして王たる者のカリスマがあるのだと。
七十橋シスル:「あ゛ー、なんだってんだ……!」
七十橋シスル:情報が集まっているようで、分からないことばかり増えていく。
有崎五派:「……なんでこのお話だったんだろ」
有崎五派:絵本を視線でなぞりながら、ぽつりと呟く。
”元老”天沼チギリ:「つぐみのひげの王さま。」
”元老”天沼チギリ:「美しくも傲慢な姫が物乞いと結婚するよう命じられ、様々な試練に遭うも」
”元老”天沼チギリ:「物語の最後に物乞いは王子としての正体を現し、結ばれたというものです。が…」
”元老”天沼チギリ:「様々な試練を与えた物乞い、騎兵。それら全てが王子としての正体だったというオチは…」
”元老”天沼チギリ:「見様によっては奇妙ですね。」
七十橋シスル:「子供の頃の……アイツが気に入る箇所があるか?」
七十橋シスル:いや年齢で言えば今とそう変わらないのか?
竜胆ジョウカ:「んま、『そんな本くらいしか娯楽がなかったんだなあ』で済ませてもいいかもしれませんけどね」
七十橋シスル:「こっちはパズルを完成させてえってのに、別々の絵のピースを、箱ごとぶちまけられてる気分だ」
”鴉飼”アメリア・シュミット:「好きなお話は、自分でも描きたくなりますからねえ、分かります」うんうんと頷く
GM:生存不可能な体質。休日に見せた豹変。つぐみのひげの王さま。なぜ"ロードマスター"を殺したのか。
GM:……そして今、何をしようとしているのか。
GM:現状で得られた情報はひどく断片的だ。まだ、記録の続きへのアクセス認証を待つ必要がある。
竜胆ジョウカ:「そう見るとキツいですよ、子供に与えられた絵本も全部、思想信条ゴリゴリに反映されてる感じで。当人は幼くて気にしてないかもしれませんが」
竜胆ジョウカ:「"ロードマスター"、絶対子供とか育てたことないですよ」
”元老”天沼チギリ:「この部屋は荒らさずにそのままにしておきましょう。」
”元老”天沼チギリ:「あるいは、この部屋の存在が至上王の逆鱗かもしれません。」
竜胆ジョウカ:「ですね。それに……いえ」
竜胆ジョウカ:一瞬何か言いかけ、黙る。
七十橋シスル:「何だよ? テメェが言い淀むと碌なもんじゃねえ」
竜胆ジョウカ:「……その。ここが至上王のマジのトラウマ部屋だった場合」
竜胆ジョウカ:「動き出した時ここをぶち壊しにくるのに時間を消費してくれるな、と思いまして……」
竜胆ジョウカ:「……意外と焦ってるんですね、私も。ここが"鴉の塔"の天辺だってこと、一瞬抜け落ちてました」
有崎五派:「……ジョウカちゃん~?」
有崎五派:じと、と視線を向ける
竜胆ジョウカ:「う~……その、普段、王ぶってる反動だと思ってください……」
”元老”天沼チギリ:「二人も十分休憩した頃でしょう。戻りましょう。」
竜胆ジョウカ:「……で、ですかね」
七十橋シスル:「記録を進めるしかねえか。……ったく」
”鴉飼”アメリア・シュミット:「試練を与える王と、与えられた王女。至上王は、どちらが好きだったのでしょうか……気になりますが、のんびりはしていられませんか」
竜胆ジョウカ:口では反省しつつも、いまだに様々なシミュレーションが脳内では渦巻き続けている。
竜胆ジョウカ:(寿命が近い、のだとすると。その終わり際に何をしでかすか分からない)
竜胆ジョウカ:(王として教育を受けた期間が長いとはいえ、最期くらい……みたいなことを考えてもおかしくはないし……)
竜胆ジョウカ:(うーん……もしかして最近のアレコレもそれで……?)
”元老”天沼チギリ:「もしも、」
”元老”天沼チギリ:ぴたりと足を止める。
竜胆ジョウカ:(……いや、一遍忘れるか。変な偏見で情報見てはいけな)
竜胆ジョウカ:「はい?」
”元老”天沼チギリ:「本当にもしもの話です。」
”元老”天沼チギリ:「至上王が短くなった寿命で自棄になっているのなら、」
”元老”天沼チギリ:「その時に必要なのは彼女に向ける刃ではなく、」
”元老”天沼チギリ:「彼女を生き長らえさせる。あるいは苦痛を和らげる医療。」
”元老”天沼チギリ:拷問王と目を合わせる
”元老”天沼チギリ:「かもしれませんね。」
七十橋シスル:「…………」
七十橋シスル:「らしくねえこと言うじゃねえか」
”元老”天沼チギリ:「私も、自棄になっているんです。」
”元老”天沼チギリ:「終わりに直面すると、人間こうなるものです。」
竜胆ジョウカ:「えっ諦めてます?」失言。
”元老”天沼チギリ:「最善は尽くしますよ、勿論。」
”元老”天沼チギリ:「らしくないことを言った、と。後から笑えるように、」
”元老”天沼チギリ:「私に恥をかかせてくださいね。」
七十橋シスル:「鉄騎王もだがな。この後に及んでガタがすぎる」
七十橋シスル:鼻で笑うような声を出す。
”元老”天沼チギリ:「これは失礼しました。私も看病してくれますか?」
”元老”天沼チギリ:くす、と笑う
七十橋シスル:「……俺が落ち着いてる理由が気になるなら、一応共有しといてやる」
七十橋シスル:「至上王が、石の魔剣を手にした。その気になれば生徒を殺せる」
有崎五派:「……」
七十橋シスル:「星室庁の。もと無所属のアンタなら分かるんじゃないか」
有崎五派:「……あたし?」首を傾げる
七十橋シスル:「剣で刺されりゃ、普通は死ぬよな」
有崎五派:「そりゃ……そう、だけ……ど」
七十橋シスル:「なにも特別なことじゃない」
七十橋シスル:「引きこもってる知り合い相手に、呼びかけ方を探してる。今俺達がやってるのはそれだ」
七十橋シスル:「十字冠もない、オーヴァードじゃない人間なら誰だってそうなんだ。それを一々ビビってられっかよ」
有崎五派:「…………………」
有崎五派:シスルの言葉に、顔を綻ばせる。
有崎五派:「そうね。なんにも──なーんにも特別な事じゃない」
有崎五派:「"友達"がずっと部屋から出て来なかったら心配だもんね。ふふ……そう、当たり前!」
七十橋シスル:「友達……ね。知り合いだが」
有崎五派:「ずっと一緒にキングダムを守ってきたんでしょう?友達でもいーんじゃない?ま、私が言う事じゃないけどさ!」
有崎五派:ぐぐ、と伸びをして笑う。
七十橋シスル:「フン。ま、少しは話が分かるじゃねえか」
七十橋シスル:「おら、さっさと戻るぞ」
七十橋シスル:つかつかと、階段を下りながら考える。
七十橋シスル:――鉄騎王に言った言葉は、紛れもなく本心だ。
七十橋シスル:彼女が、実は助けるべき存在だというなら、それでいい。鉄騎王。円卓。星室庁。助けようとする勢力は、今は十分にいるだろう。
七十橋シスル:その上で、もしも。もしも逆に、その救いの手すら届かないような位置にいるなら。
七十橋シスル:もしもこの先、彼女がその手の凶器を、明確に誰かを向けるというのなら。
七十橋シスル:「最初の一人には、俺がなるさ」
七十橋シスル:鞄の中に忍ばせた、他愛もない童話の写本の重さを確かめながら、小さく呟いた。
◆[PAST]Climax◆"ロードマスター"
GM:クライマックスシーンです。全員登場となります。
七十橋シスル:96+1d10
DoubleCross : (96+1D10) → 96+3[3] → 99
ヒナテア・オルブライト:ヒナテア・オルブライトの侵蝕率を1D10(→ 7)増加(83 → 90)
竜胆ジョウカ:91+1d10
DoubleCross : (91+1D10) → 91+10[10] → 101
五辻モモカ:五辻モモカの侵蝕率を1D10(→ 2)増加(94 → 96)
オリーヴ・ウェールズ:オリーヴ・ウェールズ の侵蝕率を1D10(→ 4)増加(83 → 87)
GM:また、HP回復アイテムなど使用したい方は今のうちに使用しておいてください。
七十橋シスル:あっはい
竜胆ジョウカ:高性能キット使っとこうかな 9から増えるならまだ何かあるかもしれない
ヒナテア・オルブライト:NPCカード:グレゴリオ【愛の誓い】
ヒナテア・オルブライト:宣言し忘れてたけど愛が欲しいです
GM:そうですね。NPCカードグレゴリオはミドル戦闘終了のタイミングで使用したものとします
GM:特に温存する意味のないNPCカードですので
GM:これでシナリオ回数エフェクトは気にしないで大丈夫。
竜胆ジョウカ:やった~
GM:ただしインデックス13は使用済みのままです。
五辻モモカ:ありがと~~
オリーヴ・ウェールズ:ありがとう謎の博士の力……
竜胆ジョウカ:9+3d10
DoubleCross : (9+3D10) → 9+16[7,7,2] → 25
竜胆ジョウカ:いるかい
七十橋シスル:いただきます
七十橋シスル:5+3d10
DoubleCross : (5+3D10) → 5+15[6,2,7] → 20
オリーヴ・ウェールズ:こちらの医療キットもどうぞ
七十橋シスル:ありがとうございます
七十橋シスル:手がかかる奴ですみません
七十橋シスル:20+3d10
DoubleCross : (20+3D10) → 20+16[10,1,5] → 36
GM:戦闘前の確認は終わりましたか?
GM:それでは、今回PC側に適用される特殊ルールについてご説明します
GM:ミドル戦闘を経て、今回の5人は全員が所有遺産の再起動に成功しています。
GM:よって、元々遺産継承者であった方は通常通り、遺産を使用することができます。
GM:そしてルール上遺産を持っていなかったジョウカさんも
竜胆ジョウカ:!?
GM:ここからは「イフリートの腕」相当の遺産、「ムカト=ヒャンデル蓋し胴無し」を使用できるようになります。
竜胆ジョウカ:!?!?
GM:同じく遺産を持っていないオリーヴさんですが、オリーヴさんは遺産を継承していません。
GM:ですが今後、戦闘の状況と選択次第で「聖剣の王者」相当の遺産、「星界正義の剣」を使用できる可能性があります。
オリーヴ・ウェールズ:な、なんと……!
竜胆ジョウカ:質問よろしいでしょうか
GM:大丈夫です。
竜胆ジョウカ:
・「イフリートの腕」で所得するエフェクトは、現代と同じ《紅蓮の衣》である必要があるでしょうか
・他のエフェクトが選べる場合、どのタイミングで宣言すればよいでしょうか この2点で
GM:この件については、開始時点で遺産継承者のDロイスを取得していたPCと同じ処理になります。
GM:つまり、お二人が元のデータ+遺産継承者を獲得する分
GM:他の三人のPCは、15点の経験点を使って、自分のシンドロームの中から
GM:好きなタイミングで、好きなエフェクトを習得して構いません。
GM:ジョウカさんの「イフリートの腕」のエフェクト選択タイミングも同様です。
GM:「制限:-」のサラマンダーのエフェクトであればよいということですね。
竜胆ジョウカ:なるほど 承知しました
GM:そして、ジョウカさんに関してはこのセッションに限り、遺産を獲得することでロイス枠を消費しません。
GM:ロイス枠を七つ使える上で、遺産を使用できます。
竜胆ジョウカ:嬉しい~
GM:オリーヴさんに関しても
GM:遺産を後から獲得した場合でも、元々のDロイスが使用不可能になるわけではありません。
GM:ロイス枠も六つ使えます。
オリーヴ・ウェールズ:ありがたいです……!
GM:ただし、習得するエフェクトは最初から決め打ちするよりも、ある程度状況を見て考えたほうがいいかもしれません。
GM:それくらいの難易度の敵に設定しています。また、今回はクライマックス戦闘とはいえ、過去編の戦いとなるので
GM:侵蝕率が100オーバーの状態で戦闘不能になったPCは、即座に十字冠転送されます。
GM:神聖二重冠はありません。
GM:質問などありましたらどうぞ。
GM:なければシーンを進行していきます。
キングダム連合学院

GM:キングダム生徒の連合軍は、ダリオ・ガラヴェンタ率いる理事会の軍勢を打倒。本校舎、ならびに『円卓』を奪還した。
GM:だが、王鍵の強制停止による戦局への影響は無視できないものだった。
GM:大量の理事会兵器による攻撃を受けた本校舎奪還組の損害のみならず、各地の戦闘状況も惨憺たる有様であり、
GM:キングダム理事会の目論見が、初めから戦闘中の予期せぬ王鍵停止による戦線崩壊にあったことは明らかだった。
GM:本校舎での戦いには勝った。いくつかの局地戦でも、生徒達は勝利を収めてはいる。
GM:だが、多くの生徒が、『押し負けつつある』という予感を感じている。
GM:この劣勢から、仮に、生徒側の逆転があり得るとすれば、戦力を集中させるべき目標は一つしかない――
GM:無数に存在する戦略拠点への攻撃や、無尽蔵の竜骸を相手取った籠城戦などではない。
GM:キングダム連合学院を統べる七賢人、"ロードマスター"の直接撃破。
GM:誰からともない呼びかけによって、キングダムの生徒達は、残る余力を集結して"ロードマスター"へと挑もうとしていた。
GM:この八月革命の戦端が開いて、どれだけの時間が経っているだろうか?
GM:"騎士王"。"海賊王"。救伐騎士団。海賊部。キングダム最強の王達と、その軍勢を相手取って、"ロードマスター"は戦い続けているのだという。
GM:この有事にあって、理事会のエージェントからの"ロードマスター"への支援はほとんどなかった。
GM:戦闘に巻き込まれないための判断なのか、あるいは"ロードマスター"の死を、理事会のエージェントすら願っていたのか。
GM:"ロードマスター"一人が倒れれば、キングダム連合学院は変わる。……それだけは、確かなことだ。
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「……オリーヴ」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:プロンプト車の人員輸送車の中である。最後の戦闘の地点へと赴きながら呟く。
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「こっちに来て」
オリーヴ・ウェールズ:「……はい」
オリーヴ・ウェールズ:目元には、再会と同時に泣きはらした赤い痕。今はもう泣き止んで、次の戦いに備えている。
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:細い腕で、大きな体を抱きしめる。
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「ごめんね」
オリーヴ・ウェールズ:「……イリーナ様が、謝る事なんて……何も、ありません」
オリーヴ・ウェールズ:そう言うが、抱かれる腕を拒んだりはしない。
オリーヴ・ウェールズ:ただ、優しく抱き返す。
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:背中を、手のひらでゆっくりと叩く。「バージニアから聞いたよ。そうだね。きみがそういう子なのは分かっていた……」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「……継承をするなんて言って、悪かった」
オリーヴ・ウェールズ:「……イリーナ様が何を思って、そのお言葉を口にしたか」
オリーヴ・ウェールズ:「私には、まだ。そのすべてを理解できるわけではありません」
オリーヴ・ウェールズ:「でも……」
オリーヴ・ウェールズ:「……私は、イリーナ様を疑いません。貴女が美しく、とても優しい人なのを。誰よりも知っていますから」
オリーヴ・ウェールズ:抱き合う腕を離して、座って向かい直り。
オリーヴ・ウェールズ:「そんな貴女が、私に継承する事を望んだのならば、きっと。その時が来た、という事なのでしょう」
オリーヴ・ウェールズ:ただ、笑って。言葉を返す。
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「……違う。それは違う。……オリーヴ」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「あまりにも美しいぼくでも、間違うことはある」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「きみに継承しようとしたのは、オリーヴ……」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:手を離して、壁際に寄りかかるように座る。
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「きみが」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「大通りでの戦いで、理事会のエージェントを殺すことができたからだ」
オリーヴ・ウェールズ:「それは……」
オリーヴ・ウェールズ:言葉を濁す。
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「……分かっている。どれだけ敵が邪悪だったのだとしても」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「きみが、罪悪感を感じていなかったはずがなかったんだ」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「できるのだと信じようとした。だけど……無理をしていたんだね。オリーヴ」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「美しくあろうとしたんだろう」
オリーヴ・ウェールズ:「…………私にとっては」
オリーヴ・ウェールズ:少しばかり、重く口を開いて。小さな声で。
オリーヴ・ウェールズ:「……革命の戦い、その総てが。本意ではありません」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「うん」
オリーヴ・ウェールズ:「血を流すのも、流れるのも嫌いです」
オリーヴ・ウェールズ:「でも……それよりも、もっと」
オリーヴ・ウェールズ:「……悲しんでる人を、見たくなかったんです」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「きみに星界正義の剣は使わせない」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「それは、"鉄騎王"のぼくが決定したことだ。遺産継承者の意思がなければ、遺産は継承できない」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「……人が悲しむのを見たくないなんて理由で人を傷つけることは、あってはならない」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「オリーヴ。こんな話がある。星界正義の剣に縁深い、ある種の寓話だと思ってもらうといい」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:どこか憂うような表情で顔を横に向けて、銀色の前髪を指先でいじる。
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「――藤子・F・不二雄という、偉大なコミックアーティストがいる」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「彼が著した『ドラえもん』という作品は」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「世界的に非常に高い評価を得ている……ニホンのコミック作品だ」
オリーヴ・ウェールズ:「その方面は無知ですけど、とても人気なのですね。ニホンといえば、それらしい学区もありますが……」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「……うん。ドラえもんは未来の超常的な遺産をいくつも取り出し」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「未熟で弱い少年、野比のび太にその遺産を貸し与えて、王に育てようとする」
オリーヴ・ウェールズ:「それは……凄いですね。幾つもの超常的な遺産を操る、まるで円卓の如く……」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「だが、常に遺産は人の手に余るものだ。多くの場合そうした試みはコミカルな失敗に終わり」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「野比のび太が、遺産の力によって成長することは少ない」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「ドラえもんが望むような王にはなってくれないのさ……ふふふ……」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「……『どくさいスイッチ』という遺産がある」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「手のひらに収まるような、小さなスイッチの遺産だ」
オリーヴ・ウェールズ:「どくさい……独裁、ですか。他者に言う事を聞かせるような……」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「この小さなスイッチを押せば、気に入らない人間をこの世界から消してしまうことができる」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「何人でも。即座に。無制限に」
オリーヴ・ウェールズ:「…………」
オリーヴ・ウェールズ:少し、呆気に取られる。そのような遺産が容易に出てくるというのもそうだが、他者を無制限に消すなど、そんな……。
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「野比のび太は暴走する。いじめっ子も、隣人も、大切なはずの家族も」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:憂うような表情のまま呟いている。「自分以外の、この世の全てを消してしまう……」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「野比のび太は、弱く、愚かだけど、心優しい少年だった」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「それでも、誰かを自由に消し去れる権利を与えられてしまうと、そうなってしまう」
オリーヴ・ウェールズ:「……何もかも、終わりではないですか。力を得ただけで、そんな……」
オリーヴ・ウェールズ:「……そんな選択を」
オリーヴ・ウェールズ:彼は取ってしまった。コミックで、フィクションで。でも、何処か誰にでも通ずるようなお話。
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「星界正義の剣はそういう力なんだ」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「正義を望めば、全てを消すことができる。何人でも。即座に。無制限に」
オリーヴ・ウェールズ:「…………イリーナ様は、そんなものを持って、無事、だったの、で…………」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「無事だったさ」微笑む。
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「――なぜ、ぼくが星界正義の剣を今日まで振るってこられたのか?」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「人を殺しても平気でいられるのか?」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「……教えよう。ぼくは誰よりも美しいけれど、心の内は、とても醜かったかもしれない」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「戒功王さ……。…………セベクネフェルⅧが死んだ時のことを覚えているね?」
GM:旧第三席"戒功王"セベクネフェルⅧは、イリーナ・レシュリスカヤ、そしてオリーヴ・ウェールズと母体セルを同じくする生徒だった。
オリーヴ・ウェールズ:ただ、首を縦に振る。彼女のそんな言葉を聞いて、動揺の表情を隠せずに。
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「キングダム連合学院は、多くのFHセルの連合でもある」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「最大派閥は、まあ、あのダリオ・ガラヴェンタの"マキネッタ・キネマ"……遺産の先端研究セルか」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「"パックス・デイ"も、以前まではキングダム理事会で大きな発言力を持っていた。らしい」
GM:"パックス・デイ"。既存の社会秩序に囚われることなき『普遍の正義』の探求を目的とする哲学者のセルであった。
GM:"天国派"の目指す新世界における『正義』を定義づけるため、彼らはこのノヴァリス計画へと参入していた。
GM:その所属チルドレンは、鉄の理性と倫理で自らを律することを教育された。オリーヴ・ウェールズやセベクネフェルⅧのように。
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「……だからセベクネフェルⅧは、殺された」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「"パックス・デイ"で、最も優秀な王だったから。連合司法裁判所を機能させることができた生徒だったから」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「……大人に対しても、過ちを過ちと指摘できる子供だったから」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「そしてキングダム理事会内部の、派閥抗争の、邪魔だったからだ」
オリーヴ・ウェールズ:「……正しかったから、殺されてしまった」
オリーヴ・ウェールズ:……過ちを正す事は、不正を見逃さぬということ。派閥同士の争いで、文字通りのあらゆる手段を取ることを許さないということ。
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「ぼくの先代はそれを知ったせいで、星界正義の剣を握れなくなってしまった」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「理事会の走狗として、紛争解決のために剣を振るうなんて、何も正義じゃない」
オリーヴ・ウェールズ:「そうして……先代の方から継承され。イリーナ様の手に……?」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「うん。ぼくは……"パックス・デイ"がセベクネフェルⅧの代わりに擁立する王候補者に、喜んで立候補したよ」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「――どうして、ぼくが人を殺しても平気でいられるのか?」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「人間には、人殺しを『悪』と認識しないようにする心の機能が備わっている」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「復讐だ」
オリーヴ・ウェールズ:「…………」
オリーヴ・ウェールズ:黙って、話を聞く。どうしてか、目を逸らしたくなる感情を抑えて。
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「いずれ理事会を焼き滅ぼすための力だと信じれば、耐え忍ぶことだって一つも悪くないと思えた」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「だからぼくは、理事会の連中を何人だって斬れる。オリーヴ。きみとは、違うんだ」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:正面からオリーヴの目を見る。
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「きみは相応しくない」
オリーヴ・ウェールズ:「……イリーナ様」
オリーヴ・ウェールズ:その瞳に向かい合う。彼女の優しさに触れながら。
オリーヴ・ウェールズ:……それでも、口を開く。
オリーヴ・ウェールズ:「それでも、貴女は継承しようとひと時考えた」
オリーヴ・ウェールズ:「それは、やはり……そうと考える、イリーナ様であっても」
オリーヴ・ウェールズ:「……辛いはずです。それだけで、復讐の一念だけで」
オリーヴ・ウェールズ:「剣を……力を振り続けるのは、心が耐えられなくなってしまう」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「まだ平気さ。その証拠に、星界正義の剣の代償はぼくを蝕んでいない」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:袖のない肩から伸びる、白くすらりとした腕を見せる。
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「あ、全部脱いだほうがいいかな?」
オリーヴ・ウェールズ:代償。力ある王鍵、遺産には、それだけ使用者に枷をかけるという。
オリーヴ・ウェールズ:「……必要でしたら私が隠しますが、人前ですから」白い腕を見て。少しの安堵と、これが歪んでしまうかもしれないという、恐怖。
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「……ふふ。心配はいらないよ。この戦いで終わらせる」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「だから、ぼくに任せて。もう一度作戦を確認しよう」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:膝立ちの姿勢になって、揺れる車内の床で作戦地図を開く。
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「オリーヴ。きみはぼくの代行として、いま覇鍵解錠を使える四人を支援してほしい」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「五辻モモカ。ヒナテア・オルブライト。七十橋シスル。そして竜胆ジョウカだ」
オリーヴ・ウェールズ:「…………分かりました。此方は四人の攻勢をバックアップします」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「だけど、四人の覇鍵解錠の同時発動でも、恐らく"ロードマスター"を滅ぼすには至らないだろう」
オリーヴ・ウェールズ:揺れる車内で、彼女の身体を支えながら。
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「エリザベスや……まあ、認めるのは癪だが……あのルナンシアでも勝てない相手だ」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「鉄騎王と騎士王って……キャラ被ってないか?そりゃぼくが継承したのはルナンシアが入ったちょっと後だけど……」
オリーヴ・ウェールズ:「あ、あはは……鉄騎の王の名は、外の英雄たる"剛勇の人"から来ているとされてますからね。少し被っていようとも、誇りある名かと」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「……まあ、とにかく、あの二人だってとっくに覇鍵解錠くらいは試しているだろう。それでも倒せていない」
オリーヴ・ウェールズ:「……今まさに二人の王の全力で、それでも倒しきれない」
オリーヴ・ウェールズ:「其処に四人の力を合わせて、それでも尚落とせない……それだけの、強敵」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「――だけど」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「ぼくの覇鍵解錠なら別だ」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「この世から消し去るべきものである限り、何であろうと滅ぼすことができる」
オリーヴ・ウェールズ:「……天の滅びの具現、都市焼きの火」聖書に連なる、裁きの光……それだけの、力。
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「きみ達が、正面から"ロードマスター"の注意を惹いている間に」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:とん、と作戦地点の反対側に指を立てる。
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「ぼくが"ロードマスター"の背後に潜む」
オリーヴ・ウェールズ:指先を目で追う。
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「グレゴリオと定時制の生徒達の最大の隠蔽魔術と認識災害を重ねがけして、その瞬間まで気付かせない」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「一撃で"ロードマスター"を殺す。きみ達全員で、その一撃の時間さえ稼いでくれればいい」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「ぼくは、"ロードマスター"をこの世から消し去ることに」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「一片たりとも、罪悪感を感じていない」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「正義だ」
オリーヴ・ウェールズ:「…………」彼女の正義について、これ以上問うことが出来なかった。
オリーヴ・ウェールズ:それだけの決意を持って、私と向き合っている。
オリーヴ・ウェールズ:ならば……私から、今になって言える事は無い。
オリーヴ・ウェールズ:……ただ、信じる。
オリーヴ・ウェールズ:「……必ず」
オリーヴ・ウェールズ:「成功させましょう。理事会を討ち果たし、必ず皆に安息を届ける」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「……うん。これで終わりにしよう」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「そのために戦ってきたんだから、いつも……」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「……オリーヴ」
オリーヴ・ウェールズ:「……はい」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「膝を借りてもいいかな。いつもの昼寝の時間みたいにさ……」
オリーヴ・ウェールズ:「……いくらでも。といっても、到着までの短い時間ですし、揺れで寝心地も悪いかもしれませんが」
オリーヴ・ウェールズ:隣できちんと座り直し、ぽんぽんと膝を叩く。
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:膝の上に、横向きで頭を乗せる。表情は銀髪に隠れて見えない。
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「オリーヴ」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「ごめんね」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「……」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:口の中で小さく呟いたが、それ以上は語らない。
オリーヴ・ウェールズ:「…………はい」
オリーヴ・ウェールズ:それだけ言って、優しく頭を撫でる。
オリーヴ・ウェールズ:到着までの残された時間を少しでも長く、安息の中で。
GM:五辻モモカ。ヒナテア・オルブライト。オリーヴ・ウェールズ。竜胆ジョウカ。七十橋シスル。
GM:直接『円卓』と対決し、本校舎を奪還した彼女らは、決して同じ部活や行動単位であったわけではない。
GM:ヒナテア・オルブライトは本来第三勢力であり、竜胆ジョウカに至っては生徒側の敵対者とすら見做す者もいる。
GM:偶然の成り行きのような形の共同戦線であった。
GM:だが、今や、他の誰でもなく、彼女らこそが対"ロードマスター"の切り札だった。
GM:――"ロードマスター"を倒せる可能性があるのだとすれば、それは覇鍵解錠しかない。
GM:その場に居合わせていた者達だからこそである。
GM:理事会によりリセットされていた『円卓』の管理アカウント権限を、竜胆ジョウカは、居合わせた生徒達で埋めたのだ。
GM:オリーヴ・ウェールズやバージニア・ダネシュティは王鍵の適合者ではなかったが
GM:"竜王"を撃破し帰還したイリーナ・レシュリスカヤが、残るアカウントを埋めた。彼女の力が戦術に必要だった。
GM:彼女らは今、決戦の地へと向かっている。
五辻モモカ:「…………ふむ。やはり、問題ない」
五辻モモカ:輸送車に揺られながら、首に掛けた蕾の彫刻を撫でて呟く。
五辻モモカ:「君は間違いなく、この戦いで最も功績を上げた者として名を刻まれるだろうな」
五辻モモカ:ジョウカの方を向いて小さく微笑む。
竜胆ジョウカ:「え゛」体力温存のため、身体を休めていたのでびっくりしつつ。
竜胆ジョウカ:「い、いやそんな……あーでもそうか、そうなりますよね……」
五辻モモカ:「うむ。自他関わらず評価は適正に受け取るべきである」
七十橋シスル:「ダリオの野郎が、なんとか言ってたな」
七十橋シスル:「蛇がどうこう。同じセルか?」
竜胆ジョウカ:「……正直、名前くらいしか覚えてないです――"マキネッタ・キネマ"、ですっけ」
五辻モモカ:「我々に確認されてもな……」
竜胆ジョウカ:「そこにいたならそうなんだと思います……」幼稚園の頃のクラス覚えてる奴なんて外にもいないよ、とぶつくさ。
ヒナテア・オルブライト:「ふぅん、どこぞで聞いたようなそうでもないような」
ヒナテア・オルブライト:「あの高官のセルでもある以上、キングダムに近しい母体セルだ。探せば同郷も居るだろう」
ヒナテア・オルブライト:「二者の共通点を鑑みるなら、やはり遺産の研究がメインだろうかな」
七十橋シスル:「……遺産。"ロードマスター"」遠く聞こえてくる、地響きに耳を澄ませる。戦いは終わっていない。
七十橋シスル:全身を遺産で固めた威容を思い出す。海賊部と救伐騎士団が総出であたって、未だ戦いが続いている、怪物。
竜胆ジョウカ:「アレも元気ですねえ」この流れだと色々言われるな、と思いつつ、話を切り替えるように。
ヒナテア・オルブライト:「円卓を守る位置に居なかったということは、円卓を掌握する以上の戦果を上げられるというわけだ」
七十橋シスル:「……ハ」強いて笑い飛ばすようにする。「そうなりゃ、海賊王も騎士王もすっとばして、円卓第一席か?」
五辻モモカ:「ほう?ヒナテアにもそのような野心があったか」
竜胆ジョウカ:「あー……アレ倒したらそういう話にもなるか、確かに」
ヒナテア・オルブライト:「七賢人を討ち取ったとなれば、それはもう至上の戦功だものな」
ヒナテア・オルブライト:「襲名するも良し、ヘロデ王でもなんでも名乗り放題だろう」
七十橋シスル:「ヘロデ……?」
竜胆ジョウカ:(なんでユダヤの王を……?)
竜胆ジョウカ:「……まあ名乗ったとて、しばらくすればクソほど突き上げられるか、忙しくなりそうですけどね」
竜胆ジョウカ:「個人的にはあんま気乗りはしませんが」
ヒナテア・オルブライト:「聖賢殺しさ。己の都にティベリウス皇帝の名を預かり、民意も気にせず好き放題やったという」
竜胆ジョウカ:「ああ、そういう繋がり」ポンと膝を打ちます
ヒナテア・オルブライト:「円卓の七席は平等というが、マスターキラーは格が異なろう」
五辻モモカ:「ふむ……」
ヒナテア・オルブライト:「王冠を頂いたとして、君たちであればキングダムを如何する?」
七十橋シスル:「なんだ、試練の問答か?」膝を立てて座り直す。「私は王になるつもりはねえよ」
七十橋シスル:「何が何でも王にさせてくるのが嫌で、これに参加してる」
五辻モモカ:「王に祀り上げられるのと、自ら玉座を勝ち取るのでは意味も違ってくるのではないか?」
五辻モモカ:「お前達が王に"成った"として、何をするか……私は興味があるが」
七十橋シスル:「そういう、"殴り合いが強ェ奴がこの世界をどうにかできる"、ってのが嫌いなんだ」
七十橋シスル:「強いて言うなら、その価値観だけはドブに捨てさせてぇな」
七十橋シスル:「街ひとつ更地にできる奴が、菓子作りにハマって戻ってこねえみてえな、そういう笑える状況にしてやりてえ」
五辻モモカ:「……ふ」
五辻モモカ:「猶更、お前が王に成るのが楽しみになってきたぞ」
五辻モモカ:「愉快極まりない状況だ」
ヒナテア・オルブライト:「むぅ、姉上は傍観者気分か」
七十橋シスル:「やめろやめろ。そういうテメェらはどうなんだ」
ヒナテア・オルブライト:「既に王たる身では成り上がる野心も……私か?」ニィ、と口角を上げる。
竜胆ジョウカ:「……」あんま話振られないようにちっちゃくなってる。
五辻モモカ:「ふふ!確固たる展望のある顔だな」目を細めてヒナテアに視線を向ける
ヒナテア・オルブライト:「キングダムの在り方、王たる者が衆を導くという体制」
ヒナテア・オルブライト:「これに否を示すという点でシスルには共感を抱いているよ」
五辻モモカ:「ほう……王の否定か」
ヒナテア・オルブライト:「同じく私が一方的に共感を抱く対象に"学級会"が存在する」
七十橋シスル:「"学級会"? ハァ、あんなの本当にあんのかよ?」
ヒナテア・オルブライト:「ある!私も密かに接触を受け、内緒のお仕事を幾つか請け負った」
ヒナテア・オルブライト:「近頃はとんと動きを追えぬがね、民主化を望む者は案外多いぞ」
七十橋シスル:「民主化! それだよ」
七十橋シスル:「聞いたかよ。このキングダムに民主化運動だと……ワケわからねー出力してんなと思ったら」
ヒナテア・オルブライト:「全ての革命は圧政の下で産声を上げるものだよ」
七十橋シスル:「とんでもねー女だな……」
ヒナテア・オルブライト:「理事会に反旗を翻すよりは簡単さ。まあ内外の不安を鑑みれば今すぐ移行とはいくまい」
七十橋シスル:「民主化って、それこそロードマスターに真っ先に潰されそうなもんだがな」
七十橋シスル:「どんな隠れ方してやがったんだか」
七十橋シスル:「なら、お前がロードマスターを倒したら大統領にでもなるってか」
ヒナテア・オルブライト:「そこが問題だ……私なぞ学級会にとっても未来のキングダムにとっても鉄砲玉に過ぎん!」
ヒナテア・オルブライト:「私なら絶対に投票しない!」
五辻モモカ:「あっはっは!随分謙虚だなヒナテア!」
五辻モモカ:「しかしそうだな、真に民主化を望むならば次なる指導者のアタリなどつけられる訳も無し!」
竜胆ジョウカ:まあそうだよな……と思い、小さく頷く。
ヒナテア・オルブライト:「参考にすべき最高生徒会の権威も革命終了までが最盛期だ、勝ってもノヴァリス全土は不安定が続こう」
七十橋シスル:「一人一票の投票なら、騎士か鉄騎か法王かってとこか……」
七十橋シスル:「あるいは、それこそ雨月夜シオンか」
ヒナテア・オルブライト:「王らが率いる集団はそれこそ政治団体にも通じる。選択に集中した権威を分割しつつ、群雄……或いは諸王とでもいうべきか」
ヒナテア・オルブライト:「旗頭たりうる彼女らの共和政に移行するといったところか……権威付けには既存の概念が便利だしな」
ヒナテア・オルブライト:「遺産管理委員会がやった解放裁定、あれは良い。そのまま回収せずに王鍵をばら撒いてくれると嬉しいところだ」
七十橋シスル:「いや乱世にしてんじゃねーよ」
竜胆ジョウカ:「ええ……? あれは流石に回収した方がいいかと……」
竜胆ジョウカ:「ばら撒いたせいで扱いもよく分かってない奴が拾って吹っ飛ばす、とか怖すぎますし……」
五辻モモカ:「キングダムにおいて王鍵が権威の象徴なのは避けようのない事実であるしな……」
ヒナテア・オルブライト:「解放という響きが最高なのだがな。キングダムの団結も弱まるし」
七十橋シスル:「……ロードマスター倒した後の状況次第で、もっかい革命しかねないなテメー」
ヒナテア・オルブライト:「君たちが悪しき王として君臨しないことを祈るよ。祈って無駄ならそのまま引きずり下ろしに行く」
竜胆ジョウカ:「……流石にしないですよ。そこそこ強いですが、時勢に乗っかれなければ吹けば飛びます」
竜胆ジョウカ:「そんな状況で迂闊に暴れれば、逆に遺産を人質に取られることもあり得ます。自身の軽薄で遺物に傷をつけたら一生の恥ですよ」
七十橋シスル:「民に望まれて、ってんならそれこそ"法王"さまの領分だろ?」 からかうように視線を向ける。
七十橋シスル:「そこの、宝を守るドラゴンみてーな生態の奴はともかく」
竜胆ジョウカ:「ドラゴン……!?」
七十橋シスル:「聞いたぞ。お前、収蔵品が防備に回されるのに意義を唱えて、そのまま金剛王ぶっとばしたんだって?」
五辻モモカ:「………」
竜胆ジョウカ:「それはまあ、そうですが……」
ヒナテア・オルブライト:「はは、少なくとも円卓が一つ空くのは確実だな」
竜胆ジョウカ:「ヒエ……」
竜胆ジョウカ:「……あまり権威には興味ないんですけどね。館の運営を指図できる……いやまあそれでもだいぶ上なんですけど」
竜胆ジョウカ:「それくらいあれば、大ノヴァリス博物館を守るには大丈夫ですし」
ヒナテア・オルブライト:「うーん革命家として一歩出遅れたな」この上なく嬉しそう。ますます仲間を見る目つきだ。
五辻モモカ:「このキングダムにおいて何かを動かすのであれば、王に成る覚悟は決めなければならないぞ、ジョウカ」
竜胆ジョウカ:「ゲー……じゃああの、さっき黄道王さまが述べてた諸王?みたいな感じで」
五辻モモカ:「円卓の王が手掛けた分野を分割した権利で治めるのは無理があるだろう」
竜胆ジョウカ:「そうだった……」頭を抱える。
ヒナテア・オルブライト:「権利を勝ち取るならば責務を負う必要がある。民主政は最も険しき道だからな」
竜胆ジョウカ:「ギギギ……まあ、それもそうか……」
竜胆ジョウカ:「ええい必要になればやりますよ。なんとか上層部に食い込んで予算を通しまくるしかないですね」
五辻モモカ:「その意気だ!」
五辻モモカ:「何かを守るのであれば当然、お前も身を張る必要がある……うむ。こちらもまた楽しみであるな」
ヒナテア・オルブライト:「余興は十分、意気揚々とパイを切り分けよう……ジョウカくんのお陰で"卓"を囲めたのだからな」
プロンプト015C:〈生徒の皆様。そろそろ戦場に到着します〉
プロンプト015C:〈『鴉の塔』前。……中央市街区です〉
GM:指揮車からの通信である。プロンプト社が革命に備えて隠していた輸送車の多くは、他学区から密輸した最先端無人車両であった。
GM:前方の光景は異様だった。
GM:街が燃えている。それだけならば、この八月革命の多くの学区のどこでも見られるような光景だ。
GM:だが、進行方向には、あるべき市街がなかった。
GM:どれほどの激戦を繰り広げればこうなるのか。
GM:建造物が崩れ、残骸が蒸発し、その微塵すら爆風で吹き流されてしまったような
GM:巨大な荒野だけが、忽然とある。
キングダム中央市街区跡地

GM:艦隊が、騎士が、今も終わることのない戦闘を続けていた。
GM:"騎士王"と"海賊王"はつい先程、三度目の十字冠転送に追い込まれたという報告があった。
GM:いかに円卓最強の王とはいえ、もはやこの日のうちの戦線復帰も絶望的な回数。
GM:だが、彼女らはその名に相応しい奮戦をしたと言えるかもしれない。
GM:……キングダムの余力を結集した増援が到着するまで、"ロードマスター”を相手に、持ちこたえたのだから。

"ロードマスター":「なるほど。これを狙っていたのですか。騎士王様も、海賊王様も……」
"ロードマスター":陽炎の中に佇む真鍮の塊のような怪物が、到着した車両群を振り返る。
"ロードマスター":「ですが、我が王。どうか、賢明なご判断を」
"ロードマスター":「お戯れとはいえ、これ以上の蛮行に及べば……この私といえど」
"ロードマスター":「……あなた方を理事会からお庇いできなくなるやもしれません」
竜胆ジョウカ:「……うーわ、こういうタイプですか」
竜胆ジョウカ:あんまり恐怖とか、そういうのを意識する機会は少ない。それでも背筋が震える。
竜胆ジョウカ:「そういうの気にしなくていいですよ。我々が勝ったとて、どの道どっかで理事会も滅ぶでしょうこの流れなら」
竜胆ジョウカ:だが、気丈に挑発の言葉を吐く。
竜胆ジョウカ:確定した地位という面では、まだ弱い自分が弱音を吐かなければ、上の王も吐けなくなる。彼らにはその責務がある。
竜胆ジョウカ:「分かったら王命に従ってさっさと自害してくださいよ、このブリキ人形」
竜胆ジョウカ:「それとも介錯が必要なほど落ちぶれましたか?」
"血統王"バージニア・ダネシュティ:「貴様の庇護は不要だ。"ロードマスター"」
"血統王"バージニア・ダネシュティ:「貴様のことなど、永遠に、誰も、求めない」
七十橋シスル:「だ」
七十橋シスル:「アァァァーーーーーれが! これ以上、テメェに従われるかよ!」
七十橋シスル:「お前の誂えた、お仕着せの王冠! 外套! とっくに錆びて腐ってんだ!」
七十橋シスル:「お前の金型に殺された奴らのために、ここで朽ちろ!」
五辻モモカ:静かに、一歩前へ出る。
五辻モモカ:「此処は私達の国だ」
五辻モモカ:「何を支配し、何を討つか、何を愛するかは私達が決める」
五辻モモカ:「此の王国に庇護は不要である──故に」
五辻モモカ:首に下げた彫刻が揺れ、涼やかな音を立てた。
五辻モモカ:「疾く失せよ」
ヒナテア・オルブライト:ふわりと空を泳ぎ、縛られることを厭う者が舞い降りる。
ヒナテア・オルブライト:「あなたの望みは一つたりとも、我らの望むところではない」
ヒナテア・オルブライト:「教育者としても、圧政者としても、支持者としても」
ヒナテア・オルブライト:「先達としても失格だ、首を挿げ替えさせてもらうぞ」
オリーヴ・ウェールズ:「……王では無い私に、貴方から言葉などないかもしれませんが」
オリーヴ・ウェールズ:その背に柔らかな輝きを称え、奥より歩み出す。
オリーヴ・ウェールズ:目の前の存在の恐ろしさも、震える脚も。すべてを覆い尽くして。
オリーヴ・ウェールズ:「───ただ」
オリーヴ・ウェールズ:祈りを捧ぐ。
オリーヴ・ウェールズ:この戦場で流れた血。彼の王達の、配下たちの。全霊を以た奮戦に。
オリーヴ・ウェールズ:「誰も、これ以上悲しませないために」
オリーヴ・ウェールズ:何処かの戦場で流れた血。幾つもの生徒たちの、己を賭した戦いに。
オリーヴ・ウェールズ:「このノヴァリスを支配より解き放ち、安寧を齎すために」
オリーヴ・ウェールズ:そして……すべてを打ち明けた、尊敬すべき私の王の為に。
オリーヴ・ウェールズ:「───今、ここで貴方を討ちます。"ロードマスター"」
"ロードマスター":「……」
"ロードマスター":告げられた宣戦布告に、"ロードマスター"は僅かに沈黙した。
GM:生徒達にとっては、その僅かな沈黙すら必要な時間だ。
GM:イリーナ・レシュリスカヤの覇鍵解錠を命中させるために。
GM:全力で。戦力のみならず言葉の力をも用いて。
GM:"ロードマスター"の注意を惹き続けなければならない。
キングダム一般生徒:「――そうよ!」
GM:背後の一団から、声があがった。


キングダム一般生徒:「もう、押さえつけられて生きたくない!」
キングダム一般生徒:「王様になんてなりたくなかった!最初から!」
聖詠部:「自由なことをしたい!」
グレゴリオ生徒:「友達と一緒にいたい!」
キングダム一般生徒:「普通の子供のように、遊んだり笑ったりしたい!」
キングダム一般生徒:「わ、私達は……私達の王に、なるんだッ!」
"ロードマスター":「お考えを改めるつもりはございませんか?」
"ロードマスター":「王たる者は、全ての決断の責任を背負わねばなりません」
"ロードマスター":「正しき決断は、栄光をもたらし」
"ロードマスター":「愚かな決断は、破滅をもたらす」
"ロードマスター":顔を僅かに上げて、見渡す限りに炎上するキングダムを見る。
"ロードマスター":「ああ……本当に良かった」
"ロードマスター":「あなた方が愚かな決断をしたのが、このノヴァリスで良かった」
"ロードマスター":「我が王。ただ諭し聞かされるだけでは、身につかぬ学びも多いのです」
"ロードマスター":「愚かな決断がどんな破滅をもたらすのかを……未熟なままに権力を振り回すことが、いかに恐ろしいことなのかを」
"ロードマスター":「あなた方は、その身で学んで、育つことができる――」
"ロードマスター":「いずれ君臨する、本当の世界をこのようにしてはなりません」
"ロードマスター":「これからは民を思い、正しき決断をなさいますよう。この老体からもお願い申し上げます」
五辻モモカ:「………王であるからこそ、私はこの叫びを聞くものの責任を負って此処に立っている」
グレゴリオ生徒:「法王様!」
五辻モモカ:「お前達は何度その栄光の道を閉ざしてきた?私達は断じて傷を忘れてなどいない」
グレゴリオ生徒:「法王様!どうか、勝って!」
グレゴリオ生徒:「私達も戦います!私達だって!」
五辻モモカ:「空虚な王座を仰ぐだけの貴様に──"王"のなんたるかを問われる覚えはないぞ、ロードマスター!」
五辻モモカ:静かな語りが、信徒の祈りを受けて叫びへと変わる。
■NPCカード:キングダム連合学院生徒
【キングダムのために!】
ダメージロールの直前に使用する。その攻撃へのカバーリングを行なう。
または、対象にHPダメージが適用される直後に使用する。対象が受ける(予定の)ダメージを-30点する。
1シナリオに33回まで使用できる。
■NPCカード:ヴァージニア・ダネシュティ
【アシドーシス/アルカローシス】
対象が「タイミング:オートアクション」のエフェクトを使用した直後に宣言する。
対象が使用したエフェクトを打ち消す。1シナリオに2回まで使用できる。
七十橋シスル:33回
オリーヴ・ウェールズ:みんな……!
ヒナテア・オルブライト:私たちは……何をされるんだ?
五辻モモカ:絶対に……勝つぞ!
GM:キングダム連合学院の全ての生徒が、全力で戦います。
竜胆ジョウカ:みんな……!
七十橋シスル:全ての戦いを王のために!
プロンプト015C:(他の学区はどうなっているだろうか。……だが、少なくとも)ドローン越しの映像を見つめながら、機械の心で思考する。
プロンプト015C:(キングダムの革命は、この戦いで終わるだろう)
プロンプト015C:(ヒナテア・オルブライト様。機械の私には予測もできませんが)
プロンプト015C:(希望ある結果を望みます。自由を。……未来を)
GM:地平線を彩る炎は、空をも焼いている。
GM:――そのように見える。それは、地平線に太陽が沈んでいく、夕焼けの色だ。
GM:赤く、黒い世界の只中で、"ロードマスター"は自分を取り囲む全てへと対峙する。
"ロードマスター":「ひとつ」
"ロードマスター":「あなた方の誤解を、正しましょう」
"ロードマスター":「このキングダム連合学院は、断じて、最強の戦士を育てるための学区ではございません」
"ロードマスター":「円卓の王が、ノヴァリスで最も強大な遺産継承者であること。それは……」
"ロードマスター":「このノヴァリスの外の世界で御身を守るための、最低限必要な力にすぎないのです」
"ロードマスター":「真に戦うべきは、王ではなく兵なのですから」
"ロードマスター":「あなた方御自身が戦えど、世界が変わることはない」
"ロードマスター":「……その証拠を、今、お見せしましょう」
GM:――誰一人として気にかけていなかった、ささやかな異常がある。
GM:個人名を記憶せず、まして遺産継承者であればその遺産でのみ識別する、竜胆ジョウカは。
GM:その全身に遺産を搭載した"ロードマスター”を、"ロードマスター"と呼ぶ。
GM:その事実は、即ち。
GM:彼の肉体を構成する遺産が、全て、何もかも。
GM:竜胆ジョウカにすら解析のできない、未知なる何かだということに他ならない。
"ロードマスター":「浄めよ。リギアルカレド」
GM:破滅的なエネルギーがある。白い炎のような剣だった。この世のものではない周波数とともに、空気が震えた。
"ロードマスター":「生き還れ。テノー66298到達点」
GM:空が、紫の色彩を帯びた。夕焼けの向こう側から、無数の青い光点が、地上へと狙いを定めている。
"ロードマスター":「壊せ。礎の赤剣」
GM:赤い剣だった。音も光も発することのない、静かな遺産だ。だが、異質な存在感は誰もが感じた。
"ロードマスター":「騙れ。シテラスクX字戒」
GM:暗い桃色の文字が、"ロードマスター"の肉体からぞろぞろと這い出た。地球上の誰も知らない文字だった。
"ロードマスター":「■ね。屋根裏の穴」
GM:ジリリリリリ、という旧式の電話機のベルが鳴り続けている。何かが、どこかから、話しかけようとしている。
"ロードマスター":「汚れて染まれ。秋彁」
GM:子供の笑い声のような目に見えないざわめきが、蔓延をはじめる。それは増殖している。
"ロードマスター":「火を点せ。大ナスナ紀計画躯体」
GM:"ロードマスター"の真鍮の体全体が、目を開いたようだった。そのような圧力があった。
"ロードマスター":「――世界は、広く」
"ロードマスター":「果てしない」

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ο ἱ ἑ π τ ά μ ά γ ο ι
" ロードマスター "
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■Eロイス:遺産融合者
このEロイスを取得した際に、あなたは遺産融合者専用アイテムからひとつ選び、取得する。
このEロイスは「遺産融合者:神祖の剣」というように記述し、アイテムごとに別のEロイスとして扱うこと。
このEロイスで取得したアイテムは常備化されているものとして扱う。
このEロイスによって取得されたアイテムは、あなた以外に使用、または装備できないし、所持していてもその効果を受けることはできない。
あなたの最大HPを+100する。ただし200点のHPダメージを受けるごとに、遺産融合者専用アイテムが一つ破壊される。
遺産融合者を複数取得している場合、破壊されるアイテムはプレイヤーが決定すること。
【遺産融合者専用アイテム:神祖の剣】
種別:白兵
詳細不明。
【遺産融合者専用アイテム:遺星の記憶】
種別:一般
詳細不明。
【遺産融合者専用アイテム:世界喰らいの軸】
種別:白兵
詳細不明。
【遺産融合者専用アイテム:グフィヴの蔵書】
種別:一般
詳細不明。
【遺産融合者専用アイテム:未詳の怪異】
種別:一般
詳細不明。
【遺産融合者専用アイテム:根絶の病】
種別:一般
詳細不明。
【遺産融合者専用アイテム:コープスマキナ】
種別:防具
詳細不明。
"ロードマスター"[29]
10m
ヒナテア[13/90] オリーヴ[10/83]
ジョウカ[12/101] シスル[13/99]
モモカ[12/96]
GM:クライマックス戦闘を開始します。
GM:衝動判定が発生します。難易度は9。
オリーヴ・ウェールズ:4dx+2>=9
DoubleCross : (4DX10+2>=9) → 10[2,7,9,10]+8[8]+2 → 20 → 成功
ヒナテア・オルブライト:5dx+1>=9
DoubleCross : (5DX10+1>=9) → 9[6,6,7,7,9]+1 → 10 → 成功
ヒナテア・オルブライト:ヒナテア・オルブライトの侵蝕率を2D10(→ 10)増加(90 → 100)
七十橋シスル:5dx
DoubleCross : (5DX10) → 8[1,1,2,6,8] → 8
竜胆ジョウカ:6dx
DoubleCross : (6DX10) → 9[2,2,3,5,8,9] → 9
五辻モモカ:思い出の一品適用
五辻モモカ:3dx+2
DoubleCross : (3DX10+2) → 8[2,6,8]+2 → 10
竜胆ジョウカ:101+2d10
DoubleCross : (101+2D10) → 101+11[4,7] → 112
七十橋シスル:99+2d10
DoubleCross : (99+2D10) → 99+13[3,10] → 112
七十橋シスル:暴走しました
五辻モモカ:五辻モモカの侵蝕率を2D10(→ 14)増加(96 → 110)
オリーヴ・ウェールズ:2d10+87
DoubleCross : (2D10+87) → 9[5,4]+87 → 96
GM:この戦闘の特殊処理についてまず説明します。
GM:戦闘開始時、"ロードマスター"の後方10mに、イリーナ・レシュリスカヤが隠密状態で配置されています。
"鉄騎王"[10/120]
10m
"ロードマスター"[29]
10m
ヒナテア[13/100] オリーヴ[10/96]
ジョウカ[12/112] シスル[13/112]
モモカ[12/110]
GM:この隠密状態は、イリーナがメインプロセスを行うまであらゆる手段によって解除されず
GM:《時の棺》などの妨害も受けないものとします。また、イリーナは使用可能なロイスを2つ所持しており、攻撃時にこれを全て使用します。
GM:プレイヤー側が行動を指示することはできません。
GM:セットアップを開始します。
■ラウンド1
"ロードマスター":行動値29の"ロードマスター"のセットアップを最初に処理します。
"ロードマスター":「テノー66298到達点(遺星の記憶)」を使用。
"ロードマスター":自身のエンゲージに、トループを10体召喚します。
"鉄騎王"[10/120]
10m
排撃系[12] 排撃系[12]
排撃系[12] 排撃系[12]
排撃系[12] 排撃系[12]
排撃系[12] 排撃系[12]
排撃系[12] 排撃系[12]
"ロードマスター"[29]
10m
ヒナテア[13/100] オリーヴ[10/96]
ジョウカ[12/112] シスル[13/112]
モモカ[12/110]
【遺産融合者専用アイテム:遺星の記憶】
種別:一般
セットアッププロセスで使用する。専用トループエネミーが10体、あなたのいるエンゲージに登場する。
あなたが行なうメジャーアクションのダイスを+10個する。
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:鉄騎王のセットアップも処理してしまいます。《活性の霧》《サポートデバイス》。
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:ラウンド中の攻撃力を+18し、さらに〈白兵〉のダイスを+12個します。ドッジの判定ダイスは-2個されます。
ヒナテア・オルブライト:【堂々廻れ、タコスメラ宇宙閘】《螺旋の悪魔》《原初の黄:氷の茨》《スタートダッシュ》
ヒナテア・オルブライト:暴走状態により《ロックンロールビート》『謀略の牢獄』効果発動。攻撃の達成値+17、攻撃力・行動値+7。
オリーヴ・ウェールズ:【聖譚曲:天地創造】《螺旋の悪魔》
オリーヴ・ウェールズ:変異暴走、攻撃力15上昇。
オリーヴ・ウェールズ:侵蝕99
ヒナテア・オルブライト:味方PC以外が自分のエンゲージから移動して離れた場合、HPを6D失う。
ヒナテア・オルブライト:そして戦闘移動を行う。10m先のロードマスターエンゲージに突入。
ヒナテア・オルブライト:ヒナテア・オルブライトの侵蝕率を9増加(100 → 109)
五辻モモカ:なし!今後も無し!
七十橋シスル:暴走中のため怨念の呪石なし。
七十橋シスル:「ミラーパレス」が発動しています。自分宛の攻撃ダイス-8。
"鉄騎王"[10/120]
10m
排撃系[12] 排撃系[12]
排撃系[12] 排撃系[12]
排撃系[12] 排撃系[12]
排撃系[12] 排撃系[12]
排撃系[12] 排撃系[12]
"ロードマスター"[29]
ヒナテア[13/109]
10m
オリーヴ[10/99]
ジョウカ[12/115] シスル[13/112]
モモカ[12/110]
GM:行動値29。"ロードマスター"の行動になります。
七十橋シスル:イニシアチブなし?
"ロードマスター":そうですね。まだイニシアチブはないです。
七十橋シスル:なしなら《時間凍結》。HP20消費して行動します
GM:シスルさんの手番になります。
竜胆ジョウカ:あっすみません
竜胆ジョウカ:セットアップ宣言遅れてました……!呪石使って暴走・攻撃力+2d・侵蝕率+3で115! どうぞ
GM:上の表を修正しました。
七十橋シスル:では侵蝕を119にし、私の手番。マイナーで《陽炎の衣》
七十橋シスル:移動はしません。隠密のみ。解放された必中の弓を使い、メジャーで《コンセントレイト:ウロボロス》《影縛りの魔弾》《要の陣形》。
七十橋シスル:対象はロードマスター、排撃系1と2。
七十橋シスル:命中時点でガード値ラウンド間-6。いきます
七十橋シスル:12dx7+14
DoubleCross : (12DX7+14) → 10[1,2,2,5,7,8,8,8,9,9,10,10]+10[1,1,2,2,3,6,6,8]+10[9]+10[7]+10[10]+10[9]+10[8]+2[2]+14 → 86
排撃系:《イベイジョン》で回避は10。2体に命中します。
排撃系:いや、《イベイジョン》意味ないんだった。
排撃系:なぜなら排撃系はガード値0でガードをして
排撃系:LV1の《歪みの領域》でHPダメージを与えてくるからです。
七十橋シスル:そっちかあ~~~
排撃系:2体をターゲットにしたのでHPダメージは10です。
七十橋シスル:ヒット数は1回で?
排撃系:1回換算とします。もちろんHPダメージに対してカバーリングは不可能です。
排撃系:つまり対象に含む数が多ければ多いほど一度に受けるダメージが多くなります。
七十橋シスル:全てを把握しました……
GM:もう一つ、処理するものがあります。
"ロードマスター":ガード時に使用を宣言します。「秋彁(根絶の病)」。
【遺産融合者専用アイテム:根絶の病】
種別:一般
あなたがガードを行なう際に宣言する。あなたを攻撃してきたキャラクターに35点のHPダメージを与える。
さらに、そのキャラクターの侵蝕率はただちに5点上昇する。
GM:受ける反撃ダメージは合計で45点になります。
七十橋シスル:当然のように……隠密対策が……されている!
七十橋シスル:時間凍結によって残りHPは5。キングダム連合学院生徒を二枚使用。
七十橋シスル:ダメージを抑えます。侵蝕上昇の効果は受けます?
GM:キングダム連合学院生徒:残り31
GM:ダメージ同様、適用してください。
七十橋シスル:112→時間凍結119→フルコンボ127→病132
七十橋シスル:ではダメージ
七十橋シスル:9d10+2d10+11
DoubleCross : (9D10+2D10+11) → 46[3,4,10,2,3,7,1,6,10]+12[4,8]+11 → 69
"ロードマスター":神祖の剣のガード値5、コープスマキナの装甲値10で軽減して54点ダメージ。累計ダメージは54点。
排撃系:排撃系はどちらも破壊。HPは32でした。
"鉄騎王"[10/120]
10m
排撃系[12] 排撃系[12]
排撃系[12] 排撃系[12]
排撃系[12] 排撃系[12]
排撃系[12] 排撃系[12]
"ロードマスター"[29/-59]
ヒナテア[13/109]
10m
オリーヴ[10/99]
ジョウカ[12/115] シスル[13/132]
モモカ[12/110]
七十橋シスル:ガード値は下がってそれです?
GM:あ、そうでした!ガード値は下がって0でしたね。
GM:なのでダメージは-59が正しいです。上の表でも修正しましょう。
七十橋シスル:では《巨人の影》。132→135
七十橋シスル:ミラーパレスの効果を上昇。シスル対象ダイス-12です
七十橋シスル:行動は以上です
GM:それではあらためて行動値29。"ロードマスター"の手番。
"ロードマスター":マイナーは何もありません。
"ロードマスター":オリーヴ、ジョウカ、シスル、モモカのエンゲージを狙います。
"ロードマスター":《コンセントレイト:モルフェウス》《カスタマイズ》《ギガンティックモード》《ブルータルウェポン》《炎神の怒り》《フレイムタン》《煉獄魔神》。
"ロードマスター":使用する武器は、「礎の赤剣(世界喰らいの軸)」。
【遺産融合者専用アイテム:世界喰らいの軸】
種別:白兵
技能:〈白兵〉 命中:0 攻撃力:19 ガード値:3 射程:至近
この武器による攻撃が命中した際に使用する。攻撃が命中した対象が所持しているアイテムをすべて破壊する。
このアイテムは破壊されない。
五辻モモカ:何を……何を言ってんだ~ッ!!
七十橋シスル:ちょっと何言ってるのか分かりませんね……
オリーヴ・ウェールズ:そ、そんな……?!
七十橋シスル:ダイス数は+10されて……いくつだ
七十橋シスル:差し引きー2でしかない
"ロードマスター":妨害等なければ攻撃ダイスを振ります。
"ロードマスター":37dx7+10
DoubleCross : (37DX7+10) → 10[1,2,3,3,3,3,3,4,4,5,5,5,5,5,6,6,6,6,6,6,6,6,7,7,8,8,8,8,9,9,9,9,10,10,10,10,10]+10[1,1,2,2,3,3,4,5,5,7,8,9,10,10,10]+10[4,5,6,8,8,10]+6[3,5,6]+10 → 46
五辻モモカ:ダイス数が……ヤバ過ぎ!!ドッジします
七十橋シスル:リア不!
五辻モモカ:5dx+1
DoubleCross : (5DX10+1) → 10[2,3,5,9,10]+9[9]+1 → 20
五辻モモカ:おお、頑張ったじゃん!無意味だけど!!
オリーヴ・ウェールズ:ド、ドッジ……変異しています……
オリーヴ・ウェールズ:4dx-10
DoubleCross : (4DX10-10) → 8[5,6,6,8]-10 → -2
竜胆ジョウカ:-2←かわいい
竜胆ジョウカ:暴走リア不でヤンス
五辻モモカ:生徒達~~~
竜胆ジョウカ:全員分カバーしてもらおう 4枚
ヒナテア・オルブライト:NPCカード:キングダム連合学院生徒の使用回数、4回使って残り(31 → 27)回
五辻モモカ:私達を守って~~!
オリーヴ・ウェールズ:皆さん……
七十橋シスル:完全にもう無惨戦
キングダム一般生徒:ワァ~
"ロードマスター":ではダメージを出します。
"ロードマスター":5d10+55
DoubleCross : (5D10+55) → 26[5,5,5,6,5]+55 → 81
GM:この攻撃によるPCへの被害はありません。では次の手番……の前に。
"ロードマスター":もう一度行動します。「大ナスナ紀計画躯体(コープスマキナ)」の効果です。
【遺産融合者専用アイテム:コープスマキナ】
種別:防具
ドッジ:0 行動:0 装甲値:10
あなたはメインプロセスで、メジャーアクションを2回行なえる。
ヒナテア・オルブライト:ふざけているのか~!
"ロードマスター":先程対象に取っていなかったヒナテアさんに単体攻撃を行います。
"ロードマスター":《コンセントレイト:モルフェウス》《カスタマイズ》《インフェルノ》《ブルータルウェポン》《炎神の怒り》《フレイムタン》《煉獄魔神》。
"ロードマスター":使用する武器は、「リギアルカレド(神祖の剣)」。
【遺産融合者専用アイテム:神祖の剣】
種別:白兵
技能:〈白兵〉 命中:0 攻撃力:60 ガード値:5 射程:至近
この武器による攻撃は、あらゆるエフェクトやアイテムの効果によって達成値を下げられず、失敗にもできない。
また、この武器による攻撃にはカバーリングを行なえない。
ヒナテア・オルブライト:???
GM:HPダメージを受けると行動済みになります。判定ダイスを振ります。
"ロードマスター":37dx7+10
DoubleCross : (37DX7+10) → 10[1,1,1,1,2,2,2,2,2,3,3,3,3,4,4,4,4,4,4,5,5,5,5,5,6,6,7,7,7,8,8,8,9,9,9,10,10]+10[1,3,3,4,5,5,6,6,8,9,9]+10[1,7,10]+10[8,10]+10[5,9]+4[4]+10 → 64
ヒナテア・オルブライト:暴走リア不だ!
"ロードマスター":ダメージを出します。
"ロードマスター":7d10+96
DoubleCross : (7D10+96) → 33[5,4,10,3,1,8,2]+96 → 129
ヒナテア・オルブライト:そういうの、よくないよ!
ヒナテア・オルブライト:30点ダメージ軽減効果を、合計5回分使用します……
ヒナテア・オルブライト:NPCカード:キングダム連合学院生徒の使用回数、5回使って残り(27 → 22)回
GM:まだ残ってるな
GM:では行動値13、ヒナテアさんかシスルさんの手番となります。
ヒナテア・オルブライト:私が動きます
ヒナテア・オルブライト:メジャーで【アポロンの落胤】《サイレンの魔女》《餓えし影》《原初の赤:斥力の鎚》《混色の氾濫》《終焉の残響》
ヒナテア・オルブライト:範囲選択にリアクション不可、装甲無視のRC射撃攻撃。ダメージが通れば4mまで移動。
ヒナテア・オルブライト:対象はロードマスターと残存する全ての排撃系
排撃系:そんなあ ガードできないとぼくらは無力なのに
ヒナテア・オルブライト:抵抗できぬまま朽ちてゆけ!判定します
ヒナテア・オルブライト:6dx+24
DoubleCross : (6DX10+24) → 9[1,2,3,3,6,9]+24 → 33
GM:ダメージをどうぞ!
ヒナテア・オルブライト:4d10+47
DoubleCross : (4D10+47) → 25[9,7,5,4]+47 → 72
ヒナテア・オルブライト:勝算がある!
GM:つえ~
GM:ダメージは累計-131。排撃系は全部破壊されました。
ヒナテア・オルブライト:コンビネーターの効果。ロードマスターはラウンド中攻撃で受けるダメージ+2D
ヒナテア・オルブライト:更に2m上方に移動。氷の茨の効果で6d10のHPロス。
ヒナテア・オルブライト:6d10
DoubleCross : (6D10) → 26[4,3,6,2,6,5] → 26
ヒナテア・オルブライト:ヒナテア・オルブライトの侵蝕率を15増加(109 → 124)
GM:それもあるのか……!バカみたいな火力
GM:累計ダメージは-157。
"鉄騎王"[10/120]
8m
"ロードマスター"[29/-157]
2m
ヒナテア[13/124]
10m
オリーヴ[10/99]
ジョウカ[12/115] シスル[13/132]
モモカ[12/110]
GM:行動値13。シスルの手番です。
七十橋シスル:待機します。次の方どうぞ
GM:行動値12。ジョウカさんとモモカさんの手番。
竜胆ジョウカ:じゃあワシいきますか……!
竜胆ジョウカ:マイナーで《ライトスピード》。メジャーを2回行います
竜胆ジョウカ:ワイも来たで こっち側
"ロードマスター":同じ速さで動いている!
竜胆ジョウカ:メジャー一回目!コンボ【ヴェントラグツァの風】、《サイレンの魔女》《疾風迅雷》
竜胆ジョウカ:対象ロードマスター・装甲無視・ガード不可
竜胆ジョウカ:ガードじゃねえ ドッジです
竜胆ジョウカ:なんもなければ判定行きますよ~
GM:判定どうぞ!
竜胆ジョウカ:11dx オラッ
DoubleCross : (11DX10) → 10[1,1,3,4,6,7,7,7,9,9,10]+8[8] → 18
"ロードマスター":ガードします。シスルのおかげでガード値は0ですが「秋彁(根絶の病)」を使えます。
"ロードマスター":HPダメージは35、侵蝕は5点上昇。
竜胆ジョウカ:NPCカード:キングダム連合学院生徒を1回使用。30軽減、残りHP20で耐えます。
竜胆ジョウカ:ダメージ!
ヒナテア・オルブライト:NPCカード:キングダム連合学院生徒の使用回数、1回使って残り(22 → 21)回
竜胆ジョウカ:2d10+24+2d10+2d10+2d10+1d10 コンビネーター適用済み/装甲無視
DoubleCross : (2D10+24+2D10+2D10+2D10+1D10) → 8[4,4]+24+12[6,6]+16[10,6]+10[1,9]+3[3] → 73
GM:強すぎる~
"ロードマスター":HPダメージは合計204。
GM:ひとつ遺産を破壊できます!さあどうする!
竜胆ジョウカ:根絶の病を破壊したいです!
GM:くそ~~、いい判断するなあ
GM:これは持ってるだけで1ラウンドに付き5回+侵蝕25点がかさむ見込みの遺産なので
GM:ロードマスターの遺産の中で最も攻撃効率が高かったと言ってもいいでしょう
GM:では以降、"ロードマスター”は「秋彁(根絶の病)」を使用しません。2回目のメジャーアクションどうぞ!
竜胆ジョウカ:おっしゃ!やることは前と同じ《サイレンの魔女》《疾風迅雷》
竜胆ジョウカ:ライトスピードでC値増えてたけど、さっきのダイスは10出してたのでダメージに変更ありません(天下無双)
竜胆ジョウカ:11dx11
DoubleCross : (11DX11) → 10[1,3,5,6,6,6,7,8,8,8,10] → 10
竜胆ジョウカ:ダメージ!
"ロードマスター":私も遺産を破壊されたくらいで自分は曲げないぜ!
"ロードマスター":ガード値0でガード!
竜胆ジョウカ:2d10+24+2d10+2d10+2d10+1d10 なんか間違って200点出ろ!装甲無視!
DoubleCross : (2D10+24+2D10+2D10+2D10+1D10) → 14[10,4]+24+13[4,9]+9[4,5]+10[6,4]+4[4] → 74
竜胆ジョウカ:まあいいでしょう
"ロードマスター":安定してるな~
GM:ダメージは累計で-278。
竜胆ジョウカ:侵蝕率はえーと、病一回分の上昇を含みで
竜胆ジョウカ:115+5+5+8+8で141。ボーナスタイムだ
竜胆ジョウカ:以上!
"鉄騎王"[10/120]
8m
"ロードマスター"[29/-278]
2m
ヒナテア[13/124]
10m
オリーヴ[10/99]
ジョウカ[12/141] シスル[13/132]
モモカ[12/110]
GM:行動値12。モモカさんの手番です。
五辻モモカ:では真っ直ぐ行って切ろう。
五辻モモカ:マイナー
五辻モモカ:《インフィニティウェポン+スーパーランナー》攻撃力+19の白兵武器を作成し、戦闘移動を行う。侵蝕4
五辻モモカ:ロードマスターへエンゲージ
"鉄騎王"[10/120]
8m
"ロードマスター"[29/-278]
モモカ[12/114]
2m
ヒナテア[13/124]
10m
オリーヴ[10/99]
ジョウカ[12/141] シスル[13/132]
五辻モモカ:その後、メジャーアクション
五辻モモカ:《咎人の剣+ストライクモード+クリスタライズ+コンセ》攻撃力+6d+72、装甲無視の白兵攻撃を行う。その後武器を破壊。侵蝕16
五辻モモカ:五辻モモカの侵蝕率を4増加(110 → 114)
五辻モモカ:判定前にこっちも
五辻モモカ:五辻モモカの侵蝕率を6増加(114 → 120)
五辻モモカ:《砂の加護+砂塵霊》判定ダイス+7個、攻撃力+24
五辻モモカ:妨害等なければ判定へ参ります
GM:もちろん妨害はありません。判定をどうぞ。
五辻モモカ:12dx+8@7
DoubleCross : (12DX7+8) → 10[2,2,3,6,6,8,8,9,9,9,10,10]+10[1,1,8,8,9,9,10]+4[1,2,2,4,4]+8 → 32
"ロードマスター":ガード。装甲10だけで耐える形になるかな
五辻モモカ:12d10+96
DoubleCross : (12D10+96) → 68[9,3,7,9,1,8,2,4,5,2,9,9]+96 → 164
五辻モモカ:装甲無視です!
GM:装甲も無視か!クリスタライズも当然のように入っていた
GM:累計ダメージは一気に上がって442!もう一個遺産を破壊できます!
五辻モモカ:お待たせしました!賢者集会の決議で、破壊するのは【神祖の剣】となりました
GM:賢者の判断だ……
GM:では「リギアルカレド(神祖の剣)」が破壊されます。以後使用されません。
GM:続いて行動値10。オリーヴさんの手番、の前に
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:イリーナ・レシュリスカヤが行動します。
オリーヴ・ウェールズ:ここでもう!
■"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ
【肉体】2
【感覚】2
【精神】1
【社会】4
HP:25
行動値:10(戦闘適性体)
王鍵名:星界正義の剣(聖剣の王者)
復活回数:0回(十字冠転送)
〈白兵〉11
〈回避〉1
〈RC〉1
〈調達〉1
〈情報:ノヴァリス〉1
《コンセントレイト:モルフェウス》LV3
《カスタマイズ》LV3
《サポートデバイス》LV5
《剣精の手》LV3
《妄想の映し身》LV1
《アドレナリン》LV3
《ポイズンフォッグ》LV3
《アウトブレイク》LV1
《奇跡の雫》LV1
《活性の霧》LV5
《アウトレイジ》LV1
《折り畳み》LV1
《ウォーキングクローゼット》LV1
《声無き声》LV1
《竹馬の友》LV1
《麗しの容貌》LV1
【セットアップ】
《活性の霧》《サポートデバイス》
そのラウンドの間、攻撃の攻撃力に+18し、〈白兵〉判定のダイスを+12個する。
ドッジの判定のダイスに-2個する。シナリオ3回。
【メジャーアクション】
《コンセントレイト:モルフェウス》《カスタマイズ》《アドレナリン》《ポイズンフォッグ》
対象:範囲(選択)の白兵攻撃を行なう。シナリオ3回。
26dx7+11(《サポートデバイス》使用時)
攻撃力33
《コンセントレイト:モルフェウス》《カスタマイズ》《アドレナリン》《ポイズンフォッグ》《アウトブレイク》
射程:視界、対象:シーン(選択)の白兵攻撃を行なう。シナリオ1回。
26dx2+11(《サポートデバイス》、《アウトレイジ》、聖剣の王者、ロイス2個使用時)
攻撃力33
【オート】
《剣精の手》
《カスタマイズ》を組み合わせた武器攻撃の判定のダイスを振った直後に使用する。
判定のダイス目のひとつを10に変更する。このエフェクトは判定を行なっている最中にも使用できる。
1回の判定につき1回まで使用できる。シナリオ4回。
《妄想の映し身》
対象が判定のダイスを振った直後に使用する。
対象の判定のダイス目のひとつを1か10に変更する。
ただし、このエフェクトは自身に対する攻撃か、自身の攻撃の判定にしか使用できない。
このエフェクトは判定を行なっている最中にも使用できる。
1回の判定につき1回まで使用できる。シナリオ2回。
《奇跡の雫》
対象が戦闘不能になった時に使用する。対象は戦闘不能を回復し、HPを[LV×5]まで回復する。
このエフェクトは自身を対象にできない。シナリオ1回。
《アウトレイジ》
対象が攻撃の判定を行なう直前に使用する。その判定のクリティカル値を-1(下限値5)する。
ただし、対象は即座にバッドステータスの暴走を受ける。
対象はその効果を拒否できる。このエフェクトは1シナリオに1回まで使用できる。
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:マイナーで星界正義の剣(聖剣の王者)を起動。
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:使用エフェクトは《コンセントレイト:モルフェウス》《カスタマイズ》《アドレナリン》《ポイズンフォッグ》《アウトブレイク》!シーン全体攻撃です!
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「星界正義の剣(聖剣の王者)」、《アウトレイジ》、攻撃用ロイス2個を消費して
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:C値2の攻撃を行います。
GM:この判定までは特殊処理の隠密状態で行われるため、"ロードマスター"は妨害を行えません。
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:26dx2+11
DoubleCross : (26DX2+11) → 10[1,1,1,1,2,3,3,4,5,5,5,5,5,6,6,7,8,8,9,9,9,9,10,10,10,10]+10[1,1,2,3,4,4,4,4,5,5,6,6,6,6,6,7,7,7,8,8,9,10]+10[1,1,1,2,2,2,3,4,4,4,4,7,7,8,8,8,8,9,10,10]+10[1,1,3,3,4,5,5,5,6,6,7,7,7,8,9,10,10]+10[1,2,3,3,4,6,6,6,8,8,9,9,10,10,10]+10[1,1,2,2,3,3,4,4,6,7,7,7,8,10]+10[1,1,2,2,3,4,5,6,8,9,9,10]+10[1,2,3,3,5,8,8,8,9,10]+10[1,1,1,2,4,7,7,7,8]+10[5,7,7,7,8,10]+10[2,7,8,9,10,10]+10[1,3,3,6,6,10]+10[3,3,3,7,7]+10[5,7,8,8,10]+10[1,2,5,6,10]+10[2,3,8,9]+10[2,9,10,10]+10[1,4,5,6]+10[1,2,4]+10[1,8]+10[2]+10[2]+10[10]+10[10]+10[7]+10[5]+10[2]+10[10]+1[1]+11 → 292
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:《剣聖の手》。
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:1dx2+291
DoubleCross : (1DX2+291) → 10[4]+10[7]+10[7]+10[10]+10[10]+10[6]+10[4]+1[1]+291 → 362
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:《妄想の映し身》。自分の判定のダイスを10に。
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:1dx2+361
DoubleCross : (1DX2+361) → 10[10]+10[5]+10[4]+10[6]+10[3]+10[8]+10[7]+10[8]+1[1]+361 → 442
"ロードマスター":先程までと同じくガードします。
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:55d10+33
DoubleCross : (55D10+33) → 309[3,8,8,10,8,8,5,5,10,7,6,9,1,5,4,7,8,10,4,9,4,3,4,4,3,7,7,1,1,3,1,4,6,10,9,3,9,1,3,10,9,1,10,5,4,7,1,9,5,3,6,9,6,2,4]+33 → 342
"ロードマスター":ダメージの適用直前に、「シテラスクX字戒(グフィヴの蔵書)」を使用します。
【遺産融合者専用アイテム:グフィヴの蔵書】
種別:一般
対象があなたに対し攻撃を行なってきた際に、HPダメージが適用される直前に使用する。
そのダメージをあなたではなく、対象に適用させる。1シナリオに3回まで使用できる。
GM:イリーナ・レシュリスカヤは342点のHPダメージを受けました。
GM:十字冠転送します。
"ロードマスター"[29/-442]
2m
ヒナテア[13/124]
モモカ[12/136]
10m
オリーヴ[10/99]
ジョウカ[12/141] シスル[13/132]
GM:イニシアチブ。オリーヴさんの行動値10、の前に
"ロードマスター":「屋根裏の穴(未詳の怪異)」を使用します。
【遺産融合者専用アイテム:未詳の怪異】
種別:一般
イニシアチブプロセスで使用する。専用エネミーが1体、暴走状態であなたのいるエンゲージに登場する。
さらに、このアイテムの効果で登場したエネミーがメジャーアクションで攻撃の対象を選択するたび、
その対象のうち一人に、バッドステータスの重圧と硬直と邪毒と暴走を与える。邪毒のランクは8となる。
1ラウンドに1回まで使用できる。
"ロードマスター"[29/-442]
怪異[5]
モモカ[12/120]
2m
ヒナテア[13/124]
10m
オリーヴ[10/99]
ジョウカ[12/141] シスル[13/132]
モモカ[12/136]
GM:イリーナ・レシュリスカヤは十字冠転送されたため
GM:現在、"ロードマスター"と同じエンゲージに「星界正義の剣(聖剣の王者)」が落ちているものとします。
GM:遺産継承者専用アイテムは遺産継承者以外に扱えませんが
GM:オリーヴ・ウェールズのみ、例外的にこれを扱えるものとします。
GM:星界正義の剣と同じエンゲージで、マイナーアクションの直前に「継承する」ことで、即座に、装備状態で取得することが可能です。
オリーヴ・ウェールズ:了解しました
オリーヴ・ウェールズ:では待機します。
GM:ムムッ
GM:では二人が待機しているので怪異の行動手番になります。よろしいですねッ
怪異:マイナーで《骨の剣》《死招きの爪》。
怪異:メジャーアクションで《コンセントレイト:エグザイル》《伸縮腕》《妖の招き》《異形の祭典》。
怪異:対象は最大8体。つまりPC全員を対象に取ります。
竜胆ジョウカ:FU~
"ロードマスター":「屋根裏の穴(未詳の怪異)」。
"ロードマスター":choice[ヒナテア,オリーヴ,ジョウカ,シスル,モモカ]
DoubleCross : (choice[ヒナテア,オリーヴ,ジョウカ,シスル,モモカ]) → ヒナテア
"ロードマスター":ヒナテアさんに重圧と硬直と邪毒8と暴走を与えます。
ヒナテア・オルブライト:めちゃくちゃ縛られます
七十橋シスル:《フラッシュゲイズ》。
怪異:《フラッシュゲイズ》は……!
怪異:ダイスはいくつマイナスされますか!
七十橋シスル:ダイス-8です シスルを狙うなら合わせて20。
怪異:だめだ!こいつはダイスを17個しか振れないから……!
怪異:攻撃判定は失敗します。
GM:待機組の手番!
七十橋シスル:よし!
七十橋シスル:侵蝕135→138
七十橋シスル:あ、手番はオリーヴさんが先です
オリーヴ・ウェールズ:まずマカミさんへのロイスを昇華し、使用!暴走状態を解除します。勇猛果敢な彼女のように……
オリーヴ・ウェールズ:暴走解除により聖霊光輪イムヌスが起動、攻撃力が+2d追加!
オリーヴ・ウェールズ:マイナーで戦闘移動、ロードマスターのエンゲージへ。
"ロードマスター"[29/-442]
怪異[5]
モモカ[12/136]
オリーヴ[10/99]
2m
ヒナテア[13/124]
10m
ジョウカ[12/141] シスル[13/138]
オリーヴ・ウェールズ:【天地創造:一日目】《赤・カスタマイズ》《コンセ・ウロ》《混色の氾濫》《ペネトレイト》
オリーヴ・ウェールズ:対象はロードマスターと未詳の怪異
オリーヴ・ウェールズ:判定前に【聖霊の加護】《砂の加護》《砂塵霊》、侵蝕6増加
オリーヴ・ウェールズ:侵蝕105に、ダイス5、攻撃力16増加
オリーヴ・ウェールズ:判定します
"ロードマスター":妨害はありません。
オリーヴ・ウェールズ:20dx7+7
DoubleCross : (20DX7+7) → 10[1,2,2,2,2,2,3,4,5,6,6,6,7,7,7,7,8,8,9,10]+10[3,4,4,4,7,7,7,10]+10[2,3,8,10]+10[6,7]+10[8]+2[2]+7 → 59
"ロードマスター":ガード。
怪異:暴走中です。
オリーヴ・ウェールズ:ダメージ!
オリーヴ・ウェールズ:6d10+2d10+2d10+1d10+9+18+16+2d10
DoubleCross : (6D10+2D10+2D10+1D10+9+18+16+2D10) → 34[7,4,8,7,4,4]+9[6,3]+11[8,3]+2[2]+9+18+16+20[10,10] → 119
オリーヴ・ウェールズ:装甲無視です
"ロードマスター":119は迷うけれど、受けましょう。
"ロードマスター":まだ破壊には至らないので。累計ダメージは-561。
オリーヴ・ウェールズ:くっ……余裕ですね……
オリーヴ・ウェールズ:侵蝕が上昇します、合わせて115!
GM:最後の手番はシスルさんです。
七十橋シスル:ではマイナーで暴走を解除。
七十橋シスル:メジャーで《コンセントレイト:ウロボロス》《影縛りの魔弾》《要の陣形》。怪異とロードマスターに攻撃します。
竜胆ジョウカ:そこに《援護の風》を投げるぜ ダイスを8個増やしな
竜胆ジョウカ:侵蝕率は143~
七十橋シスル:ピュア風やば
竜胆ジョウカ:自分でも恐ろしい
七十橋シスル:21dx7+14
DoubleCross : (21DX7+14) → 10[1,2,3,3,4,4,7,7,7,7,7,7,7,7,8,9,9,9,9,10,10]+10[1,5,5,6,6,7,8,9,9,9,9,10,10,10,10]+10[2,2,3,3,3,8,8,8,9,10]+10[1,5,6,10,10]+10[4,10]+2[2]+14 → 66
"ロードマスター":ガード。
怪異:暴走。
七十橋シスル:7d10+11
DoubleCross : (7D10+11) → 36[6,3,10,2,5,6,4]+11 → 47
七十橋シスル:侵蝕138→146
"ロードマスター":あっ、嫌なダメージ出してくるな……!!
"ロードマスター":ギリギリ-600に行くのに
"ロードマスター":返してもあまり旨味がない……!
七十橋シスル:あれ、行く?
"ロードマスター":今、-561です
七十橋シスル:自分で言いたくないんだけど、装甲有効です
"ロードマスター":そうでした
"ロードマスター":装甲無視ばかり見てきたから……すみません
七十橋シスル:みんな……みんな装甲してばっかり……!!!
"ロードマスター":ギリギリ届きませんでした
七十橋シスル:無視される装甲君のこと考えたことある!?
七十橋シスル:では《ハンティングアイ》を起動。
ヒナテア・オルブライト:アスハルさんらしくて良いと思う
七十橋シスル:怪異とロードマスターに、"憎悪:七十橋シスル"を付与
"ロードマスター":殺してやるぞ……斎藤リッコ
ヒナテア・オルブライト:誰!?
オリーヴ・ウェールズ:かわいそう
七十橋シスル:キングダム殿の33枚の中にいたかも
怪異:怪異も実はさっきから全部のダメージが素通しになっているのですが
怪異:ピンピンしています。あり得ないくらい頑丈
七十橋シスル:おのれ~
オリーヴ・ウェールズ:そ、そんな……!
GM:ラウンド終了。第2ラウンドに突入します。
GM:その前に、ヒナテアさんは
GM:邪毒を解除しない場合、24点のHPダメージを受けます。
ヒナテア・オルブライト:くお~死ぬ死ぬ!ここでマカミくんのロイスをタイタス昇華
ヒナテア・オルブライト:不利な効果すなわち全てのBSを打ち消す。
ヒナテア・オルブライト:君のように最後まで戦うぞ!
GM:マカミも頑張ってくれているぜ
GM:世界そのものが燃えているような夕焼けがある。
GM:だが、一人の人が見渡せる世界の広さは、本当の世界ではない。
GM:箱庭の外。現実の果て。残酷な世界の全てを踏破してきた者がいたとしたら――
"ロードマスター":「――資源探査船、テノー66298」
"ロードマスター":「人類居住銀河の外を探る試行として送り出された14例目の探査船は」
"ロードマスター":「従来の物理学では説明不可能な、奇妙な惑星へと到達しました」
"ロードマスター":「その星は12000℃の表面温度を保つゲル状の物質が表面を流動し……」
"ロードマスター":「……そして。人類が初めて到達した地点であるのにも関わらず」
排撃系:――空から、何かが来る。
排撃系:空が来る、という表現の方が正しいかもしれない。




排撃系:おびただしい数の、球形の青い光が。未知の飛行機械が。
排撃系:雨のような照準レーザーを、地上へと照らしている。
"ロードマスター":「そこには既に、誰かの手によって作られた防衛機構が存在していました」
GM:"ロードマスター"の語るような歴史は、誰ひとりとして知らない。
GM:人類は銀河系の外に到達してなどいないし、地球外の惑星に立脚した伝説なども存在しない。
GM:それは不可解な、未知の。
GM:異次元の歴史の遺産。
ヒナテア・オルブライト:「は、はは!ははははは!」
ヒナテア・オルブライト:「理外の力、大いに結構!我らの視野が、世界が小さいと見せつけてくれるなら」
ヒナテア・オルブライト:「お前を倒したその時に、我々はノヴァリスの外とも戦っていけるという印になろう!」
ヒナテア・オルブライト:輝く腕環が音も無く空を舞う。こちらも地上にありえざる理外の挙動。
ヒナテア・オルブライト:「『堂々廻れ、タコスメラ宇宙閘』」
ヒナテア・オルブライト:迎え撃つように孔が空き、青孕む機械群と暗黒宇宙が相対する。
"ロードマスター":「……素晴らしい適合率です。黄道王様」
"ロードマスター":「あなたのような優れた才能を持つお方が、くだらない派閥抗争のしがらみで……不遇をかこつ現状は、実に嘆かわしい」
"ロードマスター":「この暴動を機にセル派閥の整理が成されたなら、ようやく、あなたを円卓の王へと推挙することもできましょう」
ヒナテア・オルブライト:「構わん、不遇の日々が私をここまで押し上げた」
ヒナテア・オルブライト:「そしてこれからも私は飛び続ける。あなたを踏みつけて!」
オリーヴ・ウェールズ:「っ…………」
オリーヴ・ウェールズ:それを見た。間違いなく規格外。世界の理から外れている。
オリーヴ・ウェールズ:ヒナテア・オルブライトの持つ遺産の未知とはそもそもの階層が違う。
オリーヴ・ウェールズ:侵蝕されていく、飲み込まれていく。世界観が。それを、幾つも。
オリーヴ・ウェールズ:「……ならば、場を整えねばなりません」
オリーヴ・ウェールズ:そして、来るべき時の為に、ロードマスターの注意を惹く。私一人ではなく───
オリーヴ・ウェールズ:「───聖詠部!大儀式を開始します!」
オリーヴ・ウェールズ:残り、立ち上がる部員達に発破をかける。その総員を以て、歌い上げる。
オリーヴ・ウェールズ:『Im Anfange schuf Gott Himmel und Erde,』
オリーヴ・ウェールズ:『und die Erde war ohne Form und leer,und Finsternis war auf der Fläche der Tiefe.』
オリーヴ・ウェールズ:───大合唱。はじまりと共に世界が一瞬、くらく閉じる。
オリーヴ・ウェールズ:『Und der Geist Gottes schwebte auf der Fläche der Wasser,und Gott sprach: 』
聖詠部:空の脅威に晒されながらも、すべての部員が、迷うことなく
聖詠部:その意志を統一して、詠唱する。
オリーヴ・ウェールズ:『───Es werde Licht!』
オリーヴ・ウェールズ:……此処に影がある限り、主の光こそ実在する。逆説的な福音の証明。
オリーヴ・ウェールズ:……創造の力を掛け合わせる事による、疑似的な奇跡の体現。
オリーヴ・ウェールズ:合わせて即ち───神の齎した始まりの奇跡、『天地創造』。
オリーヴ・ウェールズ:偉大なる御力の一端を、聖詠部の祈りを、歌声を以て借り受ける大儀式。
オリーヴ・ウェールズ:無論、巻き起こるのは決して"ほんもの"ではない。だが───
オリーヴ・ウェールズ:祈りによって編まれた、物語のほんの一端であろうと。
オリーヴ・ウェールズ:───輝きが、暗黒の世界を照らす。"外"に、拮抗するように。
オリーヴ・ウェールズ:誰もが知る、一つの敷物。それは我々の世界より生まれしものを、概念的に補強する───!
竜胆ジョウカ:「……凄いですね……少々乗っかります」
竜胆ジョウカ:取り出したのはナイフ。そこに手袋を付けた手を当て、
竜胆ジョウカ:「――――」
竜胆ジョウカ:僅かな声で詠唱しつつ、滑らせる。そこには、僅かな火が灯る。
竜胆ジョウカ:「……ちゃんと研究しないと、ではありますが。これでも事足りるようにできますからね――"此を炎の聖剣へと照応する"」
竜胆ジョウカ:聖詠部によって、十字教的な基盤がもたらされた。
竜胆ジョウカ:ロードマスターはそれを冒涜するかのような、得体のしれない兵器を呼び寄せた。
竜胆ジョウカ:頭上には今も、十字冠がある。
竜胆ジョウカ:「"以て我が力を神の炎へ照応"。――ま、こんなもんですかね」
竜胆ジョウカ:懺悔を司る天使の力をわずかに借り受け。聖詠部へと並び立つ。
排撃系:飛行機械群が降下する。全てを焼却する準備を、既に整えている。
"ロードマスター":"ロードマスター"はその中心で、動かずにいる。
"ロードマスター":炎の只中で、まだ、戦意すらない。キングダムの生徒なら、彼が何を思っているのかは分かる。
"ロードマスター":この試練を乗り越えられないものには、手を下す価値もない。
七十橋シスル:――誰が最初に動くのか。
七十橋シスル:――誰かがそう思った、その時には、神と太陽の威光に隠れるように、狙いを定めている。
七十橋シスル:「明け方 茨が泣いている」
七十橋シスル:「炎が来たと 哭いている」
七十橋シスル:右の手首の横に、腕時計のように回転するものがある。
七十橋シスル:小さなかたつむりのような、糸車。円卓を介して、半ば無理矢理、経路を作られた遺産。躊躇いはあったが、既にダリオとの戦いで虎の子の媒介の大半を使い切ってしまった。
七十橋シスル:まだ理解は浅い。だが呪詛の形代として使うだけでも、十二分の力がある。
七十橋シスル:「"ウィリー・ウィンキー 聞こえるか" "鰻の様にお前の耳からのたくって"」
七十橋シスル:「"猫の膝を引っ張って、喉鳴りを乱してる"」
七十橋シスル:……呪術には、二種類ある。
七十橋シスル:一つはシスルが扱うような、実在する異能としての呪術。強力ではあるが、既存の力で代替可能だ。
七十橋シスル:だが、レネゲイドやオーヴァードがなくとも、人は人を呪うことはできる。
七十橋シスル:言葉。教育。特徴的な外見や、不可解で不気味な言動。それを介した、精神的な負担。威圧、思い込み、誘導、恐怖、忌避感。
七十橋シスル:それこそが、超常を介さず、ヒトの心理的瑕疵をつき縛る真の呪術であり。
七十橋シスル:――そうしてロードマスターは、キングダムの全てを支配している。
七十橋シスル: ぎゅ る!
七十橋シスル:右手を中心に、黒い茨が旋風じみて巻き起こり、シスルの周囲を巡る。
七十橋シスル:同時に、鏡合わせのように、ロードマスターと、上空の奇怪な構造物の周りに、虚空から茨が発生する。
七十橋シスル:「ロードマスター。テメェという呪いを、ここで解く」
七十橋シスル:「"ウィリー・ウィンキー 聞こえるか ターリアがやって来る音が!"」
七十橋シスル:濁流のように、その数を増した茨が一瞬にして、微塵に刺し貫く!
排撃系:多量の茨が、まずは降下してきた排撃系を阻んだ。
排撃系:空にあり得ない樹海に食い止められ、さらに、微細な枝に機構を破壊された。
"ロードマスター":"ロードマスター"はほとんど無抵抗に、その茨を受けた。
"ロードマスター":機械の肉体であろうと、その遺産の効果は同じことだ。食い込み、苛み、破壊し、呪う。
"ロードマスター":「……七十橋シスル様。ああ」
"ロードマスター":真鍮の腕で、心臓部へと無慈悲に食い進んでいく茨を掴む。
"ロードマスター":「やはり、私の見込んだ通りの才能でした。……ですが」
"ロードマスター":「なぜその王鍵を?あなたの呪いの才はこの程度ではない。もっと強力で、相性のよい王鍵はいくらでも見つけられたでしょう」
"ロードマスター":「正式な名前すらありません。その王鍵は……」
七十橋シスル:「向いてるか。向いてないか。お前に決められることじゃない」
七十橋シスル:「お前に決めて貰う必要なんて、一つも無い。強いて言うなら――」
七十橋シスル:ギリ、と奥歯を噛み締める。茨が更に量を増し、鋭く食い込む。「思い知らせる為だよ! テメェが捨てたものに、どんだけ価値があったかをッ!!」
桟クノア:――シスルちゃんがオールドなら
桟クノア:――私の遺産も名付けてくれる?
七十橋シスル:「『ターリア』。――『茨広げしターリア』」
七十橋シスル:「テメェがどこまで見てこようが関係ねえ」
七十橋シスル:「星の涯まで、逐い縋れ」
"ロードマスター":機械の体が軋む。どす黒い血のようなものが溢れる。
"ロードマスター":多大なダメージだ。この八月革命の理事会エージェントならば、十分に殺滅せしめただろう。
"ロードマスター":「……よろしい」
"ロードマスター":ぎし、という音がある。
"ロードマスター":七十橋シスルの攻撃を受けながら、"ロードマスター”は抵抗の動きを見せなかった。
"ロードマスター":この場に集った生徒達の誰かが気付いただろうか?彼のそれは、抵抗しなかったのではなく
"ロードマスター":ただ、意志を決定していたということを。
"ロードマスター":「より厳然たる事実を以て」
"ロードマスター":「教育をいたしましょう」
GM:全員が、坂道を滑っていくような、引きずり込まれるような感覚を覚える。空間そのものが、一つの特異点に落ち込みはじめている。
GM:"ロードマスター"が持つ二つの魔剣のうち、光を放たぬ、静かな赤い剣。
"ロードマスター":「無限の試行の果て」
"ロードマスター":「我々の理解でいう錬金術の、人類最終の追求結果があります」
"ロードマスター":「彼らは、自らの世界そのものを錬成してしまった」
"ロードマスター":「次元を閉じた、ただ一つの、不滅の世界軸として」
GM: という音があった。
GM:"ロードマスター"の意識した一体がまとめて粉砕され、その残骸すら虚空へと引きずり込まれた。
GM:一本の剣の斬撃が、無限の破壊をもたらした。
GM:反応も、抵抗もできる力ではない。だが、キングダムの生徒は無抵抗だっただろうか――
キングダム一般生徒:そうではない。予知の術師が、その致命的な一撃の瞬間を全力で予知した。
キングダム一般生徒:重力場による世界断絶の加護。あるいは聖域。単純な宝石魔術による結晶盾。
グレゴリオ生徒:自分自身の十字冠転送を代償に、生命加護の魔術を発動した者もいた。
キングダム一般生徒:解放裁定で支給された王鍵。
聖詠部:あるいは、ただ、信仰による勇気。
GM:全てが瞬時に消えた。精鋭たるキングダム生徒の何人かが蒸発して、煙も残ることはなかった。
ヒナテア・オルブライト:「──はは、剣の一振りか?今のが!」
七十橋シスル:「ぐ、が…………!」
オリーヴ・ウェールズ:「……ぁ」背後の生徒が欠ける事で、祈りが揺らぐ。でも、それでも。彼女らを思う心を維持に回さなければ。涙をどれだけ流してでも。
竜胆ジョウカ:「うーわ! ずっとめちゃくちゃやってる、総力戦ですね……!」アドレナリンと暴走で反応が興奮気味になる。
七十橋シスル:馬鹿げた余波。更地の理由。自分たちが消滅していないことの不自然さ。騎士王と海賊王が、戦い続けられた訳。
GM:加えて、たった今"ロードマスター"に攻撃を加えた七十橋シスルの認識に、異常が生じつつあった。
秋彁:あは
秋彁:はは あは は ははは
"ロードマスター":「秋彁」
"ロードマスター":「れっきとした、指定感染症でした。それが感染するのが人間の認識であり、治療の手立てすらない病だとしても」
"ロードマスター":「感染者はいずれ際限なく膨れ上がって、破裂します。肉体ではなく……肉体以外の全てが」
七十橋シスル:「テ、メェ……!」 耳を抑える。鼓膜を破っても、いやたとえ脳の感覚野を捨ててさえも、その声には意味はないだろうことが分かる。
七十橋シスル:「だったら、その前に……!」 異常感覚を堪え、指先を噛み千切る。一か八か、離脱する前に一つでも多く呪いを残そうとする。
"ロードマスター":「『父祖霊ジルア、その口で呑んだクォルパデスを臓腑六つで鍛造し』」
"ロードマスター":「『七千と六の月の果てにリギアルカレドを産み落とせり』」
"ロードマスター":「『リギアルカレド。我らに害なす者。我らの心に悪心引き起こす者。我らの世の全ての不幸をもたらす者を』」
GM:それは、これまで教師のごとく語り聞かせてきたような、遺産の来歴ではない。
GM:詠唱。
"ロードマスター":「『討ち、滅ぼす剣なり』」
GM:――ザ ン ! ! ! !
GM:日の光の直射の如き刺突があった。
GM:空を浮遊していたが故に先の衝撃に巻き込まれずにいたヒナテア・オルブライトが
GM:瞬時にして撃墜されたことを、他の全員が認識した。
五辻モモカ:「ヒナテア──ッ」
五辻モモカ:叫びの終端は日の光に焼かれ、乾ききった空気を吸い込んだ喉の中で掠れて消える。
キングダム一般生徒:「……っ、化物……」
キングダム一般生徒:「……防御術式が……!」
GM:これだけのキングダム生徒が総力を結集している。単純な破壊ならば、星界正義の剣の出力ですら、あるいは一度は凌ぎ切れたかもしれない。
GM:だが、"ロードマスター"の剣は、そのような次元ではない。この世界の防御手段も、解析手段も
GM:何一つ通用しない。
ヒナテア・オルブライト:空が消し飛んだかの如く衝撃が、誰もの心を貫いたその時。
ヒナテア・オルブライト:きらりとまばゆい輝きが奔り、空を埋め尽くす機械群を射ち落とす。
排撃系:光。空の青色が、一斉に消え去っていた。
排撃系:赤い夕焼けの空が戻っている。太陽と宇宙の色が混じり合った赤色。
ヒナテア・オルブライト:消え失せた筈の、ヒナテアが王鍵が再び動き出し、そして主もまたここに。
ヒナテア・オルブライト:「──ひゅー、ぁ、は…」死の恐怖から総身を汗に濡らし、過呼吸がその言葉を封じ。
ヒナテア・オルブライト:「…んっ!は、ははは。恐ろしいものだったが…」胸を殴打して怖気を払えば、常通り。
ヒナテア・オルブライト:生き延びたのは偶然だ。心を宙へ飛ばし、繋ぐべき空間を探して、思わず向こう側へ落ち延びただけのこと。
ヒナテア・オルブライト:「それでもなお、私は生きている。天が私に味方している!」
ヒナテア・オルブライト:「それに世界は一段とクリアになった…また一つ、成長した!」両の掌をぴたりと合わせる。
ヒナテア・オルブライト:それに合わせて異界へ繋がる門が、鏡合わせのように向かい合う。
キングダム一般生徒:「……太陽」誰かが呟く。
ヒナテア・オルブライト:「I've seen things you people wouldn't believe.」
ヒナテア・オルブライト:「Attack ships on fire off the shoulder of Orion.」
ヒナテア・オルブライト:「I watched C-beams glitter in the dark near the Tannhäuser Gate.」
ヒナテア・オルブライト:二つの門から、光が溢れる。曲がりくねり、ひと時たりとも形を留めぬ現象。
ヒナテア・オルブライト:その極光に観測者は暁の女神と名付けた。古希臘の哲人らは空の裂け目と認めた。
ヒナテア・オルブライト:「All those moments will be lost in time, like tears in rain.」
ヒナテア・オルブライト:「Time to die!」
ヒナテア・オルブライト:空覆う敵を、眩き輝き振るったロードマスターを、光が呑み込んだ時。
ヒナテア・オルブライト:揺れ動く光と同期して、空間が螺子れ狂い、悲鳴のように割れひしゃげる音が広がる。
排撃系:破壊に先立つ、許容量を越えた電場異常で、既に排撃系の光は消灯していたが。
排撃系:その実体すらも、嵐にかき混ぜられて微塵に粉砕する。
ヒナテア・オルブライト:タコスメラ宇宙閘は異空間に繋がる門を開くとされる。ノヴァリスに縛られた生徒が振るえばその射程は酷く限られたもののはずだった。
ヒナテア・オルブライト:だが、ヒナテア・オルブライトが手にしたその時から、想定上は起こり得ない理外の現象を垂れ流し続けている。
"ロードマスター":荒れ狂う排撃系の破片は、その中央に立つ"ロードマスター"すらも容赦なく巻き込んだ。
"ロードマスター":熱。電磁波。圧力。衝撃。その全てが、機械の肉体にとっては致命的である――
"ロードマスター":「強い」
"ロードマスター":「強い。……強い。黄道王様。あなたは強い」
"ロードマスター":「この世の果てを知らぬことが、あなたの認識を拡張した」
"ロードマスター":「ですが」みしり、と足が地面を踏む。
"ロードマスター":致死的な太陽風の只中で、"ロードマスター"はまだ形を保ち、あまつさえ、平然と動き続けている。
"ロードマスター":「保証しましょう。あなたの力にはまだ上がある。無知のままに無限を錯覚し続けるよりも」
"ロードマスター":「この世界の現実を知り、それでもなお無限を確信できる心こそが、王の心なのですから」
ヒナテア・オルブライト:「確かに、今この時も。教えられこの身が昇華されていることは認めよう…」
ヒナテア・オルブライト:「だが私の、私たちの未来にあなたの居場所は…認めない!」
"ロードマスター":「大ナスナ紀221。統合連政府は、第九期改換政策を実行に移しました」
"ロードマスター":「『大計算機』の算出結果に基づけば、人間が一生の内に消費するエネルギー量は」
"ロードマスター":「生命活動の全てを石油と蒸気に置換することで、大きく効率を改善できるとされていました」
"ロードマスター":「この体に電子機器は用いられていません」
"ロードマスター":「あなた方が理解できるような機構でも、装甲材でもありません」
"ロードマスター":「お支えしましょう」
"ロードマスター":「世界の広さを知り、それを越える成長を果たす……その時まで!」
竜胆ジョウカ:「へえー、よく垂れるご高説が尽きませんね」
竜胆ジョウカ:「んじゃあ、せっかくなので。私の方も見て行ってくださいよ」
竜胆ジョウカ:そう言いながら。手に付けた手袋――"ムカト=ヒャンデル蓋し胴無し"という遺産を、よく見えるように構える。
竜胆ジョウカ:これを継いだ――というよりも、継がれてしまった。持ち込んで爆散していったあの眼鏡が悪い。
竜胆ジョウカ:とかくそうなったからには継承者として責務を果たさねばならない――が。使い方が確定していない。
竜胆ジョウカ:歴代の継承者もろくすっぽ扱えていないらしいし、由来となったノヴァリス神性の記述は殆ど0。
竜胆ジョウカ:故に現状は、小さな火を手元に齎す程度しか行えない。が、それでも。
竜胆ジョウカ:それを握って、ロードマスターと相対することができる。その一点で、彼の目を惹く。
竜胆ジョウカ:――そして、その間に。小細工を弄する。
キングダム一般生徒:正面切って戦う主力戦力の面々より後ろ。バックアップのために構える生徒の集団がある。
キングダム一般生徒:「うわっ」
キングダム一般生徒:その中の一人の視界に入ったのは、新聞紙を切り張りして作られたメッセージだった。
竜胆ジョウカ:『募集、1名』
竜胆ジョウカ:『他の王たちを庇う手立ては、自前じゃ一切持たないが』
竜胆ジョウカ:『ジジイで機械のあの詐欺師に一矢報いたくて――』
竜胆ジョウカ:『革命中に別の革命をしでかすような、アホに全て託すだけの馬鹿みたいな勇気があるもの』
竜胆ジョウカ:『5つ数えて飛び込め』
キングダム一般生徒:逡巡は、一瞬もなかった。
竜胆ジョウカ:「"此処より西へ吠え猛れ、ヴェントラグツァの風"」
竜胆ジョウカ:放たれたのは、遺産の力を介さない。普段通りの魔術であった。
竜胆ジョウカ:ロードマスターを切り裂くだろうが、反撃は飛びだすし、ダメージも小さい。そのはずだった。
キングダム一般生徒:「や……やあっ……!!」
キングダム一般生徒:その射線上に。一人の生徒が飛びこまなければ。
"ロードマスター":「……」リギアルカレドによる迎撃の瞬間
竜胆ジョウカ:「上出来」風の刃は彼女を巻き込むように、ロードマスターを切り裂く。
"ロードマスター":僅かに手が鈍ったのは、"ロードマスター"の性質故だ。
"ロードマスター":新たな対象が現れるたびに、判断してしまう。『この生徒は』『斬ることで成長する者か』
"ロードマスター":風の一撃が、"ロードマスター"の装甲の一部を斬り飛ばしていた。
"ロードマスター":「黄道王様の攻撃ほどの出力ではない。しかし……」
竜胆ジョウカ:「さっき医療部の人、攻撃の後に苦しんでたでしょう。つまりなんか、病を齎す遺産。そういうのがある」
竜胆ジョウカ:「持っていきます」新たな魔術が展開。遺産を使おうとしたものではなく、照応魔術。
キングダム一般生徒:「……あ……」彼女の関わった、攻撃の際に。その病は再び現れた。
竜胆ジョウカ:「"貴女を疫鬼とみなす"」
竜胆ジョウカ:そして中国には人に病を齎す悪鬼が存在し、それを退治することで病を祓う。そういう伝承がある。それに準える。
竜胆ジョウカ:「竜胆ジョウカ。覚えといてください――いつか恩を返しに行きます」
キングダム一般生徒:彼女のいたところには、十字冠の転送光が広がるが。
秋彁:はは あははははははは うふ
秋彁:はは は……
秋彁:……
キングダム一般生徒:それが鳥の形をとるように、風によって巻き上げられ。
キングダム一般生徒:『なにか』を啄んで、消えて行った。
"ロードマスター":「す」
"ロードマスター":「すばらしい」真鍮の手で、無貌の顔面を覆って、打ち震える。
"ロードマスター":「未知をも解析する頭脳。竜胆ジョウカ様。あ、あなたの行いは正しかった……」
"ロードマスター":「金剛王様――否。フローレンス・アシュモールなどよりも、遥かにふさわしい」
竜胆ジョウカ:「――"詠句再唱"」はなから話を聞いちゃいない。遺産が離れた隙を見計らってもう一撃叩き込む。
竜胆ジョウカ:「効いてんだか効いてないんだか分かんないですねコレ。まあいいでしょう」
GM:初めの一撃は、秋彁を祓った。続く一撃は、より深く踏み込むことができる。
GM:装甲を切断するなどということはない。
GM:だが、先程と全く同じ出力が、斬り飛ばした傷口の中で荒れ狂った。
"ロードマスター":「――がはっ!はっ」
"ロードマスター":「はは」
"ロードマスター":「ははははははは」
"ロードマスター":破砕した亀裂からドバドバと廃液を流しながら、笑う。
GM:十分だった。"ロードマスター"が未だ不死であり、さらなる攻撃手段を隠し持っているとしても。
GM:彼女らの、全てのリソースを費やした集中攻撃と犠牲は、
GM:"ロードマスター"の興味をキングダム生徒達に惹きつけるに十分な効果を齎した。
五辻モモカ:興味と悦びで撓んだ意識の隙間、それを逃す事無く既に間合いへと踏み込んでいた。
五辻モモカ:「人類の到達点、その全てを識る者よ」
五辻モモカ:「存分に目に焼き付けるがいい」
五辻モモカ:静かに、彫刻へと手をかける。
五辻モモカ:「私達の辿り着く未知、その始発点を。そしてその到達点を見届けられぬことを──」
五辻モモカ:紅く染まった風に白銀の髪が揺れ、蕾が開く。
"ロードマスター":「法王様。……よろしいでしょう」
"ロードマスター":リギアルカレド。平行世界の人か、人ならざる者か、誰かの物語に紡がれた、伝説の剣。
"ロードマスター":聖なる――その意味する概念すらも僅かに異なるであろう、聖なる光が、五辻モモカの踏み込みに応じる。
五辻モモカ:「"嘆け、私が赦す"」
五辻モモカ:"白面の祈り"が吸い上げる叫び。それは幸せを願うものではなく、恐怖によるものであった。
五辻モモカ:「これ以上、不幸になりませんように」「これ以上、傷つけられませんように」「これ以上、奪われませんように」
五辻モモカ:だから、私は。
五辻モモカ:私は、私が強くあればある程に
五辻モモカ:胸が──張り裂けそうになるのだ
"ロードマスター":「『リギアルカレド。正しき剣。黒き骨野の獣の如く。赤き彼方の鳥の如く』」
"ロードマスター":「『父祖の聖なる御心で』」
"ロードマスター":「『喰い、滅ぼさんことを』」
五辻モモカ:祈りに付随した信仰を、教義を吸い上げて蕾は剣を実らせる。
五辻モモカ:「聖架参照」
五辻モモカ:「"火界咒"」「霊の剣」「ズルフィカール」
五辻モモカ:祈りに付随した信仰を、吸い上げる。本来、あり得ざる力の集合体。見ようによれば、信仰そのものへの侮辱とすら言える。
五辻モモカ:法王自身が何の信仰も持たないが故に、空の身を代行者として定義する事で数多の信徒が扱う奇跡を一つに収束する。
五辻モモカ:「聖剣──収束」
五辻モモカ:その手に携えた剣が、理外より来る光をかき消さんと輝く。
五辻モモカ:理外、異端、不可解。その全てを否定する。
五辻モモカ:"異"と最も長きに渡り戦いを続けてきたモノの名こそ──"信仰"である故に。
五辻モモカ:「あるべき場所に還れ」
"ロードマスター":「『アル・カタル・イル』」
"ロードマスター":「『祓伐せよ』」
五辻モモカ:「──失せよ!」
GM:地平線の果てからでも、はっきりと、白い十字の輝きが見えた。
GM:二つの聖剣が切り結ぶ光だった。
五辻モモカ:「………っ」
五辻モモカ:眩い光の中で、ボロボロと聖剣が崩れていく。
"ロードマスター":「――信ずるものがない、ということを」
"ロードマスター":"ロードマスター"のリギアルカレドは、完全な形を保っている。
"ロードマスター":白き炎。異界の信仰によって研ぎ澄まされた、最大の聖剣。
"ロードマスター":「恥じる必要はございません。法王様」
"ロードマスター":「王の決断に必要とされるものは、信仰ではなく至上の意思」
"ロードマスター":「法王様もいずれ、民の信仰などに動かされる王ではなく……」
"ロードマスター":「……」
"ロードマスター":「……?」
五辻モモカ:「……私は妹達の愛する世界を信じている。祈る幸福を信じている」
五辻モモカ:「この剣の輝きに誓って、恥ずべきものなど何もない」
"ロードマスター":「……馬鹿な」左手に握った聖剣を見下ろしている。
五辻モモカ:「信仰を軽んじる者に、神聖の何たるかを語る資格も。その剣を握る資格もない」
GM:リギアルカレド。それはまさしく無敵で、不滅の神剣であっただろう。――本来の世界であれば。
GM:今、この世界におけるリギアルカレドの信仰基盤は、『リギアルカレドが現存する』という事実だけに立脚している。
GM:"ロードマスター"自身すら、この異界の剣を信仰していない。
"ロードマスター":「知っていたつもりでいたのは、この私の方でしたか……」
"ロードマスター":白く眩い光が失せて、欠片がバラバラと落ち始めている。
"ロードマスター":「この遺産が本来、どれほど無敵であったのか――知るが故に」
"ロードマスター":「見誤ってしまった……」
五辻モモカ:「民なき王は存在しない。信仰なき神は存在しない。お前が見誤ったのは"王"の在り方そのものだと知れ──!」
五辻モモカ:焼けた掌を握りしめながら、叫ぶ。
"ロードマスター":"ロードマスター"の反応は速かった。即座に、右手の赤剣を構え、
"ロードマスター":五辻モモカの追撃を牽制した。自分が最大の戦力を発揮する距離へと後退する。
"ロードマスター":全身の遺産。超常の力。それらを除いてもなお、"ロードマスター"は
"ロードマスター":数限りない遺産と遺産継承者を打倒してきた、金獅子騎士団最強のオーヴァードである。
"ロードマスター":「素晴らしい。まさか法王、あなたに教えられるとは。我が過ちを認め、評価を改めましょう……!」
"ロードマスター":「私は……」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「覇」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「鍵」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「解」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「錠ッ!」
GM:誰一人として、気づくことはなかった。キングダム生徒すら、その奇襲のタイミングを知らなかった。
GM:故に、キングダムの生徒達だけを注視していた"ロードマスター"は、彼女らの視線を介してもなお
GM:背後からの奇襲への対応ができなかった。五辻モモカが与えた驚愕と隙は、それほどに大きなものだった。
オリーヴ・ウェールズ:───そう、全てはこの一瞬の為に。
オリーヴ・ウェールズ:(聖剣の輝きよ、主の光よ!彼の王の手に、正しき断罪の刃を───!)
オリーヴ・ウェールズ:(……イリーナ様!)
オリーヴ・ウェールズ:祈りの声は絶やさず、紡がれる。剣が振るわれるその時まで。彼女を───鉄騎王を、何処までも信じて。
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「㴅せ!!」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「熾天の」
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:「火!!」
GM:星界正義の剣の覇鍵解錠が及ぼす破壊規模は、極めて小さい。
GM:それが見渡すほどの巨大な城を、国土を、何もかもを焼き尽くす規模だとしても。
GM:それらは世界を焼く核融合の熱量に比べれば、微小と表現すべきものだ。
GM:爆発が起こる。火と光の柱が昇る。大地が溶融し、気化して、消える。
GM:人の手に余る悪夢的な破壊を、ただ。
GM:世界に比べて微小な、ただ一点の悪へと、集中させる力。
GM:全員の視界を、黒煙が覆い尽くした。
GM:"鉄騎王"は、キングダムの生徒全員が身を擲って作り出した一瞬で、完全な奇襲を成功させた。
GM:煙の中に佇んでいる影がある。
GM:赤い単眼の光が瞬く。
"ロードマスター":「シテラスクX字戒」
オリーヴ・ウェールズ:「──────────え」
"ロードマスター":無傷であった。ただ、その体を覆うように、異様な色彩に発光する文字が刻まれていた。
五辻モモカ:「ッ馬鹿な……」
オリーヴ・ウェールズ:驚愕と共に、声が漏れた。
"ロードマスター":「『奪いませんように』『殺しませんように』『悪意を抱きませんように』」
"ロードマスター":「2076kmの大深度から……完全な形で掘り出された石碑に書かれていた警句は、未来の誰かに向けてのものではありませんでした」
"ロードマスター":「それが示していたものは、ただの、後悔にすぎず」
"ロードマスター":「……自らの文明を滅ぼした悪性を、悔いるためだけの石碑でした」
ヒナテア・オルブライト:(悪を打ち滅ぼすと定められた剣が、振るわれた)
ヒナテア・オルブライト:(ならばその熱量はどこへ行く?周囲を吹き飛ばして終いにはなるまい!)
七十橋シスル:「退がれッ! 鉄騎王!」 意味が無いと分かっても叫ぶ。
GM:"鉄騎王"の姿はない。
GM:信じたくはなくとも、事実だった。
GM:たった今の熱量は、"ロードマスター"ではなく
GM:イリーナ・レシュリスカヤ自身を滅ぼしたのだ。
GM:星界正義の剣だけが地面に残されている。
オリーヴ・ウェールズ:「ぁ…………やだ、そんな…………」
オリーヴ・ウェールズ:零れるような声しか出ず、祈りが瓦解する。
"ロードマスター":「……。害意を以て、この剣を振るうなど」
"ロードマスター":ガシャ!
"ロードマスター":星界正義の剣を踏みにじる。
"ロードマスター":「イリーナ・レシュリスカヤ。彼女の選定は」
"ロードマスター":「間違いだった」
五辻モモカ:「オリーヴ!!!!!!」
五辻モモカ:その金属音をかき消すように、叫ぶ。
オリーヴ・ウェールズ:信じていたものが、目の前で消し飛ばされて。私は、どうすれば、誰か───
オリーヴ・ウェールズ:「っ……」届いた法王の声が身体を震わせて。弱気な姿がびくりと止まる。
五辻モモカ:「視線を落とすな!お前の王は今理外の未知を拓いたのだ!お前だけは──先の光景から目を逸らしてはならない!!」
五辻モモカ:「王が拓いた道は民が歩まなければならない!!」
オリーヴ・ウェールズ:今まさに、絶望の淵に立たされていた精神が。寸前で……最早風前の灯火に過ぎないが、留まる。
オリーヴ・ウェールズ:涙は止まらず、顔はぐしゃぐしゃに歪んだまま。
七十橋シスル:「五辻! 次のが来るぞッ!」
五辻モモカ:「……ッ」顔を歪め、彫刻に手を触れる。
"ロードマスター":「…………フ―――ッ……」
"ロードマスター":長い、ため息のような音。もはやそのような呼吸をする必要すらない体だったが……
"ロードマスター":呼吸ではない。深い失望を表す吐息だった。
"ロードマスター":「まさか」
"ロードマスター":「この程度で」
"ロードマスター":「この私を討つつもりでいらっしゃったのですか?」
"ロードマスター":「残念です。黄道王様の御力も。竜胆ジョウカ様の智慧も。法王様の見せた可能性も……」
"ロードマスター":「このような、くだらない戯れのために費やされたものだったとは」
ヒナテア・オルブライト:「言ってくれる…!」だがそれだけの絶大な力を示した。
ヒナテア・オルブライト:故にこそ、誰もが。生徒のみならぬキングダムの全てがこのただ一人に支配されてきた。
GM:何もかもが壊滅する破壊の最中では、ひどく些細なことだったが。
GM:ジリリリリリリリ、という、旧式の電話の呼び出し音が今も続いている。
GM:――バン!
GM:ノヴァリスにはあり得ないものが降ってきた。
GM:死体だった。人間の男性の死体。奇妙な体だった。首から上に頭はなく、代わりに腕が生えていた。
GM:片足だけが恐ろしく長く、四つの関節があった。ズボンもその長さに合わせて仕立てられているようだった。
GM:その死骸の腹を食い破るようにして。

怪異:「お、お電話、あり、ありがとうございます」名状しがたい何かが出現する。
怪異:「スターキー&レイン工務店です!修理のご依頼ですか?見積もりのご依頼ですか?」
怪異:「人差し指が必要ですか?雨は降っていますか?」
"ロードマスター":「……もはや、あなた方に教える意味もないかもしれませんが」
"ロードマスター":「1892年、ニューラトクス州コーンブルー。ミナ・カーンソンという女性からの救急通報がありました」
"ロードマスター":「『夫が、屋根裏の穴に入ってしまった』」
"ロードマスター":「救急隊員が駆けつけたものの、すぐに二つの事実が判明した……」
"ロードマスター":「……カーンソン家には『屋根裏』など存在しないこと。ミナ・カーンソンには配偶者など存在した記録がないこと」
怪異:「その人を冷蔵庫の中に入れますか?ありがとうございます!」
怪異:「ドアを、ごぶっ、ぶげっ」
怪異:怪異としか表現のできない異形が、破裂した。
怪異:血管じみた肉の触手が弾けて、全員に殺到する。
七十橋シスル: ああ。 クソ。 クソ。
七十橋シスル:ギリ、と奥歯を噛み締める。身体は動いた。あの、悍ましい遺産の病の影響は消えていた。
七十橋シスル:ジョウカが解除したから? 違う。誰かに"引き受けられた"。
七十橋シスル:聖詠部の呪い移しか。グレゴリオの犠牲聖句か。周りに居た、キングダム生徒の中の誰かが、自分の代わりにあの病に頭を食い散らかされ、飛んだ。
七十橋シスル:理解はできる。今の最大戦力である自分たちに全てを託し、あの狂気にして恐懼の遺産の攻撃の盾になり続ける。正しい選択だ。弱者の選択はそれしかない。
七十橋シスル:――――(『シスルは私よりずっと強いから』)
七十橋シスル:――――(『強い人や、弱音を言えない人だって、きっと助けられるよ』)
七十橋シスル:その。全てが。気に入らなかった。
七十橋シスル:「っせえんだよ!」
七十橋シスル:シスルが、強く足を踏み込んだ。影の茨が四方に走り、怪異ではなく――――今まさに、怪異の攻撃の盾とならんと飛び込もうとした生徒を押し止めた。
キングダム一般生徒:「ッ!?一体何のつもり――」
キングダム一般生徒:「あっ……あなた!何やってるの!法王様を守ってよ!」
七十橋シスル:「場違いなんだよ、どいつも、こいつも……!」
七十橋シスル:「"我が爪先が踏みしめる大地を 即ち国土とし"」
七十橋シスル:「"萌え広がる茨の仔らを 即ち民とすれば"」
七十橋シスル:厳粛な古英語ではない。一歩踏み出す度に、影の茨がその勢いを増す。
七十橋シスル:「"歩む足跡こそが道となり 紡ぐ言の葉は 絶対の法となる"」
七十橋シスル:「"我が手を翳せば、風吹き荒び 流した血は雨となり命育み 見据える瞳は光として全てを照らさん"」
怪異:怪異の肉の触手は、シスルの茨とほとんど対応していた。
怪異:茨が枝分かれし成長するのと同じように、触手も際限なく増殖し、枝分かれして、細胞へと浸透しようとする。
七十橋シスル:常識では、出来るはずがない。だが出来ると分かった。円卓と繋がり、遺産に名を付け契約し、……本物を見た。
七十橋シスル:ゴ ォン
七十橋シスル:背後に、巨大な糸車のビジョンが顕われた。
七十橋シスル:掌サイズではない。城門のような、見上げるような巨大さだ。
七十橋シスル:「――――"私は今"」
七十橋シスル:「"俺という国の、王と成った!”」
怪異:――バジュ!!
怪異:茨と拮抗していた肉が、一斉に弾け飛ぶ。
七十橋シスル:「ここは、俺だッ! 俺達の場所だッ!」
"ロードマスター":「…………」
七十橋シスル:「どことも知れねえ、場違いのカスが! しゃしゃってくんじゃねえぞッ!」
七十橋シスル:「『茨広げしターリア』――――――――――覇鍵、解錠ォッ!」
七十橋シスル:まだ、名前すらついていないそれは、影茨の洪水。慟哭するような奔流。
七十橋シスル:怪異の、ロードマスターの、この世界に存在する以上はその身に例外なく存在する影が、すべて茨へと変じ。
怪異:「おごっ、おお、うおおおお、おおお……!」
怪異:人の泣き叫ぶような声を上げて、怪異が悶える。
七十橋シスル:食い荒らし、繋ぎ止め、拷ち縛る。
"ロードマスター":「覇鍵解錠……」
"ロードマスター":「……確かに。それを使えるというのであれば」
"ロードマスター":「あらぬ希望を抱いてしまうのも無理からぬこと」
"ロードマスター":ブチブチと、茨を引きちぎりながら、痛みが存在しないかのように動いている。
"ロードマスター":「私と」
"ロードマスター":「戦うことを、お望みですか……七十橋シスル様」
七十橋シスル:「やっと、そう言ったな」 ガリ、と噛み砕いた奥歯を吐き出す。
七十橋シスル:「テメェは道だ」
七十橋シスル:「俺が、この先に行くための。通過点だ」
七十橋シスル:「教えてやるよ。痛みを。苦痛を。挫折を」
七十橋シスル:「拷問するみてェに。泣き叫ぶまで、俺の茨は枯れ果てない」
"ロードマスター":「――よろしいでしょう。ならば非才の身なれど、力を尽くし」
"ロードマスター":「王の成長の糧となりましょう」
GM:七十橋シスルと"ロードマスター"が対峙する一方で、怪異のもたらした影響は、決して小さいものではなかった。
GM:シスルが一般生徒達を守る中、他の遺産継承者達は自らの力で自らの身を守らなければならず、
GM:僅かな間であれ、反転攻勢に出ることも叶わずにいた。
グレゴリオ生徒:「――あ」
グレゴリオ生徒:生徒の誰かが気付く。
グレゴリオ生徒:「危ない!ヒナテア様ッ!」
GM:対応能力を越えた攻撃の殺到を理解したのだろう。自ら飛び出して盾になろうとした。
ヒナテア・オルブライト:「ふ、ぅっ!」反射的に熱線を飛ばし、茨の侵略から漏れた肉腫を焼き切る。
ヒナテア・オルブライト:反射だ。未知なる脅威、音に聞くもおぞましい異形の浸透に直感的な反応で出迎えた。
ヒナテア・オルブライト:言うなれば、眼が合った。
ヒナテア・オルブライト:「ふ、ぁ、ぎぁ…?は、はは、ひゅっ」宙に舞いながら髪を秩序なく振り乱し、腕がよじれて喉が震える。
グレゴリオ生徒:「……ヒナテア様!」
ヒナテア・オルブライト:闘争中も遥かな異界に意識を飛ばし、夢の中でも彼方に心を囚われ蝕まれ続ける。
ヒナテア・オルブライト:それがタコスメラ宇宙閘という遺産の代償であり、本質だ。
ヒナテア・オルブライト:良く言えば未知へと挑み、異物を受け入れんとする度量の深さ。
ヒナテア・オルブライト:狂気に対する感度の高さに限って言えば、この戦場でも随一を誇る。
ヒナテア・オルブライト:がしゃん がしゃん がしゃん
ヒナテア・オルブライト:異界に繋がる門の向こう、広がる景色がチャンネルを切り替えるように遷移。
ヒナテア・オルブライト:ぽっかりと開いた暗黒空間、太陽とも異なるマグマの奔流、澱んだ海底。
ヒナテア・オルブライト:散り散りに切り替わり、機械群の再展開を警戒する迎撃網が乱れたその時。
グレゴリオ生徒:「どっ、どうすれば……!どうすれば」
ヒナテア・オルブライト:門の向こうに満月が収まり、留まる。
グレゴリオ生徒:「……!?」
ヒナテア・オルブライト:キングダムの多くの生徒には馴染みの薄いものである。
ヒナテア・オルブライト:定時制生徒たちを常に見守る、狂気と静寂と穏やかな癒しの徴。
ヒナテア・オルブライト:「……は、ははは!いや無様を晒しては、いかんなうむ!」
グレゴリオ生徒:「ご、ご無事で……」
ヒナテア・オルブライト:「ここに我らを立たせている、友たちに申し訳が立たん!」
グレゴリオ生徒:「ですが、あれは酷く深い呪いのように見えました」
グレゴリオ生徒:今も奮戦し続けている周りの生徒達を見て、迷うように首を振る。
グレゴリオ生徒:「……もし離脱をお望みでしたら、協力いたします」
ヒナテア・オルブライト:「……その言葉は、戦場に残るよりも勇気を要する言葉だ。ありがとう」
ヒナテア・オルブライト:「だが、彼奴の呪いよりも強く、抗えぬものが私を縛っている!」
グレゴリオ生徒:「ヒナテア様!私も、"学級会"の生徒です!黄道王様のお力に助けられて……!」
グレゴリオ生徒:「昔のことです……覚えていらっしゃらないかもしれませんが……!」
ヒナテア・オルブライト:「わざわざ覚えるまでもないな……私は君と共にここまで来た」
ヒナテア・オルブライト:「共に抗うと決めた連帯が、ひたむきに戦う姿が!私たちには焼き付いている!」
ヒナテア・オルブライト:「まだまだこれからだ!そうだよなマカミィ!」月に吠え、民に応え、絶えることなく輝きを増す!
"月下王"州来マカミ:「――そうだね」後方から、よろよろと進み出た生徒がいる。
"月下王"州来マカミ:州来マカミだった。片目は閉じたままで、両足も捻じ曲がっている。
"月下王"州来マカミ:この日だけで何度も十字冠転送を経ている。王鍵の異形化を全力で発動して、辛うじて動ける状態を保っているだけだが。
"月下王"州来マカミ:「……戦おう。ヒナテア・オルブライト。これで終わりなんて、勿体ない」
ヒナテア・オルブライト:「我らの胸躍る革命はここからだ!」
GM:後方の生徒達の多くは、まだ戦意を保っている。
GM:その全員が、八月革命の激戦を潜り抜けてここまで到達した強者だ。中には、後の諸王として数えられる才能も多くいた。
GM:だが、"ロードマスター"の力の絶大さを前にして心挫けてしまった者も、決して、ゼロではない。
聖詠部:「イ……イリーナ様……」
聖詠部:「どうして……星界正義の剣は……絶対の……王鍵だったんじゃ……」
オリーヴ・ウェールズ:……法王の発破の後。
オリーヴ・ウェールズ:ただ、呆然と、戦場を見ていた。
オリーヴ・ウェールズ:不変の遺産塊。
オリーヴ・ウェールズ:襲い来る未知の怪異。
オリーヴ・ウェールズ:茨の暴威。
オリーヴ・ウェールズ:太陽の再起。
オリーヴ・ウェールズ:そうして、その先に。
オリーヴ・ウェールズ:───瞳に、確かに映ったものがあった。
オリーヴ・ウェールズ:「…………」
オリーヴ・ウェールズ:掠れ切った喉が、震える。
オリーヴ・ウェールズ:挫けそうだった脚が、食いしばる。
オリーヴ・ウェールズ:(まだ……まだ、何も、終わっていない)
オリーヴ・ウェールズ:目の前の者たちは未だ諦めずに戦い続け、私は、何をしているのか。
オリーヴ・ウェールズ:誰も悲しませたくないのでは、無かったのか。
オリーヴ・ウェールズ:「───」
オリーヴ・ウェールズ:『……Und Gott sah das Licht, daß es gut war,』
オリーヴ・ウェールズ:───声が出た。
オリーヴ・ウェールズ:それは、震える背後の生徒たちにも届くように、大きく。
オリーヴ・ウェールズ:『……und Gott schied das Licht von der Finsternis! 』
オリーヴ・ウェールズ:分からない。一番の希望が砕けた中で、自分はどうすればいいのか。
聖詠部:「オ、オリーヴ……先輩……」涙を流しながら、打ちひしがれた地面から、その顔を見上げる。
オリーヴ・ウェールズ:分からないまま、紡ぐ。彼女の遺したものが、瞳に焼き付いて、離れないから。
オリーヴ・ウェールズ:『Nun schwanden vor dem heiligen Strahle』
オリーヴ・ウェールズ:『des schwarzen Dunkels grauliche Schatten,』
オリーヴ・ウェールズ:再び、祈りが光を灯す。たった一人では微小であろうとも。
聖詠部:「皆!歌って!オリーヴ先輩と……一緒に!」
聖詠部:「まだ、私達は立っているでしょう!?聖詠部が……」
聖詠部:「美しい"鉄騎王"様の、誇りある臣下が!」
聖詠部:「ぐすっ、ぐすっ……はい……」
七十橋シスル:背後から響いて来る、震える声を聞いた。
七十橋シスル:人は減り、音程が欠けて、ハーモニーは崩れかけていた。
七十橋シスル:それでも、歌い続けようとする意志だけは、確かに伝わってくる。
聖詠部:『der……erste……Tag entstand……!』
聖詠部:『Verwirrung weicht, und Ordnung keimt empor!』
聖詠部:「私、私達は……!」涙を拭う。
聖詠部:「どうすればいい、ですか……!オリーヴ……先輩!」
オリーヴ・ウェールズ:『Erstarrt entflieht der Hollengeister Schar』
オリーヴ・ウェールズ:皆の声に頷いて、高らかに。
オリーヴ・ウェールズ:『in des Abgrunds Tiefen hinab───zur ewigen Nacht !』
オリーヴ・ウェールズ:瞬間、爆発的な光の濁流が、戦場を覆い被った。
オリーヴ・ウェールズ:天地創造の詩は、世界を開く奇跡の御話である。
オリーヴ・ウェールズ:未だ定まらぬ異界が敵であるとするならば、それは特効のように働き、押し留める。
オリーヴ・ウェールズ:たとえその力が遺産を、王鍵を用いていなくとも、与える影響は計り知れず。
オリーヴ・ウェールズ:ロードマスターと異形の怪異を、確かに───数瞬ではあるが、縫い留めて。
オリーヴ・ウェールズ:───そして、その白が全てを埋め尽くすと同時に、私は走り出していた。
"ロードマスター":「失せなさい。オリーヴ・ウェールズ」
"ロードマスター":七十橋シスルに対峙したまま、顔も向けていない。
"ロードマスター":「あなたの王は失墜した」
"ロードマスター":「もはや聖詠部に残す価値はない」
"ロードマスター":赤い剣が動いた。たとえ見えていても、対応できるような動きではない。
"ロードマスター":たとえ数mもの距離が離れた余波であっても、つい先程目の当たりにした通りの威力になる。
"ロードマスター":"ロードマスター"にとって、力を見定め、教育を施す価値を持つ者は、王だけだ。オリーヴ・ウェールズを消滅させようとする。
七十橋シスル:張り巡らされた茨が動いた。ロードマスターを拘束する方向ではない。その逆。
七十橋シスル:糸車が逆回転する。想定よりも加速し、よりずらされた世界軸の剣が、
七十橋シスル:オリーヴ・ウェールズの光輪を掠め、背後の雲と火災を裁断する。
"ロードマスター":「……」
"ロードマスター":ほんの一瞬の隙があったからこそ成功した、絶技だった。
"ロードマスター":聖詠部が詠唱する奇跡によって作り出されていた、一瞬の隙。
七十橋シスル:「"お付き"!」
七十橋シスル:「取れ!」
オリーヴ・ウェールズ:寸前に迫り、僅かに弾かれ、背後を掠めた死の気配。そして、彼女の言葉。
オリーヴ・ウェールズ:ロードマスターの足元へ───飛び込んで、"掴んだ"。
オリーヴ・ウェールズ:その先で転んで、泥と血濡れになって。息も絶え絶えで。
オリーヴ・ウェールズ:「はーっ……はっ、ぁ……っ、あ…………」
"ロードマスター":「……………」
"ロードマスター":やはり、そちらを見ない。一般生徒の一人が、王鍵を拾っただけだからだ。
"ロードマスター":継承する権限もない。十分に無視できる影響であると判断したために、七十橋シスルへと注意を戻した。
"ロードマスター":だがこの瞬間。
"ロードマスター":この一手分、"ロードマスター"は確かに、戦局の制御に失敗した。
"ロードマスター":「……七十橋、シスル様」
七十橋シスル:「……今だぞ。おい」呻くように言う。「今だ。今しかねえ……」
七十橋シスル:こちらも遺産の最大解放に、キリキリと脳が削られるような痛みを覚えている。
"ロードマスター":そんなことを、誰も信じないだろう。趣味の悪い冗談のようにしか思われないかもしれない。
"ロードマスター":あの"ロードマスター"が、何かに苛立ちを露わにすることがあるなど。
七十橋シスル:「オリーヴ・ウェールズ」
七十橋シスル:「今、」「成れ」
オリーヴ・ウェールズ:「…………!」
"ロードマスター":「できません」
"ロードマスター":重力を崩壊させる赤剣で、茨を、後方からの生徒達の総攻撃を消滅させ続けながら、呟く。
オリーヴ・ウェールズ:……本当の事を言えば。ただ、彼女の遺した剣を、残された希望を、手に収めていたいだけだった。
"ロードマスター":「王鍵の継承者は容易く変わることはない」
オリーヴ・ウェールズ:……その証拠に、手に取った星界正義の剣は私に何も応えない。
"ロードマスター":「星界正義の剣に、何らかの勝算を見ているのだとすれば」
オリーヴ・ウェールズ:王の資格もない、ただの少女に。
"ロードマスター":「すべて、無意味な夢にすぎない」
七十橋シスル:言葉を重ねることはない。法王のように、彼女を慮った、激励を浴びせられることはない。
七十橋シスル:ただ、その目が言う。
七十橋シスル:今。ここで。そうしなければならない。
七十橋シスル:否――――お前がそれを望まなければ、全てが終わると。
GM:星界正義の剣は応えない。
GM:本当にそうだろうか?
GM:遺産は意思を持つ。それはキングダム連合学院の生徒なら、誰もが知っていることだった。
GM:星界正義の剣が使い手を必要とするのだとすれば
GM:それは、剣が使い手を求めるのと同じように、剣を本当に求める者だけだ。
オリーヴ・ウェールズ:……だけど。
オリーヴ・ウェールズ:確かに、胸が。鼓動を響かせていた。
オリーヴ・ウェールズ:『───この八月革命を最後に、ぼくは"鉄騎王"の名をきみに継ぐことになる』
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:美しいオリーヴ。すまなかった。
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:ぼくは、きみにそんなことを告げる必要があった。
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:ぼくはずっと、復讐を果たすためだけに生きてきた。この革命で、理事会を滅ぼすためだけに。
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:もしも、この革命でぼくが志半ばに倒れた時でも
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:星界正義の剣で、本当の邪悪を討ち果たせるように。
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:きみにそう伝えればきっと、優しいきみだからこそ
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:最後には、その選択肢を取ってしまうだろう。
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:オリーヴ。ぼくは
"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤ:ぼくの考える限りの、邪悪なことをした。
オリーヴ・ウェールズ:ただ、想う。
オリーヴ・ウェールズ:私は、心の底で完全に悪を憎めない。
オリーヴ・ウェールズ:どれだけの邪悪であろうとも、赦しがあって欲しいと願う。
オリーヴ・ウェールズ:正しき怒りの炎を、湛える事も出来ない。
オリーヴ・ウェールズ:───けれど。
オリーヴ・ウェールズ:私は、悪により悲しむ者が居る事を、許せない。
オリーヴ・ウェールズ:そのような世界がある事を、許容できない。
オリーヴ・ウェールズ:一片たりとも、悲痛が流れる事を、私は望まない。
オリーヴ・ウェールズ:祈りが、感情が、少しずつ極端化していく。それを振るうために、自らを染め上げる。
オリーヴ・ウェールズ:……それは、聖剣との同調だ。
オリーヴ・ウェールズ:力ある遺産は、当然。心へ……精神へと影響を与える。
オリーヴ・ウェールズ:───それが、意味するのは。
オリーヴ・ウェールズ:ど、くん。と、胸が高鳴った。
オリーヴ・ウェールズ:力の奔流が、少しずつ掌に広がって。腕へ、胸へと伝わって。
オリーヴ・ウェールズ:「………………そう、貴方も。そうなのね」
オリーヴ・ウェールズ:誰とも知れぬ、何処かに話しかけて、瞳を向ける。
GM:オリーヴ・ウェールズは、剣の声を聞いた。心を通わせることができた。
GM:それはすでに継承者が存在する遺産ではあり得ない現象だった。即ち――
オリーヴ・ウェールズ:最早、戦場の音は一切耳に入らない。目の前の"なにか"へと、慈愛を込めて微笑んで。
GM:星界正義の剣を彼女が手にした時。すでに、イリーナ・レシュリスカヤは、星界正義の剣の資格を失っていた。
"ロードマスター":(あり得ない)世界を崩す嵐の如き戦闘を繰り広げながら、視界の端に、その姿を捉えていた。
"ロードマスター":(奇跡でも起きない限り)
オリーヴ・ウェールズ:───聖剣を、愛おしそうに抱きしめて。その背に、三対の光が翼を広げる。
"ロードマスター":(継承などできなかったはずだ)
オリーヴ・ウェールズ:「───裁け」
オリーヴ・ウェールズ:天より一筋の光の柱が、その身を差して───
オリーヴ・ウェールズ:「……星界正義の剣」
オリーヴ・ウェールズ:今、ここに。新たな継承者が選ばれる。
オリーヴ・ウェールズ:鉄騎の王は、眩き熾天の翼を持って。戦場に新生した。
■ラウンド2
GM:マップを貼る前に、セットアップ処理をしてしまいます。
"ロードマスター":「テノー66298到達点(異星の記憶)」。排撃系を10体召喚。
七十橋シスル:《怨念の呪石》。改めて暴走します。
ヒナテア・オルブライト:【堂々廻れ、タコスメラ宇宙閘】《螺旋の悪魔》《原初の黄:氷の茨》
ヒナテア・オルブライト:暴走状態になり、ラウンド中ウロボロスエフェクトによる攻撃力+18、味方PC以外が自分のエンゲージから移動して離れた場合、HPを6D失う。
ヒナテア・オルブライト:ヒナテア・オルブライトの侵蝕率を6増加(124 → 130)
オリーヴ・ウェールズ:ありま……せん!暴走してはいけない……!
七十橋シスル:侵蝕146→149
五辻モモカ:なしですわ~っ
竜胆ジョウカ:こちらもなしで
排撃系[12] 排撃系[12]
排撃系[12] 排撃系[12]
排撃系[12] 排撃系[12]
排撃系[12] 排撃系[12]
"ロードマスター"[29/-561]
怪異[5]
モモカ[12/136]
オリーヴ[10/115]
2m
ヒナテア[13/130]
10m
ジョウカ[12/141] シスル[13/149]
GM:では行動値29。ロードマスターの手番です。
GM:その前に
GM:イニシアチブで使えるのは使ってみるかな
オリーヴ・ウェールズ:何かあるのですか?!
"ロードマスター":侵蝕が低い方のエンゲージを狙おうか
"ロードマスター":モモカさんとオリーヴさんを狙います。《極大消滅波》。
オリーヴ・ウェールズ:ひゃ~っ!
五辻モモカ:シンプル暴力!!!!
"ロードマスター":「狂想の火種」でさらに+5D10ダメージを入れます。ダメージダイス。
"ロードマスター":13D10
DoubleCross : (13D10) → 61[5,7,9,3,7,3,3,1,1,9,7,2,4] → 61
ヒナテア・オルブライト:4回使用でそれぞれ1ダメージに抑えられるかな
オリーヴ・ウェールズ:うう~~~っ、減少お願いします、皆さま……!
五辻モモカ:では一人2回ずつダメージ減少もらって……
ヒナテア・オルブライト:NPCカード:キングダム連合学院生徒の使用回数、4回使って残り(21 → 17)回
キングダム一般生徒:ギャー
キングダム一般生徒:ヒィー
キングダム一般生徒:こ、黄道王様……なぜ我らを……
オリーヴ・ウェールズ:HP6……になります
五辻モモカ:これがナーヴジャックってやつかよ!こちらもHP6
ヒナテア・オルブライト:ち、ちが…わたしそんなつもりじゃ…
GM:改めてイニシアチブ処理です
オリーヴ・ウェールズ:動きます!【触媒】の力を此処に……!
オリーヴ・ウェールズ:対象はヒナテアさん!行動を実行してください……!
GM:ヒナテアさん、行動をどうぞ!
ヒナテア・オルブライト:ここで王鍵再起動に伴い、取得するエフェクトを決定。
ヒナテア・オルブライト:《原初の虚:ナーヴジャック》を取得します。それに伴い侵蝕率基本値の分が上昇。
ヒナテア・オルブライト:ヒナテア・オルブライトの侵蝕率を3増加(130 → 133)
ヒナテア・オルブライト:メジャーで【覇鍵解錠】《原初の虚:ナーヴジャック》、視界単体RC、ロードマスターの意志と対決判定を行う。
ヒナテア・オルブライト:勝利した場合、メジャーアクションを1回行わせる。
GM:ううーん、こんなことされるのは想定してなかった エフェクト取得できるなんて言わなきゃよかったかな
ヒナテア・オルブライト:む…質問が必要だなこれは
GM:なんでしょうかい
ヒナテア・オルブライト:《ロックンロールビート》で達成値が増えるのは攻撃のみ
ヒナテア・オルブライト:ナーヴジャック単体では攻撃扱いになりませんよね?
GM:そうですね 支援エフェクトや非ダメージエフェクトと同じ扱いになるでしょう
ヒナテア・オルブライト:致し方あるまい…《餓えし影》も組み合わせる
ヒナテア・オルブライト:くっそ~これで侵蝕率がおまけに1も増えてしまうぞ
ヒナテア・オルブライト:改めて《飢えし影》《原初の虚:ナーヴジャック》、対象はロードマスター
GM:コンセントレイトは入れませんか?
ヒナテア・オルブライト:RC射撃攻撃、命中すればメジャーアクションを行わせる。
ヒナテア・オルブライト:持ってない~
ヒナテア・オルブライト:だけど私には心強い味方がいるんだぜ
GM:そういえばサイレン型だったんだ だけどそれで命中するかしらねえ~
七十橋シスル:ではこちらは《フラッシュゲイズ》。ロードマスターのリアクションダイス-8。
"ロードマスター":ギャッ
"ロードマスター":だが焼け石に水!ロードマスター全能力値が二桁あるし
"ロードマスター":侵蝕も250あるからダイスボーナスも+5だ
竜胆ジョウカ:振るんだな!ではちょっと待った 判定前に宣言させてもらうぜ
ヒナテア・オルブライト:ジョウカさんも……頼めるか!
竜胆ジョウカ:ロードマスターに 興味/〇殺意 でロイスを所得。そしてこれを確実に殺すという意思を込めてSロイスに指定!
竜胆ジョウカ:即座に昇華し、使用する効果は……黒!!
竜胆ジョウカ:ロードマスターの達成値を-20します。これでなんとかナレーーーーッ!!!!!
ヒナテア・オルブライト:暗黒に染まれ!それでは…命中判定!
ヒナテア・オルブライト:7dx+24
DoubleCross : (7DX10+24) → 10[2,2,3,4,7,9,10]+2[2]+24 → 36
ヒナテア・オルブライト:太陽は回るぜ
"ロードマスター":飢えし影を組み合わせているので、ドッジでもリアクションできるのですが
"ロードマスター":技能的により得意な意思のほうでリアクションしましょう。
"ロードマスター":10dx-4
DoubleCross : (10DX10-4) → 10[1,2,4,4,6,7,8,9,9,10]+10[10]+3[3]-4 → 19
ヒナテア・オルブライト:意志16あったってこと?
"ロードマスター":そうです。「めちゃくちゃ意思が強い」なんて普段フレーバーでしか設定しないデータなので
"ロードマスター":そもそも使う機会ないと思ってたんですけど
GM:おまけTIPSとしてロードマスターの技能能力値を一部公開します
白兵10
回避3
射撃7
知覚7
RC10
意思16
知識:遺産11
交渉6
調達13
情報:ノヴァリス7
情報:FH7
情報:噂話7
ヒナテア・オルブライト:白兵より知識:遺産より調達より意志が強いのも納得の怪物だった
七十橋シスル:噂話得意なんだ
七十橋シスル:今度聞こう
ヒナテア・オルブライト:嫌な噂好きの友人
GM:キングダムの噂は全部聞いてるからね
ヒナテア・オルブライト:22+4d10 装甲無視
DoubleCross : (22+4D10) → 22+27[10,1,6,10] → 49
GM:では攻撃ダメージを算出してもらいましょう
"ロードマスター":「シテラスクX字戒(グフィヴの蔵書)」。
"ロードマスター":49点のHPダメージを反射します。
ヒナテア・オルブライト:NPCカード:キングダム連合学院生徒の使用回数、2回使って残り(17 → 15)回
ヒナテア・オルブライト:0ダメージに抑えます
ヒナテア・オルブライト:そして……ナーヴジャックの効果!
ヒナテア・オルブライト:回数制限のあるエフェクトを使用しない限りにおいて、全力の一撃を自エンゲージのエネミーに放ってもらう。
GM:こんな小賢しい真似をしてくるとは
GM:許せん!
ヒナテア・オルブライト:使用武器は世界喰らいの軸、ギガンティックモードを組み合わせればロードマスター、怪異、排撃系全て殴れるはずだ!
ヒナテア・オルブライト:すべてのアイテムを破壊しろ~!
GM:だが忘れない内にヒナテアさんにも代償は支払ってもらおうか
GM:誰もナーブジャックを使わない理由!もちろん分かっているだろうな
ヒナテア・オルブライト:悪役っぽいからかな
ヒナテア・オルブライト:4d10+3 コピーしてる分+2だぜ
DoubleCross : (4D10+3) → 21[4,9,4,4]+3 → 24
ヒナテア・オルブライト:ヒナテア・オルブライトの侵蝕率を24増加(133 → 157)
ヒナテア・オルブライト:ふ…ほどほど
GM:常識的な数値には収まったか
GM:効果を考えると安いとすら言っていいかもしれない
"ロードマスター":だが、とにかく攻撃を行います!
"ロードマスター":《コンセントレイト:モルフェウス》《カスタマイズ》《ブルータルウェポン》《炎神の怒り》《煉獄魔神》。
"ロードマスター":使用回数がないエフェクトはこれが全部だ
"ロードマスター":37dx7+10
DoubleCross : (37DX7+10) → 10[1,1,1,1,1,2,2,3,3,3,3,3,3,5,5,5,5,6,6,6,7,7,7,8,8,8,8,8,8,9,9,9,9,10,10,10,10]+10[1,1,2,2,2,3,3,4,6,7,7,7,8,8,9,9,10]+10[4,4,5,6,7,8,10,10]+2[1,1,2,2]+10 → 42
"ロードマスター":自分の攻撃なら装甲もガードも有効なので、ガード。
排撃系:《イベイジョン》なので全員命中。
怪異:暴走なので命中。
"ロードマスター":ダメージを算出します。
"ロードマスター":5d10+55
DoubleCross : (5D10+55) → 29[7,3,5,9,5]+55 → 84
排撃系:排撃系は全て撃破されました。
怪異:怪異はまだ生存。
"ロードマスター":ロードマスターは装甲+ガードで15点減らして69点のダメージ!
"ロードマスター":シテラスクX字戒でもこのダメージは返せない……「攻撃を行ってきた対象」にダメージを返す遺産だから
"ロードマスター":攻撃対象と攻撃者が同じ場合は意味を持たないのだ!
"ロードマスター":累計ダメージは667点です!
ヒナテア・オルブライト:攻撃が命中した対象が所持しているアイテムをすべて…破壊しろ!
"ロードマスター":なんでも破壊する最強の遺産が逆用された……!
"ロードマスター":HPダメージは3度めの200点オーバーですが
"ロードマスター":それとは関係なく、破壊可能な遺産アイテムは破壊されます。
"ロードマスター":ので、その前に使用可能なタイミングがあるアイテムは使用します。「強制起動者」。《極大消滅波》の回数を一回回復します。
"ロードマスター":《インフェルノ》でも良かったが……こちらの方が効率がいい!
"ロードマスター":「原初の混沌」も使いたいのですが
"ロードマスター":ちょっとどのアイテムが良いか検索します。5分ほどお待ち下さい。
ヒナテア・オルブライト:原初の混沌はIAでめちゃ弱体化されたからね…
ヒナテア・オルブライト:ユニークアイテムを取得する効果なため、スペシャルアイテムに分類されたエンブレムやリレーションはコピーできないのだ
"ロードマスター":うう~~ん、これしかないかな
"ロードマスター":「魔狼の心臓」で最大HPを+40します。
"ロードマスター":もちろんすぐ壊されるので最大HPは変わらないのですが、HP40回復相当のアイテムとして使いましょう
"ロードマスター":その他「贋作王の秘本:時の砂時計」「贋作王の秘本:予備心臓」は破壊されます……!
"ロードマスター":あとはもうHPで耐え続けるしかない!
"ロードマスター":手元に持っているのは礎の赤剣だけ。これだけはあらゆる効果で破壊されません。
ヒナテア・オルブライト:ありがとう礎の赤剣!
GM:それでは処理を再開しましょう。
"ロードマスター"[29/-667]
怪異[5]
モモカ[12/136]
オリーヴ[10/115]
2m
ヒナテア[13/157]
10m
ジョウカ[12/141] シスル[13/149]
GM:手番は行動値29、"ロードマスター"。
"ロードマスター":異星の記憶を失ったのでメジャーアクションのダイス数も大幅に低下しています。
"ロードマスター":ただ、《極大消滅波》や原初の混沌と同様に2ラウンド目用の切り札もまだまだあります。
"ロードマスター":今ので相当在庫を破壊されちゃったけど……
"ロードマスター":《コンセントレイト:モルフェウス》《カスタマイズ》《ブルータルウェポン》《炎神の怒り》《フレイムタン》《煉獄魔神》そして《ギガノトランス》。
"ロードマスター":全員を対象に、「礎の赤剣(世界喰らいの軸)」で攻撃します。
五辻モモカ:ちょっと……待った!少し賢者会議します
"ロードマスター":どうぞ!
五辻モモカ:お待たせしました!叡智の結晶はここで……切るべきだと結論付けました!
五辻モモカ:《砂塵の帳》命中判定を失敗にする。シナリオ1回、侵蝕7
五辻モモカ:誰も……傷つけさせない!
"ロードマスター":なら、この攻撃は無効化。
五辻モモカ:五辻モモカの侵蝕率を7増加(136 → 143)
GM:次のイニシアチブは行動値13ですが
"ロードマスター":《極大消滅波》をここで切ります。種がバレた以上エンゲージを分けられる可能性があるので
"ロードマスター":やはり、よりHPが低いモモカ&オリーヴのエンゲージを狙いましょう。
"ロードマスター":今回は狂想の火種はなし。8D10で振ります。
"ロードマスター":8d10
DoubleCross : (8D10) → 47[10,1,1,10,8,9,3,5] → 47
オリーヴ・ウェールズ:ウワーッ!
オリーヴ・ウェールズ:おねがい、します、皆さま……!
五辻モモカ:く……ッ2回ずつ……頼む!
ヒナテア・オルブライト:NPCカード:キングダム連合学院生徒の使用回数、4回使って残り(15 → 11)回
グレゴリオ生徒:法王様~♡
グレゴリオ生徒:大無罪よ~♡
五辻モモカ:え~~ん絶対成し遂げるからな~~
GM:イニシアチブも品切れ!行動値13。シスルかヒナテアさんの手番!
ヒナテア・オルブライト:私は待機しよう…
七十橋シスル:では私の手番!
七十橋シスル:マイナーで《陽炎の衣》、メジャーで《コンセントレイト:ウロボロス》《影縛りの魔弾》《要の陣形》
七十橋シスル:いや
七十橋シスル:念の為マイナーで《光芒の疾走》もしときます。
七十橋シスル:5m前進して孤立したあと、怪異とロードマスターに攻撃!
七十橋シスル:13dx7+14
DoubleCross : (13DX7+14) → 10[1,1,2,2,2,5,5,9,9,9,9,10,10]+10[1,1,2,4,5,7]+2[2]+14 → 36
"ロードマスター":ガード。ただ世界喰らいの軸はややガード値が劣り
"ロードマスター":3しか軽減できないのだ。しかも今回も影縛りの魔弾を使われてる……
怪異:怪異は暴走。
七十橋シスル:では本来の最大火力だーっ
七十橋シスル:4d10+11+4d10
DoubleCross : (4D10+11+4D10) → 20[6,7,2,5]+11+29[10,1,9,9] → 60
七十橋シスル:出目は悪くない ガード装甲有効
"ロードマスター":60点が素通しだ
怪異:怪異もそろそろ死ぬんじゃないか……?HPクソ高とはいえ
怪異:いや、まだ生きてるや。TOUGH
怪異:本来ならこいつが1ラウンドにつき1体増えてたんだけどな
七十橋シスル:侵蝕はさっきのフラッシュゲイズ分も合わせて、146→149→153→161
七十橋シスル:見えてきたな 死が
"ロードマスター"[29/-727]
怪異[5]
モモカ[12/136]
オリーヴ[10/115]
2m
ヒナテア[13/157]
5m
シスル[13/161]
5m
ジョウカ[12/141]
GM:それでは、行動値12の二人。
GM:ちなみにロードマスターはまだまだ瀕死ではありません。
GM:本来なら遺産融合者を一つずつ破壊していくバトルの想定だったので
GM:200点ダメージを複数回受ける想定のHPになっています。
五辻モモカ:では私が動こう!
五辻モモカ:まずはマイナー!
五辻モモカ:《インフィニティウェポン》攻撃力+19の白兵武器を作成。侵蝕3
五辻モモカ:五辻モモカの侵蝕率を3増加(143 → 146)
五辻モモカ:エンゲージはそのままなので
五辻モモカ:《咎人の剣+ストライクモード+クリスタライズ+コンセ》攻撃力+6d+72、装甲無視の白兵攻撃を行う。その後武器を破壊。侵蝕16
五辻モモカ:《砂の加護+砂塵霊》判定ダイス+7個、攻撃力+24
五辻モモカ:五辻モモカの侵蝕率を6増加(146 → 152)
五辻モモカ:13dx+8@7
DoubleCross : (13DX7+8) → 10[1,2,4,4,4,4,5,5,6,6,7,8,10]+10[1,8,10]+10[1,7]+10[10]+6[6]+8 → 54
"ロードマスター":やることは変わりません。ガード。
五辻モモカ:ダメージ
五辻モモカ:12d10+96
DoubleCross : (12D10+96) → 67[6,9,4,5,3,8,5,3,6,6,6,6]+96 → 163
"ロードマスター":強い……!もう軽減するすべは何もないので全部食らうしかない!
五辻モモカ:五辻モモカの侵蝕率を16増加(152 → 168)
GM:累計ダメージは-890。
"ロードマスター"[29/-890]
怪異[5]
モモカ[12/168]
オリーヴ[10/115]
2m
ヒナテア[13/157]
5m
シスル[13/161]
5m
ジョウカ[12/141]
GM:ジョウカさんの手番です。
竜胆ジョウカ:やるぞ!
竜胆ジョウカ:とはいってもやることは変わらないので
竜胆ジョウカ:メジャーでコンボ【ヴェントラグツァの風】。《サイレンの魔女》と《疾風迅雷》を組み合わせ、
竜胆ジョウカ:ロードマスターと怪異をしばきに行きます。ドッジ不可!
GM:SIMPLE
竜胆ジョウカ:12dx 100とかでないかな、間違って
DoubleCross : (12DX10) → 10[1,2,3,4,5,5,7,7,8,8,9,10]+10[10]+3[3] → 23
竜胆ジョウカ:結構出たな
GM:もちろん両者ともそのまま受けます。ダメージをどうぞ。
竜胆ジョウカ:3d10+24+5d10+2d10 装甲無視!
DoubleCross : (3D10+24+5D10+2D10) → 12[5,3,4]+24+30[9,5,6,3,7]+9[3,6] → 75
"ロードマスター":やっぱり強い……!累計ダメージは955点に。
怪異:そしてしぶとく生き残ってた怪異も
怪異:さすがに死にました!撃破!
竜胆ジョウカ:しゃあっ!二度と湧いてくんな!
怪異:また湧きたいよ~
GM:侵蝕を上昇させてください。次は行動値10のオリーヴさんになります。
オリーヴ・ウェールズ:はい
オリーヴ・ウェールズ:マイナーで聖剣起動。メインプロセスのc値を-2します
竜胆ジョウカ:2ラウンド目の行動終了で、侵蝕率は141+8=149になります
オリーヴ・ウェールズ:メジャーアクション
オリーヴ・ウェールズ:メジャーで【覇鍵解錠:■■の■】《赤:カスタマイズ》《コンセントレイト:ウロボロス》
GM:とんでもなく卑猥な単語が……?
オリーヴ・ウェールズ:判定前に【聖霊の加護】《砂の加護》《砂塵霊》。侵蝕を+6しダイスを5個追加
竜胆ジョウカ:そこに合わせて《援護の風》!ダイスを8個増やしな!
竜胆ジョウカ:侵蝕率は151~
オリーヴ・ウェールズ:合わせて14個追加!
オリーヴ・ウェールズ:さらに……ロイスをタイタス化します。
オリーヴ・ウェールズ:その前に最後の枠を取得。
オリーヴ・ウェールズ:ロードマスター:●救済/嫌悪
生徒たち:●救済/悔悟
オリーヴ・ウェールズ:さらに鉄騎王様へのロイスを●尊敬/-に変更し
オリーヴ・ウェールズ:その全てをタイタス化、c値を-3します
オリーヴ・ウェールズ:ロードマスターに攻撃……!
"ロードマスター":ウオオオオ
オリーヴ・ウェールズ:23dx2
DoubleCross : (23DX2) → 10[1,1,2,2,3,3,4,4,4,4,5,6,6,6,6,7,7,8,8,9,9,9,9]+10[2,2,3,3,3,4,4,4,4,4,4,5,7,7,7,7,8,8,8,9,10]+10[1,2,2,2,3,3,4,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,10,10,10,10]+10[1,2,4,4,4,4,5,5,6,6,7,7,7,8,8,8,9,9,10,10]+10[1,1,1,1,2,2,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7,9,9,10]+10[1,2,3,4,5,5,5,6,6,8,8,8,8,10,10]+10[1,2,2,2,4,5,6,6,6,6,8,8,9,10]+10[1,2,3,5,5,5,6,8,8,8,9,9,9]+10[2,2,3,4,5,6,7,7,8,8,8,8]+10[1,1,2,2,4,5,7,7,8,10,10,10]+10[1,3,3,3,4,4,5,5,6,8]+10[1,1,2,2,4,6,7,7,9]+10[1,3,3,4,6,8,9]+10[1,1,2,4,5,7]+10[3,5,8,10]+10[1,9,9,10]+10[3,8,9]+10[1,7,9]+10[7,10]+10[7,9]+10[7,10]+10[4,5]+10[5,10]+10[3,5]+10[4,9]+10[2,7]+10[3,5]+10[1,4]+10[4]+10[10]+10[4]+1[1] → 311
七十橋シスル:ではエフェクト習得権を使います。《原初の紫:妖精の手》。
GM:認めましょう……!
七十橋シスル:基礎侵蝕+4で165、さらに妖精の手を使用で170。
七十橋シスル:回すのです!
オリーヴ・ウェールズ:320から!
オリーヴ・ウェールズ:1dx2+320
DoubleCross : (1DX2+320) → 10[3]+10[7]+10[2]+10[10]+10[8]+10[2]+10[8]+10[6]+10[7]+10[4]+10[5]+10[4]+10[3]+10[8]+10[4]+10[8]+10[7]+10[10]+1[1]+320 → 501
オリーヴ・ウェールズ:うおおおおおおおおおおお
"ロードマスター":受けきってやるッ!リアクションは変わらずガード!!
オリーヴ・ウェールズ:51d10+2d10+16+15
DoubleCross : (51D10+2D10+16+15) → 291[10,3,8,3,2,9,9,9,3,2,8,3,2,10,2,5,9,8,9,6,4,9,4,1,10,4,8,5,2,2,5,3,7,8,7,3,5,10,7,7,10,8,7,7,7,1,6,7,3,2,2]+13[6,7]+16+15 → 335
"ロードマスター":うッ……そのダメージは……!
"ロードマスター":"ロードマスター"のHPについてですが
"ロードマスター":元々200点ごとに遺産を破壊していく想定だったのもあり、遺産融合者の+700に加えて、限界まで生命増強を搭載しており
"ロードマスター":《生命増強I》の+300、《生命増強II》の+200と合わせて
"ロードマスター":合計HPは1255。さらに先程取得した魔狼の心臓で+40されていました。
"ロードマスター":よって、(途中で最大HPは元に戻りましたが)実質HPは1295。
"ロードマスター":ただいまの合計ダメージは、890にジョウカさんの75点が加算され、965点
"ロードマスター":に、335点が入り
"ロードマスター":1300点!"ロードマスター"撃破です!
"ロードマスター":予備心臓での復活もありません!戦闘終了。
五辻モモカ:うおおおおお!!!!!!!聖剣最強!!!
竜胆ジョウカ:ワアアアアアア!!!!聖剣最強!!!!
七十橋シスル:うおおおおおお!!! 聖剣最強!!!!!!
ヒナテア・オルブライト:聖剣、最強!
オリーヴ・ウェールズ:……最後の侵蝕を上昇させます
オリーヴ・ウェールズ:121から……5増えて126!
七十橋シスル:オリーヴさんへロイスを取得します 懸ける:○/罪悪感 ロイス
GM:――オリーヴ・ウェールズが星界正義の剣を継承した。
GM:王鍵の継承者は、今この戦場にいくらでもいる。この時点まで戦い続けられている生徒に限れば、むしろそちらが多数だろう。
GM:戦況の規模からすれば、ごく些細な変化に過ぎなかった。
"ロードマスター":「……生徒を残しすぎた」
"ロードマスター":ヒナテア・オルブライト。五辻モモカ。竜胆ジョウカ。七十橋シスル。
"ロードマスター":そうした、自らが才能を認めた強者達との激戦を繰り広げながらも。
"ロードマスター":まるで、ふと思い立ったように呟く。
"ロードマスター":「そうだな……不要か。王の戦闘を見せたところで、成長する見込みもない……」
GM:――ドッ、という爆発があった。
GM:眼前の敵への攻撃や防御ではない。後方で戦場を支援し、守り続ける生徒達が、
GM:まるで爆弾になったかのように、次々と爆発していた。
GM:地獄の熱を注ぎ込む呪詛である。呪詛耐性を備えていない生徒は……あるいは、加護の能力を他の誰かに集中していた生徒であるほど、容易く犠牲になった。
キングダム一般生徒:「あッ!」ドン!!
グレゴリオ生徒:「ぐっ!」
グレゴリオ生徒:「法王、さ……!」ド!
五辻モモカ:「貴様……ッ!何の真似だ!!」顔を歪め、振り返る。
"ロードマスター":「お目を汚しました」
"ロードマスター":「つまらぬ攻撃です。……遺産の力などではなく、私の技術に過ぎません」
五辻モモカ:「そんな事を……問うて居るのではない……!」
"ロードマスター":「王に今、学ばせるものではないと判断した故、封じておりましたが」
"ロードマスター":「少々整理が必要な数でしたので」
オリーヴ・ウェールズ:……聖剣を抱く王は、ただ目を伏せている。この戦場に。この惨状に。
"ロードマスター":「法王様。この私は……何度も……申し上げてきました」
"ロードマスター":「あなた方が、キングダム連合学院の意義に異を唱えるたびに、何度も」
"ロードマスター":「目の前で起こっていることなど、世界の悲劇に比べれば」
"ロードマスター":「とても小さく、取るに足らないことなのだと」
"ロードマスター":「我が王。あなた方はひとり残らず、日々の糧に飢えることなく。五体を失い苦しむことなく」
"ロードマスター":「死ぬことなく。未来を閉ざされてもいない――」
"ロードマスター":「そうでない者のことを考え、お救いなさいませ。外の世界の、ありとあらゆる救われぬ人々のことを」
五辻モモカ:「目の前で零れ落ちる小さな祈りを拾い上げられぬ者が世界など救えるものか!」
五辻モモカ:「空を見上げようとも足元で枯れ落ちる花が無かったことになるわけではない!!」
五辻モモカ:「私は、全て、全て!取りこぼさぬ!」
"ロードマスター":「ならば、強くならなければ」
"ロードマスター":「全てを取りこぼさぬ力と知性。それこそが私が、私の学園で身につけていただきたかったものでした」
"ロードマスター":「キングダム連合学院は不要。自由を縛る理事会も、私も不要。よろしいでしょう」
"ロードマスター":「――私も、いずれはそのようにすべきだと考えております。しかし……我が王。それは」
"ロードマスター":「あなた方が、ただ一人の王として完成に至った後の話でございます」
七十橋シスル:「――モモカァ!」惨劇を前に、高く叫んだ。
五辻モモカ:「……ッ」
七十橋シスル:「何秒持つ!」
七十橋シスル:シンプルな問いだ。だが、それは同時に一つの意味を内包している。
七十橋シスル:五辻モモカ一人で、何秒持つか。
五辻モモカ:瞳を閉じる。ロードマスターの手管はまだ完全に判明しているわけではない。何を隠し持っているのかも、分からない。正確に応える事は難しい。
五辻モモカ:だからこそ。
五辻モモカ:「お前達の──祈りが届くまで。この身を賭して持たせてみせる!」
"ロードマスター":「よろしいですか。法王様。オーヴァードが聖剣を用いる時は、尋常の西洋剣術のセオリーに沿うだけでは足りません」
"ロードマスター":「空けた側の腕は、防御のためではなく、照準のために用いるのです」
"ロードマスター":「法王様の『白面の祈り』であれば、間合いは、今の距離から半歩踏み込むのがよろしいでしょう」
"ロードマスター":「……このように!」
"ロードマスター":空間ごとえぐり取るような巨重が、モモカのすぐ横を通過したことが分かる。
"ロードマスター":当てようとしたわけではない。ギリギリ、モモカの全力の反応が追いつくように剣を振っている。
五辻モモカ:「この期に及んでまだ教壇の上に居るつもりか──ッ!」
"ロードマスター":「私は"ロードマスター"。滅びるその時まで、我が王の従者にございます」
五辻モモカ:その破壊的な圧を、ギリギリのところで身を躱しながら顔を顰める。
五辻モモカ:(業腹であるが、ロードマスターの視野は広い。余裕を持ったコレを相手取っていようと隙はいつまで立っても生まれぬ)
七十橋シスル:剣撃の音が遠い。彼女の、盤石の覚悟が擦り切れる前に、確認しなければならない。
七十橋シスル:「ジョウカ! ヒナテア!」 同時、赤熱した字を浮かばせる羊皮紙が二人の元に届く。
ヒナテア・オルブライト:「未だ敵手に余裕あり即ち我らに猶予ありさあ私に何を望む!」最速の口舌。
七十橋シスル:ジョウカに対しては、さらに欠片が一つ。最初の一撃で破壊された、キングダムの生徒が持つ不壊の遺産の、無惨な残骸。
竜胆ジョウカ:「――!?」自分もやった手だ。一瞬驚くが、なるべく見せないように。
七十橋シスル:問い1。あの世界軸の剣は。(『アレは、全ての遺産を破壊するか?』)
七十橋シスル:問い2。(『それを、ヒナテアの門の力で、ロードマスター自身に当てることは可能か?』)
竜胆ジョウカ:(はい。それ自身以外は)問い1に端的に返す。
竜胆ジョウカ:(原理は確定していませんが破壊されたのは恐らく十字教系。出力がかなり向上した中で壊されたならば、そう言って差し支えありません)
GM:世界軸そのものをぶつける剣は、即ち、世界全体に匹敵する存在格を備えているということになる。破壊されないものはあり得ない。
七十橋シスル:ジョウカの、ヒナテアの回答が全員の羊皮紙に浮かぶ。僅かな時間だが、そうしている間にもモモカの灯火が尽きていく。
ヒナテア・オルブライト:(否。門では届かぬ)問い2を否定し。
ヒナテア・オルブライト:(故にその先に手を伸ばす!錬金術の知恵を貸せ、ジョウカ!)力強く、笑う。
竜胆ジョウカ:「げえ」とんでもないことを言われている。が。やらなければならない。
七十橋シスル:(『どんな可能性でもいい! 今の、この面子以上の"回答"はねえ! 畳みかけろ!』)
GM:黄昏の中で、光が幾度も激突している。
GM:10人以上の生徒達の全力の支援と援護攻撃を受けて、五辻モモカはなお劣勢である。
GM:だが、それでも、法王たる五辻モモカの気迫は……
GM:他の生徒を優先して消し去ることを、"ロードマスター"に発想させない程に
GM:キングダム最大の敵を、単独で食い止め続けている。
五辻モモカ:「──ッアァ!!!」
"ロードマスター":「……」
五辻モモカ:振るった剣が砕ける。即座に再錬成。再び振るう。
"ロードマスター":攻撃は全て、不壊の剣を用いて受ける。次の一撃も、次の一撃も。
五辻モモカ:紙一重、紙一重、紙一重。積み重なった劣勢が白い肌に傷を作り続ける。
"ロードマスター":「我が王。我が生徒。あなた達には、一人残らず」
"ロードマスター":「輝かしい精神があり、無限の可能性があるように見える――」
"ロードマスター":「だが。だが。それだけでは足りないのです」
"ロードマスター":「この世界の何もかもが、あなた達を堕落させ、引きずり落とす!」
"ロードマスター":「ありとあらゆる増長を、喪失を、悲劇を、苦難を潜り抜けてなお!」
"ロードマスター":「君臨し続けることのできる、絶対の王を選定しなければならない!」
"ロードマスター":「この程度は!ノヴァリスで味わうような悲劇は!」
"ロードマスター":「王が統べるべき世界の、ほんの一端にすぎないのです!」
五辻モモカ:「……っ、はぁ……は、っぁ」
五辻モモカ:肩で息をし、聖剣を地面へと突き立てて。それでもなお視線はロードマスターへと向けられている。
五辻モモカ:「なればこそ──私たちは自らの力で乗り越えなければ、ならぬ……!」
五辻モモカ:「すべて、全てがお前に計算され尽くした瓶の中で、お前を越えるものなど生れは、しない!」
"ロードマスター":「法王様。あなたは素晴らしい。あなたの心はまだ折れていないのですから!」
"ロードマスター":「あるいは、あなたこそが本当の王なのですか?世の全ての邪悪を潜り抜けても――」
"ロードマスター":「堕ちることのない、本当の!」
"ロードマスター":斬撃が大地の果てまで走る。キングダム生徒が二人もその攻撃に巻き込まれて消滅したが
"ロードマスター":"ロードマスター"の目には、彼女らのことなど映っていないのだろう。
"ロードマスター":ただ、王を。救われぬ自分を、救い導く王だけを求めた七賢人。
五辻モモカ:「その問いの答えは……世界だけが知っている。断じて、断じてお前ではない!!」
五辻モモカ:心はいまだ折れず。しかし、体は限界を迎えた。破壊を躱す余力などなく、その身で受け止めるしかない。
五辻モモカ:だからこそ、好機は此処にしかない。
GM:歪み。痛みもなく、破壊もなく。
GM:ただ、ひどく細く小さなどこかへと巻き込まれるような感覚。
GM:礎の赤剣が直撃した者は、消滅する寸前にそうした感覚を味わうのだと、五辻モモカは理解する。
GM:だが。それと同時に。
五辻モモカ:突き立った聖剣を握る手に力を込め。静かに、瞳を開く。
五辻モモカ:「覇鍵──解錠」
五辻モモカ:紅く差し込む光から、白く輝く羽が零れる。聖剣を標にするように、その地を祝福する鐘が鳴る。
五辻モモカ:「統べて殉教へと至る道」
五辻モモカ:「是より我が国に如何なる邪悪も踏み入る事を許さぬ──!」
"ロードマスター":『円卓』の奪還により可能となった覇鍵解錠。それこそが生徒の切り札だった。"ロードマスター"も理解している。
"ロードマスター":故に、その希望をこそ打ち砕く意味があるのだと、彼は考えていた。
"ロードマスター":遺産は半ば自動的に発動している。悪意。敵意。全ての害を報復する『シテラスクX字戒』。
"ロードマスター":(使われましたな)(法王様)
"ロードマスター":自らの戦闘能力で覇鍵解錠を凌ぎ切れることは分かっていたが、遺産を発動する。
"ロードマスター":愚かな行動への応報こそが、教育となるからだ。
"ロードマスター":(残念です。これで一人)
五辻モモカ:誰かを害する意思など、この刃には一片たりとも込められてはいない。法王自身もその確信があったからこそ、解錠へと至った。
五辻モモカ:聖剣が発する暖かな光に触れて、優しく微笑む。
"ロードマスター":「――ッ」
"ロードマスター":「……?」
五辻モモカ:「己の、誰かの幸せを願う祈りに邪悪など──あるものか」
五辻モモカ:光は構えを取った時点でその形を失い、ただ輝かしくあるだけのものとなり果てた。
五辻モモカ:後はただ、その光に歩むべき道を示してやるだけでいい。
五辻モモカ:静かに、ロードマスターを指し示す。
五辻モモカ:「討ち果たすのではない。滅ぼすのではない。ただ、越えて行け──!」
五辻モモカ:「お前達の道は幸福へと繋がっているのだから!」
五辻モモカ:願いそのものが、ロードマスターを貫く。ただ、幸福へ向かう中途として。
"ロードマスター":「……………そんな」
"ロードマスター":「挙動をする、王鍵では、ないはず……」
"ロードマスター":光が通過した。今、ロードマスターの右胸からは向こう側の景色が見える。
"ロードマスター":「……『白面の祈り』……」
"ロードマスター":「単一の意思で行使される遺産ではない……」
"ロードマスター":「無数の意思……継承者本人だけの遺産ではない、なら……予測のつかない、挙動を示すことがあるのか……」
五辻モモカ:「…………国とは……っそういう、ものだ」
"ロードマスター":"ロードマスター"は、人間であれば致命傷の傷を負っていたが
"ロードマスター":動きを止めているのは、ダメージによるものではない。予期せぬ事態に驚愕し、分析しているためだった。
五辻モモカ:「……っ」
五辻モモカ:膝をつく。まだ、まだ。時間を稼がねばならない。
"ロードマスター":「それは、良くない……」
"ロードマスター":「……民の意思全てが反映される力など、混沌だ……」
"ロードマスター":「法王様……この戦いが終われば、あなたには別の王鍵を与えなければ……ならないでしょう……」
GM:"ロードマスター"。史上最強の遺産融合者。
GM:彼は、魂と意思以外の全てを遺産の代償として差し出した。
GM:または互いの代償が打ち消し合うように。他の何者かに代償を押し付けて。
GM:それは、王の育成を遂行するためだけの機械と成った、遺産の怪物である。
五辻モモカ:「この戦いが終わった時、お前がやるべき事など──なにも、ありはしない……ッ」
五辻モモカ:聖剣を支えに、立ち上がる。あと、あと少しの筈だ。
五辻モモカ:その瞬間まで、倒れることなど──
オリーヴ・ウェールズ:───歌が、聞こえた。
オリーヴ・ウェールズ:『……Kyrie eleison;』
オリーヴ・ウェールズ:それは、聖剣を抱きながら。口から零れる祈りであった。
オリーヴ・ウェールズ:『Christe eleison;』
オリーヴ・ウェールズ:戦場に涙し、犠牲に涙して。ただ、それに立ち向かいづづける者達に。
オリーヴ・ウェールズ:『Kyrie eleison;』
聖詠部:先程まで合唱していた聖詠部の声は、もうほとんどない。
聖詠部:その大半が、"ロードマスター"の気まぐれのような攻撃で消え去っていた。
聖詠部:あるいは、"鉄騎王"がその意志を託したオリーヴ・ウェールズただ一人を守るために、力を使い果たした。
ヒナテア・オルブライト:「──式は成った!残る要素は…祈りだけ!」
オリーヴ・ウェールズ:私達を庇い、または無念のままに戦場を去った、皆の祈りすらも込めて……ただ、謳う。
オリーヴ・ウェールズ:そうして、漸く───届く。
オリーヴ・ウェールズ:赤に染まるソラから小さい羽が、ひらり落つ。
オリーヴ・ウェールズ:それは、ヒナテア・オルブライトの手元へ。優しく着地して、体内に吸い込まれる。
オリーヴ・ウェールズ:数多の戦いと犠牲の果てに生まれた……一度きりの奇跡。不可能すらも捻じ曲げる天の福音が、其処に在った。
ヒナテア・オルブライト:「後は…」四肢に嵌りし黄金の環が、機動力と自由とを与える翼が外れ、無防備になる。
ヒナテア・オルブライト:「マカミ!皆!私を──」
"ロードマスター":その攻撃の兆しを
"ロードマスター":"ロードマスター"が見逃すはずなどなかった。
ヒナテア・オルブライト:「助けてくれ!」常にただ一人で駆けてきた理由を、飲み込む。
"ロードマスター":言葉もなく、世界崩壊の赤剣をヒナテアへと振るう。
GM:真空が走る。音すら飲み込まれる。斬撃の軌道は瞬時に到達する。
GM:ジッ、という音とともに、半身が消失した。
"月下王"州来マカミ:だがそれは、ヒナテア・オルブライトの身体ではない。
"月下王"州来マカミ:七本の脚と二つの顎を備えた異形の狼に変じ、軌道上に割り込んでいた、州来マカミである。
"月下王"州来マカミ:「ああ。よかった――」
"月下王"州来マカミ:「……楽しかった。せんそうは……」肉塊のようになって墜落する。
"月下王"州来マカミ:「悪い狼だって、いきていける」獣の顔が歪んで、笑ったように見える。
GM:転送光が瞬く。
"ロードマスター":"ロードマスター"はその犠牲を全く意に介していないようだった。
"ロードマスター":一度割り込まれたとしても、ただ、無慈悲に、もう一度斬撃を繰り出すだけだ。
ヒナテア・オルブライト:光の向こう、涙を流しながら悪鬼のように笑う。
"ロードマスター":「王の振る舞いではありません」
"ロードマスター":「あなたの行いは、全て」
ヒナテア・オルブライト:「私は初めて王らしくしたよ」
ヒナテア・オルブライト:「他人の力を、使うのさ!」
ヒナテア・オルブライト:タコスメラ宇宙閘の本質は、内的宇宙との接続である。
ヒナテア・オルブライト:故に見知った空間と繋がる。故に内なる衝動が夢を蝕む。故に心中にのみ輝く星々を招く。
ヒナテア・オルブライト:ならばその向こう側、円卓との接続とそこから至る経験の先に開く力は。
ヒナテア・オルブライト:「覇鍵ンン、解ッ錠!」
ヒナテア・オルブライト:「黎明かせ、『マテオオクニ夢鋳鉱炉』!」
ヒナテア・オルブライト:四つの環がヒナテアを囲み、回り、螺旋を描いて伸びてゆく。
"ロードマスター":礎の赤剣の不可視の破壊は、その中央のヒナテアを貫通する。
"ロードマスター":覇鍵解錠を展開し、狙いを定め、攻撃に移るよりも、"ロードマスター"がヒナテアを撃墜する方が早い――
"ロードマスター":それが分かっていたからこそ、州来マカミの介入にも全く動じることなく対応できた。
竜胆ジョウカ:が。「――機械でも認知症になるんですね!! こっちが本命ですよバーカ!!」
竜胆ジョウカ:(錬金術の知恵ってなんか勘違いしてないですか……!! 凄い事言う人だな全く!!)強引に割り込む。脳内では文句を垂れているが、同時に冷静な思考が回転している。
竜胆ジョウカ:これまでの戦いで、被害への反応も惜しんで遺産の数と効果を確認し続けていた。
竜胆ジョウカ:普段では有り得ないほどに一人の人間を見た。故に気づいた。
竜胆ジョウカ:(恐らく。私はこの戦場でもかなり上位に、アレの興味を惹いている)
竜胆ジョウカ:恐らく法王、黄道王に並んでだ。遺産効果を一個消したのがかなり効いている。
竜胆ジョウカ:そして、アレはどんな危機的状況でも、教育者であるが故に生徒の将来の鍵と成り得る要素は見逃さない。
竜胆ジョウカ:(だから。この方向なら、行ける)
竜胆ジョウカ:「医療部!! 全身おしゃかになったら治療頼みます!!」
竜胆ジョウカ:そう言いながら手袋の両手は、手印を結ぶかのように合わせていて。
竜胆ジョウカ:「来たらずとも取れ、“ムカト=ヒャンデル蓋し胴無し”――そして」
竜胆ジョウカ:「騭よ、“財禍賜わすリテパデウ”」
竜胆ジョウカ:「――両名、我が名の元に覇鍵解錠せよ!!」
竜胆ジョウカ:その瞬間。己の手と手の間から、眩い極彩の光芒が、強烈に立ち上がる。
竜胆ジョウカ:目と耳が灼かれるが、それでも手に取るように分かる。ロードマスターは、こちらに意識を割いた。
竜胆ジョウカ:近くで、黄道王がとんでもないことをしでかそうとしていても。
竜胆ジョウカ:ただでさえ有望視していた少女が、強奪したものと合わせ2つの王鍵に適合し。
竜胆ジョウカ:あまつさえ覇鍵解錠にまで至ったとのたまうのなら。それが如何なる結果を齎すかを、目に焼き付けようとするだろう。
"ロードマスター":果たして、竜胆ジョウカの予想通りだった。
"ロードマスター":今の一瞬まで、"ロードマスター"はヒナテア・オルブライトがどのような策を目論んでいたとしても
"ロードマスター":対応できるような意識の余裕を作りながら戦っていたはずだった。
"ロードマスター":(竜胆ジョウカ様)
"ロードマスター":(彼女なら……『円卓』を任せても良い。あるいは、全ての遺産を統べる王にすら)
竜胆ジョウカ:そう、通った――たとえ。手の中にあるものが、ただのスタングレネードで。
竜胆ジョウカ:色とりどりの光は、合流時の鉄騎王の電飾を拝借して流用したもので。
竜胆ジョウカ:詠唱も渦巻くマナも何もかも、ブラフなのだとしても。それが確定するまでは。
竜胆ジョウカ:「……ホントに馬鹿だ!! まんまと乗っかっちゃってるじゃあないですか!!」
"ロードマスター":「な」
"ロードマスター":「に」「を」
"ロードマスター":憤怒の呻きを漏らした。
"ロードマスター":誰よりも遺産を使いこなす――その才能を用いれば本当に、二種の遺産の同時覇鍵解錠さえ成し遂げられただろう少女が。
"ロードマスター":そうした真実全てを踏みにじるような行いを、無価値な一瞬のためだけに。
ヒナテア・オルブライト:「四周には清廉の気閃々たれば」右手を、伸ばす。
ヒナテア・オルブライト:「心霊の中枢に秘められたる美徳を」四つの螺旋が、腕に連なる。
ヒナテア・オルブライト:「我はしかとして見届けたり──即ち!」手の内には白き羽根。
ヒナテア・オルブライト:マテオオクニ夢鋳鉱炉とは錬金炉。認め、受け入れ、昇華する器。
ヒナテア・オルブライト:その対象は無限の試行の果て、人類最終の追求の結果。
ヒナテア・オルブライト:次元を閉じた、ただ一つの、不滅の世界軸に、己を投射する。
ヒナテア・オルブライト:「良くぞ来てくだされましたなぁ。良くぞ、良くぞ、来てくだされましたなぁ!」
"ロードマスター":すぐさま振るわれると思われた"ロードマスター"の一撃は
"ロードマスター":ヒナテア・オルブライトの予測よりも、遥かに、遥かに遅れていた。
"ロードマスター":それだけの怒りと失望が、"ロードマスター"の足を止めていた。そして……
ヒナテア・オルブライト:己の魂を広大で無限大な世界に擲ちながら、その場に残った口が紡ぐ。
ヒナテア・オルブライト:「私たちの視野は狭いのか、世界は果てしなく絶望に満ちているのか」
ヒナテア・オルブライト:「違いない、しかしそれは私たちが負ける理由にはならない」
ヒナテア・オルブライト:「足を止め、進めなくなったあなたよりも!前を見て歩み続ける私たちの方が!」
ヒナテア・オルブライト:錬金術の至高になど、小娘の妄想が届くわけもない。だから必要なものを求めた。
ヒナテア・オルブライト:歌声、祈り、錬金触媒。
ヒナテア・オルブライト:そして遺産を束ね、統合し、制御する装置。
ヒナテア・オルブライト:恩師が与えた円卓と、その機能に触れた碩学の叡智。
ヒナテア・オルブライト:恩師:ロードマスター/P感謝:N殺意〇 戦友:オリーヴ・ウェールズ/P憧憬〇:N劣等感
ヒナテア・オルブライト:「諦めず繋がろうとする、私たちの方が……!」
ヒナテア・オルブライト:赤き剣を、抱擁する。全身を灼熱に焦がしながら、異なる世界を受け入れる。
ヒナテア・オルブライト:そうして、その権限を一瞬だけ奪い取った。
"ロードマスター":「幻想だ」
"ロードマスター":「ありもしない、幻想に過ぎない!王に不要な全ては」
"ロードマスター":「破壊してしまえば良い!!」
"ロードマスター":激情のままに、教導の義務すら忘れて、"ロードマスター"はヒナテア・オルブライトを撃墜しようとした。
"ロードマスター":世界とその構成要素全てを崩す、礎の赤剣による攻撃だった。
ヒナテア・オルブライト:旧きレネゲイドの中でも一線を画す遺産の条件は、契約者とは異なる意志を持つこと。
ヒナテア・オルブライト:融合している遺産はどうだろうか?それはちょっと考えていなかったが。
ヒナテア・オルブライト:同じこと、今は私も中に在る。
ヒナテア・オルブライト:「魔術にばかりかまけて、この力の名を忘れていないか?」
ヒナテア・オルブライト:「数えたり、量れり、分かれたり」
ヒナテア・オルブライト:「叛逆の、烽火を上っげろぉ!」
ヒナテア・オルブライト:たとえ融合していようと、理外の存在であろうと、その力はレネゲイド。
ヒナテア・オルブライト:異なるを排他し、抗い、反発する力。
ヒナテア・オルブライト:反乱を吹き込まれた赤き剣が、瑠璃天光に輝き、主を裏切る。
ヒナテア・オルブライト:「道を開くのが、私の王道だ!」
GM: という、最初に聞いたものと同じ音が響いた。
GM:大地が抉れる。空気が渦となって吸い込まれる。
GM:螺旋を描く破壊の奔流が、ヒナテアではなく、"ロードマスター"を起点に炸裂していた。
"ロードマスター":「……ッ、馬鹿……な……!!!!」
"ロードマスター":すべてを滅ぼす赤剣を、自分自身の体に突き立てている。
"ロードマスター":"ロードマスター"自身も、自分が、自分自身に他ならない遺産が、何故そうしたのかを理解できずにいる。
"ロードマスター":「何を、何を……」
"ロードマスター":「何を、した……!ヒ……ヒナテア……………オルブライト……!」
"ロードマスター":「あってはならない」
"ロードマスター":「………ゲハッ、ガッ、こんなことが――私の、私の理解を越えることなど」
"ロードマスター":「……起こるはずが、ない……!!!!」
ヒナテア・オルブライト:「彼方に手を伸ばした……いつものことさ」身を焦がし、死に体。
ヒナテア・オルブライト:「最期ぐらいは喜んで欲しかったのにな、想像を超えられて」
"ロードマスター":「……なんだと?」
"ロードマスター":「想像を越えて、世界を……越えて」
"ロードマスター":「……喜ぶ?この、私が……」
"ロードマスター":大半が引き裂かれ、失われた機械の身体から、廃液や内臓のようなものが溢れだしている。
"ロードマスター":「…………世界は。あなた達の知らない世界は、もっと理不尽だ。まだ、まだ……」
"ロードマスター":「こんな程度ではない。まだ……!!」
"ロードマスター":「……私は!!!王を育てなければならない!!」
"ロードマスター":「この程度で、倒れる訳にはいかない!!」唯一残った剣を杖のように突き立てて、体を支える。
"ロードマスター":「いつまでも……無限に……選定する……!」
"ロードマスター":「私は……私だけは、そうし続けなければならない!」
"ロードマスター":「私が、方舟の積荷責任者なのだ!!」
七十橋シスル:「――ああ」
七十橋シスル:「そうだろうな。……このキングダムで、誰が、一番、呪われてるかと言やァ」
七十橋シスル:茨が、生まれ続けている。影を変換した茨が。
七十橋シスル:ただ古いだけの遺産は、覇鍵解錠したところで劇的な効果はない。ただ、燃える地平線を鎮めるように広がり続ける。
七十橋シスル:「お前だ」
七十橋シスル:七十橋シスルの呪詛は、他者の悪意を捉える。
七十橋シスル:民間の医療呪術師、カニングフォークの末裔である七十橋シスルは、治療というカテゴリを、"原因への攻撃術"と定義した。
七十橋シスル:放たれた呪いを、相手に返す。傷害者を呪うことで、もう二度と近づかせないようにする。実体無き脅威を呪うことで、恐怖を拭い去る。
"ロードマスター":壊れかけた機械のように、ただ、黄昏の中に立っている。
"ロードマスター":先程まで五辻モモカと打ち合っていた最強の遺産使いの面影はどこにもない。
"ロードマスター":だが、それでも、意思だけはある。
"ロードマスター":どんな有様になっても、どれだけ失い続けても。
"ロードマスター":まだ見ぬ本物の王を求めて、"ロードマスター"は、無限に同じことを続けるのだ。
七十橋シスル:呪詛の媒体はもうほとんど残っていない。ただ一つ。ここに来る前に、戯れに借りたものを胸から取り出す。
七十橋シスル:「アイツなら、もっと上手く出来るだろうな」
七十橋シスル:なんの術式も込められていない、聖詠部の十字架。
七十橋シスル:胸に掲げる。……破綻した白呪術師。シスルの才の理由であり、特有の捻れであり、悼みであり、歪みではあるが。
七十橋シスル:「おまえが花を掴めば、その花は散る」
七十橋シスル:「おまえは川の上に積もろうとする雪」
七十橋シスル:「夜を認められない、拙い子供」
七十橋シスル:……災厄に、消えよと呪うこと。
七十橋シスル:……害悪に、なくなれと呪うこと。
七十橋シスル:それは、少しだけ。
七十橋シスル:祈りに似ている。
七十橋シスル:「天上に輝く虹の橋は 嵐の前に掻き消える」
七十橋シスル:――――――――――広がって、広がって、広がった。茨の地平線。
七十橋シスル:その全てが、拙くも純粋な祈りに満ちた。
七十橋シスル:「さあ。来るぜロードマスター」
七十橋シスル:「方舟を落とす嵐が」
オリーヴ・ウェールズ:……輝きを携えた少女が、立っている。
オリーヴ・ウェールズ:少し前まで、王としてではなく、ただの民の一人として戦場に在った少女が。
オリーヴ・ウェールズ:今、確かに向き合っている。
オリーヴ・ウェールズ:その目に映るのは、悲哀、憐憫、そして……
オリーヴ・ウェールズ:「……ロードマスター」
オリーヴ・ウェールズ:その声には害意も、敵意すらも無かった。
オリーヴ・ウェールズ:ただ、ほんの少しだけ。王としての一歩を踏み出した。厳粛なもの。
オリーヴ・ウェールズ:「終わりなき貴方を、裁きましょう」
"ロードマスター":「止まる訳にはいかない……」
"ロードマスター":「私はもう、失望したくない」
"ロードマスター":「私では成れない」
"ロードマスター":「王が……王が欲しい……我が王……!」
"ロードマスター":「救いを求める者を……誰一人、取りこぼすことのない……」
オリーヴ・ウェールズ:(…………嗚呼、彼は)この期に及んで、理解が及んでしまった。分かってしまった。
オリーヴ・ウェールズ:(私と、同じだ)僅かであっても、彼の持つ願いを。救いを。
オリーヴ・ウェールズ:静かに、星界正義の剣を向ける。
オリーヴ・ウェールズ:彼に、相応しい行いはなんであろう。
オリーヴ・ウェールズ:ソドムとゴモラの都市を焼き尽くした火では───きっと、救えない。
オリーヴ・ウェールズ:(……でも、そう。貴方の名は裁きの熾天使。ならば、まだ)
オリーヴ・ウェールズ:(その先が、ある。)
オリーヴ・ウェールズ:遺産と自らを深く融合させる。祈りを捧げる。何処までも、何処までも。
オリーヴ・ウェールズ:そうして、駆け出した。慣れない剣を不格好に両手で構えて。
オリーヴ・ウェールズ:───ロードマスターと、彼の持つ光亡き剣の元へ。
"ロードマスター":もはや立つこともままならぬ"ロードマスター"は、
"ロードマスター":この日まで剣士でもなかった、聖詠部の一生徒の動きに、辛うじて反応した。
"ロードマスター":礎の赤剣が星界正義の剣を受ける。全てを滅殺する重力場を発動する余力がない。
"ロードマスター":「王ではない……!」
"ロードマスター":「お前たちは、違う……誰も……誰も、誰も……!」
オリーヴ・ウェールズ:しかして、その刃に罅が入る。少しずつ広がって、その果てに───二人の瞳に。
オリーヴ・ウェールズ:光が、見えた。
オリーヴ・ウェールズ:『それは、大いなる怒りの日。』
オリーヴ・ウェールズ:まるで、時間が止まったかのようだった。
オリーヴ・ウェールズ:ことばだけが、戦場に響いていく。
オリーヴ・ウェールズ:『ダビデとシビラの預言の如くに世界は須らく、灰燼に帰す。』
オリーヴ・ウェールズ:『恐れよ、計り知れぬ裁きに。畏れよ、隠し事は許されぬ。』
オリーヴ・ウェールズ:『審判者が来たりて、その何もかもが糾される。』
オリーヴ・ウェールズ:……それは、世界の終わりと共に訪れる最後の審判。
オリーヴ・ウェールズ:焔の剣を持つもの、熾天使ウリエルは───すべての魂に復活と裁きを下す、神の炎にして光。その具現である。
オリーヴ・ウェールズ:『それは、大いなる悲嘆の日。』
オリーヴ・ウェールズ:完全に崩壊した刀身からは、内に秘められた、真なる輝きのみがあふれ出す。
オリーヴ・ウェールズ:それは、戦場のたった二人だけを包んで。
オリーヴ・ウェールズ:『灰より蘇れ、罪ありし者。裁きこそが、おまえを待つ。』
オリーヴ・ウェールズ:『大いなる主よ、この者を赦し給え。』
オリーヴ・ウェールズ:『慈悲深き者よ───』
オリーヴ・ウェールズ:『今此処に、永久の安息を与えん。』
オリーヴ・ウェールズ:『……エィメン』
オリーヴ・ウェールズ:『────覇鍵解錠』
オリーヴ・ウェールズ:少女のその顔は、ただ、穏やかな顔を浮かべていた。
オリーヴ・ウェールズ:『怒りの日、涙の日』
オリーヴ・ウェールズ:ロードマスターの機械の身体が、その手に携える世界が。
オリーヴ・ウェールズ:その総てが記憶と共に遥かな昔日へ巻き戻り、その果てに崩壊し、また巻き戻る。
オリーヴ・ウェールズ:それは加速しな再生がら崩壊、螺再生旋のよ崩壊うに繰り再生返す崩壊。
オリーヴ・ウェールズ:終わ再生崩壊らない。悔い再崩壊生改める再生ま崩壊で、地再生獄の業崩壊火再生は身体崩壊再生崩壊を焼き続再生崩壊再生崩壊再生崩壊再生崩壊再生崩壊再生崩壊再生崩壊再生崩壊────
オリーヴ・ウェールズ:……永遠のような、一瞬。
オリーヴ・ウェールズ:しかし……何処までも、柔らかな光だった。
"ロードマスター":「王、様……!」過去。現在。人生の何もかもを流し込まれても
"ロードマスター":"ロードマスター"は破滅の只中で呻く。
"ロードマスター":時系列をどれほどかき乱されようと、終わりのない終わりに落ち果てようと。
"ロードマスター":生きてきた中でたった一つ、変わることのない願いだった。
"ロードマスター":「王様……」
"ロードマスター":「私を……救ってくれ……!王様……!」
オリーヴ・ウェールズ:そうして、その果てに。彼の身体に触れたのは。
オリーヴ・ウェールズ:少しだけ周りより背の高い、王となった少女の腕。
オリーヴ・ウェールズ:ただ、抱きしめていた。崩壊を迎える、彼の身体を。
GM:すべてを滅ぼす王鍵の継承者となったオリーヴ・ウェールズが選んだものは、慈悲だった。
GM:消し去るための力を、消し去らないようにできる。遺産が継承者の意思を真に反映するのならば
GM:そうした奇跡すらも起こった。だからこそ、遺産はその担い手を必要とするのかもしれない――
GM:だが。
"ロードマスター":「王、でないものが」
"ロードマスター":嗄れた、金属的な声だった。"ロードマスター"は剣を握っていない。
"ロードマスター":だが、その金属の腕が、オリーヴ・ウェールズの腹を貫いていた。
GM:夥しい血液が、オリーヴの背から溢れる。
"ロードマスター":「この私に……触れるな……!!」
"ロードマスター":『君臨者』を使用します。
GM:――空が、黒く染まりはじめていた。
GM:キングダム連合学院は、生徒の残存勢力の全てを投じて、"ロードマスター"を討つべく結集した。
GM:だが、"ロードマスター"は強すぎた。生徒は、"ロードマスター"一人のために結集しすぎた。
GM:竜骸が。騎狼犬が。ありとあらゆる呪術兵器が。戦闘エージェントが。
GM:力を使い果たした生徒達を掃討しようとしている。あるいは、"ロードマスター"をも巻き込むつもりであったかもしれない。
七十橋シスル:「オリーヴ!」 流血とともに崩れた女の名を呼ぶ
"ロードマスター":血に塗れた腕を引き抜いて、
オリーヴ・ウェールズ:「…………ぁ」
"ロードマスター":オリーヴ・ウェールズの身体を蹴倒すように突き飛ばす。
"ロードマスター":「私は滅びない」
"ロードマスター":「……使命を果たしていない。滅びる訳にはいかないから、滅びはしない」
オリーヴ・ウェールズ:ぐしゃり、と。地に墜ちる。背後の剣と共に、どろどろと血を零して。
五辻モモカ:「ッまだ、まだ私は……!」
竜胆ジョウカ:「あ゛ー……かなりヤバ……」余力で怪異を制圧したところでかなり限界だったが、なんとか立ち続けている。
五辻モモカ:身体を引き摺り、聖剣を杖のようにしながらオリーヴの元へ行こうとする。
GM:――ゴッ、という音があった。
GM:"ロードマスター"の破壊を目の当たりにした今となっては、遥かに小規模な威力であるかのように見えるが。
GM:白い光線が通過した後は、地面が綺麗な円柱状に抉れている。
竜胆ジョウカ:「あれも呪詛……か。そうか?」
七十橋シスル:糸車を回す。絡まった糸車が、ギシギシと音を立てている。限界だ。
GM:空を埋め尽くす竜骸の中にいくつか見える光は、理事会エージェントだろうか?
五辻モモカ:「───ッッ」
五辻モモカ:反射的に頭上を見上げる。
ヒナテア・オルブライト:「まだ終わっていないなら、続けるしかないか!」
GM:街路を破壊しながら現れ出るものがある。蛇群相である。誰も、もはや抵抗できる能力を持たない。
GM:幻獣兵器が。影の軍勢が。毒が。呪いが。銃撃が。
オリーヴ・ウェールズ:倒れながらもただ、手だけを伸ばしていた。その機械の一つの部品だけでも、理解が及んでしまったひとに。
七十橋シスル:「イナゴどもが、ここぞとばかりにぞろぞろとォ……!!!」
竜胆ジョウカ:「――連絡手段が残ってるやつ、他学区への救援も要請を! ここまで来ればもう大義名分とかどうにもならん!!」
竜胆ジョウカ:一応宣言してみる……が。それはそれまで持ちこたえさせる必要があることを意味する。
"血統王"バージニア・ダネシュティ:「――撤退だ!」後方で、"血統王"が叫んだ。
ヒナテア・オルブライト:「皆気張れよ!さもなくば私が第一戦功をあげてしま、う!?」
"血統王"バージニア・ダネシュティ:「間に合わなくなる!もう、我々には……」
"血統王"バージニア・ダネシュティ:「……余力がない!」
七十橋シスル:「アァ……!? ざけんな、"ロードマスター"は、今しか……!」
七十橋シスル:口から血反吐を吐きながら叫ぶ。もし万が一にも逃がせば、ロードマスターを再び討てる人材が揃うのは、奇跡のような確率だ。
"ロードマスター":「私は。私は、滅びない」破壊の只中に佇んだまま、ぶつぶつと呟き続けている。
"ロードマスター":「王だ。王が欲しい。私の……」
ヒナテア・オルブライト:「ここで止まれば先がない!私は止まれん!」
"ロードマスター":「……そうだ……最初から……」
ヒナテア・オルブライト:「キングダムを、終わらせないと……!」
"血統王"バージニア・ダネシュティ:「黙っていろヒナテア・オルブライトッ!」
"血統王"バージニア・ダネシュティ:血の蝙蝠を無数に飛ばして、ヒナテアを拘束する。「無理矢理にでも、連れて行く!」
五辻モモカ:「動けぬものを抱えろ……!今一度、時間を稼いで……っく」
竜胆ジョウカ:「……せめてクソ集団に巻き込ませる手段は残します! あれに抗う余力がない方に賭けます、賭けるしかないかと……!!」
"ロードマスター":「最初から……そうすればよかった……そうだ……」
"ロードマスター":足を引きずりながら、ずるずると、どこかへと去っていく。
"ロードマスター":惨めな背中だった。
竜胆ジョウカ:「マジでクソ元気ですねあんた……!!」ジャームになってまで。それを取れないのが、最後の最後に効いた。
七十橋シスル:「クソ……ッ!」 睨み付ける、その視界すら遮られる。何かのどこかの、小型の怪物の集団。
七十橋シスル:混沌。分析する余力もなく、それを薙ぎ払えるほどの力などない。
ヒナテア・オルブライト:「むごうが~っ!」じたばたしながら搬送される。
竜胆ジョウカ:「ここまで来れば、あれが寿命になりさえすれば『生徒でロードマスターを討った』とでっちあげられます!!」
竜胆ジョウカ:勝ち筋がない、とは言い切らない。撤退への言い訳を、全体に渡す。
キングダム一般生徒:「あと少しだった!!」
キングダム一般生徒:「あと少しだったのに!!!」泣き叫ぶ。
七十橋シスル:「ああ゛、クソッ! 分かってるよ!」
七十橋シスル:「口と手が余ってる奴、死ぬほど呪え!」
キングダム一般生徒:「みんな!立って!早く……!走って!」
竜胆ジョウカ:「最悪他の学区にぶつけりゃいいんですよあんなクソカス!! バーカ滅びろ!!」
五辻モモカ:「……あと、あともう一太刀……待て……ッ」
五辻モモカ:支えとしていた聖剣が砕け、地面へと倒れ伏す。
五辻モモカ:「──ごふッ」
五辻モモカ:過剰なレネゲイドの行使、そしてロードマスターと対峙し続けた事による負荷が急激に血反吐となって溢れ出る。
"血統王"バージニア・ダネシュティ:「……モモカッ!!」
"血統王"バージニア・ダネシュティ:異変に気づくが、ヒナテアを連れて逃げている最中に、取って返す余裕すらなかった。
竜胆ジョウカ:「私が拾うしかないかあ……!? 行きます!!」
オリーヴ・ウェールズ:ざり、と。砂利に爪を立てる。無理にでも立ち上がろうとして。
オリーヴ・ウェールズ:力を入れた途端に、腹から血が噴き出す。
七十橋シスル:「オリーヴはこっちが持ってく!」
七十橋シスル:身体があれでは、物理的に歩けない。
オリーヴ・ウェールズ:「待っ て、もう 眠っ て。どう、か……」
七十橋シスル:「お祈りはほどほどにしてろ……!」オリーヴの長身を背負うようにする。
五辻モモカ:「すまぬ……すま、ぬ」ジョウカの背で血を吐きながら掠れた声で呟く。
竜胆ジョウカ:「いよいしょ……っ……!! クッソ最後は体力勝負かあ!!」
竜胆ジョウカ:ターゲティング術式を最大限、逃亡者の方向へ投げつけながら。
ヒナテア・オルブライト:ひょうと飛ぶ金の環が、逃げる生徒らの身体を支えていく。
ヒナテア・オルブライト:「おのれ~~~~~っ!」
竜胆ジョウカ:「実際だいぶ遺産は壊れてんでね、まあ何とかなるでしょう!!」
竜胆ジョウカ:敢えて気丈なことばを吐く。次に備える。それが必要だからだ。
竜胆ジョウカ:「それとも案外、全部解決する機械仕掛けの――じゃないな。ご都合主義者が、今から来てくれるかもしれませんしね!!」
七十橋シスル:怪物の群れを茨で払う。「学区境界だ! 戦いが起きてねえ方なら数も薄い!」
ヒナテア・オルブライト:「やだーーーーーっ!」
ヒナテア・オルブライト:「みんな……みんながんばったのに~~~!」
GM:――八月革命。
GM:ノヴァリスの多くの学区は、長く生徒を支配してきた理事会への反逆を成功させた。
GM:連携する多数の遺産継承者――その絶大な総戦力によって、キングダム連合学院は最前線で理事会を食い止め続けたという。
GM:だが、その力を以てしてもなお、キングダム連合学院の力は強大すぎた。
GM:生徒達は多くの犠牲を出しながらも、支配の象徴たる最強の遺産融合者"ロードマスター"の命に迫った。
GM:しかしその"ロードマスター"すら、初めから捨て駒として、理事会の戦術に組み込まれていた。
GM:"ロードマスター"の打倒は叶わなかった。
GM:生徒達は潰走へと追い込まれた。
GM:キングダムは革命に敗北した。
GM:バックトラックです。
GM:今回使用されたEロイスは9個。
【Eロイス】
ダリオ・ガラヴェンタ「衝動侵蝕」「原初の恐怖」
"ロードマスター"「遺産融合者」「遺産融合者」「遺産融合者」「遺産融合者」「遺産融合者」「遺産融合者」「遺産融合者」
ヒナテア・オルブライト:融合し過ぎ!
ヒナテア・オルブライト:Eロイス分ふりま~す
ヒナテア・オルブライト:157-9d10
DoubleCross : (157-9D10) → 157-36[5,9,1,1,4,5,4,2,5] → 121
五辻モモカ:もらいます!!
五辻モモカ:五辻モモカの侵蝕率を9D10(→ 39)減少(168 → 129)
竜胆ジョウカ:振る振る振る振る振る
竜胆ジョウカ:151-9d10
DoubleCross : (151-9D10) → 151-44[5,4,1,3,5,9,8,4,5] → 107
七十橋シスル:170-9d10
DoubleCross : (170-9D10) → 170-71[9,9,7,4,9,6,8,10,9] → 99
オリーヴ・ウェールズ:126-9d10
DoubleCross : (126-9D10) → 126-67[7,9,10,4,7,6,10,5,9] → 59
七十橋シスル:は?
五辻モモカ:わお
竜胆ジョウカ:おめでとう
七十橋シスル:平均8??
ヒナテア・オルブライト:メモリー太陽/希望で10点引きつつ等倍
ヒナテア・オルブライト:121-5d10-10
DoubleCross : (121-5D10-10) → 121-14[1,2,7,2,2]-10 → 97
オリーヴ・ウェールズ:へりまくり、せっかくだからメモリーも使います
オリーヴ・ウェールズ:あぶない!!!!
ヒナテア・オルブライト:私バックトラック下手なんだよね
GM:こわ
オリーヴ・ウェールズ:49から……倍
オリーヴ・ウェールズ:49-4d10
DoubleCross : (49-4D10) → 49-25[9,8,7,1] → 24
オリーヴ・ウェールズ:3点!
五辻モモカ:信徒のメモリーで10点マイナス、119から通常振り!
五辻モモカ:五辻モモカの侵蝕率を5D10(→ 25)減少(119 → 94)
五辻モモカ:ふぅ~
ヒナテア・オルブライト:モモカちゃんも危なっかしい
七十橋シスル:メモリーで減らして、二倍振りするしかない
七十橋シスル:いやメモリーはいらんか。
七十橋シスル:最後のロイス枠、ジョウカさんに信頼:○/脅威でとってあります
七十橋シスル:99-12d10
DoubleCross : (99-12D10) → 99-75[6,9,3,10,10,8,5,1,4,6,10,3] → 24
七十橋シスル:3点。
竜胆ジョウカ:ロイス1枠取り損ねたな 助けたヒナデアさんに 〇尊敬/隔意 で取ろう
ヒナテア・オルブライト:えへへ~
竜胆ジョウカ:107-6d10 等倍!
DoubleCross : (107-6D10) → 107-26[5,10,6,3,1,1] → 81
ヒナテア・オルブライト:若返ってる
GM:では、経験点はいつもの5点とシナリオ10点として
GM:Dロイスは2つかな
【Dロイス】
ダリオ・ガラヴェンタ「遺産継承者」
"竜王"「遺産継承者」
ヒナテア・オルブライト:あっ敵だ
七十橋シスル:諸悪の根源だ
GM:なので、基礎経験点は21点。ここに皆さんの点数を足してもらいましょう。
ヒナテア・オルブライト:円卓持ってるのに1点分なのずっこいな
七十橋シスル:24点!
ヒナテア・オルブライト:26点!
五辻モモカ:26点だ~~~ッ!
オリーヴ・ウェールズ:24!
GM:間違えました。15+2+9なので
GM:26点が正しいです。いつもの5点を見落としてしまった
竜胆ジョウカ:では31!
七十橋シスル:29点だ~
GM:なのでみんなここに+5点するわよ~
ヒナテア・オルブライト:いつも故にね……!31!
五辻モモカ:では31ですわ~!
オリーヴ・ウェールズ:29!おにく!
【経験点】
粘土さん:26点
明寝マンさん:29点
ジェネリック半チャーハンさん:31点
アスハルさん:29点
もやし炒めさん:31点
GM(珪素):49点
GM:これでバックトラックまで全部終了!お疲れ様でした……!!
◆[PAST]Masterscene◆めでたし、めでたし
"ロードマスター":〈――結論から言えば、細胞の成長抑制には成功した〉
"ロードマスター":〈リエゾンロードやマスターエージェントに少数施された、テロメア修復術式の応用だという〉
"ロードマスター":〈彼らのような……長く、衰えず生き続ける超越者に、世を救い導く王の資質さえあったなら……〉
"ロードマスター":〈いずれにせよ……『彼女』の余命には何ら問題はないと診断された。初期成長こそ著しかったものの、常人以上に全盛期を謳歌できるはずだ……〉
"ロードマスター":〈540日目。『彼女』はまだ生き延び続けている。ジャーム化兆候もない……〉
"ロードマスター":〈……摂理の戒が関係している。オーヴァードの常識として信じがたい相互作用だが……〉
"ロードマスター":〈……だが、私は選択を迫られている〉
"ロードマスター":〈『天国派』は、このノヴァリスの外の世界をこそ……導き、救済しなければならない〉
"ロードマスター":〈『彼女』がどれほど優れた素質を示したとしても……ただ一度きりの奇跡の産物だとしても〉
"ロードマスター":〈それでも、『彼女』のことを王にはしたくないと願う〉
"ロードマスター":〈『彼女』はもう、文章を書けるようになった。一ヶ月前にはまだ、アルファベット表をじっと眺めていたのに〉
"ロードマスター":〈ペンを握る力がある。立って歩くことも出来るようになった……〉
"ロードマスター":〈全てを導く王――〉
"ロードマスター":〈――そんな過酷な運命を、私は、背負わせたくはない〉
行政部 執務室

GM:『八月革命』における不夜王の戦いは、既に終わっていた。
GM:彼女はキングダム連合学院の強固な監視体制を掻い潜り、この日の同時蜂起に備えて、ただ一人で全ての情勢をコントロールしてみせた。
GM:だが、全知とも呼ぶべき彼女ですら、この革命には奇跡を必要とした。決して、絶対の成功の確信があって成した策ではなかった。
GM:"ロードマスター"は無敵であり、理事会の戦力は莫大である。この戦いが生徒の勝利に終わる確率は、五割よりも低いだろう。
理事会エージェント:「……不夜王。ジェシカ・クロフォード。どうしてこんな馬鹿な真似をした?」
GM:『八月革命』が勃発した当初、理事会は真っ先に、キングダム内部の主犯格と見做した不夜王の行政部を制圧した。
GM:行政部に、他の部員は誰一人としていなかった。この日『通常通り』に回っていた政務の数々は、全て、不夜王がただ一人で処理していた。
GM:行政部制圧のために大量の戦闘エージェントを送り込んだ理事会は、それだけの戦力で、たった一人の生徒を包囲する形になった。
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:「わからないのですか?」

"不夜王"ジェシカ・クロフォード:平時と変わらぬ不機嫌そうな瞳で理事会エージェントと見上げる。
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:「そんなこと、貴方がたが『馬鹿な真似』しかしないからに決まっているでしょう」
理事会エージェント:「……。これはただの暴動だ。これまで何十回と、我々や、君が処理してきたのと同じような」
理事会エージェント:「そのたった一回のために、キングダムで最も恵まれた権力も才覚も投げ捨てるとは」
理事会エージェント:「心底、理解できん」
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:くつくつと笑う。
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:「同じようなものでしょう。」
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:「貴方がたの為に私の力を振るうのも」
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:「全てが徒労に終わり、私という存在がここで潰えるのも」
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:「『価値が無くなる』という意味では全く同じだ」
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:嘲るように言葉を吐き捨てる。
理事会エージェント:「……」苛立ったように溜息をつく。
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:「私は、私の『国』を作るために存在している」
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:「それを為すには、貴様らは邪魔なんだよ。」
理事会エージェント:「……拘束しろ!」
GM:――不夜王は、八月革命の最初の脱落者となった。
GM:だが、既に無意味だった。キングダム各地で、彼女が手配した通りに生徒達が蜂起し、
GM:何より、不夜王と共謀していた血統王が成し遂げた定時制の契約破棄は、理事会の予測を大きく裏切るものだった。
GM:本校舎および『鴉の塔』、大ノヴァリス博物館といった重要拠点の電撃的な制圧。
GM:そして"元老"天沼チギリの決断による、異例の開放裁定。理事会の反転攻勢による『鴉の塔』および本校舎の陥落……
GM:『円卓』起動による王鍵の機能停止。生徒達の奮戦による『円卓』の制御奪取。
GM:騎士王、海賊王の持ちうる限りの全戦力を投じ、続く累計六名の覇鍵解錠を撃ち込まれながらも討つことの叶わなかった"ロードマスター"。
GM:理事会に拘束されていた間、この革命が各地でどのように推移したかを、不夜王は自ら目の当たりにしたわけではない。
GM:無機質な拘禁施設に窓はなかった。十字冠転送で逃れようにも、自殺のための道具すらない。
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:その虚無の空間で
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:不夜王は一心不乱に字を書き連ねていた。
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:壁に、床に
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:自らの血でもって
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:『革命』の後に
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:新たに創生する理想の『王国』の構想を記し続けた。
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:不夜王が現在、現実に直面している職務から離れたのはノヴァリスに来て以来初めてのことだった。
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:その初めての『自由』を
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:彼女は未来に向けて思いを馳せることに使い切った。
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:オーヴァードというのは便利なものだ。いくら血を使っても果てることはない。
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:十字冠というのも便利なシステムだ。いくら肉体を酷使してもレネゲイドに呑まれることもない。
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:おかげで、朧げにしか見えていなかった理想の『国』の
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:永遠に続く幸福なる世界の、その輪郭を掴むことが出来る。
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:ああ、これを徒労と嘲笑うならば嘲笑うがいい。
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:だが、これは私にとって全てを投げ打っても為すべき価値がある───
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:────
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:不夜王が監禁されていた部屋が
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:彼女の血文字で埋まったのと。
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:彼女を夢想から呼び覚ます声が耳に届いたのは
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:ほぼ同時のことだった。
GM:拘禁施設から不夜王を救出したキングダムの生徒は、自身も傷だらけの状態だった。
GM:不夜王の部屋に辿り着くまで、何人かの転送者が出ていたこともすぐに分かった。
GM:熾烈な戦闘があったのだろう。廊下も、それに隣接する部屋も多くが破壊されて、炎上している。

キングダム一般生徒:「不夜王……様……よかった……!」
キングダム一般生徒:ジェシカに肩を貸しているつもりだろうが、どちらが支えているのかもわからない有様だった。
キングダム一般生徒:「よかった……ご無事で……」
キングダム一般生徒:「……申し訳、ありません……。こんなところまで……貴重な戦力を割いて、救出に……向かうなんて……」
キングダム一般生徒:「でも……もしかしたら……不夜王様も、理事会に、殺されてしまうかもって……そう思ったら……!」
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:「いや、いいタイミングだった。」
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:「ちょうど、夢を見るのも飽きた頃合だった。」
キングダム一般生徒:「ほ、本当なら……」泣きはらした顔で言う。
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:数瞬、深く目を瞑り、再び現実と向き合う。
キングダム一般生徒:「不夜王様には……もっと、休まれていてほしかった……!」
キングダム一般生徒:「力及ばず……申し訳、ございません……!」
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:…不機嫌な表情を崩さぬまま
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:小さくほほ笑む
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:「そう己を責めるなら。」
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:「私から直接罰を与えてやろう。」
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:「まずは君たちの知る限りの情報を私に与えろ。」
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:「全員同時で構わん。時間が勿体ないのだろう」
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:「一番と二番に報告を終えた者はあの部屋に書き起こした文字列を出来るだけ詳細に書き写せ」
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:「それがお前たちの未来となる。」
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:「革命の前線で戦うのと同等以上の価値があると心得よ」
キングダム一般生徒:「はい……!私も……」
キングダム一般生徒:「不夜王様の作る未来を……私も、見たく、思います……!」
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:「残りの者は、私についてこい」
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:「未来のため、現在の問題を処理するぞ」
GM:――そうしてジェシカ・クロフォードは、各地で起こった出来事の報告を聞いた。
GM:生徒達は敗北したのだという。彼女らは理事会に大きな打撃を与えたが、理事会による『円卓』掌握が痛手となり、戦力の立て直しを阻止することまではできなかった。
GM:理事会の残党にキングダム連合学院の現存勢力のみで立ち向かうことはもはや不可能だと、ジェシカには理解できた。
GM:雨月夜シオンに応じて決起した他学区の生徒達を頼るしかないかもしれない――彼女らの『革命』が成功していればの話だが。
GM:ただ一つ、キングダムの生徒の手で成し遂げられることが残っているとすれば、"ロードマスター"の抹殺だけだ。
GM:キングダムの最精鋭が、王鍵を含む総戦力を集中してなお滅ぼせなかった"ロードマスター"だが
GM:それでも、あの無敵の七賢人を、瀕死の状態にまで追い詰めていることだけは確かだった。
GM:理事会の総攻撃によって戦場が混沌に陥る中、"ロードマスター"はただ一人、『鴉の塔』へと向かったのだという。
GM:集められるだけの戦力をかき集めて、誰かが、引導を渡さなければならない。
GM:血統王、"ロードマスター"戦にて重傷。侵蝕過剰。
GM:金剛王、生徒間抗争にて戦闘不能。
GM:法王、"ロードマスター"戦にて重傷。侵蝕過剰。
GM:竜王、健在。ただし理事会戦力として。
GM:鉄騎王、"ロードマスター"戦にて戦闘不能。
GM:海賊王、"ロードマスター"戦にて戦闘不能。
GM:騎士王、"ロードマスター"戦にて戦闘不能。
GM:――生徒を率いることができる王は、もはや少ない。不夜王ただ一人しか残っていないのかもしれない。
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:現状の戦力でロードマスターの首に拘るのは戦術的には正着手ではない。
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:戦略的にも間違っている。
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:だが、政治家の視点で見ればもはやそれしか道は残されていなかった。
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:理事会の打倒に他の学園の介入を求めるのはもはや仕方のないことだ。
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:しかし、その場合でも
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:七賢人だけはキングダム単独で討ち取らねば
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:革命後のノヴァリスのパワーバランスにおいて、キングダムが大いに後れを取ることとなる
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:他の学園の生徒にロードマスターが討ち取られる事態だけは
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:絶対にあってはならないのだ。
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:例え、そのためにどれだけの犠牲を払おうとも
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:「行くぞ、諸君」
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:穏やかにほほ笑む
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:「何を強張っている?」
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:「死力を尽くしロードマスターを追い詰めた鉄騎王らを差し置き」
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:「革命の英雄となる冠を頂くことに罪悪感があるのか?」
キングダム一般生徒:「……それは……」事実、そう感じているのかもしれない。
キングダム一般生徒:「……ですが、ここで我々が立ち向かわなければ」
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:「その通り」
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:「戦場にはどうしようもないめぐり合わせというものがある。強者ほどそのことを知っている。」
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:「外野はどういうかはわからんが、この革命を矛を振るったもので諸君らの功を責めるものはおるまいよ」
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:「楽な仕事だ。手負いの老人の首をひねり」
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:「勝利の美酒に酔うとしようじゃないか」
GM:生徒達は頷く。心なしか、先程よりも目に生気が戻っているようにも見える。
GM:常に最悪を想定して手を打ってきた『あの』不夜王が、楽観的で、確実な保証をしてくれている。
GM:それは自分達の悲観的な主観よりも、ずっと確かなものであるはずだ。
キングダム一般生徒:「仲間が……各地の戦場に呼びかけております」
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:「うむ」
キングダム一般生徒:「残存兵力を集結させ、私達は最後の……いえ、決定的な反攻作戦を、不夜王様の指揮で行いたく思います」
GM:ジェシカが監禁されていた独房に向かっていた生徒達が戻ってくる。
GM:この短い間にあの莫大な文章を書き写すことができたのは、行政部でよく仕事をしてきたからだ。
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:蛇王の外套。
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:その名に代表される継承者の良心を喰らうという遺産を身に着けた不夜王が
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:兵らを騙して死地に向かわせることへの良心の呵責はない。
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:ただ、そんな自分に対し不愉快になるだけだ。
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:不機嫌そうに目を細めながら、鴉の塔を睨みつける。
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:「諸君、我らの手で革命で革命を終わらせるぞ」
キングダム王鍵管理施設 鴉の塔

GM:中央市街。隕石が直撃したかのような破壊と荒廃の只中で、辛うじてその殲滅範囲に巻き込まれることなく聳え立っている黒い塔がある。
GM:『鴉の塔』。それは、金獅子騎士団がこのキングダム連合学院へと持ち込んだ全ての王鍵の収蔵施設であり、
GM:無数の"目”を用いて生徒達を見張る監視塔であり、
GM:そして、"ロードマスター"にとっては……
GM:塔内の階段には、茶褐色の不気味な液体の帯がある。
GM:それは"ロードマスター"の破壊された駆体からとめどなく流れる、体液とも廃液ともつかない何かだ。

"ロードマスター":「王ではなかった……誰も、王ではなかった……!」
"ロードマスター":失望と悲嘆。彼の人生にはそれしかなかった。
"ロードマスター":体を再構築する余力も、もはや尽きている。
"ロードマスター":衰え果てた老人のように、壁に手を突きながら、高い塔の階段を登っていく。
"ロードマスター":「最初から……キングダムには、王など……いなかったのだ……」
GM:もはや喋り続けることも困難な体で、そう呟き続けているのは、ジャーム故の妄執であるが。
GM:この塔に"ロードマスター"がいる限り、彼の聞く音声と彼の見る映像は、秘匿された記録装置へと残り続ける。
"ロードマスター":「…………………………」
"ロードマスター":「私は」
GM:"ロードマスター"は、この塔の最上層には誰も踏み入らせはしなかった。
GM:遺産管理委員会の王鍵の多くは低層へと収蔵しており、中層の"目"の活動範囲にも厳しく制限をかけていた。
GM:かつては最上層へと立ち入ったエージェントもいるが、そうしたエージェントは様々な形でこのノヴァリスから消えた。
GM:秘密を守るためだ。
GM:"ロードマスター"は、他の理事会の誰にも、それを稀少事例のサンプルとして引き渡したくはなかった。
GM:それを誰かの王として擁立されたくはなかった。
"ロードマスター":「…………私は間違っていた」
"ロードマスター":「人の中から人を導く王を育て、選ぶ。そのような試みなど……初めから矛盾している」
"ロードマスター":「この世を救ってくれるような真実の王は、誰一人として……」
"ロードマスター":「ゲホッ、ガッ……」
"ロードマスター":「…………この世界からは、生まれない」
"ロードマスター":「そうだ……」
"ロードマスター":「……天から降りてきた者が、この理想を果たすべきなのだ」
"ロードマスター":「誰よりも、美しく、聡く、強く……私……私にとっての王は……」
GM:それには名前があった。
GM:いつしか忘れ去られていった、架空の、伝説の王からつけた名前。
"ロードマスター":「――ルキアこそが、真実の王だ」
GM:自分は、きっと父に愛されてはいないのだろう。
GM:寂しさや苦しさのような情動を身につけるよりも早くから、ルキア・ティベリアは、理性でそれを理解していた。
GM:狭い部屋の外へ出されたことはない。友達と触れ合うようなこともない。
GM:父は普通の親とは違って機械のような冷たい体をしていて、たまに自分の様子を見に来る。
GM:いくつか、会話をする。父にはいつもそれ以上に優先する仕事がたくさんあるみたいで、すぐにいなくなってしまう。
GM:物語や映像記録などの情報に基づけば、健全な親子関係とは程遠いものだと理解できた。
GM:それは、仕方のないことかもしれない、と思う。
GM:ルキア・ティベリアは、残虐で、気まぐれだった。
GM:少なくとも、優しい人間ではない。むしろ人が嫌がったり、傷つくことを楽しむ心の方が大きいのかもしれない。
GM:それも、理解していた。どれだけ自分が父の期待に応えても、難しい哲学や伝説の本を読んで、たくさんの遺産を使いこなしても。
GM:生まれつき、誰かに愛されるような人間でないことは分かっている。
GM:その日は、普段より、とても多くの音があった。戦いの音。
GM:下の世界で何かが起こっているらしい、と思う。けれど、ルキア・ティベリアにとってそれは、ずっと、自分とは無関係な世界の出来事だった。
"ロードマスター":「……ルキア……!」
GM:ルキアの部屋に現れた父の姿は、ひどく無残なものだった。
GM:元より正常な生命活動を行っていない体だったが、死にかけているのだとわかった。
"ロードマスター":「ルキア……来てくれ。お、お前を」
"ロードマスター":「お前に……全てを」
"ロードマスター":「世界をやる」
"ロードマスター":「……王に。王になってくれ。ルキア……」
GM:あの冷たい父が、自分にすがりつくように、そんな事を言った。
GM:そして、理解した。
ルキア・ティベリア:「……お父さん」
GM:――気付けていなかっただけだ。
GM:自分は……ずっと
GM:愛されていたのだ。
鴉の塔 下層

GM:階段を下りながら、父はたくさんの話をした。
GM:世界を導き、救ってくれる王のこと。
GM:この世界に満ちている、救われない人々のこと。
GM:"天国派"のこと。
GM:そして、まるで夢うつつのような、おとぎの国の話を。
"ロードマスター":「白い服がいい……ルキア……」
"ロードマスター":「……全ての上に君臨する……至上の王は……」
"ロードマスター":「穢れのない……白い服が……」
ルキア・ティベリア:「うん。……うん」
GM:どう答えるのが父の心を救うのか分からなくて、階段を降りていく体を支えて、相槌だけを打った。
GM:けれど、父の話は一つ残らず理解できたし、覚えていることだってできた。
"ロードマスター":「王鍵を……ルキア……」
"ロードマスター":「私の前で、王鍵を……継承……………」
"ロードマスター":「お前が、王になる姿を……」
"ロードマスター":「…………。見せて、くれ……ルキア……」
GM:無人の王鍵収容室だった。
GM:『開放裁定』で乱雑に取り出されたままになっているのだろう。
GM:数え切れないほどの剣が、杖が、槍が。王を象徴する、ありとあらゆる遺産があった。
GM:けれどそんな宝の山よりも、心を捉えたものがあった。
ルキア・ティベリア:(――ああ)
ルキア・ティベリア:(こんなに広かったんだ。この建物は)
GM:そんなことを思う。
GM:『世界をやる』。父が言ったその言葉は、死に際のうわ言に違いなかったが
GM:それがどれだけの重みを持つ言葉なのかは分かった。
ルキア・ティベリア:(もっと広い世界がある)
ルキア・ティベリア:(ただ、階層を降りただけでこうなんだから)
ルキア・ティベリア:(きっと、建物の外はもっと)
ルキア・ティベリア:(そのさらに外にも)
ルキア・ティベリア:(――世界は、広く)
ルキア・ティベリア:(果てしない)
GM:息絶えようとしている父を抱きしめようとした。
GM:自分が王になる。望みを受け継いで、きっと世界を良くしてみせる。
GM:そう言ってあげたかった。
GM:なぜなら自分はずっと父に愛されていて――
"ロードマスター":「ルキ……ア……」
GM:剣が、"ロードマスター"の心臓部を貫いていた。
ルキア・ティベリア:「……?」
GM:不思議そうに、自分の手が握っている
GM:白い長剣を眺めていた。
GM:ジャーム殺しの王鍵だった。
GM:王鍵に操られたわけではない。ルキアは明確に、それを理解した上で、手に取り、父を串刺しにした。
GM:理解している。
ルキア・ティベリア:「?」
ルキア・ティベリア:「?」
GM:父が、虚ろな鉄塊のように崩れた。ガラガラと、父の部品だったものが床に転がる音があった。
ルキア・ティベリア:「……??」
ルキア・ティベリア:「…………???」
GM:白い肌も服も、どす黒い褐色の血に塗れて
GM:ただ、自分の行いを不思議がり続けた。
"ロードマスター":〈『彼女』は最初から生存のできないオーヴァードだった〉
"ロードマスター":〈突然変異とはいえ、自意識を……絆を構築する機能を切除されたホムンクルスが素体である以上〉
"ロードマスター":〈『彼女』の心に絆が定着することはない〉
"ロードマスター":〈多くのジャームがそうであるように〉
"ロードマスター":〈彼女が抱いた絆は反転し、最も大切な者をこそ破壊する〉
GM:楽園の中でしか生きることを許されない――天の怪物。
GM:鴉の塔へと生徒達が踏み込んだその時には、全てが終わっていた。
GM:そこには完全に命を絶たれ、残骸と化して倒れ伏した"ロードマスター"と
GM:その返り血に塗れた、誰一人見知らぬ少女がいた。
GM:美しい少女だった。

"不夜王"ジェシカ・クロフォード:私は生涯後悔するだろう。
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:その時に漏らしてしまった言葉を。
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:常の私であれば絶対に言わない言葉だった。
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:僅かに理性が残っていれば選択肢にすら上がらない言葉だった。
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:だが、その光景は私から理性を剥ぎ取った。
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:彼女の無垢な輝きは私をも童心へ返した。
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:そして何よりも
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:彼女の底知れぬ威容が
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:私から人間の持つ原初の感情を呼び起こした。
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:だから、何者にも取り繕えない形で、その言葉を形にしてしまった。
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:「…………」
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:「………化け、物…」
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:時折思う。
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:私のこの一言が、彼女を本当の怪物にしてしまったのではないかと。
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:あの時、私が別の選択を選ぶことを出来ていれば今とは違う未来があったのではないかと。
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:『彼女の在り方が、私如きに左右されるはずはない』
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:彼女の特異性に縋るように、そんな思考も過る。実際に、それが正しいとも感じている。
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:だが、それでも、後悔と自責の念はいまだに消えない。
"不夜王"ジェシカ・クロフォード:私は、一人の少女を壊してしまった。
"至上王"ルキア・ティベリア:「血を」
"至上王"ルキア・ティベリア:自分を畏怖の目で見つめる生徒達を見下ろして、短く命じた。
"至上王"ルキア・ティベリア:「拭きなさい」
GM:生徒達は、従った。
GM:ジェシカ・クロフォードさえも、まるで有象無象の民のごとく命令を受け入れた。
GM:動けなかった者もいた。無意識の内に、跪いていたからだ。
GM:世界を救う王として、全てを従えるべく教育を施されてきたキングダムの生徒達は
GM:それ以上の主がこの世にあることを知った。
GM:――忽然と現れたルキア・ティベリアは、『八月革命』に勝利した。
GM:残存した生徒の手勢は僅かであったが、何一つ、彼女の絶大な力には関係なかった。
GM:現在のキングダム連合学院には、理事会時代の軍事要塞の名残は殆ど残っていない。
GM:"至上王"が通り過ぎた後には、その全てが圧壊して、崩れ、消滅したからだ。
GM:生徒にして重要な前線指揮官であった竜王の離反も、理事会の敗北を決定的にした。
GM:ルキア・ティベリアを見た伊藤算砂は、一目で全てを悟ることができた。
GM:――彼女こそが、"ロードマスター"の求め続けた『本物』なのだと。
GM:まるで悪い冗談のように、戦局は覆った。
GM:革命が終わり、理事会が根絶され、新たな円卓議会には
GM:"ロードマスター"を討ち、ただ一人で革命を勝利に導いたルキア・ティベリアが、第一席として君臨した。
GM:最後まで"ロードマスター"を追い詰めた英雄たちにまつわる物語は、その栄光に比べて、ごくささやかなものである。
GM:"黄道王"ヒナテア・オルブライトは、戦功の上でも実力の上でも新体制の円卓として相応しいと見られていた。
GM:だが、今のキングダム連合学院で彼女の名を聞くことはない。
GM:ヒナテア・オルブライトは円卓へと登用されるよりも先に、変わらなかったキングダムの王政へと、その刃を向けた。
GM:至上王は、容易く彼女を返り討ちにした。強大な黄道王が一方的に蹂躙される様は、キングダムの生徒の心胆を改めて寒からしめた。
GM:それですら、ヒナテアは最も健闘した反逆者だった。続く反逆者は、ほとんど遊び半分のように処刑されていった。
GM:精神が擦り切れるまで十字冠転送する。王鍵を破壊する。互いに決闘を行わせる。
GM:キングダムに刃を向けた者達の中で、ヒナテア・オルブライトこそが最強だった。やがて誰も円卓議会に逆らうことはなくなった。
GM:"拷問王"七十橋シスルは、当初、円卓への登用を固辞し続けた。
GM:そうした権威と格差をこそ唾棄していた。革命を成し遂げても変わらなかった世界は、彼女にとっては絶望だった。
GM:最終的に七十橋シスルの決断を促したのは、庇護すべき生徒達があまりに多かったためかもしれない。
GM:七十橋シスルは、『八月革命』で深刻な心的外傷を負った生徒達を、医療部として取りまとめることを表明した。
GM:七十橋シスルはたった一人の個人でしかなかったが、弱者である患者達に十分な庇護を与えられる力は、目の前にあった。
GM:"死蔵王"竜胆ジョウカは、全ての願いを叶えた。
GM:八月革命中の蛮行は多大な功績によって恩赦され、大ノヴァリス博物館館長として収蔵遺産の管理責任者となった。
GM:だが、竜胆ジョウカが求めた地位のためには、相応しい権力の座につくことが必要だった。
GM:遺産に無関係なものをも含む絶大な責任。政治的な会議や調整。得体の知れない至上王の重圧。
GM:それらは何もかも竜胆ジョウカの望んだものではなかったが、遺産のためであれば、耐え忍ぶこともできた。
GM:"鉄騎王"イリーナ・レシュリスカヤは、星界正義の剣の資格を完全に失った。
GM:八月革命後、イリーナは"鉄騎王"をオリーヴ・ウェールズに継承したことを正式に公表した。
GM:オリーヴ・ウェールズは先代とは異なり、常に全身を鎧で包み、名前すらも別人のごとく変えた。
GM:オリヴィエ・クロムハーツ。生徒に紛れ雑用に奉仕し、悪の芽を摘む新たな"鉄騎王"は――キングダムの生徒の殆どはそれを意識してはいなかったが。
GM:皮肉にも、誰よりもかつての"ロードマスター"に近い仕事を果たすようになった。
GM:"法王"五辻モモカは、自ら円卓の座から降りることを選んだ。
GM:八月革命の中で誰よりも多くの祈りを集約され、願われてきた五辻モモカは、最後には、生徒の願いを叶えることができなかった。
GM:円卓顧問として名を残しながら、今となっては、五辻モモカが円卓議会で意見を表明することはごく稀である。
GM:半ば隠居のように暮らす法王は、今も静かに、グレゴリオの祈りを聞き届け続けている。
GM:――そうして、キングダムの生徒達は八月革命に勝利を収め。
GM:新たな王国の日々が始まりました。
GM:めでたし、めでたし。
◆[CURRENT]Opening◆摂理の戒
キングダム王鍵管理施設 鴉の塔

GM:"至上王"ルキア・ティベリアは、暴君だった。
GM:だが同時に、暴君としての性質に決定的に反する行動をしていたことを、誰もが知っている。
GM:自分を嫌う者だけを重要な地位へと置いていた。
GM:騎士王も、海賊王も、鉄騎王も、元老も、心の内では叛意を抱えていた。不夜王は常に至上王を警戒し、彼女が命じた意図を捻じ曲げていた。
GM:――閲覧できた記録が正しいのであれば、ルキア・ティベリアの状態は、ある種の思考実験に近い。
GM:人が、人の心を持ちながらジャームのようになってしまう時、どのように振る舞うのか。
ウルスラ・ミック・ベニ:「──これが八月革命、ロードマスター」
ウルスラ・ミック・ベニ:「そして……ルキア・ティベリア」はらはらと涙を流し、喉に詰まった言葉を押し吐く。
オリヴィエ・クロムハーツ:「…………ああ」
オリヴィエ・クロムハーツ:ただ、手を合わせていた。祈っていた。そうせずにはいられなかった。
七十橋シスル:「よぉく覚えてる」
七十橋シスル:「俺たちの、クソみたいな敗北の記録だ」
有崎五派:顔を覆い、静かに震えている。視線は自らの足元に落とされていた。
竜胆ジョウカ:「うーん厄ネタ。真面目にこれどうするのがいいんですかね」
竜胆ジョウカ:「まあ我々がタコ負けしたのは事実だし過去なのでいいんですが。至上王ですよ問題は」
”元老”天沼チギリ:「……………そ、んな。」
”元老”天沼チギリ:「正しい、正しすぎる……。」
”元老”天沼チギリ:「”人主の患は人を信ずるに在り。人を信ずれば則ち人に制せらる。”」
”元老”天沼チギリ:「臣に信を置かない王こそが最も正しく国の上に立てる………。」
”元老”天沼チギリ:「正しすぎる。でもこれはもはや……」
”元老”天沼チギリ:「人の在り方ではない……」
”元老”天沼チギリ:はっとして他の王を見回す。
”元老”天沼チギリ:先ほど、もし糸口があるなら至上王を説き伏せると、決めたばかりなのに。
”元老”天沼チギリ:まるで”人ではない”と断じてしまった自分を恥じ入る。
”元老”天沼チギリ:「…………すみません。」
七十橋シスル:眼を細め、口元に手を当てている。
七十橋シスル:「あのイカれた"ロードマスター"が、心から王と奉ずる相手がいるとしたら」
七十橋シスル:「そのくらい前提から違う相手でなきゃ無理だったって、そういう話だろ」
オリヴィエ・クロムハーツ:「彼女は……ルキア・ティベリアは。心に人を想うことが出来なかった。手にすれば、壊してしまうから」
オリヴィエ・クロムハーツ:「……なら、それは。彼女が優しかったのか。寂しさを感じていたのか。壊したく、無かったのか」綺麗ごとかもしれない。真の彼女はそうでないのかもしれない。けれど。
オリヴィエ・クロムハーツ:「彼女は……自ら、孤高でいることを選んだ。ように、見えました……私には」ただ、そう思わずにはいられなかった。
竜胆ジョウカ:「まあ世界は広いですし、そういう人間もいなくはないので、至上王の抱える諸々もいずれは……と言いたいところですが」
竜胆ジョウカ:「精神部分の諸々にしても重度ですし、何よりOVなのが重いですね。乗り越えるとか以前にジャームになるのが」
七十橋シスル:「こん中に、至上王に神聖二重冠が出たのを見たことあるやつは?」
”元老”天沼チギリ:首を横に振る
竜胆ジョウカ:「いえ」
七十橋シスル:「お前の時も出てはねえよな。ウルスラ」
オリヴィエ・クロムハーツ:首を横に振り、相対したウルスラの方を向く。
ウルスラ・ミック・ベニ:「今回は怒らないでよ?ボクは……ボクとミズキちゃんが行けたのは、ちょっと傷を付けるところまでだよ」
ウルスラ・ミック・ベニ:「あの子が全力を出す機会も、動機もこれまではなかったんだろうね」
竜胆ジョウカ:「力量差が有効に働くこともあるんですね……」
七十橋シスル:「ならいい。……単純な、対策だけで言うなら」
七十橋シスル:「…………」
七十橋シスル:考え込む。
七十橋シスル:「いや、……ナシだな」
”元老”天沼チギリ:「……………。」それを責めることもしない。この状況で打開策を思いつけというのも無理があるだろう。
”元老”天沼チギリ:肩を落としじっと拷問王の紡ぐ言葉に耳を傾けている。
七十橋シスル:「至上王は、今はオーヴァードだ。王鍵だって、記録見る限りは、たまたまあの時に拾っただけ」
七十橋シスル:「つまりあの隔絶した力それ自体は、俺たちと同じ条件から生まれてる。ジャーム化なんかさせたら、どうなるか」
オリヴィエ・クロムハーツ:「結果……齎されるものは、これまでの比ではないということ」
ウルスラ・ミック・ベニ:「ジャーム化なんかさせたら、ね」
七十橋シスル:自分の頭部の十字冠を見上げる。「気に食わねえ代物だと思ってたが、これが生命線になっちまうとはな」
竜胆ジョウカ:「あとはまあ本当に最悪の話として、全てを放棄して外に押し付けたとしても。キングダム関連の諸々の風評はこの世の終わりになるでしょうね」
竜胆ジョウカ:「個人的にも外の全てが焼き尽くされるのは嫌なので、これはナシですが」
有崎五派:「……………」
オリヴィエ・クロムハーツ:(……奇跡でも、起こることを願うしかないのだろうか)
七十橋シスル:「めんどっくっせえ、女……」
”元老”天沼チギリ:「先、生。」
”元老”天沼チギリ:「十字冠のないあなたには、危険すぎる状況です。」
”元老”天沼チギリ:「特にあなたは直接戦闘する術もないはず。」
”元老”天沼チギリ:「ここはもう結構です。」
”元老”天沼チギリ:「あとは別のものに任せて、職員室に状況を報せてください。」
有崎五派:「………~~~ッ」
有崎五派:視線を上げないまま、拳を握りしめる。
”元老”天沼チギリ:「………来ていただき、ありがとうございました。」
”元老”天沼チギリ:「騒動が落ち着いたらまたお茶を飲みましょう。」
”元老”天沼チギリ:にこりと笑う
有崎五派:チギリの言葉の後、暫くの沈黙が続き。
有崎五派:握りしめた拳の力がゆっくりと緩められる。そして──
有崎五派:「やだ!!!!!!!!!!!!!」
”元老”天沼チギリ:笑顔が、崩れる。
有崎五派:勢いよく上げられた顔は涙を滲ませ、崩れたメイクが不格好ですらあった。
七十橋シスル:きぃん、とした大声に表情を歪める。
オリヴィエ・クロムハーツ:「……先生、貴女は……」その決断に、先から伏せていた顔を上げて。
ウルスラ・ミック・ベニ:「ふふっ」
ウルスラ・ミック・ベニ:「そういうとこだよね、ごはせん」
有崎五派:「…………私じゃないと解決できない、とは言わない。むしろ、私じゃない方が良いかもしれない」
有崎五派:「でも、今ここに居るのは私」
有崎五派:実際の所、キングダムは解決能力の高い"先生"を呼びたくないからこそ有崎五派は此処に居る。
有崎五派:「キングダムの、政治情勢だとか。他の学区との諍いだとか」
有崎五派:「私には……まだ分からない。分かるべきだって思うけど、まだ私にとってスケールの大きい話よ」
有崎五派:「でも……でも!!」
有崎五派:「誰とも友達になれなくて、一人で部屋に閉じこもってる子供が居て!」
有崎五派:「大人の私がはいそうですかで帰れるか!!」
有崎五派:「そんなの、そんなの先生じゃない!!」
有崎五派:「ここで大人しく帰るような人間ならねえ!私は初めからノヴァリスなんて来てないっての!!」
有崎五派:「あっでもお茶はする!全部、ぜーーーんぶ丸く収めてからね!」
”元老”天沼チギリ:「…………っ」
有崎五派:びし、と泣き腫らした顔のままチギリへ向き直る。
”元老”天沼チギリ:「わ、わかってくださいよそっちこそ!」
オリヴィエ・クロムハーツ:「……ああ、なんて」
オリヴィエ・クロムハーツ:なんて、温かい。太陽が照らすかの如く、彼女は。
ウルスラ・ミック・ベニ:「……先生ってこういう人たちなんだよ」
ウルスラ・ミック・ベニ:「命知らずの抱えたがりだって思うかもしれないけど」
竜胆ジョウカ:「……いいですね、そういうの。元老様は苦手です?」
”元老”天沼チギリ:「死なせたくないから言ってるんです!」
ウルスラ・ミック・ベニ:「そこについてはここにいる皆、人の事は言えないと思うんだよね」
竜胆ジョウカ:「バーカ、こういう人間は死んだって動きますよ。例は私です」
有崎五派:「私は──死なない!!ルキアちゃんと友達になって、生き残る。それしかない!」
ウルスラ・ミック・ベニ:「キングダムを、自分の大切なものを、ルキア・ティベリアという女の子をどうにかしてやりたい」
ウルスラ・ミック・ベニ:「自分にその能力があるからじゃなくって。やらないといけない、やるべきだと」
ウルスラ・ミック・ベニ:「打開策が思いつかなくても、諦めたくないと思ってるのは同じ筈だ」
オリヴィエ・クロムハーツ:「……その身で、奇跡を起こして見せると。そう言うのですね」
竜胆ジョウカ:「だったら無駄な反駁とかしない方がいいですって絶対。組みましょうよ」
有崎五派:「……奇跡なんかじゃない。誰かと友達になるって……とっても、普通の事だもの」
”元老”天沼チギリ:「………~~~っ」
”元老”天沼チギリ:「ご、拷問王!」
”元老”天沼チギリ:「先生に…なにか……何か言ってください!」
七十橋シスル:「鉄面皮が、絆されやがって」
七十橋シスル:ゆらりと立ち上がり、有崎先生の前に立つ。
”元老”天沼チギリ:「この問題は、別の…もっと……作戦を立てて……その…………」
有崎五派:「………」目元を拭ってシスルを見やる。
七十橋シスル:静かに、右手を差し出す。一見は、握手を求めるようにーーーーただし
有崎五派:「……?」
七十橋シスル:「広がれ、ターリア」 その手に、にわかに茨が覆い尽くす。拷問王の、神経を焼く影の茨だ。
”元老”天沼チギリ:「拷問王!?」
有崎五派:「──ッ!?」
竜胆ジョウカ:「おっヤバいか?」一応遺産を構え戦闘準備はしておく。
七十橋シスル:「ロードマスターの映像は見たろ。俺も一度、受けたことがある」
七十橋シスル:「何気なく話して、当たり障りもない、何の意味も無い話の最中で」
七十橋シスル:「俺は反応の間もなく片腕を落とされて、そのまま石畳に5メートル埋め込まれた」
有崎五派:「……っだか、ら……っ」
七十橋シスル:拷問王の悪名高い影の茨だ。触れれば灼け、食い込み苛むだろう。
七十橋シスル:「それでも、取れるか。その大切に整えられた爪も、肌も、髪も、擲って」
七十橋シスル:真正面から見つめている。
有崎五派:「取る……っ!手を……!それ、で!」
有崎五派:痛みで顔を歪めながらも、叫ぶ。
有崎五派:「汚れた髪も、傷ついた肌も!爪も!ぜんぶ……」
有崎五派:「あたしがまた綺麗にしてあげるから!」
有崎五派:「なんだって、なんだって取返しの付かない事なんて……ない!」
七十橋シスル:「ーーーーああ」 茨が広がる。五派先生の総身を、一瞬埋め尽くそうとし、
七十橋シスル:「分かったよ、有崎先生。……覇鍵施錠」
七十橋シスル:そして、いっそ呆気ないほどに柔らかく、晴れる。
有崎五派:「……っは、はぁ」
七十橋シスル:傷跡はない。むしろどこか、眠気を誘うような温かさだけが残っている。
有崎五派:「この……悪ガキ……!ぜんっぜんびっくりしてないから!」
有崎五派:「…………」
有崎五派:「いっ今、今なんて呼んだ!?」
有崎五派:這い蹲り、肩で息をしていたがバッと顔を上げる。
七十橋シスル:「あ? さあな」
有崎五派:「うそ!聞き間違いじゃないわよ絶対今の!もっかい、もっかい!」
有崎五派:良い大人がぎゃんぎゃん騒ぐ。
七十橋シスル:「うるっせえな。協力頼むんなら相応の呼び方くらいするわこっちも」
”元老”天沼チギリ:「……………」
”元老”天沼チギリ:「………」
有崎五派:「素直じゃないんだから……ごはせんでも良いのに……」ブツブツ
有崎五派:「……チギリちゃん?」
”元老”天沼チギリ:「どうあっても、付いて来るつもりですね。」
有崎五派:力強く、頷く。
”元老”天沼チギリ:「………作戦が、あります。」
”元老”天沼チギリ:二人の握手を眺めつつ呟く
竜胆ジョウカ:「お。どんなんでもいいんで言ってみて下さいよ」
竜胆ジョウカ:「今はとにかく案の数が欲しいフェーズです。練るのは後でもいいので」
”元老”天沼チギリ:「至上王の手を握ってください。」
”元老”天沼チギリ:「もちろん抵抗はされるでしょう。ですがそれを受け止めつつとにかく手を握り続けてください。」
”元老”天沼チギリ:「そこに遺伝橋を渡します。」
有崎五派:「遺伝橋を……?」
ウルスラ・ミック・ベニ:「遺産との契約を解消する効果のある道具だね」キングダムTips
”元老”天沼チギリ:「攻撃能力の要となる遺産を取り上げるんです。」
有崎五派:「……!」
”元老”天沼チギリ:「もしかしたら遺産が絆を結ぶことに対する自動反撃を助長しているのかもしれません。」
有崎五派:「それで、あの剣を没収しちゃうのね!」ウルスラの解説にうんうんと頷く
七十橋シスル:「……なるほど。原因そのものじゃないが、効果はある」
”元老”天沼チギリ:「遺産の影響下から離れた後は…」
”元老”天沼チギリ:拷問王と先生を見る。
”元老”天沼チギリ:「本当の意味で手を握ってあげて、絆が芽生える可能性に賭けましょう。」
有崎五派:「……そうよ!みんなで友達になるんだから!」
七十橋シスル:「……うすうす気付いたが、元老」
七十橋シスル:「お前もそこそこ夢想家だよな」
”元老”天沼チギリ:「作戦を立てろと言われたので立てたまでです。」
”元老”天沼チギリ:「至上王をジャームに堕とさず、殺さず、犠牲も出さない。」
”元老”天沼チギリ:「夢みたいな話でしょう?」
”元老”天沼チギリ:「そもそも、この作戦は遺伝橋を渡すために至上王に最接近して攻撃をいなさなくてはいけません。」
”元老”天沼チギリ:「この問題はまだ解決していませんよ。」
ウルスラ・ミック・ベニ:「無理に距離を縮めるとすごい怒られるからね」
”元老”天沼チギリ:「………あの時は、ウルスラさんを行かせて申し訳ないと思っています。」
七十橋シスル:「経験者語るじゃねえか」
ウルスラ・ミック・ベニ:「気にしないで。あの日からボクは一秒だって後悔していないよ」
ウルスラ・ミック・ベニ:「ルキアちゃんを一人になんかしてやらない……うん、改めて自分の気持ちが分かったかな」
”元老”天沼チギリ:「それを聞けて少し、安心しました。」
”元老”天沼チギリ:ほっと息を吐く
有崎五派:「……ウルスラちゃんも大概よね。ふふ」小さく呟く
竜胆ジョウカ:「となると十字冠を破壊する兵器……というか石の魔剣。アレの対処も考えたほうがいいですね」
竜胆ジョウカ:「十字冠を持たない先生が突入するので踏み倒せるのかもしれませんが」
有崎五派:「そうよね……私の場合、そもそも壊すモノがないもの」
オリヴィエ・クロムハーツ:「一度……出来て二度。それで構わないのであれば、止められるかもしれない」
有崎五派:「……オリヴィエちゃん。一応確認だけど私がやられても~とか思ってないよね?」
有崎五派:じと、と視線を向ける
オリヴィエ・クロムハーツ:「……し、死ぬつもりはありません!ありませんが……!」
ウルスラ・ミック・ベニ:「記録映像の時みたいにむしろこっちから壊せちゃえればいいんだけどね」
ウルスラ・ミック・ベニ:「ヒナテアちゃんがやってたやつ。あそこが一番気分上がったなあ」
竜胆ジョウカ:「できれば壊さずで済んだらいいですけどねえ。流石にヤバすぎる……よなあ……」
オリヴィエ・クロムハーツ:「総力を以てすれば、止められる。それが攻撃であるのならば」
オリヴィエ・クロムハーツ:そう言って、自らの両の拳を握る。
竜胆ジョウカ:「まあ、仮に感情復調まで行かずとも武器没収できれば」
竜胆ジョウカ:「『めちゃくちゃ強くて死ぬ攻撃』じゃなくて『めちゃくちゃ強い攻撃』で止まりますからね。他の手段も取れるようになります」
有崎五派:「貴方もその手でルキアちゃんと握手しなきゃなんだからね…………めちゃくちゃ強い攻撃、かぁ」
七十橋シスル:「……強引に詰め切ることだけを考えるなよ」
七十橋シスル:「有崎先生にも考えて貰わなきゃいけねーことがある」
ウルスラ・ミック・ベニ:(経験者が語ってる……)
有崎五派:「私?そうね……ルキアちゃんって甘いものとか好きかしら……」
七十橋シスル:「アイツの性質も過去も分かった。ただ、今の理由が分からない」
七十橋シスル:「なんで海賊王を討った。……そもそも、なんで今の今まで、キングダムを維持してた?」
有崎五派:「………」
七十橋シスル:「さっきオリーヴはあいつが優しいっつったが、誓って言うぜ。そんな殊勝な奴じゃない」
オリヴィエ・クロムハーツ:「…………」
竜胆ジョウカ:「何だかんだ王を託されたからだったりしません? 悩む機序がないみたいな」
七十橋シスル:「そうかもしれない。……何かがあるんだ。人との絆に寄らない、あいつなりの行動原理が」
有崎五派:「行動、原理……」
七十橋シスル:「それこそ、可能性だけなら、ショコラショコランの甘いものを食べたい、くらいの理由だってありえる」
七十橋シスル:「そこが分かれば、距離も詰めやすくなるはずだ」
ウルスラ・ミック・ベニ:「うーん、なんで王様をやってるの、か……」
ウルスラ・ミック・ベニ:「一番聞きたかったのに聞きそびれちゃったんだよな~ボクのバカ!」
有崎五派:「ルキアちゃん自身を……知る」
オリヴィエ・クロムハーツ:「私たちは、彼女の過去を知り」
オリヴィエ・クロムハーツ:「……まだ、現在を知れていない」
竜胆ジョウカ:「まあそこも頭に入れとく、くらいの方がいいでしょう。悩みすぎると戦術立案に影響が出ます」
有崎五派:「…………」
有崎五派:実際の所、ルキア・ティベリアが友人を求めているのかは分からない。それでも、それは重要ではないと思う。
有崎五派:子供には──選択肢があるべきだ。友人が欲しいのか、否か。それはあの子が決める事だ。
有崎五派:孤独を好むのだとしても、そもそも友達を作る事ができない、なんてのは絶対に間違っている。
有崎五派:だから、まずは……話さなくては。
オリヴィエ・クロムハーツ:「……有崎先生」
オリヴィエ・クロムハーツ:徐に立ち上がり、彼女の前に立って。
オリヴィエ・クロムハーツ:「私も一度、お手を拝借してよろしいですか?」
有崎五派:「………うん!」
有崎五派:嬉しそうに、手をゆっくりと差し出す。
オリヴィエ・クロムハーツ:「私たちが今見たのは記録であり、過去」
オリヴィエ・クロムハーツ:手を優しく取る。私の顔を優しく塗ってくれた、その手を。
オリヴィエ・クロムハーツ:「……これから、現在を知るという事は。その先に待つのは」
オリヴィエ・クロムハーツ:「貴女にも、私達にも。過去以上に……想像だにしない戦いかもしれません」
有崎五派:「……そうね」
有崎五派:静かに、頷いて言葉の続きを待つ。
オリヴィエ・クロムハーツ:「私は……先の革命において」
オリヴィエ・クロムハーツ:「ロードマスターを……その心を、救うことが叶わなかった」
オリヴィエ・クロムハーツ:「ヒナテアさんを、海賊王を、生徒の皆を……救う事が」
有崎五派:「…………」唇を噛みしめる。
オリヴィエ・クロムハーツ:「もう、後悔はしたくないのです、だから……」
オリヴィエ・クロムハーツ:そうして、跪いて───彼女の手の甲に。私に差し伸べられた掌に。尊敬と敬愛の唇を。
オリヴィエ・クロムハーツ:「……どうか、最後の機会を」
オリヴィエ・クロムハーツ:「裁きと赦しの刃を、今度こそ」
オリヴィエ・クロムハーツ:「貴女と共に……真に、誰かを救う為に振るわせてください」
有崎五派:跪いた彼女の視線に合わせるように、膝を付く。
有崎五派:「オリヴィエちゃん。私は──王様じゃない。だから、貴方達を使う事は出来ない」
有崎五派:「だけど、貴方たちよりほんのちょっとだけ早く生まれた」
有崎五派:「だから、知ってる。どんな失敗をしても、どんな後悔があっても」
有崎五派:「貴方がそう願う限り、最期になんてならない。今までも、これからも。貴方はずっと誰かを救っていく」
有崎五派:「どんな失敗も、貴方達が前を向いてる限りは……必ず、道は繋がってる」
有崎五派:「私が、大人に教えてもらったように。貴方達の傍に立ってそれを証明する!」
有崎五派:「だから、頑張ろう。みんなで!」
有崎五派:力強く笑って、オリヴィエの手を傷つけぬよう両の手で包み込む。
オリヴィエ・クロムハーツ:「…………はい」ぼたりと雫を落として。彼女と瞳を合わせて。
オリヴィエ・クロムハーツ:この手の聖剣が、誰かを傷つける事しかできないのであったとしても。
オリヴィエ・クロムハーツ:至上王を……ルキア・ティベリアを。それでも傷つけずに、真に救うために。
オリヴィエ・クロムハーツ:それが傲慢であっても、手を伸ばすために。
ウルスラ・ミック・ベニ:「……それじゃあせっかく遺産管理委員会のチギリちゃん」
ウルスラ・ミック・ベニ:「博物館のジョウカちゃん、ノヴァリス全体を知る職員室の者もいるわけだし」
ウルスラ・ミック・ベニ:「ルキアちゃんが動いたきっかけだろう条件……石の魔剣かな?」
ウルスラ・ミック・ベニ:「その辺を考え直してみようか」
有崎五派:「十字冠を壊す兵器……だけど、まだ一度も使ってないのよね?」
”元老”天沼チギリ:「もう一つ、至上王が持っているものがあります。」
”元老”天沼チギリ:「破戒免状。」
オリヴィエ・クロムハーツ:「海賊王の持つ……特権の一つ」
竜胆ジョウカ:「ええ。略奪してましたね」
GM:――破戒免状。理事会時代からノヴァリスで海賊王ただ一人が有していた、先住市民への攻撃特権。
GM:その正体は、彼女の片目に埋め込まれた義眼だった。だが、その由来や意味については、海賊王は自ら語ったことはない。
”元老”天沼チギリ:「これらを揃えたから動いた…ようにも見えますね。」
七十橋シスル:「先住民への攻撃ねえ……」
七十橋シスル:「海賊王本人ならともかく。至上王がそれに拘ってるところなんか見たことねえぞ」
有崎五派:「ぜーんぜん繋がりそうな二つじゃないけれど……?」
ウルスラ・ミック・ベニ:「すごいんだかすごくないんだか、いまいち分からない効果だよね」
竜胆ジョウカ:「……あれそもそもどういう原理ですっけ。海賊王サマとあんま会わなかったから知らないんですよね」
オリヴィエ・クロムハーツ:「……あの義眼は」
オリヴィエ・クロムハーツ:す、と。言葉を挟む。
ウルスラ・ミック・ベニ:「でも十字冠の戒律を破るって……ふむ?」
竜胆ジョウカ:「お」
”元老”天沼チギリ:鉄騎王を見る
オリヴィエ・クロムハーツ:「何かを納めた箱のようなものだと……過去、イリーナ様に仕えている時に一度だけ聞いたことがある話ですが」
ウルスラ・ミック・ベニ:「へぇ……海賊王が一番大事にしてた宝箱ってわけだ」
ウルスラ・ミック・ベニ:「ノヴァリス全土を支配するルールさえ破る、理事会の財宝だもんな……」
オリヴィエ・クロムハーツ:こくりと頷き。
オリヴィエ・クロムハーツ:「それが真実であれば……戒則を破る力を与えていたのは、内部のなんらかの影響でしょう」
竜胆ジョウカ:「……『イースターエッグ』?」戒則を破る、という部分に反応して、呟くように。
七十橋シスル:「!」
有崎五派:「嘘!?な、中にあるって事!?」
”元老”天沼チギリ:「いえ、物理座標にイースターエッグは存在しないはずです。だとすると…」
ウルスラ・ミック・ベニ:「あ、ああ~!理事会の宝って言えば、そうなるか……!」
竜胆ジョウカ:「……思い付きですけど、確かに戒則に干渉するならだいぶそうですね。失念してたな」
竜胆ジョウカ:「そのものではない、なら……『内部に別世界を収めている』……あるいは『鍵か扉である』といったところ、かな……?」
GM:ささやかで、積極的に行使する価値が薄く、事実行使されたことがほとんどないために、円卓議会ですら誰も認識してはいなかった。
GM:十字冠の戒則は、本来絶対的なのだ。
GM:その戒律を一部とはいえ無視しているということは、まさに戒則そのものに関わる力が作用していたことを意味している。
七十橋シスル:「有崎先生、確か既に何件か手に入ってただろ。先行事例のデータは?」
ウルスラ・ミック・ベニ:「各派閥が持つ神秘は、十字冠の戒を成立させるものであり、十字冠を破壊する兵器もそこに立脚する」
ウルスラ・ミック・ベニ:「三つのものは基本的に繋がっているんだったな……」
有崎五派:「イースターエッグは……ええと……どれもがこの世界とは違う、どこかに納められていて……」
有崎五派:メモ帳を引っ張り出し、慌てて捲りながら呟く。
有崎五派:「……エッグそのものじゃないなら」
有崎五派:「報告に上がってる事例と同じ……まさしく、それ!ジョウカちゃんが言った──」
有崎五派:「異世界へつながる扉!その表現が多分一番正しい……!」
有崎五派:自分の口から出る言葉が信じられず、額に手を当てる。
七十橋シスル:「おいそれ、"白宮に引きこもってる"に全く別の意味が出てくるぞ」
オリヴィエ・クロムハーツ:「……至上王は破戒免状と云う扉を手にした。なら……石の魔剣の役割は……」
ウルスラ・ミック・ベニ:「石の魔剣は世界の法則を破る剣、だっけ?」
竜胆ジョウカ:「強引にぶち抜きに行ってますかねこりゃ」
”元老”天沼チギリ:「至上王はイースターエッグのある世界へ、」
”元老”天沼チギリ:「”親征”している、ということですか。」
GM:物理的な音ではない震動が、その時、全員の肌を叩いた。
GM:ビリビリと空間の位相が震えるような何か。
GM:塔の外で、何かが起こっている。
竜胆ジョウカ:「……確かに、その作用は法則の修復力の断絶……なら――ッ!?」
オリヴィエ・クロムハーツ:「……っ!」
ウルスラ・ミック・ベニ:だっと駆け出し、飛び出てゆく。
有崎五派:「な、なに……?ってウルスラちゃん!?」慌てて駆けだし、躓きそうになるが後に続く
”元老”天沼チギリ:「行きましょう。」傍らに刀が出現する。
オリヴィエ・クロムハーツ:「待って!ウルスラ!一人で前に出るのは本当にもうっ……!」
竜胆ジョウカ:「おっと至上王もお昼寝からお目覚めですかもしかして!? そうじゃないといいですが……!!」
オリヴィエ・クロムハーツ:慌ててその後を追っていく。
七十橋シスル:だ、だんとこちらもそれを追う。
GM:――真っ先に鴉の塔の外へと飛び出したウルスラ・ミック・ベニは、見た。
GM:竜を見た者はいない。
GM:キングダム連合学院の迷信深い生徒が、時折警句じみて唱えていた言葉だった。
GM:このノヴァリスにいくらでも見られる竜は、本物の竜ではなく、それを映し取った似姿であって
GM:それは本来、この世に生きる者の目や、耳や、肌で捉えられるようなものではないと。
GM:だが、その日。
GM:ウルスラ・ミック・ベニは、見た。

キングダム連合学院 上空
GM:白昼の空に溶け込むような、歪んだ光がある。それは異常な幾何学で構成された飛行物体が発し続ける光だ。
GM:絡まりあったリングのような構造。その端に腰掛けて、その少女もキングダムの空に映し出されたものを見た。
GM:空の彼方から見てもなお高い、実体すらない、巨大な存在の影。
"風塵王"倫道アカネ:「竜だ」けらけらと笑う。
"風塵王"倫道アカネ:「竜がいる。セベクさん」
"戒功王"セベクネフェルⅧ:「私達には無関係なことだ。かつては意味あることだったとしても――」
"戒功王"セベクネフェルⅧ:「私は成すべきことを成す。そのために再生した」
GM:暗殺王がもたらした体制の混乱。至上王の暴走。
GM:多くの好機は揃っている。だが、そのような勝算が一切なかったのだとしても、セベクネフェルⅧは同じことをするだろう。
"戒功王"セベクネフェルⅧ:「キングダム現体制を解体する」
キングダム本校舎『白宮』
GM:至上王の自室が在った白宮の最上層は、大きく破壊されていた。
GM:『石の魔剣』の法則破壊の余波だ。ルキア・ティベリアは、世界の連続性を破壊するためにこの剣を必要とした。
GM:『石の魔剣』を持たない手には、簒奪した義眼を握りしめている。
GM:『破戒免状』の正体は、ホムンクルスの胚である。イースターエッグが位置する異世界へのパスを繋がれた、特別調整の胚。
GM:その活動を永久的に凍結し、義眼状のカプセルへと封じたものだった。
GM:だが、そうした多重の固定化処置を除けば、異世界へのパスを繋がれたホムンクルスそれ自体は、キングダム連合学園において何ら特別なものではなかった。
GM:彼らはこの世界ではないどこかから来る。現世の供物を喰らい、そうして、現世の命を得る。
GM:世界を繋ぐための、無数の犠牲者達。竜化器から生まれたホムンクルス達。
"至上王"ルキア・ティベリア:天井が崩れ、大きく開け放たれた天を見上げる。
"至上王"ルキア・ティベリア:世界は広く、果てしない。
"至上王"ルキア・ティベリア:「……お父さん。ごめんなさい」誰にも聞こえないほど小さく、口の中で呟く。
"至上王"ルキア・ティベリア:あの日と同じ、真っ白な衣服だった。
GM:キングダム連合学院の生徒は、その全員が王か、あるいは民である。
GM:その性質は現体制にも強く受け継がれていた。キングダム生である限り、あらゆる生徒は諸王の率いる何らかの形態の活動へと属する義務がある。
GM:ただ一人、ルキア・ティベリアを除いて。
GM:その特権的な状態を、誰がそう呼んだだろうか――キングダムに彼女以外存在し得ない部活動だった。
GM:帰宅部部長。
"至上王"ルキア・ティベリア:「私は、もう、帰るね」
"ロードマスター":〈この世界とは異なる歴史。異なる分岐〉
"ロードマスター":〈そうした異世界の一端が、時にこの世界へと零れ落ちてくる〉
"ロードマスター":〈あるいは、インフィニティコード。極めて強力な遺産が、異なる世界の可能性そのものを作り出してしまうことすらある〉
"ロードマスター":〈天国派のエージェントすら、私以外は誰一人信じてはいないだろう〉
"ロードマスター":〈だが、私は確かに見た〉
"ロードマスター":〈誰もが幸福に生き続ける、理想の王国。その可能性を〉
"ロードマスター":〈究極の幻想。天に座す始原の竜〉
"ロードマスター":〈『おとぎの国』は、実在する〉
◆[PAST]Ending◆むかし、むかし
10年前 某県
有崎五派:それは。別に特別でもない、どこにでもあるような不満でした。
有崎五派:例えば、どこかから漂ってくる夕飯の匂いを胸いっぱいに吸い込みながら一枚の紙幣を握りしめてコンビニへ向かう道だったり
有崎五派:授業参観に並ぶ誰かの親の中に、知った顔を見つけられない事だったり
有崎五派:全てはすれ違いであって、胸を打つような悲嘆の物語ではありませんでした。
有崎五派:誰かと一緒に居たかったけれど、友達を作る為に誰かを見れば妬ましい所ばかりが見つかってしまう。
有崎五派:自分は誰よりも不幸で、誰よりも恵まれぬ子供だと信じていた。そう、あって欲しかった。
有崎五派:こんなに、こんなに苦しくて寂しいのに。これがどこにでもあるようなものだとは思いたくありませんでした。
有崎五派:自分は不幸だ。その想いはいつしか誰かを傷つける事に対する免罪符のようになって。
有崎五派:嫌いなもの、気に入らないもの、妬ましいものを攻撃する事を正当化し──免除する罪がそもそもなんだったかすら忘れさせてくれるものになりました。
有崎五派:同じように不満を抱える子供達だけで集まる場所に入り浸り、感情を抑える事すら忘れてしまった時にはもう
有崎五派:人生はどうしようもないものになってしまった気がして、そしてそれで良いとも思っていました。
有崎五派:私は不幸で悲しくて、寂しい人生を送ってきたので。結末もこうなるべきだと。
GM:ありふれた感傷がもたらした結果が、その後の人生を永遠に変えてしまうことがある。
GM:少なくとも有崎五派にとっては、そうだった。
GM:有崎五派の属したグループがどこにでもある不良グループであれば、それも、皆がいずれ口にするようになる過去のエピソードの一つでしかなかったかもしれない。
GM:だが、その走り屋集団のバックには、組織があった。
GM:鴻央会という。彼らは国内に参入するレネゲイド犯罪組織、ギルドへの対抗策として――
GM:オーヴァード戦力の急速な増産と、その実証実験を必要としていた。
GM:メンバーは誰もそのことを知らなかった。有崎五派と同じように、ありふれた孤独を抱えて、社会から少し逸れただけの、平凡な不良少女達だ。
GM:だがある時期から、集会に出席するメンバーの数が、一人、また一人と少なくなっていた。
GM:唐突に連絡が途絶えた。家族ごと姿を消した少女もいたらしい。どのように消えたのかは、分かっていない。
GM:だが、その時には既に、有崎五派はレネゲイドを発症していた。
GM:違法薬物などを取り扱う『ほど』の集団ではなかった。たとえば、メンバーの誰かが持ち込んだジュースを回し飲みしたような、そんな些細な原因で。
GM:何も知らされないまま、大人の実験の犠牲になった。消えていったメンバーは、『失敗例』だった。
GM:世界の何もかもを妬み、自暴自棄になっていた有崎五派は、もはや何もかもが手遅れになったその時、初めて、恐怖を覚えた。
GM:世界から外れ、孤独になっていくということは――
GM:本当はこういうことだった。
GM:もう人間ではない。化物になってしまった。自分を阻害してきた世界へと報復できる力も、若者の全能感をそのまま映し出したような不死性も。
GM:何もかもが、もう後戻りができないことを証明していた。
GM:有崎五派は、逃避先であったはずのコミュニティから逃げようとした。いつの間にかそこは、自分と同じ化物の巣窟となっていた。
GM:五派以外の生き残りの少女達はむしろ力を喜んで受け入れていて、抜けようとした五派を容赦なく追い詰めた。
GM:家にも、学校にも、逃げ場はない。いつかは確かに友達で、仲間だった者達と戦い続けなければならず、その行為がさらに彼女を化物へと近づけて……
GM:…………
GM:どこかの路地裏での戦闘で意識を失って、目覚めた時には病院にいた。
看護師:「まだ起きちゃだめですよ~」
看護師:「足が折れちゃってますからね。痛いですよー」
GM:実際には、そんな傷は一つもない。オーヴァードなのだ。
GM:看護師は気を使って『足の骨折』だけを触れたつもりだろうが、他の致命的な傷も全て回復している。
GM:だからこれほど早く目覚めることができたし、動くことだって出来る。だが、戦いの最中に倒れたなら本当は死んでいたはずだ……
有崎五派:「………ッ」
有崎五派:恐怖で体を震わせながら、ベッドの上を這いずって看護師から距離を取ろうと試みる。
有崎五派:「……なんで」
看護師:「どうしました?大丈夫ですよ」
GM:実際には、どう思っているだろうか。有崎五派の体の治りが異様に早いことは気付いているだろう。
GM:だが、それを敢えて指摘して不安がらせはしていないというだけのことだ。患者だからだ。
有崎五派:「……誰が、通報したの」
看護師:「……」
有崎五派:もしかしたら、仲間の誰かが──と一瞬考え、逃げる事よりもその救いにすがってしまう。
看護師:「あのですね、有崎さん」
看護師:頭を掻く。「あなた、ここまで背負って運ばれてきたんですよ。長瀬先生に。あなたの担任の方ですよね?」
有崎五派:「は……?な、長瀬……?」
GM:長瀬という教師がいた。
GM:ありふれた、平凡で、やる気のない教師だった。有崎五派にとっては、周囲の無関心な大人達の中に埋没した一人に過ぎなかった。
GM:すれ違いざまに出席簿で頭を軽く叩くような無神経なことを、平気でした。そんな時決まって言っていたのは、『変な連中と付き合うなよ』だった。
看護師:「治ったらお話できますからね~」
看護師:「だから安静にして。また見に来ますからね」
看護師:布団を丁寧にかけ直して、ぽんぽんと叩く。
有崎五派:意味が分からない。
有崎五派:長瀬。どこにでも居るような、平凡な大人。今の私を襲う不幸に関わるような人種には全く見えない。
有崎五派:一体、何がどうなってあの教師が私を助けるという事になったのか。
有崎五派:「…………意味わかんない」
有崎五派:理由も分からないし、経緯も分からない。
有崎五派:身体を起こし、布団から抜け出そうと試みる。
GM:看護師が去ったあと、体を起こすことは簡単にできた。
GM:彼女は『話ができる』と言っていた。この病院にまだいるのではないか。
GM:オーヴァードが卓越するのは身体能力だけでない。各種の直感や、社会的能力も増幅される。
GM:五派が倒れてから間もないのであれば、来院者の付き添いとして長瀬は病院にいる。だが、そうでなかったとすれば……
有崎五派:意識を研ぎ澄ます。覚醒してから嫌が応にも向き合わなければならなかった己の能力の一つに、優れた嗅覚があった。
有崎五派:病院の職員の会話、仕草。緊張の度合い。それぞれから組織体系について思考を巡らせる。
GM:そうした感覚も、大人より遥かに強い能力だった。今の有崎五派は誰の庇護も必要としない。
GM:いくらかの探索の結果、やがて、長瀬が入院している病室が分かった。一つ下の階の病室だった。
長瀬:「おう、有崎ー」
長瀬:ベッドに横たわったまま、気怠げに片手を挙げる。
長瀬:もう片手はそもそも挙げられる状態ではなかった。肩から肘にかけてギプスで固定されている。
長瀬:「元気じゃねーか。その分じゃ」笑う。
長瀬:「焦ってジタバタしたのがバカみたいだったな。俺なんて、腎臓一個なくしちまったよ」
有崎五派:「何、やってんの……あんた」
有崎五派:思わず、開いたドアを拳で叩いてしまう。
有崎五派:「頭おかしいんじゃないの!?」
長瀬:「なんで俺が怒られんだよ。ったくよー……」
有崎五派:「カッコつけてんじゃねーよ!あんたにそんな事してもらう義理なんかない!」
有崎五派:ヘラヘラした態度が余計に腹立たしかった。
有崎五派:誰の庇護も必要としない私が求めていたのは、意味だった。
有崎五派:もしかしたら
有崎五派:この教師も私と同じ怪物だったのかもしれない。あるいは、その上でそれを取り締まる組織のようなものだったのかもしれない。
有崎五派:あるいは、この男は私の敵とはまた違った組織の人間で──
有崎五派:とにかく重大な理由、意味が欲しかった。
GM:現実はそうではなかったことは、病室で横たわった姿から明らかだった。
GM:どんな致命傷を負っても不死身の五体満足でいられるのは、オーヴァードだけだ。
長瀬:「俺だってしたくなかったよあんな事」
有崎五派:「だったら!だったらなんで……」
有崎五派:怪我人相手である事も忘れて詰め寄る。
有崎五派:なんの意味もない、気まぐれ程度の行いで──私がこんなに救われた気持ちになるのは不平等だ。
長瀬:「……」無言で天井を見る。そう問われて、初めて考えたかのような仕草だった。
長瀬:「そりゃさ、お前」
長瀬:「あの時、あそこにいたのは、俺しかいなかったわけだろ」
有崎五派:「……見なかったフリくらいできるでしょ!あんた大人じゃないの!?」
長瀬:「……俺も、有崎のこと苦手だよ。いつも突っかかってくるし、注意も全然聞きやしねーし」笑う。
長瀬:「でも先生だから……違うか」
長瀬:「先生だからとかじゃなくて、大人だからだろうな……」
長瀬:「子供の人生に関わった分、責任があるんじゃないかって……だから、無関係じゃないんだ……」
有崎五派:「何よそれ……」
有崎五派:長瀬の言葉に思わずベッドの脇で崩れ落ちる。
有崎五派:そんな、そんな事が当たり前に責任として存在するなら──私は大人になんかなりたくない。なれる気がしない。
長瀬:「悪いな、有崎」片方だけ動く手を、その頭に乗せる。
長瀬:「俺が、もっとちゃんとした先生やってりゃあ」
長瀬:「お前の人生、こんなことにならなかったのになあ」
有崎五派:涙が零れる。
有崎五派:情けなかった。
有崎五派:自分で不幸を大事に抱え込んで、それすら欺瞞だったと思い知らされて。その上それに他人を巻き込んだ。
有崎五派:なのに、私を見てくれる誰かが居る事がこんなにも嬉しい。もう、死んでしまいたくなるくらい情けなかった。
有崎五派:「ごめん……ごめん」
長瀬:「大丈夫だ」
長瀬:「立派な人間なんてやらなくていいんだ。俺みたいな適当な奴でいい」
長瀬:「元気でやっててくれりゃいい。別に、それだけでいいんだ……」
長瀬:「……有崎がこれから先、長生きしてさ、楽しくやってくれるなら」
長瀬:「有崎の人生を作った……俺の責任が、その分軽くなるからさ」
有崎五派:「こんだけ体張って……おかしい、でしょ……っ」
有崎五派:この男が適当なら──私は一体どんな大人になってしまうんだ。
有崎五派:「どんな、どんな……大人になったらいいの、私は」
有崎五派:「軽くなんて言わない、先生の責任なんて無いって言えるくらい」
有崎五派:「ちゃんとするから……っ」
有崎五派:免罪符が、剥がれてしまった。自分が奪ってしまったものに対してどうやって報いたらいいのか分からない。
長瀬:「はは。じゃあノーベル賞でも取ってもらうか?そうすりゃ俺もテレビとか出れるかなあ」
有崎五派:「べ、勉強できないの知ってる癖に……!」
有崎五派:涙で顔がぐしゃぐしゃになっていた。
長瀬:「……有崎。ぜーんぶ後回しでいい」
長瀬:「大人になってからでいい。俺だってそんな未来のことまで分からねーよ」
長瀬:「だから、今だ。今だぞ。有崎」
長瀬:「一人じゃないからな」
有崎五派:「……分かんないよ」
長瀬:「見てるからな。有崎」
有崎五派:「…………」
有崎五派:何よりも欲しかった言葉が、あっさりと目の前に落ちてきた。
有崎五派:"大人"という肩書が持つ意味と責任については理解できない。世の中の大人たちがそんな途方もない責任を抱えて生きているなんて考えた事も無かった。
有崎五派:実際の所、その責任について考えている大人はそう多くないと思う。
有崎五派:それでも、少なくとも一人は目の前に居る。
有崎五派:奪ってしまったものへの贖罪はどうやったら分からない。あまりにも大きすぎる。
有崎五派:ただ、あっさりと。適当にもたらされた救いへ応える方法くらいは──
有崎五派:この先、生きて行けば見つけられるのかもしれない。
有崎五派:今はただ、恥ずかしくて情けなくてどうしようもなかったハリボテの不幸が入っていた部分を埋めるものを探してみようと思う。
GM:昨日と同じ今日。
GM:今日と同じ明日。
GM:変貌してしまった世界でそれは、ありふれた感傷から始まった、どこかの、ありふれた話だ。
GM:むかしむかしの、お話。
『キングダムの過日』 完