『死に至る病』(GM:珪素)




本作は、「F.E.A.R.」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『ダブルクロス The 3rd Edition』の二次創作物です。
(C) FarEast Amusement Research Co.Ltd.
掲載の一部画像はAI生成イラストを加工したものです。

採用プレイエイド

ステージ『オーヴァード・ノヴァ』ver.3.03(二学期)
カナートス臨床医学研究院

関連ログ

『疫病きたる』
『イルカ島のゆめ』
『Travelogue of Summer Vacation』
『グッドナイト・ラス・ヴィダス』
『カナートス突入』

メインログ雑談ログ
PC1:七星(ななほし)ミルキ( キャラシート )PL:缶詰

PC2:エニュオ・デュカキス( キャラシート )PL:EXst

PC3:三部(みつべ)つゆり( キャラシート )PL:嗣子

PC4:サマンサ・シュヴァイゲル( キャラシート )PL:森田

本作は、「F.E.A.R.」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『ダブルクロス The 3rd Edition』の二次創作物です。
(C) FarEast Amusement Research Co.Ltd.

目次

Preplay

GM:カナートス最終話始まります
GM:今回も元気に自己紹介から入っていきましょう。PC1!主人公!七星ミルキちゃん!!
七星ミルキ:はい!
七星ミルキキャラシート
七星ミルキ:メサイア学園所属の七星ミルキ。七星と書いてななほし、いつもニコニコ明るい少女。
GM:かわいいね
七星ミルキ:えへへ
七星ミルキ:合コン委員会に所属し、常日頃から男子の喜ぶものを探しています
七星ミルキ:合コン委員会とは文字通り合同カタコンベを管理する委員会で、普段は清掃やカタコンベ内の環境を整えています。
GM:(文字通り…?)
七星ミルキ:文字通り。
七星ミルキ:メサイアの議長とかが中心になったいろんな事件の元、ミチカさんから委員長を引き継ぎました
七星ミルキ:特技はお掃除とお料理作り。委員会の活動で不定期に行われるお料理会も主催します。
GM:家事全般が得意そうだぜ
七星ミルキ:最近は医療にも興味を持ち始めました。むしろ医療の本格的な所に関わっているとも言えます
GM:医療に興味を持ちすぎたせいでこんなことになってるとも言えますね
七星ミルキ:チャイルド・ライフ・スペシャリストも夢ではありません
GM:最新話だ
七星ミルキ:殺気を消す訓練も積んでます
七星ミルキ:趣味は漫画本を読むこと。お嫁さんに憧れ、理想の女の子になれるように振る舞いを心がけてます。
七星ミルキ:性能としては巨大な武器を固定値で振り回すアタッカー。範囲攻撃や防御無視などを行い確実にお掃除します
七星ミルキ:データ的にはエピックしたレッドテンペストをポルターして振り回すシンプルな女の子。
七星ミルキ前編からの成長で、支援射撃、マグネットムーブを取得。周りのことを手助けしたり距離感が近い女子になりました
GM:マグネットムーヴで味をしめていやがる
七星ミルキ:キングダムでも大活躍!
七星ミルキ:パーティ内ではアタッカーということで頑張っていこうと思います。
七星ミルキ:ジャームの人たちも、ノドスで生き残ってることが判明したお兄さんも全員ぶっ飛ばします。
七星ミルキ:よろしくおねがいします!
GM:ぶっとばさないで……。
GM:いつもならここでPC1ハンドアウトとなるのですが、今回はハンドアウトは全員共通です。
七星ミルキ:むん!
GM:なぜなら全員ほぼ同じシチュエーション、同じストーリーの途中から始まるからですね。
七星ミルキ:わぁい
GM:まあズタボロ具合はちょっと違うんですけど。つまり今回オープニングからまともに動けるのはミルキちゃんとつゆりさんだけです。
GM:そしてズタボロになっているうちの1人がこちら!PC2のエニュオ・デュカキスさんです。
エニュオ・デュカキス:ここから入れる保険が!?
エニュオ・デュカキスキャラシート
エニュオ・デュカキス:改めて。エニュオ・デュカキス、ジェネシス製品開発特許庁の長官を務めています。
エニュオ・デュカキス:キャリア系に見えつつ、長官専用の実験開発プラントと製品テストも担う実働部隊からその席に着いた叩き上げです。
GM:実はバリバリの戦士職だ
エニュオ・デュカキス:製品精査や承認等、平時はデスクワークと査察が主な仕事ですがこういう経歴なので自ら外に出て殴り合いも多々あり。
エニュオ・デュカキス:ジェネシス特有のプラスマイナス的な評価軸を他人に向けがちなものの、その人が持っている経験や技能を信じています。
GM:立派で頼れる上司なのだなあ
エニュオ・デュカキス:今回は因縁続くカナートスに突入という事態に自ら進んでいったわけですが。最早虫の息……
エニュオ・デュカキス:ですがまだ死んではいないはず。お礼参りをするためにも奮起させて頂きます
エニュオ・デュカキス:戦闘スタイルは義体格闘術。多数の義肢をエフェクトで転送と換装を行い、粉砕しながら使い潰す
エニュオ・デュカキス:シンドロームはハヌマーン/オルクス/エグザイルのトライブリード。
エニュオ・デュカキス前編からの主な変更点は《異形の守り》を取得、七里靴を購入して行動値や移動距離を増強しました。
エニュオ・デュカキス:白兵型なので、これで自由に行動できるようならよいのですが。とにかくこのままでは終われません
GM:やはり取ってきたか……バステ解除を……!
エニュオ・デュカキス:以上。よろしくお願いします!
GM:ありがとうございます!今回はオフィサーとの連携も取れず孤立無援……!
GM:続いてはPC3。前編からすでに頼もしい最終話ゲスト、三部つゆりさんの登場だ。
三部つゆりキャラシート
三部つゆり:続きまして三部つゆりです!ラス・ヴィダス学区生徒会書記である高等部1年!
三部つゆり:性格的には真面目で大人しめ…のように見えて結構喧嘩早かったり意地を張るところがあります。
三部つゆり:趣味は道具の整備とか…?意外と細かい作業は好きなようです。写経とか。
三部つゆり:…これ趣味というか自己強化の為の作業じゃない?とも思いましたが趣味ったら趣味です たぶん
GM:写経が純粋趣味な人見たことないよ
三部つゆり:多分セル時代から教えこむためにやってた気がします
三部つゆり:特筆事項としては輪廻の獣との契約者で、契約に従い力を借り受けたりすることができます。
三部つゆり:代償は身体部位の人形化。其れなりに重たいかもしれんと最近気づきだしました。
GM:気付くのが遅い👺
三部つゆり:鱗滝さん…!
三部つゆり:データ的には、輪廻の獣を始めとした失敗札数枚、無形と妖精で何とかするサポーターです。
三部つゆり:後編の成長として、妨害排除とリカバリーを取得しました。ダイスペナルティと他者のバステを治すぞ~ 詠唱もきちんと用意してきました カンダ・パリッタとか…
GM:詠唱までちゃんと用意してきてるの怖すぎかも
三部つゆり:詠唱文だけ用意すればいいので結構簡単!
三部つゆり:後編もナランチャ位消耗してるところからスタートみたいなので 頑張りたいと思います!
GM:そう、ミルキちゃんとつゆりさんしか動けないが、別にまったく無事ではないぞ!
GM:だが世界にはもっと無事じゃない女が存在した……!(世界まる見え) PC4、サマンサ・シュヴァイゲル先生です。
サマンサ・シュヴァイゲルキャラシート
サマンサ・シュヴァイゲル:奇跡体験、アンビリバボー
サマンサ・シュヴァイゲル:(番組違い)
サマンサ・シュヴァイゲル:こんにちは、サマンサ・シュヴァイゲルです。
サマンサ・シュヴァイゲル:前回なんやかんやあって全身の細胞が崩壊しており
サマンサ・シュヴァイゲル:今こういう感じになっています
GM:動いてないのに暑いよ~(急性粟粒熱)
サマンサ・シュヴァイゲル:このまま元に戻れなかったら場末のMAD素材として生きていこうと思います
GM:堕天病にも余裕で罹患していますので、近いうちに死にます
サマンサ・シュヴァイゲル:先生きのこれない!!
サマンサ・シュヴァイゲル:依然絶体絶命ですが、キャラシはアップデートされております
サマンサ・シュヴァイゲル:具体的には前回枚数が足りなかった命のカーテンを上昇させ
サマンサ・シュヴァイゲル:リミットエフェクトの守護者の巨壁もゲットだ!
サマンサ・シュヴァイゲル:これでダブル守護者!シノエちゃんのサイレンを警戒し、シーン攻撃にはめっぽう強くなったはずです。
GM:堕天病ももっと受け止められるね
サマンサ・シュヴァイゲル:上等だこの野郎!!!!!
サマンサ・シュヴァイゲル:そんなところ!こちらもHPが0だが負けない気持ちでがんばろうと思います!
サマンサ・シュヴァイゲル:よろしくなあ!
GM:では4人の共通ハンドアウト!

PC1:七星ミルキ(PL:缶詰さん)
PC2:エニュオ・デュカキス(PL:EXstさん)
PC3:三部つゆり(PL:嗣子さん)
PC4:サマンサ・シュヴァイゲル(PL:森田さん)

あなた達はウノ・ワイルゴッドの『治療』を阻止したが、その代償は大きかった。
エニュオ・デュカキスの行方は知れず、サマンサ・シュヴァイゲルは死の淵にある。
七星ミルキと三部つゆりの消耗も大きく、到底戦いを続けられる状態にはない。
だが、残された時間は少なく、孤立したカナートスに救援は望めない。
シノエ・リュコス。"死神"。クロード・カレル。イクス4。
カナートスであなた達を取り囲む敵は数多く、そのどれもが致命的だ。
誰かが死ぬだろう。あなた達にとってこれは、そんな最後の戦いになる。
戦わなければならない――死に打ち克ち、生を掴み取るために。


トレーラー ウノ・ワイルゴッドが分離および培養に成功した、劇症型堕天病株。
それはカナートス臨床医学研究院が追い求めた希望であり、絶望である。
星徒シノエ・リュコスは殺戮者の本性を現し、十字冠を破壊する兵器を求め始めた。
彼女が求めるただ一つの結末は、ノヴァリスへの無差別な死の蔓延。
ルー・シュエフィが病棟を迷宮と化し、クロード・カレルが電子的封鎖を行った今、
結末へと立ち向かえる者は、どこにも残っていないのかもしれない。

――それでも、誰もが抗ってきたのだ。
自らの死に。自らがもたらした死に。親しい者達の死に。
この世界を取り巻く悲しみと喪失と、絶望の全てに。
死の恐怖に立ち向かうことは、誰にとっても、特別な戦いではない。




オーヴァード・ノヴァ『死に至る病』





◆Masterscene◆絶望して自己自身であろうと欲しない場合




カナートス臨床医学研究院


GM:カナートス臨床医学研究院は、比較的大きな設備とはいえ、僅か4つの病棟からなる極めて小規模な学区である。
GM:しかし今、様相は一変していた。
GM:同じような廊下と、同じような部屋が、繰り返し、複雑に入り組んだパターンでどこまでも並んでいる。
GM:階段を昇降しても、曲がり角を曲がっても、あるいは窓から外に出てもなお、予測のつく場所へと辿り着くことはできなかった。
GM:病棟が実際にそのような構造に変質してしまっているのか。それとも認知機能の狂いによってそう見えているだけなのか――さしたる違いはない。
GM:攻性症例318:行動伝染型道順障害。ルー・シュエフィの攻性症例に巻き込まれた者にとっては、この世界こそが現実だ。
GM:常時彼女自身に作用しているものを周囲に拡散しただけの、無秩序な攻性症例である。この力は、敵味方を区別することすらない。

"死神":(――この状況じゃ、位置を示す座標なんてのも用立つ代物じゃねえが)
"死神":(シノエ・リュコスの座標に近い機体は……002。021。033)
"死神":(駄目だ)
"死神":(完全にロックされていやがる……!)
"死神":(一体誰だ?――俺とは別口で、カナートスのシステムに入り込んでいたやつがいた)
"死神":(仮に生徒の連中だとしても、並じゃねえ。俺達――謎めく霧の家庭教師会クリプトミストチューターズを出し抜ける電子戦能力なんざ)
"死神":(まともな手段で干渉してる手合いじゃねえことだけは確かだ……!)
GM:今の"死神"は、L7由来の新型ドローンは言うまでもなく、介護オートマタを含む医療機器への介入も不可能な状態にある。
GM:この状態で可能なことは、院内各所の監視カメラや計測システムを通して、状況を把握することだけだった。

シノエ・リュコス:「ねーえ」
シノエ・リュコス:「"死神"先生ー?」
GM:シノエ・リュコスが廊下を徘徊している。
GM:"キッチンボイラー"や"リトルドレッサー"――"霊安室"の兵器も同じく院内のどこかに放たれているはずだ。
GM:ウノ・ワイルゴッドが倒れ、"死神"の干渉が切断された今、"霊安室"の兵器を制御する術はない。
GM:星徒であるシノエ・リュコスもそうだ。
シノエ・リュコス:「いなくなっちゃったのかな?」
シノエ・リュコス:「じゃあ、んー。ヘル先輩のところに遊びにいこうかな……」
シノエ・リュコス:「……あ」
シノエ・リュコス:「そうだった。そういえば」
シノエ・リュコス:「ウノ先生がどこかに……隠してるんだよね?」
"死神":(……まずいことになるぞ)
"死神":(おいおいおい。誰があいつを止めるんだ?)
シノエ・リュコス:「『十字冠を破壊する兵器』。生徒が死んじゃう堕天病を――」
シノエ・リュコス:「ふふ。ふふふふふふふふ」
シノエ・リュコス:「そうだ。みんなで卒業するんだ。わたしたち!」
シノエ・リュコス:「カナートスだけじゃない!ノヴァリスのみんな!みーんな!」
シノエ・リュコス:「きっと素敵なプレゼントになるよ!」
GM:発症後、わずか数時間で命を奪うとされる劇症型堕天病。
GM:今のノヴァリスにおいて、その治療法は確立されている。生徒が克服した数少ない『十字冠を破壊する兵器』だ。
GM:だが――
"死神":(シノエ・リュコスは、皆殺しにするつもりだ)
"死神":(カナートスには、ある。僅かな生物兵器サンプルを何万倍にも増殖させて撒き散らす兵器が)
"死神":(B102号"バニラドロップス"。そいつを使う気だ……確実に)
"死神":(まずい。最悪だぞ)
"死神":(ただの堕天病じゃあねえ。数時間しか治療の猶予がねえ劇症型だ)
"死神":(大量感染が起これば、治療薬が行き渡る前に七割以上は死ぬ!)
"死神":(ただ、死ぬ。これじゃあ何も『必死』じゃあねえ……!)
シノエ・リュコス:「ふふ、ふふふふふ」
GM:両手を広げて回りながら、無人の廊下をスキップするように歩く。
GM:その先に当てもない。だが、この迷宮が無秩序である以上は
GM:いずれ確実に辿り着いてしまうだろう。何故なら彼女は――
シノエ・リュコス:「堕天病。そうだよね。みんなが死ぬのもそれ、、がいい」
GM:堕天者達が"マスターポルート"の力と共鳴し、あるいは毒沼へと集まっていったように。
GM:堕天病のキャリアー同士が、互いに引き合う性質があるとすれば。
シノエ・リュコス:「わたしを殺した病気なんだもの」


◆Masterscene◆絶望して自己自身であろうと欲する場合

カナートス臨床医学研究院


GM:混沌の最中、カナートスとも、カナートスに訪れた4人とも無関係に動き出す者もいた。
GM:それは一見して、何の変哲もないドローンの一つだ。他の巡回ドローンに紛れていても怪しまれることはない。

"ストロッツァ":(思わぬところでタイムリミットができちまったな)
"ストロッツァ":(電子領域を"死神"だけが牛耳っていたカナートスは、かなり都合の良い隠れ蓑だったが)
"ストロッツァ":(俺の存在を知られた以上は、解析から俺の手口や目的がバレるのも時間の問題だろう)
"ストロッツァ":(ミルキや三部つゆりだけならいいが、あっちにはオフィサーの幹部までいるわけだからな――)
GM:ドローンは、それ自体で戦闘や干渉を行うためのものではない。不測の事態を監視するためのものだ。
GM:"死神"の干渉こそ抑え込んでいるものの、星徒であるシノエ・リュコスが何をしてくるかは予測のつかない状況にあった。
"ストロッツァ":(……仕方ない)
"ストロッツァ":(少なくとも、ミルキにα-Rブロッカーを投与させるわけにはいかなかった)
"ストロッツァ":(拘束されても、されなくても、シノエ・リュコスに殺されていただろう。星徒はそういう連中だ……)
"ストロッツァ":(カナートスから俺の存在を辿れる情報を抹消して)
"ストロッツァ":(ミルキ達に危害を加えられるよりも早く、シノエ・リュコスとカナートスの生徒も全員消す)
GM:あくまで不測の事態の監視を行っているに過ぎない。
GM:その時が来れば、"ストロッツァ"には確実にこの事態を収拾する手段がある。
"ストロッツァ":(機神を使う)
"ストロッツァ":(どのみち実証実験は必要だった。カナートスの全部を消し飛ばせば、痕跡もなくなる……)
"ストロッツァ":(ミルキも死なない。どこにどんな手段で隠されていようが、『十字冠を破壊する兵器』もそれで終わりだ)
GM:"ストロッツァ"に必要なのは時間稼ぎだけだ。機神を発動するに足るスペックの素体を製造するための時間。
GM:それも、そう長くはかからない。
"ストロッツァ":(……悪いな。カナートス)
"ストロッツァ":(無事に終われば、違う未来があったかもしれない)
"ストロッツァ":(だけど、俺はこういうことばかりをやってきた――)
"ストロッツァ":(あんた達を犠牲にすることにする)


◆Opening◆エニュオ・デュカキス




????

GM:いかに不死を保証する十字冠の戒律下でも、転送のリスクは決して軽いものではない。
GM:訓練を受けていない生徒であれば、たった一度でも長期間の昏睡状態に入り、即座の活動再開に至ってはほとんど超人的な離れ業とされる。
GM:転送に至る際の負傷の深刻さが二度、三度分と累積するにつれて、復帰の困難性は指数関数的に高まっていく。
GM:『八月革命』では、5度の転送を経ても戦線に復帰した生徒の伝説もあるというが、裏を返せば、それだけで伝説となり得る芸当であった。
GM:そして、病毒と負傷が蓄積したエニュオ・デュカキスが、イクス4に襲撃されて受けた致命傷の転送相当数は――
GM:7回。
GM:もはや奇跡や、精神的なありようで復帰できるような回数ではない。一般生徒であれば最低でも二ヶ月間は昏睡状態に陥る。
GM:事実、エニュオ・デュカキスの現状も、そうなっている。
GM:意識だけが泥のように深い闇へと沈殿し、肌で感じていたはずの現実が遠く、薄くなっていく。
GM:そのような中でも、過ぎる思考や、感覚がある。
GM:もはや感じることのできなくなった世界の外側ではなく、エニュオ・デュカキスの内側に由来するものだった。

エニュオ・デュカキス:──夢を見ていた。頬を叩いていた水滴の感触に瞼を開く
エニュオ・デュカキス:戦闘音は既に遠くなっている。それとも、自身の耳が再生されていないせいだろうか
エニュオ・デュカキス:首を動かそうとして、止める。背骨はじめ全身に固定された外装骨格アーマースケルトンは内臓電源の消失によって自分を大地に押し付ける重りでしかなく
エニュオ・デュカキス:AIDAから発せられる自己診断が確認の意欲を削り取った。簡易人体図の肘と膝から先が赤色を示す。
エニュオ・デュカキス:溜息を吐いた。見上げるだけしか出来ない空から降る雨に濡れたまま考える
エニュオ・デュカキス:──必死に戦った。理由は各々、自分のように“長官”に従って動く者もいれば自己の選択によるものも
エニュオ・デュカキス:勝つことはできるかもしれない。そうすればノヴァリスは先に進める。新しい道がある
エニュオ・デュカキス:「は」笑ってしまった。もし手足が残っていたら子供めいて暴れさせたかもしれない
エニュオ・デュカキス:必死になった。十字冠の保護とエグザイル発症者の生命力なら助けが来るまで保つのは想定できる
エニュオ・デュカキス:それだけだ。“生きている”しか残っていないものが選べる道などあるのだろうか
エニュオ・デュカキス:勝った先のことはまた考えればいいと仲間が私の背を押した。そうであればいいと頷くだけだった
エニュオ・デュカキス:重い。失っているはずの脚と腕が
エニュオ・デュカキス:オーヴァードの再生能力は、正しい形へ戻るという自己認識の元で行われる。《ウルトラボンバー》と呼ばれる攻撃例は自己を爆弾と化し、四散しようと再生限界を迎えなければ健康体へ戻る
エニュオ・デュカキス:ではこの戻らない体は。そうであれという私の願いなのだろうか
エニュオ・デュカキス:役立たずとして何も考えずに終われば、もう苦労も頑張ることもない
エニュオ・デュカキス:兵士の役目が終わるのなら、いいことなのだろう
エニュオ・デュカキス:AIDAに停止命令を下す。頭の中で響く警告音が途絶えて
エニュオ・デュカキス:ただ眠りたかった

エニュオ・デュカキス:──八月革命は成功し、ノヴァリス独立は成った。犠牲者は一名。
エニュオ・デュカキス:しかし勝利は無傷ではない。三大校の一角たるジェネシスもまた組織の再編を行うこととなり
エニュオ・デュカキス:技術開発を背負う特許庁の長官も負傷により引退を宣言。その後任として
エニュオ・デュカキス:無名の一生徒であったエニュオ・デュカキスが指名されたことは校内で動揺を呼んだ
エニュオ・デュカキス:──今も、その答えを理解できたとは言えない


◆Opening◆七星ミルキ&三部つゆり

GM:エニュオさんは戦闘不能ボーナスで侵蝕0でしたが
GM:ミルキちゃんとつゆりちゃんはちゃんと登場侵蝕がかかります。
GM:お二人とも1d10をどうぞ。
三部つゆり:三部つゆりの侵蝕率を1D10(→ 5)増加(43 → 48)
七星ミルキ:七星ミルキの侵蝕率を1D10(→ 9)増加(41 → 50)



カナートス臨床医学研究院 病棟内


GM:辛うじて復活した七星ミルキと三部つゆりは、病棟内へと戻ることはできた。
GM:だが、具体的に自分達がどこにいるのかは、それからは分からなくなってしまった。
GM:ここが1階なのか2階なのか。自分達が来た方向が廊下を進んだ先なのか戻った先なのか。
GM:自分達が巡ってきたカナートス臨床医学研究院と同じようでいて、まったく異質などこかへと迷い込んでしまったような気さえする。
GM:互いの病状もひどいものだった。リザレクトと十字冠の併用で、ある程度の回復と侵蝕低減が進んではいるが――
GM:この状態で誰かと交戦すれば、次こそ再起不能に追い込まれるだろう。それだけは確かだ。
GM:現在の二人には、戦闘に大きなペナルティが課せられています。
GM:具体的には、《リザレクト》を使用するたびに、一回分、次の行動が不可能になる状態です。
七星ミルキ:きゃあ!
七星ミルキ:満身創痍ですね
三部つゆり:ひい~
三部つゆり:「ぜえ……かふっ、けほ……、」ひゅうひゅうと息をするたびに音がする。「少しは…マシに…なったけど…落ち着くまでは…まだ…」
七星ミルキ:「ひぃ、はぁ……」一回一回の呼吸を浅くしている。「うん……」
七星ミルキ:全身を衝撃が抜けた余韻が残っている。ダメージの少ない部位を動かしながら、つゆりちゃんに肩を貸すように組んでいる。
七星ミルキ:「ゆっくりしてる……場合でもないしね……揺れ、大丈夫?」
三部つゆり:「此方も…影で…支えたり動かしてるので…平気です…」
七星ミルキ:「便利……」
GM:サマンサ・シュヴァイゲルが受け止めた"リトルドレッサー"のそれと比べて致死性の低いものとはいえ――
GM:二人が受けた"キッチンボイラー"の病毒とて、ただの病ではない。これも例外なくオーヴァードを無力化し、破壊するための生物兵器だ。
GM:短期間での自然治癒が望めないことは明白だった。
三部つゆり:「参ったな……、サマンサ先生と…エニュオさんと…合流も、そうですが…このまま、だと…私達が、足を…ごぼっ…引いてしまいますね…」
七星ミルキ:廊下の先を覗く。先ほど通ったような道が表れて、振り返ると今まで通った道とは少し変わっているように見える。
七星ミルキ:「そうかも……」
七星ミルキ:「サマンサ先生、大丈夫かな……」
七星ミルキ:ウノの行動に注視していたため、霊安室の面々を抑えたサマンサの状態をあまり把握できていない。
三部つゆり:「正直…かなり、危ないはず…です…」
三部つゆり:「粟粒熱に…変異型堕天病…もう一つは、知りませんが…どちらも、大変な…げほっ」
七星ミルキ:背中をさする。
三部つゆり:縺れた脚の制御を取り戻す。
三部つゆり:「…、色々と…おき過ぎ、ました…。問題を、まず…整理、しましょう…」
三部つゆり:「一つ目は……、まず、私達自身の、事です…」
七星ミルキ:「うん……ボロボロだね」
七星ミルキ:「再生も遅いや。病気のせいかな……つゆりちゃんは?」
三部つゆり:「正直…まともに、リザレクトも、働かないかと…戦闘は、無理ですね…」
七星ミルキ:「オーヴァードの膂力で一発小突かれたらおしまいだよね……」
七星ミルキ:「治らない、ってことはないけど、戦闘しながらは、無理かも」
三部つゆり:「なので…出来る限り、戦闘は…回避、する必要が…あります」
三部つゆり:「第二に…、エニュオさんや、サマンサ先生との分離、です…」
七星ミルキ:ウンウン、と頷いている。
三部つゆり:「第三の、問題とも関わりますが…まず、敵地でバラバラになってしまったのが…問題です。二人とも…私達と同等か、それ以上…、」咳込む。
三部つゆり:「それ以上の…病状を、抱えて…いるはず、なので…」
七星ミルキ:「エニュオさんも、最後はかなり無理をしてましたからね……」
七星ミルキ:「案外、動けるのは私達だけ、ってのも、ありえます」
七星ミルキ:歩くたびに体の芯が軋む。負担をかけないように歩幅を調整して、息継ぎのような呼吸を続ける。
三部つゆり:「その場合が、最悪…いや、今の状況だと…何とも言い難い、ですが…悪い、状況…」
三部つゆり:「続いて…第三に、この…認識迷彩なのか、碌に道が繋がらない、状態…ですね」
三部つゆり:「合流が…ひどく、難しいです…とはいえ、そのお陰で…敵対者も、同様なのか…時間は、稼げていますが…」
七星ミルキ:「そうだね………」
七星ミルキ:「ルー・シュエフィちゃん。お見舞いの、合間にちょっと、お話した」
七星ミルキ:「多分……"道に迷う"病。スダチちゃんが一緒でも、ずっと迷ってたから」
七星ミルキ:「幻覚とかじゃなくて……本当に、『こういう地形』だと、私達が思っちゃってる」
三部つゆり:「…、空間認識自体が…おかしくなって、ますか…となる、と…このまま、歩くのは…意味が、ないですね…」
三部つゆり:「何らかの手段で…解除、するか…この状況でも、有効な…道しるべが…」
七星ミルキ:「そうだね……話は出来たから、同じく彷徨ってる人がいれば、突き当りはすると思うんだけど……」
七星ミルキ:「この状態だと、望み薄だね。というか、今徘徊してるのって多分……」
七星ミルキ:「シノエ・リュコス。霊安室。"死神"に……」
七星ミルキ:「………"クロード・カレル"。味方は少なそう」
三部つゆり:「……、第四の…問題、ですね…」
三部つゆり:「複数の…別々の思惑を持った…敵対者が…存在する」
三部つゆり:「第一、第二の戦力不足…また第三の捕捉不可能性から……私達が、直接排除は…出来ません」
七星ミルキ:「コミックだと、こういう時、うまくそれぞれの思惑の間を立ち回ることで打破出来るんだけど……」
七星ミルキ:「情報も戦力も、私達が一番少ないかもっていうのがつらいところね」
三部つゆり:「そもそも…その前提条件である、高速の機動が…出来ません、からね…」
三部つゆり:「そして……第五の、問題です」
七星ミルキ:「あはは……下手にお部屋は入れないよね」
七星ミルキ:「ベッド有ったら寝ちゃう」
七星ミルキ:「うん。続けて」
三部つゆり:「劇症型堕天病のサンプルが…残ったままだ、ということ…」
七星ミルキ:「…………ウノちゃんから」
三部つゆり:「誰であろうと…あれは、悪用が、」げほ、と咳込みながら続ける。「効き、すぎる…」
七星ミルキ:「確保、出来てないんだよねぇ……」
三部つゆり:「そもそも…手術室に…彼女が、持ち込んでいなかった…可能性も、あります…」
七星ミルキ:「そっか。手術だものな……病原菌持ち込むはずもないや」
七星ミルキ:「だからあの場所で身柄を確保する必要があったんだけど……ううん」
GM:ウノ・ワイルゴッドも、二人と状況はほぼ同じだろう。重症に冒されており、迷宮のどこかを彷徨うしかないはずだ。
GM:彼女が患者に劇症型堕天病を投与する恐れは、ひとまずはなくなったかもしれない。だが一方で、劇症型堕天病のサンプルを発見する道筋も途絶えてしまった。
七星ミルキ:「改めて整理すると…………どこから、手を付けたものかな……?」
三部つゆり:「…ウノ・ワイルゴッドに…再度、会って聞く…くらい、ですか…これも、第三の問題を、解決せねば、なりません…」
七星ミルキ:「うんうん……結局、この迷宮病棟が問題か……」
三部つゆり:「初手に解決すべきは…戦力不足、つまり第一と第二…移動の問題である、第三…できれば、第一か第三を、優先したいところ、でしょうか」
七星ミルキ:つゆりの会話に合わせて、一定の歩調で歩みを進める。
七星ミルキ:不規則な衝撃より、一定の間隔で痛むほうが『慣れ』が早い
七星ミルキ:「だね……まず、できれば皆と合流……」
七星ミルキ:「その後は、体を直して、事件に対処……辺りが理想か」
七星ミルキ:「当てはないから歩くしか無いけど、平気?」
三部つゆり:「気力は、あるので…問題、無く…」問題がないわけではないが、解決するすべもないので無視してよい、と言っている。
三部つゆり:「”我々”の…問題は、以上ですから……後は…」か細い声。「個人的な…問題、です…」
七星ミルキ:(いや……問題はあるでしょう)言外の意味は感じるのでこちらも口には出さない。
七星ミルキ:「個人的かぁ……」
七星ミルキ:「………だめだ、一個しか思いつかない」
三部つゆり:「相談なら……、乗り、ますよ…」
七星ミルキ:「うん…………」
七星ミルキ:少々渋っていたが、相談するなら傍らの少女以上に適任も居ないことに気づく。
七星ミルキ:「…………つゆりちゃんはさ」
七星ミルキ:「再会したお兄さん……"イモータル・コイル"が」
七星ミルキ:「昔と変わっちゃったのを知って、どう思った?」
三部つゆり:微かな吐息が漏れた。恐らく、苦笑のつもりだったのだろう。
三部つゆり:「参り、ましたね……。何せ……別人格だ、って…いうんですから…」
三部つゆり:「でも……、私の、場合は…わかり、やすかった」
七星ミルキ:「うん……」
三部つゆり:「もう、精神が、別物になるくらい…変異して…経験して…取り込んで……」
三部つゆり:「それでも…治せる可能性は、ゼロじゃ…ないんです、から…」
三部つゆり:「なら…決まって、いるでしょう…?」
七星ミルキ:「………ん」
七星ミルキ:「ゼロじゃないなら、すごく難しいけど」
七星ミルキ:「決まってるよね」
三部つゆり:「あのひとを、止めて……」ごほ、と咳込んで。「治して……終わりまで、やり通す…」
三部つゆり:「それ、だけです…」
三部つゆり:「私は…単純だから…そう決めたけど……、」ゆっくりとあなたを見る。「どう…しますか?」
七星ミルキ:「…………うん」
三部つゆり:「別に……やめたって、いいんです」
三部つゆり:「誰も…あなたを、責めたりなんて…しません」優しい口調でそう告げる。実際、多くの人はそうしてきているのだと。それはおかしいことではないのだ、と。
七星ミルキ:「私はさ……医療って専門外で、ちょっとかじり始めたぐらいで」
七星ミルキ:「専門にやってる人からすれば素人同然で、私の言う事なんてもう全部試した後だってのは、わかってるの」
七星ミルキ:ウノから言われた言葉を思い出す。医者の責任感という楔を深く打ち込んだ少女。
七星ミルキ:「ちょっと調べただけで、治せない病気なんてたくさんあって、克服できないまま終わることも、たくさんある」
三部つゆり:「です、ね……不可能は厳然として、あり…不条理は、いくらでもやってきます…」
七星ミルキ:「わかってるの。関わった人が全員、無理な事に挑戦する必要はないって」
七星ミルキ:「不可能って割り切って、不条理を諦めて」
七星ミルキ:「ちゃんと、自分にできる幸せをつかめば良い、って」
七星ミルキ:「…………でも、ね」
七星ミルキ:ノドスの学区が消失してから。
七星ミルキ:探索が行われ──打ち切られて。
七星ミルキ:かと思ったら突然ノドスからの宣戦布告。その間も、紛争とか、カタコンベの墓碑銘は時折増えて。
七星ミルキ:「…………墓碑銘は、減ることもあるんだよ」
七星ミルキ:カナートスにやってきた時、一番初めに見たもの。
七星ミルキ:シノエ・リュコスの名を削り取った墓標。
七星ミルキ:「死んだことすら覆せるのなら、さ」
七星ミルキ:「諦めてた所に、実は生きてましたなんて、言うんだからさ」
七星ミルキ:「……不可能でも、不条理でも、無いよ」変わってしまったかも知れない。病気かもしれない。それでも。
七星ミルキ:「足は痛くても、こうやって進めるし」
七星ミルキ:「背中は見えてる」
七星ミルキ:「だったら、それに追いつくのって……願いを叶えるのって」
七星ミルキ:「なんにも特別じゃなくて……いつか叶えられる、フツーのお願いだと、思わない?」
七星ミルキ:へへ、と照れくさそうに笑う
三部つゆり:「ふ、ふふ……」
三部つゆり:「私が……後から…、偉そうに…」
三部つゆり:「話す事では…なかった、ですね…」
七星ミルキ:「……うふふ」
七星ミルキ:「お互い、男子ノドス生徒に苦労させられてるっていうなら」
七星ミルキ:「年季は同じぐらいでしょぉ?」手が塞がってるので頭をコツンとぶつける。
七星ミルキ:「前も後もありませんよ」
三部つゆり:「私は……」
三部つゆり:「もう、最初から……殆どの人が、諦めてたところから…だったので」誰かが始めて、希望を語り、
三部つゆり:そしてその希望を諦めてゆくただなかに、居た訳ではなかった。
三部つゆり:「ゼロから始めるよりも……プラスから、マイナスに堕ちて…なお諦めなかったことを…」
三部つゆり:「私は…、尊敬します」
七星ミルキ:「………そ、そう?」
七星ミルキ:敬意、というものに慣れてない。
七星ミルキ:委員会には先輩がいるし、委員長と言っても周りに支えられる新米。
七星ミルキ:前任者ほどのカリスマがあるわけでもない……ので、むず痒い。
七星ミルキ:「あはは……なんか、照れちゃうな、それは」
七星ミルキ:「でも、ありがたく受け取っておきます」お澄ましの顔。
七星ミルキ:「…………お互い、頑張ろっか」
七星ミルキ:「無理する病人は、ベッドに放り込まなきゃだ」
三部つゆり:「ええ……、ごほっ、まったく……」
三部つゆり:「退院までは…大人しく、してもらいましょう…」
七星ミルキ:「うん、うん」笑う。その行動でずきり、と骨が痛む。それでも笑う。
七星ミルキ:笑顔になると元気が出る。──昔、そう教えてもらった。
七星ミルキ:「それじゃあ。私達も無事退院するために」
七星ミルキ:「探索を始めよう──手当たり次第に総回診だ」

GM:シーン終了。ロイス獲得のみ可能です。
七星ミルキ:つゆりちゃんに取りましょう
三部つゆり:七星ミルキ 〇敬意/劣等感で取得します。以上!
七星ミルキ:「三部つゆり ◯P親愛/N興味」Nはノドスの男子との話をもっと聞きたいけどそんな場合じゃないな……の興味
七星ミルキ:以上!


◆Middle01◆この病の普遍性

GM:ミルキちゃんとつゆりちゃんのみが登場可能。二人での登場を推奨します。
三部つゆり:三部つゆりの侵蝕率を1D10(→ 9)増加(48 → 57)
GM:ひとまずつゆりちゃんだけの登場でいいかな
七星ミルキ:七星ミルキの侵蝕率を1D10(→ 4)増加(50 → 54)



GM:では、ミドルシーンの進行について説明していきます。
GM:まず今回のセッションの特徴ですが、エニュオさんとサマンサ先生の二人がオープニングから戦闘不能状態であることが挙げられます。
GM:エニュオさんは生徒なので、放っておいても最悪シナリオ終了まで復活不能程度で済みますが
GM:サマンサ先生は先生なので、死ぬことになっています。
GM:具体的には、エニュオさんと同様に復活不能であることに加えて、ミドル4が終了するとともに死亡します。
サマンサ・シュヴァイゲル:-死-
GM:さらに言えば開始時点で、ミルキちゃんとつゆりさんはこの二人を発見することすら不可能な状況にあります。
GM:二人の力で解決は不可能……どうすればいいと思いますか?クラスのみんなでアイデアを出し合ってみましょう
三部つゆり:何とか方向感覚とかをまともに治すとかかなあ
七星ミルキ:まず自分たちの認知をどうにかしないとどうしようもないねぇ。
七星ミルキ:死神さんは電子的に方向わかるっぽいけど、アクセスするツテがな
GM:確かに最初のプロセスとしてはいい線を行ってるかも……
GM:この状況下では、二人がかりといえどまともに目的地に辿り着くことも容易ではありません。
GM:まず第1のハードルとして、〈知覚〉で難易度20の判定をクリアしなければ、目的地に到達することはできません。
七星ミルキ:やばぁい
三部つゆり:高い
GM:そして目的地に向かえても、エニュオさんとサマンサ先生の居場所に直接向かうことは不可能です。何故なら二人がどこにいるか分からないからですね。
GM:ではどこになら向かえるのか?
七星ミルキ:どこだろ~
七星ミルキ:一番動いてなさそうなのはヘルちゃんとことか、病室関連かな……

101号室 ヘル・クロタリアス 〈交渉〉難易度9
106号室 ウノ・ワイルゴッド 〈知覚〉難易度9またはミドル3以降に〈交渉〉難易度15
130号室 普賢ハリ 〈知識〉難易度12
203号室 チェルシー・ミラー 〈回避〉難易度7
216号室 ソ・ジウォン 〈意志〉難易度7
225号室 カート・トゥエ 〈知識〉難易度10
304号室 レセル・イル・イオフィエル 【肉体】難易度7
320号室 ペテラ・アズテック 【肉体】難易度9
409号室 ヘイズ・ブラックモア 〈交渉〉難易度6
417号室 無人(判定なし) 購入判定獲得

GM:こういうことです。前編で巡った病室なら
GM:迷宮さえ突破すれば、どこにあるか分かるはずですよね。
七星ミルキ:前編のお見舞いの経験が活きる!
七星ミルキ:病人は動きませんからね
三部つゆり:な、なるほど…!
GM:上記の判定は〈知覚〉難易度20をクリアすれば続けて突破する必要はありません。
七星ミルキ:やったー
GM:ですが、なんらかの形でこの迷宮化が解除された後は、上記の判定をクリアしてもらう必要があるわけですね
GM:4シーンしか猶予がない以上、ちゃんと順序を考えてチャレンジしていただくのがよいでしょう。ロイスとか切ることになるかも……
GM:そして、強化されているのはお見舞いの判定だけではありません。
七星ミルキ:ひぃ~~ん
GM:もちろん、遭遇判定も振ってもらいます。
七星ミルキ:ぃぃ~~ん
七星ミルキ:増えてる!徘徊者が!
GM:しかも今回はシノエ・リュコスにも既に戦意があり、霊安室の兵器も容赦なく襲いかかってくるので……
GM:遭遇判定に失敗した場合、今いるメンバーで戦闘に突入します。
七星ミルキ:ぎゃあ!
GM:1d10を振り、1が出た場合はシノエ・リュコス、2が出た場合は"キッチンボイラー"、3が出た場合は"リトルドレッサー"と交戦です。
三部つゆり:マジ???
GM:マジです。ですがさすがにこの状況、ミルキちゃん達も交戦を避けるのに全力を尽くすでしょう
GM:遭遇判定に失敗した場合は、〈知覚〉か〈情報:ノヴァリス〉で難易度9にクリアすればそれを避けることができるものとします。
七星ミルキ:なるほどね
三部つゆり:成程理解ぜ…
七星ミルキ:不意遭遇に備えてるから見つかるかどうかも兼ねてるワケ
GM:加えて、今回は序盤にのみ自動で使用されるNPCカードが存在します。

■NPCカード:"ストロッツァ"
【ADCオートレスポンス】
遭遇判定に失敗した直後に自動的に使用される。その遭遇判定を成功にする。
"ストロッツァ"と敵対していない間、1シナリオに2回まで使用できる。

七星ミルキ:このジングルは……ストロッツァ仮面!
三部つゆり:なぞの仮面をかぶっているこの人は…一体何者なんだ…!?
GM:基本的な情報は以上の通り。
GM:様々な問題はありますが、とにかく最優先でサマンサ先生とエニュオさんを見つけ出し、治療しなければいけません。
七星ミルキ:理解!
三部つゆり:了解…致しました!
GM:それでは最初の判定に入っていきましょう。
GM:既に説明した通り、どの部屋に向かうに際しても〈知覚〉で難易度20に成功する必要があります。
GM:1シーンに2部屋を回るのは非常に難しいと考えてください
三部つゆり:了解です…!
七星ミルキ:ハァイ!
三部つゆり:無形がラウンド一回しか使えねえ
三部つゆり:ではまず 知覚判定にコンボ:鳥破《コンセントレイト:ウロボロス》《無形の影》にて挑戦しようと思います…!
七星ミルキ:その判定に《支援射撃》判定ダイス+3D
七星ミルキ:七星ミルキの侵蝕率を2増加(54 → 56)
三部つゆり:ありがたすぎ では行きます!
三部つゆり:その前にラッキーメダルブラックを使用して、判定!
三部つゆり:9dx7+1>=20
DoubleCross : (9DX7+1>=20) → 10[1,4,5,5,6,9,9,9,10]+10[1,4,6,9]+4[4]+1 → 25 → 成功

七星ミルキ:オッケーオッケー
三部つゆり:三部つゆりの侵蝕率を6増加(57 → 63)
三部つゆり:まずは…成功…!
GM:さすがつゆりさん……!
GM:では好きに訪問するお部屋を選べます!どこにいたしますか
三部つゆり:相談の結果 130号室 普賢ハリ 〈知識〉難易度12 さんの所へ参りたいと思います…!
GM:了解しました。〈知識〉判定は省略になります。
GM:ミルキちゃんはどうしますか?部屋移動判定にチャレンジしますか?
GM:ただ、今回は失敗した場合でも
GM:遭遇判定はやってもらうことになります
三部つゆり:一応妖精はあるよ…!
七星ミルキ:しましょ~
七星ミルキ:ダイス振ります
七星ミルキ:1d10 部屋移動
DoubleCross : (1D10) → 10

七星ミルキ:うおお
七星ミルキ:全力忌避
GM:ああ、遭遇判定の方を振ったのか
七星ミルキ:あっそっか
GM:ではエネミーに出会うことなく
GM:130号室に移動できるものとします
七星ミルキ:こっちも20目安に振って良いのか
三部つゆり:流石ミルキさんだぜ 妖精はあるしやってもいいと思うよ!
七星ミルキ:すみませんボケてました!
GM:おとぼけミルキ!
七星ミルキ:1シーン1部屋はPC1人ごとにね!
GM:そこは前編と変わりません。ペナルティの機会は増えていますが
七星ミルキ:ダメ元で振ってみます。(今のダイスなら一回回ってたな)
七星ミルキ:えーと、知覚で20!
七星ミルキ:2dx>=20
DoubleCross : (2DX10>=20) → 9[2,9] → 9 → 失敗

七星ミルキ:おしい
三部つゆり:妖精する?
七星ミルキ:どうだろうな……!それでもういっかい10だすのは…厳しい気がする
GM:技能がないとしたら、妖精をもらったとして1/10ですね
七星ミルキ:感覚よわよわミルキ
GM:それではこっちの遭遇判定の方も振ってください
七星ミルキ:1d10 遭遇
DoubleCross : (1D10) → 7

七星ミルキ:スニーキング
GM:運がいいなあ~
七星ミルキ:周りを気にして道を覚えてられない
GM:ではこのシーンで可能な判定は終了。130号室に移動します。

カナートス臨床医学研究院 130号室


GM:通常の感覚がまったく役に立たない病棟内を、それもジャームとの遭遇を警戒しながら探索するのは、多大な消耗だった。
GM:2人の病状も、表面上の息切れや苦痛こそ回復してきているが、体の芯を蝕むような暑さがある。病状が潜伏するかのように進行しているのだ。
GM:だが、そんな状態にあっても、2人はついに見覚えのある病室へと辿り着いた――
GM:むしろ、そこを目当てにしていた、とすら言ってもよかったかもしれない。
GM:何故ならその130号室には、普賢ハリがいたからだ。
三部つゆり:脚を引きずり合いながら、二人で歩いている。そんな中で、呟くように何とか真言を唱え続けていた――
三部つゆり:「”オン・ドギャ・シナ・ダン”苦を切除するもの。知恵ある者よ」文殊菩薩真言。知恵を齎す菩薩として有名なその真言を用い、変化し続ける視界を解析し、何とか復号を続ける。
七星ミルキ:都合4本の足を一歩ずつ動かすことで、どうにか2人分の満身創痍を支えている。
七星ミルキ:迷路じみた室内を歩く普段の感覚は当てにならず、ただ自分たち以外の足音を警戒しながら……
三部つゆり:「…次は…こちら、です…、これで……」喉が痛んでいる。ただでさえ呼吸器に負荷が掛かる疾病だったが、血を吐くようにして称える事数十数百。
七星ミルキ:「うん……」こくりと頷いてそちらに向かう。
三部つゆり:「ハリ、さんの……、……、そうだ…替えのマスクを、付けましょう…か」
三部つゆり:「あの人も…病気、なんですから……」
GM:少なくとも、130号室は無事なようだった。
GM:これまで移動してきた中で、"キッチンボイラー"が通過したような溶解痕や、"リトルドレッサー"の腫瘍が付着した壁面も少なからず見ている。

普賢ハリ:「……。君達か」
普賢ハリ:普賢ハリも、警戒しているようだった。
普賢ハリ:鷹が籠の中から解き放たれている。
普賢ハリ:部屋のどこに鷹がいるのかは一見して判別できなかったものの、天井の隅に身を潜め、じっと入口を注視していた。
三部つゆり:「すみ・・・ません。騒がしく…してしまった…ようで…」何とか頭を下げる。
七星ミルキ:「お邪魔します………」動きを合わせてお辞儀。
普賢ハリ:「ひどい状態だね」
普賢ハリ:「まあ、私が言えたことじゃないけど……ふふふふ……」
三部つゆり:「はは…いや、まったく……」
七星ミルキ:「緊急事態でして……ええと、状況の説明って、要ります?」
普賢ハリ:「……ある程度は。病棟がこうなってしまった以上、私の目でも全部は把握しきれていない」
三部つゆり:「なる…ほど。いや…申し訳、ないです……」
三部つゆり:「あまり…喉が、持たない…ので…直截に、なってしまい、ますが……力を、借りたく…参り、ました」
七星ミルキ:「ここに来るまでも、かなり神経を使ってしまいまして……」
七星ミルキ:「よければ、ハリさんの目をお借りしたい、と思っています」
普賢ハリ:「説明を後回しにしないといけないくらいには」
普賢ハリ:「――切迫していることはわかった。何が見たいの?」
三部つゆり:「私達に…同行、していた…巨体の、女性…サマンサ先生、と…私と一緒に病室へ、来た、エニュオさんを……探したく…」
七星ミルキ:「治療方針の違いで、ウノさんと揉めてしまいまして……」
七星ミルキ:「特に、サマンサ先生は堕天病……を含めたいくつかの病を受けて、生命が危ういと思っています」
七星ミルキ:「私達だけでは、きっと手遅れになってしまいますので……探せるでしょうか?」
普賢ハリ:「……。ウノと喧嘩したの?」
普賢ハリ:「てっきり、シュエフィとなにかがあったんだと思ってた。それで、こんなことに?」
三部つゆり:「…、それに…まあ、シノエさんと…そのほか、調整されたジャーム兵器と、おぼしき…二体に、追われ、まして…」
七星ミルキ:「そこから色々あり、ルー・シュエフィさんが助けてくださった結果、二次遭難ですね……」
三部つゆり:「彼女…ルーさんも…そう言えば、探さないと…いけませんか…」
三部つゆり:「助けて…貰ったの…ですからね…」
普賢ハリ:要請を素直に聞き入れるかと思われた普賢ハリは
普賢ハリ:しかし、すぐには動かなかった。残っている方の片目で、二人をじっと観察する。
七星ミルキ:「そうだね、お礼言わなきゃ……」
七星ミルキ:「……?」瞳に目線を返す。
普賢ハリ:「もし君達がウノを攻撃するつもりでいるなら――」
普賢ハリ:「捜索する前に考えないといけない」
普賢ハリ:「三部つゆり。君はさっき面会に来た時……」
普賢ハリ:「重要な用事は、ヘルや医師には申し伝えていると言ったね?」
三部つゆり:「その、とおり…です…堕天病の…拡散を…防ぐことと…治療の、協力を…」
三部つゆり:「ウノさん、は……劇症型の、堕天病サンプルを…持ち帰り…“使用”すると…仰い、ました」
普賢ハリ:「……」
普賢ハリ:「ふ」口の端で笑う。
普賢ハリ:「それで?」
三部つゆり:「私が…来た目的から…認められませんでしたので……」
三部つゆり:「会話でも…止められませんでしたし…実力で止めようとしたら…まあ」
三部つゆり:「このざま、というわけです…」
三部つゆり:「協力は…難しい…ですか」
普賢ハリ:「実力行使に出たということは、つまりその怪我も」
普賢ハリ:「覚悟の上。自業自得。因果応報」
普賢ハリ:「そういうことになるわけだ」どこか愉快そうに笑う。
三部つゆり:「全く以て、仰るとおりで…」苦笑している。
七星ミルキ:「今、一番耳が痛いですね……」
普賢ハリ:「劇症型堕天病――というのが、どういう病気なのかは、私は知らない。あまりにも変種の多い病気なんだ」
普賢ハリ:「だけど、君達の話が正しければ」
普賢ハリ:「君達はカナートスのということになるわけだ。ウノの治療方針を否定して、攻撃を仕掛けたということだからね」
普賢ハリ:「私はどうするべきかな?三つの選択肢がある」
普賢ハリ:「1.君達の要求通りに対象の情報を教える」
普賢ハリ:「2.君達を疑う。要求は断って、何も教えない」
普賢ハリ:「3.君達の要求通りに対象の情報を教える――」
普賢ハリ:「――と見せかけて、より致命的な状況に君達を追い込む」
三部つゆり:「ふ、ふ……参り、ましたね……正直、さっきから…すでに、底の底だと…思って、居たんですが……まだまだ、下がある……」
普賢ハリ:「七星ミルキ。君はカリス・リュシドールの友達だ。それは私も分かっている」
普賢ハリ:「だけど君は一度……」
普賢ハリ:「カリスの治療の邪魔をした
七星ミルキ:「……うん」
普賢ハリ:「ある種の人種は、医師や患者にとっての敵になることがある……」
普賢ハリ:「大した用もないのに病棟で騒ぎ続ける者。適切な診察を否定してデマを撒き散らす者」
普賢ハリ:「害悪を外から招き入れる者。……総じて、治療を邪魔する者だ」
七星ミルキ:「……そうだね。カリスちゃんがL7を使って、本来の感覚通りに手足を手に入れることを、私は邪魔した」
七星ミルキ:「だけどね」
七星ミルキ:「私も、その事については、謝るつもりはありません」
七星ミルキ:「適切な診察だったかもしれないし、カリスちゃんもそれを望んだかも知れないけど」
七星ミルキ:「全部終わった後、カリスちゃんは『ありがとう』っていってくれたから」
七星ミルキ:「手足を手に入れて、自由に動けて、誰かに触れることが出来ても」
七星ミルキ:「あの治療法では、『誰かに触れてもらえない』、って」
七星ミルキ:「患者さんも望んだかも知れない。お医者さんも判断したかもしれない。それで"病気"は治るかも知れない」
七星ミルキ:「それでも……」
七星ミルキ:「その結果、また辛くなるなら、止めるよ」
七星ミルキ:「治った後には、笑っていてほしいじゃない?」
普賢ハリ:「……。完璧な治療法があるなら、誰だってそうしたいはずだ」
普賢ハリ:「医師ならなおさら、そう感じると思うよ」
普賢ハリ:「患者の苦痛を、今、取り除く方法が一つしかないとしても」
普賢ハリ:「完璧な何かが見つかるまで待たせることのほうが正しいと思う?」
七星ミルキ:「『取り除く方法が一つしか無いとしても』」
七星ミルキ:「『いつかは、2つに増えるかも知れない』」
七星ミルキ:「…………そんなこと、ずっと付き合ってるお医者さんは言えないよね」
七星ミルキ:「根拠もないし、希望の話だし、理想論だから……」
七星ミルキ:「だから、私がいう・・・・
普賢ハリ:「…………」
七星ミルキ:「主治医がちゃんと論拠を示して、現実的なことを言うのが義務なら」
七星ミルキ:「その間に、全部ぜんぶ治せる完璧な方法を探そう、って。」
七星ミルキ:「私達は敵じゃないもの。病気なんて、誰だって治したいと思ってる──」
七星ミルキ:「────第二の意見セカンドオピニオンを、言い続けるよ」
普賢ハリ:「悪いけれど、私は君達を敵だろう、、、と疑っている」
普賢ハリ:「私達は外から手を差し伸べられることもなく、私達だけで苦しんで、ここまで来た」
普賢ハリ:「疑わしい者に対しては警戒しないといけない。特に私は――私みたいな症例の患者なら、なおさらだ」
普賢ハリ:「そして私は単純な足し引きをこうした関係に持ち込む方だ」
普賢ハリ:「つまり、カナートスに対する君達の敵対性と同じだけの攻撃をした、ということにする」
普賢ハリ:「……だから今、私が話を長引かせた分の時間で、サマンサ・シュヴァイゲルやエニュオ・デュカキスが死んだとしても」
普賢ハリ:「それは私がその時間の分、君達を攻擊したからだ」
普賢ハリ:「今から、二人を探してみよう」
七星ミルキ:「…………」話を真剣な面持ちで聞いて「ハリちゃん……!」
三部つゆり:「……、」息を吸った。「感謝…します」
七星ミルキ:「ありがとうね……!」
普賢ハリ:すぐに鷹が動き、ベッドの傍らにあるメモ帳に、いくつかの矢印と間取りの輪郭、そして点を書き込んでいく。
普賢ハリ:迷いのない動きは、初めから見ていたものを書き記しているようでもある。
七星ミルキ:反射で抱きしめにいこうとして不自然な姿勢で固まっている。気遣い。体の痛み。つゆりの支え。
普賢ハリ:「建物の構造としてすごく不自然なマップになっているのは理解している」
普賢ハリ:「――けれど実際にこうなっているはずだ」
普賢ハリ:「こちらがサマンサ・シュヴァイゲル。こちらがエニュオ・デュカキス」
普賢ハリ:「サマンサ・シュヴァイゲルはひどい状態だね。すぐにでも医師に看てもらわない限り死ぬ」
七星ミルキ:「すごい……!」
三部つゆり:「、……そこ、まで……まずい、ですね……」
七星ミルキ:「って、死……!?」
普賢ハリ:「いや……すぐでも5割がたは死ぬかな?常識外れの腕前が必要だ」
七星ミルキ:「そ、そこまで……!?流石に私も手術は習ってないから無理だよ……!?」
普賢ハリ:「だろうね。遺言はちゃんと聞いてあげるといいよ」
七星ミルキ:「やだぁ~~~……!」
三部つゆり:「……邪気祓いだとか、は…得意ですが…そうまでなると…。仕方が、無い……やれることを…やりましょう…」
七星ミルキ:「そ、そうね。お医者様。お医者様に頼ろう」
三部つゆり:「ありがとう…御座いました…」ぺこりと頭を深く下げる。
七星ミルキ:「あ、ハリちゃんもありがとう!すっごく助かるよ!」
普賢ハリ:「君は少し素直すぎるな……」
普賢ハリ:「私が3番目の選択肢を取ってないとは、まだ分かってないはずなのに」
七星ミルキ:「え?」ギクリ、とメモに目を落とす。
普賢ハリ:「信じて向かってみるといいよ。もしも大外れだったら……」
普賢ハリ:「私もやっと、独創性の高い犯罪ができたことになる」
七星ミルキ:「独創性の高い犯罪………??」
三部つゆり:「信じ…ますし……もしも、いなかったなら…」
三部つゆり:「移動したのだと…思う事に…しましょうか」苦笑して。
七星ミルキ:「あ、あはは……。移動するぐらい回復できたなら良いこと、だね。うん」
三部つゆり:「では……ありがとう、御座いました……もしも…独創性にまだ悩まれていたなら…相談は、無料で受けていますので…」
普賢ハリ:「行きなよ」残っている片目を閉じる。
普賢ハリ:「私のことは気にしないで」
七星ミルキ:(つゆりちゃんがすごく仲良くなっている……!)
七星ミルキ:「は、はい、失礼しました!」
七星ミルキ:「ええと……結果のついての報告はまた後日!」
七星ミルキ:つゆりちゃんと一緒によたよたと病室を後にする。

GM:シーン終了です。ロイスはないかな?
七星ミルキ:一旦このままで以上!
三部つゆり:私も保留で!


◆Middle02◆この病の諸形態

GM:次のシーンです。続けて判定にチャレンジできます。
GM:サマンサ先生の余命はあと3シーンです。
三部つゆり:登場は振っちゃっていいですか?
GM:どうぞどうぞ
三部つゆり:三部つゆりの侵蝕率を1D10(→ 7)増加(63 → 70)
七星ミルキ:七星ミルキの侵蝕率を1D10(→ 8)増加(56 → 64)
三部つゆり:うわあんまたダイスがたかいよお
GM:余命あと3シーンならまだ出なくても大丈夫か~って人のための
GM:余命宣告です
七星ミルキ:こわい
三部つゆり:ヤバすぎ ではまた今回も知覚判定難易度20にチャレンジしていこうと思います まずはラッキーメダルブラックを起動し
七星ミルキ:私が《支援射撃》判定ダイス+3D
GM:そうですね、判定は増えてますけど後からでも選べるので
GM:もう振っちゃってOK
三部つゆり:コンボ:鳥破《コンセントレイト:ウロボロス》《無形の影》にて判定。
七星ミルキ:七星ミルキの侵蝕率を2増加(64 → 66)
七星ミルキ:受け取れトモダチー!
三部つゆり:10dx7+1>=20
DoubleCross : (10DX7+1>=20) → 10[1,1,4,6,7,7,8,9,9,9]+10[2,2,7,7,7,10]+10[4,4,7,10]+10[4,7]+5[5]+1 → 46 → 成功

七星ミルキ:すご
三部つゆり:凄い出目出た
七星ミルキ:地図があると違うな~
GM:すごいパワー!
三部つゆり:三部つゆりの侵蝕率を6増加(70 → 76)
GM:では、普賢ハリに接触したことで
GM:サマンサ・シュヴァイゲルとエニュオ・デュカキスの所在にアクセスできるようになっています。
GM:今回の成功で選べる判定は以下の通り。

101号室 ヘル・クロタリアス 〈交渉〉難易度9
106号室 ウノ・ワイルゴッド 〈知覚〉難易度9またはミドル3以降に〈交渉〉難易度15
☆130号室 普賢ハリ 〈知識〉難易度12
203号室 チェルシー・ミラー 〈回避〉難易度7
216号室 ソ・ジウォン 〈意志〉難易度7
225号室 カート・トゥエ 〈知識〉難易度10
304号室 レセル・イル・イオフィエル 【肉体】難易度7
320号室 ペテラ・アズテック 【肉体】難易度9
409号室 ヘイズ・ブラックモア 〈交渉〉難易度6
417号室 無人(判定なし) 購入判定獲得
サマンサ・シュヴァイゲル 〈知覚〉難易度20
エニュオ・デュカキス 〈情報:ノヴァリス〉難易度9

七星ミルキ:お部屋じゃないから大変だ
三部つゆり:此処はサマンサ先生でいいよね?
七星ミルキ:良いと思う!
三部つゆり:ではサマンサ先生の所を選択…!
三部つゆり:遭遇判定振ります
三部つゆり:1d10
DoubleCross : (1D10) → 6

三部つゆり:あぶねえ
七星ミルキ:セーフセーフ
七星ミルキ:私も……医者が必要だからウノちゃんにチャレンジしてみようかな
七星ミルキ:人間業じゃない技術が必要らしいので
三部つゆり:どうぞ!妖精は構えておくよ
七星ミルキ:DB増えて、難易度20の知覚判定に挑戦!
七星ミルキ:3dx>=20
DoubleCross : (3DX10>=20) → 10[5,10,10]+5[3,5] → 15 → 失敗

七星ミルキ:やるき げんき ミルキ
三部つゆり:これは…!コンボ:鳥急《原初の紫:妖精の手》!
三部つゆり:1dx+20から判定して!
三部つゆり:三部つゆりの侵蝕率を5増加(76 → 81)
七星ミルキ:つゆりちゃん!ラブ!!
七星ミルキ:1dx+20>=20
DoubleCross : (1DX10+20>=20) → 7[7]+20 → 27 → 成功

七星ミルキ:ダイス目が10を出る前提で振ること多いな ミルキ
七星ミルキ:遭遇判定しまーす
七星ミルキ:1d10 遭遇
DoubleCross : (1D10) → 4

七星ミルキ:セ、セーフ
GM:全部成功しとる
三部つゆり:こ、コワ~~
七星ミルキ:乱数調整です
GM:ではサマンサ先生との合流からやってみましょう



カナートス臨床医学研究院 廊下


GM:普賢ハリに渡された移動手順は、ひたすらに不可解なものだったが
GM:理解そのものはむしろ容易だった。全てが見える攻性症例の持ち主は、それに伴って空間の把握力や伝達力にも優れるということだろうか?
GM:ひどく矛盾していたり、元いた場所に戻ったり、先程までの地形を貫通しているような道順すら
GM:本当に廊下がそのようになっていることが分かった。進むにつれて歪みがひどくなっているようにも思う。
GM:実際の経過時間以上の距離を歩いているように感じている――2時間で15kmを歩かされたという証言も、あながち誇張ではなかったかもしれない。
七星ミルキ:しゃがむ。窓際に背をつける。後ろ歩き。ジグザグ走行。半ばまで行って廊下を引き返す───
七星ミルキ:眼の前にまっすぐ見える道に対して、不可解な手順を守りながら進む。
三部つゆり:壁の端に対して前転して、落ちるような行程さえあった。
七星ミルキ:「恐らく……私達の感覚が狂っているから」
七星ミルキ:「ここまでしてようやく、『本来の歩行』の指示を出せる、ということなのかな」
三部つゆり:「かなり滅茶苦茶だなあ…というか、此処までズレてる、とすると……これは」
GM:二人は、やがてその廊下を発見する。

GM:他の廊下とは明らかに様相が違う。血だ。
GM:刷毛でペンキを引いたような血の帯が伸びている。
三部つゆり:「血だ……、近い、ぞ…!」そう言いながら、寧ろ身体は強張ったのがわかった。
七星ミルキ:「は…………はい!急ぎましょう」やにわに廊下に面した扉を開けて、中には入らずに血の帯を追う。
三部つゆり:指示書の指示を丁寧に守りながら進む。焦りはあったが、決してずれないように。
七星ミルキ:焦りはある。しかし、その状態でも身体は(恐らく狂わされた感覚の)正確に動く。
七星ミルキ:途中、ふらりと立ちくらみの兆候に歩を緩めながら……それでも、止まらず近づいていく。
GM:そうして、二人は血の帯の先へと到達する……最初に届いたのは、泣き声だ。

ルー・シュエフィ:「誰か……誰か……」
ルー・シュエフィ:「ひっ、ひぐっ、うえええ……」
ルー・シュエフィ:ルー・シュエフィだった。彼女自身も、自分がどちらに向かっているのかを理解できていない。
ルー・シュエフィ:そして、彼女が必死で引きずっているものは――

サマンサ・シュヴァイゲル:髪も皮膚も、ほとんど原型をとどめないほどに剥離した肉塊が
サマンサ・シュヴァイゲル:血の線の先へ横たわっている。
ルー・シュエフィ:「し、し、死んじゃだめ……!死んじゃだめだからっ……」
サマンサ・シュヴァイゲル:到底、外見から生命を判別できるような状態にはないが
サマンサ・シュヴァイゲル:ルーが声を上げる時だけ
サマンサ・シュヴァイゲル:びくりと、微かな痙攣を感じることが出来る。
ルー・シュエフィ:「う、あうぅぅぅ……」
三部つゆり:「先、生……っ、ルー、さん……!」声を張り上げる。其れでも擦れた小さい声だった。
七星ミルキ:「ルー、ルー・シュエフィさん!だよ、ね!」内臓が軋むが、そのかわり常通りの発声を維持する。
七星ミルキ:「待、って……!それに、せん……」わずかに息を呑む「……せん、せい!」
三部つゆり:「…、」一目見ただけで非常に危険な状態だとわかった。意識も碌になさそうだ――
七星ミルキ:「お願い……!お医者様の、ところに、いこう!」
ルー・シュエフィ:「お、お、お医者さんのところに……」
七星ミルキ:お互いゆるい歩みだが、それでも徐々に近づいていく。
三部つゆり:「担架、は……今迄、運んで、くれて…ありがと…!」
ルー・シュエフィ:しゃっくり混じりに言う。泣き腫らしすぎて、もはやまともな発声ができないようだった。
ルー・シュエフィ:「連れて、って。連れてって……ください……」
ルー・シュエフィ:「私、私はっ」
ルー・シュエフィ:「連れてけなかったから……」
三部つゆり:「大丈夫、です……!あなたの…お陰で…あれ以上、受けなかったん、だから…!」
七星ミルキ:「うん!……うん」
七星ミルキ:「ありがとう!」
七星ミルキ:「せんせいを、はこんで、くれて……」
七星ミルキ:「助けてくれて……ありがとう」
ルー・シュエフィ:「ふ、ふざけてなんかないんです」
ルー・シュエフィ:「いつも、真剣に、行こうとして」
ルー・シュエフィ:「う、ううう」
ルー・シュエフィ:「ひうううう…………」蹲る。
三部つゆり:その背をそっと撫でて。「大丈夫……大丈夫、だから…わかって、るから…!」
七星ミルキ:「うん………大丈夫、大丈夫だよ」
七星ミルキ:血の跡を見る。ルー・シュエフィが移動し続けた痕。
ルー・シュエフィ:ぐすぐすとべそをかいている。
GM:ミルキ達が迷っている間中ずっと、サマンサを連れて彷徨い続けていたのだ。
GM:彼女らと違ってどこにも辿り着けず、無力感と絶望だけに苦しみ続けていたに違いなかった。
七星ミルキ:そう、彼女は移動し続けていた──にも関わらず
七星ミルキ:手元のメモは過たずこの場所に『サマンサ・シュヴァイゲル』の印が付けられている
七星ミルキ:(攻性症例130――悪性完全照星呪覚)
七星ミルキ:普賢ハリはあの時点で、ここに移動し、合流できることを知覚していた。
七星ミルキ:(だったら……)
七星ミルキ:「……大丈夫」
七星ミルキ:「もう、迷わないで、済むから」
三部つゆり:「……ごほっ……、行き、ましょう…!」二人に――3人に呼び掛ける。病院ゆえか、廊下にもあった担架にサマンサ先生を乗せて。
ルー・シュエフィ:「わ、わたしっ、か、解除できなくて……じ、自分の意志じゃ……」
ルー・シュエフィ:「あ、ああ……ごめんなさい」
ルー・シュエフィ:「……た、助けてあげて……ください……!ごめんなさい……!」
七星ミルキ:「うん、うん……!」
ルー・シュエフィ:ルー・シュエフィはミルキ達の後を追わない。本当は理解しているからだ。
ルー・シュエフィ:自分がついていくと、道に迷わせてしまうことを。
三部つゆり:「………、」それを理解した。ジャーム兵器や星徒さえその影響下に置くことができるということは、当然それだけの影響深度があるということだ。
七星ミルキ:手を伸ばそうとして、その表情に気付く。
七星ミルキ:「………!」
三部つゆり:「また……、会いましょう!先生も…一緒に!いいですね…!」希望を求めながら、何処にも辿り着けない悔しさと辛さは、ずっと自分も味わっていたことだから。
七星ミルキ:同じく、カタコンベの迷宮に慣れ親しんだ、水先案内人としての──案内を果たせないような、その表情。
七星ミルキ:(ハリさんが。本人が居てくれたら、違うんだろうけど……!)
七星ミルキ:差し伸べた手で、ルーの血まみれの手を握る。
七星ミルキ:「ぜったい」
七星ミルキ:「絶対助けてくるから……!」
七星ミルキ:「また後でね!」
七星ミルキ:「──ありがとう!」
七星ミルキ:サマンサ先生を乗せた担架を持ち、つゆりと共に出来るだけ早く移動を始める
ルー・シュエフィ:その後姿を見送っている。小さな手だった。


カナートス臨床医学研究院 106号室前

GM:サマンサ・シュヴァイゲルの状態は、一刻の猶予も許されないものと思われた。
GM:ミルキとつゆりは、感覚を総動員して目指すべき場所を探し出そうとした――
GM:ウノ・ワイルゴッドが覚醒していれば、彼女は自分の部屋に戻っているかもしれない。
GM:そうではないかもしれない。確実なことは何もない。
GM:だが、この状態になった患者を治療できる者は、二人が知る限りのノヴァリスの生徒には誰もいない。
GM:カナートス最高の医師であるウノ・ワイルゴッドに、賭けるしかなかった。
七星ミルキ:「ウノ、さん……!居、るかな……!?」一言一言絞り出すのが苦痛なように、玉のような汗を浮かべている。
三部つゆり:「掛け、ですが……!一番、彼女自身の、必要とするものを揃えて、いるのは…!やはり、彼女の、部屋です…!」
三部つゆり:ぜいぜいと息を荒げ、その息をするだけで喉が焼けるようだった。
七星ミルキ:「うん……!」
七星ミルキ:(患者の病室は一つ一つ、部屋の主に合わせていた……)
七星ミルキ:(だったら、"医者"のウノちゃんの部屋、なら……なにか!)
七星ミルキ:メモの手順に従って、病院内の風景が崩壊したような廊下を辿り
七星ミルキ:その部屋に辿り着く。
七星ミルキ:「おねがい、サマンサ先生……」
七星ミルキ:「もうちょっと頑張ってね……!」
三部つゆり:ぶつぶつと真言を幾つか唱えている。サマンサ先生への消毒や前を進むミルキへの感覚支援。
GM:分の悪いギャンブルだ。
GM:二人は意を決して入室する――そこには。


カナートス臨床医学研究院 106号室



ウノ・ワイルゴッド:「……七星さんに三部さんですね」
ウノ・ワイルゴッド:106号室は簡易なオペも可能な特別な作りの部屋だった。中央に、ウノ・ワイルゴッドが佇んでいる。
七星ミルキ:「ウノさん……!」ぱぁ、とその姿を認めて声が明るくなる。
三部つゆり:ぜひゅ、と息を荒くしながらその姿を見ている。
ウノ・ワイルゴッド:「色々と言いたいことはあるんですが」
ウノ・ワイルゴッド:「――まずは患者の処置が優先です。ベッドに寝かせてください」
七星ミルキ:つゆりの呼吸音で我に返ったように。「すみません、患者がいます!」
七星ミルキ:「治療を……はい!」
七星ミルキ:「つゆりちゃん、もうちょっと頑張ろう…!」
七星ミルキ:明るい声と裏腹に、不随意な汗だけは額を濡らしている。
三部つゆり:「は、い……、だい、じょうぶです……よいっ、しょ…!」担架からなんとかベッドへ。その中でも息が荒く、笛のような音が出つつある。
七星ミルキ:「ん……!」
七星ミルキ:「ハァッ……!ウ、ウノさん、寝かせたよ。他になにか手伝おうか?」
三部つゆり:「必要な…、事は……」
ウノ・ワイルゴッド:「すみません。まずは武器を外してもらえますか」白衣を着替えながら言う。
ウノ・ワイルゴッド:「すぐにでも手術が必要です」
三部つゆり:「……、理解、しました…!」ニードルガンを外し、遠いラックに置く。
七星ミルキ:「わ、わかった」背負っていたハンマーを邪魔にならないように立てかける
七星ミルキ:「外したよ!私達も着替えたほうがいい、よね?」
ウノ・ワイルゴッド:「そうですね。そちらのロッカー内の手術衣に着替えていただいて」
ウノ・ワイルゴッド:「――ところで」
ウノ・ワイルゴッド:「七星さんと三部さんは、私の治療方針に」
ウノ・ワイルゴッド:「反対だそう、、、ですね」
三部つゆり:血がべったりと付いたブレザーやネクタイ、ブラウスを手早く脱いで着替えている。「堕天病を…使うのはね……!」
七星ミルキ:「…………うん」ロッカーに上着を詰めながら。
ウノ・ワイルゴッド:ウノは、サマンサの喉にメスを当てている。肉に触れるか触れないかの距離だ。
ウノ・ワイルゴッド:「分かりました」
ウノ・ワイルゴッド:――ビシュ!!
ウノ・ワイルゴッド:迷いなく、喉を切り裂く。――自分自身の喉を。
ウノ・ワイルゴッド:「じゃあ、つまりさ」
ウノ・ワイルゴッド:喉からどくどくと血を流しながら
七星ミルキ:「えっ……!?」
ウノ・ワイルゴッド:メスを投げ捨てる。

????:「あんたらを、ここで始末しちまえば」
イクス4:「センセイの治療を邪魔するやつは4人とも、、、、いなくなるわけだ」
イクス4:《完全演技》《究極擬態》を解除します。
三部つゆり:「なにを……いや、いや……」手術衣を纏いながら、叫ぶ。「”誰”だ!?」
七星ミルキ:「えぇ……!?」
イクス4:「オレの名前はイクス4」
イクス4:「『武器を取れるか』『この位置から、攻撃を受ける前に』――」
イクス4:「そう思ってるだろう」
イクス4:「させるわけねえだろ。そのために手術衣のロッカーまで移動させたんだよ」
三部つゆり:影を身体に纏わせている。動くこと自体は出来る――素手で殴ったりする程度のことは。
七星ミルキ:「この……!」咄嗟に武器になるものを探す。素手の戦闘は一歩劣る。
七星ミルキ:「変装、いえ……変身?ウノさんのフリをして、一体何を……」
三部つゆり:「……何が目的?」体の後ろ、ミルキさんに見えるように指を立て、影が文字を作る。
三部つゆり:(さいあく)(わたしが)(かばう)(から)
三部つゆり:(とって)
七星ミルキ:「………」不服は申し立てたいが、なにせ相手は眼の前にいてこちらを見ていない(ずるい……)
七星ミルキ:解きかけたリボンをシュルリと抜き取る動作で渋々肯定する。
イクス4:「名前を教えてやっただろ?」
イクス4:「それで十分だ。オレについて……教えてやることはな……」

  イクス4[9]

    5m

ミルキ[8/66] つゆり[8/81]

GM:ミドル戦闘を開始します。
GM:この戦闘では、最初に述べたペナルティが発生しています。
七星ミルキ:え~~ん
GM:つまり《リザレクト》を使用すると、次の一回分行動済み状態になるということです。
七星ミルキ:起き攻め!
GM:また、武器も失っています。武器を拾うためにはイクスにエンゲージしてメジャーアクションを使わないといけません。
三部つゆり:キッツい……!
七星ミルキ:や~ん

■ラウンド1

GM:セットアップです。
三部つゆり:無し…です…!
七星ミルキ:ありませぬ……
イクス4:《戦局判断》《活性の霧》《ドリーミングバタフライ》。自分の行動値を+9、攻撃力を+15、【感覚】を+3。
三部つゆり:贅沢に使いまくってる!!!
七星ミルキ:ゴキゲンな蝶になっとる!
イクス4:行動値18。イクス4の手番です。
イクス4:マイナーで《骨の銃》。
イクス4:メジャーアクションで《コンセントレイト:エグザイル》《オールレンジ》《異形の祭典》。2人を対象に攻撃します。
イクス4:17dx7+2
DoubleCross : (17DX7+2) → 10[1,1,1,1,1,2,3,3,5,6,6,8,9,9,10,10,10]+4[3,3,3,3,3,4]+2 → 16

七星ミルキ:おや…
三部つゆり:あっコレは……!
イクス4:ええ~~全然回らない
イクス4:卑怯な不意打ちをした報いというのか
三部つゆり:此処は…相談の結果、ドッジにチャレンジします…!
七星ミルキ:回避ワンチャン!出目を頼むぞミキタカ!
七星ミルキ:3dx>=16
DoubleCross : (3DX10>=16) → 10[2,8,10]+3[3] → 13 → 失敗

三部つゆり:3dx+1>=16
DoubleCross : (3DX10+1>=16) → 10[4,7,10]+6[6]+1 → 17 → 成功

七星ミルキ:ワンチャンあったな
七星ミルキ:つゆりちゃんすげ~
三部つゆり:ミルキさんにコンボ:鳥急《原初の紫:妖精の手》!
七星ミルキ:つゆりちゃん!
三部つゆり:三部つゆりの侵蝕率を5増加(81 → 86)
イクス4:くそ!完全な不意打ちなのに回避されてしまいました
七星ミルキ:最高の女子 私の妖精 マイ・フェア・レディ
七星ミルキ:1dx+20>=16
DoubleCross : (1DX10+20>=16) → 7[7]+20 → 27 → 成功

七星ミルキ:シュンシュン
GM:では手番は行動値8の二人。どうしますか?
三部つゆり:同時に接敵してメジャーで武器拾ってくのがいいかな それで最悪次はどっちかカバーで殴れるし
七星ミルキ:ですねー
三部つゆり:私は接敵しつつそのまま殴るという手もなくはないけど……流石に武器ないと本当にクソ雑魚
七星ミルキ:それで落とせないなら武器拾ったほうがトータル得だと思う!
三部つゆり:では最初の案で!
七星ミルキ:というわけで手番!マイナー移動して接敵、メジャーで武器を拾います。
七星ミルキ:以上!
三部つゆり:此方も同じく、マイナーで移動し接敵。メジャーで武器を拾います。これで!

  イクス4[18]
ミルキ[8/66] つゆり[8/86]

■ラウンド2

イクス4:《戦局判断》《活性の霧》を自分に。やはり攻撃+15、行動値+9。
三部つゆり:セットアップは…なしです!
七星ミルキ:なし!
イクス4:接敵されているから引き撃ちできないな……
イクス4:メジャーで《コンセントレイト:エグザイル》《オールレンジ》。
イクス4:choice[ミルキ,つゆり]
DoubleCross : (choice[ミルキ,つゆり]) → ミルキ

イクス4:ミルキちゃんを攻撃。
イクス4:17dx7+2
DoubleCross : (17DX7+2) → 10[1,2,3,3,3,3,4,5,5,5,5,6,6,6,7,8,9]+10[2,6,9]+2[2]+2 → 24

七星ミルキ:えーん
イクス4:やっぱりいまいち回らないなあ
七星ミルキ:ワンチャンドッジ弾平。
七星ミルキ:3dx>=24
DoubleCross : (3DX10>=24) → 8[1,3,8] → 8 → 失敗

七星ミルキ:しょんぼり
三部つゆり:妖精は無理だね…カバーするよ!
イクス4:ではダメージです。3d10+26
イクス4:3d10+26
DoubleCross : (3D10+26) → 21[5,10,6]+26 → 47

三部つゆり:普通に死ぬ…!リザレクト。
三部つゆり:三部つゆりの侵蝕率を1D10(→ 9)増加(86 → 95)
七星ミルキ:つゆちゃーん!
GM:これで、行動放棄カバー+病状デメリットで
GM:つゆりさんは第3ラウンドの行動もできなくなっています。ミルキちゃんの手番。
七星ミルキ:うおおー!よくもつゆりちゃんをー!
七星ミルキ:マイナーはなし、メジャー【EX:日々の成果を見せます!】《スキルフォーカス》《零距離射撃》
七星ミルキ:イクス4に射撃!
七星ミルキ:4dx10+17
DoubleCross : (4DX10+17) → 9[3,6,8,9]+17 → 26

イクス4:ドッジします
イクス4:6dx+2>=26
DoubleCross : (6DX10+2>=26) → 10[2,3,3,5,7,10]+7[7]+2 → 19 → 失敗

三部つゆり:こっ……こわっ
七星ミルキ:こ こわ!!
イクス4:こっちが回ってもあんまり意味ないんだよ
七星ミルキ:ダメージ!
七星ミルキ:3d10+24 諸々有効
DoubleCross : (3D10+24) → 13[3,1,9]+24 → 37

七星ミルキ:ちょっと下振れ
イクス4:HPは29しかない……!攻撃を受けて戦闘不能です。
七星ミルキ:っしゃぁー!
七星ミルキ:メジャー上昇とレッテン反動受けます
七星ミルキ:七星ミルキの侵蝕率を4増加(66 → 70)
七星ミルキ:七星ミルキのHPを1D10(→ 8)減少(28 → 20)

イクス4:イクス4は、手術用のメスを手の平に握り込んだ。
イクス4:……それと同時に、かちり、という音が鳴ったことに気付く。銃の撃鉄が上がるような。
七星ミルキ:「!」(来る……!)
三部つゆり:「ノウマク・サマンダ・ボダナン帰命し奉るインダラヤ・ソワカ力強きもの、インドラ神よ…!」
三部つゆり:影の電流が奔った。七星ミルキと、三部つゆりの身体――その神経を反応させる電流。
イクス4:――ダン!ダン!ダン!
イクス4:メスは銀色の弾丸となって飛来した。
イクス4:七星ミルキと三部つゆりが立っていた地点の椅子を、その背後の薬品棚を粉々にしながら突き刺さり、砕ける。
七星ミルキ:──不思議な感覚だった。体の中の走る電気信号。それが、"外"からやってくる。
七星ミルキ:メスの投擲に備えた身体は、それ以上の速さで迫る弾丸に、稲妻の速度で反応した。
三部つゆり:帝釈天真言。天界における最高神格、インド神話におけるインドラ。その力強き電流が、あなたたちの身体を慰撫している。
イクス4:「ボロ雑巾のくせして」右手が銃のように変質している。後藤スダチの拳銃によく似た構造だった。
イクス4:「まだそんなに動けるのかよ」
イクス4:「羨ましいぜ、健康な連中は……!」
三部つゆり:「この見た目が、健康に見えますか…!」横飛びに思い切って動いていた。何とか銃弾を躱し、ニードルガンを手にひっつかむ。
七星ミルキ:(すごい……!)跳び、手術室の天上を逆さまに駆ける。閉鎖空間で備わった特殊な歩法。
七星ミルキ:「おいで、『ひなぎく』!」
七星ミルキ:無造作に跳ね上がったハンマーが自動的に手に収まる。
七星ミルキ:カシュン、と衝撃を打ち出したカートリッジが排莢された。
七星ミルキ:「つゆりちゃん、一気に決めるよ……!」
イクス4:「……こいつ!」
イクス4:「んな、隙晒して!」
イクス4:ダン!ダン!ダン!ダン!!
三部つゆり:二人とも武器を回収できた。あとは詰めるだけだが――「ええ……!」プレッシャーを掛ける。どちらかを選ばせる。
イクス4:「見逃す、わけねーだろ!!」
イクス4:残弾を容赦なく撃ち込む。だが先程と違って直線的な狙いでもある――
七星ミルキ:(──そう)
七星ミルキ:弾丸への反応、偽装の見破り──対処の真言。
七星ミルキ:(あなたにとって)
七星ミルキ:(脅威度は、つゆりちゃんのほうが、高い)
七星ミルキ:「だから……」
七星ミルキ:「"先"に狙うなら、こっちだと思ったんだ」
イクス4:「!」
三部つゆり:その弾丸と七星ミルキを結ぶ線上に、割り込む影があった。
三部つゆり:小柄な身体を広げて。影で己の脚を操り。
三部つゆり:「、ぐ、あ、ぎ……、」そうした理由は、
三部つゆり:射線上にある薬剤や設備を守る必要があると思ったからか、サマンサ先生への跳弾を心配したからか、それとも。
イクス4:間違いなく着弾した。だが、同時にそれは、相手の思うように当てさせられた、、、、、、、のだと理解していた。
三部つゆり:そのまま床に叩きつけられる。「や、って……!」
イクス4:「……」
イクス4:「ミスった」
七星ミルキ:(姿を変えて、武器を離して、無防備を狙った)
七星ミルキ:(そんな相手が、"強敵"を先に狙うわけがない)「──けど!」
七星ミルキ:「今の守り方には後で正式に抗議するからね!?」
七星ミルキ:既にハンマーを振りかぶり終えている。
七星ミルキ:「───『芽吹き』!」
七星ミルキ:一直線。障害物のない空間を衝撃が走り
七星ミルキ:部屋の中に風一つ生じさせないまま、正確にイクス4の体を打った
イクス4:小柄で、細い体だ。木の葉のように宙を吹き飛ばされ、床に墜落する。
イクス4:「……ぐ、ぶはっ!!」
イクス4:残留する衝撃の激痛に悶絶して、起き上がれない。
七星ミルキ:「……終わった」
七星ミルキ:「みたいね」
イクス4:「もっと、くそ……」
イクス4:「別の……奴に、化けてられればな……」
七星ミルキ:「……あなた、ウノさん本人、ってわけじゃないんだよね?」
七星ミルキ:「ここで何してたの?さっきの言い方、先生を助ける人を邪魔してるみたいだったけど……」
イクス4:「……何をしてた……けほっ、だって……?」
三部つゆり:「ごげっ、げぼっ…がふっ……」叩きつけられた床の上で悶絶していたが、ある程度落ち着いたのか身体を起こす。「そう…です。ワイルゴッドさんの…姿まで…」
イクス4:まだ痛みは残留しているのだろうが、ある程度は波が引きはじめているのだろう。
イクス4:それでも、立ち上がることはできない。腹を押さえながら苦しげに答える。
イクス4:「あんたらの方こそ……何をしてやがる……!」
イクス4:「センセイが、ようやく……見つけた、劇症型の堕天病株で……」
イクス4:「助かる患者が、いたってのに……勝手な理屈で、台無しにしやがって……!」
イクス4:「ハァ、ハァ……!ごほっ、がふっ」血の塊を吐く。
七星ミルキ:「先生、センセイ……あぁ、センセイDr.ってことか」
三部つゆり:「げぼっ……、だからって……ワイルゴッドさんの…部屋で…ああもう…大分、頭が回ってない…」ふらついている。
イクス4:「この状況だ……オレだって、くそ……!」
イクス4:「他に、あんたらを待ち伏せできる当てなんてねえよ……」
イクス4:「センセイの人格のままじゃ……ま、まともな銃も持てねえし、反射的な奇襲すらできねえ……患者相手だからな……」
三部つゆり:「………、色々と……問い詰め、たいですが……何より…今は……」ぜえぜえと息を切らす。「サマンサ先生、を……ぐ……どうしたら…」
七星ミルキ:「……そうだよ。ウノさんの治療方法に反対した。でも、ウノさんの力を借りなきゃ、サマンサ先生を助けられない」
七星ミルキ:「それに……貴方だって。ウノさんになりきってた時、治そうとしてたじゃない……」

 ウノ・ワイルゴッド:『治す私の手間が増えてしまいますからね』

七星ミルキ:彼女は戦いの最中ですら、事後の治療を念頭に置いていた。
七星ミルキ:「………教えて。ここにウノさんはいないのね?行き先、知ってるの?」
イクス4:「知らないね……ここにはいない。ゼロから探すんだな……」
イクス4:「もっとも、それまでに……」
イクス4:「……あんたらの体力と、そいつの命は尽きるだろうけど」
七星ミルキ:「………!」
三部つゆり:「……元から……恥知らずと…言われようが…しょうがありませんが……くそ……」自分たちで止めようとしながら、すぐに力を借りようとした。そうするしかなかったとはいえ。力なく床を叩く。
イクス4:「……なあ。自分じゃない記憶と人格が、流れ込んでくるんだよ」
イクス4:「攻性症例111……自我同一性障害ってやつだ……人格や記憶も含めて本人みたいに思い込んでいるから」
イクス4:「オレがオレを取り戻すためには、毎度自殺しないといけない」
七星ミルキ:「じ、自殺……?」息を呑む。
七星ミルキ:戦闘前に喉を裂いた血の痕。ブラム=ストーカー的な動きを警戒しなかった訳では無いが……
三部つゆり:「……、」一度躊躇って。其れでも口を開く。「堕天病で…死ぬとき…どうなるか、知っていますか…?」
三部つゆり:「劇症型は……、まだ…”罹患時間が少ない”から……痛みも、苦しみも少ないと、言いますが……」
三部つゆり:「それでも……本当に痛みと苦しみが…、堕天病の苦しみが…ないわけじゃ、ありません…私は……」
三部つゆり:「”見た”から……知って、居ます」星徒ナナワツィン。彼女を、三部つゆりは操作した――その記憶も覗き込むような、精神感応で。
イクス4:「……それでもだ」
イクス4:「堕天病の苦しみ?確かに……はは……相当なもんだろうさ……」
イクス4:「だが、知ってるか……。カナートスの病室には、軍用シェルターみたいに固められた部屋がある……」
イクス4:「脳のリザレクトと衝動の異常で一生怒り狂ってる生徒が収容されている。一生だ」
イクス4:「……涙を流してても、苦しくて申し訳なくても、暴れるのを止められない……」
イクス4:「310号室を見ても……驚くぜ……」
イクス4:「ベッドに……綿ぼこりみたいなやつが転がってるんだよ……」
イクス4:「人間だって言われても信じれないようなやつが」
イクス4:「そういう奴らの自我が――」
イクス4:「俺の中に流れ込んできてさ」
イクス4:「そのたびにオレは自殺するんだ。毎回同じことを思う」
イクス4:「『ああよかった』『これは現実じゃなかったんだ』」
イクス4:――ダン!!
イクス4:自分の頭を床に叩きつけた。血が飛び散るような勢いだった。
イクス4:「馬鹿が!!!ふざけるなよ!!!」
イクス4:「現実なんだよ、、、、、、!!!安心できるわけがねえだろうが!!!!」
イクス4:「お前、お前ら」
イクス4:「そういう奴らが死ねるまでの時間を、何時間遅らせたんだ?」
イクス4:「ハァ、ハァ…………ハァ……!!」
イクス4:「地獄だぞ、お前ら……」
イクス4:「カナートスは、地獄だ」
三部つゆり:拳を震えるほど握り締めている。分かるなどとは喉が裂けても言えなかった。ただ、その激情と吐露に、相応しい何かを返せない事こそが苦しかった。
イクス4:「絶望を……あんたらが、許さないなら……」
イクス4:「代わりに、どんな希望があるんだ…………」
イクス4:「どうやったら、何があれば、治療できる……」
七星ミルキ:「……」
七星ミルキ:「……………………」
七星ミルキ:「病気の治療には、絶対に必要なものがある、よね」
七星ミルキ:「病気のデータ。情報。……治療記録」
七星ミルキ:「私、聞いたよ。カナートスは元々、生徒の治療を目的にしてた、って」
七星ミルキ:「だけど、結局方針が変わって──いや、これは今はいい。重要なのは」
七星ミルキ:「いつからか、貴方達の治療記録は……………活用されていない」
七星ミルキ:「何があればって、言ったね」
七星ミルキ:「治療に必要なのは記録に決まっている。それを元に、薬だって治療法だって開発されていくんだから」
イクス4:「記録なんて……」
イクス4:「とっくに処分されてるに決まってる。オレ達を生物兵器にするって……決めた時から……」
イクス4:「"死神"が探したって見つからなかったんだ……オレ達に希望なんてなかったんだよ」
七星ミルキ:「ある・・
三部つゆり:眼を剥いてミルキさんを見る。
七星ミルキ:「"死神"から隠れて、本人の目を盗んで」
七星ミルキ:「自分のためだけにこっそり持ち出した────とんでもない人が、いる」
三部つゆり:「ミルキさん、それは……っ、」
イクス4:「は、はは……そんな犯人がいるなら」
イクス4:「オレが直接頭を吹っ飛ばしてやりたいくらいだ……」
イクス4:「……出任せの妄想だろうが、聞いてやる」
イクス4:「誰がやったんだ」
七星ミルキ:「………」"死神"は、カナートスの電子的な情報を全て掌握していた。
七星ミルキ:その相手の目を盗んで、同じ土俵で不意をついた相手がいる。
七星ミルキ:ならば。"死神"すら知り合えなかった情報を、奪える人間が居るのなら。
七星ミルキ:(…………そして)
七星ミルキ:("ノドスの生徒"が、侵略するためでもなく、破壊するためでもなく)
七星ミルキ:(ここ。わざわざ、カナートスにいた理由が、あるとするなら)
七星ミルキ:「クロード・カレル」
七星ミルキ:「カナートスに潜伏していた、ノドス生徒」
七星ミルキ:(……そうだ、お兄さんが『治療』を目的にしていたの、なら)
七星ミルキ:(記録を取らない、ハズがない)
七星ミルキ:根拠はない。ただ、そうであろう、という推論に推論を重ねて、砂の城を作り上げる。
イクス4:「……」
七星ミルキ:「"死神"の目を盗んだ人がいるなら、彼が犯人だよ」
イクス4:「オレは信じねえ」仰向けの目は、前髪で隠れている。
イクス4:「あんたらのことだって許さねえ」
イクス4:「患者は死なせてやる。絶対に」
イクス4:「もし、それが気に食わないなら、証拠を……!」
イクス4:「証拠を持ってこいよ!オレ達に希望があるって証拠を!」
イクス4:「……。くそっ……!」
イクス4:「喋りすぎちまった……」
七星ミルキ:「……………うん」
七星ミルキ:根拠はない。濡れ衣を着せただけかも知れない。
七星ミルキ:不要になった資料を廃棄するような、生真面目な理事会がいたという可能性。
七星ミルキ:側の居るつゆりちゃんの瞳が訴えかけるそれも、考えないようにする。
七星ミルキ:(それでも)
七星ミルキ:(…………半端な暗躍はしないって)
七星ミルキ:(信じてますよ、おにいさん)
七星ミルキ:「絶対」
七星ミルキ:「見つけてくるから」
七星ミルキ:「待ってて」

GM:ロイス取得のみが可能です。
七星ミルキ:完全に枠が足りなくなる気配があります 取るか
三部つゆり:ロイスは…どうしようかな 枠が足りなさそう過ぎるんだよな~~
七星ミルキ:悩ましすぎる~~~
七星ミルキ:ルーちゃんもな~~!う~ん
七星ミルキ:「イクス4 ◯P尽力/N対抗心」これで取ります。負けねぇ。
三部つゆり:カナートス臨床医学研究院 〇親近感/憤懣 で。
三部つゆり:以上!
七星ミルキ:全体だ 親近感なことあるんだな……
七星ミルキ:こちらも以上!
GM:では本日はここまで。ありがとうございました!


◆Middle03◆無限性の絶望は有限性の欠乏に存する

GM:3シーン目です。サマンサ先生の余命はあと2シーンです。
七星ミルキ:七星ミルキの侵蝕率を1D10(→ 2)増加(70 → 72)
三部つゆり:三部つゆりの侵蝕率を1D10(→ 3)増加(95 → 98)
GM:さて、3シーン目なのですが、2シーン目までに達成した事柄でいくつかの点で違いが出てきています。
GM:まず、〈知覚〉難易度20の迷宮探索判定。
GM:本来は各部屋に設定された技能難易度に関わらずこれをクリアしなければ部屋に到達できなかったのですが
GM:ルー・シュエフィと接触したことによって、これが緩和されます。
GM:つまり本来設定された技能難易度でチャレンジができるようになっています。
GM:それとは別に、これまで通り〈知覚〉難易度20で部屋を訪問することも可能。
七星ミルキ:わぁい
三部つゆり:やったー
GM:また、「106号室 ウノ・ワイルゴッド 〈知覚〉難易度9またはミドル3以降に〈交渉〉難易度15」は
GM:このミドル3シーン目から〈知覚〉難易度9に加えて〈交渉〉難易度15でも探せるようになる……という、選択肢が加わる判定だったのですが
GM:これは迷宮探索判定か、〈知覚〉難易度9のほうで探索してしまうと
GM:イクス4と遭遇してしまうというトラップ判定でした。
GM:なので、イクス4を撃破した状態ではこう変わります。
七星ミルキ:なんてこった

101号室 ヘル・クロタリアス 〈交渉〉難易度9
???? ウノ・ワイルゴッド 〈交渉〉難易度15
☆130号室 普賢ハリ 〈知識〉難易度12
203号室 チェルシー・ミラー 〈回避〉難易度7
216号室 ソ・ジウォン 〈意志〉難易度7
225号室 カート・トゥエ 〈知識〉難易度10
304号室 レセル・イル・イオフィエル 【肉体】難易度7
320号室 ペテラ・アズテック 【肉体】難易度9
409号室 ヘイズ・ブラックモア 〈交渉〉難易度6
417号室 無人(判定なし) 購入判定獲得
☆サマンサ・シュヴァイゲル 〈知覚〉難易度20
エニュオ・デュカキス 〈情報:ノヴァリス〉難易度9

GM:これを踏まえて判定に挑戦していただきましょう。もちろん遭遇判定が必要なのは据え置きです
七星ミルキ:理解!
三部つゆり:了解…です!
三部つゆり:私はウノさん行くね まずラッキーメダルブラックを起動して精神の達成値を+1して。
七星ミルキ:つゆりちゃんにウノちゃんをお願いしよう
三部つゆり:コンボ:鳥破《コンセントレイト:ウロボロス》《無形の影》にて判定。
七星ミルキ:《支援射撃》判定ダイス+3D
七星ミルキ:七星ミルキの侵蝕率を2増加(72 → 74)
三部つゆり:ありがと!
三部つゆり:11dx7+1>=15
DoubleCross : (11DX7+1>=15) → 10[1,1,1,2,2,4,5,7,7,10,10]+10[2,2,4,10]+4[4]+1 → 25 → 成功

三部つゆり:アブねえ
三部つゆり:三部つゆりの侵蝕率を6増加(98 → 104)
七星ミルキ:オッケオッケ
七星ミルキ:私はどうしよっかな…… ヘルちゃん狙いたいけど、社会に不安があるのでエニュオさん回収目指すか
GM:つゆりちゃん、激有能
七星ミルキ:有能妖精つゆりちゃん
三部つゆり:がんばっています
七星ミルキ:エニュオさんを狙います。情報ノヴァリス、ラッキーメダルホワイトを使用で。
七星ミルキ:2dx+2>=9
DoubleCross : (2DX10+2>=9) → 10[4,10]+7[7]+2 → 19 → 成功

七星ミルキ:すべてが見える
七星ミルキ:遭遇判定も振ります
三部つゆり:ミルキさんもバンバン成功させててすごい
七星ミルキ:へへ 10が意外と出る
GM:お願いしまーす
七星ミルキ:1d10 遭遇
DoubleCross : (1D10) → 3

七星ミルキ:ぎゃー!
三部つゆり:1d10 忘れてた
DoubleCross : (1D10) → 5

七星ミルキ:知覚かノヴァリスか
"ストロッツァ":しょうがないにゃあ……
"ストロッツァ":"ストロッツァ"の回数が一回消費され
"ストロッツァ":人知れず交戦が回避されました。
七星ミルキ:このジングルは……ストロッツァ仮面!
"ストロッツァ":そんな風にからかうならもう助けてやらないぞ
七星ミルキ:人知れず助けてくれる初恋泥棒さんなのに…
三部つゆり:ミルキさんを助けるの一貫してて好き
GM:では順番としてはエニュオ救出→ウノ発見に行きましょう



カナートス臨床医学研究院 待合室付近


GM:最優先で向かった106号室には、罠が張られていた。
GM:サマンサ・シュヴァイゲルを救出するためには、迷宮化した病棟の中でウノ・ワイルゴッドを発見するしかない。
GM:2人だけの捜索に限界も感じている。優秀なエニュオ・デュカキスならば何らかの妙案を出してくれるかもしれない――
GM:ただし、普賢ハリが伝えたエニュオの位置は、あくまで先ほどまでの時点の位置だ。
GM:瀕死であることが明らかだったサマンサとは違って、既に移動している可能性は高かった。後回しにしていた理由はそこにある。
七星ミルキ:「ええと、次は右手に窓を見ながら左、だね」
七星ミルキ:ハリからのメモに従ってエニュオの位置に向かう。
七星ミルキ:イクス4から聞いた情報によると、彼女は自分たちより先に襲われ、十字冠の転移を行っている。
七星ミルキ:「だから、その後に見たハリちゃんの情報は最新……のハズだけど」
七星ミルキ:「動けるなら、避難しててもおかしくないし……早く見つけないとね」
七星ミルキ:困ったようにつゆりに笑う。
三部つゆり:「ええ……、最悪でも、繋がるものが、あれば…」幾度か真言を口にし、暗号を解くように周囲を探査している。
GM:待合室の床に転がっている、死体のようなものがあった。
GM:――エニュオ・デュカキスだ。全身から真新しい出血が続いていて、止まっていない。
GM:リザレクト限界を越えているということだ。十字冠による保護作用が働き続けている事が分かる。
GM:一度は転送された以上、少なくともこの位置は、カナートスの病棟にあってジャームに襲われる可能性も少なかったのだろうが……
GM:多少なりとも戦闘の世界に身を置いたことのある生徒ならば分かる。この状態に陥った人間の意識を完全に取り戻す方法は少ない。
七星ミルキ:「! いた!」
三部つゆり:「…、」一瞬息を呑み、「…ええ…!応急手当と…移送、を…!」
七星ミルキ:「うん!」ウノの病室から持ち出した包帯や消毒液で軽く手当を行う。
GM:ただでさえ、担架でサマンサを運びながらでなければならない状況であったが――
GM:頼みの綱のエニュオ・デュカキスまでもが戦闘不能の状態にあった。
GM:先程のような襲撃が、あるいはジャームとの遭遇が再び起これば、全滅だろう。
GM:サマンサの死期が近づいている今、一行全員の状況も切迫している。
七星ミルキ:「………」汗が頬を伝って顎に落ちる。
七星ミルキ:(十字冠の離脱で飛ばされたのなら、その瞬間に一番安全なのは此処だった……ハズだけど)
三部つゆり:「出血は…仕方ない…圧迫止血用の、詰め物と…長くは使えませんが…止血帯を…」
七星ミルキ:「コットン持ってきたよ。使って」
三部つゆり:「ありがとう、御座います……これで、出血は…抑えられる、はずです…」
三部つゆり:手や制服を血や体液で濡らしながら、処置を済ませる。
七星ミルキ:頷く。「でも、状態はよくないね」
七星ミルキ:「この状態で自然治癒に任せるにしても、時間はかなり掛かるし……」
七星ミルキ:「やっぱり、お医者さんが必要だ」
三部つゆり:「……そう、ですね…単純な外傷、疫病だけでなく…複数転送後の、意識喪失に…似た状態…です」
三部つゆり:「早く…見つけなければ…なりません…」サマンサ先生の担架を見る。二人とも早期に治療が必要だった。
エニュオ・デュカキス:──わずかに身じろぐ。声が届いたのか、混濁する意識の中でうっすらと人の輪郭を認識し始める
エニュオ・デュカキス:「……部隊は?」掠れた声が漏れた。両手を伸ばし──既に存在しないことに気が付く
三部つゆり:「エニュオ、さん……、意識、が……?!」
エニュオ・デュカキス:決着、と呟くと共に。夢から浮かび上がってくる
エニュオ・デュカキス:失われた両腕を伸ばすように天井へ向け。しかし、降ろされる。時系列がゆっくりと戻ってゆく
エニュオ・デュカキス:「……三部さん。それに……七星さんも、ご無事でしたか」
三部つゆり:「ごほっ、……、行動は…出来て、居ます…戦闘は、厳しいですが…」
七星ミルキ:「今は、お医者様の探索中です。エニュオさんも……」言葉を選ぶ。
七星ミルキ:「まだ無理は、なさらないでください。」
エニュオ・デュカキス:「手間をかけたようで……申し訳ありません」
エニュオ・デュカキス:自分の体に施された手当に気が付く
三部つゆり:「応急、手当ですから…後は…本格的な、治療が…必要です」
GM:エニュオの感覚は曖昧だ。こうした断続的な覚醒も、これまでも何度かあったような気もする。
GM:だが、それらは全て、目覚めたというだけのことでしかなかった。活動はできない――それは何度も試して分かっていた。
GM:オフィサーへの通信も不可能な状況だ。通信機器はイクス4に念入りに破壊されている。
GM:義体に指令を送る僅かな生体電流すら捻出できない。エニュオ・デュカキスにとっても、ほぼ初めての状況だった。
エニュオ・デュカキス:転送能力は変わらず。眼が覚めるたびに幾度と試したが、座標の指定が覚束ない
エニュオ・デュカキス:呼吸するたび全身から痛みが押し寄せる。痛まない場所を理解することもできず、瞼が落ちてゆく
エニュオ・デュカキス:痛みから逃れようとする本能が意識を再び泥の底へ運ぼうとしていた
エニュオ・デュカキス:「……お二人」
エニュオ・デュカキス:「どうやら足手まといから抜け出すには、遠そうです。選択は間違えないよう……」
三部つゆり:「エニュオ、さん……?、エニュオさん!」何度か呼びかけるが、反応はない。
エニュオ・デュカキス:眠るように目は閉じられたが、呼吸の浅さと血色の悪さは収まる様子はない

普賢ハリ:「……見えていた以上に」
普賢ハリ:「ひどい状態だ。このままだとサマンサ・シュヴァイゲルを助ける余裕もないかもね」
普賢ハリ:待合室の片隅に、鷹がとまっている。
三部つゆり:「ごほっ…っ、その声は…ハリ、さん…”端末”、ですか…」
七星ミルキ:「びっくりした……」
普賢ハリ:「そう。君達にはこの姿は初めてだったかな?七星ミルキも……」
普賢ハリ:「……とにかく、もう私の好きな無駄話を挟んでいる時間もない」
普賢ハリ:「ウノ・ワイルゴッドの居場所を教える」
七星ミルキ:「! わかるんだね!?」
普賢ハリ:「探しておいた」
七星ミルキ:「ハリちゃん……!」
三部つゆり:「感謝、します……代金は…どうした、ものか…」
普賢ハリ:「だけどこの容態を見る限り、後は彼女が話を聞き入れてくれることと、手術の成功を祈るしかない」
普賢ハリ:「約束してほしい」
普賢ハリ:「ウノが拒絶したなら、諦めるんだ」
普賢ハリ:「暴力でどうにかしようとしないでくれ」
七星ミルキ:「………!」
七星ミルキ:「……わかった。約束する」
三部つゆり:目を閉じる。ウノ・ワイルゴッドが如何に慕われて…否、信頼されているのか。彼女がどれだけ、カナートスの生徒たちの為に尽くしたのか、それだけで分かる。
三部つゆり:「…ワイルゴッドさんが拒否した、なら…彼女に、いかなる方法であれ…強要は…しないと…誓い、ましょう…」
七星ミルキ:「多分、拒絶するっていうなら……」
七星ミルキ:「きっと、それはもう彼女にとっても、『無理』だってことだから」
七星ミルキ:「強要はしない。約束する」
普賢ハリ:「……ありがとう。私達は戦闘員じゃないからね。ましてや兵器でもない」
普賢ハリ:「か弱い患者なんだ……」
七星ミルキ:「……うん」
七星ミルキ:「知ってる」
普賢ハリ:ナイフを器用に掴んで、広い床に道順を書き殴って刻む。
普賢ハリ:「――それに、問題はもう一つある」
七星ミルキ:一拍遅れてその地図をメモ帳に模写していく。
七星ミルキ:「問題?」
普賢ハリ:「最短経路はこの道筋だ。回り込もうとすれば6倍の時間がかかる……」
普賢ハリ:「だけど、この地点」階段付近に×印を刻む。
普賢ハリ:「恐らくここで、"リトルドレッサー"と遭遇するだろう」
七星ミルキ:「……!堕天病を感染させる霊安室の……」
普賢ハリ:「B105号。抱えている病を発症させるウノなら制御できるだろうけど……」
普賢ハリ:「……今は不可能だ。そのウノに会いに行くんだからね。恐らく、誰かが囮になって食い止める必要がある」
三部つゆり:「……しょうが…ありません、か……」携帯を取り出し写真を撮りながら、自身でも口にして記憶しながら。
七星ミルキ:「うん……わかった。それは私がやるよ」
三部つゆり:「いいえ…私が…なります。十字冠転送も…ほど近い。感染しても…離脱に…手間取りません」
三部つゆり:「それに……逢いたいひとが、いるでしょう…?」
七星ミルキ:「それは、」「そうだけどさ……」
普賢ハリ:「……時間はあまりない。どちらが囮になるか、もそうだけど」
普賢ハリ:「囮が食い止めている間に、二人も抱えて逃げ切れるかを心配したほうがいい」
普賢ハリ:「私の助言はここまでだ」
三部つゆり:「別段…死ぬわけでも…ありません…ためらわずに……ああ、確かに…それは、問題、ですね…」
三部つゆり:「ありがとう、御座います……ハリさん……」
七星ミルキ:「…………口論してる時間もないか」
七星ミルキ:「ありがとう、ハリちゃん。すごく助かる」
七星ミルキ:「それでつゆりちゃん。先に見つけた方が動く。それでいいね?」
三部つゆり:「あなたも……」溜息を付いたようだった。「強情…ですね…」
七星ミルキ:「あはは」
七星ミルキ:今気づいた?といたずらっぽく笑う。
七星ミルキ:「情がないなら、合コン委員会に入ってないよ」
七星ミルキ:「よし、地図はお互い頭に入れたね」
七星ミルキ:「出発だっ」

カナートス臨床医学研究院 階段付近


GM:――階段が見えた時から、ある種の覚悟を決める必要があった。
GM:これまでの結果からしても、普賢ハリの完全照星呪覚の精度は絶対だ。
GM:その彼女が断言した以上、必ずこの付近で"リトルドレッサー"と遭遇する……
GM:激烈な苦痛を伴う堕天病に蝕まれるだけでなく、無数の合併症でサマンサ・シュヴァイゲルのような有様になる。
GM:それを引き受ける側と、託される側。いずれの側でも、強い覚悟を決めなければならない――
GM:……だが。
GM:意を決して階段に踏み込んでも、予想されていたような遭遇はなかった。
GM:死角や天井に潜んでの奇襲すらない。
GM:ただ、夥しい血痕があった。
GM:空気が焼けたようなイオンの匂いもある。
GM:血痕は、階段から別のフロアの廊下へと続いていた。
GM:……交戦したのだ。ミルキ達ではない、何者かが。
三部つゆり:「………」ぶつぶつと探索用の真言を唱えていた。「これ、は……交戦痕、ですね…」
七星ミルキ:「うん……」カタコンベ内で行うように、閉所内での探索に気を向ける
七星ミルキ:「偶然、ってわけじゃ、無さそう。ちゃんと準備して、迎え撃ってる」
三部つゆり:「………」そうしたであろう誰かは、イオン臭からして電磁兵器を使用した。そして、その兵器を私たちは見た事がある――
七星ミルキ:「ハリちゃんの見立ては完璧なはず。ジャームの行動で乱されるとは思わないし……」
七星ミルキ:「状況を把握してる誰かが、此処で、先に障害を退けた」
七星ミルキ:攻性症例によって認知の歪んだ病院を把握できると言うなら、ハリのような完全照星呪覚か、あるいは感覚に頼らない目。
七星ミルキ:ちら、と横を見ると、つゆりも思い当たるフシがあるように見えた。
三部つゆり:「…電子機器による、間接観測……そして、電磁兵装……とも、あれ……私達の…いえ、あなたの危険を、見過ごすつもりは…ないようで」
七星ミルキ:「…………」
七星ミルキ:「あの」
七星ミルキ:「過保護、って思ったりする?」
三部つゆり:「まさか」
三部つゆり:「羨ましい…くらい、ですよ…ふふ」
七星ミルキ:「うぅ……」
三部つゆり:「行きましょう……急がないと、いけません…」
七星ミルキ:「くぅ」置き場所に困る感情と表情をコネてごまかす。
七星ミルキ:「よし。………うん。二人共無事に通れるなら最良だ」
七星ミルキ:「急ごう。ウノちゃんまでもうすぐだよ」

カナートス臨床医学研究院 手術室


GM:そうして二人が到達したのは――
GM:手術室前だ。最初にウノと出会った地点にまで戻ってきたことになる。
七星ミルキ:「着いた!……ここ、手術室?」
三部つゆり:「…です、ね……確かに…彼女が、居るのに…似合う所、ですか…」
七星ミルキ:「……だね。病室に居ないならこっち、か。盲点かも」
七星ミルキ:「って、納得してる場合じゃ、ないや。居てくれるといいんだけど……」
三部つゆり:「ハリさんの…眼を、信じましょう…」周囲を見渡し、人影を捜す。
GM:手術室に入ると、項垂れるように椅子に腰掛けている少女がいた。
GM:ウノ・ワイルゴッドだった。

ウノ・ワイルゴッド:「……。七星……さん、三部さん……」
七星ミルキ:「ウノさん……!」
ウノ・ワイルゴッド:「すみませんね……こんな状態で……」
三部つゆり:「此方こそ……たびたび、お手数を…お掛けして…」
ウノ・ワイルゴッド:額には大量の汗が浮かんでいる。腹部をかばうようにしているが、事実そこから血が滲んでいた。
ウノ・ワイルゴッド:「どうにか……自分を手術しましたよ……久しぶりです」
三部つゆり:「…何というか…凄まじい、ですね……」小さく零す。
七星ミルキ:「すごいね……」
七星ミルキ:「これは私が言うことじゃないけど…………無事で、よかった」
ウノ・ワイルゴッド:「……医師が無事でいるのは」
ウノ・ワイルゴッド:「義務です」
ウノ・ワイルゴッド:「患者を――」苦しみながら立ち上がる。
ウノ・ワイルゴッド:「治療します。手術台に寄せてください」
七星ミルキ:「!」
七星ミルキ:どう切り出そうか迷っていた顔を上げる。
七星ミルキ:「うん……!わかった!」
三部つゆり:「……ありがとう…御座い、ます……何を、恥知らずなと…ふざけているのかと思われて…仕方ありませんが……、先生と…エニュオさんを…お願い、します」
三部つゆり:先生とエニュオさんを、ミルキさんとふたりで運ぶ。
七星ミルキ:「私からも、ありがとう。手伝えることあったら、何でも言って」
ウノ・ワイルゴッド:「命の問題に」
ウノ・ワイルゴッド:「恥もふざけもありません。よく連れてきてくれました」
ウノ・ワイルゴッド:「……っ」腹を押さえる。
七星ミルキ:「だ、大丈夫?」
ウノ・ワイルゴッド:「デュカキスさんは、分かりました。十字冠保護が落ち着くまでは、二ヶ月ほど安静にするべきです」
ウノ・ワイルゴッド:「ですが、一時間で覚醒に持っていけるようにごまかすやり方もあります」
三部つゆり:「……そこまで……」感嘆の吐息が微かに零れた。
七星ミルキ:「すごい……」
ウノ・ワイルゴッド:「シュヴァイゲルさんについては」
ウノ・ワイルゴッド:「『同意』してください」
ウノ・ワイルゴッド:「筋肉の深部と複数の臓器、あるいは骨の一部を含めた大規模な切除と培養組織の移植が必要です」
ウノ・ワイルゴッド:「目視では断言できませんが、ご本人の生命力のギリギリまで病変部を削る手術になると思います」
ウノ・ワイルゴッド:「危険な手術です。ですが、こちらは断言します」
ウノ・ワイルゴッド:「何もしなければシュヴァイゲルさんは確実に死にます」
ウノ・ワイルゴッド:「危険な術式を彼女に施すことに、『同意』してください」
三部つゆり:「……あなたの診断を、私は信用……いいえ……『信頼』します…ミルキ、さんは…」
七星ミルキ:「………………」軋む身体で声を出すために一瞬、呼吸を整える。
七星ミルキ:「する。」
七星ミルキ:「『同意』します。私も、ウノさんの手術の腕と……」
七星ミルキ:「サマンサ先生は、此処で終わることを良しとしない人だと。信用いたします」
ウノ・ワイルゴッド:「…………」
ウノ・ワイルゴッド:「……ありがとうございます」
ウノ・ワイルゴッド:「手術を始めます」
ウノ・ワイルゴッド:「外でお待ちください」
七星ミルキ:「よろしく、お願いします」
三部つゆり:頭を下げた。手術室で始まった、戦闘の病と傷を治すために背負った重みを、今ゆだねたのだという感触があった。
七星ミルキ:こちらも頭を下げる。
七星ミルキ:それだけで、軋んだ身体が楽になった。





????


サマンサ・シュヴァイゲル:――声。
サマンサ・シュヴァイゲル:聞こえていた声が遠ざかっていく。
サマンサ・シュヴァイゲル:張り詰めていた感覚が消えて、静かな暗闇の中で
サマンサ・シュヴァイゲル:記憶だけが、浮かび上がってくる。
サマンサ・シュヴァイゲル:がしゃーん!!
????:「……おい!」
????:「おい!サマンサ!」
サマンサ・シュヴァイゲル:足元にグラスがひっくり返る。
サマンサ・シュヴァイゲル:砕けたガラスの残骸が、床に散らばる。
サマンサ・シュヴァイゲル:「ひっ!?」
難民ギャング:「オメーの耳の穴は右と左が繋がってんのか?」
難民ギャング:「なんで言われたとおりにできねえんだ、コラッ!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ま、またやっちゃったまたやっちゃったまたやっちゃった!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ごめんなさいごめんなさい!」
難民ギャング:柄スーツの男が、サマンサへと無遠慮に蹴りを入れる。
難民ギャング:「その辺のガキを使い走りにしたほうがまだマシだぜ!?」
サマンサ・シュヴァイゲル:「すぐに拭きまっ……ああああっ!?」
サマンサ・シュヴァイゲル:どしゃーん!
サマンサ・シュヴァイゲル:持ってきたバケツをひっくり返す!
難民ギャング:「……ッ、の、わざとやってんだな……!?オメーはよ……!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「うぅ……うぅうえ……」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ち、違うんです……」
サマンサ・シュヴァイゲル:「なんで出来ないのか、自分でも分かんなくて」
難民ギャング:青筋を立て、銃を抜こうとする。
サマンサ・シュヴァイゲル:目を閉じて、床の上に身を縮こまらせる。
サマンサ・シュヴァイゲル:この”体質”が周りにバレてからというもの
サマンサ・シュヴァイゲル:遊び半分で撃たれることも珍しくはなかった。
難民ギャングボス:「やめろ」
難民ギャングボス:「これでもそれなりの金で買った奴だ」
難民ギャングボス:「お前がそいつの値段分を肩代わりするつもりならいいが」
難民ギャングボス:「オレに払う金があるなら、例の仕事の損失分を埋め合わせるほうがいい。リカルド」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ぼ、ボス」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ごめんなさい……私……」
サマンサ・シュヴァイゲル:潤んだ瞳で、自分を雇い入れた男と
サマンサ・シュヴァイゲル:蹴りを入れた男の間に視線を彷徨わせている。
難民ギャング:「……チッ!」
難民ギャング:「はっきり言わせてもらいますがねッ、ボス!」
難民ギャング:「こいつを飼ってたら、これからもっと損失は増えていきますよ!」
難民ギャング:「物は壊す、場所は取る、大飯は食らう!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「……」
サマンサ・シュヴァイゲル:肩を落とし、俯いている。
サマンサ・シュヴァイゲル:いっそ、弾丸を受けた方がよかったのかもしれない。
サマンサ・シュヴァイゲル:遊びとはいえ、それは自分にしか出来ないことだから。自分以外がそんなことをされたら死んでしまう。
難民ギャング:「寝たきりの病人や老人のほうがまだマシってもんですよ!」
難民ギャングボス:「まったく……そうだったかもな」サマンサを見る目は冷たい。
難民ギャングボス:「少なくとも病人は」
難民ギャングボス:「こいつみたいに物を壊したりしない」
サマンサ・シュヴァイゲル:「わ、私、私がんばりますから」
サマンサ・シュヴァイゲル:「一生懸命がんばりますっ……!」
サマンサ・シュヴァイゲル:ビクビクと背を丸める、せめて邪魔にならないように
サマンサ・シュヴァイゲル:周りにぶつからないように。
サマンサ・シュヴァイゲル:この場所にいて、本当に辛いことは
サマンサ・シュヴァイゲル:体の痛みよりも、『いらない』というその言葉だった。
難民ギャングボス:ボスはため息をついて、立ち上がる。
難民ギャングボス:――ダン!ダン!ダン!ダン!
難民ギャングボス:そして、4発サマンサを撃った。
難民ギャングボス:「言ったな?」
難民ギャングボス:「こいつを、、、、頑張れ」
サマンサ・シュヴァイゲル:「~~~ッ!!」
サマンサ・シュヴァイゲル:歯を食いしばる。
サマンサ・シュヴァイゲル:動けると思ってもらえなければ、使えると思ってもらわなければ
サマンサ・シュヴァイゲル:「は……い”……!」
サマンサ・シュヴァイゲル:血の泡を飲みくだしながら、声を絞り出した。
難民ギャング:「チッ……ボスだって結局撃つんじゃねえですか」
難民ギャングボス:「オレは、我慢の限界の時にしか撃たん」
難民ギャングボス:「上の連中もこんな粗大ゴミ押し付けやがって……何が不死身のボディガードだ……」
難民ギャングボス:立ったまま、飲みかけの酒を飲み干す。
難民ギャングボス:「一度だって役に立ったためしがねえ。でかい図体でウロウロするだけで……」
難民ギャング:「さっきの話の続きですが、ボス。イタリア系の連中がきな臭い動きを――」
GM:ガ  ン  !
GM:話を遮るように、事務所の扉に銃痕が空く。
サマンサ・シュヴァイゲル:「!!」
GM:生死を分ける判断は
GM:いつも、一瞬で決まる。
GM:機関銃の最初の一発が扉を撃ち抜き、二発目が届くほどの時間。
サマンサ・シュヴァイゲル:「危ないッ!!」
サマンサ・シュヴァイゲル:声をあげるよりも早く、体は動いていた。
GM:――、ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!!!!
サマンサ・シュヴァイゲル:手の届く範囲、目の前の相手へと腕を伸ばす。
サマンサ・シュヴァイゲル:こんなことをされてしまえば、死んでしまう。
サマンサ・シュヴァイゲル:――自分以外なら。
サマンサ・シュヴァイゲル:(お願い、間に合って)
サマンサ・シュヴァイゲル:激しい、豪雨のような銃声が鳴りやむまで
サマンサ・シュヴァイゲル:床に体を抑えつけ、痛みに耐える。
GM:痛みと熱さの嵐がしばらく続いたが、やがて止んだ。
GM:事務所を襲撃した敵対ギャングはその足音しか聞こえなかったが、全員が死んだと認識したのだろう。走り去っていく。
サマンサ・シュヴァイゲル:「ふーっ……ふーっ……!」
サマンサ・シュヴァイゲル:げほ、と血を吐き、身を起こす。
サマンサ・シュヴァイゲル:「だい、じょう、ぶ」
サマンサ・シュヴァイゲル:「です、か……?」
GM:命がけで庇った者が、震え声を発した。
難民ギャング:「お、お前………………」
難民ギャング:「なに……なに、やってんだ」
難民ギャング:ボスではない。その手下のほうだった。
サマンサ・シュヴァイゲル:「え……」
サマンサ・シュヴァイゲル:呆然とした声が零れる
難民ギャング:襲撃の瞬間、彼は銃を抜き、捨て身で刺客に撃ち返そうとしていた。
難民ギャング:それすらできなかった。
難民ギャング:サマンサの巨体が邪魔だったからだ。
難民ギャング:「何……やってんだ!!てめえ!!」
サマンサ・シュヴァイゲル:数m先の床の上に、もはや肉片となって転がっているのは
サマンサ・シュヴァイゲル:自分を雇い入れたボスの男だった。
難民ギャング:「なんで俺の方を、、、、守ってんだよ!?」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ち、ちがう、違うのっ、私はっ」
難民ギャング:ダン!ダン!ダン!!
難民ギャング:腹部を続けざまに撃つ。
難民ギャング:「はーっ、はーっ……!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「……」
サマンサ・シュヴァイゲル:もはや声をあげることもない
サマンサ・シュヴァイゲル:床の上に倒れ、痛みに涙だけが零れる。
難民ギャング:「ボスが……ボスが、殺られて」
難民ギャング:「なんでテメーが生きてんだ!?こ、このクソッタレ……!」
難民ギャング:「化け物……化け物が!!」
難民ギャング:「役立たずのゴミ野郎!!これでファミリーは終わりだ!」
難民ギャング:「俺も……ちくしょう……!」
難民ギャング:ガチ!ガチガチ!
難民ギャング:倒れたサマンサの頭を撃ち抜こうとするが
難民ギャング:既に弾切れだった。
難民ギャング:「……クソォッ……!」
難民ギャング:大の男が泣いていた。サマンサとは違って、体の傷はないはずなのに。
サマンサ・シュヴァイゲル:(違う、違うの)
サマンサ・シュヴァイゲル:(私は、それしか出来なかったから)
サマンサ・シュヴァイゲル:(「あなたが生きていてよかった」)
サマンサ・シュヴァイゲル:(そう言いたかったの)
サマンサ・シュヴァイゲル:(……ごめんなさい)
サマンサ・シュヴァイゲル:(役に立たなくてごめんなさい)
サマンサ・シュヴァイゲル:(泣かないで)
サマンサ・シュヴァイゲル:血だまりの中に、意識が溶ける。
GM:血だまりの温かさだけが、サマンサの覚える感覚だった。
GM:その血だまりの外側で、いくつもの世界が流れていく。
GM:歓声の溢れるサーカス。熱気に満ちたリングの中。
GM:病室――誰もいなくなった、寂しい病室。
GM:子供達の声。目はもはや見えていないが、学園だと分かった。たくさんの不思議な子供達がいる。
GM:けれど、血だまりの中で倒れているサマンサには、誰も気付かない。
GM:家族も。観客も。子供達も。
GM:その全てに、別れを告げなければいけなかった。
GM:死ぬということは
GM:そういうことだった。
サマンサ・シュヴァイゲル:寂しい、けれど
サマンサ・シュヴァイゲル:どこか安らかな気持ちだった。
サマンサ・シュヴァイゲル:もうこれで、誰にも失望されずに済むのなら。
サマンサ・シュヴァイゲル:小さく、透明になって、何にも気付かれないものになれるなら。
サマンサ・シュヴァイゲル:無力で、惨めで、どうしようもない哀しさを抱え続けるよりは。きっとそれも、悪くはない。
サマンサ・シュヴァイゲル:(そっか)
サマンサ・シュヴァイゲル:(そうだったんだわ)
サマンサ・シュヴァイゲル:誰かの言葉が、頭の中に残響している。
-:「人が、自分自身の死を願うようになる――ということは」
-:「そんなに軽いものですかね?」


















:「──先…………」
:「────サマ………生」
:水の中に光が指すように。
:とぷりと沈んだ意識を揺らす声。
:「────、」
:水面を揺らす僅かな波紋。意識しなければ消えていくような刺激。
:「サマンサ──先生」
:何度もつぶやくような声。
:その波紋は温度に変わって、貴方の右手から生じていた。
サマンサ・シュヴァイゲル:(先生)
サマンサ・シュヴァイゲル:それは誰のことだっただろう、と思う。
サマンサ・シュヴァイゲル:残響の中で声を辿る。
サマンサ・シュヴァイゲル:掌の温度が、溶けだす意識を繋ぎ止めていく。
:雨の日の水たまりを子供が駆けるように。
:小さな波紋は繋がっていく。
:辿った先で、温度はだんだんと小さな手の形になって、貴方の右手を包んでいる。
サマンサ・シュヴァイゲル:反射的に握り返す。
サマンサ・シュヴァイゲル:思考よりも先に、肉体がそうしなければいけないことを覚えている。
:「──!」
:息を呑む。僅かな身じろぎが伝わる。
:「サマンサ先生……!?」
サマンサ・シュヴァイゲル:(私の、名前)
サマンサ・シュヴァイゲル:(お母さんがくれた、私の名前)
サマンサ・シュヴァイゲル:掌に力がこもる。
サマンサ・シュヴァイゲル:力を籠めるために、筋肉が、骨格が
サマンサ・シュヴァイゲル:神経が繋がる熱さと共に、再び形を成していくのが分かる。
サマンサ・シュヴァイゲル:(今の私は、先生で)
サマンサ・シュヴァイゲル:(生徒が呼んでる)
サマンサ・シュヴァイゲル:「がん……ばるわ……!」
サマンサ・シュヴァイゲル:誰かが必要としてくれる。信じてくれる。
サマンサ・シュヴァイゲル:その言葉が、ずっと欲しかったから。
七星ミルキ:「サマンサ先生……!」
七星ミルキ:泣きそうな子供のような声に、喜びが混じった。
サマンサ・シュヴァイゲル:「――先生」
サマンサ・シュヴァイゲル:「がんばるわ!!」
サマンサ・シュヴァイゲル:恐るべき再生力でめきめきとその身を組み上げながら
サマンサ・シュヴァイゲル:「どぉおおおおりゃあああああーーっ!!」
サマンサ・シュヴァイゲル:手術台の上に勢いよく立ち上がる!!

GM:そこには、七星ミルキがいた。三部つゆりがいた。エニュオ・デュカキスがいた。
GM:サマンサ・シュヴァイゲルは、まだ、ひとりぼっちではなかった。
サマンサ・シュヴァイゲル:「ありがとう、ありがとうみんな」
サマンサ・シュヴァイゲル:「無事でいてくれて……!」
サマンサ・シュヴァイゲル:がしっと、目の前のミルキを抱きしめる。
サマンサ・シュヴァイゲル:「先生弱虫だったわ、1人で諦めそうになって」
サマンサ・シュヴァイゲル:「だけどもう逃げたりしない!みんなのこと、置いていったりしないわ!」
サマンサ・シュヴァイゲル:無理矢理に細胞を再生させた半身は、呪われたように黒い斑に覆われている。
サマンサ・シュヴァイゲル:しかし以前にも増した強い生命の脈動を
サマンサ・シュヴァイゲル:腕の中のミルキは感じるかもしれない。
ウノ・ワイルゴッド:ウノ・ワイルゴッドは、部屋の片隅の椅子に座り込んでいる。
ウノ・ワイルゴッド:タオルに顔を埋めていたが、汗を拭き取る動作すらも終えられないような有様だった。
ウノ・ワイルゴッド:「――堕天病だけは……この場で治療することは、できません」
ウノ・ワイルゴッド:「進行を抑えているだけです」
ウノ・ワイルゴッド:「……ですが」
ウノ・ワイルゴッド:「…………成功して、よかった」
七星ミルキ:「…………」ぽかん、と握った手をバンザイにして見上げていた──そして抱きしめられた──が。
七星ミルキ:「あは……」自然と笑みに変わる。
七星ミルキ:抱きしめる身体はとても暖かく、力強くて。
七星ミルキ:此処まで抱えてきた緊張も焦りも、全部包まれてしまったから。
七星ミルキ:「よかった、です、よかった」ウノの言葉に頷くように。
七星ミルキ:「……サマンサ先生」
七星ミルキ:「おかえりなさい!」
GM:呼吸とともに酸素が巡る。心臓が脈動して、全身に血を行き渡らせる。
GM:それは、生命力だった。
GM:サマンサが生まれついて持っていた、ただ一つの、そして何よりも自慢のものだった。
GM:死の淵から、再び生の世界へと。サマンサ・シュヴァイゲルは復活する!

GM:シーンを終了します。ロイスのみ可能です。
サマンサ・シュヴァイゲル:もちろん、ミルキちゃん、つゆりちゃん、エニュオちゃん、そしてウノちゃんに!
サマンサ・シュヴァイゲル:ほんとはルーちゃんにも取りたいが…!
GM:一気に4つも取りおった!
サマンサ・シュヴァイゲル:ここまでで世話になった数が多すぎるぜ
三部つゆり:100を超えたので、十字冠引き下げをしてもいいでしょうか!
GM:十字冠低減ももちろん可能です!やってしまってください
三部つゆり:ありがとうございます!では
三部つゆり:104-10-1d10
DoubleCross : (104-10-1D10) → 104-10-2[2] → 92

三部つゆり:ひくい 92になります…!ロイスは…保留で…!ウノさんハリさんにも滅茶苦茶取りたいんだけど 枠が足りない
七星ミルキ:「ウノ・ワイルゴッド ◯P尊敬/Nごめんね」これで取得しよう!先生にも取得したいが…残り1枠で以上!
エニュオ・デュカキス:三部さんと七星さんに「〇感謝/借り」で取得します
サマンサ・シュヴァイゲル:ミルキちゃん/もうまけないわ!〇/おせわかけたわ!/ロイス
サマンサ・シュヴァイゲル:つゆりちゃん/もうだいじょうぶだわ!〇/ふがいないわ!/ロイス
サマンサ・シュヴァイゲル:エニュオちゃん/さいごまでがんばるわ!〇/おこらないでね!/ロイス
サマンサ・シュヴァイゲル:ウノちゃん/たすけてもらったわ!〇/かなわないわ!/ロイス
サマンサ・シュヴァイゲル:以上で!!


◆Middle04◆有限性の絶望は無限性の欠乏に存する

GM:シーンプレイヤーはエニュオさん。他の方は自由登場です。
七星ミルキ:七星ミルキの侵蝕率を1D10(→ 3)増加(74 → 77)
エニュオ・デュカキス:エニュオ・デュカキスの侵蝕率を1D10(→ 10)増加(35 → 45)
三部つゆり:三部つゆりの侵蝕率を1D10(→ 10)増加(92 → 102)
三部つゆり:もう100超えたwww
七星ミルキ:つゆりちゃん、さっきの低下の出目は低かったのに…!w
サマンサ・シュヴァイゲル:1d10+32
DoubleCross : (1D10+32) → 7[7]+32 → 39

サマンサ・シュヴァイゲル:ミドル4、初登場です。
GM:そうなのだ
GM:二人に頑張らせた分がんばるんだよ

カナートス臨床医学研究院 手術室


GM:ウノ・ワイルゴッドは、恐ろしく難易度の高いサマンサへの術式を行いながら
GM:長期間の昏睡状態が確定しているエニュオへの処置も並行した。
GM:エニュオが受けた主な処置は、手術ではなく投薬である。手術は、リザレクト異常が起こらないような傷口の整理だけだ。
GM:複数種の侵蝕低減薬と侵蝕上昇薬の併用――中には職員室でしか流通していないような強力な薬品もある。
GM:ウノは、一つ間違えればより深刻な状態に陥らせかねないような処置を、迷いなく正確に行い
GM:実際に、彼女の意識を覚醒させてみせた。そしてそれからは、サマンサ・シュヴァイゲルの施術に専念した。
サマンサ・シュヴァイゲル:「エニュオちゃん大丈夫かしら……大怪我だったのよね」
サマンサ・シュヴァイゲル:「えらいことだわ……大丈夫かしら」
サマンサ・シュヴァイゲル:そわそわウロウロしている。
ウノ・ワイルゴッド:「デュカキスさんは安静状態を保ってください」
ウノ・ワイルゴッド:「シュヴァイゲルさんも……十字冠がない分、自分が動けると思われているでしょうが」
ウノ・ワイルゴッド:「大きな負担がかかっていることを忘れないでください。オーヴァードとはいえ、限界はあります……」
七星ミルキ:「私とつゆりちゃんでようやく、ギリギリの状態ですからね……」
サマンサ・シュヴァイゲル:「分かったわ!お医者さんの言うことは絶対!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「……さっきのことは、ええと」
サマンサ・シュヴァイゲル:「思いっきり邪魔しちゃったけどごめんなさい!!」
サマンサ・シュヴァイゲル:ぺこーっと頭を下げる。
ウノ・ワイルゴッド:「……」
ウノ・ワイルゴッド:「治してもらった負い目を感じる必要は……ありません。最初からこうするつもりでした……」
ウノ・ワイルゴッド:腹には血が滲んでいる。本来ならリザレクトで傷が塞がっているべき時間が経過しているが
ウノ・ワイルゴッド:塞がる暇もないほど動き続けていたのだ。
サマンサ・シュヴァイゲル:「負い目なんかじゃないわ!ありがとうの気持ち!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「こんなになるまで、先生のこと治そうとしてくれたんだもの」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ウノちゃんとルーちゃんは命の恩人だわ!これからずっとそのことを忘れないわ!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「みんなが生きて欲しいって思ってくれたから、私がここにいるんだもの」
サマンサ・シュヴァイゲル:「……それがとっても、心強い」
サマンサ・シュヴァイゲル:ぎゅっと拳を握っている
ウノ・ワイルゴッド:「……。あなたが」
ウノ・ワイルゴッド:「あなたが、治ろうとしてくれたからですよ」
ウノ・ワイルゴッド:「……治りたくても治れない患者さんは、いくらでもいます。けれど」
ウノ・ワイルゴッド:「全ての手段を尽くした上で、最後の一線を手繰り寄せるのは――」
ウノ・ワイルゴッド:「――ご本人の、治りたいという意志です」
サマンサ・シュヴァイゲル:「それじゃあ」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ウノちゃんと、先生と」
サマンサ・シュヴァイゲル:「それにミルキちゃんたち、ここにいるみんなは」
サマンサ・シュヴァイゲル:「同じことを考えていたのね」
サマンサ・シュヴァイゲル:「……だったら、もう喧嘩なんてしなくていい」
サマンサ・シュヴァイゲル:「そういう証拠だって、私は思う」
サマンサ・シュヴァイゲル:「なんか……倒れてた本人が言うのも変ね!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ごめんなさい!でもありがとう!ウノちゃん!あなたは最高のお医者さんだわ!」
七星ミルキ:「あはは……」先生のまとめに苦笑し、「でも、私も同じ意見です」
七星ミルキ:「改めて。助けてくださってありがとうございます、ウノさん」
ウノ・ワイルゴッド:「私は……少なくとも、半日は動けません」
ウノ・ワイルゴッド:「その間は、患者の治療もできないでしょう」
ウノ・ワイルゴッド:「けれど――劇症型堕天病の投与以外に、彼女達を救う手段があるとも思いません」
ウノ・ワイルゴッド:「手は尽くしたつもりです。隔離を越えて、カナートスの外の学区を探し回って」
ウノ・ワイルゴッド:「患者さんの何人かは、そのさらに外の、『卒業』の手段も探し求めた……」
ウノ・ワイルゴッド:「……」
ウノ・ワイルゴッド:「……これ以外に、何があるのでしょうか?」
サマンサ・シュヴァイゲル:「……それは」
サマンサ・シュヴァイゲル:命を救われて、だからこそ分かる
サマンサ・シュヴァイゲル:これほど真剣に他人の生を願える彼女が、それほどまでに固執する絶望の深さに、思い当たってしまう。
エニュオ・デュカキス:「未知を相手にするのは医療だけと思わないで下さい」
エニュオ・デュカキス:点滴の管が繋がれたまま。黙っていた一人が口を開く
サマンサ・シュヴァイゲル:「エニュオちゃん!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「もう平気なの?よかったぁ……!」
サマンサ・シュヴァイゲル:飛びついてハグしようとして、点滴台を倒しそうになったので抑えている。
エニュオ・デュカキス:「先生を見たら大体の方は平気ですよ……」普段通りの様子に安堵しながらも飛び掛かられないか警戒してしまう
エニュオ・デュカキス:何せ今はバランサーになる両の手足もないのだ
七星ミルキ:先生も身体治したばかりですから……!と止めている。
エニュオ・デュカキス:器用に上体を起こし、揃った面々を見やる
三部つゆり:目を閉じて視線を受けている。何か言うつもりは無さそうだ。
エニュオ・デュカキス:「手段そのものは同意できずとも。貴方方が努力してきたことも、その結論に至ったことは否定しきれません。選ぶことは意思をすり減らす上、悩み躊躇う余裕もなかった」
エニュオ・デュカキス:「ですが。一つの数式を解くのに何十年とかけていたところ、不意に別の解が出現するのも現実にままあることです」
エニュオ・デュカキス:「カナートスに外部から踏み入った者がいる。ひとつの結論に揺さぶりをかけるには十分だ、と述べるのは。自意識過剰でしょうか」
ウノ・ワイルゴッド:「……」
サマンサ・シュヴァイゲル:「何よりも、あなたと同じように」
サマンサ・シュヴァイゲル:「この場所をずっと見てきた、カリスちゃんが」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ミルキちゃんにそれを求めたんだもの」
サマンサ・シュヴァイゲル:「まだ、全部を決めるには早いはずよ……きっと」
ウノ・ワイルゴッド:「私は……皆さんの能力を侮っているわけではありません」
ウノ・ワイルゴッド:「患者の治療に失敗したことは一度もなかったんです。今日は、初めて失敗しました」
ウノ・ワイルゴッド:「ですが、技術者や料理人を銃で撃ち殺しても『勝った』ことにはならないように」
ウノ・ワイルゴッド:「あなた達の優秀さと、カナートスの医療の問題は、全く別の話です」
ウノ・ワイルゴッド:「私も……けほっ、けほっ」腹部の縫合を押さえて咳き込む。
ウノ・ワイルゴッド:「私も、患者を殺したいなどとは……全く、思っていません」
ウノ・ワイルゴッド:「私達が必要としているものがあるとしたら、希望なのでしょう」
ウノ・ワイルゴッド:「無責任な励ましや、強さの証明などではなく――」
ウノ・ワイルゴッド:「具体的な可能性が必要です。堕天病の代替となる手段が、あなた達にあるのかどうか」
ウノ・ワイルゴッド:「それだけです。それさえあれば、私だって……喜んでご協力したいですよ」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ええぇ……うぅう」
サマンサ・シュヴァイゲル:「そうよね!そうよね!ウノちゃんの言うとおりだわ……!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「待ってね、先生一生懸命考えるわ!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「えーっと、えーっと、ぐたいてきに……!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ウノちゃんが堕天病を使わなくていいようにするためには……!」
サマンサ・シュヴァイゲル:抱えた頭からプスプスと煙を立てている。
三部つゆり:眼をゆっくりと開き、ミルキさんを見る。「……ミルキさん。構いませんか」
七星ミルキ:つゆりちゃんの紫紺の輝きをまっすぐに見る「うん。大丈夫だよ。お願い」
三部つゆり:「はい」頷く。
三部つゆり:「……理事会が遺した、カナートス生徒の治療記録が…まだ、存在する可能性があります」
三部つゆり:「現在、最も疑わしい保持者は…”死神”先生をも欺く電子戦を行い得る能力者であり…」
三部つゆり:「現在も、システム的にカナートス内部に干渉している。…”ノドス”の生徒です」
ウノ・ワイルゴッド:「……ノドス」
ウノ・ワイルゴッド:「噂だけは聞いています。消失したはずのノドス学区が、実際にはノヴァリスではないどこかに漂流していて――」
ウノ・ワイルゴッド:「機械の体を借りて、敵対的に関わっている……らしいですね」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ははーん、なるほど、ノドスときたわね……ノドス!?」
サマンサ・シュヴァイゲル:ワンテンポ遅れて思わぬ名前が出てきたことにびっくり。
三部つゆり:「はい。そして…現在此処にいる”彼”は…そこの、七星ミルキさんと近しい関係があり」
七星ミルキ:「………」名前の出たタイミング、真剣な顔で頷く。
三部つゆり:「ルーさんの攻性症例展開後と…先程、此方の手術室に来る前。”リトルドレッサー”と私達の接触を防いでいます」
三部つゆり:「……”希望”は、」断言していいのか、と思う。
三部つゆり:今でもまだ信じきる事が出来ない。理事会が撤退前に削除した可能性。ノドス生であるクロード・カレルが、既に削除した可能性を頭から消せない。――嘘を、言いたくない。
七星ミルキ:「………」つゆりの迷いを見て、口を挟む気配はない。
七星ミルキ:自分は断言『してしまう』とわかっているため。その報告を任せた。
三部つゆり:「まだ…あります」清水から飛び降りるように。言葉を発した。
エニュオ・デュカキス:「式は組まれているなら、代入される値がどうかで結果は決まる」
エニュオ・デュカキス:「私達で解きます。その結果が証明に足りえなければ──」
エニュオ・デュカキス:「この命で払うことになるでしょう」
エニュオ・デュカキス:……躊躇いが見えたことで、おそらく“絶対”の確証はないと推測は可能だ。その上で彼女は言ったなら
エニュオ・デュカキス:乗るのが誠意だ。何、不確定の新技術に決を下すよりは勝ち目がある
ウノ・ワイルゴッド:「あなた達の命はいりません。苦労して救ったのですからね」
ウノ・ワイルゴッド:「もし、希望が実在するのなら……」
ウノ・ワイルゴッド:「私が求めるのは、『それ』だけです。治療記録は残されていないと思っていました……」
ウノ・ワイルゴッド:顔を少し上に上げる。その程度の体力しか残っていない。
ウノ・ワイルゴッド:天井の照明を見て、眉をひそめるような顔をする。
ウノ・ワイルゴッド:「他の約束や、美辞麗句は何もいりません」
ウノ・ワイルゴッド:「『それ』を持ってきてください」
ウノ・ワイルゴッド:「カナートスの治療記録と引き換えになら」
ウノ・ワイルゴッド:「劇症型堕天病の保管場所を、お伝えします」
エニュオ・デュカキス:「……そうと決まれば。私もお医者様の言うことを聞かない悪い患者になるしかありませんね」
ウノ・ワイルゴッド:「デュカキスさんは、申し訳ありませんが……」
ウノ・ワイルゴッド:「動けないはずです。肉体的にはほとんど昏睡していた状態と変わっていないと思ってください」
ウノ・ワイルゴッド:「意識だけは正常に保てるようにしましたが……動こうとしても、ほとんど力が入らないでしょう」
エニュオ・デュカキス:「そうですね。先程からまともに腕を振るのも違和感があります」残った二の腕を振るう仕草。
GM:エニュオの四肢の転送回線そのものは、オフィサーへの通常回線とは別だ。こうした事態があり得る以上、戦闘能力は他のどの機能よりも最後まで確保する必要がある。
GM:だが、信号の入出力を行うのも肉体と脳に他ならない。こちらに継続的な異常がある現状、戦闘システムの万全の運用が不可能になるのも道理だった。
エニュオ・デュカキス:吐息。珍しく目を伏せて、考え込む。眉根が寄る様子は平時からは見えない不満、不快さを感じさせる
エニュオ・デュカキス:出し惜しみする余裕はない。──必死になれ、という声に反論する。上等だ。
エニュオ・デュカキス:ごとり。手術室の器材置きに何かが落ちる音が響く
エニュオ・デュカキス:「申し訳ありませんが、それを背中につけて頂けますか」
サマンサ・シュヴァイゲル:「えっ!?あっ!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「いつの間に!?どこから!?これは一体!?」
エニュオ・デュカキス:出現したのは黒い樹脂カバーで覆われた、長細い蛇腹形式の機械パーツだ
サマンサ・シュヴァイゲル:拾い上げてあたふたしている、少なくともこいつに装着担当を任せるのは危なっかしいぞ!
ウノ・ワイルゴッド:「……」嘆息する。
ウノ・ワイルゴッド:「三部さん。肩を貸してください」
ウノ・ワイルゴッド:「自分ではまっすぐ立てなさそうなので。……私がやります」
三部つゆり:「はい。…よいしょ…、っと…」肩を貸してゆっくり立つ。
七星ミルキ:「あぁっ、無理を……でも、お願いします」
サマンサ・シュヴァイゲル:「あっ、ウノちゃんがやるのね!?」
サマンサ・シュヴァイゲル:「でも怪我が……無理しないで!」おたおたしつつ手渡す。
七星ミルキ:「怪我は先生よりマシですよ…!」
ウノ・ワイルゴッド:身体補助具の取り扱いには慣れているようだった――たとえ初めて見るような器具であっても。
エニュオ・デュカキス:「ありがとうございます。光っている部分を外側にして、頸椎からそのまま腰椎まで添わせるように」
エニュオ・デュカキス:「接触させれば自動的に動きます」
ウノ・ワイルゴッド:「この形で大丈夫ですかね?違和感があれば仰ってください」機械パーツを背中に添える。
三部つゆり:その沿える動作などをやり易いように、真っ直ぐに保つように気を付けている。
エニュオ・デュカキス:「はい。OKです」
エニュオ・デュカキス:──脳に接続マウントされたAIDAが同調する。オレンジ色のランプが明滅し
エニュオ・デュカキス:《キュドイモスを認識しました。対象躯体を固定します》
エニュオ・デュカキス:衝撃。機材から射出されたボルトが一直線にエニュオの背を貫通し、頸椎から腰椎まで固定。
エニュオ・デュカキス:痛みはない。神経系は完全に掌握され、違和感程度に抑え込まれている
エニュオ・デュカキス:不愉快さに顔を歪めながら。展開する外装骨格アーマースケルトンが体を覆ってゆく
エニュオ・デュカキス:曲がっていた背を機械が矯正するように伸ばす。息苦しい。
エニュオ・デュカキス:《緊急時対応。武装転送を行います、対象のエフェクトを励起》
エニュオ・デュカキス:ばぢん。失っていた腕と足が繋がる。最も、それは精巧な人の腕ではあったが。黒金色のまま化粧も施されていない
エニュオ・デュカキス:《接続終了。非戦闘状態のため、制御を躯体へ譲渡》
エニュオ・デュカキス:「ハァ────」
エニュオ・デュカキス:両手の指を躍らせる。正しく動く。今は
エニュオ・デュカキス:「お待たせしました。これで、動くのに支障はありません」
エニュオ・デュカキス:立ち上がる。体勢を維持することが限界だった数秒前から、普段のように
サマンサ・シュヴァイゲル:「おおお……」目を丸くしてぱちぱち。
サマンサ・シュヴァイゲル:「かっこいいわ!ヒーローみたいね!エニュオちゃん!」
ウノ・ワイルゴッド:「医師としては、身を挺してでも止めるべきですけど……」
ウノ・ワイルゴッド:「……その体力もないですね。おかげさまで……」
三部つゆり:「……またすごいですね……無理するべきですけど、無茶は駄目ですよ…?」
エニュオ・デュカキス:「申し訳ありませんが、ここで出し惜しみをすれば全員共倒れですので」
七星ミルキ:「あはは……誰かが無茶する時は私が止めますね」
ウノ・ワイルゴッド:「七星さんと三部さんもです」
七星ミルキ:「はい……」しゅん。
ウノ・ワイルゴッド:「必ず、30分おきに処方した薬を服用してください。"キッチンボイラー"の毒は厄介です」
三部つゆり:少し身を縮める。「……ありがとう、ございます…本当に」
七星ミルキ:「わかりました。……ありがとうございます」
ウノ・ワイルゴッド:「お二人の身体をこの状態に持っていった分、十字冠には確実に負荷がかかっています」
ウノ・ワイルゴッド:「それでも、カナートスのために……何かをしていただけるのなら」
ウノ・ワイルゴッド:「…………」頭を上げることができない。両膝に肘を突いたように椅子に座り込んだまま
ウノ・ワイルゴッド:絞り出すように呟く。
ウノ・ワイルゴッド:「本当に」
ウノ・ワイルゴッド:「……本当に」
ウノ・ワイルゴッド:「ありがとうございます」
七星ミルキ:下げた頭を上げる。
七星ミルキ:「…………うん」言われた言葉を噛みしめるように。
七星ミルキ:「カナートスの子たちのために、なにか出来るなら」
七星ミルキ:「私も……」
七星ミルキ:「とっても、嬉しいよ」
エニュオ・デュカキス:ただの襤褸切れと化したジャケットを捨て眼鏡を外す。AIDAが眼球から取り込んだ情報を元に解像度を上げ脳に転送、健常者と変わらない視界が広がる
エニュオ・デュカキス:「行きましょう。為すための時間はそう残っていない」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ええ……!」
サマンサ・シュヴァイゲル:誰よりも希望を望んでいたからこそ、誰よりも深く絶望する。
サマンサ・シュヴァイゲル:彼女のことが、今なら少しだけ分かる。
サマンサ・シュヴァイゲル:そして病室を回った、カナートス生ひとりひとりのことを思いだす。
サマンサ・シュヴァイゲル:「ウノちゃんのための、みんなのための希望を取ってきてあげることが出来るなら」
サマンサ・シュヴァイゲル:「元気とやる気が、とっても湧いてくるわ!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「うおおおお!やるわやるわ!がんばるわ!!」
サマンサ・シュヴァイゲル:どすどす足踏みしている。
サマンサ・シュヴァイゲル:「みんなに、笑ってほしいもの!!」
三部つゆり:少しためらうように、何度か口を開いては閉じて。
三部つゆり:「……私は…大した事が出来る訳じゃないけど。其れでも……ううん」首を振る。
三部つゆり:「私の好きな言葉があるんだ。私は、それを証明してみせる…」
三部つゆり:「”人類の歴史は、虐げられた者の勝利を忍耐強く待っている”。……そうだって、私は信じてる」ラダンビナート・タゴールの一節を口ずさんで、歩み出す。

GM:ウノ・ワイルゴッドによる治療の結果として、全員の継続デバフが解除されました。
GM:エニュオさんとサマンサ先生は戦闘不能状態からHP1で復活します。
GM:ミルキちゃんとつゆりちゃんは《リザレクト》後の行動ペナルティがなくなります。
GM:さらにサマンサ先生の救出によって、項目が一つ追加されます。

101号室 ヘル・クロタリアス 〈交渉〉難易度9
☆手術室 ウノ・ワイルゴッド 〈交渉〉難易度15
☆130号室 普賢ハリ 〈知識〉難易度12
203号室 チェルシー・ミラー 〈回避〉難易度7
216号室 ソ・ジウォン 〈意志〉難易度7
225号室 カート・トゥエ 〈知識〉難易度10
304号室 レセル・イル・イオフィエル 【肉体】難易度7
320号室 ペテラ・アズテック 【肉体】難易度9
409号室 ヘイズ・ブラックモア 〈交渉〉難易度6
417号室 無人(判定なし) 購入判定獲得
☆サマンサ・シュヴァイゲル 〈知覚〉難易度20
☆エニュオ・デュカキス 〈情報:ノヴァリス〉難易度9
"ストロッツァ" 〈知覚〉難易度20

GM:"ストロッツァ"の居場所へと向かった場合、その後はカナートスの探索はできなくなります。
GM:また、カナートスの探索自体も、このシーンと次のシーンまでです。ミドル5までがリミットということですね
サマンサ・シュヴァイゲル:うおお!ではペテラちゃんのとこへ行きます!
サマンサ・シュヴァイゲル:肉体!
サマンサ・シュヴァイゲル:5dx
DoubleCross : (5DX10) → 10[2,4,5,10,10]+9[5,9] → 19

サマンサ・シュヴァイゲル:オラッ
エニュオ・デュカキス:ごっついのぅ
三部つゆり:つよい!
GM:一発成功!!
七星ミルキ:つよい!
サマンサ・シュヴァイゲル:しゃあっ
エニュオ・デュカキス:こちらはヘルさんに当たります。判定前に自分へ《援護の風》、交渉1で
エニュオ・デュカキス:ラッキーメダルホワイトで+1
エニュオ・デュカキス:10dx+2>=9
DoubleCross : (10DX10+2>=9) → 9[1,3,4,4,4,5,7,7,8,9]+2 → 11 → 成功

エニュオ・デュカキス:怖い
エニュオ・デュカキス:エニュオ・デュカキスの侵蝕率を2増加(45 → 47)
GM:エニュオさんも強い~
三部つゆり:流石です!
三部つゆり:225号室 カート・トゥエ 〈知識〉難易度10 さんにチャレンジしたく。ラッキーメダルブラックを起動して、素振り!
七星ミルキ:《支援射撃》判定ダイス+3D
GM:み、みんな……遭遇判定が怖くないのか!?
三部つゆり:ミルキさんありがと…!
GM:みんなしてダイス支援ばかりして!
七星ミルキ:七星ミルキの侵蝕率を2増加(77 → 79)
三部つゆり:12dx+1>=10
DoubleCross : (12DX10+1>=10) → 10[1,1,2,2,4,6,6,6,7,8,10,10]+3[2,3]+1 → 14 → 成功

三部つゆり:ヨシ成功!
七星ミルキ:そういえば 皆の遭遇判定見てからのほうが良いかな…w
三部つゆり:確かに…遭遇判定します
エニュオ・デュカキス:じゃあ先にやっていこう
サマンサ・シュヴァイゲル:こんなに振って当たらないってことは
サマンサ・シュヴァイゲル:永遠に当たらないってコトだぜぇ~ッ!!
サマンサ・シュヴァイゲル:1d10
DoubleCross : (1D10) → 3

エニュオ・デュカキス:フリ!
GM:当たってるじゃね―か!!
七星ミルキ:即オチ!
三部つゆり:1d10
DoubleCross : (1D10) → 4

エニュオ・デュカキス:1d10
DoubleCross : (1D10) → 5

サマンサ・シュヴァイゲル:-死-
エニュオ・デュカキス:先生~!
GM:サマンサ先生だけ当たってるじゃねーか
七星ミルキ:死ュヴァイゲル殿ー!!
三部つゆり:ヤバいぜ
"ストロッツァ":しょうがないなあサマ太くんは
"ストロッツァ":はい、ストロッツァ~
七星ミルキ:わぁ~~い
サマンサ・シュヴァイゲル:ストえもん~~
"ストロッツァ":これでストロッツァの二回目が使用されました。もう助けてやらないぞ
三部つゆり:め、滅茶苦茶ありがたい
サマンサ・シュヴァイゲル:ひぃ~ん
七星ミルキ:そんな………
七星ミルキ:では残りの手番、ミルキは攻めの待機を選択します。遭遇したくない
GM:賢い選択をしおって
GM:ではロール順番はヘル→トゥエ→ペテラ で行こうと思います。
GM:この状況ではさすがに手分けして病室移動なんてできないので
GM:みんなでワーッと押しかけてもらうよ
サマンサ・シュヴァイゲル:ウォオオオ
三部つゆり:了解です!
サマンサ・シュヴァイゲル:丸太は持ったな!行くぞォ!
七星ミルキ:あぁ!

カナートス臨床医学研究院 101号室


GM:ウノ・ワイルゴッドの尽力によって、カナートスを訪問した一行は、ようやくの復活を遂げた。
GM:そして、タイムリミットもある。当のウノが回復すれば、彼女も終末医療を望む患者への処置を始めるしかないだろう。
GM:彼女を――そしてカナートスを止めることができる唯一の手段は、失われた理事会の治療記録。
GM:その指針は、ヘル・クロタリアスが存在を示唆したものだ。カナートス全てに関わる問題である以上、相談をするべきだろう。
サマンサ・シュヴァイゲル:がたたーん!!
サマンサ・シュヴァイゲル:勢いよく扉を開いて飛び込む。
サマンサ・シュヴァイゲル:「ヘルちゃん!大丈夫!?」
サマンサ・シュヴァイゲル:「大変大変!大変なの!」
サマンサ・シュヴァイゲル:落ち着きなく足をバタバタしている。カナートスの扉は頑丈なので壊れずに済んだ。

ヘル・クロタリアス:「ひゃっ!」
ヘル・クロタリアス:肌色の多いアニメを慌てて消す。
ヘル・クロタリアス:「こほっ、こほっ……よく来てくださいました」
サマンサ・シュヴァイゲル:「あーだこーでかくかくしかじかで……!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「まるまるうまうまで、とにかくえらいこっちゃえらいこっちゃ!」
三部つゆり:「せ、先生!急に飛び込んだらヘルさんも困りますよ……!」わたわたしながら止めようとしている。役に立ってるとは言い難い。
サマンサ・シュヴァイゲル:これまで、ヘルの部屋を離れてから起きたことを
サマンサ・シュヴァイゲル:早口で取り留めなく洗いざらい話す。
サマンサ・シュヴァイゲル:要領を得ず、大変わかりにくい!
七星ミルキ:「落ち着いてくださいサマンサ先生!ループしています!」
ヘル・クロタリアス:「……そうだったんだね」ベッドの上に座り直す。
ヘル・クロタリアス:「すぐに命を奪う、劇症型堕天病か……」
エニュオ・デュカキス:(通じた……)
三部つゆり:(あれで……?!)
七星ミルキ:(さすがの理解力です…!)
サマンサ・シュヴァイゲル:「そう、そうなの!それをウノちゃんが他の子たちに使うって……」
サマンサ・シュヴァイゲル:「分かってもらえて助かるわ!流石だわ、ヘルちゃん!」
ヘル・クロタリアス:「ウノの方針はわからないわけじゃないけど」
ヘル・クロタリアス:「……みんなが止めたくなった気持ちもわかるよ」
ヘル・クロタリアス:「劇症型堕天病は、わたし達がずっと待って待って、やっと目の前に現れた、苦しみから救われる手段だけど」
ヘル・クロタリアス:「他の治療手段と違うことがある。これを使ってしまったら、もう次は絶対にないってこと……」
ヘル・クロタリアス:「待った末に劇症型堕天病を見つけられたなら、もしかしたら、もっと待てば、別の手段が見つかるかもしれない」
ヘル・クロタリアス:「それどころか、見つかる順番が逆だったかもしれない。選択肢があったのなら、誰も本当は堕天病なんて選びたくないもんね」
七星ミルキ:「はい、私もそう思ってます。それに……ウノさんも、出来るなら、きっと……」
七星ミルキ:「ただ、ウノさんと紆余曲折有って、一旦は保留の流れになりまして」
七星ミルキ:「猶予を貰った間に、『別の手段』の手がかりを探しているという次第です」
サマンサ・シュヴァイゲル:「そうなの!それが今言った」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ノドスの、ええと、クロード・カレルくん……でよかったかしら」
サマンサ・シュヴァイゲル:「その子もここにいて、いや、実際にその辺を歩いているとかではないのよ!?」
ヘル・クロタリアス:「二回言わなくても大丈夫。ノドスのことは、まだ少し飲み込めないけど……」
ヘル・クロタリアス:「ノヴァリスが外界とやり取りできるものは、情報だけ」
ヘル・クロタリアス:「ノドスもノヴァリスとは別にそういう状態にあって、けれどあちらはノヴァリスの方に情報を送り込めているんだね」
サマンサ・シュヴァイゲル:「こうなにか、コンピューター的な……パワーでどこからか見ているということだと思うんだけど」
サマンサ・シュヴァイゲル:「見ているだけというのでもなくて、さっき言ったジャームさんと戦ったりもしているみたいで」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ああっ!そうだわ!あのジャームさんもなんとかしないとみんなが危険!えらいこっちゃ!」
サマンサ・シュヴァイゲル:とりとめない。
七星ミルキ:「先生、先生!話の方向性が!」静止
ヘル・クロタリアス:「だから機械の義体を使って物理的な干渉をしている――"死神"先生と近いものだと思えばいいのかな」
三部つゆり:「理解が本当に御早いですね……」
七星ミルキ:「だいたいそんな感じです!直接ではなく、電子的な干渉を行ってるようで……」
七星ミルキ:「……"死神"さんの裏を突く場面も目撃しました」
ヘル・クロタリアス:「似たような干渉はできるけれど」
ヘル・クロタリアス:「力関係はノドスのほうが上、か」
エニュオ・デュカキス:「電子戦で謎めく霧の家庭教師会クリプトミストチューターズを上回る、というだけでも脅威ですね」
七星ミルキ:「はい。方法に制限がある分、限定的ながらジャームに匹敵する出力を有してると考えていただいて構いません」
七星ミルキ:「なのでもしかしたら、ヘルさんが仰っていた"記録"への干渉も可能ではないか、と……考えておりまして」
七星ミルキ:「その手がかりを探しに来たって感じです。」
ヘル・クロタリアス:「……わたしに……」整った眉を少し寄せて、難しい表情をしている。
ヘル・クロタリアス:「……眠っていた間の出来事の話を聞かれても、少し困るけれど」
ヘル・クロタリアス:「時系列かな……。ノドスがこっちに干渉できるようになった、最初の時期は?」
三部つゆり:「第一次セイクリッドピラー襲撃事件の時期ですから…202X年の中頃でしょうか」
ヘル・クロタリアス:「わかった。じゃあ、もう一つ」
ヘル・クロタリアス:「――カナートスの隔離システムが破られた時期は?」
ヘル・クロタリアス:「この学区には、誰かが入ってくるだけじゃなくて、誰かが出ていくのも防がれてたはずだったんだ」
ヘル・クロタリアス:「でも、ミルキさんは」
ヘル・クロタリアス:「カリスに招待されて、、、、、ここに来たんだよね?」
七星ミルキ:「……はい」
七星ミルキ:「それで、カナートスから誰かが『出た』と言うなら、カリスちゃんより前で……」
七星ミルキ:「ペテラ・アズテックちゃんと会った時期だよね。私が委員長になった後だから、セイクリッドピラー襲撃事件より後の……」
七星ミルキ:記憶から日付を伝える。実際に学区外に出たのはそれより数日前だろう
エニュオ・デュカキス:「“SMIT”の流行時期と第六プラントの異常ログも踏まえて、誤差はないかと」
ヘル・クロタリアス:「わかった。記憶力いいんだねミルキさん」
ヘル・クロタリアス:「まず、隔離システムを破る動機があった者は、"死神"先生で間違いないと思う」
七星ミルキ:こくこくと頷く
ヘル・クロタリアス:「本来ならカナートスは、シュエフィの道順障害に加えて、電磁的な力場や偽装でも近づけないようになっていて」
ヘル・クロタリアス:「生徒がパスを発信しても、それだけだと出入りはできなかったの」
ヘル・クロタリアス:「でも、みんなやジウォン達は、パスを使えば道順が分かるようになったでしょ?」
七星ミルキ:「万全に聞こえるけど……それ以上?」
七星ミルキ:「あ、そっか。私が来れてるなら、カナートスの子達も移動できるはずなんだ」
エニュオ・デュカキス:「セキュリティ能力というものは一個人に頼るものではありませんからね」
ヘル・クロタリアス:頷く。
エニュオ・デュカキス:「加えてカナートスという特異なエリアは外部からの侵入より、内側からの流出こそが恐れる点でしょう」
ヘル・クロタリアス:「"死神"先生は、電子領域でしか活動できないから、生徒を手足にして行動させる」
ヘル・クロタリアス:「エニュオさんがそう言ってくれたよね」
エニュオ・デュカキス:「はい。良くて巡回ドローンや介護用マシーンの域は出ません」
ヘル・クロタリアス:「だから生徒が出られるようにした」
ヘル・クロタリアス:「けれどその時点で、"死神"先生も治療記録を見つけられていなかったなら……」
ヘル・クロタリアス:「誰にも気付かれない時点で、既にカナートスのシステムに入り込んでいた相手がいた可能性は」
ヘル・クロタリアス:「――十分ありえると思う。カナートスの隔離破りよりも早く、ノドスチルドレンがノヴァリスに干渉できるようになっていたっていうなら」
ヘル・クロタリアス:「クロード・カレルは"死神"先生よりも『先』にいて、誰にも存在を気付かせなかったんだ」
サマンサ・シュヴァイゲル:「す、すごいわね、相手はパソコンそのものみたいな人なのに」
サマンサ・シュヴァイゲル:「そんなことが出来たのだったら、すごいわ……」
七星ミルキ:「そ、そこまで……」
三部つゆり:「…電子戦なら、管理者アカウントを始め、理事会用のアクセスキーは空いていた状況…そこを確保しておけば、隠れながら見ることも出来る…のかな」
エニュオ・デュカキス:「……情報戦の先手という優位は簡単には覆せない」
エニュオ・デュカキス:「となれば。恐らく彼はセイクリッドピラー襲撃の頃には……」
七星ミルキ:「……カナートスの情報は、隔離されていましたけど」
七星ミルキ:「それでも一部の医療関係者には伝わっていたようです」
七星ミルキ:「"医療"と言う分野に焦点を絞っていたなら……後からそこを目指している人に見つからないよう、警戒することも出来た……んだと思います」
サマンサ・シュヴァイゲル:「その、クロードくんを」
サマンサ・シュヴァイゲル:「見つけて、お話するためには」
サマンサ・シュヴァイゲル:「これからどうすればいいかしら……ヘルちゃんはどう思う?」
ヘル・クロタリアス:「んー……」
ヘル・クロタリアス:「私なら、って立場でしか話せないけど」
ヘル・クロタリアス:「犯人だって決めつけないことかな……」
七星ミルキ:「……決めつけない、ですか?」
ヘル・クロタリアス:「やっぱり、治療記録を奪った人がいてほしいっていうのは……わたし達の願望でしかないことだから」
ヘル・クロタリアス:「話してどうにかするつもりなら、疑っているけど疑わない……みたいな」
七星ミルキ:「……最初から喧嘩腰になるな、ってことですね?」
七星ミルキ:「決めつけられたら、どうしてもムッとしちゃいますしね……」
エニュオ・デュカキス:「現時点でも、私達にはまともな情報がありません」
エニュオ・デュカキス:「状況から推測に推測を重ねて、こうだと動いてるわけですから……“わかりやすい”答えを求めてしまう」
サマンサ・シュヴァイゲル:「そうね、そうよね」
サマンサ・シュヴァイゲル:「まだ何か、希望が残ってるかもしれないと思うことと、今の悪い面を誰かのせいにするのは、ぜんぜん別の話だわ」
三部つゆり:「…今更ですが、それこそ…理事会が削除しただとか…経年劣化などで消えてしまったという可能性は、消えていませんしね」胃が痛くなる感触がする。
ヘル・クロタリアス:「うん。だからわたしも……理事会が消したって思いたくない気持ちが、まだあるんだろうな……」
ヘル・クロタリアス:「カナートスは、アダムカドモン計画の研究者で設立された学園で……あはは、誰も知らないかも。こんな昔のノヴァリスの話」
ヘル・クロタリアス:「……みんな、オーヴァードを治療するのが夢だったはずなんだよ。本当は」
ヘル・クロタリアス:「もし、自分達に危険が及んで、カナートスを捨てるしかなくなったとしても……」
ヘル・クロタリアス:「そんな夢まで捨ててしまえるほど非情な人達だったって、思いたくないのかもね」困ったように笑う。
サマンサ・シュヴァイゲル:「……ヘルちゃん」
サマンサ・シュヴァイゲル:「分かったわ」
サマンサ・シュヴァイゲル:「クロードくんのことも、脅かしたりしない」
サマンサ・シュヴァイゲル:「みんながいい結果になるために、お話してもらうことにする」
サマンサ・シュヴァイゲル:「よく覚えておくわ、ありがとう」
七星ミルキ:「…………」
ヘル・クロタリアス:「大丈夫?」
ヘル・クロタリアス:ミルキの顔を覗き込む。
七星ミルキ:飲み込めないものと格闘するような表情を数秒、した後。
七星ミルキ:「う~……」「ふぅ!」
七星ミルキ:口の中の熱とともに息を吐き出す。
七星ミルキ:「……すみません、心配させちゃいました」
七星ミルキ:「はい。ちょっと……私も」
七星ミルキ:「混乱してたみたいです。冷静になったつもり、でしたけど」
七星ミルキ:「ありがとうございます。ヘルさん……そうですよね」
七星ミルキ:「うん。ちゃんとお話できれば、それが一番いいです」
七星ミルキ:覗き込んだ顔に恥ずかしげに笑い返す。
ヘル・クロタリアス:「………」じっと、複雑な色彩の虹彩がミルキを見つめる。
ヘル・クロタリアス:「隠してることはない?」
七星ミルキ:「…………?」たじろぎ。
七星ミルキ:「隠してる、こと、ですか」
サマンサ・シュヴァイゲル:「そういえば」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ミルキちゃんとつゆりちゃんは、クロードくんのこと」
サマンサ・シュヴァイゲル:「名前とか……どこで分かったのかしら」
七星ミルキ:「……………あ、あー。」
サマンサ・シュヴァイゲル:むむむ、という顔
三部つゆり:「それは……」ミルキさんを見る。「言いづらければ、私から説明しますが…」
七星ミルキ:「いや、大丈夫……大丈夫だと思う、多分。でも、言葉足りなかったら補足、よろしく」
三部つゆり:わかりました、と一歩下がる。
七星ミルキ:「えっと、つゆりちゃんには話してたので、これは隠してたと言うか……既に共有してたつもりだったんですけど」
七星ミルキ:「クロード・カレル……は、その」
七星ミルキ:「私のおにいさんです。……あ、いえ、血の繋がりではなく……幼馴染……そう、幼馴染なんです」
七星ミルキ:「ノドスが消失する前から交流があって……つい先程、操作するドローン越しに再会しました……」
七星ミルキ:「それが先ほどお伝えした、"死神"さんの裏をかいた場面、です」
三部つゆり:「手術室前での戦闘後、ですね。本来会うつもりは無かったようでしたが…”死神”先生がなんらかの薬剤を此方に注射しようとするのを見過ごせなかったようでした」
サマンサ・シュヴァイゲル:「そ、そうだったのね」
サマンサ・シュヴァイゲル:「名前を教えてくれたわけではなくて」
サマンサ・シュヴァイゲル:「声で分かったのね……ずっと聞いてた声だから」
エニュオ・デュカキス:「委員会の経緯とは推測してましたが……そこまでの繋がりとは」
七星ミルキ:「えぇ……気付いちゃいました。」
七星ミルキ:「彼は、自身に不調をきたしているらしく。治療法を求めている口振りでした」
七星ミルキ:「だから……オーヴァードの治療法研究と生体記録。それを求める動機と電子能力から、可能性は高いと……」
七星ミルキ:「推測しています………いました。」
七星ミルキ:(言い訳みたいになってしまうな……)縮こまる。
サマンサ・シュヴァイゲル:「……ううっ」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ううううううっ!!」
サマンサ・シュヴァイゲル:がしっ!!
七星ミルキ:「せ、先生!?」
サマンサ・シュヴァイゲル:突然に、その縮こまった肩を
サマンサ・シュヴァイゲル:大きな手で掴む
七星ミルキ:「わっ」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ミルキちゃん!!」
七星ミルキ:「は、はいっ」
サマンサ・シュヴァイゲル:「2人がケンカなんてしたら、絶対にダメよ!!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「合コン委員会の子たちは、ノドスの子たちのこと、ずっとずっと、心配して」
サマンサ・シュヴァイゲル:「生きていて欲しくて、今日までがんばってきて」
サマンサ・シュヴァイゲル:「それでやっと、奇跡みたいに出会えたんだもの」
サマンサ・シュヴァイゲル:「それでケンカなんて、そんなに悲しいことってないわ……!」
サマンサ・シュヴァイゲル:ボロボロもらい泣きしている
七星ミルキ:「サマンサ先生……」
サマンサ・シュヴァイゲル:「クロードくんとお話しましょう!絶対お話する!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「カナートスのみんなを傷つけることなんて、きっとクロードくんも望んでいないもの!」
ヘル・クロタリアス:「……ねえ、ミルキさん」
ヘル・クロタリアス:「クロード・カレルは、どういう人だったの?」
七星ミルキ:「………」あ、う、とサマンサ先生に返す言葉に迷っていると。
七星ミルキ:「…………おにいさんは」
七星ミルキ:「よく笑う、人でした。」
七星ミルキ:「少なくとも私より。」
七星ミルキ:「何がおかしいのかはよくわからなくても……」
七星ミルキ:「悩んだり、怒ったりするより、まず笑って、良い所を探して………」
七星ミルキ:「……見てると、不思議と」
七星ミルキ:「『あぁ、大丈夫なんだ』って、安心させてくれる人、でした」
七星ミルキ:「だから」
七星ミルキ:「だから………」
七星ミルキ:会いに来なかったことも、こっそりなにか進めてることも。
七星ミルキ:…………すごく無理をしているような声も。
七星ミルキ:「きっと、なにか事情があるんだと思って、います」
七星ミルキ:「おにいさんは」
七星ミルキ:「器用で、何でも出来るけど」
七星ミルキ:「……そういう所、不器用でしたから」
七星ミルキ:(…………言ってしまった)
七星ミルキ:つゆりと会話したことに嘘はない。そのような態度に思う所は、ある。
七星ミルキ:ただそれ以上に、彼に事情があると──やむを得ない、と思ってしまうと。
七星ミルキ:自分は彼と対立する勇気があるのか。それだけを不安に感じていた。
ヘル・クロタリアス:「……そっか」
ヘル・クロタリアス:目を閉じる。「大好きなんだね」
ヘル・クロタリアス:「わたしはどうしても、残酷な想像を思い浮かべちゃうけど……そういうことなら、言わないほうがいい」
ヘル・クロタリアス:「話し合ってみて」
七星ミルキ:「………………」
七星ミルキ:「……………………………」
七星ミルキ:「…………………………………………………………はい」
七星ミルキ:「きちんと、してもらいます。説明」
サマンサ・シュヴァイゲル:「うううっぐぅうううっふぐぐぅううう……!」
エニュオ・デュカキス:「先生」
サマンサ・シュヴァイゲル:もう一度溶けだしそうな勢いで、滂沱の涙を流している
ヘル・クロタリアス:「この先のことは……うるさ……」
ヘル・クロタリアス:ぎゅっと目をつぶる。
七星ミルキ:「髪が……」
三部つゆり:「いや本当すみません」ハンカチとかで先生の顔を拭いている。
サマンサ・シュヴァイゲル:「ダメよ、2人は幸せにならなきゃダメ……!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「先生がんばるわ……!なにが出来るかわからないけど……!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ミルキちゃんとクロードくんのためにがんばるわ……!ふぐふぐ……!」
サマンサ・シュヴァイゲル:つゆりちゃんに顔を拭われつつ
ヘル・クロタリアス:「大丈夫?もう助言していい……?」
エニュオ・デュカキス:「すみません。どうぞ」
七星ミルキ:「あ、ありがとうございます先生……!あの、ヘルさんの声が……!ウィスパーなので…!」
七星ミルキ:「よろしくおねがいします…!」
ヘル・クロタリアス:「………」
ヘル・クロタリアス:「チェルシーが、役に立ってくれると思う」
七星ミルキ:「チェルシー……チェルシー・ミラーさん?」
七星ミルキ:203号室。お見舞いの中で新たに知った生徒。──寄生性異食症。
ヘル・クロタリアス:「カナートスのみんなは……本当の戦いで役に立つためには、準備や心持ちが必要だけど」
ヘル・クロタリアス:「もしも戦わなきゃいけないなら、チェルシーはきっと協力してくれるよ」
三部つゆり:「ちょうど私とエニュオさんがハリさんと会ってた時にお二人が逢われてた…」
エニュオ・デュカキス:「先生と七星さんが伺った生徒でしたか」
七星ミルキ:「そう、だね。一回会いました」
サマンサ・シュヴァイゲル:「チェルシーちゃんが……そうね、すっごく素早かったもの」
七星ミルキ:「戦闘に向いていると言うなら、はい。万全の状態でも危ないところでした」
サマンサ・シュヴァイゲル:「目にも止まらなかったわ、ばしゅーんって!」
ヘル・クロタリアス:「ウノに手術してもらったって話だけど、それでも消耗が辛ければ……」
ヘル・クロタリアス:「わたしなら、ジウォンかレセルを頼りたいな……。体調を落ち着かせる手段は、一緒に考えてくれると思う」
ヘル・クロタリアス:「"霊安室"の兵器が放し飼いになっちゃったのは、本当にひどいよね」
ヘル・クロタリアス:「ウノは全然手段を選ばないから……もっと怒ってやるくらいでよかったんだけど」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ええ、そうなの」
サマンサ・シュヴァイゲル:「だから、みんなのことも」
サマンサ・シュヴァイゲル:「もっと安全な場所に連れていく方がいいのかしら、なんてことも思って」
サマンサ・シュヴァイゲル:「でもみんなそれぞれに、お部屋に必要な設備があるのなら」
サマンサ・シュヴァイゲル:「そういうわけにもいかないわよね……そこも、どうすればいいのかしら」
ヘル・クロタリアス:「そんなことをしてたら、いくら時間があっても足りないよ」冗談を聞いたように笑う。
ヘル・クロタリアス:「……"キッチンボイラー"はトゥエが抑え込めるはず」
ヘル・クロタリアス:「完全に無力化ってほどじゃないけど、相性がいいんだよね」
ヘル・クロタリアス:「もしも、遭遇しちゃうよりも早く"霊安室"の兵器を見つけたいなら……」
ヘル・クロタリアス:「……ヘイズかな。あの子は理事会兵器のことも勉強してたはずだから」
サマンサ・シュヴァイゲル:「トゥエちゃん、ヘイズちゃん……分かったわ!」
サマンサ・シュヴァイゲル:掌と比して小さく見えるメモ帳にペンを走らせ
エニュオ・デュカキス:「ええ。お世話にもなりましたね……」過去の件を思い出しながらもAIDAに情報を記録する
三部つゆり:「本当に助かります」メモ帳に記帳と携帯のメモ機能にもメモして、頭を下げる。
七星ミルキ:「ジウォンちゃん、レセルちゃん、トゥエさん、ヘイズさん。」こめかみを指で叩きながら覚えている。
七星ミルキ:「はい。ありがとうございます。やっぱりヘルさん……皆のこと、すごく見てるんですね」
ヘル・クロタリアス:「それくらいしかやれることがないからねえ」
サマンサ・シュヴァイゲル:「うおおお」
サマンサ・シュヴァイゲル:「やることが沢山あるわ!カナートスのみんなのために、ミルキちゃんとクロードくんのために!」
七星ミルキ:「すごいことだと思います。……見ている人がいてくれるのって、それだけで心強いですもん」
サマンサ・シュヴァイゲル:「のんびりしていられないわ!ダッシュダッシュなんだから!どりゃーっ!」
サマンサ・シュヴァイゲル:勢いよく部屋を飛び出していってしまう。
七星ミルキ:「私もはやくそうなりたいですけど……やっぱり、皆に頼ってばっかりで──」
七星ミルキ:「──サマンサ先生!?」
エニュオ・デュカキス:「また一人で……」
七星ミルキ:「あ、その、えっと、失礼します!ありがとうございました、ヘルさん!」
ヘル・クロタリアス:「うん。がんばって」
七星ミルキ:「はい!」ペコリ、と頭を下げて、比較的一番早く追いかけられる自分がサマンサを追う
三部つゆり:「ああっ、ほ、本当に申し訳ない……」勢いで吹き飛ばされたものを元に戻している。
七星ミルキ:「待ってください~~~~」
七星ミルキ:「病院の! 廊下は……!走っては……」 いーけーまーせーんー………(フェード)
ヘル・クロタリアス:笑顔でその背中を見送る。
ヘル・クロタリアス:「……」
ヘル・クロタリアス:「――つゆりさん」
三部つゆり:「…ええとここはこれで……な、何か…?」こわごわとした声。色々元に戻していた。
ヘル・クロタリアス:「もしもクロード・カレルと対決するなら、これは良くない想像だけど……」
ヘル・クロタリアス:「心構えとして聞いてもらいたいの。エニュオさんも、いい?」
エニュオ・デュカキス:「……」
三部つゆり:「………はい。聞いておかなきゃいけない事でしょうから」
エニュオ・デュカキス:「必要なこと、ですね」
エニュオ・デュカキス:それも私達にだけ伝えられる
ヘル・クロタリアス:「ノドス学区は、8年前に全員が消失した」
ヘル・クロタリアス:「そして前触れもなく帰ってきて、セイクリッドピラーを襲撃した」
ヘル・クロタリアス:「帰還した彼らの姿は、誰も、直接的には見ていない」
ヘル・クロタリアス:「ミルキさんの知っているクロード・カレルは、私利私欲で治療記録を奪ってしまうような人ではなかった……」
ヘル・クロタリアス:「……ノドスの生徒たちは」
ヘル・クロタリアス:「本当に帰ってきた、、、、、のかな?」
三部つゆり:「……」目を閉じる。
三部つゆり:「少なくとも……私が接触した、”イモータル・コイル”は」
三部つゆり:「”本物”でした。肉体は、ですが」
ヘル・クロタリアス:「心は違った?」
三部つゆり:「精神的に他者を…死者を取り込み、敵対したジャームたちを取り込み。完全に別人格となっていましたね」
三部つゆり:「…勿論、能力によって可能になったから、ではありますが…彼らの経験を考えれば…」
三部つゆり:「私は、”事実として”、あなたの懸念を否定することは、出来ません」
ヘル・クロタリアス:「わたしは外のことはよく知らないから、色々な前提条件が抜け落ちてるのかもしれないけど……」
ヘル・クロタリアス:「きっと、待ち続けていた人ほど、信じたくないのかもな……」独り言のように呟く。
三部つゆり:「そうでしょう」
三部つゆり:「死さえ引っ繰り返ったと、そう奇跡が起きたのだと信じている。無論、決して悪い事ではないけれど」
三部つゆり:「現実というものが、時にとてつもなく意地が悪いことを…経験として知ってもいますので。心配には、なります」
ヘル・クロタリアス:「奇跡じゃなくても、わたしが知っている現象を説明できてしまうことはあって」
ヘル・クロタリアス:「十分にあり得るし……備えなきゃいけない可能性だと思うんだ」片手で口元を手で隠すようにする。
ヘル・クロタリアス:「ノドスのみんなは、とっくに全員死んでしまっていて」
ヘル・クロタリアス:「ジャームになって戻ってきた」
ヘル・クロタリアス:「間違っていたら教えてね」
ヘル・クロタリアス:「――このノヴァリスでは、死んだ生徒はジャームになって蘇るんでしょう?」
ヘル・クロタリアス:「シノエ・リュコスみたいに」
三部つゆり:眼を開く。「正確には……元から、私達は二つに分けられていて」
三部つゆり:「侵蝕率を…ジャームになる可能性を、ジャーム体…星徒へ流す。そういうシステムがあります」
三部つゆり:「元となった生徒が死ぬか。ジャームとなった場合、この関係は破綻し――空から、ジャーム体が落ちてくる」
ヘル・クロタリアス:「すごい話だね。想像もつかないな……」とはいえ、つゆりの話を疑っているようではない。
三部つゆり:「……気付いていたんですね」
ヘル・クロタリアス:「気づきたくなかったけどね」
ヘル・クロタリアス:「みんなのことを見てあげることしか、やれることがないから」
三部つゆり:「、………」私は動くことができた。何が出来たという訳ではないが、それでも。ただ見るだけ、という絶望からは離れていられたのだ、と思う。
三部つゆり:「……あなたほどよく見えて、気付けるなら…」いや、と首を振る。無駄な同情など、失礼だと思った。
三部つゆり:「失礼しました。……その…ジャームと化している可能性も、私は踏まえて動きます」
ヘル・クロタリアス:「エニュオさんも。気をつけて」
ヘル・クロタリアス:「あの二人には言いたくなかったことを、背負わせちゃうけど……」
ヘル・クロタリアス:「分かっていて言わないことは、見殺しにしてしまうことだから」
エニュオ・デュカキス:「物事を伝えることの重さを理解している方に、苦言は返せません」
エニュオ・デュカキス:「現時点でクロード・カレルに言を届けられるのは七星さんが一番目があります。……危険な賭けではありますが」
エニュオ・デュカキス:吐息。
エニュオ・デュカキス:「先程の奇跡ではなくとも説明がつくこと。……雷の理屈が解明されようと、私達は閃光と轟音に神の権能を見出してしまう」
エニュオ・デュカキス:「七星さんに必要なのは理屈や正論、現実ではなく“納得”なのでしょう」
エニュオ・デュカキス:「それがもし望まない形に至るというなら私が仕事をこなします」
エニュオ・デュカキス:「仕事柄、損切りの経験は多いので」
ヘル・クロタリアス:「分かってる。現実がどれだけ残酷で、救いがなかったとしても……」
ヘル・クロタリアス:「心の決着をつけることができれば、救われると思う」
ヘル・クロタリアス:「エニュオさん達が、ミルキさんの納得を優先してくれる人達でよかった」
ヘル・クロタリアス:「いいお友達なんだね」
三部つゆり:少し照れたように視線を逸らして。「まあ…ここまで、色々ありましたからね」
エニュオ・デュカキス:「どうでしょう。顔を合わせる機会はそれなりにありましたが」
エニュオ・デュカキス:「恥ずかしながら人間関係は疎いもので。そう呼んでいいものか」
ヘル・クロタリアス:「じゃあ、エニュオさんの思いやりが深いんだよ」からかうように微笑む。
エニュオ・デュカキス:「……ではそうなのでしょう」
エニュオ・デュカキス:「人が最も理解できないのは、己自身とも言いますから」
エニュオ・デュカキス:「そういうことにしておきます」
エニュオ・デュカキス:少しだけ面白そうに口元を持ち上げる
ヘル・クロタリアス:「変な話しちゃってごめんね。ミルキさんたちのこと、助けてあげてね」
ヘル・クロタリアス:「それに、カナートスのことを」
ヘル・クロタリアス:「気にかけてくれて、ありがとう」
エニュオ・デュカキス:「長い付き合いになりました。途中で投げ出すつもりはありません」
エニュオ・デュカキス:「これからも、よろしくお願いします。そう言えるよう善処はします」
三部つゆり:「…私は、自分が言ったことを嘘にしたくなかっただけなんです」これから、もう哀しい事は嫌だと言った。
三部つゆり:「だから、勝手なわがままです。でも……そう言ってくれて、もっと頑張ろうって、思えました」最後に小さく笑う。

カナートス臨床医学研究院 225号室


GM:サマンサとつゆりが昼に訪れたことのある、二重のエアロックを備えた部屋だ。
GM:エアロック内に踏み入っても、気圧が操作されている様子はない……ただ、酸素が抜かれているのだ。
GM:酸素濃度6%以下の空気は、常人であれば吸入するだけで失神に至る。オーヴァードならばその閾値にもやや余裕があるが――
GM:とにかく、呼吸に細心の注意を払わなければならない部屋であることは確かだった。
GM:ミルキとエニュオは、入室前につゆりから呼吸法のレクチャーを受けている。

カート・トゥエ:「あ……また来た」絵本を読んでいたが、顔を上げた。どことなく嬉しそうな声色でもある。
七星ミルキ:「こんにちは。初めまして、ですね」緩やかな話し方。緩い呼吸を乱さないまま話している。
サマンサ・シュヴァイゲル:「トゥエちゃ……!もがもが」
サマンサ・シュヴァイゲル:今度は大所帯なので、口を抑えて酸素を無駄使いしないようにしつつ
サマンサ・シュヴァイゲル:こくこくと頷いて、サムズアップ。
カート・トゥエ:「! サマンサ先生……どうしたのその格好……」
三部つゆり:「お邪魔します、トゥエさん」少し笑顔を浮かべて一礼。
エニュオ・デュカキス:既知の二人の後ろで静かに会釈。高山病対策の呼吸を再現しながら
サマンサ・シュヴァイゲル:「もがもごもご……」
サマンサ・シュヴァイゲル:キュッキュッキュ、と手元のボードにペンを走らせ
サマンサ・シュヴァイゲル:『いろいろあったわ!でも大丈夫!』
サマンサ・シュヴァイゲル:『元気いっぱいだから!オーケイ!』
カート・トゥエ:「大丈夫なの?」つゆりを見る。
三部つゆり:「まあ…ワイルゴッドさんに診て頂いたので。一応ほとんどは完治している…はずです」
三部つゆり:本当だったらもっと負荷とかが酷いはずなのだが。
三部つゆり:「サマンサ先生、凄く丈夫な方なので…私の常識だと、中々図り辛く…」
カート・トゥエ:「それならいいけど……」
サマンサ・シュヴァイゲル:強くトゥエを見つめ返し、
サマンサ・シュヴァイゲル:力こぶのポーズを作って頷いている。
サマンサ・シュヴァイゲル:ダイジョウブダイジョウブ。
カート・トゥエ:「……。何か用?もう帰ってるって思ってた……」
GM:病室にこもりきりの患者の中には、外で起こっている異変そのものに気付いていない生徒も多いのだろう。
GM:特にカート・トゥエは、その症状からして、廊下の外を出歩けるとは思えない。
エニュオ・デュカキス:(病室内にいればひとまず安心なのは幸いですね……)
三部つゆり:「そう…ですね。色々外でごたごたしまして…トゥエさんは大丈夫かと、気になってしまって…」
三部つゆり:「なにもなかったようなら、本当に良かったです」
カート・トゥエ:「ふーん……大変だったんだね」
カート・トゥエ:「だからサマンサ先生も怪我してるんだ……」
三部つゆり:「大活躍ではあったんですけどね」
三部つゆり:「……、」躊躇いがある。トゥエさんの病室を訪れた理由は、先の言ったことだけではない。ヘルさんの助言もあってのことだ。
三部つゆり:でも、良いのだろうか?彼女のこの病室なら、下手に動かすよりもそのままの方がいいのではないだろうか。ハリさんの言葉が脳裏に響く。
三部つゆり:カナートスの生徒たちは…兵器でも何でもない、ひ弱な患者たちなのだと。
七星ミルキ:「………?」横顔を覗き込む。
七星ミルキ:(意外……というと失礼ですよね)
七星ミルキ:三部つゆりと言う少女の、苛烈なまでに行動力を感じる面を見ているが、それは状況が状況というもの。
七星ミルキ:(むしろ、他人を慮るからこそ迷っちゃうのは……そりゃそうですか)
七星ミルキ:「つゆりちゃん」
三部つゆり:「あ…、すみません。物思いに耽ってしまって…」
七星ミルキ:「今からちょっと、踏み込んだこと言うんですけど、的外れだったらごめんなさいね?」
七星ミルキ:「事情を話すだけ、話しちゃってもいいと思います」
七星ミルキ:「私達の事情に巻き込んじゃうのは、そうなんですけど……」
七星ミルキ:「私達って、誰かが抱えてる問題を自分に相談してくれなかった気持ちはよく分かるじゃないですか?」
三部つゆり:「………それは、そうですね…」
七星ミルキ:呼吸に合わせて、休みを入れながら声を出している。
七星ミルキ:「もし……言いにくいならこちらで説明をしましょうか?」
三部つゆり:「………」目を閉じる。息を吐く。
三部つゆり:「いいえ…私が説明します。……お手数をお掛けしました」
七星ミルキ:(いえいえ)にこり、と微笑んで一歩下がる。
三部つゆり:「トゥエさん。お願いしたい事があって…その為に、説明させて頂きたい事があります。良いですか?」
カート・トゥエ:「え……」眉尻を下げる。
カート・トゥエ:「難しい話はいやなんだけど……」
カート・トゥエ:「……なに?」
三部つゆり:「…た、多分分かり易くは書いたと思うんですが…言葉だと長くなるので、これを」ヘルさんと話した際、物事の整理のために綺麗にこれまでのことを纏めたメモを作っていた。
三部つゆり:それを渡す。
カート・トゥエ:「……」じろじろとその内容を眺める。
サマンサ・シュヴァイゲル:はらはらとした表情で口を抑えて生徒のやりとりを眺めている。
サマンサ・シュヴァイゲル:ガマンガマン……。
カート・トゥエ:「……ウノ先生が、生徒を死なせる方法を見つけた」
カート・トゥエ:「そうなんだ……」
三部つゆり:「……はい。そしてその代わりに…私達は、診療記録を捜しています。その時…きっと、あの…シノエさんと、彼女が供にする霊安室の方々と、対することになると」
カート・トゥエ:「"霊安室"は分かるけど……シノエも?」
カート・トゥエ:「それに"霊安室"の兵器なら、"死神"先生に頼めばいいのに……」
カート・トゥエ:「前に脱走事故があった時は、ウノ先生がいなくても"死神"先生がやってたよ」
三部つゆり:「そんなことまで出来たんですか、あの方…」
カート・トゥエ:「ただのジャームじゃなくて、理事会のシステムで制御できるようになってるんだって。よくわからないけど……」
カート・トゥエ:「ふつうのジャームだと兵器にならないんじゃない?」
三部つゆり:「それはそうですね。制御できないジャームなんて、味方だろうと災害です」
三部つゆり:「…と、それはそうなんですが…現在、どうも野放しになってるようで」
カート・トゥエ:「"死神"先生は?」
三部つゆり:「手術室前と…その直後に会ったときから、とんと出てこられず…何か、連絡が出来るならそれが一番ではあるのですが」
エニュオ・デュカキス:「今は忙しいのでしょうね。恐らく」相手が電子戦に長け、既に城塞を築いたノドスチルドレンとなれば
三部つゆり:「……ええと、トゥエさんはご連絡できたり…します?」
カート・トゥエ:首を振る。「ううん」
カート・トゥエ:「……でも、わかった。このままだと他のみんなが危ないから……」
カート・トゥエ:「あたしがやるよ。"キッチンボイラー"なら、ちょっとだけ落ち着かせられる……」
三部つゆり:「……、」謝りそうになって、その言葉を押し込める。
カート・トゥエ:「あたしの血は……普通よりもたくさんの酸素を取り込んじゃうから」
カート・トゥエ:「他の血と混じると、普段通りの血のはたらきができなくなる」
カート・トゥエ:「"キッチンボイラー"の血にも効くよ。多分だけど……」
三部つゆり:「……、トゥエさん。ありがとうございます…」頭を深く下げて。
三部つゆり:「頼りにさせて、頂きますね。…本当に、助かります」
サマンサ・シュヴァイゲル:「本当は、本当は」
サマンサ・シュヴァイゲル:「生徒の子たちが危ない目に合うなんて、1人でも少ない方がいいわ、けど……」
サマンサ・シュヴァイゲル:「とっても心強いわ!トゥエちゃんは強い子だもの!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「トゥエちゃんが集中できるように、あっちを邪魔するのは任せてね!先生邪魔になりがちだから!得意だから!」
サマンサ・シュヴァイゲル:大声で早口に言ってから
サマンサ・シュヴァイゲル:「はっ……!ああッ!酸素酸素!もがもが……!」
サマンサ・シュヴァイゲル:口をふさぐ。
七星ミルキ:「はい。少しでもお力をお借りできれば嬉しいです」
カート・トゥエ:「でも……待って。あたしを外に出すなら……」
カート・トゥエ:呼吸補助具を、部屋の隅の巨大なタンク機材に接続する。
カート・トゥエ:トゥエ自身の体積とほぼ同じくらいの大きさだ。
カート・トゥエ:「こんな大きいのに繋いで、90分しかもたないけど」
カート・トゥエ:「大丈夫?運べるかな……」
サマンサ・シュヴァイゲル:こくこくこく!
サマンサ・シュヴァイゲル:大きく頷いて、肩に担ぎ上げる。サムズアップ!
カート・トゥエ:「えへ……」嬉しそうにする。
七星ミルキ:「………!」声を出さずに拍手している。
三部つゆり:凄いけど本当躊躇わず行ったなこの人…と少しぽかんと見ている。
エニュオ・デュカキス:「感謝します、トゥエさん」
エニュオ・デュカキス:AIDAにタイムスタンプを設定。90分、余裕はあるが長くはない
カート・トゥエ:「ねえ、人魚っていると思う?」
三部つゆり:「人魚…ですか?」
三部つゆり:「どう…なんでしょう。私は、海を見た事がないから。でも……そうだな。居たら、竜宮城もあるのかな」
三部つゆり:「…そう言うものがあるなら…居てくれたら、嬉しいな」淡く笑って。
七星ミルキ:「私も、居たら良いなって思います」
七星ミルキ:「わからないことや不思議なことが本当にあるのって、わくわくしますから」
カート・トゥエ:まばたきをする。「そうか……」
カート・トゥエ:「いたら嬉しいか、嬉しくないかって思うんだね。普通の人なら……」
カート・トゥエ:「あたしは、生まれた時からこうだったから。人魚が本当にいるなら、自分がそうなのかなって……」
カート・トゥエ:ベッドの上に伏せられている絵本を見る。
カート・トゥエ:「どっちが嬉しいのかな」
カート・トゥエ:「人間と仲良くできるなら、人間のほうがいいのかも」
三部つゆり:「--人間じゃなくたって、仲良くしたりはできます。だから……だったら、」
三部つゆり:「人魚な上で、人間にも友達がいたら……人魚じゃないと逢えないものやひとも合わせて、そっちの方が、きっとお得です」
カート・トゥエ:「……。変な話しちゃった……甘えるのよそうって思ってるのに。子供みたいだから」
カート・トゥエ:「でも、その……だから……」
カート・トゥエ:「体のこと、全然気にしないでくれて」
カート・トゥエ:「嬉しかったから……」
三部つゆり:「……なら、よかった」小さく笑う。「…嫌われたりしないか、不安だったので…」
カート・トゥエ:「え?どうして?」
カート・トゥエ:「つゆりさんも病気だから?」
三部つゆり:「あ、いや……」少し困ったように手を回して。「…その、急に戦ってとか頼んだりしたから…大変なことなのに」
三部つゆり:「厚かましくないかなって…」
七星ミルキ:(妙なとこで自己評価低めですよねぇ)
カート・トゥエ:「"霊安室"の兵器はカナートスの問題だよ」
カート・トゥエ:「ウノ先生の治療は……あたし、どっちが正しいかなんて分からないけど」
カート・トゥエ:「でも、外から来た人達なのに……見なかったことにしたり、帰ったりしないで」
カート・トゥエ:「何かをしてくれるのって、嬉しいことだなって思う……」
カート・トゥエ:「……から……」語尾がもごもごと小さくなる。
三部つゆり:「ええと…、その…、ありがとうございます…?」少し頬が赤い。
三部つゆり:「こ、コホン。ともあれ……協力してくれて、ありがとうございます!…時間も少ないし、やるべきことを出来る限りやっていきましょう…!」
カート・トゥエ:「うん」
カート・トゥエ:サマンサの肩に乗せられたまま、普段は出ることのない病室から出る。

カナートス臨床医学研究院 320号室


GM:トゥエを連れている以上、"霊安室"の兵器との遭遇については細心の注意を払って進まざるを得なかった。
GM:4人も戦闘可能な状態に誤魔化しているとはいえ、交戦を避け、体力を温存するに越したことはない。
GM:そうして、320号室へと辿り着く――ペテラ・アズテックの病室だ。
GM:ここを目指して進んできたのかもしれないし、迷宮を他の目的地へと移動する中、偶然にも発見したのかもしれない。
サマンサ・シュヴァイゲル:「ペテラちゃん!ペテラちゃんいるかしら!」
サマンサ・シュヴァイゲル:どたどたどた。
サマンサ・シュヴァイゲル:トゥエちゃんとボンベを担いでいるので、いつもの勢いよりやや忍び足で。
GM:真っ先に入室したサマンサは、最初にその異変に気付いた。
GM:ガラスを隔てて隔離されている病床には
GM:――ペテラ・アズテックの姿がない。消えていた。
サマンサ・シュヴァイゲル:「あれーっ!!?」
サマンサ・シュヴァイゲル:「た、大変だわ!ペテラちゃんいないわ!」
七星ミルキ:「えっ……?」遅れて入室する
カート・トゥエ:「……ペテラはいないの?手術?」
三部つゆり:「ワイルゴッドさんは、手術は半日ほど無理だとおっしゃってましたが……」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ど、どうしたのかしら……!心配!」
七星ミルキ:「ぺ、ペテラちゃんが? 先ほど訪ねた時は居たはずですけど……いませんね」
エニュオ・デュカキス:「……外に出られるような容体ではないはずですが」
七星ミルキ:「はい。症状が軽くなったようでもありませんでした。一体どこへ……?」
サマンサ・シュヴァイゲル:ベッドの周りをウロウロおたおた。
サマンサ・シュヴァイゲル:「そうよね、ミルキちゃんたちは会えたんだもの」
サマンサ・シュヴァイゲル:「さっきまではいたはずだから、私たちが下でどったんばったんしてるうちにいなくなっちゃったのかしら」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ど、どうしましょう!それってとっても危ないわ!」
七星ミルキ:ガラスで区切られた部屋を色んな方向から覗き込む。
GM:ガラスの向こう側、病床の横には砂嵐のモニターがある。

"死神":〈……ザッ、やっとこさ……来やがった……な〉
七星ミルキ:「! この声は…!」
三部つゆり:「……ルーさんのあの迷宮化だって、収まっては……、”死神”先生…?!」
エニュオ・デュカキス:「──お陰様で」
サマンサ・シュヴァイゲル:「た、大変よ!ペテラちゃんがいないの!」
カート・トゥエ:「……どうしたの、"死神"先生。調子悪いの」
"死神":〈そう……ザザッ、ワーッと一気に話すな……〉
"死神":〈これでもギリギリなんだぜ……どうにか、接続だけは保ってる……〉
エニュオ・デュカキス:「珍しいこともあるようで……いえ、皮肉は余計ですね」
エニュオ・デュカキス:「やっときた、と言うなら貴方の案件を優先しましょう」
七星ミルキ:「ご無事──というのもおかしいですけど、その様子ですと、万全ではないようですね」
サマンサ・シュヴァイゲル:「お墓頭さんも具合が悪い……?だ、大丈夫かしら」
サマンサ・シュヴァイゲル:「何が、あったの?」
"死神":〈……俺以外に、カナートスのシステムに……ザッ、干渉してる輩がいる〉
"死神":〈"オフィサー"の連中……それこそ九社都牙莉亜辺りかと思ったが、そんなわけねえよな……〉
"死神":〈エニュオ・デュカキス……お前さんがそういう余計な真似をしねえように、イクス4が見張ってた……〉
"死神":〈……だから、俺にはそいつの正体はまったく分からねえ〉
エニュオ・デュカキス:「出会って早々に大層なプレゼントを頂きましたが……そういうことですか」
サマンサ・シュヴァイゲル:「それってつまり……」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ノドスの、クロードくんね!?」
サマンサ・シュヴァイゲル:まったく腹芸が出来ない、即座に口走ってしまう。
カート・トゥエ:「ノドス……?」
"死神":〈なんでノドスが出てくる〉
サマンサ・シュヴァイゲル:「あ、そうだわ!トゥエちゃんにも説明まだだった!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「先生すっぽ抜けてばっかり!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「つまりかくかくしかじかあーだこーだで……」
カート・トゥエ:「へえー……」こちらも、メモに書いてあったことの全てを理解したわけではない。
カート・トゥエ:細部はぼんやりと把握しているだけだ。
サマンサ・シュヴァイゲル:「みんなの治療記録を、そのクロードくんが」
サマンサ・シュヴァイゲル:「持っているかもしれないの!」
"死神":〈おいおいおい……〉
三部つゆり:止めようか悩んでいるうちに言われてしまったので天を仰ぐ。
サマンサ・シュヴァイゲル:「クロードくんとお話するために」
サマンサ・シュヴァイゲル:「機械に強いお墓頭さんにも手伝ってもらえないかって」
サマンサ・シュヴァイゲル:「思っていたんだけれど……大変な目に会っていたのね」
七星ミルキ:「……」上手く自分の主観を除いて説明しようとすると、どうしても格式張った言い回ししか思いつかなかった。
"死神":〈――いいだろう〉
"死神":〈こんなザマじゃあ、どの道俺だって手詰まりだ〉
サマンサ・シュヴァイゲル:「!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「お墓頭さん……!」
"死神":〈元より死神にゃ、プライドも何もねえ。クロードとかいう奴の座標特定を手伝ってやる〉
サマンサ・シュヴァイゲル:「やったわ!ありがとう!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「とっても助かる!嬉しいわ!」
七星ミルキ:「あ、ありがとうございます」
"死神":〈それに、俺が……ザザッ、封じられたままじゃあ〉
"死神":〈シノエ・リュコスに手綱をつけられるやつがいねえ〉
"死神":〈奴は劇症型堕天病を探しているぞ。十中八九、ろくな使い方はしねえだろう〉
サマンサ・シュヴァイゲル:「シノエちゃんが、堕天病を」
サマンサ・シュヴァイゲル:表情が強張る。『何故求めるのか』、その答えについては
サマンサ・シュヴァイゲル:あの場にいた全員が、言葉にするまでもなく知っていることだからだ。
サマンサ・シュヴァイゲル:「……急がなくちゃ。」
サマンサ・シュヴァイゲル:それだけ口にする。
三部つゆり:「そうだとすれば…いや…見つけられるかは…彼女の方がここに詳しいか…」
七星ミルキ:「彼女の行動に制限はありません。探索という意味では、有利でしょうしね」
エニュオ・デュカキス:堕天病について口を挟むことはない。既に詳しい者が二人揃っている
エニュオ・デュカキス:「それにしては妙に大人しいですね」
エニュオ・デュカキス:「ここに私達が来るまで。アクセス可能な端末が幾らか見受けられたようですが」
エニュオ・デュカキス:「電子生命である貴方が“焦る”ほどの状態で、320号室で待っている腹積もりだったのですか?」
"死神":〈無茶言うんじゃねえよ……ザッ……元気な時みてえに、カナートス全部を見張れる状態じゃあねえんだ〉
"死神":〈俺が320号室にいたのは〉
"死神":〈……話してたからだよ。ペテラ・アズテックと〉
七星ミルキ:「……ペテラちゃんと?」
エニュオ・デュカキス:無茶振りを要求する、背中を押すものがよく言う────
エニュオ・デュカキス:あえて言葉を飲み込んで続きを促す
サマンサ・シュヴァイゲル:「じゃあ、やっぱり」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ペテラちゃん、ついさっきまでここにいたのね」
七星ミルキ:「ペテラちゃんが居ない理由と関係があるお話、なんですよね」
"死神":〈そうさ。ペテラ・アズテックは……劇症型堕天病の投与を希望していたんだぜ〉
"死神":〈ウノ・ワイルゴッドには拒否されたみてえだがな〉
"死神":〈劇症型堕天病が全員の管理から外れた今なら、ペテラ・アズテックにだってチャンスがあるってことだ〉
七星ミルキ:「………!」
七星ミルキ:「ウノさんが……?」
"死神":〈そうさ、七星ミルキ〉
"死神":〈お前さんだってペテラ・アズテックと面会したんだろう。あいつの態度に心当たりはなかったか?〉

 ペテラ・アズテック:「あ、あっ……ぶどうのゼリーが好きです」
 ペテラ・アズテック:「お魚は、ネ、ネオンテトラが……」
 ペテラ・アズテック:「お花は、げほげほっ、見たことがげほっ」
 ソ・ジウォン:「そんなに焦って教えなくたっていいのに」

七星ミルキ:「………」きゅ、と下唇を噛む。
七星ミルキ:これからの話を出来ればいいと思った。少しでも、未来を考える事ができれば。
七星ミルキ:「……ペテラちゃんは、焦ってました」
七星ミルキ:「今じゃないと駄目みたいに……それって」
七星ミルキ:「あの時から……いえ、その前からずっと」
七星ミルキ:「望んでた、ってことですか。堕天病を……、自分が居なくなることを……!」
"死神":〈そうさ……ザ、ザザ、ザッ〉
"死神":〈ペテラ・アズテックには、『今度』なんてなかったんだぜ〉
七星ミルキ:「…………それでも」
七星ミルキ:「ウノさんは、拒否したんですよね」
"死神":〈『たかが、、、ひどい風邪くらいで』〉
"死神":〈『死ぬほど、、のことでもないのに』〉
"死神":〈お前さんとの付き合いも長い。まさか、今更そんな寝ぼけたことは言わねえよな?〉
"死神":〈ウノ・ワイルゴッドは、その残酷性を理解した上でペテラ・アズテックを切り捨てたが〉
"死神":〈七星ミルキ――お前さんの意見はどうだ?〉
七星ミルキ:「たかが、とか、ほど、とか。言いませんよ………言えませんよ」
七星ミルキ:「一度、二度。同じ病気を経験したってのも、そりゃ、ありますけど」
七星ミルキ:「ウノさんとは、治療方針が意外と揃わないと思ってますけど……」
七星ミルキ:「ペテラちゃんに関しては、私も投薬を認めるつもり、ありませんし」
七星ミルキ:「切り捨てるつもりも、ないです」
七星ミルキ:「体も心も弱って、もうだめだって思って、何もかも灰色に見えるとき」
七星ミルキ:「そんな時ぐらい、お節介なほど世話を焼いてくるような……」
七星ミルキ:「そういう人が側に居てくれたら嬉しいって──私は思いますから」
七星ミルキ:「ペテラちゃんも見つけて。堕天病も投与させない。───治す方法を見つけるんです。一緒に」
"死神":〈ザーッ……そうさ。それでいい……〉
"死神":〈お前さんの決断が口先だけじゃねえ……心の底からの『必死』なら〉
"死神":〈いずれぶつかるだろう。ペテラ・アズテックと〉
"死神":〈どうしようもない重病人で……お前さんより遥かに弱いが〉
"死神":〈本当の、人生最後の『必死』なやつだ〉
"死神":〈――さて。どっちのほうが強いかね?〉
七星ミルキ:「…………いいですね」
七星ミルキ:「前回の事件では、決着を付けられませんでしたので」
七星ミルキ:「お互いの意見をぶつけ合うことにしましょう」
エニュオ・デュカキス:「そういう貴方も言った分の仕事は果たして頂きますよ」ノイズの混じる画面に向けて
"死神":〈……もちろんだ。俺達にとって共通の敵がいるとしたら……ザッ〉
"死神":〈ノドスのクロード。こいつに居座られたままじゃあ、高座にのぼれもしねえ〉
エニュオ・デュカキス:「席の捌けがいいことを期待するべきかは悩むところですが」
エニュオ・デュカキス:「また後程」

GM:カート・トゥエ、およびペテラ・アズテックの病室訪問のプライズを獲得できます。
サマンサ・シュヴァイゲル:うっひょ~~!
七星ミルキ:わぁ~い
三部つゆり:わあい
エニュオ・デュカキス:ワオワオ

■NPCカード:カート・トゥエ
【大海難の蝋燭】
セットアッププロセスで使用する。
そのセットアッププロセス中に使用された《苛烈なる熱気》の効果を無効化する。

■NPCカード:"死神"
【必死に取り組む生徒の先生ドクター
情報項目「"ストロッツァ"」の難易度を、〈知覚〉難易度9に変更する。
"死神"と敵対していない間、常時使用される。

GM:ヘル・クロタリアスには具体的なプライズはありません。
GM:ですが、他の病室訪問で得られるプライズのヒントを全部出してくれるポジションでした。
七星ミルキ:情報がプライズ並みの価値がある
エニュオ・デュカキス:おかげでだいぶ指針が立てられました
サマンサ・シュヴァイゲル:たすかりすぎ
三部つゆり:有難い……
GM:では、ロイスを獲得する人は獲得していただいて
GM:何もなければ次のシーンへと参りましょう
サマンサ・シュヴァイゲル:こっちは大丈夫!
七星ミルキ:枠があと1つしかなーい
GM:みんな枠が少なくて大変ね
三部つゆり:十字冠低減をしたく…!
GM:十字冠低減もしなさいな
三部つゆり:102-10-1d10
DoubleCross : (102-10-1D10) → 102-10-7[7] → 85

七星ミルキ:ペテラちゃんに死神先生にも取りたいが ここは一旦勇気の保留で。
七星ミルキ:いい感じだ
エニュオ・デュカキス:ここは取るか……“死神”先生へ「〇因縁/ケリはつける」
サマンサ・シュヴァイゲル:いい十字・冠だ
エニュオ・デュカキス:以上です
七星ミルキ:こちらも以上
三部つゆり:よし…… ロイス!サマンサ先生 〇好意/呆れ で。
三部つゆり:残り一枠は…保留!以上!


◆Middle05◆可能性の絶望は必然性の欠乏に存する

GM:自由登場です。登場侵蝕をどうぞ
エニュオ・デュカキス:エニュオ・デュカキスの侵蝕率を1D10(→ 2)増加(47 → 49)
七星ミルキ:七星ミルキの侵蝕率を1D10(→ 10)増加(79 → 89)
三部つゆり:三部つゆりの侵蝕率を1D10(→ 4)増加(85 → 89)
七星ミルキ:ここに来て大きめ
サマンサ・シュヴァイゲル:1d10+39
DoubleCross : (1D10+39) → 5[5]+39 → 44

☆101号室 ヘル・クロタリアス 〈交渉〉難易度9
☆手術室 ウノ・ワイルゴッド 〈交渉〉難易度15
☆130号室 普賢ハリ 〈知識〉難易度12
203号室 チェルシー・ミラー 〈回避〉難易度7
216号室 ソ・ジウォン 〈意志〉難易度7
☆225号室 カート・トゥエ 〈知識〉難易度10
304号室 レセル・イル・イオフィエル 【肉体】難易度7
☆320号室 ペテラ・アズテック 【肉体】難易度9
409号室 ヘイズ・ブラックモア 〈交渉〉難易度6
417号室 無人(判定なし) 購入判定獲得
☆サマンサ・シュヴァイゲル 〈知覚〉難易度20
☆エニュオ・デュカキス 〈情報:ノヴァリス〉難易度9
"ストロッツァ" 〈知覚〉難易度9

GM:現在可能な判定は以上の通り。"ストロッツァ"を除く病室訪問はこのシーンまでです。
三部つゆり:216号室 ソ・ジウォン 〈意志〉難易度7 産のものに挑戦いたします…!ラッキーメダルブラックを起動して。
三部つゆり:8dx+3+1=>7
DoubleCross : (8DX10+4>=7) → 8[1,2,3,4,4,7,8,8]+4 → 12 → 成功

七星ミルキ:いいかんじ!
三部つゆり:遭遇判定!
エニュオ・デュカキス:おお…
三部つゆり:1d10
DoubleCross : (1D10) → 8

七星ミルキ:よいよいかんじ!
三部つゆり:よし…!
サマンサ・シュヴァイゲル:ヒューッ
サマンサ・シュヴァイゲル:いい回避!
七星ミルキ:仕事人つゆちゃん!
三部つゆり:いえい
GM:なかなか遭遇してくれないぜ
GM:寂しいぜ
サマンサ・シュヴァイゲル:ウオオオこっちも流れに乗る!
七星ミルキ:ザバーッ
エニュオ・デュカキス:頑張って先生
サマンサ・シュヴァイゲル:チェルシーちゃんに会いに行きます!肉体!
三部つゆり:応援しています
サマンサ・シュヴァイゲル:5dx+1
DoubleCross : (5DX10+1) → 7[1,3,4,7,7]+1 → 8

サマンサ・シュヴァイゲル:ホッ…
サマンサ・シュヴァイゲル:でもって遭遇!
サマンサ・シュヴァイゲル:1d10
DoubleCross : (1D10) → 4

七星ミルキ:よかった
サマンサ・シュヴァイゲル:あっぶねえ!!
エニュオ・デュカキス:紙一重
GM:得意の肉体判定でも危なっかしい女
三部つゆり:でもよかった…!
サマンサ・シュヴァイゲル:通ればもうけもんよ!!
GM:お見事……!
GM:残る二人はどうします?
七星ミルキ:この調子ならあと2部屋行けそうかなぁ~
GM:購入もおすすめです 実際HP確保がめちゃくちゃ重要なクライマックスになるはずなので
七星ミルキ:購入!
七星ミルキ:相談終わり!
七星ミルキ:304号室 レセル・イル・イオフィエル 【肉体】難易度7にチャレンジします
GM:ヤンヤヤンヤ
七星ミルキ:4dx>=7 肉体
DoubleCross : (4DX10>=7) → 9[1,4,5,9] → 9 → 成功

七星ミルキ:アヤヤンヤ!
GM:アヤッター
エニュオ・デュカキス:やった!
七星ミルキ:びっくりした
サマンサ・シュヴァイゲル:しゃあっ
七星ミルキ:遭遇!
三部つゆり:やったね
七星ミルキ:1d10 遭遇
DoubleCross : (1D10) → 2

七星ミルキ:アヤーッ!
GM:ヒエーッ!
サマンサ・シュヴァイゲル:ぎゃおおおおん
三部つゆり:ギエーっ
七星ミルキ:回避ー!
サマンサ・シュヴァイゲル:風ー!風ー!
エニュオ・デュカキス:《援護の風》!
エニュオ・デュカキス:+3Dです
エニュオ・デュカキス:エニュオ・デュカキスの侵蝕率を2増加(49 → 51)
七星ミルキ:固定値ある方 情報:ノヴァリスでラッキーメダルホワイト!
七星ミルキ:6dx+2>=9
DoubleCross : (6DX10+2>=9) → 9[1,5,7,8,8,9]+2 → 11 → 成功

七星ミルキ:こわ
サマンサ・シュヴァイゲル:あっぶね~~
GM:ホッ……
三部つゆり:よかった~~…
エニュオ・デュカキス:首の皮繋がった
七星ミルキ:ハァッ ハァッ
七星ミルキ:オーライ!
GM:ではエニュオさんどうぞ!
エニュオ・デュカキス:では残ったヘイズさんの部屋を。交渉6で
エニュオ・デュカキス:社会4、AIDA+3D、ラッキーメダルホワイトで+1の
エニュオ・デュカキス:7dx+2>=6
DoubleCross : (7DX10+2>=6) → 9[3,6,6,7,7,9,9]+2 → 11 → 成功

GM:おお
サマンサ・シュヴァイゲル:よっしゃよっしゃ
七星ミルキ:グッボーイグッボーイ
エニュオ・デュカキス:最後の遭遇
エニュオ・デュカキス:1d10
DoubleCross : (1D10) → 3

三部つゆり:ひ~~っ
サマンサ・シュヴァイゲル:んひーっ!!
エニュオ・デュカキス:連続~
GM:アヤヤ~ッ!?
サマンサ・シュヴァイゲル:援護射撃―!!
七星ミルキ:ヤベーッ
七星ミルキ:回避判定に《支援射撃》判定ダイス+3D
七星ミルキ:七星ミルキの侵蝕率を2増加(89 → 91)
エニュオ・デュカキス:ありがとうございます。情報ノヴァリスで…
エニュオ・デュカキス:10dx+2>=9
DoubleCross : (10DX10+2>=9) → 10[1,4,5,7,7,7,8,9,10,10]+10[7,10]+5[5]+2 → 27 → 成功

エニュオ・デュカキス:何故
サマンサ・シュヴァイゲル:www
三部つゆり:wwww
サマンサ・シュヴァイゲル:全力回避!!
GM:遭遇したくないという強い気持ち!
三部つゆり:とはいえよかった!
七星ミルキ:完全照星呪覚!
エニュオ・デュカキス:これが背負った(物理)科学の力だ
GM:ではカナートス全員と会話コンプリート!ちょっと時間かかっちゃうけどGMにとっては嬉しいことだ
GM:順番は、ヘイズ→レセル→ジウォン→チェルシー で行きましょう
GM:チェルシーを先に加入させてから3つ回ると大所帯になっちゃいそうなので
七星ミルキ:はい!
サマンサ・シュヴァイゲル:イエイイエイ
三部つゆり:了解です!

カナートス臨床医学研究院 409号室


GM:ヘイズ・ブラックモアの病室には特別な設備はない。専用の介護オートマタが備え付けられている程度だ。
GM:カナートス全体の中でも、彼女の症状は比較的軽症である。

ヘイズ・ブラックモア:「なるほどね……ウノがそんなことを……」
ヘイズ・ブラックモア:わざわざオートマタが食事を口に運んでいる。
ヘイズ・ブラックモア:「ウチらは『卒業』が全員を救うことになると信じてイースターエッグを探してたけど」
ヘイズ・ブラックモア:「もちろん……現実的なのはそっちだって分かってたんだ。『十字冠を破壊する兵器』は実際にノヴァリスにあったんだから」
ヘイズ・ブラックモア:「ウノはそっちの可能性も捨ててなかったんだな……」
ヘイズ・ブラックモア:腕組みして考え込んでいる。
エニュオ・デュカキス:「事態は更に深刻です。……劇症型堕天病のサンプルは現状で複数が狙いをつけている」
三部つゆり:「シノエさんに、ペテラさん。他にも希望する患者の方が外に出ていることは否定できない状況ですね…」
ヘイズ・ブラックモア:「おいおい、その問題に関しては……他人事みたいに言ってられる話じゃないだろ」
ヘイズ・ブラックモア:「管理してたウノが倒されたせいでこうなってるって面もあるんだから」
三部つゆり:「そこは…全く以てその通りなので、ご迷惑を申し訳ございません…」バツの悪そうな顔。
ヘイズ・ブラックモア:「君達のやったことが悪いって言うわけじゃないけどさ……」
ヘイズ・ブラックモア:ヘイズはハリなどと同様、今回の外部からの介入に、少なからず不満や猜疑心を抱いているようだった。
七星ミルキ:「穏便に解決しよう、とは思っているんですけどね……?」
三部つゆり:「その点に関しては本当に謝罪と、今後の為に出来得る限り努めるということしか出来なくて申し訳なく…」
ヘイズ・ブラックモア:「本当に謝ってんのそれ?すごいビジネスっぽいぞ」
三部つゆり:「うう……ほ、本当に申し訳ないと思っては…」
エニュオ・デュカキス:「私と違って場に慣れていないのです。本心と受け取ってください」
ヘイズ・ブラックモア:「……とにかく、起こったことは仕方ないとしてだ」
ヘイズ・ブラックモア:「今の問題は、シュエフィの迷宮化がずっと継続していて」
ヘイズ・ブラックモア:「"霊安室"の兵器が病棟内をうろついていて」
ヘイズ・ブラックモア:「あとノドスの何某かが、"死神"先生を差し置いて院内のシステムを掌握している」
ヘイズ・ブラックモア:「ウノは劇症型堕天病サンプルの保管場所を隠しているけど」
ヘイズ・ブラックモア:「君達はそれが欲しくて、カナートスの理事会時代の治療記録を見つける必要がある……」
ヘイズ・ブラックモア:メモを睨む。「え~……どこから手を付ければいいんだこれ?本当に全部やれる?」
三部つゆり:「改めて列挙されると本当に大変ですが…やらないといけませんし、そうすると言いましたので…」
エニュオ・デュカキス:「果たすためにここに来たのです」
エニュオ・デュカキス:「そして理事会兵器に関しては貴方ほど詳しい者もそういない」
七星ミルキ:「手順としては、直近の脅威は"霊安室"の兵器になると思います。」
ヘイズ・ブラックモア:「ええ~~~」露骨に嫌そうな顔をする。
ヘイズ・ブラックモア:「それ誰が言ったの?ヘル先輩?」
七星ミルキ:「ウノさんとのお話に関しては、代案──治療記憶の確保になりますし」
七星ミルキ:「そのためにおに──ノドス生徒を探すには、移動の枷になる兵器の対処が必要かと」
エニュオ・デュカキス:「信用されていますね。それに」
エニュオ・デュカキス:「あの時は大上さん越しにしか関わりませんでしたが、Lシリーズの件もそうです」
ヘイズ・ブラックモア:「……」頭を掻く。
ヘイズ・ブラックモア:「"霊安室"の兵器は全部が全部生体ってわけじゃない」
ヘイズ・ブラックモア:「理事会のジャーム兵器はそういうタイプが多い傾向にあるんだけど……」
ヘイズ・ブラックモア:「機械だとか寄生体だとか魔術契約だとか、ジャーム体とは独立して、人間が制御できるようなシステムを組み込んでたりする」
ヘイズ・ブラックモア:「まあ、ジャームを無改造のまま自由に操れるっていうのは、それだけFHの秘伝っていうか、神業みたいな才能なんだろうね」
エニュオ・デュカキス:「外部の思考制御を組み込んだところで、本能が凌駕するのがジャーム」
エニュオ・デュカキス:「ある種オーヴァードは感情の怪物ではありますが……構造に目途は立てられていますか」
ヘイズ・ブラックモア:「そりゃ、"霊安室"に一番出入りしてた医者っていったら……」
ヘイズ・ブラックモア:「ウチかウノだからね」
ヘイズ・ブラックモア:「もしもカナートスに敵襲があった時は、ウノがいなくたってウチがあいつらに迎撃させる手はずだった」
ヘイズ・ブラックモア:「もっとも、緊急停止の手段なんて、ウノの攻性症例か"死神"先生のシステム介入くらいだよ」
ヘイズ・ブラックモア:「ウチが知ってるのは行動パターンだけだ」
エニュオ・デュカキス:「……相対した時に確認の余裕はありませんでしたが」
エニュオ・デュカキス:「制御に当たって一定のルーチンを組み、動作を固定していると?」
ヘイズ・ブラックモア:「そこも外付けの思考制御の弱点っていうかね……とはいえ、知らない外の連中にとっては同じことだよ」
エニュオ・デュカキス:「方向性を定められた時点で脅威と言っていい。何より定石がバレなければ対応する前に殲滅可能な能力……」
ヘイズ・ブラックモア:「生物兵器をどうにかすれば、あんた達が治療記録を手に入れてくれる。……そこは信頼していいんだね?」
エニュオ・デュカキス:「──はい。ワイルゴッド女医とも、約束は結んでいます」
ヘイズ・ブラックモア:「"霊安室"の兵器がなくなったら――」
ヘイズ・ブラックモア:「今後、カナートスが学区を自衛できる戦力はない」
ヘイズ・ブラックモア:「これから先の安全保障の話をしたい。ウチらはこれからどうなる?」
エニュオ・デュカキス:「現在のノヴァリスで明確な学区間の抗争は、終息に向かいつつあります」
エニュオ・デュカキス:「勢力図の塗り替えよりも別に対応する案件が増えたこともありますが……」
エニュオ・デュカキス:「小規模学区の安全性は保証できると言っていい。ですが」
エニュオ・デュカキス:「それでも完全とは言えないし、貴方方も納得は得られないでしょう」
ヘイズ・ブラックモア:「……そうだね。何も起こらないと言われたって安心できないし、君が全てを保証してくれるわけもない……」
ヘイズ・ブラックモア:「カナートスには、病気を抱えている生徒ばかりだ。事実として、他者に感染したり、危害を加える症例もたくさんある」
ヘイズ・ブラックモア:「カナートスの存在が公になったら、他の学区はどう思うかな……」
ヘイズ・ブラックモア:「偏見や差別、迫害……襲撃」
ヘイズ・ブラックモア:「ここが第二のラス・ヴィダスにならないとは言えない」
エニュオ・デュカキス:(思っている以上に後ろ向き……いえ、負荷がかかって後ろしか見えなくなっている)
エニュオ・デュカキス:無理もない。カナートスの介入によって起きた事件は解決に至ることは成功したが、往々に被害も大きい
エニュオ・デュカキス:(とはいえ。ここで交渉に時間をかけていられるほど……遊びもないか)
エニュオ・デュカキス:普段であればもう少し差し引きを考えるが。ここは仕方がない
エニュオ・デュカキス:「ヘイズさん。私もジェネシスでそれなりの役職ではあるのですが」
ヘイズ・ブラックモア:「知ってるよ。あのオフィサーなんでしょ?」
ヘイズ・ブラックモア:「なんでこんなところに来てるのか分かんないくらいエリートだよ……まったく」
エニュオ・デュカキス:「ええまぁ。なので施設も土地も持っています」
エニュオ・デュカキス:「ですから買います。こちらカナートスを」
ヘイズ・ブラックモア:「……!」
エニュオ・デュカキス:「ペテラさんの一件。SMITによって保有のプラントに問題が出たのは事実ですが、結果的にジェネシスは医薬部門で拡大に成功しました」
エニュオ・デュカキス:「それがラス・ヴィダスの堕天病における医療補助にも出ているのですが……」視線を当人である三部さんへ
三部つゆり:「あっはい…お金だけじゃなく足りない人手もだして頂いております」
ヘイズ・ブラックモア:「それで、ウチらの製薬技術や対オーヴァード術式の蓄積を……」
ヘイズ・ブラックモア:「……『買う』って言ってるのか」
ヘイズ・ブラックモア:「カナートスの設備は第二次紛争当時の旧式で」
ヘイズ・ブラックモア:「患者はそのまま負債にだってなりかねない」
ヘイズ・ブラックモア:「医療の民営化は、その大半が悲惨な結果を招いてもいる」
ヘイズ・ブラックモア:「……………それでも」
ヘイズ・ブラックモア:「全責任を、負えるか?エニュオ・デュカキス」
エニュオ・デュカキス:「この手の話でよく言われるのですが……投資、株式などでどうやって儲けるのかということを」
エニュオ・デュカキス:「根本から違います。“儲ける”ためにお金を出すのではなく、“儲かる”ためにお金を使うのです」
エニュオ・デュカキス:「ここは、言ってしまえば閉ざされていたことで全てが止まりかけている」
エニュオ・デュカキス:「なら巡らせましょう。施設を、場所を、血液の代わりに紙幣を回して」
エニュオ・デュカキス:「特許庁という技術の集積者としてその責任を負います」
ヘイズ・ブラックモア:「君は……」椅子に座って向かい合っていた。冷や汗が流れる。「すごいやつだな」
ヘイズ・ブラックモア:「ウチにとっては願ってもない話だ。カナートスを存続させる、唯一の方法なんじゃないかとすら思える」
エニュオ・デュカキス:「そんな上等なものではありませんよ。金銭だけで解決できることは多いようで少ない」
エニュオ・デュカキス:「そもそも。私達がここに来るまで、カナートスを維持できていなければ何もかも手遅れでした」
エニュオ・デュカキス:「手段と過程はどうあれ。貴方方が繋げてきたものです」
エニュオ・デュカキス:「その価値に見合った買い物であると信じています」
ヘイズ・ブラックモア:「……有意義な話だった。具体的な契約内容をまとめて、契約してほしい」
ヘイズ・ブラックモア:「ただし、相手はウチじゃなくて、ヘル・クロタリアスとだ」
ヘイズ・ブラックモア:「あんたを信じたいが……だからこそウチじゃ、騙されない自信がないからな」
エニュオ・デュカキス:「当然、口約束で進めた契約は仕掛けた側も掬われるものです」
エニュオ・デュカキス:「終わらせてからもう一度。正式にここを訪れましょう」
ヘイズ・ブラックモア:「"キッチンボイラー"と"リトルドレッサー"の行動プログラム記述を印刷してくる」
ヘイズ・ブラックモア:「理事会時代の脳神経ネットワーク言語は読める?」
ヘイズ・ブラックモア:「移動経路を先読みすることくらいは簡単にできるようになる」
エニュオ・デュカキス:「ありもの全て頂きます」
エニュオ・デュカキス:「AIDAに叩き込んだ後は移動中に確認をしますので」
ヘイズ・ブラックモア:「ここに来たのが君達で良かったよ」
ヘイズ・ブラックモア:「そう思う」そうして、端末の操作を始める。

カナートス臨床医学研究院 304号室


GM:一行は、ヘイズからジャーム兵器の行動パターンを受け取ることができた。
GM:今後は不意の遭遇を事前に避けて動くことができるようになる。
GM:もっとも、この迷宮でさらに回り道を選ぶことが最善手であるかどうかまでは、予見できることではない。
GM:"ストロッツァ"を探索する中、一行は304号室を見つけ出した。レセル・イル・イオフィエルの病室である。
サマンサ・シュヴァイゲル:「それでね、それでね」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ヘルちゃんが言うには、疲れをとって元気になりたいなら」
サマンサ・シュヴァイゲル:「レセルちゃんに力を貸してもらうのがいいって」
サマンサ・シュヴァイゲル:「お願い……出来るかしら?」
サマンサ・シュヴァイゲル:背中にボンベを背負い、トゥエをちょこんと肩車しつつ
サマンサ・シュヴァイゲル:おずおずと尋ねる
七星ミルキ:(天井が高くてよかった……)

レセル・イル・イオフィエル:「そうだったの……」口元に手を当てて、心配そうに聞く。
レセル・イル・イオフィエル:今はさすがに全裸ではないが、素肌に上着一枚を羽織った程度の格好である。
七星ミルキ:代わりにこちらが上着を1枚脱いでいる
七星ミルキ:「はい、出来ればお力をお借りしたくて……」
三部つゆり:ぺこりと一礼して後ろに控えている。こちらもブレザーとセーターを脱ぎ、ブラウスのボタンを幾つか外している。
エニュオ・デュカキス:挨拶の後、普段通りの鉄面皮で二人の後ろに下がっている。ただしシャツのボタンはひとつ空いて汗が肌を滑る
レセル・イル・イオフィエル:40度近い気温でも、レセルは汗一つかいていない。彼女の体質からすれば、当然のことではあるが。
レセル・イル・イオフィエル:「わたしにできることは、あんまりないよ……」困ったように笑う。
七星ミルキ:「そうなんですか?」
レセル・イル・イオフィエル:「心を少し落ち着かせてあげるくらい……かな……」
レセル・イル・イオフィエル:「サラマンダーって、目に見えるような温度を操るだけじゃなくって」
レセル・イル・イオフィエル:「神経や細胞の細かい温度にも影響できるんだって。だから、見た目よりずっと気持ちに繋がってるの……」
七星ミルキ:「なるほど。心が温かい、とか言いますしね」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ぜひぜひ、やってみて欲しいわ!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「先生落ち着きないってよく言われるから」
サマンサ・シュヴァイゲル:「大助かりだわ!」
三部つゆり:「どうどう…実際、深部体温はそうした内臓機能とかにも関連すると言いますものね」
レセル・イル・イオフィエル:「うん……エフェクトを使いすぎてる人のことは、落ち着かせられるかも……気休め……くらいだけど……」
エニュオ・デュカキス:「その気休めでも、私達には大きな力です」
エニュオ・デュカキス:「お二人には特に無理をして頂きましたから……」
七星ミルキ:「あはは……。霊安室の兵器達と戦ってこっち、ずっと気を張ってましたからね」
サマンサ・シュヴァイゲル:「そうね、確かに」
サマンサ・シュヴァイゲル:「落ち着きないのは先生だけど」
サマンサ・シュヴァイゲル:「エフェクトをたくさん使ったとなると、ミルキちゃんやつゆりちゃんだわ」

■NPCカード:レセル・イル・イオフィエル
【氷点下のトピアリー】
対象の取得しているエフェクトのうち、使用回数制限のあるエフェクトひとつの使用回数を2回ぶん回復させる。
ただし、「1シナリオに1回まで使用できる」エフェクトには使用できない。

三部つゆり:「む…たしかに…そうですね」先程から十字冠の効能により引き下げは起きていた。
七星ミルキ:「となると、多分今はつゆりちゃんが一番大変ですよね」
七星ミルキ:「探索の間、特に負担かけちゃってました……よね?」
三部つゆり:「…まあ…結構エフェクトを使っていたのは事実です。その分火力とか、説得とかはミルキさんに頼っていましたよ」
七星ミルキ:「と、前半で本人も認めております」
七星ミルキ:苦笑と共につゆりの両肩を押して前に出す
サマンサ・シュヴァイゲル:「2人にお世話になった分にも」
サマンサ・シュヴァイゲル:「これからのことでいっぱい役に立つわ!がんばる!」
サマンサ・シュヴァイゲル:ふんふん、きあいじゅうぶん。
レセル・イル・イオフィエル:「……さわっても、いやじゃない?」首を傾げる。
三部つゆり:「わっ、っと……すみません…あ、いえ。大丈夫です。私のやつこそ色々変な風になってますが、気になったりは…」特に右眼と白い髪だ。
レセル・イル・イオフィエル:「……」
レセル・イル・イオフィエル:「つゆりさんは、熱いとか冷たいって……感じる?」心配そうに見ている。
三部つゆり:「あ、右眼と髪以外は大丈夫です。今の所」
七星ミルキ:「不穏なこと言いますねぇつゆりちゃん……」
三部つゆり:「使用するたびに必要なので……」
レセル・イル・イオフィエル:「冷たい思いをさせないようにしてあげたいけど……」
レセル・イル・イオフィエル:「もし、冷たさが感じなくなっちゃってたら、そっちのほうが心配だから……」
三部つゆり:「あ、いや……ええと」わたわたと手を振っている。「な、何というか…心配させたい訳ではなく…勿論心配頂くのは嬉しいのですが…困らせたりしたい訳ではなくて」
レセル・イル・イオフィエル:「うん……」
レセル・イル・イオフィエル:「誰だって……心配されすぎたり、可哀想に思われすぎたいわけじゃないもんね」
七星ミルキ:「ん。」ぴと、とつゆりの頬に手を添える。
七星ミルキ:「温度。感じる?」
三部つゆり:「ひぇっ」
三部つゆり:「か、感じますよ!ああもう……っ、レセルさんの言う通りで……」少し縮こまって。
三部つゆり:「私は自分の意志で動けるし、…こうなったのも、私が自分で選んだことです。たとえ、他に道がなかったのだとしても」
三部つゆり:「だから、私は幸せな人間なんだって。そう思っています」
レセル・イル・イオフィエル:「……立派だね。つゆりさん……」
七星ミルキ:「あはは、ごめんね、ちょっと意地悪したかも」
七星ミルキ:「……うん。ほんとに大丈夫そう。レセルさん、お願いできます?」
レセル・イル・イオフィエル:つゆりの正面に立つ。ほとんど身長は一緒だろう。
レセル・イル・イオフィエル:上着のボタンを一つずつ外していき
レセル・イル・イオフィエル:露になった雪のように白い素肌で、つゆりを優しく抱きしめる。
サマンサ・シュヴァイゲル:「あ、あわわわ」見ていると頬が赤くなり。
レセル・イル・イオフィエル:「ふふ……」
レセル・イル・イオフィエル:吐息が近い。豊かな胸が密着して形を変える。
三部つゆり:「ひゃっ……、あわわわ」頬が赤く染まる。こういう身体接触はあまり経験がない。
サマンサ・シュヴァイゲル:「なんだか、これはなんだか」
サマンサ・シュヴァイゲル:「トゥエちゃん!いけないわ!いけませんっ!」
サマンサ・シュヴァイゲル:サッ!頭上のトゥエの目を隠している。
カート・トゥエ:「? そうなの?」
七星ミルキ:「ほえ……ほえ?」
七星ミルキ:(わ、私はとんでもないことを促してしまったのでは)
七星ミルキ:つゆりちゃんの影に隠れる
レセル・イル・イオフィエル:「聞こえる……つゆりさんの心臓の音……」
レセル・イル・イオフィエル:「少しずつ、遅くしていくからね……息をゆっくりにして……」
三部つゆり:「あ、は…はぃ、ふーーーー…」ゆっくりと息を吐いてゆく。
レセル・イル・イオフィエル:40度の外気の中ではレセルの異常低温の素肌はむしろ心地よいくらいだろう。
レセル・イル・イオフィエル:肌の深部、血管まで染み渡るように冷えていくのが分かる。
レセル・イル・イオフィエル:「これって、すごく繊細なことなの……心臓と、感情に合わせてあげないといけないから……」
レセル・イル・イオフィエル:「……一度には、一人にしかできなくて。ごめんね……」
三部つゆり:「ふーー」段々とそうしてゆくうちに。その外気と反するような冷たさが、どこか燃えるように灼けてしまっていた回路を、ゆっくりと元のかたちを取り戻すことがわかる。
レセル・イル・イオフィエル:「……つゆりさん。ミルキさん……」
七星ミルキ:「…………」「あ、はい」
レセル・イル・イオフィエル:「エニュオさんに、サマンサ先生……」つゆりの背中をゆっくりと、優しく叩きながら呼びかける。
レセル・イル・イオフィエル:抱き合ったままで目を閉じている。「……ごめんなさいね………」
レセル・イル・イオフィエル:「カナートスは……他の学区を、たくさん傷つけてしまったわ……」
サマンサ・シュヴァイゲル:「エッ!?エッ!?」
サマンサ・シュヴァイゲル:「何がごめんなさい!?どのこと!!??」
サマンサ・シュヴァイゲル:「あっ……そういう、ことなのね」
サマンサ・シュヴァイゲル:自分の目を塞ぐ手がないので、視線を右往左往させていたがやや落ち着きを取り戻し。
レセル・イル・イオフィエル:「わたしも……すごく痛いことをしたわ。心配してくれた子だっていたのに……」
レセル・イル・イオフィエル:「みんな……自分で選んで、戦いたいって思っていたの……」
レセル・イル・イオフィエル:「必死になにかをすれば、わたし達みたいな……弱い生徒だって……」
レセル・イル・イオフィエル:「願いを叶えられるんじゃないかって……」
レセル・イル・イオフィエル:「……だけど、つゆりさんみたいに……自分で背負っていても、誰も傷つけない子だっているものね……」
レセル・イル・イオフィエル:「……。みんな分かっていたの。分かっていたのよ……」
サマンサ・シュヴァイゲル:「レセルちゃん……」
サマンサ・シュヴァイゲル:「幸せになりたい気持ちが、すれ違って」
サマンサ・シュヴァイゲル:「誰かに迷惑をかけてしまうなんて、当たり前のことだわ」
サマンサ・シュヴァイゲル:「先生なんか迷惑かけてばっかりだもの!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「でも、それじゃいけない、謝りたいって思うのは」
サマンサ・シュヴァイゲル:「レセルちゃんがその時よりも、優しくなれた証拠だわ」
サマンサ・シュヴァイゲル:「弱くなんてない!優しくなれるのは、強いってことだもの!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「大丈夫よ!レセルちゃんも、カナートスのみんなも!大丈夫!」うんうんと頷いている。
レセル・イル・イオフィエル:「そうなのかな……。ふふ……そうだったら、いいな……」穏やかに目を閉じながら、つゆりを抱きしめている。
レセル・イル・イオフィエル:「だけど、いくら苦しくたって……」
レセル・イル・イオフィエル:「傷ついていたって……誰かを信じられなくたって……」
レセル・イル・イオフィエル:「他の誰かを苦しめたり、傷つけたり、裏切ったりするのは……間違ってたと思う……」
レセル・イル・イオフィエル:「みんながそうしてしまうと、世界が、どんどん悲しくなっちゃうから……」
レセル・イル・イオフィエル:「……ごめんなさいね……」つゆりを撫でながら言う。
レセル・イル・イオフィエル:「ごめんなさい……今は素直になれない子だって、いるかもしれないけど……」
レセル・イル・イオフィエル:「わたしに謝らせて。みんなの分まで……」
三部つゆり:ふ、と熱い吐息が零して。身体と心が、何処か眠りへ惹かれるような引力を感じていた。それでも、それに抗って、口を開く。
三部つゆり:「…レセルさんは、いま・・」「こうして、私を…私達を助けてくれてます。……だから、謝罪とかよりも何よりも、それが…一番、どういう人達なのか、分かることだと思うから」
三部つゆり:ゆっくりと腕を、どこかおそるおそる、レセルさんの背に回す。
レセル・イル・イオフィエル:「あ……」
三部つゆり:「……熱かったりしたら、すみません……煩わしかったら、すぐやめるので」
レセル・イル・イオフィエル:「ううん……」
レセル・イル・イオフィエル:「暑いのは苦しいだけなのに……人の体温は好きなの……どうしてかな……」
七星ミルキ:つゆりちゃんとは別に、レセルさんの背中に手を添える。
七星ミルキ:「人の体温は、私も好きですよ」
七星ミルキ:「それに……皆の分の謝罪なんて、必要ありませんよ?」
七星ミルキ:「自慢ではありませんが、私はノヴァリスの中でも、かなりカナートスの子と接した自負があります」
七星ミルキ:「その殆どが事件絡みなのは、まぁ、仰るとおりですが……」
七星ミルキ:「それでもジウォンちゃんは謝ってくれましたし、カリスちゃんとは仲直りもしました」
レセル・イル・イオフィエル:輝きの薄い目を開いて、ミルキをじっと見る。
七星ミルキ:「ペテラちゃんについては現在進行系ですけど……」
七星ミルキ:指折り数えながら、空色の瞳が目を見返す。
七星ミルキ:「ね?」
七星ミルキ:「一人で背負わなくても、皆それぞれ謝ることだって出来ますし」
七星ミルキ:「『カナートスが』じゃなくて、その中のジウォンちゃん、カリスちゃん、ペテラちゃん……」
七星ミルキ:「もちろんヘルさんに……レセルさんも」
七星ミルキ:「悪いことをしたら本人が謝ったり、譲れないなら喧嘩なりするのであって」
七星ミルキ:「私にとっては、レセルさんは『助けてくれるいい人』です」
七星ミルキ:「だから……重く感じなくても、大丈夫です!」
レセル・イル・イオフィエル:「……うれしい……」
レセル・イル・イオフィエル:「…………ミルキさんみたいな人が……カナートスに関わってくれて……」
レセル・イル・イオフィエル:「本当に、よかったな……」
七星ミルキ:「そ、そうでしょうか……えへ」背中をなで続ける。
レセル・イル・イオフィエル:つゆりは心拍がほとんど止まったように緩やかになっているのを感じるだろう。
レセル・イル・イオフィエル:笑気麻酔にかかったように、意識が遠く、ふわふわと分離している。
三部つゆり:「……、ん……」力が抜けて、体重の殆どを預けるようなかたちになっている。
レセル・イル・イオフィエル:「ほら……どき…………どき……」心拍のリズムを把握しているように、耳元で囁く。
レセル・イル・イオフィエル:「……どき…………」
レセル・イル・イオフィエル:「…………」
レセル・イル・イオフィエル:「……処置は、終わったよ……」
レセル・イル・イオフィエル:つゆりから離れる。
三部つゆり:「……ぅ、……」ふら、と倒れかけて。
七星ミルキ:「あらら」支えようと動く。
GM:気が遠くなっていて、すぐには動けない状態だ。
GM:とはいえ、それと反比例するようにレネゲイド由来の不快感や衝動は収まっている。
エニュオ・デュカキス:「お疲れ様……と言っていいものか」
レセル・イル・イオフィエル:「言ってあげて。お疲れ様……」
三部つゆり:そのまま背中側に倒れるようにして支えられる。世の全てを嘲り、打ち捨て、傲岸に在らんとするような、そんな声が今は聞こえない。
七星ミルキ:「おつかれさまです、つゆりちゃん」
七星ミルキ:「……うふふ、無防備つゆりちゃん。初めてみますかも」
七星ミルキ:とん、とん、と一定のリズムでいたわる。
三部つゆり:瞳を閉じてこてりと。美しいビスクドールかなにかのようだった――頬の赤みや、吐息が聴こえなければそう見えたかもしれない。
サマンサ・シュヴァイゲル:「気分は、どうかしら……?」
サマンサ・シュヴァイゲル:まだ頬が赤いまま、遠慮がちに覗き込む。
三部つゆり:「……、んん……、」目元が動く。
三部つゆり:「……すみません…お待たせ…しまして」目を開く。身体は酷く軽く感じられた。何より、衝動などを由来とする不快感がないのが、やはり大きい。
三部つゆり:「…良い気持ちです。ありがとうございます、レセルさん」
レセル・イル・イオフィエル:「……成功したなら、よかった」微笑む。
レセル・イル・イオフィエル:上着に袖を通して、ようやく肌を隠した。
エニュオ・デュカキス:「ありがとうございます」
エニュオ・デュカキス:「レセルさん。カナートスの名に付いた謂れを払うことは、これから先長くなるでしょう」
レセル・イル・イオフィエル:「……うん」
エニュオ・デュカキス:「それでも世界ノヴァリスは続いています」
エニュオ・デュカキス:「昔、この世で最も強力な爆弾を生み出した人物がいました。世界すら焼き尽くして滅ぼしかねない代物です」
エニュオ・デュカキス:「だけど世界は終わっていない。この箱庭も、私達も続いている」
エニュオ・デュカキス:「失敗したことで互いを完全に理解することはできなくとも。もう一度考えて歩み寄ることはできます」
レセル・イル・イオフィエル:「カナートスが……」
レセル・イル・イオフィエル:「ノヴァリスを終わらせてしまわなくて……よかったって、思う?」
エニュオ・デュカキス:「はい。貴方達は世界に己を報せる方法を知らなかった」
エニュオ・デュカキス:「苦しいことや生きていることを知られず、苦痛から逃れるために私達とも対立した」
エニュオ・デュカキス:「でも知りました。私、先生、七星さん、三部さん」
エニュオ・デュカキス:「ここにいない誰かもそうでしょう」
レセル・イル・イオフィエル:こくり、と頷く。
レセル・イル・イオフィエル:「わたしも……」
レセル・イル・イオフィエル:「本当は……自分で言いたいの。わたしが迷惑をかけた人に……」
レセル・イル・イオフィエル:「会いにいって、謝れたらいいなって……」
レセル・イル・イオフィエル:「……ミルキさんと話して分かりあえたカリスちゃんや、ジウォンさんのこと……」
レセル・イル・イオフィエル:「…………わたしも、うらやましいって思うから……」
エニュオ・デュカキス:「伝えましょう。私達はここにいると」
エニュオ・デュカキス:“カナートス”ではない己として
エニュオ・デュカキス:世界は優しくはないし、都合よくもない。だがこうして“続いて”いる程度には
エニュオ・デュカキス:幸運で生きることを許されるものだと信じるくらいはいいだろう
レセル・イル・イオフィエル:「……みんなも」
レセル・イル・イオフィエル:「がんばってね」
レセル・イル・イオフィエル:「わたしも……がんばるから……!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「がんばるわ!」
七星ミルキ:「はいっ、頑張りますっ」
サマンサ・シュヴァイゲル:「レセルちゃんの気持ちも一緒に……みんなのデータを見つけるんだから!」
七星ミルキ:「私も、色々と決着を付けたいですからねっ」
カート・トゥエ:「……ねえ」
カート・トゥエ:「なんにも見えないよ……?」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ああっ!ごめんなさい!」

カナートス臨床医学研究院 216号室


GM:216号室。訪れるのは初めてだが、ここがソ・ジウォンの個室であることは分かっていた。
GM:看護師である彼女が自室に留まっている確信はなかったが、幸運にも、彼女は216号室にいた。

ソ・ジウォン:「……シュエフィの攻性症例が暴走しちゃった時は」紅茶を淹れている。
ソ・ジウォン:「こうするしかないの。下手に迷って、能力が解除された時に患者のところにすぐ向かえない方が大変だから」
サマンサ・シュヴァイゲル:「そうだったのね……ルーちゃんも今頃どうしてるのかしら」
サマンサ・シュヴァイゲル:「お礼を言いに行きたいけど、全然出会えなくて」
七星ミルキ:「実際、私達もお部屋を頼りにやってきましたしね」
ソ・ジウォン:「そうだろうね……誰かが一緒にいてあげるしかないけど、その人も一緒に迷っちゃう」
ソ・ジウォン:「あの子が一番寂しがり屋なのにね。本当にかわいそう」
サマンサ・シュヴァイゲル:「この事件が終わったら」
サマンサ・シュヴァイゲル:「いっぱい、たくさん、一緒にいてあげたいわ」
サマンサ・シュヴァイゲル:「先生体力に自信あるから!お弁当持ってお話しながらいっぱい歩くわ!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「……そのためにも、がんばらなくちゃ」
ソ・ジウォン:「あはは……先生、いつの間にシュエフィと仲良くなったんだ」
七星ミルキ:「そうですね。私も助けてもらったのに、お礼とか全然言えてませんし」
ソ・ジウォン:「あの……ウノのことは……」
ソ・ジウォン:「……」言いにくそうにしている。
ソ・ジウォン:「あたしも、気持ちは分かっちゃうから……」
ソ・ジウォン:「もちろん、みんなが止めてくれる人でよかったって思うし……」
ソ・ジウォン:「まだ望みがあるなら、止めるのが正しいって、私も思ってるけど」
七星ミルキ:「……ウノさん、慕われてますよね」
七星ミルキ:「最初にハリさんにお願いしたときも、ウノさんと意見が対立したことで、ちょっとピリっとしちゃいましたし」
ソ・ジウォン:「――でも、外の基準での『いい人』じゃないでしょ?」
ソ・ジウォン:「誰かを病気にしてしまっても構わないと思ってる……それを治すのに自分が命を賭けるような思いをするとしても」
ソ・ジウォン:「それが当然だって考えてる。病を治し続けるのがウノの人生だから」
ソ・ジウォン:「外の人から見たら、狂ってて、恐ろしく見えたって仕方ないと思う」
七星ミルキ:「……否定はできません」
七星ミルキ:「病気を治してるのは素晴らしいことですが、その原因として病を広げてしまうのも、大変なことですし」
七星ミルキ:「ずっと病を治すために病に向かい続けて、ずっとずっと深く潜っちゃってる人は、怖いですけど……」
七星ミルキ:「……でも」
七星ミルキ:「『わるい人』の相手も、けっこう慣れてるんですよ。」
七星ミルキ:「『外』の人も、手放しでいい人ばかりじゃないし、自分で起こした問題を自分で解決する人なんて、ざらにいますし」
七星ミルキ:「もちろん、日常のちょっとしたこととは比べ物にならないってことは、わかってますけど……」
七星ミルキ:「私、自分のやりたいことのために頑張る人、嫌いになれません」
七星ミルキ:「…………一人で悩んでいると、やな方向に考えちゃいますから」
七星ミルキ:「そんな人を見ると、一緒に居てあげたい、って思うんです」
七星ミルキ:「……あ、ジウォンちゃんが居るというのは重々承知の上でですね?意気込みとして……」
ソ・ジウォン:「……はは。ミルキちゃんにそう言ってもらえると、安心するかも」
三部つゆり:「私も…厳しい人だと思いますけど」
三部つゆり:「でも、私基準だと、いい人だし、慕われるのも分かりました。だって…」
三部つゆり:「きちんとした選択肢を提示して、選ばせてくれましたから」サマンサ先生とエニュオさんを託したときの彼女を思い出す。
サマンサ・シュヴァイゲル:「ええ、私はウノちゃんに助けてもらったもの」
サマンサ・シュヴァイゲル:「命の恩人だわ!これからもずっとそう!」
ソ・ジウォン:「ウノのせいでそうなっちゃったのに……」呆れたように笑う。
サマンサ・シュヴァイゲル:「それは、そうだけど」
サマンサ・シュヴァイゲル:「先生理屈は得意じゃないわ!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ウノちゃんが……命を奪おうとしていることも」
サマンサ・シュヴァイゲル:「誰かを治したいと思うことも」
サマンサ・シュヴァイゲル:「どっちだって、真剣な気持ちだと思うから」
ソ・ジウォン:「でも……でもさ」
ソ・ジウォン:首を振る。
ソ・ジウォン:「たまに思ってたことがあるんだ。あたし達は、ウノの歪みを知っていても、誰も何も言わなくて……」
ソ・ジウォン:「……病気のあたし達にとっては、体を治してくれるってだけで、ウノはどんな聖人より立派な人で」
ソ・ジウォン:「そんなウノが患者を殺してしまうしかないくらい追い詰められちゃったなら」
ソ・ジウォン:「ただ感謝するだけじゃなくて、あたし達だって、その前にできることがあったんじゃないかなって……」
ソ・ジウォン:「ウノは一言もそんな弱音を吐いたことなかったけど」
ソ・ジウォン:「あれだけ必死に患者を治療しているのに」
ソ・ジウォン:「本当に健康な人になった人と触れ合っちゃいけないって、どんな気持ちなんだろう……」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ジウォンちゃん!!」
サマンサ・シュヴァイゲル:大きな声で言う。近くにいるとキーンとするかもしれない。
ソ・ジウォン:「うるさ……!」両耳を押さえた。
サマンサ・シュヴァイゲル:「まだどこも手遅れじゃないわ!」
カート・トゥエ:「サマンサ先生、声大きい」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ジウォンちゃんとウノちゃんは、これからもお話しできる!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「どこかの誰かの基準なんかも関係ないわ!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ウノちゃんは絶対に、『わるい人』になんかならない!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「だって……!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「こんなにジウォンちゃんは、ウノちゃんのことを」
サマンサ・シュヴァイゲル:「大切に思ってるんだもの!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「だから、だから……!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「なんとかなる!!」
サマンサ・シュヴァイゲル:息を切らせながら、畳みかけるようにワーッという。
ソ・ジウォン:「……大切に思ってるってだけのことが、そんなに立派なことかな」
ソ・ジウォン:「ジェネシスでの事件だって、あたしはペテラが大切でああいうことをした――って思ってたけど」
ソ・ジウォン:「結果はカナートスのみんなよりずっとたくさんの人を苦しめて、みんなを裏切ったんだから」
サマンサ・シュヴァイゲル:「……立派よ」
サマンサ・シュヴァイゲル:「それがなかったら、何も始まらないもの」
サマンサ・シュヴァイゲル:「だから、ジウォンちゃん」
サマンサ・シュヴァイゲル:「……自分を嫌いになろうとしないで」
ソ・ジウォン:「ミルキちゃんにも、何度も言われたよ」
ソ・ジウォン:「……大丈夫。ちょっと弱音を言いたかっただけなんだ……」
ソ・ジウォン:「忙しく患者の面倒見てないと、余計なことばかり考えちゃう」
サマンサ・シュヴァイゲル:「……うん」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ジウォンちゃんなら、助けになりたいと思った人を助けられるから」
サマンサ・シュヴァイゲル:「caps lockのキー」
サマンサ・シュヴァイゲル:「先生、ちゃんと覚えてるわ」
ソ・ジウォン:「あはは、そんな、くだらないこと」
ソ・ジウォン:「……くだらなすぎ」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ふふふ、そうかしら」
サマンサ・シュヴァイゲル:くすくすと笑う。
ソ・ジウォン:「先生って本当に変わってるよ」
ソ・ジウォン:「でも、あのさ……」
ソ・ジウォン:「……また、来てくれるよね?カナートスに」
サマンサ・シュヴァイゲル:「もちろんだわ!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「みんなと約束も沢山したの、きっとこれから、ここでいい思い出が沢山できる」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ワクワクしてるの!」
ソ・ジウォン:「こんなところで、そんな前向きなことが言えるの、サマンサ先生くらいだよ」
ソ・ジウォン:「でも……そうか……」
ソ・ジウォン:「いつも見てたカナートスだって、人が違えば」
ソ・ジウォン:「そんなふうに見えるんだな……」天井を見上げる。
GM:その後も、一行はソ・ジウォンとしばらく話した。
GM:状況はひどく入り組んでいて、猶予がどれだけあるのかも分からない。
GM:だが強力な疫病に晒され、あるいは死の淵を彷徨ってもなお、
GM:ジウォンに治療を受け、休養したことで、いつも以上の力を得られたように感じるかもしれない。
GM:それは病を味わってこそ理解できる、健康の力強さだ。

■NPCカード:ソ・ジウォン
【春の盛りに沈黙なし】
全員のHPを最大値まで回復する。応急手当キット(アイテムアーカイブp46)を1個獲得する。


カナートス臨床医学研究院 203号室


GM:最後に訪れたのは、203号室だ。ヘルが唯一『戦力』として推挙した患者、チェルシー・ミラーである。
GM:だが、病室は無人だった。どこかへと迷い出てしまったのか……
サマンサ・シュヴァイゲル:「あれー!?」
サマンサ・シュヴァイゲル:「チェルシーちゃんいないわ!?いったいどこ!?」
サマンサ・シュヴァイゲル:キョロキョロ探し回る
チェルシー・ミラー:「い……います……よ……」
チェルシー・ミラー:ベッドの下から声があった。
七星ミルキ:「チェルシーさん!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「そんなところに!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「かくれんぼが好きなのかしら……?」

チェルシー・ミラー:「こ、こんばんは……」
チェルシー・ミラー:「ミルキ……様に、さ、サマンサ……様」
三部つゆり:「……ええと、こんにちは……大分、聞いた話と違う様子ですけど…」
エニュオ・デュカキス:「こんにちは。……別の意味で驚く形になってますね」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ええ、キャラが全然」
サマンサ・シュヴァイゲル:「違うような……?」
サマンサ・シュヴァイゲル:頭上のトゥエちゃんと一緒に首をこてんとかしげる
チェルシー・ミラー:「大変……しっしっ失礼を……」
七星ミルキ:「様付け……?」
チェルシー・ミラー:「わ、わた、私、すごくはしたないことを……」
サマンサ・シュヴァイゲル:「あっ!そういうことなのね!?」
七星ミルキ:「え、ええと……」
サマンサ・シュヴァイゲル:「噛みついちゃったこと、恥じらっているんだわ!」
七星ミルキ:「あっ、なるほど……?」
サマンサ・シュヴァイゲル:「先生も咄嗟のことで物を壊しがちだから」
サマンサ・シュヴァイゲル:「やらかしてしばらくした後の申し訳なくて恥ずかしい気持ち、よくわかる!」
チェルシー・ミラー:「おなかが空くと」
チェルシー・ミラー:「人の肉を食べたくって仕方がなくなって」
チェルシー・ミラー:「おかしくなっちゃうんです」
チェルシー・ミラー:「私……私、そんなじゃないのに……」ガタガタと震えている。
七星ミルキ:「カナートス医師のインナさんも仰ってましたね。襲いかかってきたことに理由があるって……」
七星ミルキ:ベッドの下を覗き込んでいる。
サマンサ・シュヴァイゲル:「いいのよ!チェルシーちゃん!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「それどころじゃなくて、先生はほとんど忘れていたわ!」
チェルシー・ミラー:「ガルルッ」ガブーッ!
チェルシー・ミラー:サマンサの前腕に噛みつく!
チェルシー・ミラー:「お、おいしい~~」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ウギャーッ!思い出した!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「この痛み!はなして~!?」
七星ミルキ:「寄生性異食症、意思を持ったレネゲイドが"隣人"として共生しているんでしたっけ……」
七星ミルキ:「せ、先生ー!? あ、脂、熊の脂…」
カート・トゥエ:「チェルシーは暴走してなくたって噛みぐせがあるよ」
七星ミルキ:「そうなんですね!?」
チェルシー・ミラー:「はぁ、はぁ、ごめんなさい、衝動的に」
三部つゆり:「奇妙な隣人ストレンジネイバー症例…それもレジェンド系かアニマル系でしょうか…」
七星ミルキ:「冷静クール……!」
エニュオ・デュカキス:「切り替えが早い……」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ええと……こういう時は」
サマンサ・シュヴァイゲル:「そうだわ、日本のアニメ!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「大丈夫!大丈夫!!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「怯えていただけなのね!!??」くあっ
サマンサ・シュヴァイゲル:チェルシーちゃんの肩を掴み気合を込めて、圧が強い。
チェルシー・ミラー:「そうなんでしょうか?ペロペロ……」手についた返り血を舐めている。
三部つゆり:(多分違うような気がする)
七星ミルキ:(マイナーな作品を知ってますね!?)メサイア基準知識
七星ミルキ:「レネゲイドの衝動による暴走がより濃く出る、と考えたほうが良さそうですね……」
七星ミルキ:「自分の衝動に特化して鍛えた人はそういう傾向にあると聞いています」
七星ミルキ:控えめにチェルシーを撫でる。
チェルシー・ミラー:「はい。私……」返り血では満足できず、サマンサの傷口を舌で舐めている。
チェルシー・ミラー:「戦闘は少しできます」
七星ミルキ:「……はい、ヘルさんからそう伺いました。」
サマンサ・シュヴァイゲル:「うひひひひっ!くすぐったいわ!?」
チェルシー・ミラー:「ぺろぺろ」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ちょ、ちょっとやめて、チェルシーちゃん!痛いのかくすぐったいのかよく分かんなくなって……うひひひっ!」
三部つゆり:「……だ、大丈夫かなコレ…」
エニュオ・デュカキス:「話を進めて頂いても」
七星ミルキ:「実力も見てますし。」むん、と力こぶアピール(ない)
七星ミルキ:「……正直、私達はボロボロですから」
七星ミルキ:「手伝って頂けるとすごーく助かるんですけど……大丈夫そうですか?」
チェルシー・ミラー:力強く頷く。
チェルシー・ミラー:「お二人は私が暴走しても怒らず……」
チェルシー・ミラー:「メモを残してくれました!」
チェルシー・ミラー:「ぜひ、ミルキ様とサマンサ様の助けになりたいです!」
チェルシー・ミラー:「何を食べればいいですか!?」
七星ミルキ:「さ、様……。ちゃん、とかでいいよぉ?」むずむずしている。
七星ミルキ:「えっとね。霊安室の兵器……ってわかるかな?色んな病気を持ってて大変なんだけど……」
七星ミルキ:「あ、食べたら感染っちゃうかもだから、そこは充分に気をつけて欲しいな」
七星ミルキ:「今から、そういう子達とか、ノドスの、男子生徒とか……あとは」
チェルシー・ミラー:「"霊安室"の兵器を私が食べたら……確かに危ないかもしれません」
チェルシー・ミラー:「でも、ウェンディゴに食べてもらいます」
七星ミルキ:「もしかしたら、カナートスの子も。ちょっと戦っちゃうかもなんだけど……」
チェルシー・ミラー:「えっ……それは……」眉尻を下げる。
チェルシー・ミラー:「いや……」
チェルシー・ミラー:しょんぼりする。
七星ミルキ:「あ、わぁ~~!だ、大丈夫!そっちとは私達が戦うから!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ええ!生徒の子を食べて欲しいわけじゃないの!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ただ……そう、ペテラちゃんが」
サマンサ・シュヴァイゲル:「チェルシーちゃんにお願いする時、そこにいるかもしれないから」
サマンサ・シュヴァイゲル:「びっくりさせないための、説明ね」
七星ミルキ:「霊安室!霊安室の方をなんとかしてくれるだけで、すっごく助かるな~!」
チェルシー・ミラー:「本当ですか!?」
チェルシー・ミラー:「ミルキ様好き!」ガブリ
七星ミルキ:「うんうん。それに話し合うこともあるからいきなり戦うってのも……うわーっ!」ガブられ
チェルシー・ミラー:「おいしい~」太もも付近を甘噛みしている。
サマンサ・シュヴァイゲル:「きゃーっ!?ガブられてる!」
七星ミルキ:「ふ、複雑な評価……肉付きかな?柔らかさかな……?」スカートを抑えている。
サマンサ・シュヴァイゲル:「先生の方が肉付きよくっておいしいわ!こっちこっち!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「チェルシーちゃん!こっちよ!」
チェルシー・ミラー:「サマンサ様好き!」ガブーッ
サマンサ・シュヴァイゲル:「ありがとうーッ!」ガブラレーッ
七星ミルキ:「先生ーっ!?」
エニュオ・デュカキス:(大丈夫でしょうか)
カート・トゥエ:「よくないよ……チェルシーに人の肉をあげすぎるの」
三部つゆり:「い、色々と大丈夫……?ほ、ほら!トゥエさんもこう言ってますよ!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ごめんなさい……そうだとは思うんだけども……!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「チェルシーちゃん元気がいいから、つい勢いで……!」
七星ミルキ:「くすぐったら離してくれますかね?」こしょこしょ。
チェルシー・ミラー:「にゃはは!みゃははははは!」
チェルシー・ミラー:床をゴロゴロ転がって笑う。
サマンサ・シュヴァイゲル:「あっ、離してくれた」
サマンサ・シュヴァイゲル:「こうすればよかったのね、こしょこしょ」
三部つゆり:「あまりやりすぎるのも……」
サマンサ・シュヴァイゲル:「またひとつ、チェルシーちゃんと仲良くなるヒントを得たわ」
チェルシー・ミラー:「きゃあ!やめてください!脇腹、弱くて、にゃふふふふ」
サマンサ・シュヴァイゲル:「流石だわ、ミルキちゃん!」
七星ミルキ:「お任せください!」
カート・トゥエ:「すごい……こんな簡単な方法でよかったんだ」
カート・トゥエ:「誰も試したことなかったよ。カナートスのお医者さんに教えたらみんなびっくりするかも……」
サマンサ・シュヴァイゲル:「偉大な発見だわ!ミルキちゃんえらすぎ!」
七星ミルキ:「……私」
七星ミルキ:「なにかしちゃいました?」
サマンサ・シュヴァイゲル:「やったーカッコイイーー!」
サマンサ・シュヴァイゲル:ぱちぱち。
三部つゆり:「……と、ともあれ。話を戻しまして」
七星ミルキ:「あ、はい。すみません、つい」
サマンサ・シュヴァイゲル:「はいっ!おねがいします!」
チェルシー・ミラー:「ふーっ、ふーっ……はは、きゃはは……」
三部つゆり:「チェルシーさんはご協力いただけるという事で…大丈夫ですか?危ないですけど…」
チェルシー・ミラー:「……………私の……私の、攻性症例は」
チェルシー・ミラー:「普通の方法で症状を抑えることができないんです」
チェルシー・ミラー:「出てきてしまったら、何かを狩らなきゃいけません……それも人肉を食べることだけが、唯一の治療で……」
チェルシー・ミラー:「どうしようもない時には、私からお願いして、"霊安室"の兵器と戦わせてもらってました」
チェルシー・ミラー:「もちろん、危険なことなので、一番弱い……"バニラドロップス"くらいにしか接触させてもらえませんでしたけど」
チェルシー・ミラー:「"霊安室"のジャームは」
チェルシー・ミラー:「人から作られてますから」
七星ミルキ:「…………なるほど」
七星ミルキ:「ウノさんは、隔離されたカナートスでどうして防衛兵器を動かすことに慣れてたのかって思ったけど……」
七星ミルキ:「そういう"治療"もあった、ってことだね」
七星ミルキ:少しだけ瞑目する。どれだけ脅威であろうと、元は"人"というのならそうしないわけには行かない。
サマンサ・シュヴァイゲル:「”バニラドロップス”っていうのは」こめかみをトントンしつつ首をかしげる。
サマンサ・シュヴァイゲル:「先生記憶力弱いからアレなんだけども」
サマンサ・シュヴァイゲル:「私たちが会った霊安室のジャームとは、また別の子なのかしら……?」
カート・トゥエ:「"バニラドロップス"が防衛に出てくるはずないよ」
カート・トゥエ:「すごくちっちゃいし、普通のオーヴァードより弱いもん」
七星ミルキ:「そうなんですか?」
カート・トゥエ:「うん。なんか、食料にしちゃおうって話もなかったっけ?生活プラントが壊れちゃうかもってなった時……」
七星ミルキ:「私達の出会った"キッチンボイラー"と"リトルドレッサー"は大変脅威でしたけど……」
七星ミルキ:「チェルシーさんも弱い、と仰ってましたね」
チェルシー・ミラー:「"バニラドロップス"はB102号です」
チェルシー・ミラー:「特性はすごく簡単で……死なないし、自分で増殖できること」
七星ミルキ:「む。」
七星ミルキ:「ちっちゃいけど、食料に出来るとはそういう意味ですか」
七星ミルキ:「増え続けるんですね……」小難しい顔をしている。
サマンサ・シュヴァイゲル:「死なないし、自分で増殖っていうのは」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ヒトデさんとか、クラゲさんみたいなこと……?」
チェルシー・ミラー:「そう!ちょうどクラゲみたいな……ちょっと違うかも……?」
サマンサ・シュヴァイゲル:「はぇ~」
チェルシー・ミラー:「とにかく、そんな感じの見た目でした」
サマンサ・シュヴァイゲル:「分かったわ!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「つまり……不思議な生き物なのね!」
サマンサ・シュヴァイゲル:ずびし
チェルシー・ミラー:「はい!」満面の笑み。
七星ミルキ:「否定する要素はないけど包括的すぎますよ……!?」
七星ミルキ:「いえ、たしかに不思議としか言いようがありませんが」
チェルシー・ミラー:「"キッチンボイラー"と"リトルドレッサー"は、"バニラドロップス"とは比べ物にならないくらい強いですけど……」
チェルシー・ミラー:「力にはなれると思います。どうか、連れて行ってください……!」
三部つゆり:「死なないで増えるのが兵器…というのも、また不思議ですが…ともあれ、そういう霊安室のものに対してはチェルシーさんの”隣人”を抑えることはできそう…という事なんですね」
七星ミルキ:「と、ともあれ。チェルシーさんの……ウェンティゴさん?なら、霊安室の兵器を食べても大丈夫そう、ってことですね」
七星ミルキ:「うん。でも、増え続けるってのも脅威ですよ?叩くと増えるビスケット兵士とか、指数関数的に倍になるとか……」
七星ミルキ:「あ、いえ、すみません。この話は後日にします。こほん」
三部つゆり:「それはそれで制御が困りそうですが…ともあれ」
三部つゆり:「チェルシーさんはこう仰ってくださってますが、皆さん大丈夫でしょうか?」
七星ミルキ:「私は問題ありません。頼りに来たのも私ですしね」
サマンサ・シュヴァイゲル:「チェルシーちゃんがやりたいって言ってくれるなら」
サマンサ・シュヴァイゲル:「心強いわ!あとは精一杯、みんなを手伝うだけ!」
七星ミルキ:「はいっ。先生もエニュオさんも動けるようになって、かなりいい感じです!」
三部つゆり:「……うん。では、チェルシーさん。どうか、宜しくお願いします」深く頭を下げる。
GM:チェルシー・ミラーが加入しました。

■チェルシー・ミラー

【肉体】1
【感覚】1
【精神】5
【社会】2

HP:27
行動値:19
装甲:0
復活回数:1回

〈白兵〉2
〈知覚〉1
〈RC〉2
〈知識:医療〉2
〈情報:カナートス〉1

《オリジン:レジェンド》LV5
《破壊の爪》LV4
《深き傷痕》LV4
《一閃》LV1
《先手必勝》LV4
《コントロールソート》LV1
《スティルネス》LV5
《竜鱗》LV2

【マイナーアクション】
《破壊の爪》《オリジン:レジェンド》
そのシーンの間、あなたが行なう【精神】を使用した判定の達成値を+12し、
素手のデータを以下のように変更する。
種別:白兵 技能:〈白兵〉
命中:0 攻撃力:18 ガード値:1 射程:至近

【メジャーアクション】
《深き傷痕》《一閃》《コントロールソート》
5dx+2(《オリジン:レジェンド》使用時14)
攻撃力18、対象の次に行なう攻撃の攻撃力-10

《スティルネス》
5dx+2(《オリジン:レジェンド》使用時14)
対象の侵蝕率を-8する。ただし、自身の侵蝕率を+16する。
このエフェクトはレベルを下げて使用してもよい。シナリオ1回

【リアクション】
《竜鱗》
装甲値を+30してダメージを算出。他の防具と重複する。

GM:ユニット性能は以上の通りですが、最初に手に入れたヘイズのNPCカードについても公開しましょう

■NPCカード:ヘイズ・ブラックモア
【プロトコルκ】
以後の遭遇判定を自動成功にする。
また、"キッチンボイラー"、"リトルドレッサー"のいずれか1体に、任意に遭遇することが可能となる。

GM:これはつまり、早めに引けば有利だし、ジャーム兵器の片方を早めに落とせて有利というNPCカードだったのですが
GM:任意で一回ミドル戦闘増やすのは日程的に難しいところだと思うので
GM:代わりに、遭遇判定自動成功+誰か一人が一回分購入判定可能ということにして補填いたします。
七星ミルキ:わーい!
サマンサ・シュヴァイゲル:ヤッター!
サマンサ・シュヴァイゲル:気の利く女だぜ
三部つゆり:たすかりまくり!


◆Middle06◆必然性の絶望は可能性の欠乏に存する

GM:全員登場です。登場侵蝕をお願いします。
七星ミルキ:七星ミルキの侵蝕率を1D10(→ 9)増加(91 → 100)
七星ミルキ:きゃあ
三部つゆり:三部つゆりの侵蝕率を1D10(→ 10)増加(89 → 99)
サマンサ・シュヴァイゲル:1d10+44
DoubleCross : (1D10+44) → 1[1]+44 → 45

三部つゆり:逆に嫌すぎ!
エニュオ・デュカキス:エニュオ・デュカキスの侵蝕率を1D10(→ 4)増加(53 → 57)
GM:今回チャレンジできる判定は一つだけ。
GM:もし全員チャレンジして駄目だった場合、全員1d10でシーンに登場し直して判定してもらうことになります

"ストロッツァ" 〈知覚〉難易度9

GM:とはいえ、"死神"の協力が無事得られてるので、そう難しい判定じゃないですけどね
サマンサ・シュヴァイゲル:ウォオオオオ
サマンサ・シュヴァイゲル:この美しきワイヤー使いにお任せあれ!!
サマンサ・シュヴァイゲル:2dx+1
DoubleCross : (2DX10+1) → 8[8,8]+1 → 9

サマンサ・シュヴァイゲル:ドリャアアアアアア!!
三部つゆり:成功しとる!
七星ミルキ:美しきワイヤー使い!
エニュオ・デュカキス:いい目出してる
七星ミルキ:肩にちっちゃい兄貴乗せてんのかい!
サマンサ・シュヴァイゲル:その動き!既に見切っているわ!!
GM:美しきワイヤー使いになっちゃった
サマンサ・シュヴァイゲル:華と散っていただくわ!!!!!!
GM:自分がぐるぐる巻きになってぶっ倒れる以外の未来が想像できないんだよなこれ
七星ミルキ:ノリノリやね

カナートス臨床医学研究院


GM:院内を探索しはじめてからかなりの時間が経過したように思えたが、時刻を確認しても、思った以上に時間が経っていないことが分かる。
GM:ルー・シュエフィの迷宮に取り込まれた者は、どこまでも迷うのだ――空間的な意味だけではなく、時間も含めて。
カート・トゥエ:「……ねえ」
カート・トゥエ:「みんなの治療記録って、本当にあるの?」
サマンサ・シュヴァイゲル:「それは……」
サマンサ・シュヴァイゲル:「分からないわ、ヘルちゃんも言っていたけれど」
サマンサ・シュヴァイゲル:「理事会の人たちが、出ていくときに消してしまっただけかも」
チェルシー・ミラー:「……ノドスの方は、交渉して渡してくれるでしょうか?」心配そうに尋ねる。
七星ミルキ:「……そうであってほしいな、と思っています」
チェルシー・ミラー:「向こう側の欲しがるような情報を私達が差し出すとか……取引の前提がないと難しいですよね?」
七星ミルキ:「ただ、まぁ……そうなんですよね。カナートスに関しては、ずっと潜伏してたあちらの方が詳しいでしょうし……」
七星ミルキ:「人手とか、労力で……なんとか?」
サマンサ・シュヴァイゲル:「分からないっていうのは」
サマンサ・シュヴァイゲル:「やってみる価値があるっていうことよ!」
チェルシー・ミラー:「そうかも……!」
カート・トゥエ:「そうかなー?」
エニュオ・デュカキス:「まぁ……事実として彼のことを一番知っているのは七星さんですからね」
エニュオ・デュカキス:「私達が現状で考えるにも限界はあります」
チェルシー・ミラー:「お知り合いなんですね?」
チェルシー・ミラー:横からミルキの顔を覗き込むようにする。
七星ミルキ:「お知り合いなんです。」眉をひそめて困ったように笑う
七星ミルキ:「だから、というわけじゃないんですが……」
七星ミルキ:「治療記録も、"もしかしたら"と思う点はあります」
チェルシー・ミラー:「もしかしたら、というのは……」
七星ミルキ:「あるかもしれない、という論拠ですね」
七星ミルキ:「ヘルさんに整理した時に思ったんですけど、ノドスの……方、も」
七星ミルキ:「結構前から潜入していた、はずなんです」
七星ミルキ:「潜入するってことは目的があったってことで……」
七星ミルキ:「病室の人達や、"死神"さんにも接触してないとなると、やっぱりデータが目的なのかな、って」
カート・トゥエ:「何に使うんだろ、そんなデータ」
カート・トゥエ:「あたしのデータを見たって、同じ症例の子なんて見たことないよ」
三部つゆり:「……ノドスの共通目的は、脱出のはず。潜伏もそれに連なる目的があると思えば…」
三部つゆり:「………ノドス生との比較か…それとも、ノドス生自身が何らかの身体的障害が…ううん…」
エニュオ・デュカキス:「あるいは、症例そのものより研究時に使われた薬品のデータという見方も出来ます」
カート・トゥエ:「そっか。理事会も色んな薬を作ってるはずだもんね」
エニュオ・デュカキス:「ある感染症のために作られた薬が別の症例にも大きな効果を持つ、というのは珍しいことではありませんから」
カート・トゥエ:「カナートスの外じゃ流通してない薬もプラントの方で作ってるはずだし……」
カート・トゥエ:「堕天病の抑制薬は、カナートスのほうがラス・ヴィダスより効果があるし、安く作れるんだって。インナが言ってた」
三部つゆり:「…ラス・ヴィダスだととにかく高額ですからね…ポルートのこともありますが、とにかくそういう競争が過剰なんです、うちは。今は…大体更地ですけど」
七星ミルキ:「そっか、カナートスだとずっと治療を目的に開発出来るから……」
七星ミルキ:「……オーヴァードの治療で通常の医療と一番異なるのは」
七星ミルキ:「なによりその原因にレネゲイド自体が関わっている例が多い、という点です」
チェルシー・ミラー:こくり、と頷く。
七星ミルキ:「症状は違えど、レネゲイドウィルスの過剰な効果や、レネゲイド自体が意思を持つ、など……」
七星ミルキ:ちら、とチェルシーを見る。レネゲイドを由来とした人格の切り替え。
チェルシー・ミラー:「普通の負傷や病なら、レネゲイドの作用で治るはずなんです……オーヴァードの私達は」
チェルシー・ミラー:「だけどそれでも治らない病気があって……たぶん、他にも、カナートスの外にだって……」
七星ミルキ:「うん。もっと研究が進めば、細分化カテゴリも進んで、根幹の所で応用も効く──のかも知れません」
チェルシー・ミラー:「でも、ミルキ様……ひとつ不思議なことがあるんですけど」
七星ミルキ:「様付けが自然だ……はいはい、どうしたの?」
チェルシー・ミラー:「そのノドスの方は、必要なデータを見つけて、それを痕跡もなく奪ってしまったのだとしたら」
チェルシー・ミラー:「どうしてカナートスに残っていたんでしょう?」
七星ミルキ:「そうですねぇ……」指を顎に添える。
七星ミルキ:「データが元からないなら、目的が外れたことで他に行く……とは考えてたんですけど」
七星ミルキ:「奪ったとしても、その後に残っていた理由ですか。ギリギリまで経過観察で最新データにしてた?うーん……」
三部つゆり:「…カナートスに於いてデータを得て、人員に頼らないとするなら…後は、設備でしょうか」
七星ミルキ:「あ、なるほど。」
七星ミルキ:「データが有っても、必要な薬の作り方とか研究は設備があったほうが良いですものね」
チェルシー・ミラー:「なるほど……」目をぱちぱちとさせる。
GM:そうして廊下を歩いていると、唐突な異物が目の前に出現する。

GM:横倒しになった介護オートマタだった。
"死神":〈ザッ、ザザ……ここにいたか……〉
サマンサ・シュヴァイゲル:「!」
七星ミルキ:「わっ。……"死神"さん?」
サマンサ・シュヴァイゲル:「どうしたの!?転がっちゃって!」
"死神":〈よりによって、カナートスの中で、人を探すことになるなんてな……〉
サマンサ・シュヴァイゲル:「起こした方がいい……?」
"死神":〈いや、こいつは……運動系がやられてる。多分"リトルドレッサー"に吹っ飛ばされたんだろうな〉
サマンサ・シュヴァイゲル:「そうだったのね、よいしょ」
サマンサ・シュヴァイゲル:結局起こしている、倒れたままだとかわいそうだから。
エニュオ・デュカキス:「ヘイズさんのお陰で遭遇は回避できていましたが……」
三部つゆり:「…なるほど。そして捜しに来た、という事は…何か、分かったという事でしょうか」
"死神":〈そうだ。クロードの所在を特定した〉
七星ミルキ:「! おにいさんの!?」
"死神":〈今からすぐに向かえば、恐らく捕捉できるだろう〉
"死神":〈お前さんがたも……多少はこの迷宮に慣れてきてるだろうしな〉
エニュオ・デュカキス:「……やるべきことは済ませられた、と思います」
エニュオ・デュカキス:化粧のない鋼鉄の指を躍らせて
七星ミルキ:「うん! 色んなお話も聞けたし!」
三部つゆり:「…です、ね。後は、決算の時ですか…」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ふーっ……ええ!案内してちょうだい!」
"死神":〈ああ。ザザッ……相当長くなってるだろうが……階段を上る〉
"死神":〈奴は屋上だ。何かを待っている〉

カナートス臨床医学研究院 屋上


GM:ルー・シュエフィの迷宮化がどれほどの範囲に及ぶものなのか――
GM:厳密な検証結果を目にしていないミルキ達には知る由もない。だが、クロード・カレルはそのデータも見ていたのだろう。
GM:こうした屋上や、周辺の森の一部まで含めて、シュエフィの攻性症例の範囲にある。
GM:だがこの屋上は、もっとも突き止められる可能性が低く、かつ迷いにくい位置取りといえた。
七星ミルキ:「見つけましたよ、おにいさん!」バン!と扉を開け放つ。
七星ミルキ:消毒と無機質に隔離された空間から、風の生じる『外』の香りに変わる。

"ストロッツァ":〈……なんだよ〉
"ストロッツァ":虫めいた小型機体の群れだ。ミルキ達が遭遇したブレード状のドローンとは、また形態が違う。
"ストロッツァ":〈こんなに大勢で押しかけやがって……はは……〉
"ストロッツァ":〈そういうことをされるのが一番困る。院内を監視する余裕もなかったってのに〉
七星ミルキ:小柄なドローンが蜂のように群れている。中心を見極めるように視線を向けていく。
サマンサ・シュヴァイゲル:「お邪魔します!」のしのし
サマンサ・シュヴァイゲル:「クロード・カレルくんね……?」
"ストロッツァ":〈くそ。違うって言ったところで、誤魔化しが効かない相手だしな……〉
"ストロッツァ":〈見なかったことにしてくれないか……問題はこっちで解決してやるから〉
七星ミルキ:「……そうですよ、おにいさん。私です、七星ミルキです」
七星ミルキ:「私の抱えてる問題、わかりますか?」
"ストロッツァ":〈『十字冠を破壊する兵器』〉
"ストロッツァ":〈星徒の話やら、ややこしい話もあるかもしれないけど……〉
"ストロッツァ":〈……結局のところ、一番はそれだよ。死んじまったら、誰にもどうにもできない。俺みたいな天才にも〉
七星ミルキ:「……………」
七星ミルキ:「同じ、気持ちです」
七星ミルキ:ペテラのことも、カリスのことも、もちろんここで出会ったチェルシーのことも。
七星ミルキ:ウノ・ワイルゴッドが堕天病を処方すると決めた人たちも。
七星ミルキ:("これから"どうにか出来るかも知れない──けど)
七星ミルキ:「死んだら、どうにも出来ない」
"ストロッツァ":〈もう、だいぶ昔みたいに思えるけどさ……〉
"ストロッツァ":〈ノヴァリスで、300人も、、、、、死んでるって初めて聞かされた時は〉
"ストロッツァ":〈――怖くなったよ。俺達と違って……死なないはずのノヴァリスでさえ〉
"ストロッツァ":〈そんなに死んでるのかよ、って思った……笑えねえよな……ははは……〉
"ストロッツァ":〈十字冠で守られた世界だとしても〉
"ストロッツァ":〈誰かを殺そうとするやつがいるんだ。しかも、そんな兵器を……技術を〉
"ストロッツァ":〈本当に、この世に作っちまう〉
七星ミルキ:「はい…………笑えません。全く、笑えませんよね」
七星ミルキ:視界の端に、誰かの十字冠が映る。
七星ミルキ:「……おにいさん。私は、貴方のことを信用しています」
七星ミルキ:「きっと、私がお願いしなくても、手を引いて、邪魔をしなければ」
七星ミルキ:「問題を解決してくれる人だと、思っています」
七星ミルキ:ふぅー、と細く息を吐いて、唇を湿らせる。
七星ミルキ:「………でも、一つ聞かせてください」
七星ミルキ:「カナートスには、理事会の人たちが管理していた治療記録があり────今は、削除されています」
七星ミルキ:「それを持っているのは、貴方ですか?」
"ストロッツァ":〈………………〉
"ストロッツァ":〈……いや、それはさ………………〉
"ストロッツァ":〈俺は……………………………………〉
"ストロッツァ":長い沈黙があった。
"ストロッツァ":〈………………………………〉
"ストロッツァ":〈……そうだ〉
七星ミルキ:「…………!」ごくり、と唾を飲み込む。
七星ミルキ:持っていてくれればいい、と思っていた。
七星ミルキ:全て削除されるより、誰かが保管してくれている方が、ずっといい
七星ミルキ:そして──持ち出すことが出来るなら、この人だと、思っていた。
"ストロッツァ":〈でも、聞いてくれ〉
"ストロッツァ":〈必要……だったんだ。はは、ははは……〉
"ストロッツァ":〈俺は、おかしくなっちまった……脳神経が再生できなくなって〉
"ストロッツァ":〈じ、自分がどんどんボケてくのが、分かるんだよ〉
"ストロッツァ":〈治せるかもしれないって、思ったらさ……〉
七星ミルキ:「……!」
七星ミルキ:「そ──、その、記録、は」
七星ミルキ:「カ、ナートスの、子達にも、必要、なんです」
七星ミルキ:「それがあれば、ウノさんも、ウノさん、すごいお医者さんだから、治療法とかも見つかるかも、って…」
七星ミルキ:「そうしたら、協力!協力すれば、おにさんも、一緒に……!」
チェルシー・ミラー:「お、お、お願いします!私からも!」
"ストロッツァ":〈いや、……………〉
"ストロッツァ":〈……くそ……!〉
サマンサ・シュヴァイゲル:「ええ……!クロードくんが持っていてくれてよかったわ!」
サマンサ・シュヴァイゲル:2人の間の張り詰めた空気を解さず、素直に安心している。
七星ミルキ:事前に考えていた言葉。想定した状況に言うべきことを、準備した脳が回らない。
"ストロッツァ":〈……いいんだよ。どうでもいい。どうせ手遅れだ……〉
"ストロッツァ":〈ミルキ。ここからすぐに逃げろ〉
七星ミルキ:「て、手遅れって、どうして!」
"ストロッツァ":〈カナートスはめちゃくちゃな状況だが〉
"ストロッツァ":〈この空間異常の中でも、どうにか辿って外に出られる目印は……置いてきた〉
"ストロッツァ":〈こいつと同じような群体ドローンだ。それを追えば森の外に出られる……〉
"ストロッツァ":〈劇症型堕天病――『十字冠を破壊する兵器』は消し去る必要がある。すぐにでも〉
"ストロッツァ":〈カナートスの誰かが犠牲になるかもしれない……もしかしたら俺が全部の準備を終える前に、お前がそうなっちまったかもしれない〉
"ストロッツァ":〈だから……ミルキ。無事でいてくれて、本当に良かったよ……〉
七星ミルキ:「────や、」
七星ミルキ:言葉に安心してしまう。気遣いに懐かしさを覚えてしまう。
七星ミルキ:いつも正しかったのだから、今回も──そう思ってしまう。
七星ミルキ:「やだ、よ?」
七星ミルキ:「じ、自分だけ逃げるのは、嫌だ。カナートスの子はもう、友達だもん」
七星ミルキ:「犠牲になるなんて、危ないことするなら、放っておけないし、それに」
七星ミルキ:「それに……」
七星ミルキ:「会えたのに」
七星ミルキ:「会えたのに、全然話せてないのに」
七星ミルキ:「離れるなんて、やだ」
七星ミルキ:「何するか教えてよ!堕天病を無くすって、治療とか?おにいさん、ドローンしか動かせないんだよね?」
七星ミルキ:「私だって、手伝えるかも知れないじゃないですか!」
"ストロッツァ":〈カナートス臨床医学研究院を、このノヴァリスから消す〉
七星ミルキ:「───!」
"ストロッツァ":〈星徒も、生物兵器も、全部諸共だ〉
"ストロッツァ":〈星徒に弱点があるとしたら……お前達生徒と違って、次に死んだら終わり、、、、、、、、、ってことだからな……〉
七星ミルキ:「………な」
七星ミルキ:「なにを、いって…?」
"ストロッツァ":〈でもさ……〉
"ストロッツァ":〈もし、十字冠転送で生きていられるとしても〉
"ストロッツァ":〈せっかく生きててくれた幼馴染を……殺したく、ねえよ〉
"ストロッツァ":〈だから、悪いけどさ……ミルキ……〉
"ストロッツァ":〈逃げてくれねえかなあ……?〉
七星ミルキ:「…………」
七星ミルキ:「…………………」
七星ミルキ:(正しいのかも、知れない)
七星ミルキ:(星徒を、霊安室の兵器を、──『十字冠を破壊する兵器』をどうにかするためなら)
七星ミルキ:「けど」
七星ミルキ:「『カナートス諸共』は、だめ」
七星ミルキ:「『カナートス』には、ペテラちゃんがいる。病気の感染を抑えるために、隔離するためのお部屋に入ってた」
七星ミルキ:「レセルちゃんは、外の気温が辛いみたい。そのためにお部屋の温度もずっと保ってる」
七星ミルキ:「トゥエちゃんも、呼吸の問題。ヘルさんも、私にはわからないけど器具とかたくさん必要だったし──」
七星ミルキ:自分が尋ねなかった病室もある。それでも、つゆりちゃんや、エニュオさんや、サマンサ先生。
七星ミルキ:彼女達も同様に、仲良くなっていたのだとわかる
七星ミルキ:「ここには、患者さんに必要なものが、いっぱいあるんだよ」
七星ミルキ:「『カナートス臨床医学研究院』を潰すって言うなら────その子たちに、もっと苦しむ思いをさせることになる」
七星ミルキ:「だから、」
七星ミルキ:「だから────認められない。私は従いません」
カート・トゥエ:「あ、あたしは……あたしも、いや……!」
カート・トゥエ:「新しい部屋や設備を、誰かにもらえたって」
カート・トゥエ:「みんなと……離れ離れになりたくない……!」
カート・トゥエ:「ずっと……ずっと外から取り残されて……みんなで励ましあってきた、友達なのに……!」
"ストロッツァ":〈悪いな。……本当に――本当に悪いと思ってる〉
"ストロッツァ":〈でもさあ、ははははは……なあ。思わないか?カナートスの、あんた達だって〉
"ストロッツァ":〈ノドスの俺達が……ずっと、思ってきたみたいにさ……〉
"ストロッツァ":〈――死ぬよりはマシ、、、、、、、だって〉
サマンサ・シュヴァイゲル:「……分かったわ」
サマンサ・シュヴァイゲル:トゥエの前に立ち、ドローン群へと視線を向ける
サマンサ・シュヴァイゲル:「クロードくんが、命を大事にしていて」
サマンサ・シュヴァイゲル:「本当にみんなのためになることを真剣に考えられて」
サマンサ・シュヴァイゲル:「それで自分の心だって傷つけてしまえる……優しい子だって」
サマンサ・シュヴァイゲル:「よく、分かったの」
サマンサ・シュヴァイゲル:「……でも、だったら」
サマンサ・シュヴァイゲル:ギュッと拳を握り
サマンサ・シュヴァイゲル:「私たちが堕天病のサンプルを手に入れて、シノエちゃんやジャームのことなんとかすれば」
サマンサ・シュヴァイゲル:「クロードくんにそんなことをさせなくてもいい!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「お願い……!どうか少しだけ時間をちょうだい……!」
チェルシー・ミラー:「わ、私からも……」
チェルシー・ミラー:「お願いします!これだけ一生懸命な人達がいて、私達の問題に真剣に向き合ってくれて……」
チェルシー・ミラー:「壊してしまうだけで終わりなんて、あんまりじゃないですか!!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「みんなで足掻いて、足掻いて、がんばれば……誰かが、何かをあきらめなくていい方法だってあるはずよ」
サマンサ・シュヴァイゲル:「私はクロードくん自身のことも」
サマンサ・シュヴァイゲル:「諦めて欲しくない……」
三部つゆり:「……」目を閉じていた。「……カナートスの患者の方には」
三部つゆり:「脳のリザレクトと衝動の異常で一生怒り狂うことが、どうあろうと止められない方がいて…部屋を、シェルターの様に固めているそうです」
三部つゆり:「他の部屋には…、ベッドの上に、ほこり・・・のようになってしまっている方がいるんだと」
三部つゆり:「…私は、そんな…本当に、病を治したくて仕方のない人でも、死を選ばせるべきだと、そう判断した人達を」
三部つゆり:「死ぬよりマシだと、放り捨てることが正解だとは、」
三部つゆり:「放り”捨てさせる”ことをさせるのが、正解とは…思いたくありません」
エニュオ・デュカキス:「私達は知ってしまったのです」
エニュオ・デュカキス:「声も届かない場所で生きている、生きていたいと言っている人のことを」
エニュオ・デュカキス:「果てに終わりを望む者もいて。そんな袋小路の中で諦めたくないと外に出た人達が私達に教えた」
エニュオ・デュカキス:「容易い回答を出せる問題ではない。ですが“特許庁われら”は、それを叶えるためにいる」
エニュオ・デュカキス:技術とは積み上げ続けた人々の願いを組み、形と成すために続いてきた
エニュオ・デュカキス:「ですから、素直には頷けません」
"ストロッツァ":〈あのさ……俺……〉
"ストロッツァ":〈こんなこと、ノヴァリスの生徒に……わざわざ、言うべきじゃないんだけどさあ……〉
"ストロッツァ":〈……色んなやつの作戦に協力してきたよ……せめて、やりたいことだけは叶えてやりたくってさ……〉
"ストロッツァ":〈キングダムの王様を殺すのが望みのやつがいたら、そうできるようにしてやったし……〉
"ストロッツァ":〈ソルがとんでもないことやらかすつもりだってのも……はは……なんとなく知ってたよ……〉
三部つゆり:ソル、の名前にぴくりと反応する。
"ストロッツァ":〈ははははははは……だから、本当に信じられないくらい自分勝手なこと言ってるのは……分かってんだ〉
"ストロッツァ":〈結局俺は、カナートスのこととも、ノヴァリスのことも、どうだっていい〉
"ストロッツァ":〈だけど、万が一の可能性でも……一つだけは、絶対に……〉
"ストロッツァ":〈ミルキだけは死なせたくないんだ〉
"ストロッツァ":〈今度こそ、、、、、手遅れになる前にやれるんなら〉
"ストロッツァ":〈――俺は何でもやるぞ〉
"ストロッツァ":〈まともじゃない選択なら、ずっとやってきた〉
"ストロッツァ":〈ははははは……はは、はははははは〉
"ストロッツァ":〈はははははははははははは…………〉
七星ミルキ:「────私もです、おにいさん」
七星ミルキ:「私は、どうだって良いものは、全然なくって」
七星ミルキ:「顔を見て、会話して、人となりを知った人は」
七星ミルキ:「みんなみんな、幸せになってほしい」
七星ミルキ:「ペテラちゃんも、ジウォンちゃんも、カリスちゃんも……」
七星ミルキ:「チェルシーさんも、ウノさんも、ヘルさんも……つゆりちゃんやエニュオさんや先生や」
七星ミルキ:「合コン委員会の皆だって」
七星ミルキ:「────もちろん、」
七星ミルキ:「貴方もです。おにいさん──"クロード・カレル"さん」
七星ミルキ:「全員が幸せになるために、私は、」
七星ミルキ:"なんでも"とは、いかない。
七星ミルキ:他人を踏みつけにはしたくない。誰かと言い争うことだって、本当はしたくない。
七星ミルキ:自分にできることは結局────
七星ミルキ:「出来ることは、ひとつだけ」
七星ミルキ:「"私は絶対に諦めません"」
七星ミルキ:「私の前で」
七星ミルキ:「誰も、一人になんか、させない!」
"ストロッツァ":〈はははは……全然違うだろ……。分かりなさいよ、ミルキ……〉
"ストロッツァ":〈全部を救うことなんて〉
"ストロッツァ":〈もう、とっくに不可能だ〉
GM:クロード・カレルの端末は、L7の技術を元にカナートスの生徒が設計した、新型のドローンである。
GM:生徒の自主性を重視していた"死神"は、そのドローンに初めからバックドアが仕込まれていることに気付かなかった。
GM:そもそも、それは本当にカナートスの生徒が設計したものだっただろうか?

"ストロッツァ":〈啓け、セトの門〉
"ストロッツァ":〈Zamradiel。Characith――〉
GM:青い、蛍の群れのような光が見える。
GM:無数のドローンが夜空を飛行している――
GM:この事態を解決すると決めた時から
GM:クロード・カレルは、ただ、このドローン群を大量に製造することに注力した。
GM:ブレード発振器のような機体が
GM:小型の箱のような機体が
GM:蜂じみた群体の機体が
GM:構築される。黒い、巨大な十字冠を形成する。
"ストロッツァ":〈機神、論証〉

"ストロッツァ・サタリエル":〈"ストロッツァ・サタリエル"〉
GM:『究極存在』『虐殺機関』『破壊神顕現』『悪夢の鏡像』『不滅の妄執』が発動します。
"ストロッツァ・サタリエル":〈――71.1%〉
"ストロッツァ・サタリエル":〈あまり長く保つもんじゃないか……でも、まあ、十分だ……〉
"ストロッツァ・サタリエル":〈サマンサ・シュヴァイゲル。十字冠を持たないあんたを追い出して……〉
"ストロッツァ・サタリエル":〈ここを消滅させるくらいの仕事にはな……〉
サマンサ・シュヴァイゲル:「クロードくん……!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「どうしてそんなに意地っ張りなの!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「この時間で、みんなでどうするか」
サマンサ・シュヴァイゲル:「お話するべきよ!その方がずっといい!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「追い出されたりしないわ……先生、あなたを叱らないといけません!」
七星ミルキ:「先生!私も、こういう時の作法は心得ています!」
七星ミルキ:ハンマーを振り回す。その勢いで足元に渦巻く風が生まれる。
七星ミルキ:「暴れる相手を、テーブルに着かせるには」
七星ミルキ:「一度大人しくしてもらうこと!」
七星ミルキ:「メサイア学園──合同カタコンベ保全委員会!」
七星ミルキ:「委員長、七星ミルキ」
七星ミルキ:「通常業務を────開始します!」

"ストロッツァ・サタリエル"[7] "ストロッツァ・サタリエル"[7]
"ストロッツァ・サタリエル"[7] "ストロッツァ・サタリエル"[7]
"ストロッツァ・サタリエル"[7] "ストロッツァ・サタリエル"[7]
"ストロッツァ・サタリエル"[7] "ストロッツァ・サタリエル"[7]

               5m

         ミルキ[8/100] エニュオ[11/57]
         つゆり[8/99] サマンサ[5/44]
            チェルシー[19/100]

GM:ミドル戦闘を開始します。
サマンサ・シュヴァイゲル:多い~~!
七星ミルキ:え~~~ん
GM:ラウンドが始まる前に、ストロッツァ・サタリエルの性能についての情報を公開します。
GM:まず、8体いるエネミーの性能の差異はまったくありません。
GM:そして一つ一つが独立して
GM:クロード・カレルのこのデータを持っています。
GM:これがEロイス『悪夢の鏡像』の効果ということですね。ただしDロイスで取得している《時の棺》だけはありません。
七星ミルキ:ギャー!ゲッダン達人魔眼!
GM:また、機神エネミーには標準装備されているEロイス『究極存在』により一切のダメージを受けません。
GM:ただし、それだけでは色んな十律者が突破されてきたのをクロードは見てきているので……
GM:もう一つあります。Eロイス『不滅の妄執』。これにより8体いる全てのユニットが戦闘不能から即座に復帰します。
七星ミルキ:こ、この
サマンサ・シュヴァイゲル:改善してんじゃねーッ
七星ミルキ:勉強熱心!
七星ミルキ:前回の問題点を全て克服してこそ『改善』と呼ぶのじゃ親父!
エニュオ・デュカキス:魔界のダニ!
GM:Eロイス『虐殺機関』。戦闘終了後、カナートス臨床医学研究院の全生徒およびジャームを即座に皆殺しにします。
GM:Eロイス『破壊神顕現』。戦闘終了後、カナートス臨床医学研究院のシステム系統および全記録を即座に抹消します。
七星ミルキ:名は体を表してるぅ…
サマンサ・シュヴァイゲル:フレーバー面も手抜かりない
サマンサ・シュヴァイゲル:丁寧な仕上げしてんじゃねーッ
GM:こちらからの説明事項は以上です。
GM:あと、チェルシーがこの戦闘で復活回数0で戦闘不能になった場合、クライマックス戦闘には登場できないということも覚えておいてください
GM:クライマックスがあればの話だがな……。
サマンサ・シュヴァイゲル:はいはいはい!
GM:なんですか?
GM:私はこれから皆さんを蹂躙するので忙しいのですが……
サマンサ・シュヴァイゲル:究極存在と不滅の妄執の解除方法を
サマンサ・シュヴァイゲル:アナウンスせえオラッ!!
GM:なるほどいいでしょう。
GM:究極存在の解除方法は、新星白書を使用することです。これについてはこれまでの機神と同様です。
GM:不滅の妄執の解除方法も非常にシンプルなものを設定しています。
GM:ミルキちゃんがクロード・カレルへのロイスをタイタスに変えて、以降一切取得しないことです。
サマンサ・シュヴァイゲル:ええ~~ッ!
七星ミルキ:コイツ~~!
サマンサ・シュヴァイゲル:白書の切り所とはっきりしたのはいいが…
サマンサ・シュヴァイゲル:コイツ~~ッ
三部つゆり:そ、そんな…
七星ミルキ:ニャ~~~ンニャンニャン

9年前 メサイア学園 RC実習センター


GM:9年前。第二次生徒受け入れが実施され、ノヴァリスはその生徒数を大きく増やした。
GM:平穏な日常を保っていた世界の裏側では、数多くのセルが、未来を見据えたこの計画に関与していた。その自覚の有無に関わらず。
GM:特にこの時期において、このノヴァリスが『教育機関』である意義は大きかった。
GM:教育を行う必要があったのだ。幼く、自らの異能の認識も制御もままならない子供達を、要求水準を満たすエージェントとして育て上げるために。
GM:FHの一般的なチルドレン育成は、各々のセルが独学めいたノウハウで取り組んでおり、時には破滅的ですらある育成を行う傾向にあった一方――
GM:セルが連携し、効率的な育成カリキュラムを共有できた学園都市ノヴァリスは、当時のFHとしては大きく時代を先取りした試みといえた。
GM:"マスターエポック"が提供した教育大綱マハトマがもたらした効果も大きかっただろう。ただ、それだけではカバーしきれない範囲もある。
GM:それは実戦だ。特に肉体の動きを伴うものや、対人の練習相手を必要とするもの。
GM:そして、自らのレネゲイドを実際にコントロールすることだ。それは方法論を脳に刻み込むだけではなく、実践を通じて身に着けなければならない。
GM:当時の七星ミルキも、こうした施設での訓練こそが日常だった。理事会の研究者の測定を受けつつ、様々な兵装によるテストを繰り返す。
GM:兵装自体はどれもFHではありふれたものだ。テストを受けているのは兵装ではなく、それを扱うミルキの方である。

七星ミルキ:天井から糸で吊られるように真っすぐ立っている。
七星ミルキ:その体躯は小柄で、同年代の中でも更に小さい。
七星ミルキ:桃色の髪を左右対称に編み込んで、白と黒の一体の制服に同じ色のアウター。各所にセンサーが仕込まれている
七星ミルキ:しかし振る舞いは堂々したバレエダンサーのごとく体幹がブレていない。
七星ミルキ:懐中電灯じみた機器の柄を回すと、光のブレードが発生する。
七星ミルキ:「ミルキ、兵装テストパターン666。開始します」
七星ミルキ:気負いのない言葉とともに、滑らかに動きが始まる。
七星ミルキ:それは戦闘を行うというより踊るような動きで、事実「重さのない剣」を振るためには最適化されていた。
七星ミルキ:同じ歩幅、同じ動き、同じターゲット、同じ攻撃──同じ工程を、同じタイムで。
七星ミルキ:七星ミルキにはオーヴァードとして特筆すべき異能は発現しなかった。
七星ミルキ:その代わり──『動きの再現性』に関しては、示された例を完全に模倣していた。
七星ミルキ:「10、9、8、7……」
七星ミルキ:ランダムの表示されるターゲットの数を一定のリズムで減らし──
七星ミルキ:「0。───パターン終了です」
理事会エージェント:「やめ」大人のエージェントが短く指示する。端末からは目を離していない。
七星ミルキ:ピタリと止まる。動きのブレはなく、ブレードの刃も同時にしまわれる。
理事会エージェント:「20分後にプログラム24番から再開とする。予定にあった13番は中止」
理事会エージェント:「代わりに、上から新しい戦術の提供があった。100分で新規のプログラムを覚えてもらうことになる」
七星ミルキ:「わかりました。」
七星ミルキ:その返答に気負いはない。やれと言われればやり、覚えろと言われれば覚えられる事だろう。
七星ミルキ:──『大人』が言っているのだから、間違いはない。
七星ミルキ:返答を聞いている間も、手だけは今しがたテストしたブレードの冷却措置を行っている。
GM:理事会エージェントは退室する。彼も休憩を取ることなく、次以降の訓練の準備にかかるのだろう。
クロード・カレル:「休憩の時ってさあ」出し抜けに、訓練場の端の椅子に座っていた男子が声をかけてくる。
クロード・カレル:「いつも何してんの」
七星ミルキ:退室を見送る。イレギュラーがないことを確認すると、いつも通りテスト設備の清掃に──
七星ミルキ:「?」
七星ミルキ:「貴方は……」
七星ミルキ:右手がブレードを逆手に構えた。振り向くのに必要だった──とすら感じられる、自然な動きだった。

クロード・カレル:短い茶髪の、やや中性的な外見の少年である。彼はミルキと同じ『子供』だが――
クロード・カレル:研究助手として各学区を回っているようだった。研究者側の実習生ということなのだろう。
七星ミルキ:『大人』と同じ白衣。見覚えのあるいくつかのバッジ。
七星ミルキ:「……失礼しました。研究者の方ですか」
クロード・カレル:「おいおい、こんな施設を誰が襲うんだよ」苦笑する。
GM:この当時、ノヴァリスではいくつかの小競り合いや、理事会エージェント同士の抗争はあったものの
GM:八月革命後の今のような、生徒同士が無秩序に衝突し、街のそこかしこで戦闘が頻発するといった治安状態ではなかった。
GM:最初の大規模抗争となる第一次ノヴァリス紛争の勃発も、ノドス消失から1年後のことである。
七星ミルキ:「失礼しました。規則4条の3項、不審時の誰何は規則になっておりますので」
七星ミルキ:ぺこり、と頭を下げる。謝罪というより、ルーティーンの一環のような動きだ
クロード・カレル:「俺はクロードだ。ノドスのクロード・カレル」
クロード・カレル:「コードネームは"ラ・ルメール"。これで不審者じゃないだろ?」
七星ミルキ:「……確かに」ノドス、という言葉を脳内で反芻する。たしか、男女の差を計測するために男子生徒も呼ばれていると聞いた。
七星ミルキ:「七星ミルキ、テスト時の識別名は”乙-7”です」
クロード・カレル:「はえ~、そんな識別名までつけてんのかよここ」呆れる。
クロード・カレル:「人間っぽい名前で呼ばないことで下手に入れ込まないようにしてんのか……案外軟弱だな」
七星ミルキ:「お気に召しませんか」
クロード・カレル:「そりゃ人間だからな。名前が一つだけで通用するほうが便利だろ」
クロード・カレル:「ポイントカードとか身分証とか保険証とかクレジットカードとか、何十枚も持ち歩くのって不便じゃないか?」
七星ミルキ:「どうなんでしょう。私の身分証はこれ一つですから」首から下げたテスターのカードキーを掲げる。
クロード・カレル:「系統が無駄に多いと混乱や取り違えの原因にもなる。コードネームだってあんまりよくない慣習だよな」
七星ミルキ:「……効率化の話でしたか」それならわかる、と内心で頷く。
クロード・カレル:「話題が逸れちまったけど、普段何してんの?休憩時間」
七星ミルキ:「失礼、"ラ・ルメール"。私の休憩内容でしたね。詳しい内容は定期レポートで報告しておりますが……」
七星ミルキ:「器具の清掃、休憩室で水分の補給、柔軟、次の器具の点検を主に行っています」
七星ミルキ:「それぞれ5分スパンで行っています。いかがでしょうか?」
クロード・カレル:「ひえ~、真面目すぎる……ノドスでよかったな」
七星ミルキ:「テスターも誰でも同様だと聞いていますが、"ラ・ルメール"は違うのですか?」
クロード・カレル:「そんなわけないでしょ!理事会の連中はどこでもそう言うんだよ」
クロード・カレル:「あ、これ俺が言ってたの秘密にしてね」
クロード・カレル:「キツい訓練してるとこほど、『他の学区でも同じことやってるから』って言うんだよな~」
七星ミルキ:「はぁ……」
七星ミルキ:動きとは別に、言葉には困惑が滲んでいる。
七星ミルキ:"大人"を悪くいう人を初めて見たような反応。
クロード・カレル:「そういうの見るとかわいそうでさあ」
七星ミルキ:「……かわいそう?」
七星ミルキ:「私がですか?」
クロード・カレル:「いや……自分で思ったことないか?」
クロード・カレル:「自分がかわいそうだな~って」
七星ミルキ:「いえ、ありませんが」
七星ミルキ:「テスト内容は私にもこなせるものですし」
七星ミルキ:「出来ないことも、不備を直せば対応できます」
七星ミルキ:「成績としては、卑下する必要はないと自負しています」
クロード・カレル:「ミルキは、上手くやれるのが楽しいか?」
クロード・カレル:「それだったら悪かったよ。俺はこんなヘラヘラしたやつだから……」
クロード・カレル:「他人が笑ってないと気になっちゃうんだよな。なんか俺だけ不真面目みたいじゃん」
七星ミルキ:「他人が笑って……」
七星ミルキ:辺りを確認する。研究員はもういない。
七星ミルキ:"他人"は一人。
七星ミルキ:「……?」自分を指差す。
七星ミルキ:「これは失礼しました。笑顔で居るべきでしたね」
七星ミルキ:口の端を持ち上げる。笑みの形。
クロード・カレル:「なんだおい、かわいいな……じゃなくて!」
七星ミルキ:「は?」困惑。「笑顔ですが……?」
クロード・カレル:「なんか、訓練に楽しみとか喜びとか感じないタイプ?」
クロード・カレル:「ちょっとはあるじゃん。上達するのが楽しいとか、昨日できなかったことができて面白いとか」
クロード・カレル:「直近3ヶ月の記録を見たけど、ノヴァリスに来てから基本的な兵装しか使わせてもらってないだろ?」
七星ミルキ:「はぁ………楽しさですか」ピンときていない
七星ミルキ:「そうですね。応用分は個人のカスタマイズになりますので……」
七星ミルキ:「これを一番使っています」
七星ミルキ:ブオン。メンテナンスしたブレード発振器を一振り。無駄な動きの一切ない動作。
クロード・カレル:「だろ?なのに毎回正確に、同じようにやってるからさあ」
クロード・カレル:「もしかして、やってて面白くないんじゃないか?って思ったわけよ」
クロード・カレル:「余計なお世話かもしれないけど……」
クロード・カレル:「今のままでモチベーションが十分あるなら、口出しする必要ないしなあ」
クロード・カレル:腕組みして、難しい顔をする。
七星ミルキ:「面白い、と言いましても……」
七星ミルキ:つられて、こちらも眉をひそめる。困っている。
七星ミルキ:「お手本があるんですから」
七星ミルキ:「できない、、、、というのは、よくわかりません」
七星ミルキ:「それに、不可能なことに挑戦するのは、無謀ではありませんか?」
クロード・カレル:「……そうか?俺だって、別にここに遊びに来てるわけじゃない」
クロード・カレル:「もちろん本業は研究実習だけど、お前のスパーリング相手でもあるんだ」
クロード・カレル:「100分で新規のプログラムを覚えてもらう――」
七星ミルキ:「……スパーリング?」
クロード・カレル:「さっき、話があっただろ?」
クロード・カレル:デスクの上にあった、金属の水筒を手に取る。
七星ミルキ:「では、先程の新規の戦術プログラムというのは……」
七星ミルキ:「対人戦闘ですか」
クロード・カレル:「そうだ。まだ休憩時間だが、できないことを試してみようぜ」
クロード・カレル:「遊びだ。使い慣れてるそれを使っていい」
クロード・カレル:「俺は」
クロード・カレル:「こいつだ」金属の水筒を向ける。
七星ミルキ:「…………」
七星ミルキ:水筒を見る。外見からの推測、持ち上げる動き、重さ、内容の推測。
七星ミルキ:(武器では、ない?)
七星ミルキ:「警告しますが、危険ですよ」
クロード・カレル:「大丈夫大丈夫。ちょっとの事故は自己責任だって上から言われてるから」肩を回す。
クロード・カレル:「やってみな」ふらりと間合いを詰めようとする。
七星ミルキ:「───では」言葉と同時にブレードが発生する。
七星ミルキ:(相手のほうが上背。距離は3歩分。この間合いなら──)
クロード・カレル:その瞬間
七星ミルキ:『重さのない剣』。その特性を活かした、死角からの最速最短の切り上げ。
クロード・カレル:――ガン!!
クロード・カレル:硬質な音とともに、ミルキの手中から発振器が吹き飛ばされる。
クロード・カレル:「――と」
クロード・カレル:こちらも既に踏み込んでいた。ミルキの喉元に、蓋のない水筒を突きつけている。
七星ミルキ:「………なっ」
七星ミルキ:最速より早い動きが、割り込んでいた
クロード・カレル:「こんな感じ。見た目で重さを推定しようとしたな?中に銃が仕込まれてたら分かったかもな……」
クロード・カレル:「だけど残念。ただの水筒だよ。さっきこいつでお茶飲んでたじゃん」
七星ミルキ:(直突き?いえ、その前に弾き飛ばされた。軌道は円を描くはず──)
クロード・カレル:「知りたいか?ちょっとした手品のタネが仕込んであってな……」
クロード・カレル:「二重底の下に液体酸素が入ってる」
七星ミルキ:「…………」ごくり。話を聞く喉の動きで、水筒が僅かに揺れる。
七星ミルキ:「聞いたことがあります………水筒の空気穴を塞ぐことで、外に出す2つの液体を入れ替えるトリックアイテム」
クロード・カレル:「スイッチ一つで、熱いお茶で蒸発して800倍に気化。俺の天才的頭脳で狙いをつけて――」
クロード・カレル:「吹っ飛んだ蓋を、ブレードを出す前の発振器に当てたってわけ。分かりやすい解説だろ」
七星ミルキ:「そちらも"重さのない武器"──気体、ですか」
七星ミルキ:「ブレードとの射程距離の差。『速さの違い』は、そういうことだったんですね」
七星ミルキ:「ですが、液体酸素と言うなら扱いは難しいはずですよね。わざわざ水筒の形にしているのは隠密目的……?」
クロード・カレル:「……あの、ねえ」
クロード・カレル:「俺がめちゃカッコよく決めたのに」
クロード・カレル:「冷静な分析に入るのやめてくれない?」
クロード・カレル:「もっとびっくりしたり、怖がったり、悔しがったりしてくれねえかな~~」
七星ミルキ:「?? ……えっと、すみません」
七星ミルキ:「訓練なら、分析は必要じゃないんですか……?」
クロード・カレル:「遊びだって言ってるじゃん。こんなの経験値とかじゃなくて話の種だよ」
七星ミルキ:「えぇ……?」
クロード・カレル:「『クロードさんすごいですねー』『イケメン過ぎる~』『世紀の大天才なのでは……』」
クロード・カレル:「もっとそういうこと言ってほしい……やっぱ嫌われてんのかな、馴れ馴れしいから……」
七星ミルキ:「………」
七星ミルキ:「え、えっと……」
七星ミルキ:こほん、と咳払いする。
クロード・カレル:ため息をついて、ひしゃげた水筒の蓋を拾う。
クロード・カレル:「この手品は面白いけど」
クロード・カレル:「水筒がいちいちぶっ壊れるし、茶も飲めなくなるのが欠点だな」
七星ミルキ:「『クロードさんすごいですねー』『イケメン過ぎる~』『世紀の大天才なのでは……』……え?」声の抑揚までコピーする。
七星ミルキ:「それは……」
七星ミルキ:「欠陥なのでは?」
クロード・カレル:「面白いからいいんだよ。なんてことない水筒に見えるのにこうなるのがいいんだ」
クロード・カレル:水筒をゴミ回収オートマタに捨てる。
七星ミルキ:「捨てた……」先程から困惑が顔に出ている。
クロード・カレル:「やっぱ面白くなかったか?」
七星ミルキ:「面白いと言いますか…………」
七星ミルキ:「……………」考えている。テストの所感であれば必要なこと、不必要なことの選別も簡単なのだが
七星ミルキ:「貴方は」
七星ミルキ:「変な人ですね」
七星ミルキ:『決まった答え』からことごとく外れる眼の前の人間を、そう定義した
クロード・カレル:「変……変ね。言っちゃえば人間誰だって変なやつって説もあるしな……」デスクに座り直す。
七星ミルキ:(ふむ……)
七星ミルキ:("ラ・ルメール"。どうやら今までの研究員との会話とは異なる対処が必要そうですが……そうだ)
七星ミルキ:「……ノドスの方は今ので笑うんですか?」
クロード・カレル:「笑うよ。暴力的だったり爆発するやつだと大ウケだな」
七星ミルキ:「そうなんですか……?」
七星ミルキ:想像している。水筒から酸素。剣を弾き飛ばす。笑う人々。「………???」
クロード・カレル:「他の女子チルドレンにだってそこそこ好評だったんだよ。まだ一回しか試してないけど」
七星ミルキ:「そうなんですか……既に一つ壊していたんですね」
七星ミルキ:「そして他の子は笑ったんですね……」
クロード・カレル:「七星ミルキ。お前は現状を言語化して理解しようとする癖があるな」
七星ミルキ:「? はい、記録は大事ですから」
クロード・カレル:「いいや。その割には分析力がないって思ったんだよ」
七星ミルキ:「…………」表情を引き締める。
クロード・カレル:「この10分間で、俺はいくつかお前の想定外の行動を見せてやったけれど」
クロード・カレル:「お前はどう思った?」
クロード・カレル:「『分からないなあ』『変な人だな』……で、止まってるように見える」
七星ミルキ:「っ、」ゾクリと背筋が伸びる。(──それは伝えてなかった、はず)
クロード・カレル:「俺はすごく貴重な情報を与えているんだぜ。俺が戦闘時にどんなロジックで動くのか、どういう性格の人間なのか」
クロード・カレル:「どういう戦法をして喜ぶのか。……本当ならそれは全部、お前にとって役立つ情報のはずなんだ」
クロード・カレル:「これから俺と訓練をする。それも教えてやっただろ?」
七星ミルキ:「……はい」
クロード・カレル:「訓練始めの合図があるまで何も考えないようにするのがフェアってことじゃないんだぜ」
七星ミルキ:(対人戦闘訓練。──休憩の20分。もう、始まっていた?)
クロード・カレル:「実戦じゃそんなことないんだからさ~」
クロード・カレル:端末にいくつかのデータを打ち込んでいる。
七星ミルキ:目に見えて緊張、あるいは警戒───そんなわかりやすい反応は取らない。表に出さないように制御している。
七星ミルキ:真剣な表情として表に現れる。
七星ミルキ:「これは、」"不意の遭遇も想定した訓練ということですか"──現状の言語化。
七星ミルキ:しかしそれは『分析ではない』
七星ミルキ:「っ」口をつぐむ。既に訓練が始まっているとするなら──
七星ミルキ:(今までの会話を思い出す? 既にヒントは与えられた。ここから成果を出すとするなら……)
七星ミルキ:("ラ・ルメール"の分析を行う?いや、まだ訓練じゃないと言った。なら個人的な接触で………)
七星ミルキ:そこで初めて
七星ミルキ:"疑問"を抱く
七星ミルキ:(私は、)
七星ミルキ:(────どうすればいい、、、、、、、?)
七星ミルキ:「……"ラ・ルメール"は」
七星ミルキ:「実戦に出たことは、ありますか?」
七星ミルキ:不意に口をついて出たのは
七星ミルキ:直前の会話に反応するような、ただの質問だった。
クロード・カレル:「ないんだなこれが!俺がやってるのはこういう遊びだけだよ」
七星ミルキ:「…………えっ」
七星ミルキ:「えっ???」
クロード・カレル:「だからちゃんと戦闘訓練やってるミルキと違って、実戦やらされたら真っ先に死んじゃうぜ多分」
クロード・カレル:「はははははは!まあいいんだよ。俺はこれから研究一本でやっていくから」
七星ミルキ:「え……だってさっき」
七星ミルキ:「実戦じゃ、って……すごく」
七星ミルキ:「詳しそうだったのに……?」
クロード・カレル:「そうか?実戦だとどうなのかなんて、自分でやらなくても勉強すれば分かるだろ」
クロード・カレル:「戦闘態勢前の認知配分率だとか、4m距離からの奇襲負傷事例とか……」
クロード・カレル:「つまり俺は理論だけでそこそこやれちゃうくらい天才ってことかな!わはは」
七星ミルキ:「それは………」FHとしての座学も受講している。武器を使うなら、当然シチュエーションも大事になってくる。
七星ミルキ:「そう、だけど………」
七星ミルキ:さっきまでの口振り。余裕然とした態度。
七星ミルキ:「その理論だけじゃ計算出来ない、戦場のアドリブとか、教えてもらえると思ったのに」
七星ミルキ:「なんか……」
七星ミルキ:「なんだかズルくないですか……?」
七星ミルキ:表情は変えない。
七星ミルキ:ただ、声にだけは感情が滲んでいる。
クロード・カレル:「お!やっと要求が出てきた」
クロード・カレル:「大丈夫だって。俺が持ってる戦術は全部机上の空論ばっかりだけど」
クロード・カレル:「そういうのが通用するかどうかは、これからミルキとの訓練で確認できる。だろ?」
クロード・カレル:「次勝ったらミルキが言えばいいじゃん」
クロード・カレル:「『そんなのは実戦で通用しませんよ』って」
七星ミルキ:「……………」
七星ミルキ:(言ってることは、真っ当。理論があって、その実践のために訓練がある)
七星ミルキ:(だから理論の間違いは行動で示すしかない……うん、真っ当)
七星ミルキ:……無言で数歩歩く。ブレードを手にする。
七星ミルキ:相手は丸腰。
七星ミルキ:「では。」
七星ミルキ:「やってみましょう」
クロード・カレル:「え!?」
クロード・カレル:「この状態から!?」
クロード・カレル:端末を前に座っている。焦りで冷や汗を流す。
七星ミルキ:カチカチ、ブオン。訓練モード。当たるとビリビリ痺れる程度。
七星ミルキ:「20分。既に経過しています」
クロード・カレル:「あわわ……」
七星ミルキ:「ですのでこれは訓練ですよ、"ラ・ルメール"」
七星ミルキ:「私闘ではありません」
クロード・カレル:「それはズル!俺端末守んなきゃいけないのに!待っ……」
七星ミルキ:重さのない剣に構えは必要ない。ただ早く、手首と関節の僅かな動きで事足りる。
七星ミルキ:「『そんなの』」
七星ミルキ:「『実戦では通用しない』────で、いいんですよね?」
クロード・カレル:「ギャアアアアアアアアアッ!!!」
GM:クロード・カレルという実習生とは、それから一年近く、毎日のように顔を合わせることになる。
GM:他学区から招かれた生徒との交流の機会は七星ミルキにも幾度かあったが、クロードは最も長く訓練を共にしたパートナーだった。
GM:だが、一年が経ったある日――突然、ノドス学区消失の報が流れる。
GM:当初の数日は、多くの生徒が、多くの大人でさえ、いずれ戻って来るものと考えた。何らかの大規模エフェクトの暴走なのだと。
GM:ノヴァリスのどこかに転移しただけに過ぎないのだと。空間間隙への一時的な漂流状態に過ぎないのだと。
GM:だが、ノドスは決して戻ってこなかった。どれだけ探しても見つかることはなかった。
GM:もはや可能性のないものではなく、今後に目を向けることこそが合理的な判断だった。
GM:一人、また一人と、周囲の人間は諦めていった。
GM:そうして、8年が経った。
GM:七星ミルキは――


■ラウンド1

GM:前回説明していなかった、戦闘の終了条件についても説明します。
GM:この戦闘では、ラウンド1の終了とともに戦闘終了し、『虐殺機関』『破壊神顕現』が発動するものとします。
七星ミルキ:きゃぁー!
GM:つまり、"ストロッツァ・サタリエル"によるアドヴェントが起こります。
サマンサ・シュヴァイゲル:ふざけてんのか!
七星ミルキ:この働き者!
エニュオ・デュカキス:キィー
GM:では、セットアップに入っていきます。
三部つゆり:ぎえええ セットアップありません……!
七星ミルキ:ありません!
エニュオ・デュカキス:こちらもなしです
"ストロッツァ・サタリエル":Eロイス『楔の呪い』を発動。このラウンド中、「戦闘不能から回復する」以外のタイタス効果を封印します。
"ストロッツァ・サタリエル":もちろんこれまでの戦闘データで新星白書が究極存在解除に使われてきたのを見ているので
"ストロッツァ・サタリエル":そんなことはさせません。
七星ミルキ:十律者の敗因全部潰してくる!
三部つゆり:そ…そんな……
サマンサ・シュヴァイゲル:なし!!
サマンサ・シュヴァイゲル:勝ちたがりすぎる
GM:では行動値19。チェルシーの手番です。
七星ミルキ:チェルシーちゃんはステイかな……
チェルシー・ミラー:わかりました!待機します!
七星ミルキ:よしよし
チェルシー・ミラー:えへへ……
サマンサ・シュヴァイゲル:えらいぞ
チェルシー・ミラー:ゴロニャン
サマンサ・シュヴァイゲル:かわいい
GM:行動値11、エニュオさんの手番。どうしますか?
エニュオ・デュカキス:はい。マイナーで《骨の剣》を使用、素手の攻撃力とガード値を変更
エニュオ・デュカキス:エニュオ・デュカキスの侵蝕率を2増加(57 → 59)
エニュオ・デュカキス:メジャーで全力移動。5m先のストロッツァ・サタリエルの集団とエンゲージします

"ストロッツァ・サタリエル"[7] "ストロッツァ・サタリエル"[7]
"ストロッツァ・サタリエル"[7] "ストロッツァ・サタリエル"[7]
"ストロッツァ・サタリエル"[7] "ストロッツァ・サタリエル"[7]
"ストロッツァ・サタリエル"[7] "ストロッツァ・サタリエル"[7]
           エニュオ[11/59]

               5m

             ミルキ[8/100]
         つゆり[8/99] サマンサ[5/44]
            チェルシー[19/100]

エニュオ・デュカキス:行動終了です!
GM:攻撃をしないとは愚かな……
GM:行動値8。ミルキ&つゆりの手番です。
七星ミルキ:ミルキは……待機します!非暴力!
三部つゆり:撃っても倒せないし私も待機するしか…ない……!
GM:ようやく力の差を理解したみたいだな
七星ミルキ:凄まじい位置エネルギー…
三部つゆり:くっ……
"ストロッツァ・サタリエル":では行動値7。ストロッツァ・サタリエルが8回行動します。
"ストロッツァ・サタリエル":せっかく近づいてきているのでエニュオさんを集中攻撃で転送させちゃおうかな
"ストロッツァ・サタリエル":全員《コンセントレイト:ブラックドッグ》《アームズリンク》でエニュオさんを攻擊します。
"ストロッツァ・サタリエル":11dx7+28 1回目
DoubleCross : (11DX7+28) → 10[1,3,3,5,5,5,5,6,9,9,9]+5[2,3,5]+28 → 43

エニュオ・デュカキス:ガード宣言します
"ストロッツァ・サタリエル":5d10+13
DoubleCross : (5D10+13) → 28[6,2,3,10,7]+13 → 41

エニュオ・デュカキス:やはり生半じゃ無理! ガード6の35点通ってリザレクト!
エニュオ・デュカキス:エニュオ・デュカキスの侵蝕率を1D10(→ 9)増加(59 → 68)
エニュオ・デュカキス:高い!
"ストロッツァ・サタリエル":11dx7+28 2回目
DoubleCross : (11DX7+28) → 10[1,1,2,3,3,4,5,6,6,8,10]+10[3,10]+10[7]+10[8]+2[2]+28 → 70

エニュオ・デュカキス:この野郎~。ワンチャン避けます
エニュオ・デュカキス:2dx
DoubleCross : (2DX10) → 2[1,2] → 2

エニュオ・デュカキス:当たりました
"ストロッツァ・サタリエル":8d10+13
DoubleCross : (8D10+13) → 32[7,4,1,4,2,1,4,9]+13 → 45

エニュオ・デュカキス:再度リザレクト
エニュオ・デュカキス:エニュオ・デュカキスの侵蝕率を1D10(→ 8)増加(68 → 76)
"ストロッツァ・サタリエル":11dx7+28 3回目
DoubleCross : (11DX7+28) → 10[1,1,3,3,4,6,6,7,7,8,10]+10[1,4,5,9]+6[6]+28 → 54

エニュオ・デュカキス:達成値も普通に据え置きするな……回避!
エニュオ・デュカキス:2dx
DoubleCross : (2DX10) → 1[1,1] → 0 (ファンブル)

エニュオ・デュカキス:ぐふぅ
"ストロッツァ・サタリエル":6d10+13
DoubleCross : (6D10+13) → 28[7,3,3,7,2,6]+13 → 41

エニュオ・デュカキス:三度目のリザレクト
エニュオ・デュカキス:エニュオ・デュカキスの侵蝕率を1D10(→ 2)増加(76 → 78)
"ストロッツァ・サタリエル":11dx7+28 4回目
DoubleCross : (11DX7+28) → 10[1,1,3,3,4,5,5,6,6,8,9]+4[4,4]+28 → 42

エニュオ・デュカキス:回避です
エニュオ・デュカキス:2dx
DoubleCross : (2DX10) → 1[1,1] → 0 (ファンブル)

"ストロッツァ・サタリエル":5d10+13
DoubleCross : (5D10+13) → 28[9,10,1,1,7]+13 → 41

エニュオ・デュカキス:リザレクト4回目
エニュオ・デュカキス:エニュオ・デュカキスの侵蝕率を1D10(→ 8)増加(78 → 86)
"ストロッツァ・サタリエル":11dx7+28 5回目
DoubleCross : (11DX7+28) → 10[1,2,5,5,6,6,7,7,8,10,10]+5[3,4,4,4,5]+28 → 43

エニュオ・デュカキス:回避
エニュオ・デュカキス:3dx
DoubleCross : (3DX10) → 10[4,7,10]+4[4] → 14

"ストロッツァ・サタリエル":5d10+13
DoubleCross : (5D10+13) → 9[2,1,1,2,3]+13 → 22

エニュオ・デュカキス:それは最初に出て欲しかった……
エニュオ・デュカキス:リザレクト
エニュオ・デュカキス:エニュオ・デュカキスの侵蝕率を1D10(→ 8)増加(86 → 94)
GM:5d10で9ってすごいですね
"ストロッツァ・サタリエル":11dx7+28 6回目
DoubleCross : (11DX7+28) → 10[1,2,4,4,4,6,7,7,7,8,9]+10[2,3,5,9,10]+10[8,9]+10[5,9]+10[9]+5[5]+28 → 83

エニュオ・デュカキス:回避
エニュオ・デュカキス:3dx
DoubleCross : (3DX10) → 6[2,6,6] → 6

"ストロッツァ・サタリエル":9d10+13
DoubleCross : (9D10+13) → 47[7,1,3,10,3,1,6,6,10]+13 → 60

エニュオ・デュカキス:リザレクト
エニュオ・デュカキス:エニュオ・デュカキスの侵蝕率を1D10(→ 4)増加(94 → 98)
"ストロッツァ・サタリエル":11dx7+28 7回目
DoubleCross : (11DX7+28) → 10[1,2,2,6,8,8,9,9,9,10,10]+10[1,1,1,1,2,3,8]+10[10]+6[6]+28 → 64

エニュオ・デュカキス:回避
エニュオ・デュカキス:3dx
DoubleCross : (3DX10) → 8[1,3,8] → 8

"ストロッツァ・サタリエル":7d10+13
DoubleCross : (7D10+13) → 34[3,3,10,4,1,3,10]+13 → 47

エニュオ・デュカキス:7度目のリザレクト
エニュオ・デュカキス:エニュオ・デュカキスの侵蝕率を1D10(→ 3)増加(98 → 101)
"ストロッツァ・サタリエル":11dx7+28 8回目
DoubleCross : (11DX7+28) → 10[2,3,4,4,4,6,6,7,9,10,10]+10[2,3,9,9]+5[3,5]+28 → 53

"ストロッツァ・サタリエル":これでトドメだ!
サマンサ・シュヴァイゲル:うおおおお!!
"ストロッツァ・サタリエル":転送して一生迷宮をさまようんだな
サマンサ・シュヴァイゲル:命のカーテン+崩れずの群れ!!
"ストロッツァ・サタリエル":なにっ
サマンサ・シュヴァイゲル:させるかこの野郎―ッ!!
七星ミルキ:先生ー!
三部つゆり:先生……!
サマンサ・シュヴァイゲル:カバーに入ります!ダメージよこせ!
エニュオ・デュカキス:先生!
"ストロッツァ・サタリエル":6d10+13
DoubleCross : (6D10+13) → 33[5,6,6,5,10,1]+13 → 46

サマンサ・シュヴァイゲル:いける!
サマンサ・シュヴァイゲル:がらんどうの肉体で軽減!
サマンサ・シュヴァイゲル:46-7d10
DoubleCross : (46-7D10) → 46-48[8,8,4,7,8,6,7] → -2

サマンサ・シュヴァイゲル:無傷!
七星ミルキ:すげぇ!
エニュオ・デュカキス:最後にこれは綺麗すぎ
サマンサ・シュヴァイゲル:浸蝕は53!
"ストロッツァ・サタリエル":フン……しかしこんなものは所詮時間稼ぎ以外のものではないのだよ
"ストロッツァ・サタリエル":そもそもドローンの機体性能で攻撃するわけではなく
"ストロッツァ・サタリエル":70%機神のEロイス二種で学区を吹き飛ばすほうが主目的なんだからな……
GM:ということで、あとはサマンサ先生と待機してるチェルシーちゃんの手番が回れば
GM:カナートスは消滅します。行動値5、サマンサ先生どうぞ。
サマンサ・シュヴァイゲル:うおおおおお!!
サマンサ・シュヴァイゲル:ここでOVノヴァ特別ルール
サマンサ・シュヴァイゲル:『説得』を使用します!
"ストロッツァ・サタリエル":説得だとォ……!?
サマンサ・シュヴァイゲル:対象は"ストロッツァ・サタリエル"!!
サマンサ・シュヴァイゲル:判定ダイスは……振りません!!
七星ミルキ:先生ー!
サマンサ・シュヴァイゲル:これがみんなで知恵を絞って……ギリギリ間に合った……!
サマンサ・シュヴァイゲル:本当にギリギリ(開始30分前)間に合った……!
サマンサ・シュヴァイゲル:希望の力だぁあああああああーッ!!!
サマンサ・シュヴァイゲル:このエネミーに『説得』は可能なのか
サマンサ・シュヴァイゲル:イエスかノーかで答えてもらおうか!!
サマンサ・シュヴァイゲル:すいません、振らないと言ったがあれは嘘です。
"ストロッツァ・サタリエル":なんやこいつ
サマンサ・シュヴァイゲル:交渉で振りますね。
サマンサ・シュヴァイゲル:オラに元気をわけてくれ!!!!!!
エニュオ・デュカキス:判定前に《援護の風》を先生に! 100越えて+4D
エニュオ・デュカキス:エニュオ・デュカキスの侵蝕率を2増加(101 → 103)
七星ミルキ:行っけ~!
サマンサ・シュヴァイゲル:でぇりゃああああああ!!
サマンサ・シュヴァイゲル:6dx
DoubleCross : (6DX10) → 9[1,1,4,4,8,9] → 9

七星ミルキ:つゆりーん!
サマンサ・シュヴァイゲル:あ…ぁあ…!(悟飯)
三部つゆり:コンボ:鳥急《原初の紫:妖精の手》。1dx+10で振って!
三部つゆり:三部つゆりの侵蝕率を5増加(99 → 104)
サマンサ・シュヴァイゲル:1dx+10
DoubleCross : (1DX10+10) → 3[3]+10 → 13

GM:頼りなさすぎる
サマンサ・シュヴァイゲル:あぁ…あ…!(クリリン)
七星ミルキ:【コンボ:委員長の自負】《勝利の女神》達成値+6
サマンサ・シュヴァイゲル:19…!!
"ストロッツァ・サタリエル":これが攻撃判定だったら達成値28でドッジ判定ができるんだが
"ストロッツァ・サタリエル":〈交渉〉相手にはその強みが生きない……!
"ストロッツァ・サタリエル":カバーリングも駄目……!なぜなら8体全部が本体だから
"ストロッツァ・サタリエル":説得に対してはダメージコントロールにならないのだ
"ストロッツァ・サタリエル":こういう不測の事態のための《時の棺》も使えない状況!
サマンサ・シュヴァイゲル:このサマンサ・シュヴァイゲルには
サマンサ・シュヴァイゲル:何から何までお見通しだぜーッ!!
サマンサ・シュヴァイゲル:(ほんとは違うけどクロードが悔しがるからこう言ってやるぜ、ケッ!)
"ストロッツァ・サタリエル":だが、それも私が達成値19を出せば
"ストロッツァ・サタリエル":全く問題はない
"ストロッツァ・サタリエル":4dx>=19
DoubleCross : (4DX10>=19) → 9[4,4,7,9] → 9 → 失敗

サマンサ・シュヴァイゲル:うおおおおおお
サマンサ・シュヴァイゲル:オラたちのパワーが勝ったぁあああああああああ!!
七星ミルキ:やったあああああ!!
"ストロッツァ・サタリエル":負けた……!
"ストロッツァ・サタリエル":『究極存在』であらゆるダメージは0になるし
"ストロッツァ・サタリエル":『不滅の妄執』で戦闘不能から無限に回復するのに……!
七星ミルキ:でもそんなことより女の子と一緒にいたくないですか?
"ストロッツァ・サタリエル":うん……
七星ミルキ:男子ってそういうのが好きだって…
GM:唯一の弱点は、戦闘不能以外の戦闘勝利でした。ミドル戦闘を終了します。

カナートス臨床医学研究院 屋上




"ストロッツァ・サタリエル":無数のドローンが、機械の天使じみたシルエットを形成していた。
"ストロッツァ・サタリエル":二桁以上の電磁ブレードが、腕の先端のように、あるいは翼のように蠢く。
"ストロッツァ・サタリエル":〈最優先はあんただ。サマンサ・シュヴァイゲル〉
"ストロッツァ・サタリエル":〈機神を発動しちまった以上は……もう止められない。その前にあんたを動かなくして、カナートスの外に引っ張り出す〉
サマンサ・シュヴァイゲル:「見ず知らずの私のこと」
サマンサ・シュヴァイゲル:「心配してくれるのは嬉しいわ……でも」
サマンサ・シュヴァイゲル:「そんなの、話が別よ!クロードくん!有耶無耶にしないで!」
サマンサ・シュヴァイゲル:ドローン群を睨み、構えを取る。
七星ミルキ:同じくドローン群を見る。眼の前のことを見て、記憶に刻む。
七星ミルキ:("ストロッツァ・サタリエル"。一個の高性能機じゃなくて、ドローンを組み合わせた"量産可能"な機神……)
七星ミルキ:(ミチカ先輩の武器にコンセプトが似ている───なら、個別に破壊しても、多分意味がない)
七星ミルキ:「だったら対策は、全部壊すか……」現実味のない案と、もう一つ。「……操作してる人を、抑える」
"ストロッツァ・サタリエル":〈上手い分析ができるようになったな。ミルキ……〉
"ストロッツァ・サタリエル":〈だけど無理だ。確かに今のお前なら、俺と喧嘩したって勝てるかもしれないが……〉
"ストロッツァ・サタリエル":〈お前がノドスに来れるわけがないからな〉
七星ミルキ:「……そう、ですね」
七星ミルキ:「それが出来たら、私は、会いに行ってますもの」
"ストロッツァ・サタリエル":〈はははは、ははは………〉
"ストロッツァ・サタリエル":――ザギャッ!!
"ストロッツァ・サタリエル":ミルキの横合いから、電磁ブレードが飛来する。反応可能な限界の速度だった。
七星ミルキ:「っ!」ハンマーを身体を軸に振り回す。
七星ミルキ:──ギィン!!
七星ミルキ:最短最速。理論上可能な動きならば対処できる──ブレードを撃ち落とす。
七星ミルキ:桃色の髪が遅れて追随する
"ストロッツァ・サタリエル":〈撃ち落とす。1ミリも狂いのない、綺麗な動きだ――相変わらずだな〉
"ストロッツァ・サタリエル":〈なら、今受けた一発で〉
"ストロッツァ・サタリエル":〈その武器が使えなくなったのも分かるな?〉
七星ミルキ:「! これは……!」
"ストロッツァ・サタリエル":〈今のは直線的なエネルギー発振でぶった切るための攻撃じゃない。ブレードにまとわせるように、不可視波長の振動を加えてある……〉
七星ミルキ:ハンマーの打面に痕跡がある。撃ち落としたブレードが"偶然"ハンマーの機構の軸を……(──いえ)
七星ミルキ:「最速で撃ち落とすと、"こうなる"。全て計算済みの、一撃……!」
"ストロッツァ・サタリエル":〈打面中央から少しずれた位置に当たるようにした。その位置で強電磁を伴う打撃を受けちまうと……〉
"ストロッツァ・サタリエル":〈92秒から150秒間、ハンマー内のバランサーが狂う〉
サマンサ・シュヴァイゲル:「ミルキちゃん!」
サマンサ・シュヴァイゲル:2人の間に割り込もうとするが
サマンサ・シュヴァイゲル:(動けない……!)
サマンサ・シュヴァイゲル:流暢な会話の間も、ドローンの精密な牽制に阻まれ続けている。攻防の練度が全く違う。
七星ミルキ:「!」本来は『ひなぎく』の過剰駆動を耐えるための機構。それを「"使わされた"……!?」
七星ミルキ:ハンマーのバランサーが狂うということは、重心が狂う。
七星ミルキ:慣れ親しんだ『最適』の動きは、全てその価値を失っている
"ストロッツァ・サタリエル":〈いいおもちゃだよなあ、それ……気に入ってくれたなら、俺も嬉しいよ……ははは〉
"ストロッツァ・サタリエル":〈だけど、その『デイジー』を〉
"ストロッツァ・サタリエル":〈誰が作ったと思ってる?〉
七星ミルキ:「そうです……そうです!」
七星ミルキ:連装式カートリッジ型衝撃鎚『ひなぎくデイジー
七星ミルキ:長年使い込んだ武器のことは誰より知っている──使用者として。
七星ミルキ設計者、、、に劣らず、ちゃんと知っていた。
七星ミルキ:「この子ひなぎくと一緒なら、貴方が帰ってきてくれると、思って」
七星ミルキ:「私は……!」
七星ミルキ:ハンマーを振り回し、よろめく。
七星ミルキ:少女の身体に似つかわしくない巨大な武器に振り回され始める
七星ミルキ:「くっ……!」
三部つゆり:「ミルキさん…!」冷や汗が落ちる。一度対峙した”オレブザラク”より確実に上…それどころか、星徒を取り込み作り出された”カラビンカ”と同等か、それ以上にも感じる圧力。
三部つゆり:(あの時は”堕天病で操作された星徒”、”縁深い人”っていうアクセスルート裏道があった…でも、今回は…!)
三部つゆり:あの絶対的、界が隔絶する神秘を、対処できる手段がない。それどころか、まともに戦うこと自体がほぼ不可能なほどのスペックと、それを完璧に操作する技巧がある――
三部つゆり:(どうする…!どう、戦えば……!)
"ストロッツァ・サタリエル":〈逃げることに専念しろ。……全員だ〉
"ストロッツァ・サタリエル":〈全員、ここが消滅する前に逃げるんだ〉
"ストロッツァ・サタリエル":〈ノヴァリスのあんた達にとっては、死んでも大したことじゃない、、、、、、、、、かもしれないが〉
"ストロッツァ・サタリエル":〈……俺にとっては、大したことなんだよ〉
"ストロッツァ・サタリエル":四機のドローンが、空中で巨大な手か鈎爪のごとく配置され
"ストロッツァ・サタリエル":サマンサへと狙いを定める。捕獲し、屋上から引きずり落とそうとしているようだった。
エニュオ・デュカキス:──だからこそ前に・・飛んだ
エニュオ・デュカキス:駆動する関節のモーター音はわずかに。数メートルの距離を一気に詰め、爪の根本を蹴り上げようと前へ
サマンサ・シュヴァイゲル:「エニュオちゃん!?ダメ!それは……!」
サマンサ・シュヴァイゲル:オーヴァード戦闘の経験が、この場の誰よりも浅いサマンサにも分かる。
サマンサ・シュヴァイゲル:一目瞭然の明確な死路。それを自分よりも遥かに熟達したエニュオが選んだことに、目を見開く。
"ストロッツァ・サタリエル":"ストロッツァ"の判断は、極めて早く、無慈悲だった。
"ストロッツァ・サタリエル":すぐさま、四機のドローンがブレードを形成した。
"ストロッツァ・サタリエル":エニュオが割り込んだことで、捕獲ではなく迎撃に切り替えている。
"ストロッツァ・サタリエル":上。下。左。右。いずれも独立した自在な軌道で、まずはエニュオを微塵に刻もうとした。
エニュオ・デュカキス:アラート。AIDAへ主導権が移る。元より真っ当な身体制御が出来ない状況で、防御機構が作動する
七星ミルキ:(あぁっ……!)わかる、そのマニューバを知っている。自分も訓練し──
七星ミルキ:(あの人は、常にそれ以上アレンジの動きを、してくる!)
エニュオ・デュカキス:生命維持に必要な重要臓器──心肺と、AIDAそのものがマウントされた頭部と背面ユニットを最優先で防御
エニュオ・デュカキス:他の選択は──放棄
"ストロッツァ・サタリエル":ザ ン !
"ストロッツァ・サタリエル":四肢が容易く斬り飛ばされた。単なるドローンの出力を遥かに越えている。
"ストロッツァ・サタリエル":そして、速い。オフィサー幹部であるエニュオ・デュカキスほどの人間が、攻撃を受けた瞬間をほぼ認識できていない。
"ストロッツァ・サタリエル":〈首を〉
"ストロッツァ・サタリエル":〈飛ばすつもりだったんだけどな〉
エニュオ・デュカキス:(これが機神! データだけではない実戦の……)
エニュオ・デュカキス:どすん。受け身すら取れず屋上の冷たいコンクリートに落下し、かろうじて仰向けに。
エニュオ・デュカキス:ドローンの群体が形作るヒト型を見上げて
エニュオ・デュカキス:「生憎、首から上は一番大事なところですから」
"ストロッツァ・サタリエル":〈分かってるさ。誰だってそうだ……はははは……〉
"ストロッツァ・サタリエル":〈ジョークのセンスがある……〉
エニュオ・デュカキス:「それはどうも。あまり褒められないところですので」
エニュオ・デュカキス:深呼吸。「……愚かだと思いますか?」
"ストロッツァ・サタリエル":〈……もう、バカを笑えるような人間じゃなくなっちまったよ〉
"ストロッツァ・サタリエル":〈はははは……どうする?見たところこいつが、あんた達の中で最強のやつだろう〉
"ストロッツァ・サタリエル":〈頼むから、分かってくれ……全員を始末するだけなら簡単にできるんだ……〉
"ストロッツァ・サタリエル":エニュオを解体したドローンはたった4機だ。しかし
"ストロッツァ・サタリエル":集合形態を構成しているものだけでも24機。さらに空にはまだ20機以上のドローンが控えている。
"ストロッツァ・サタリエル":〈俺の"サタリエル"に決まった形なんてない〉
"ストロッツァ・サタリエル":〈全部が本体だし、全部が今と同じようなスペックを出せる〉
"ストロッツァ・サタリエル":〈あんた達が戦って勝つのは……無理だ。戦う理由だってない……〉
エニュオ・デュカキス:「……そうでしょうね」
エニュオ・デュカキス:「ですが。私も負けない戦い方くらいはできます」
エニュオ・デュカキス:四肢を失ってなお体を起こし、空の光を見上げたまま
エニュオ・デュカキス:「──七星さんや三部さんから狙いを外す。最優先であったサマンサ先生もそうです」
エニュオ・デュカキス:今の自分はAIDAに操られているようなものだ。故に無理矢理突破しなければ防衛のために逃げるしか出来ない
"ストロッツァ・サタリエル":〈……分かってないな〉
"ストロッツァ・サタリエル":〈俺がミルキや、そこの二人をやらないのは、まだ俺がやろうとしてないからだよ〉
"ストロッツァ・サタリエル":〈この数を同時操作してる相手に、狙いが外れるも何もない。的外れな負け惜しみだ……〉
エニュオ・デュカキス:「それと。──この距離にいなければ使えなかった。この距離がいいんです」
"ストロッツァ・サタリエル":〈……〉
"ストロッツァ・サタリエル":〈…………なんだ?〉
エニュオ・デュカキス:「貴方は我々に対して完全に上位です。でも、七星さんから聞いた話より変わってしまったのは事実ですね」
エニュオ・デュカキス:「Lシリーズを解析したのが自分だけ・・・・・・・・・・・・・・・・だと思っていた」
エニュオ・デュカキス:──遠方は未だ通じない。だが5m圏内のここなら、AIDAと制御ユニットからの短距離無線干渉が可能
エニュオ・デュカキス:L6をほぼ完全な形で手に入れ、解析を続けたジェネシスとしての優位はあれど。本業ではなく、クロード・カレルからすれば児戯に等しいハッキング。
エニュオ・デュカキス:負荷をかけて機動力を落とす。時間稼ぎでしかない行為
"ストロッツァ・サタリエル":〈な……なるほどな……〉
"ストロッツァ・サタリエル":〈はははははは……くそっ、こんな手を考えてやがったのか……最初から……!〉
"ストロッツァ・サタリエル":笑っているが、その声にはこれまでとは違う、焦りのような色が混じりはじめる。
サマンサ・シュヴァイゲル:ハッキングを”ストロッツァ”が駆逐するまでの、ほんの数秒間。
サマンサ・シュヴァイゲル:身を盾にして躍り出て、再開される攻撃の雨へと飛び込む――
サマンサ・シュヴァイゲル:ことを、しなかった。
サマンサ・シュヴァイゲル:背を丸め、蹲っている。
"ストロッツァ・サタリエル":〈なにを、やってる……!〉ドローン群の制御を取り戻そうとする。機神の過剰なほどの出力によって、却って手間取っているようだった。
"ストロッツァ・サタリエル":〈俺は、抵抗も無抵抗も求めちゃいない!逃げるんだよ!あんただって命が一番大事なんだろう!〉
"ストロッツァ・サタリエル":〈ちくしょう……このままじゃ…………全員……殺しちまう……!〉
サマンサ・シュヴァイゲル:(エニュオちゃんが、それをしてくれたのなら)
サマンサ・シュヴァイゲル:(私が、エニュオちゃんのしてくれていたことをする)
サマンサ・シュヴァイゲル:(信じてくれたんだもの……!)
七星ミルキ:「や、ぁ!」サマンサを狙うドローンの軌道を、ハンマーで薙ぐ。
七星ミルキ:柄を短く持って、ただただ扱いやすいようにした鈍器で、蜂を払うように振り回す
"ストロッツァ・サタリエル":サマンサを捕獲しようとしたドローンが撃墜された。
"ストロッツァ・サタリエル":それでも、ハッキングと動揺、そして極限に手加減した捕獲の隙を突いて、ようやく1機だ。
"ストロッツァ・サタリエル":〈俺の何が悪い!?何が間違っている!?〉
"ストロッツァ・サタリエル":〈『十字冠を破壊する兵器』なんだ!取り返しのつかないことが起こるんだぞ!〉
"ストロッツァ・サタリエル":〈ミルキ……!ミルキ、頼む……〉
"ストロッツァ・サタリエル":〈全員を連れて逃げてくれ……!〉
七星ミルキ:「何が、何が悪いのか………」
七星ミルキ:ブオン!!──ハンマーが空を切る。
七星ミルキ:「わっかんないんですか、おにいさん!」
"ストロッツァ・サタリエル":〈わかるかよ!〉
"ストロッツァ・サタリエル":〈俺がなんとかする……守りてえよ……!〉
"ストロッツァ・サタリエル":〈だって、俺は……〉
"ストロッツァ・サタリエル":〈おにいさんなんだからよ……〉
七星ミルキ:「貴方が、あなたが…………!」
七星ミルキ:「あなたが、おにいさんだって言うのなら!」

 ヘル・クロタリアス:「……ノドスの生徒たちは」
 ヘル・クロタリアス:「本当に帰ってきた、、、、、のかな?」

七星ミルキ:「……っ!」
七星ミルキ:「笑えて、ない」
七星ミルキ:「おにいさんは今、笑ってない!!」
"ストロッツァ・サタリエル":〈笑ってるだろ……〉
"ストロッツァ・サタリエル":〈はは、はははははは……!こんなに笑ってるだろ……聞こえないのか!?〉
"ストロッツァ・サタリエル":〈ずっと、ずっと……はは、ははははは〉
"ストロッツァ・サタリエル":〈笑いが止まらねえよ!!〉
七星ミルキ:「最適で、最善で、最高でも!」
七星ミルキ:「今の貴方は、"遊び"がない!!」
七星ミルキ:「私は!」
七星ミルキ:「楽しそうに笑ってくれる貴方が、良い!」
七星ミルキ:ロイスを取得します。
七星ミルキ:『クロード・カレル ◯P思慕/N憤慨』 最後の1枠で取得
"ストロッツァ・サタリエル":ブレードが、ミルキから2m左方の床に突き刺さった。
"ストロッツァ・サタリエル":七星ミルキが回避した結果ではない。クロード・カレル自身の狙いが乱れたのだ。
"ストロッツァ・サタリエル":深く巨大な斬撃が、彼方まで届いた。出力を加減することもできなくなりつつある。
七星ミルキ:「……!……はぁ……!」玉のような汗が額に浮かぶ。制御を捨てて無理矢理に動かす武器は、ひどく疲れる。
"ストロッツァ・サタリエル":〈……俺は……ずっと選んできたんだ!死ぬやつも、生きるやつも!〉
"ストロッツァ・サタリエル":〈頼む……頼む!間違っていたなんて言わないでくれよ!〉
"ストロッツァ・サタリエル":〈まだやれるんだ、俺は!俺は――〉
"ストロッツァ・サタリエル":〈ノドス最高の天才で〉
"ストロッツァ・サタリエル":〈ノドスの、最高の環境で研究をしていて……〉
"ストロッツァ・サタリエル":〈科学が解決できなかった問題は、人類に……〉
"ストロッツァ・サタリエル":〈存在しなかったんだ……〉
七星ミルキ:「知ってる…………」
七星ミルキ:「知ってるよ…………」
七星ミルキ:「おにいさんに、出来ないことなんて、ない」
七星ミルキ:「だって……」
七星ミルキ:ノドスは戻ってこなかった。どれだけ探しても、見つからなかった。
七星ミルキ:そこにリソースをつぎ込むのは非合理で、出来ない手段を潰して、何も残らなくて
七星ミルキ:一人、また一人と、皆が諦めて。
七星ミルキ:私は──諦めなかった。
七星ミルキ:(諦めなかった、だけ)
七星ミルキ:「今……こうやって、帰ってきてくれるんだもん」皆が諦めたノドスの捜索すら、不可能ではない
七星ミルキ:「だから、おにいさんが出来ないって言っても……」
七星ミルキ:「私は、信じないよ」
サマンサ・シュヴァイゲル:顔を上げ、目を開く。意識はかつてないほどに澄み切っている。
サマンサ・シュヴァイゲル:――サマンサ・シュヴァイゲルが、落ち着いている。
サマンサ・シュヴァイゲル:視線の先には、床を抉り切るドローン群。そして、天を仰ぎ倒れたままエニュオがいる。
サマンサ・シュヴァイゲル:「みんなのお陰で、生きてる」
サマンサ・シュヴァイゲル:「出来ないことが」
サマンサ・シュヴァイゲル:「出来るようになる……!!」
サマンサ・シュヴァイゲル:己を鼓舞する言葉を口にする。祈りのように。
サマンサ・シュヴァイゲル:それは、その場の誰も予期しない現象だった。
サマンサ・シュヴァイゲル:数時間前に体験した死線を彷徨う戦闘の中で、偶発的に会得していた
サマンサ・シュヴァイゲル:崑崙学区においては"気功"と呼ばれる、エグザイルの応用技術。
サマンサ・シュヴァイゲル:因子を媒介し、生命力を空間に拡張させ、それは実体となる。
サマンサ・シュヴァイゲル:光の繭のような、霞がかった力場がサマンサを中心に広がり
サマンサ・シュヴァイゲル:軌道の更に外縁から、ドローンを絡め取って収束しようとしていた。
サマンサ・シュヴァイゲル:(一瞬しかもたない)
サマンサ・シュヴァイゲル:(でも一瞬でいい)
サマンサ・シュヴァイゲル:一瞬あれば。
サマンサ・シュヴァイゲル:「お話が出来るわ!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「クロードくん!」
"ストロッツァ・サタリエル":〈やめろ〉
"ストロッツァ・サタリエル":〈破裂するぞ……サマンサ・シュヴァイゲル!〉
"ストロッツァ・サタリエル":〈こんな拘束、機神が本格活性すれば〉
"ストロッツァ・サタリエル":〈なんの防壁にもならない!〉
"ストロッツァ・サタリエル":〈抵抗しても無駄なんだよ!なんで……〉
"ストロッツァ・サタリエル":〈なんであんた達は、戦わなきゃ死ぬわけでもないのに――〉
"ストロッツァ・サタリエル":〈そんなに、勝てない相手に……必死になるんだ!〉
サマンサ・シュヴァイゲル:「……本当に、本当に苦しいことは」
サマンサ・シュヴァイゲル:肌が裂け、血しぶきが噴き出す
サマンサ・シュヴァイゲル:「体が傷つくことなんかじゃない」
サマンサ・シュヴァイゲル:歯を食いしばり、言葉を紡ぐ。
サマンサ・シュヴァイゲル:「いらないって、言われることでもない」
サマンサ・シュヴァイゲル:本当に言いたかったことを。
"ストロッツァ・サタリエル":〈……〉
サマンサ・シュヴァイゲル:「目の前の人に」
サマンサ・シュヴァイゲル:「何もしてあげられないことだから」
サマンサ・シュヴァイゲル:「クロードくんは、どうでもいいなんて思ってない」
"ストロッツァ・サタリエル":〈言うな……!今更!〉
サマンサ・シュヴァイゲル:「ミルキちゃんのことが大好きなクロードくんが、ミルキちゃんと友達になったカナートスのみんなを」
サマンサ・シュヴァイゲル:「どうでもいいなんて思ったりするわけない!!」
"ストロッツァ・サタリエル":〈今更!何もかも!〉
"ストロッツァ・サタリエル":〈遅いんだよ!〉
サマンサ・シュヴァイゲル:その声をかき消すように
サマンサ・シュヴァイゲル:喉から血を吐き叫ぶ。
サマンサ・シュヴァイゲル:「遅くない!まだ何も遅くない!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「あなたを待ってる人がいる!幸せになって欲しい人が!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ミルキちゃんはずっとそれを待ってたんだもの!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ノドスのみんなが、どんな酷いことを見てきたのか」
サマンサ・シュヴァイゲル:「どんなに傷ついたのか、私には、分かるなんて言えない……」
サマンサ・シュヴァイゲル:「だけど」
サマンサ・シュヴァイゲル:涙がこぼれだす。
サマンサ・シュヴァイゲル:「幸せになっちゃいけないなんて、誰も決めてない」
サマンサ・シュヴァイゲル:「本当のことを、言って」
サマンサ・シュヴァイゲル:「クロードくん……」
"ストロッツァ・サタリエル":〈あんた、なんかに……〉
"ストロッツァ・サタリエル":電磁ブレードが、サマンサの喉元に突きつけられている。
"ストロッツァ・サタリエル":〈俺の、何が分かるんだ……〉
"ストロッツァ・サタリエル":〈……誰も……誰も死なせずに終われるんだよ……は、ははは……こんな奇跡的なことはないんだ……頼むよ……〉
"ストロッツァ・サタリエル":〈俺のことを――〉
"ストロッツァ・サタリエル":〈役立たずだとか……じゃ、邪魔だとか〉
"ストロッツァ・サタリエル":〈思わないでくれ……〉
サマンサ・シュヴァイゲル:「先生は」
サマンサ・シュヴァイゲル:「きっとクロードくんの百倍、邪魔だって言われてきたわ」
サマンサ・シュヴァイゲル:切っ先を見つめている。
サマンサ・シュヴァイゲル:「何回だって、邪魔になりたい」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ミルキちゃんとクロードくんがケンカをするなら」
サマンサ・シュヴァイゲル:「クロードくんがイヤなことをイヤだって言わないなら」
サマンサ・シュヴァイゲル:「本当にしたいことを言わないなら」
サマンサ・シュヴァイゲル:「クロードくんが音を上げるまで絶対に邪魔するわ!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「……だって私は、先生だから」
"ストロッツァ・サタリエル":〈……俺は、何度も言った。逃げろって……〉
"ストロッツァ・サタリエル":〈逃げないと死ぬって、隠さずに言ったぞ……〉
"ストロッツァ・サタリエル":"サタリエル"の青い光の色相が、異質に変化している。
"ストロッツァ・サタリエル":〈サマンサ・シュヴァイゲル……三部つゆり……エニュオ・デュカキス〉
"ストロッツァ・サタリエル":〈……七星ミルキ〉
"ストロッツァ・サタリエル":〈あんた達は、俺が与えた――逃げるための時間を、無駄にした〉
七星ミルキ:「おにい、さん……!」
"ストロッツァ・サタリエル":〈ははははは……なんでこうなるんだ?〉
"ストロッツァ・サタリエル":〈なんで、俺はいつも失敗する?〉
"ストロッツァ・サタリエル":〈俺は……俺は。こんな風になりたいわけじゃなかった……〉
サマンサ・シュヴァイゲル:「失、敗」
サマンサ・シュヴァイゲル:何かが、繋がるような気がした。
サマンサ・シュヴァイゲル:「クロードくん、あなたは」
GM:輝神本来の出力の71.1%に達した"サタリエル"の力は、ドローン自体にも耐えきれるものではない。
GM:無数の機体全てが、超絶の威力の爆弾と化して、カナートスを消失させる。
GM:それが、クロード・カレルの選んだ攻撃だった。
サマンサ・シュヴァイゲル:「カナートスのみんなを、助けたかったのね」
サマンサ・シュヴァイゲル:その光を見上げ、無意識にぽろりと言葉が零れた。
"ストロッツァ・サタリエル":〈……〉
サマンサ・シュヴァイゲル:「ずっと、ずっとここにいたんだもの」
サマンサ・シュヴァイゲル:「見ず知らずの私たちに、死んでほしくないと思うクロードくんが」
サマンサ・シュヴァイゲル:「あの子たちを見てて」
サマンサ・シュヴァイゲル:「思わないはず、ないわ」
"ストロッツァ・サタリエル":〈知るかよ……知るかよ、は、ははははは……今更、そんな事……〉
"ストロッツァ・サタリエル":〈なんで、もう間に合わないって時になって……ちくしょう……〉
サマンサ・シュヴァイゲル:「だから、そうしてあげられなかったことが悲しくて、自分を責めて」
サマンサ・シュヴァイゲル:「してあげられることを、探してる」
GM:――どいつもこいつも、勘違いしてる。
GM:仲間とか、友達とか……相棒とかを助けるために、命をかけて戦う程度のことは
GM普通の、、、ことだ。誰だって追い詰められればやることだし、そうできなかった奴だって、そうしたいと思っている。
GM:俺はな、藤村――
GM:もっと優しくなりたいんだよ。
"ストロッツァ・サタリエル":〈ちく、しょう……〉
"ストロッツァ・サタリエル":バチン!!
"ストロッツァ・サタリエル":空のところどころで、不可思議な色彩の光が弾ける。
"ストロッツァ・サタリエル":巨大なパスが繋がりつつあったセトの門を、強制的に切断した光だった。
"ストロッツァ・サタリエル":夜空に、いくつものドローンが、燃えながら墜落していく。
GM:ここから外に出られたなら。
GM:俺は……今みたいな感じじゃないんだ。
"ストロッツァ・サタリエル":〈優しくなりてえ……〉
"ストロッツァ・サタリエル":〈優しくなりてえよ…………〉
GM:――もっと、知らない子にだって優しくできる。
サマンサ・シュヴァイゲル:炎の雨を、見上げて思う。
サマンサ・シュヴァイゲル:自分が知っている、本当に、心から苦しいことは
サマンサ・シュヴァイゲル:目の前の相手に、何もしてあげられないこと。
サマンサ・シュヴァイゲル:「クロードくんは……ずっと」
サマンサ・シュヴァイゲル:言葉が出てこない、後遺症の痛みで意識が朦朧としている。
サマンサ・シュヴァイゲル:ふらりと、バランスを崩し――
三部つゆり:そのふらついて、倒れそうな背を。
三部つゆり:白い髪の少女が支えた。「先生……無茶を、して………」ずっと止められないか、干渉の術を探り。そのどれも通用しなかった。
三部つゆり:「……何もできなくて……ごめんなさい」
七星ミルキ:光が降る。
七星ミルキ:夜空を彩る雨のようだった。
七星ミルキ:星が好きだった。訓練室の窓からも見えるから。
七星ミルキ:夜空には、自分の名前に似た星があるのだと、知識だけで知っていた
七星ミルキ:「……あ、」
七星ミルキ:自分の方に降り注いだ小さな星に手を伸ばす。
七星ミルキ:近づくに連れ、燃え尽きるのを免れた一基のドローンだとわかった。

"ストロッツァ":体積の半分程度が破損して、ひび割れている。
"ストロッツァ":レンズ光は弱く明滅している。いずれ停止するだろう。
七星ミルキ:「………聞こえてますか」ドローンを受け止め、撫でる。
七星ミルキ:「おにいさん」
"ストロッツァ":〈ミルキ…………〉
"ストロッツァ":〈……治せるかもしれない……〉
"ストロッツァ":〈昔の……昔の、俺みたいに……〉
"ストロッツァ":〈治せるかもしれないんだ…………〉
七星ミルキ:「うん………」
七星ミルキ:「知ってます。おにいさんは、天才ですから」
七星ミルキ:「おにいさんは天才で、何でも出来て……」
七星ミルキ:「でも……」
七星ミルキ:「失敗も、たくさんする人でした」
七星ミルキ:「失敗もたくさんして、考えて、改善して」
七星ミルキ:「成功するまでやるから天才なんだって、私、知ってます」
七星ミルキ:「……けどね」
七星ミルキ:「おにいさんの良い所は、そんなところじゃないと思います」
"ストロッツァ":〈……ぜ、全然……〉
"ストロッツァ":〈分かんねえよ……くそ……〉
七星ミルキ:「あはは、珍しい」
"ストロッツァ":駆動音が弱くなっていく。
七星ミルキ:「おにいさん、私ね」
七星ミルキ:「たくさん笑うようになりました」
七星ミルキ:「ちゃんと、考えるようになりました」
七星ミルキ:「カナートスの子達からも、感謝されたんですよ?」
七星ミルキ:「一緒にいてくれてありがとう、って」
七星ミルキ:「……それは、全部」
七星ミルキ:「貴方が最初にしてくれたことです」
七星ミルキ:「外のことをなんにも知らない、それでいいと思ってる女の子を」
七星ミルキ:「一人にしなかった──傍にいてくれた」
七星ミルキ:「……それが、貴方の」
七星ミルキ:「最高にかっこいいところなんです」
"ストロッツァ":〈……………………〉
"ストロッツァ":〈なんだ、そんなこと……〉
"ストロッツァ":〈普通だよ……なあ……〉
"ストロッツァ":〈気になる女の子に……優しくしてやりたいなんて……〉
"ストロッツァ":〈普通の……ことだ……〉
七星ミルキ:「はい…………普通のこと、です」
七星ミルキ:「だから、私もそうします」
七星ミルキ:「どれだけ嫌がられても、邪険にされても、そうすることが正しくても」
七星ミルキ:「気になる人を、1人にはしません」
七星ミルキ:「……傍に行きますよ、おにいさん」
七星ミルキ:「私、絶対に諦めませんからね?」
"ストロッツァ":カシャン、という軽い音とともに、ドローンの側面のスロットが開いた。
"ストロッツァ":奇跡的に燃え残った共通規格メモリーがある。
"ストロッツァ":〈ミルキ……ザザッ……カナートス……治療記録…………〉
"ストロッツァ":〈必要なんだろう……ミルキ……〉
七星ミルキ:「! これが……!」
七星ミルキ:「はい、はい……!ありがとうございます、おにいさん!」
"ストロッツァ":〈はは……〉
"ストロッツァ":〈うまく笑うようになりやがって……〉
"ストロッツァ":〈はははは……ははは……〉
七星ミルキ:「そうですかね……あは」
七星ミルキ:「あははは……」
"ストロッツァ":〈はははは……はは……〉
GM:笑い声は、やがて静かなノイズにかき消されていった。
GM:ミルキが抱きしめている残骸は、もう、どこにも繋がっていない。
GM:夜空には、星の光だけが澄んでいた。
七星ミルキ:「あはは、はははは……」
七星ミルキ:残骸を抱きしめながら、かすかに笑う。
七星ミルキ:楽しいことがあるならば笑う。
七星ミルキ:目的のデータはきちんとあり、お互いの誤解は解け、生きてることもわかった。
七星ミルキ:良いことだ。良いことだから、笑うべきで────泣く理由は、一つもない。
七星ミルキ:8年前のあの日。ノドスの消失を聞いた時に、初めて泣いて。
七星ミルキ:(次に泣くのは)
七星ミルキ:(……ちゃんと再会したときって、決めたから)


◆Middle07◆絶望は罪である

GM:クライマックス前のシーン。自由登場です。
GM:……と言いたいところでしたけど
GM:先程のシーンで100%を越えているPCは
GM:侵蝕低減をここでやってしまいましょう
GM:ロイスを取りたい場合はこのシーンの終わりで取ってくださいね
七星ミルキ:わーい
三部つゆり:ありがとうございます!うおお
三部つゆり:104-10-1d10
DoubleCross : (104-10-1D10) → 104-10-6[6] → 88

七星ミルキ:100-10-1d10
DoubleCross : (100-10-1D10) → 100-10-10[10] → 80

七星ミルキ:最大
七星ミルキ:七星ミルキの侵蝕率を-20増加(100 → 80)
エニュオ・デュカキス:下げます!
エニュオ・デュカキス:103-10-1d10
DoubleCross : (103-10-1D10) → 103-10-10[10] → 83

エニュオ・デュカキス:83になりました
エニュオ・デュカキス:最大
サマンサ・シュヴァイゲル:ええぞ!ええぞ!
サマンサ・シュヴァイゲル:しゃあっ!
サマンサ・シュヴァイゲル:完璧ではないか~!
三部つゆり:其れで登場かな 振りますー
三部つゆり:三部つゆりの侵蝕率を1D10(→ 7)増加(88 → 95)
七星ミルキ:登場ー
七星ミルキ:七星ミルキの侵蝕率を1D10(→ 7)増加(80 → 87)
エニュオ・デュカキス:登場です
エニュオ・デュカキス:エニュオ・デュカキスの侵蝕率を1D10(→ 8)増加(83 → 91)
GM:みんな運がいいぜ
サマンサ・シュヴァイゲル:1d10+53
DoubleCross : (1D10+53) → 9[9]+53 → 62

サマンサ・シュヴァイゲル:遅刻遅刻!

カナートス臨床医学研究院


GM:屋上にて"ストロッツァ・サタリエル"が顕現したのと同時刻――
GM:夜も更けた病院で、一人彷徨い続けている少女がいる。

ルー・シュエフィ:「うっ……ぐすっ、ううう……」
ルー・シュエフィ:「うええええ……」
GM:ルー・シュエフィの症例には肉体的な苦痛があるわけではない。
GM:ただ、寂しいだけだ。誰にも出会うことなく、それでも誰かに出会うことを祈って歩き続けるしかない。
GM:カナートスの人間も、このような時は誰も手の施しようがないことを知っている。
GM:だからミルキ達のように、彼女に会いに来る者がいるはずもない――

シノエ・リュコス:「シュエフィ!」
シノエ・リュコス:「やっと見つけた!」
ルー・シュエフィ:「あ……あ……」
ルー・シュエフィ:「シノエちゃん……!」
ルー・シュエフィ:すぐにでも駆け寄りたかったが
ルー・シュエフィ:服の袖でごしごしと涙を拭う。みっともないと思ったからだ。
ルー・シュエフィ:「だ、大丈夫……?シノエちゃん、迷ってない……?」
シノエ・リュコス:「ううん!シュエフィを探してたの」
シノエ・リュコス:「シュエフィだって」
シノエ・リュコス:「誰かと一緒にいたいもんね」
ルー・シュエフィ:「うん……」
ルー・シュエフィ:「うん……!」
ルー・シュエフィ:シノエ・リュコスの元へと、パタパタと駆けていく。
ルー・シュエフィ:「よかった!シノエちゃんと会え――」
GM:ザグ!
ルー・シュエフィ:「え……」喉から、ドクドクと血が流れている。
シノエ・リュコス:シノエの手には、手術用のメスがあった。
シノエ・リュコス:迷わず、ルー・シュエフィの喉笛を切り裂いていた。
シノエ・リュコス:「シュエフィが転送すれば――」
シノエ・リュコス:「この攻性症例は終わるんだよね?」
ルー・シュエフィ:「シ、シノ……ごぼっ……」
ルー・シュエフィ:「うそ…………」
GM:紫色の転送光が、病棟のどこかで瞬いたが
GM:その瞬間を見ていた者は、他には誰もいなかった。

カナートス臨床医学研究院 手術室


GM:クロード・カレルとの対決を終え、病棟に戻ると、既に異変が起こっていたことはすぐに理解できた。
GM:病棟の迷宮化が解かれているのだ。これまでと違って、目的地には最短で辿り着くことができる……
GM:迷ったり、他の病室に寄り道する必要もない。だが、代わりに、言いようのない嫌な予感があった。
GM:カナートスの治療記録を手に、一行はウノ・ワイルゴッドのいる手術室へと向かう。
サマンサ・シュヴァイゲル:「ルーちゃんの能力がなくなってるわ!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「発作が収まったのかしら……それとも」
サマンサ・シュヴァイゲル:「な、何かあったのかしら!心配!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ルーちゃん!どこぉおおおお!返事してええええええ!」
サマンサ・シュヴァイゲル:ぐわんぐわん
七星ミルキ:「収まる条件を、満たしたのなら、良いですけど……!」呼吸を整えながら向かう。
三部つゆり:「……時間が来て収まった……のなら、いいのですが…ともあれ、この状況は他の”堕天病”を求める者たちにとっても優位です」
エニュオ・デュカキス:「耳が……」

イクス4:「うるさいな……なんなんだこいつは……」
イクス4:手術室にはウノの姿はない。
イクス4:代わりに、ワイシャツだけを羽織った白い少女が座っている。
七星ミルキ:「あれ、イクス4さん……?」
サマンサ・シュヴァイゲル:「あ、あれっ、知らない子がいる!ウノちゃんは!?」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ルーちゃんだけじゃなくてウノちゃんも迷子!?」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ど、どうしようかしら、折角データをクロードくんが預けてくれたのに」
サマンサ・シュヴァイゲル:「えらいこっちゃ……!」
三部つゆり:「イクス4さん…、ワイルゴッドさんもいたはずなんですが……」
イクス4:「センセイは休んでる。記憶も見たけど、あんな手術をしてずっと起きてろって方が無茶だろ」
イクス4:「仮眠室のセンセイを叩き起こすか?今から」
七星ミルキ:「あっ、おやすみでしたか。」
サマンサ・シュヴァイゲル:「あっ!?そ、そうよね」
サマンサ・シュヴァイゲル:「普通に休んでいるだけだったわ……!当然の話!」
七星ミルキ:「そうですね。見ていただくにしても、本人が回復してからのほうが良いでしょうか」
三部つゆり:「何かあったわけではないなら良かった……とはいえ、このまま待つというのも……」ひどく嫌な予感がある。
イクス4:「オレは代理だよ。治療記録は……持ってきたんだな?」
七星ミルキ:「はい。こちらのメモリーに。」クロードから託された記録媒体を握っている。
イクス4:「チッ、うるさいのだけじゃなくて、エニュオ・デュカキスまでいやがる……すっかり復活か」
エニュオ・デュカキス:「これはどうも」
エニュオ・デュカキス:「おかげさまで元気です」
エニュオ・デュカキス:平常運転に淡々と
七星ミルキ:「えっと……イクス4さんは色々あったんですが、今はひとまず休戦と言いますか」
七星ミルキ:「データを手に入れる約束をしていたので、大丈夫な状態です!今は!」
七星ミルキ:その場にいなかった二人に。
エニュオ・デュカキス:「大丈夫ですよ。こんなところでひっくり返すようなことはしません」
エニュオ・デュカキス:「後でやります」聞こえた人間がいるかはわからない
サマンサ・シュヴァイゲル:「わかったわ!ウノちゃんとみんなのお友達なのね!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「職員室のサマンサです!お着換え中にごめんなさい……!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「続けて大丈夫だから!ジロジロ見てごめんなさいね!」今更視線を逸らしている。
イクス4:「おかげさま、ってのはその通りだぜ。倒れたのがカナートスで良かったな」
イクス4:「他の学区だったら覚醒まで2ヶ月か3ヶ月はかかっただろ」
イクス4:「……十字冠は、アンタをカナートスの外に弾き出さなかった」
七星ミルキ:「……カナートスの治療が、必要と判断されたんですね」
イクス4:「今なら分かる。あの状況でも……それが一番助かる可能性が高いと、戒則が判断しやがったんだ」
エニュオ・デュカキス:「昔から運はいい方でしたが。こうして立っている価値は代えがたいものです」
エニュオ・デュカキス:「……その様子だと、ここを訪れたのはあれから私達以外はいないようですね」
サマンサ・シュヴァイゲル:「イクスちゃん、ルーちゃんのことは」
サマンサ・シュヴァイゲル:「何か分からないかしら、外が迷路じゃなくなってて」
サマンサ・シュヴァイゲル:「それはいいんだけど……心配なの」
イクス4:「そうだったのか。つまり攻性症例が解除されたってことか……?」
イクス4:「あれは自分の意志でどうにかなるもんじゃないし、少し仮眠したくらいじゃ解除されないはずだ」
イクス4:考え込む。
サマンサ・シュヴァイゲル:そわそわそわそわ
サマンサ・シュヴァイゲル:「ウノちゃんが、データとか観る時間あるわよね」
サマンサ・シュヴァイゲル:「先生やっぱり探してくるわ!あの怖いジャームさんだって、まだいるんだもの!」
イクス4:「ノンレム睡眠状態になるか、あるいは死んで意識が途絶えたかだな……」
サマンサ・シュヴァイゲル:「死ッ!?」
サマンサ・シュヴァイゲル:表情が青ざめる。
七星ミルキ:「……あの状況で、ぐっすり眠れるとは、考えづらいですよね」
三部つゆり:「単純なリザレクト・・・というより、十字冠転送でしょうか」
イクス4:「リザレクトだと意識の連続性はまだあるだろ?」
イクス4:「オレも別に冗談を言ってるわけじゃねえぞ。シュエフィは本当に自殺したことがある」
七星ミルキ:「えっ!?」
イクス4:「カナートスに来て最初の頃だったな。たった一人で、皆に迷惑をかけているのが辛すぎて、自殺したんだ」
イクス4:「その時には攻性症例も強制的に解除された。今じゃシュエフィもそんな馬鹿な真似しなくなってるって思いたいが……」
七星ミルキ:「そんな……」少し話しただけでも、巻き込むことにとても申し訳無さそうな顔を思い出す。
エニュオ・デュカキス:「迷宮化の後に会ったのはお二人でしたね」
エニュオ・デュカキス:「七星さんの反応を見るに、自死を選ぶような状態は考えにくそうです」
サマンサ・シュヴァイゲル:「うー、ううう」
サマンサ・シュヴァイゲル:「やっぱり先生行ってくるわ!いってきます!」
三部つゆり:「え、ええ…確かに辛そうではありましたが、そういう類の…あ、せ、先生!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「そうならきっと、いまが一番痛くて寂しい思いをしてるはずだもの!一緒にいてあげなきゃ!」
サマンサ・シュヴァイゲル:扉に向かって走り出そうとする。
イクス4:「勝手にしろ」うんざりしたように呟く。
七星ミルキ:「ば、場所はわかるんですか!?」
サマンサ・シュヴァイゲル:「走り回って探すわ!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「先生まだまだ元気いっぱいなの!」
イクス4:「何言ってんだ堕天病のくせして……!アンタ、そこのベッドに寝転がってるのが似合いだぞ」
サマンサ・シュヴァイゲル:「病気なんて、ウノちゃんが治してくれたもの!平気!へっちゃら!」
サマンサ・シュヴァイゲル:※さっきまで後遺症で気絶していた。
チェルシー・ミラー:「先生!」服の裾を引っ張る。
チェルシー・ミラー:「せめて連絡手段がないと危ないですよ」
カート・トゥエ:「……シュエフィのことは心配だけど」
カート・トゥエ:「これって、あたしも一緒に連れてかれるのかな……」肩に乗っているのでされるがまま。
サマンサ・シュヴァイゲル:「あっ!?本当だわ!トゥエちゃんも一緒になっちゃう!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「連れ去っちゃうところだったわ……あぶないあぶない……」
サマンサ・シュヴァイゲル:肩車中のトゥエちゃんと担いでたボンベをおろす。
カート・トゥエ:「また運んでね」
三部つゆり:「そ、それなら私が余計に携帯いつも持ってるので、一番頑丈で操作も簡単なのお渡ししますが…」防水防塵耐衝撃で、電話に出るボタンが大きくあるタイプ。
サマンサ・シュヴァイゲル:「もちろんだわ!いつでも乗せてあげる!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「また運ばせてね!」
サマンサ・シュヴァイゲル:つゆりちゃんから携帯を受け取り、そのまま勢いで飛び出していってしまう。
サマンサ・シュヴァイゲル:「うおぉおおお!ルーちゃんどこーっ!?」
カート・トゥエ:「………」
カート・トゥエ:「行っちゃった」
三部つゆり:「操作説明とか……ま、まあ電話なら一番大きいボタンを押せばいいだけだし大丈夫かな…?」
チェルシー・ミラー:「わっ、私も」遅れて走り出す。
チェルシー・ミラー:「サマンサ様をお守りします!心配なので……!」
七星ミルキ:「気、気をつけてね!」
エニュオ・デュカキス:「申し訳ありません。お願いします」
三部つゆり:「あ、すみません…!お願いしますね…!携帯も落としてたら拾ってあげてください!」
イクス4:「ったく、緊張感はないのかよ。"霊安室"の兵器がうろついてるんだぞ……」
イクス4:頭を掻く。
エニュオ・デュカキス:「……中華圏であれば鲁雪慧で、ルーは苗字だと思いますが」思考がぽつりと口から零れる
七星ミルキ:「サマンサ先生は、ルー・シュエフィさんに一番守られてましたから……放っておけないんだと思います」
七星ミルキ:「シュエフィさんのことだけ名字で呼んでらっしゃいますし、敬意の一種でしょうか?」
七星ミルキ:東洋系のネームだと当たりをつけている
三部つゆり:「あ、いや…あの様子だと……」
三部つゆり:「たぶん、気付いてないんじゃないかな……?」
七星ミルキ:「……………」
七星ミルキ:「そっちのほうがありうるなぁ……」
エニュオ・デュカキス:「そうですね」
七星ミルキ:「と、ともあれだよっ」
七星ミルキ:「ウノさんが起きてくるまで時間があるのなら、他のことをしたほうが良いかな?」気まずくなったので話を変えようとする
七星ミルキ:「先にデータを確認しておくとか、霊安室の兵器の対策とか……?」
イクス4:「……いや。センセイは、オレに代理を任せた」
イクス4:「記録の確認が必要なら、オレが見る」
七星ミルキ:「おぉ!」
イクス4:「……」
イクス4:「信用できないか?」
七星ミルキ:「するよ、信用」
七星ミルキ:「経過はどうあれ、私達に一度任せてくれたもんね」
三部つゆり:「私も信じますよ。あなた自身というより、あなたに任せたワイルゴッドさんを、となりますが」
エニュオ・デュカキス:「……決議は取れました。今更反論はしません」
七星ミルキ:「と言うわけで、このメモリーがデータです。どうすればいいか分かる?」イクス4に差し出す
イクス4:「いい。記憶を直接読む」
イクス4:「このデータと……アンタ達がどうやってこれを手に入れたのかを」
イクス4:「治療記録自体が捏造されたものだったとしても、オレの攻性症例の前じゃごまかしは効かない」
七星ミルキ:「ほえ……イクス4さんの症例、そういう事もできるんだ」
七星ミルキ:「うん、良いよ。読んで頂戴。ちょっと……いやうん、見てもらえばわかるよ」
イクス4:「……ずいぶん潔いんだな。だけど」
イクス4:「もしもアンタ達がカナートスを騙そうとしているなら、オレが許さねえ」
イクス4:「――攻性症例111:自我同一性障害」
GM:時間にして、20秒にも満たなかっただろう。
GM:過去の経歴まで読み取るならばともかく、クロード・カレルとの接触は極めて直近の記憶だ。
イクス4:「――っ!」
イクス4:息を呑み、ミルキを突き飛ばす。
七星ミルキ:「きゃっ!?」
七星ミルキ:突き飛ばされ、たたらを踏む。
イクス4:「お前……」
イクス4:涙をぽろぽろと流している。
イクス4:「…………」
七星ミルキ:ぽすんとなにかの器具に腰掛ける。
イクス4:「……」
七星ミルキ:「……イクス4、さん?」見上げる。
七星ミルキ:「だい、じょうぶ?」
七星ミルキ:上着のポケットからハンカチを探る。
イクス4:「なんで……お前、それで……」
イクス4:「顔に出さずにいられるんだよ……こんなに……辛いのに……」
イクス4:「……」
七星ミルキ:その涙の理由を察する。自我同一性障害、医者となれば相手を傷つけることは不可能な、感情の合一。
イクス4:「…………信用するよ。劇症型堕天病がどこに収容されているのかは、センセイから聞いてる……」
七星ミルキ:「……ごめんね、やっぱり先に説明しておけばよかったかな」
七星ミルキ:つかう?とハンカチを差し出す。
イクス4:首を振る。
イクス4:「――劇症型堕天病のサンプルをノヴァリスで入手できる機会は」
イクス4:「きっと、今後は来ない」
イクス4:「この規模の堕天病の感染爆発があったからこそ、大量の感染者の中に、劇症型の変異株も発生した」
七星ミルキ:「……うん」
イクス4:「しかも劇症型の患者は、全員が最優先で治療されているはずだ」
イクス4:「センセイが劇症型を手に入れられるのは、ラス・ヴィダスであの事件が起こった直後の、このタイミングしかなかったんだ」
イクス4:「……アンタ達が破壊しちまったら」
イクス4:「きっと、二度目はないんだ。心から死にたいと望んでる患者を、今すぐに殺して救える手段は」
七星ミルキ:「……そうだね。ウノさんにとっては、やっと手に入れた『手段』だったと思う」
七星ミルキ:「それでも」
七星ミルキ:「殺さずに救える手段があるなら、それを探したい」
七星ミルキ:「……ウノさんも、きっとそう思ってたから」
七星ミルキ:「私達の話を聞いてくれたと思ってるよ────なんて」
七星ミルキ:「私が言うことでもないかな、これは」
イクス4:「あんた達は、立派なことを言う」
イクス4:「すごく簡単なことだ。今この場で約束してみせるのは」
イクス4:「……」
イクス4:「七星ミルキ。三部つゆり。エニュオ・デュカキス」
イクス4:「オレはアンタ達の心を見ることができる」
イクス4:「放り出さないと決めてくれ」
エニュオ・デュカキス:「──そうですね。ここで私が出すべきは言葉以外の方が有益でしょう」
エニュオ・デュカキス:「仮ですが、契約があります。それを反故にすることはジェネシスの人間としてあり得ません」
イクス4:「くははっ……オレ個人にはいくらでも報復したっていいぜ。アンタ達を騙し討ちしたのは事実だもんな?」
イクス4:「ずっと……気がかりなのは」
イクス4:「オレより重い患者のことだけだ……」
エニュオ・デュカキス:「貴方の顔面を変形させて、彼女達が治るなら容赦なく致しますが」
エニュオ・デュカキス:「生憎と無駄をこなす余裕が今の私にはありません」
エニュオ・デュカキス:指先が宙に踊る。新たに装填された腕が照明を受けてわずかに輝く
エニュオ・デュカキス:「口約束でも契約は契約です。これ以上の回答は、私から出せるものではありません」
イクス4:「……やっぱり、エニュオ・デュカキス」
イクス4:「あの時……アンタを一番に警戒したのは、正解だったみたいだ。強いな……」
三部つゆり:「私は……」エニュオさんに続くために、此処は断言するべきところだった。それができずにいる。
三部つゆり:イクス4が覗き込めば。その内心は、澄ました見た目とひどく違うのがわかる。
三部つゆり:まるでひどい雨が通り過ぎた後のような、荒れた模様だった。
三部つゆり:不安。困惑。心細さ。自身の存続とリミットへ焦る恐怖。そして、なにも出来ないのではないかという無力感。――今度もまた、間に合わないだろうと囁く声。
三部つゆり:そして、その上で。
三部つゆり:それらを燃やすように、切り刻むように、決めた事をやり通せ、と呪うように告げる声が、こころを支配する。
三部つゆり:「分かりました。…カナートスの患者の方々を、放り出したりしないことを誓います」
七星ミルキ:「私も、」言葉を続ける。その瞳は揺れない。
七星ミルキ:しかし先ほど読み取った心の揺れは、短い時間では回復するはずもない。
七星ミルキ:ただ、それを表に出さず、いつもの振る舞いの裏で
七星ミルキ:誰かへの心配を続けることを、もう何年も続けているだけだ。
七星ミルキ:「約束します。言ったことは口だけじゃない、って」
七星ミルキ:「どれだけ理想的で、机上の空論に聞こえる話でも」
七星ミルキ:机上の空論だろうと、実際にやってみれば半分ぐらいは実現することが出来る。
七星ミルキ:残りの半分は、もう一度やれば、また半分程は叶う。
七星ミルキ:憧れたのは、そういう事をする人だった。
七星ミルキ:「実現するまで、投げ出しません。……約束します」
イクス4:「オレは……」
イクス4:「アンタ達の心を見た」
イクス4:「だけど、勝手に他人の記憶が流れ込んでくるオレとは逆に……」
イクス4:「アンタ達は……本来アンタ達の暮らしとは無関係な、辛い責任を背負うことになる」
イクス4:「……それでもいいなら、やってくれ」
イクス4:「劇症型堕天病は実験棟地下にある」
イクス4:「処分して欲しい」
GM:NPCカードを獲得します。

■NPCカード:イクス4
【容疑者X】
対象のキャラクターのタイタスを1つ選び、ロイスに変更する。
すでに昇華済みのロイスを選択してもよい。

七星ミルキ:すごい
三部つゆり:凄いぜ……
サマンサ・シュヴァイゲル:えらすぎ

七星ミルキ:「…………うん」
七星ミルキ:「でも、無関係ってのは違うかも。たぶんね」
七星ミルキ:「私達は、私達の暮らしの中で、それぞれ理由があって、カナートスに来たんだから」
七星ミルキ:「私達と貴方達には、縁があったんだと思う」
七星ミルキ:ね、とエニュオとつゆりの2人にも笑いかける
三部つゆり:ふ、と小さく返すように笑う。「……そうかもしれませんね。そして…決めたのなら、私はやるだけです」
エニュオ・デュカキス:「ここまで来てしまったとも言えますが。なっているなら、すべきことです」
エニュオ・デュカキス:カナートスとの関わりも、随分と長く感じられる。それほどに絡まったのなら、引っ張って背負うにはちょうどいいだろう



カナートス臨床医学研究院 廊下


GM:廊下を猛然と走り、階段を駆け上がり、また駆け上り、別の棟に向かい、また同じように駆けずり回る。
GM:何人かの患者が、そんなサマンサの様子を怪訝そうに見ていた。
GM:大学区の病院より遥かに巨大な病棟とはいえ、迷宮化が解除されていれば、全体を探索するのにそう時間はかからない。
GM:むしろ、この程度の建物が、あれほど広大で複雑な迷宮と化していたことの凄まじさを、改めて理解するだろう。
サマンサ・シュヴァイゲル:「ご迷惑おかけしています!!」
サマンサ・シュヴァイゲル:どすどすどすどす!全力疾走。
チェルシー・ミラー:「はぁ、はぁ……待って……」
チェルシー・ミラー:「サマンサ様……先生……はぁ、はぁ……」
チェルシー・ミラー:その後ろから必死についてきている。
サマンサ・シュヴァイゲル:「え……?」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ああっ!?チェルシーちゃん!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「付いてきてくれたのね!ご、ごめんなさい」
サマンサ・シュヴァイゲル:「先生、自分の足音がやかましくて気付かなかったわ!」
チェルシー・ミラー:「さっきから結構呼びかけてました」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ああああ……!ごめんなさい……!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「恥ずかしい……!」
チェルシー・ミラー:「はぁ、はぁ……もうちょっと近くに来てください……」
サマンサ・シュヴァイゲル:顔を掌で覆ってしゃがんでいる
サマンサ・シュヴァイゲル:「?」
サマンサ・シュヴァイゲル:「分かったわ」
サマンサ・シュヴァイゲル:言われたとおりにする。
チェルシー・ミラー:ムシャリ
チェルシー・ミラー:「おいしい~~」肩に噛みついている。
サマンサ・シュヴァイゲル:「いたーっ!?」
サマンサ・シュヴァイゲル:「こうなるの忘れてた!トゥエちゃんからダメって言われてるのに~!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「でも……いいわ!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「これではぐれる心配がなくなったってことだもの!」
サマンサ・シュヴァイゲル:噛みつかれたまま立ち上がっている。チェルシーがぶらーんとなる。
サマンサ・シュヴァイゲル:「ただ……どこに行けばいいのかしら」
チェルシー・ミラー:「肩ロースの味がする~~」
チェルシー・ミラー:歯の力だけでブラブラとぶら下がっている。
サマンサ・シュヴァイゲル:「チェルシーちゃん、何か心当たりないかしら」
サマンサ・シュヴァイゲル:自分に噛みついている相手に聞いてみる。
チェルシー・ミラー:「むぐむぐ、むぐー?」
サマンサ・シュヴァイゲル:「あっ、噛んだままだと答えられないわ」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ゆっくりお話してね、ゆっくり」
GM:そうしているうちに、倉庫に繋がる廊下の一角へと出る。
チェルシー・ミラー:「む……!」
チェルシー・ミラー:「むー!むー!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「噛み方が変わって、いたたたた……!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「チェルシーちゃんに反応があったわ!」
GM:その最奥に、うつ伏せで倒れている小さな少女の姿があった。
GM:リザレクト過程で流れ出した血が、床に大きく広がっている。
サマンサ・シュヴァイゲル:「!!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ルーちゃん!!」
GM:長い黒髪。ルー・シュエフィだった。
サマンサ・シュヴァイゲル:少女へと駆け寄る。
サマンサ・シュヴァイゲル:「しっかりして!」
チェルシー・ミラー:「シュエフィ!シュエフィ、大丈夫ですか!?」
ルー・シュエフィ:「……ぁ……ぅ……」
サマンサ・シュヴァイゲル:「息があるわ……よかった」
サマンサ・シュヴァイゲル:堕天病の兆候がないことを確認し、安堵の息をつく。
チェルシー・ミラー:「どうして、こんなこと……まさか、本当に自殺したんじゃ……」
ルー・シュエフィ:「シノ……」涙を流している。起き上がれない。
ルー・シュエフィ:「シノエ………どうして……」
サマンサ・シュヴァイゲル:「シノエちゃん……?」
サマンサ・シュヴァイゲル:「シノエちゃんが、これをしたの?」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ち、違う、そんなことより」
サマンサ・シュヴァイゲル:「手当をしなきゃ!ええと、ええと」
チェルシー・ミラー:「大丈夫です。リザレクトで傷口自体は塞がってます」
チェルシー・ミラー:「声も出てますから、気管の形成異常もないはず」
チェルシー・ミラー:「ただ……」
サマンサ・シュヴァイゲル:手術室からかき集めてきた治療器具で
サマンサ・シュヴァイゲル:不器用な手当てをしていく
ルー・シュエフィ:「うっ、うううっ、う……」
ルー・シュエフィ:「うえええ……」
サマンサ・シュヴァイゲル:「だ、大丈夫?ルーちゃん」
サマンサ・シュヴァイゲル:「まだ痛むのかしら……ど、どこが痛いのかしら?」
サマンサ・シュヴァイゲル:おたおたしている。
ルー・シュエフィ:「ううん……ううん……」
ルー・シュエフィ:「いい、のっ……ぐすっ……」
ルー・シュエフィ:「私が」
ルー・シュエフィ:「私が、迷惑、かけた、から」
サマンサ・シュヴァイゲル:「……よ」
サマンサ・シュヴァイゲル:「よくないわ、全然よくない!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「どこか痛いなら痛いって言って」
サマンサ・シュヴァイゲル:「何かが悲しいなら、悲しいことを、お話して」
サマンサ・シュヴァイゲル:「……あなたのことが、大事なの」
サマンサ・シュヴァイゲル:寄り添い、力なく開かれた手を握る。
ルー・シュエフィ:「シノエちゃん、に……」
ルー・シュエフィ:「シノエちゃんに、やられた……」
ルー・シュエフィ:「なんで……なんでなの……」
ルー・シュエフィ:「友達だったのに……やっと会えて、嬉しかったのに……」
チェルシー・ミラー:「……シノエが、そんなことをしたんですか?」
チェルシー・ミラー:「信じられない……」
サマンサ・シュヴァイゲル:「……そう、そっか」
サマンサ・シュヴァイゲル:「友達だったのね、大事な」
サマンサ・シュヴァイゲル:ジャームに過去のその人物を重ねてはいけない。
サマンサ・シュヴァイゲル:職員室で教えられた、オーヴァードとして戦うための基礎知識。
サマンサ・シュヴァイゲル:ましてや星徒は、生物としても元となった生徒と別の個体だという。
サマンサ・シュヴァイゲル:言葉の上でそう知らされても、実感は出来ていない。それを上手く説明できるとは思えない。
サマンサ・シュヴァイゲル:「……聞いて、ルーちゃん」
サマンサ・シュヴァイゲル:だから、自分に分かる確かなことだけを伝える。
サマンサ・シュヴァイゲル:「先生、ルーちゃんのお陰で元気になれたわ」
サマンサ・シュヴァイゲル:「あなたの親切でここにいるの」
ルー・シュエフィ:「先生……」
ルー・シュエフィ:「でも、でも私」
ルー・シュエフィ:「役に立てなくて」
ルー・シュエフィ:「先生が死にそうなのに、誰にも診せてあげられなくって」
ルー・シュエフィ:「私の……私のせいで……!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「聞いて、ルーちゃん」
サマンサ・シュヴァイゲル:「でもなんてない、嘘になんてならない」
サマンサ・シュヴァイゲル:「あの時、苦しくて、痛くて、上も下もどっちか分からなくて」
サマンサ・シュヴァイゲル:「自分のことも忘れそうになって……その時に」
サマンサ・シュヴァイゲル:「聞こえてたのは、ルーちゃんの声だった」
ルー・シュエフィ:「ぐすっ……」
サマンサ・シュヴァイゲル:「絶対に忘れない、私の知ってる本当のことよ」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ルーちゃん」
サマンサ・シュヴァイゲル:「一緒にいてくれてありがとう」
サマンサ・シュヴァイゲル:「……だから」
サマンサ・シュヴァイゲル:「泣かないで、ルーちゃん」
サマンサ・シュヴァイゲル:「あなたは、素敵なヒーローなんだから」
サマンサ・シュヴァイゲル:強く手を握る。今ここにいることを示すために。
サマンサ・シュヴァイゲル:元気になれたことを、知ってもらうために。
ルー・シュエフィ:「う、ううう……」
ルー・シュエフィ:サマンサにしがみついて泣く。
ルー・シュエフィ:「よかった……よかったです……」
ルー・シュエフィ:「先生が……死なないでいてくれて……」
ルー・シュエフィ:「よかった………」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ええ、ええ」
サマンサ・シュヴァイゲル:「よかったわ、よかったのよ」
サマンサ・シュヴァイゲル:つられてこちらも泣いてしまう
サマンサ・シュヴァイゲル:「生きていてよかった、生きられてよかった」
サマンサ・シュヴァイゲル:「……怖かった」
サマンサ・シュヴァイゲル:「死んでいくのは、とっても怖かったの」
サマンサ・シュヴァイゲル:ルーの小さな体にしがみつくように、こちらもグスグス泣いている。

GM:シーン終了。ロイス取得が可能です。
エニュオ・デュカキス:応急キットを自身に使用します。
エニュオ・デュカキス:2d10+3
DoubleCross : (2D10+3) → 15[10,5]+3 → 18

七星ミルキ:ロイス満杯!以上!
三部つゆり:ロイスは…満タン!カナートスへのロイスのネガティブを、憤懣から 義務感に変更します。
GM:ここでカナートスへのロイスが変わるの綺麗だなあ
エニュオ・デュカキス:では最後の一枠はここで結びましょう
エニュオ・デュカキス:カナートス臨床医学研究院を「〇責務/債務」で取得します
三部つゆり:責務と債務・・・!いいなあ
GM:エニュオさんも……!
GM:債務と責務は裏表ということなのだなあ
GM:素晴らしい。ではクライマックスに突入しましょう……!


◆Climax◆死に至る病とは絶望のことである

GM:全員登場です。
七星ミルキ:七星ミルキの侵蝕率を1D10(→ 1)増加(87 → 88)
エニュオ・デュカキス:エニュオ・デュカキスの侵蝕率を1D10(→ 8)増加(91 → 99)
エニュオ・デュカキス:ウワー
三部つゆり:三部つゆりの侵蝕率を1D10(→ 4)増加(95 → 99)
三部つゆり:ニャン・・・・・・
七星ミルキ:ゾロ目
サマンサ・シュヴァイゲル:1d10+62
DoubleCross : (1D10+62) → 8[8]+62 → 70

サマンサ・シュヴァイゲル:オラッ!

カナートス臨床医学研究院 実験棟地下


GM:ガラス張りの実験棟地下。生徒達が"霊安室"と呼んでいた施設は、ここのことだろう。
GM:工場じみた無機質な施設には、生命の気配はない。打ち捨てられた死の残滓だけがある。
GM:ウノ・ワイルゴッドがこの中のどこかに劇症型堕天病を隠していたことが分かっていたとしても
GM:ルー・シュエフィの攻性症例の発動下では、ほぼ辿り着けなかった場所に違いない。病棟から出ることすら容易ではなかったのだ。
GM:多くの勢力と多くの意図が絡み合って、彼女らはここまで来た。それももうじき終わる。
GM:全ての悲劇を生む『十字冠を破壊する兵器』を根絶しなければならない。
"死神":〈お前さんがたもここに来たか〉無人の実験室廊下に、ノイズ混じりのアナウンスだけが響く。
"死神":〈俺のガイドは必要なかったな〉
七星ミルキ:「"死神"さん。こちらの動向も流石把握してましたか」
七星ミルキ:「案内人がいらっしゃるなら、迷ったってことはなさそうですね」
エニュオ・デュカキス:頷いて
エニュオ・デュカキス:「──先生の方には一報を入れましたが」
エニュオ・デュカキス:「辿り着けるでしょうか」
"死神":〈あわよくば、お前さんがただけでケリをつけようってわけかい〉
"死神":〈心意気はいいが、サマンサ・シュヴァイゲル……ああいう奴の方が、却って分からないぜ?〉
"死神":〈ありゃあ常に『必死』だ〉
"死神":〈意味がない時でも、空回りでも……〉
"死神":〈……死を前にしていなくても〉
"死神":〈だけどな。俺は……俺は本物の『必死』が見たいんだよ〉
"死神":〈自分の道行きの先に、確実に死があることを知っている時の力〉
"死神":〈終わりが来ることを分かった上で、自分に与えられた存在と可能性の全部を燃やし尽くせる時の力〉
"死神":〈雨月夜シオンが全てを覆したような、そういう力が――〉
"死神":〈あるはずなんだ。末期の病人にすら〉
三部つゆり:「……サマンサ先生の言動が、人を動かすのは…あなたの言う通りなのかもしれません」
三部つゆり:「でも…その後は。そんな、自分の終わりがあることが分かっても、燃やし尽くしてしまうような力は…」自分の学区で出会った、星を掲げる人を想う。
三部つゆり:「その後が、本当になくなってしまうか、本当に辛い日々を送ることになる。……そんなことは、させるわけには行かない」
"死神":〈……安心しな。俺のこういうやり口も、今回で終わりだ……〉
"死神":〈クロード・カレルに、俺が使えたカナートスの権限の大半はロックされた〉
"死神":〈これまでみたいにシステムを掌握できねえ〉
"死神":〈だがな。最後にできることをかき集めて……〉
"死神":〈お前さんがたが『必死』になれるようにしてやる〉
七星ミルキ:「……一体、何をするつもりですか?」
"死神":〈見れば分かるさ。収容室までのロックは全部解除しておいた……〉
"死神":〈劇症型堕天病の在処までは一直線だ〉
七星ミルキ:「! ……?」
七星ミルキ:「それは……親切、ですね」
三部つゆり:「…………絶対碌でもないものが待ち受けてるパターンでしょう、これ」
エニュオ・デュカキス:「素直に進めば望む場が作られていると」
エニュオ・デュカキス:「……」ひとつ、残っている要素が頭をよぎる。それでも
エニュオ・デュカキス:「それでも。踏み込むしかありません」
七星ミルキ:「はい。……そのために来たんですもの」
エニュオ・デュカキス:「欲を言えば、この暗闇で蝋燭一本くらいは頂きたかったところですね」
"死神":〈蝋燭はあるとも。エニュオ・デュカキス――〉
"死神":〈『そこの蝋燭』〉
"死神":〈『これっぱかりになって、消えそうになってるのが』〉
"死神":〈『お前の寿命だよ』〉
GM:収容室の扉のランプは、近づくだけで緑に点灯した。
GM:B101号室。もはや収容する生物兵器のない空き室に、ウノ・ワイルゴッドは劇症型堕天病を隠したのだ。

カナートス臨床医学研究院 B101号室


GM:巨大な収容室は無惨に破壊されて、試薬が床に飛散している。
GM:記憶に新しい怪物の姿もあった。――それも、同時に2体。

"キッチンボイラー":沸騰する血液を垂れ流し続ける、獣の骨格じみた怪物。"キッチンボイラー"。
"リトルドレッサー":顔面。腕。人体を捻じ曲げたような腫瘍が寄り集まり、膨れ上がっている。"リトルドレッサー"。
シノエ・リュコス:「あはは」そして。
シノエ・リュコス:「たくさん来た」
シノエ・リュコス:真っ白な髪を持つ、天使のような印象すら与える星徒。シノエ・リュコス。
カート・トゥエ:「え……シノエ……」
カート・トゥエ:「どうして、ジャームといっしょに……」
七星ミルキ:「…………」すぅ、と短く息を吸う。
七星ミルキ:「気をつけてください、トゥエさん」
七星ミルキ:「彼女は星徒スターダスト──貴方の知っているシノエ・リュコスと全く同じ姿をした……」
七星ミルキ:キュ、と唇を引き締める
七星ミルキ:「全く異なってしまった、ジャーム。……そういう存在です」
カート・トゥエ:「え、だって……」動揺して後ずさる。
カート・トゥエ:「だって、シノエ……帰ってきたって……だって……」
シノエ・リュコス:「トゥエ、だまされちゃだめだよ」
シノエ・リュコス:「そのお姉ちゃんは嘘をついてる」
シノエ・リュコス:「だって、死んだことがない人に、死んだ後のことがわかるわけないでしょ?」
カート・トゥエ:「そ、そう……だよね……ふ、ふふ……」
カート・トゥエ:それでも、シノエの方に近づくことができずにいる。
カート・トゥエ:"霊安室"の兵器を恐怖しているのか、それとも……
七星ミルキ:「────知っています、、、、、、
七星ミルキ:「貴方が、教えてくれました……といっても」
七星ミルキ:「ほんの入口。河原の淵。門に入る前。にわかと言われればそれまでですが」
七星ミルキ:「死んだあとは、『おしまい』ですよ」
シノエ・リュコス:「ほら。また嘘いってる……」けらけらと笑う。
シノエ・リュコス:「わたしが帰ってきたのに」
シノエ・リュコス:「おしまいだなんていうんだもん……」
サマンサ・シュヴァイゲル:――その時
サマンサ・シュヴァイゲル:困惑するトゥエの足元から、地響きが聞こえてくる。
サマンサ・シュヴァイゲル:ずずずん……ずずずん、ずずずん。
サマンサ・シュヴァイゲル:ずがぁあああああああん!!
七星ミルキ:「! この破壊音はまさか!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「待っ……たぁーーーっ!!」
サマンサ・シュヴァイゲル:壁を破壊し、肩にチェルシーをくっつけたまま。
チェルシー・ミラー:「がるるっ、がるるるるるる!」
チェルシー・ミラー:強力な咬合力で肩に食らいついている。
サマンサ・シュヴァイゲル:けたたましい破壊音と共に部屋へ飛び込んでくる!
サマンサ・シュヴァイゲル:「ごめんなさい!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「先生、遅刻しちゃったわ!!」
エニュオ・デュカキス:飛んでくる破片からトゥエさんを庇いながら
エニュオ・デュカキス:「いえ……紙一重ですが」
カート・トゥエ:「せ、せ……」腰を抜かした。
カート・トゥエ:「先生……」
三部つゆり:「サマンサ先生…!?渡した携帯の位置反応が出ないなと思ったら…!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ルーちゃんはお部屋に送っていったわ!もう大丈夫!」
七星ミルキ:「さ、再会できたんですね!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「それで……シノエちゃんに」
サマンサ・シュヴァイゲル:「先生、言わなきゃいけないことがあるの」
シノエ・リュコス:「あはははっ、あははははははは」突然割り込んできたサマンサに大笑いしている。
サマンサ・シュヴァイゲル:視線を向け
サマンサ・シュヴァイゲル:「……友達を泣かせるなんて」
サマンサ・シュヴァイゲル:「いけないことだわ!!シノエちゃん!!」
サマンサ・シュヴァイゲル:ずびし!!仁王立ちで指をさす。
チェルシー・ミラー:「シノエ……サマンサ先生から聞きました」
チェルシー・ミラー:「あなたは生きてた時のシノエとは……別人で」
チェルシー・ミラー:「ノヴァリスの生徒が、ジャームになった可能性……なんですよね?」
チェルシー・ミラー:「そうじゃなかったら……あなたがシュエフィを傷つけるわけない……!」
シノエ・リュコス:「わたしはわたしだよ」
シノエ・リュコス:「ずっと仲良くしてきたのに……帰ってきた時は、喜んでくれたのに」
シノエ・リュコス:「今さらになって、そんなこと言うの?」
シノエ・リュコス:「わたしがジャームだってわかったら、もうきらいになっちゃう?」
シノエ・リュコス:「シュエフィを傷つけたことって、本当にそんな大きな違いなのかな?」
シノエ・リュコス:「わたしね」
シノエ・リュコス:「今のほうが、昔のわたしよりもずっといいよ」
シノエ・リュコス:「つらい実験なんてしなくていいし」
シノエ・リュコス:「ずっと元気でいられるし……」
シノエ・リュコス:「みんなも、わたしと一緒にきてくれる」
シノエ・リュコス:「そうだもんね?」満面の笑みを浮かべた。
三部つゆり:「貴方は………」
三部つゆり:「なにをするつもりなんですか」うっすらと理解しつつある。だが、言葉にする必要があると思った。
シノエ・リュコス:「あのね」
シノエ・リュコス:腰の後ろで両腕を組み、笑う。
シノエ・リュコス:「"死神"先生から、いろんなことを教えてもらったの」
シノエ・リュコス:「カナートスの地下がどうなってるのかとか。この"霊安室"にいるみんなが、どんな兵器なのかとか」
シノエ・リュコス:「理事会の大人たちがいなくなって……みんな、"バニラドロップス"のこと、役にたたないと思ってるけど」
シノエ・リュコス:「本当はね!すごく役にたつの!」
シノエ・リュコス:「堕天病を……『十字冠を破壊する兵器』を!」
シノエ・リュコス:「ノヴァリスのみんなにプレゼントできるんだよ!」
"死神":〈――そういうことだ〉
GM:部屋の最奥には、薄青色の生物溶液で満たされた水槽があった。
GM:その中に浮遊しているものは、一見して他のジャーム兵器と同じものとは思えない。

"バニラドロップス":かすかに発光する、微小なクラゲか虫のような群体。
"バニラドロップス":侵入者を迎撃する用途には全く役に立つことのなかった、B102号兵器――"バニラドロップス"。
"死神":〈ついさっき、劇症型堕天病をこいつに感染させた、、、、、
"死神":〈単為発生奇形腫。不死性新生物。逆進性免疫不全症。……こいつが何を目的にして開発された生物兵器なのかを教えてやろうか〉
七星ミルキ:「まさか……」説明を聞きながら、説明された症例、状況。目的を考える。
"死神":〈こいつは単体じゃあ、ただ死ににくい、増殖していくだけの弱い生き物だ〉
"死神":〈だが、それでいいのさ〉
三部つゆり:「……ガンに、免疫不全…不滅の、無限増殖する…それに感染……、っあなた…!」
"死神":〈"バニラドロップス"は感染した病を逆進性免疫で増幅して蓄えていく、キャリアーだからな〉
"死神":〈こいつをノヴァリスの空に打ち上げる〉
"死神":〈高空環境でも、こいつは雲の僅かな水分と塵を栄養にして、単為増殖を繰り返し続ける〉
"死神":〈他のノヴァリスの連中が気付いた頃には、簡単には駆除できねえ数になっているだろうよ〉
"死神":〈そうして、こいつらは死の雨を降らす〉
"死神":〈"バニラドロップス"は、あらゆる疫病の中から、最も強い疫病を散布するために作られた生物兵器だ〉
"死神":〈今このノヴァリスで、最も強い疫病は〉
"死神":〈『十字冠を破壊する兵器』……劇症型堕天病。そうだろう〉
サマンサ・シュヴァイゲル:「……それを」
サマンサ・シュヴァイゲル:「私たちに教えてくれるのも」
サマンサ・シュヴァイゲル:「シノエちゃんの望みを、叶えてくれたのも」
サマンサ・シュヴァイゲル:「あなたにとっては同じことなのね、お墓頭さん」
サマンサ・シュヴァイゲル:水槽を静かに見つめている。
"死神":〈ああ、そうとも。そうさ……!〉
"死神":〈俺は『必死』が見たいんだ。口先だけの嘘じゃねえ、心の底から必死な奴が!それをどうやって証明できる!?〉
"死神":〈誰もが、本当に、必死になるべき状況を用意してやるしかねえ……!〉
"死神":〈この殺戮を止められるのは、そのために今必死になれる人間は、お前さんがただけだ!〉
サマンサ・シュヴァイゲル:「分かったわ」
サマンサ・シュヴァイゲル:「……ありがとう、お墓頭さん」
サマンサ・シュヴァイゲル:「あなたは平等で、自分の力を精一杯ひとつのために使ってる」
サマンサ・シュヴァイゲル:「真面目で、頑張り屋さんな人……それを立派だと思う」
サマンサ・シュヴァイゲル:「だけどその答えは、もう決まってる」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ここにいる生徒みんなの、生きたい気持ちは」
サマンサ・シュヴァイゲル:「生きていてほしい気持ちは」
サマンサ・シュヴァイゲル:「――絶対に負けたりしない!!」
"死神":〈いいや、決まっちゃいねえさ……!!〉
"死神":〈俺はシノエ・リュコスにも賭けた。お前さんがたにも賭けた〉
"死神":〈だがな。俺の本命は〉
"死神":〈別にいるんだぜ〉
GM:ぺたぺたという足音が
GM:一行の背後の廊下から近づいてきていた。
GM:ひどく弱々しい、まるで病人のような足音だった。
"死神":〈『銭はねえし借りるアテもねえ。かかあにはぎゃあぎゃあ言われる』……〉
"死神":〈『もう生きてるのが厭になっちまったなァ』〉
"死神":〈『身を投げて死のうか、首括って死のうか』〉
"死神":〈『それともかかあに言われたみてえに、本当に豆腐の角に頭ぶつけちまうか』――〉

ペテラ・アズテック:「はーっ、はーっ……!!」
ペテラ・アズテック:「げほ、げほ……ぜっ、はあ……!」
"死神":〈その男は……社会に見放された、最底辺の弱者だった〉
"死神":〈持っていたものといやあ、ただ一つ。命だけだ〉
"死神":〈だがな。そんな何も持たざる弱者だったからこそ……〉
"死神":〈『――なァ。そこのあんた。どうせ死ぬつもりなら』〉
"死神":〈『この俺が、いいことを教えてやろうか』〉
"死神":〈死神が手を差し伸べるのさ!〉
チェルシー・ミラー:「っ……ペテラ……」
カート・トゥエ:「どうして、どうしてこんなところに……!」
ペテラ・アズテック:「み、みん、な……みんな……」
ペテラ・アズテック:「邪魔、しないで……ください……!」
ペテラ・アズテック:「わたしが邪魔なら」
ペテラ・アズテック:「死にますから……今すぐ、死にますから……!!」
七星ミルキ:「……ペテラちゃん」
七星ミルキ:落ち着いた声。病室を見た時に、こうなる予感は──予想はしていた。
七星ミルキ:「ここに来た目的を」
七星ミルキ:「教えてくれる?……貴方の口から、聞かせて」
ペテラ・アズテック:「し、死に……たい……」
ペテラ・アズテック:初めから。
ペテラ・アズテック:ジェネシスにSMITを蔓延させたその時から。
ペテラ・アズテック:ペテラ・アズテックは求め続けていた。
ペテラ・アズテック:「死に………たい………!」
七星ミルキ:「──────そっ、か」
七星ミルキ:「私は、死なせたくない」
七星ミルキ:「貴方に生きていてほしい」
カート・トゥエ:「シノエも、ペテラも……!どうして、こんなことになるの!」悲痛に叫ぶ。
チェルシー・ミラー:「……下がって。私達の後ろに隠れていて。トゥエ」
チェルシー・ミラー:「だから、私が必要だったんだ」胸に手を当て、落ち着いた様子で呟く。
チェルシー・ミラー:「カナートスの仲間が敵になってしまうなら」
チェルシー・ミラー:「ヘル先輩は分かってたんだ。人の心のままじゃ戦えないから――」
チェルシー・ミラー:「だけど私は違う」
チェルシー・ミラー:「大切な……友達が、相手だって……!」
チェルシー・ミラー:「攻性症例203:寄生性異食症!!」
チェルシー・ミラー:獣じみた前傾姿勢に変貌する。
チェルシー・ミラー:「ああ……あ!」その症例が発動すれば、一つのことだけを考えるようになる。
チェルシー・ミラー:「人の、肉が、ほしい!!」
シノエ・リュコス:「ふふふふふ。ふふふふふ……!」
シノエ・リュコス:「チェルシーも、もう苦しまなくてよくなるんだよ!」
シノエ・リュコス:「わたしたちは、ずっと辛くて、怖かったもんね?」
シノエ・リュコス:「だけど死ねば……死んでしまえば」
シノエ・リュコス:「全部終わるんだよ!苦しいことも、悲しいことも全部!」
シノエ・リュコス:「だから、みんな一緒にきて!」
七星ミルキ:「すぅ………」細く、長く、一定の間隔で息を吸う。
七星ミルキ:("死神"さんの言葉を聞いて──ずっと思っていた)
七星ミルキ:ホントは、人の言うことを否定したくない。反発したくない。
七星ミルキ:他人の強い意見に反対するのは、同じぐらい、意見に力を入れなくちゃいけない。
七星ミルキ:言い合わずとも、皆がそれぞれ、わかりあえればと思う
七星ミルキ:(けど……認められない)
七星ミルキ:"死神"先生も
七星ミルキ:シノエ・リュコスも
七星ミルキ:────死を前提、、、、にしている
七星ミルキ:「必死になることは、きっと悪いことじゃないと思います」
七星ミルキ:「何度か助けられて、こういう事を言うのも恩知らずですが」
七星ミルキ:「でも、」
七星ミルキ:「確実な"死"がなくても、人は"必死"になれます」
七星ミルキ:そういう人を見た。
七星ミルキ:そういう人を見続けてきた。
七星ミルキ:「何かを失わないために、恐ろしいことを避けるために、苦しみを消すための死じゃなくて」
七星ミルキ:「何かを作るためだけに──楽しく、心底、必死になれる人を」
七星ミルキ:「私は知っていますから」
七星ミルキ:「死ぬことを最上に置く意見を、私は受け入れられない」
七星ミルキ:「見解の相違です」
七星ミルキ:そして、意見を違えた時。
七星ミルキ:卓につく前に必要な工程がある。
七星ミルキ:「メサイア式でお相手しましょう」巨大なハンマーを担ぎ上げる。機構が低く唸りを上げる。
七星ミルキ:「合同カタコンベ保全委員会、七星ミルキ」
七星ミルキ:「─────当方に、話し合いの用意あり、です」
三部つゆり:「……は姉さん。あ……姉さん。う…姉さん。…めみ。きょ……」目を閉じて。この世界ノヴァリスの誰も知らない名前を呟いた。
三部つゆり:勇気を貸してほしい、と口の中で呟く。
三部つゆり:「…今からとても残酷なことを言います。本当かどうかも分からないことを言います」
三部つゆり:「私の信仰を此処に告げます」
三部つゆり:「死は、終わりではない」
三部つゆり:「それは、本当に長い長い苦しみの始まりで。同じ世界にいた人は誰も助けになれない事で」
三部つゆり:「取り返しのつかないほどに、長すぎる苦しみの始まりなのだと」
三部つゆり:影を見た。そこにある輪廻を見た。冥府の王の如く、人々を取り込み続けて成長し拡大し、嘲笑うものをみた。
三部つゆり:「私は」
三部つゆり:「そんな哀しいことに、誰かを突き落とすわけには行かない」負けると分かっている勝負だった。
三部つゆり:それは、今この時だけでなく、ずっと続いていて――そして、今まで誰も勝つことはできなかったことだから。
三部つゆり:「イクス4さんに言いました。私は……」
三部つゆり:「カナートスの患者の誰も、見捨てません」
エニュオ・デュカキス:二つの言葉が朗々と部屋の中に響く中で。場違いとも言える、熱を横に感じる
エニュオ・デュカキス:「──先生はいいのですか?」
サマンサ・シュヴァイゲル:「すーっ……はーっ……えっ!?」
サマンサ・シュヴァイゲル:「えっ、何かしら」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ごめんなさい、何の話!?」
サマンサ・シュヴァイゲル:すっかり緊張でガチガチになっており、上ずった声で返す。
エニュオ・デュカキス:「……」こういう人だ。いいところも悪いところも含めて
エニュオ・デュカキス:「職員室……いえ、星室庁には。こういった時に使うべき宣言があると聞いたことがあったので」
エニュオ・デュカキス:「記憶違いでしたら申し訳ありません」
サマンサ・シュヴァイゲル:「……あ!!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「待って!そうだったわ!えとえとえと」
サマンサ・シュヴァイゲル:取り出したタブレットを、つんのめって手元で二三度取り落としそうになりながら
サマンサ・シュヴァイゲル:腕を伸ばし高く掲げる!画面に輝きが走る。
サマンサ・シュヴァイゲル:「星室庁」
サマンサ・シュヴァイゲル:「――開廷するわ!!」

     "バニラドロップス"[9]
        シノエ[4]
"キッチンボイラー"[5] "リトルドレッサー"[5]

          10m

   ミルキ[8/88] エニュオ[11/99]
    つゆり[8/99] サマンサ[5/70]
      チェルシー[19/100]

          5m

        ペテラ[13]

GM:クライマックス戦闘を開始します。
GM:衝動判定が発生します。難易度は9。
三部つゆり:8dx+3>=9
DoubleCross : (8DX10+3>=9) → 9[2,3,6,6,7,8,8,9]+3 → 12 → 成功

三部つゆり:三部つゆりの侵蝕率を2D10(→ 17)増加(99 → 116)
七星ミルキ:6dx+3>=9 思い出の一品
DoubleCross : (6DX10+3>=9) → 9[3,7,7,7,8,9]+3 → 12 → 成功

七星ミルキ:間違えた。14増えて102です
七星ミルキ:七星ミルキの侵蝕率を14増加(88 → 102)
サマンサ・シュヴァイゲル:うおおお
サマンサ・シュヴァイゲル:思い出の一品!
サマンサ・シュヴァイゲル:2dx+1
DoubleCross : (2DX10+1) → 9[6,9]+1 → 10

サマンサ・シュヴァイゲル:2d10+70
DoubleCross : (2D10+70) → 9[6,3]+70 → 79

サマンサ・シュヴァイゲル:オラッ
GM:アクションするたびうるさいなこいつ……
エニュオ・デュカキス:思い出の一品とラッキーメダルブラックで+2
エニュオ・デュカキス:7dx+2>=9
DoubleCross : (7DX10+2>=9) → 10[2,2,7,9,10,10,10]+4[1,1,4]+2 → 16 → 成功

エニュオ・デュカキス:エニュオ・デュカキスの侵蝕率を2D10(→ 6)増加(99 → 105)
GM:神聖二重冠が発動します。

【神聖二重冠】
クライマックスフェイズ中に限り、あなたが持つ【十字冠】をアップグレードし、効果を以下のように書き換える。
あなたは、シナリオ中に一回のみ、以下の効果の中からどれか一つを選んでオートアクションで使用できる。

・このメインプロセスでは、あなたが受ける【判定ダイスへの侵蝕率ボーナス】の値を3倍にする。
・このメインプロセスでは、あなたが受ける【エフェクトLVへの侵蝕率ボーナス】の値を2倍にする。これによってエフェクトの使用回数は増えない。
・あなたの侵蝕値を任意の数値まで瞬時に上昇させ、あなたのHPを+[上昇分×3]点回復する。この時、HP上限を超えることはできない。
・あなたの侵蝕値を任意の数値まで瞬時に上昇させる。あなたがこのメインプロセスで行う攻撃の攻撃力を+[上昇分×2]点増やす。
・あなたの侵蝕値を任意の数値まで瞬時に上昇させる。あなたがこのメインプロセスで行う判定の達成値を+[上昇分×3]点増やす。
・この戦闘のバックトラックでは、あなたが昇華したタイタスを1個、ロイスとして再取得できる。ただし、この効果は昇華前にSロイスに指定したロイスしか対象にできない。
・この戦闘のバックトラックでは、最終侵蝕値によって得られる経験点を3倍にする。

■ラウンド1

チェルシー・ミラー:チェルシーはなし。
ペテラ・アズテック:ペテラにもありません。
三部つゆり:1R目セットアップは何もなし!
エニュオ・デュカキス:ありません
七星ミルキ:セットアップなし!
"バニラドロップス":《従者の行進》。《赤色の従者》を使用しました。
サマンサ・シュヴァイゲル:なし!
"リトルドレッサー":《ヴァイタルアップ》。最大HPを+60、さらに侵蝕率を+60。エフェクトレベルも上昇します。
"キッチンボイラー":《苛烈なる熱気》。登場しているキャラクターは達成値21以下の判定が失敗します。
七星ミルキ:トゥエちゃん!
カート・トゥエ:はーい!
サマンサ・シュヴァイゲル:いけえええええ
七星ミルキ:ウツムークー セナカーニーイマー
サマンサ・シュヴァイゲル:ぶっつぶせ!!!
カート・トゥエ:NPCカード【大海難の蝋燭】。《苛烈なる熱気》を無効化!
シノエ・リュコス:そしてお待ちかねの《レネゲイドキラー》……!自分以外の敵味方無差別に、エフェクトひとつごとに5点のHPを失う!
七星ミルキ:キィーッ!

     "バニラドロップス"[9]
        分裂体[9]
        シノエ[4]
"キッチンボイラー"[5] "リトルドレッサー"[5]

          10m

   ミルキ[8/102] エニュオ[11/105]
    つゆり[8/116] サマンサ[5/79]
      チェルシー[19/100]

          5m

        ペテラ[13]

GM:手番は行動値19。チェルシーは命令されたとおりに動きます
七星ミルキ:ではチェルシーちゃん!
七星ミルキ:マイナーはフルコンボ、メジャーは《一閃》《コントロールソート》でボイラーさんを食べちゃってください!
チェルシー・ミラー:ワンワン!
チェルシー・ミラー:《破壊の爪》《オリジン:レジェンド》!HPが10点減っちゃいます!いたい
チェルシー・ミラー:《一閃》《コントロールソート》で敵エンゲージに接近!いたたた
チェルシー・ミラー:残りHPは7になり
チェルシー・ミラー:"リトルドレッサー"の「絶対拒絶」×2で2D10も侵蝕が上がります……!でも大丈夫!
チェルシー・ミラー:NPCだから侵蝕管理しないので……!
サマンサ・シュヴァイゲル:ヤッター!!
七星ミルキ:効果を受けない!
サマンサ・シュヴァイゲル:無敵女!!

     "バニラドロップス"[9]
        分裂体[9]
        シノエ[4]
"キッチンボイラー"[5] "リトルドレッサー"[5]
      チェルシー[19/100]

          10m

   ミルキ[8/102] エニュオ[11/105]
    つゆり[8/116] サマンサ[5/79]

          5m

        ペテラ[13]

チェルシー・ミラー:5dx+14
DoubleCross : (5DX10+14) → 7[1,2,5,7,7]+14 → 21

チェルシー・ミラー:危なかった!トゥエが《苛烈なる熱気》を解除してくれなかったら今頃……
サマンサ・シュヴァイゲル:友情パワーだぜ
七星ミルキ:すごいぞトゥエちゃん
"キッチンボイラー":小癪なやつめ……《炎神の怒り》も持ってるけど素で回避しようっと
"キッチンボイラー":エフェクト無駄に使うとレネゲイドキラー食らうし
"キッチンボイラー":8dx+3>=21
DoubleCross : (8DX10+3>=21) → 9[1,2,2,5,5,7,8,9]+3 → 12 → 失敗

サマンサ・シュヴァイゲル:一丁前にリスクマネジメントしよる
七星ミルキ:判断力のある兵器め
チェルシー・ミラー:ニャン!
チェルシー・ミラー:3d10+18
DoubleCross : (3D10+18) → 17[3,9,5]+18 → 35

"キッチンボイラー":小童の割にはまあまあのダメージを出すではないか……結構喰らいました。
七星ミルキ:腹ペコ少女はキッチン用品に強い
三部つゆり:よしよし ありがたい
ペテラ・アズテック:次は行動値13。ペテラ・アズテックの手番です。
七星ミルキ:ベッドで眠ってくれたら子守唄歌うよ…
ペテラ・アズテック:マイナーで5m移動し、PCにエンゲージします。

     "バニラドロップス"[9]
        分裂体[9]
        シノエ[4]
"キッチンボイラー"[5] "リトルドレッサー"[5]
      チェルシー[19/100]

          10m

   ミルキ[8/102] エニュオ[11/105]
    つゆり[8/116] サマンサ[5/79]
        ペテラ[13]

ペテラ・アズテック:そしてやることはジェネシスの時と同じです……!《治らずの病》!
ペテラ・アズテック:シーンの全員に特殊なバッドステータス『SMIT』を感染します。
七星ミルキ:えーん!
七星ミルキ:ヒエーッ
ペテラ・アズテック:使用されるごとに全員の感染レベルが累積でレベル3ずつ上昇し、その後、感染レベルと同レベルの邪毒を付与します。
ペテラ・アズテック:そして感染レベルが8に達したら戦闘不能!この戦闘不能は回復できません。
ペテラ・アズテック:タイタス昇華やその他のエフェクトで邪毒効果は解除可能ですが、累積しているSMITのレベルを下げることはできません。
七星ミルキ:キャァー!
七星ミルキ:解除後に《治らずの病》を使うたびに新しく邪毒が付与されるというわけですね
GM:そういうことです
サマンサ・シュヴァイゲル:んー厄介な
七星ミルキ:ひぃん
GM:手番は行動値11。エニュオさんの番になりました。
七星ミルキ:それはどうかな!
GM:なんだあっ
七星ミルキ:イニシアチブに効果発動!……の前にチェーンしてさらに効果発動!
サマンサ・シュヴァイゲル:自己チェーンだ
七星ミルキ:ウノさんのロイスを昇華してまずは自分に不利な効果を打ち消します!グッバイ邪毒&キラーその他諸々!
七星ミルキ:健康になるぞ
ウノ・ワイルゴッド:(お前が行くべきは……病院だ!)
サマンサ・シュヴァイゲル:神牌のミルキ
七星ミルキ:病院…ここだ…!
サマンサ・シュヴァイゲル:www
七星ミルキ:そしてイニシアチブ!《マグネットムーブ》対象を自分のエンゲージに移動。
シノエ・リュコス:あ、しまったな
シノエ・リュコス:《解放の雫》を範囲にかけて支援する構成なのに
シノエ・リュコス:行動値順で遅くなるからマグネットムーヴに先行できないや
シノエ・リュコス:余裕こいてる解放のジャームだから……
七星ミルキ:運動量の差がでたようですね
七星ミルキ:私の衝動は恐怖です。
シノエ・リュコス:病弱なのよ
サマンサ・シュヴァイゲル:慢心、環境の違い
七星ミルキ:対象は……キッチンボイラー!おいで!
"キッチンボイラー":ということでキッチンボイラーがやってきました。こんにちは。
七星ミルキ:まずは駆けつけ三杯。
七星ミルキ:エニュオさんからのウェルカムサービスです。
GM:侵蝕も上げてくださいね
七星ミルキ:七星ミルキの侵蝕率を3増加(102 → 105)
七星ミルキ:むん!

     "バニラドロップス"[9]
        分裂体[9]
        シノエ[4]
     "リトルドレッサー"[5]
      チェルシー[19/100]

          10m

     "キッチンボイラー"[5] 
   ミルキ[8/105] エニュオ[11/105]
    つゆり[8/116] サマンサ[5/79]
        ペテラ[13]

GM:エニュオさんの行動!
エニュオ・デュカキス:行動前に三部さんのロイスをタイタス化して昇華、《レネゲイドキラー》とBS解除
シノエ・リュコス:レネゲイドキラー解除しちゃや↑だ↑
サマンサ・シュヴァイゲル:嫌だって言ってもするんだよ、解除を
エニュオ・デュカキス:マイナー“特義兵装転送”《骨の剣》《死招きの爪》で素手攻撃力変更
エニュオ・デュカキス:エニュオ・デュカキスの侵蝕率を6増加(105 → 111)
エニュオ・デュカキス:メジャーで“特殊攻動”《Cオルクス》《ディストーション》でエンゲージしたリトルドレッサーを攻撃します
エニュオ・デュカキス:判定前に《援護の風》を自分に
"キッチンボイラー":あわ……わわ……
エニュオ・デュカキス:エニュオ・デュカキスの侵蝕率を2増加(111 → 113)
エニュオ・デュカキス:黒のIDカードで+2
エニュオ・デュカキス:14dx7+8
DoubleCross : (14DX7+8) → 10[1,3,4,4,5,5,5,7,7,8,8,9,10,10]+10[2,4,4,8,8,8,8]+10[2,3,6,10]+10[9]+5[5]+8 → 53

七星ミルキ:いい感じですわ
エニュオ・デュカキス:エニュオ・デュカキスの侵蝕率を4増加(113 → 117)
三部つゆり:いい出目!
"キッチンボイラー":先程と同じで回避を試みます
"キッチンボイラー":8dx+3>=53 なんとかなれーっ!
DoubleCross : (8DX10+3>=53) → 10[1,2,3,4,9,9,10,10]+3[1,3]+3 → 16 → 失敗

"キッチンボイラー":なりませんでした……ダメージをください
エニュオ・デュカキス:装甲諸々有効
エニュオ・デュカキス:6d10+36
DoubleCross : (6D10+36) → 36[5,7,4,10,7,3]+36 → 72

エニュオ・デュカキス:キリがいい
"キッチンボイラー":アイエエエ……強すぎる
"キッチンボイラー":ドレえも~ん!
"リトルドレッサー":はい!《ディヴィジョン》~
七星ミルキ:江戸っ子ののび太
"リトルドレッサー":36点ダメージを肩代わりします。
エニュオ・デュカキス:まぁいいでしょう
GM:V.IIだ
エニュオ・デュカキス:ちょっと寿命が延びたことを後悔させるだけです
"キッチンボイラー":でも実際めちゃくちゃきつい!そんなHP多くないんだよなこいつは
GM:それでは次は行動値9。"バニラドロップス"です。
"バニラドロップス":マイナーでは行動なし。
"バニラドロップス":メジャーアクションで
"バニラドロップス":《コンセントレイト:ブラム=ストーカー》《鮮赤の牙》《トランキリティ》《ポイズンフォッグ》《アウトブレイク》。
"バニラドロップス":シーン全員に〈意志〉の対決判定を行い、失敗した者を従者化します。
"バニラドロップス":"バニラドロップス"はデータ的にPCを殺せるような構成になっており
"バニラドロップス":従者化したPCの行動内容はこちらが決定するので、その状態で戦闘不能になっても復活を選択しません。
"バニラドロップス":従者化したキャラクターは《闇夜の呪い》で即座に自爆させて
"バニラドロップス":クリンナップ時点で戦闘不能のキャラクターが自動的に死亡するEロイス「殺戮衝動」と
"バニラドロップス":シーンの誰かが戦闘不能の場合、イニシアチブプロセスでとどめを刺す「惨劇の輪廻」の二つを持っています。
七星ミルキ:何だこの殺戮の宴
三部つゆり:怖すぎるんですけどコイツ…… なのでまず、7:エニュオ・デュカキス 〇尊敬/劣等感をタイタス昇華してバッドステータス、不利な効果を解除します。
"バニラドロップス":十字冠を破壊する兵器ですからね
七星ミルキ:なるほどね すでにアップデートされてるから…
三部つゆり:その判定をコンボ:胡蝶《原初の黒:時の棺》。失敗させます。
三部つゆり:三部つゆりの侵蝕率を12増加(116 → 128)
"バニラドロップス":くそ……!貴重なシーン攻撃が
"バニラドロップス":分裂体はこのラウンド登場したばかりなので行動済み。
GM:それでは行動値8、ミルキちゃんの手番になります。
GM:つゆりちゃんも!どっちでもいいよ!
三部つゆり:では私から!お待たせしました…!
三部つゆり:まず二重冠の効果を発動します。
GM:ヒエ~
三部つゆり:・あなたの侵蝕値を任意の数値まで瞬時に上昇させる。あなたがこのメインプロセスで行う攻撃の攻撃力を+[上昇分×2]点増やす。
三部つゆり:20点上昇させます。
三部つゆり:三部つゆりの侵蝕率を20増加(128 → 148)
三部つゆり:これで、ウェポンケースよりエフェクトシューターを装備。コンボ:鳥破《コンセントレイト:ウロボロス》《無形の影》にて、キッチンボイラーを攻撃!
七星ミルキ:《支援射撃》判定ダイス+4D!
七星ミルキ:いけーっ!
七星ミルキ:七星ミルキの侵蝕率を2増加(105 → 107)
三部つゆり:ありがとう!
三部つゆり:13dx7+8
DoubleCross : (13DX7+8) → 10[1,3,3,3,4,5,5,6,6,6,7,8,8]+10[5,6,9]+10[9]+2[2]+8 → 40

三部つゆり:三部つゆりの侵蝕率を7増加(148 → 155)
七星ミルキ:きっかり
三部つゆり:リアクションどうぞ!
"キッチンボイラー":なんでボクだけが……回避します。
"キッチンボイラー":8dx+3>=40
DoubleCross : (8DX10+3>=40) → 9[1,2,3,5,7,8,9,9]+3 → 12 → 失敗

三部つゆり:9+1d10+40+5d10 ダメージ!
DoubleCross : (9+1D10+40+5D10) → 9+8[8]+40+27[6,2,8,1,10] → 84

七星ミルキ:よしよし
"キッチンボイラー":めちゃめちゃ強い……!そのまま受けるとさすがに死ぬダメージだが
"リトルドレッサー":《優しい奇跡》!42点を肩代わりします!
"キッチンボイラー":相当瀕死の状態だが生存……!
三部つゆり:ぬう~~
七星ミルキ:しぶといやつめ~!
"キッチンボイラー":ビビらせやがって
GM:次はミルキちゃん!さあどうする
七星ミルキ:だが私のバトルフェイズに入ります
サマンサ・シュヴァイゲル:トドメたれ!
七星ミルキ:マイナー、【SS:全弾装填】《ポルターガイスト》武器 破壊してシーン中の攻撃力を+24。エピックの効果で武器破壊無効
七星ミルキ:七星ミルキの侵蝕率を3増加(107 → 110)
"ストロッツァ":俺の作った武器が……
七星ミルキ:壊してませんよ~♡
"ストロッツァ":エピックだからって無駄遣いしちゃだめだよ
七星ミルキ:はーい ちゃんと終わったらメンテします
七星ミルキ:メジャー【EX:日々の成果を見せます!】《スキルフォーカス》《神機妙算》
七星ミルキ:範囲攻撃。対象は……
七星ミルキ:シノエちゃんエンゲージのエネミー全員!
七星ミルキ:そこの奇跡使いもバニラも消し去って差し上げますわ
七星ミルキ:さらに【神聖二重冠】発動。
七星ミルキ:・あなたの侵蝕値を任意の数値まで瞬時に上昇させる。あなたがこのメインプロセスで行う攻撃の攻撃力を+[上昇分×2]点増やす。
七星ミルキ:こちらの効果を発動します
七星ミルキ:えーと計算計算
七星ミルキ:つゆりちゃんを一人にはさせません
七星ミルキ:40点上昇、攻撃力+80!
GM:!?そんなに!?
七星ミルキ:日和って打ちもらしたくねぇ!!
七星ミルキ:つゆりちゃんはもっと辛いんだ!行くぞぉ!
GM:そんなこと言ったら大体のキャラはそうなんだよなあ……
七星ミルキ:それはそう
七星ミルキ:判定!
七星ミルキ:6dx10+19
DoubleCross : (6DX10+19) → 8[1,2,3,4,8,8]+19 → 27

七星ミルキ:うーん 念の為妖精を 貰いたい所
エニュオ・デュカキス:では《妖精の手》。
エニュオ・デュカキス:エニュオ・デュカキスの侵蝕率を4増加(117 → 121)
七星ミルキ:1dx+29
DoubleCross : (1DX10+29) → 7[7]+29 → 36

七星ミルキ:まぁよし!リアクションどうぞ!
"バニラドロップス":"バニラドロップス"は回避できません。水槽にいるからね。
"バニラドロップス":分裂体ともどもガードします。
七星ミルキ:なるほどね
分裂体:ただし分裂体は《盾なる人形》。カバーリングを試みます。
シノエ・リュコス:5dx>=36 回避します
DoubleCross : (5DX10>=36) → 10[1,2,8,9,10]+5[5] → 15 → 失敗

七星ミルキ:結構頑張ってるな…
"リトルドレッサー":11dx>=36 こちらも回避。
DoubleCross : (11DX10>=36) → 10[2,2,3,3,4,5,7,7,9,10,10]+8[1,8] → 18 → 失敗

七星ミルキ:結構頑張るなぁ!
"リトルドレッサー":うーん、仕方ないぜ 《崩れずの群れ》でシノエちゃんをカバー。
七星ミルキ:では……
七星ミルキ:命中時、想い人:《未定》の使用を宣言します。未指定の部分にロイスを指定し、装甲・ガード無視。カバーリング不可。
七星ミルキ:指定するのはもちろん……クロード・カレルのロイスを指定します
クロード・カレル:ミルキ~♡
七星ミルキ:おにいさん~♡
七星ミルキ:無防備に受け入れてください!判定!
七星ミルキ:4d10+48+80 ガード装甲無視
DoubleCross : (4D10+48+80) → 28[6,6,8,8]+48+80 → 156

七星ミルキ:ラァイ
GM:つ、強すぎる
七星ミルキ:メジャー分と反動を受ける!
七星ミルキ:七星ミルキの侵蝕率を5増加(110 → 115)
七星ミルキ:七星ミルキのHPを1D10(→ 3)減少(20 → 17)
七星ミルキ:七星ミルキの侵蝕率を40増加(115 → 155)
七星ミルキ:どうだ!
GM:計算します
七星ミルキ:(緑色のデジタル数字が落ちていく背景)
"リトルドレッサー":まずリトルドレッサーのHPは残ります
七星ミルキ:タフだなぁ!
"バニラドロップス":バニラドロップスも絶対死ぬ HPは貧弱なので……《不死不滅》です。
七星ミルキ:ぎゃあ!
分裂体:分裂体は残念ながら死亡だ
シノエ・リュコス:シノエちゃんも倒れる!《アクアウィターエ》で復活だ

     "バニラドロップス"[9]
        シノエ[4]
     "リトルドレッサー"[5]
      チェルシー[19/100]

          10m

     "キッチンボイラー"[5] 
   ミルキ[8/155] エニュオ[11/117]
    つゆり[8/155] サマンサ[5/79]
        ペテラ[13]

GM:さんざん好き勝手やってくれたな……行動値5!これからは妖怪どもの時間だ
"キッチンボイラー":行動値5、キッチンボイラー!
"キッチンボイラー":マイナーで《滅びのかぎ爪》《シールドクリエイト》。HPを17失います。
"キッチンボイラー":これだけ食らってるのでもう残りHPギリギリだが……それでいい!
"キッチンボイラー":メジャーで《コンセントレイト:サラマンダー》《炎神の怒り》《フレイムタン》《憎悪の炎》《カスタマイズ》《スプリットアタック》!
"キッチンボイラー":対象は6体!ミルキ、エニュオ、つゆり、サマンサ、チェルシー、ペテラを全員攻撃します!
七星ミルキ:GM!
七星ミルキ:行動値5はサマンサ先生動けます!
サマンサ・シュヴァイゲル:邪魔するでぇ~
サマンサ・シュヴァイゲル:PC優先だコラーッ!!
サマンサ・シュヴァイゲル:というわけで、目の前のボイラーくんを殴らせていただく!
七星ミルキ:キッチンボイラーは封じ手ということで
"キッチンボイラー":ええ……HPが17点とちょっとしかないという情報を与えてしまった
七星ミルキ:ケヒャーッ
サマンサ・シュヴァイゲル:マイナーなし、メジャーでコンセ+オールレンジ!
GM:すみませんでした。サマンサ先生行動どうぞ!
サマンサ・シュヴァイゲル:みんなに買ってもらったワイヤーウィップの力を見よ!
七星ミルキ:糸使いサマンサせんせー!
サマンサ・シュヴァイゲル:7dx7+6-6
DoubleCross : (7DX7) → 10[1,3,5,5,7,10,10]+10[2,7,8]+10[7,7]+10[8,10]+10[5,8]+10[10]+2[2] → 62

エニュオ・デュカキス:すげぇ
GM:嘘でしょ
サマンサ・シュヴァイゲル:URYAAAAAAAAAAAA
七星ミルキ:すっご
七星ミルキ:繊細な糸使いじゃん
GM:技能-6の武器でこんなんなるの?
三部つゆり:す、すごい
七星ミルキ:素の技能で補ってる
サマンサ・シュヴァイゲル:この私の美技があなたを地獄へ招待するわ!!!!!!!
七星ミルキ:この人、ほんとにお皿割ってたのと同じ人?
"キッチンボイラー":回避しかない!こんなアホな糸使いに殺されたくない!
"キッチンボイラー":8dx+3>=62
DoubleCross : (8DX10+3>=62) → 9[1,3,4,5,8,9,9,9]+3 → 12 → 失敗

サマンサ・シュヴァイゲル:ドリャアアアアアアアアア!!!!!
七星ミルキ:お前はワイヤーの電子レンジの中に入れられたダイナマイトだ!
サマンサ・シュヴァイゲル:7d10+6
DoubleCross : (7D10+6) → 53[9,8,4,7,9,6,10]+6 → 59

七星ミルキ:つよ
七星ミルキ:ダメージダイスも気合入りまくってる
サマンサ・シュヴァイゲル:諸々有効!!
"キッチンボイラー":リ……リトルドレッサーさん!HPで耐えられません!
"キッチンボイラー":リトルドレッサーさん!助けてください!
"リトルドレッサー":キッチンボイラーくん……《ディヴィジョン》の半減ダメージでも
"リトルドレッサー":君の残りHPではこのダメージに耐える性能はないのだ……
サマンサ・シュヴァイゲル:華麗なる散華を受け入れなさい!!!!!!
七星ミルキ:ザクにはサマンサ先生の突撃に耐えられる性能はない
"リトルドレッサー":気の毒なのだが……
七星ミルキ:気の毒なのだが……
"キッチンボイラー":キッチンボイラー戦闘不能!
"キッチンボイラー":だが……くだけてけっこう!
"キッチンボイラー":キッチンボイラーの仕事はくだけることだからな。
七星ミルキ:なにっサカキッ
"キッチンボイラー":Eロイス「苦痛のこだま」!
"キッチンボイラー":シーン全員に〈意志〉判定で対決します。
サマンサ・シュヴァイゲル:ここじゃあああああ!!
サマンサ・シュヴァイゲル:つゆりちゃん!!!!
三部つゆり:はい!
七星ミルキ:いっけー!
三部つゆり:3;赤:都築ソウマ 慕情/遺志〇を…Sロイスに指定して……昇華…!
三部つゆり:原初の黒:時の棺の回数を回復し……使用します…!
クロード・カレル:ソウマ会長……
三部つゆり:三部つゆりの侵蝕率を12増加(155 → 167)
"キッチンボイラー":ちくしょう……!まだもう一枚自爆が残ってるのに……
"キッチンボイラー":吸血鬼もあるのに……
"キッチンボイラー":これが情報の差か……無念……!
サマンサ・シュヴァイゲル:おっしゃああ
三部つゆり:ハアハア 何とかなった……
サマンサ・シュヴァイゲル:お前は言ってはならない情報を伝えすぎたんだ
サマンサ・シュヴァイゲル:これが梶原柳剛流の忍術
七星ミルキ:一緒に憧れの人を思いながら戦おうね、つゆりちゃん
三部つゆり:ソウマさん……がんばります、私…
"キッチンボイラー":"キッチンボイラー"撃破!「苦痛のこだま」の弱点は判定タイミングに入ってから打ち消されると重ねて苦痛のこだまを撃てないところだ
サマンサ・シュヴァイゲル:同一チェーン処理不可!!
七星ミルキ:妖精の手を打ち消されて妖精の手をできないみたいな話!
"リトルドレッサー":"リトルドレッサー"が行動します。こちらもマイナーはなし。
"リトルドレッサー":ただしこいつの行動は前編とは一味違うぞ
サマンサ・シュヴァイゲル:なんだとぉ・・
"リトルドレッサー":《伸縮腕》《異形の祭典》。
"リトルドレッサー":対象はミルキ、エニュオ、つゆり、サマンサ、チェルシー、ペテラの6人。
"リトルドレッサー":素手で攻撃しています。何の火力増強エフェクトも乗っていません。
GM:というか、しまった!すみません!
シノエ・リュコス:《解放の雫》を使ったことにしてください
シノエ・リュコス:最初のタイミングで逃して、今回も使うタイミング逃すところだった。
七星ミルキ:かわいいね
三部つゆり:了解です~~
七星ミルキ:オッケーです!
サマンサ・シュヴァイゲル:かわいい幼女だから許されると思いやがって
サマンサ・シュヴァイゲル:かわいい幼女だから許すが…
シノエ・リュコス:許されるもーん
シノエ・リュコス:ラウンド中、範囲対象のメジャー達成値を+27します。
"リトルドレッサー":なので改めて振ります
"リトルドレッサー":11dx+27
DoubleCross : (11DX10+27) → 10[1,1,4,8,8,8,8,9,10,10,10]+10[5,5,10]+6[6]+27 → 53

サマンサ・シュヴァイゲル:うおおお
サマンサ・シュヴァイゲル:させんわ!!
サマンサ・シュヴァイゲル:守護者の巨壁を使います!
"リトルドレッサー":たわけた真似を……!
サマンサ・シュヴァイゲル:対象は我一人!!
七星ミルキ:せんせ~!
エニュオ・デュカキス:先生~
三部つゆり:先生…!
サマンサ・シュヴァイゲル:これで浸蝕は89、HPは16です
サマンサ・シュヴァイゲル:かかってこいッ!!
七星ミルキ:回避とかしてもいいんですよ
GM:試合放棄かな?
GM:やったぁぁぁぁッ 勝ったぞォォォォォォッ
サマンサ・シュヴァイゲル:あっそうk
サマンサ・シュヴァイゲル:一応振ります
七星ミルキ:どこ行ってたんだチャンピオンッ
サマンサ・シュヴァイゲル:7dx+1
DoubleCross : (7DX10+1) → 7[1,2,3,5,6,6,7]+1 → 8

サマンサ・シュヴァイゲル:当然だめ!!
"リトルドレッサー":無様なやつ!ではダメージロール直前に……
"リトルドレッサー":Dロイス「復讐者」!これまでの痛みを思い知ってもらおう
サマンサ・シュヴァイゲル:ぐええええ
"リトルドレッサー":6d10-5+197
DoubleCross : (6D10-5+197) → 33[5,7,5,9,5,2]-5+197 → 225

サマンサ・シュヴァイゲル:バカダメージ
サマンサ・シュヴァイゲル:木っ端微塵に砕けます
七星ミルキ:種族値みたいな数字
サマンサ・シュヴァイゲル:だがくだけてけっこう…サマンサの仕事はくだけることだからな
サマンサ・シュヴァイゲル:リザレクトします
"リトルドレッサー":そっちもなのかよ
サマンサ・シュヴァイゲル:89+1d10
DoubleCross : (89+1D10) → 89+7[7] → 96

七星ミルキ:マルマイン合戦?
七星ミルキ:まだリザ圏内!
サマンサ・シュヴァイゲル:みんなが浮かせてくれた浸蝕値が効いてる!!

     "バニラドロップス"[9]
        シノエ[4]
     "リトルドレッサー"[5]
      チェルシー[19/100]

          10m

   ミルキ[8/155] エニュオ[11/121]
    つゆり[8/167] サマンサ[5/96]
        ペテラ[13]

シノエ・リュコス:手番はシノエ・リュコスです。
シノエ・リュコス:マイナーアクションで《ライトスピード》。
シノエ・リュコス:《アシッドボール》《サイレンの魔女》《アースシェイカー》。
シノエ・リュコス:PC4人+チェルシー+ペテラを全員攻撃します!
サマンサ・シュヴァイゲル:うおおおおおお!!!
サマンサ・シュヴァイゲル:毎度おさわがせしております!!
サマンサ・シュヴァイゲル:Dロイス守護者を使用!
シノエ・リュコス:10dx11+33 命中した場合、対象がそのシーン中行うあらゆる判定ダイスを-7個
DoubleCross : (10DX11+33) → 9[2,3,3,4,7,7,8,8,9,9]+33 → 42

サマンサ・シュヴァイゲル:それもこっちにもらおう!
シノエ・リュコス:そんなに死にたいなら
シノエ・リュコス:殺してやるよァ!
サマンサ・シュヴァイゲル:やってみろァ!!
サマンサ・シュヴァイゲル:一応回避
サマンサ・シュヴァイゲル:7dx+1
DoubleCross : (7DX10+1) → 10[3,3,4,10,10,10,10]+10[5,8,8,10]+8[8]+1 → 29

シノエ・リュコス:5d10+36 装甲無視
DoubleCross : (5D10+36) → 31[1,10,9,7,4]+36 → 67

サマンサ・シュヴァイゲル:死!!
サマンサ・シュヴァイゲル:96+1d10
DoubleCross : (96+1D10) → 96+10[10] → 106

三部つゆり:凄く回してる…!
シノエ・リュコス:《アシッドボール》《サイレンの魔女》《アースシェイカー》!!2回目だ!
三部つゆり:その命中判定は…!コンボ:番舞《原初の灰:砂塵の帳》。失敗してもらう…!
シノエ・リュコス:こっちも防御能力者……!
三部つゆり:三部つゆりの侵蝕率を9増加(167 → 176)
七星ミルキ:これがプリキュアの力よ!
シノエ・リュコス:これだけ苛烈な攻め手なのにまだこんなにロイス削れてない!
サマンサ・シュヴァイゲル:ウオオオオオオオオ!!
GM:うるさい
七星ミルキ:ふふ
サマンサ・シュヴァイゲル:メインプロセス終了時に守護者の浸蝕上昇を入れます。
サマンサ・シュヴァイゲル:1d10+106
DoubleCross : (1D10+106) → 1[1]+106 → 107

GM:あ、すみません。サマンサ先生だけはダメージをたった今受けたので
"リトルドレッサー":《餓鬼魂の使い》をぶちこみます。邪毒13です。
七星ミルキ:餓鬼が…!
サマンサ・シュヴァイゲル:ヤロー。
サマンサ・シュヴァイゲル:うーんどうしよ
GM:そしてクリンナッププロセスに入る。まだ邪毒が残っているのは誰になりますか?
サマンサ・シュヴァイゲル:アースシェイカー食らっちゃったしな
七星ミルキ:私は解除済み!
三部つゆり:サマンサ先生かしら 生徒三人は解除してたはず
エニュオ・デュカキス:昇華で解除済みです
サマンサ・シュヴァイゲル:ここでロイス切って解除が得か
七星ミルキ:ですね
七星ミルキ:どのみちロイス切らなきゃだから
サマンサ・シュヴァイゲル:アリト先生のロイス切ってバステ解除!
七星ミルキ:受けたままにする旨味はないはず!
GM:ペテラの行動値速いから結構早いうちに解除されちゃうのよね
七星ミルキ:機敏
サマンサ・シュヴァイゲル:以上だぜ

■ラウンド2

GM:セットアップ。
エニュオ・デュカキス:ありません
"バニラドロップス":《従者の行進》。分裂体を作成します。
三部つゆり:バステ受けてる人はいないよね?いないようだし無し!
七星ミルキ:ありません!
シノエ・リュコス:《レネゲイドキラー》。レベルは同じく5。
サマンサ・シュヴァイゲル:なし!
GM:ではイニシアチブ。
シノエ・リュコス:今回はもう最初からやっちゃおう……《解放の雫》。
シノエ・リュコス:自分とバニラドロップスとリトルドレッサーのメジャー達成値を+27。分裂体にもかけるけどあんまり意味ないな
チェルシー・ミラー:チェルシーの手番です!
七星ミルキ:チェルシーちゃん!バニラドロップスさんをいつものように食べちゃって!
チェルシー・ミラー:はい!食べちゃいます
チェルシー・ミラー:《深き傷痕》はいれますか?
GM:すみません。邪毒の処理忘れがありました。
GM:チェルシーのHPは先程のクリンナップで9減って8です。PCと違ってタイタス昇華解除がなかったから
七星ミルキ:やーん
七星ミルキ:じゃあレネゲイドキラーで落ちたら怖いので、《深き傷痕》は入れずにコントロールソートでバニラドロップ狙いかな!
チェルシー・ミラー:でもこうなってしまった以上、もうエフェクト二つ使うだけで戦闘不能になっちゃいます
サマンサ・シュヴァイゲル:ふええ
七星ミルキ:いのちだいじに!
七星ミルキ:マイナーはどっちもシーン変更だから継続してるね。よしよし
チェルシー・ミラー:《コントロールソート》。素殴りします!
チェルシー・ミラー:8dx+14
DoubleCross : (8DX10+14) → 10[4,4,5,5,7,8,10,10]+7[5,7]+14 → 31

七星ミルキ:えらい
チェルシー・ミラー:すいません、これも侵蝕率補正のダイス入れてなかった
チェルシー・ミラー:ノイマン入りなのに5つしか振れないのなんかおかしいと思った
チェルシー・ミラー:4d10+18
DoubleCross : (4D10+18) → 13[2,4,5,2]+18 → 31

七星ミルキ:LV*10の最大分は引けたがどうだ
サマンサ・シュヴァイゲル:いいダメージ
"リトルドレッサー":8dx+3>=31 先にダメージ振っちゃった!
DoubleCross : (8DX10+3>=31) → 10[2,3,4,5,6,8,8,10]+9[9]+3 → 22 → 失敗

サマンサ・シュヴァイゲル:さてどうなるか
七星ミルキ:こ、こわ!
"リトルドレッサー":うおおお!ここだ!
"リトルドレッサー":「特異点」!達成値+20!
サマンサ・シュヴァイゲル:あ、バニラドロップスの方!
サマンサ・シュヴァイゲル:狙ったのは!
GM:すいません!ミスばっかり!
三部つゆり:色々大変だし気にされないで!
エニュオ・デュカキス:この数大変ですからね
サマンサ・シュヴァイゲル:いいのだよいいのだよ
サマンサ・シュヴァイゲル:だが分かっているね…?
"バニラドロップス":バニラドロップスのほうでリアクションします
サマンサ・シュヴァイゲル:誠意とは余計なクリティカルをしないことだと…
"バニラドロップス":こいつは回避できないのでガード。
分裂体:ただ、分裂体のほうが《盾なる人形》でカバーリングします。
チェルシー・ミラー:ダメージはさっきの31点を採用しますが……
分裂体:分裂体のHPなら残ります。本体はもっと貧弱なんですけどね
サマンサ・シュヴァイゲル:ここかな…!
サマンサ・シュヴァイゲル:わざわざカバーすることはという裏読みで
サマンサ・シュヴァイゲル:じゃあここだ!デビスト一枚目!
サマンサ・シュヴァイゲル:カバーを封じるぜ!
"バニラドロップス":本体はこのダメージだと戦闘不能になる……!だが不死不滅だけじゃないぞ
サマンサ・シュヴァイゲル:なんだとぉ・・
"バニラドロップス":《サクリファイス》。従者一体を消滅させて、戦闘不能を回復します。
エニュオ・デュカキス:なんと
サマンサ・シュヴァイゲル:この野郎!!
七星ミルキ:外道~~!
サマンサ・シュヴァイゲル:出したトークンをリソースにするのかよ
分裂体:本体の代わりに分裂体は死亡。結果的にカバーより大きな損害になってしまったが
サマンサ・シュヴァイゲル白闘気双頭神龍ホワイト・オーラ・バイファムートじゃん
サマンサ・シュヴァイゲル:こっちのHPは5!浸蝕113に!
ペテラ・アズテック:行動値13。ペテラの手番です。
ペテラ・アズテック:ペテラはPCとは敵対と判定されるので、エンゲージを抜けることはできません
ペテラ・アズテック:なのでその場に留まった状態で、メジャー《治らずの病》。
ペテラ・アズテック:全員のSMITレベルが6に上昇。それに伴って邪毒6を受けます。
七星ミルキ:やぁ~ん!
ペテラ・アズテック:もちろんペテラも累計で10点のHPダメージを受けている……!死にそうなのだ
サマンサ・シュヴァイゲル:無理すんな!!
GM:行動値11、エニュオさんの手番です。
エニュオ・デュカキス:まず行動前に“死神”先生のロイスをタイタス化して昇華。邪毒と《レネゲイドキラー》を解除
エニュオ・デュカキス:ペテラさんとエンゲージしていますが、こちらが数で優位なのと。七里靴の効果で戦闘移動での離脱が可能です
エニュオ・デュカキス:メインプロセス前に神聖二重冠の効果発動、次に行う判定の達成値上昇
エニュオ・デュカキス:10点上昇させて+30
エニュオ・デュカキス:エニュオ・デュカキスの侵蝕率を10増加(121 → 131)
エニュオ・デュカキス:メジャー“特殊攻動”《Cオルクス》《ディストーション》《一閃》。全力移動を行い、リトルドレッサーとエンゲージして白兵攻撃
エニュオ・デュカキス:エニュオ・デュカキスの侵蝕率を6増加(131 → 137)
七星ミルキ:オート支援、の前にイクス4ちゃんのロイスを昇華して不利な効果を打ち消し
七星ミルキ:《支援射撃》判定ダイス+4D
七星ミルキ:七星ミルキの侵蝕率を2増加(155 → 157)
エニュオ・デュカキス:ありがとうございます
"リトルドレッサー":リトルドレッサーとエンゲージしたことで
"リトルドレッサー":「絶対拒絶」が2回発動し、侵蝕が+2D10上昇します
七星ミルキ:こわいよ~
エニュオ・デュカキス:了解です
エニュオ・デュカキス:エニュオ・デュカキスの侵蝕率を2D10(→ 5)増加(137 → 142)
七星ミルキ:かなり平常心だ

     "バニラドロップス"[9]
        シノエ[4]
     "リトルドレッサー"[5]
 エニュオ[11/142] チェルシー[19/100]

          10m

       ミルキ[8/157]
    つゆり[8/167] サマンサ[5/113]
        ペテラ[13]

エニュオ・デュカキス:判定直前に自分へ《援護の風》
エニュオ・デュカキス:エニュオ・デュカキスの侵蝕率を2増加(142 → 144)
エニュオ・デュカキス:《支援射撃》含めて+8D
エニュオ・デュカキス:19dx7+38
DoubleCross : (19DX7+38) → 10[1,1,2,2,2,3,4,4,6,7,7,7,8,9,9,10,10,10,10]+10[2,2,4,4,5,5,5,6,7,8]+10[8,10]+10[3,7]+2[2]+38 → 80

七星ミルキ:すげー
サマンサ・シュヴァイゲル:いける!!
"リトルドレッサー":ギィーッ
サマンサ・シュヴァイゲル:コロセーッ!!
"リトルドレッサー":恨めしいーッ
七星ミルキ:ええぞええぞ!
三部つゆり:いい出目…!
"リトルドレッサー":11dx>=80
DoubleCross : (11DX10>=80) → 10[1,3,5,5,5,6,6,6,8,9,10]+2[2] → 12 → 失敗

七星ミルキ:復讐者が呻いておるわ
"リトルドレッサー":誰か!誰かカバーをくれ!
シノエ・リュコス:……
"バニラドロップス":……
"リトルドレッサー":う、裏切ったな貴様らァ~~ッ
サマンサ・シュヴァイゲル:かわうそ…
"リトルドレッサー":俺はこんなに優しい奇跡してやったってのに!
サマンサ・シュヴァイゲル:www
"リトルドレッサー":俺を利用しやがったな――ッ!
エニュオ・デュカキス:優しくされるために優しくするのは碌な結果を生まない
エニュオ・デュカキス:ダメージに移ります
エニュオ・デュカキス:9d10+36
DoubleCross : (9D10+36) → 59[8,10,3,6,10,3,9,3,7]+36 → 95

エニュオ・デュカキス:装甲諸々有効
サマンサ・シュヴァイゲル:殺意の高い出目
七星ミルキ:すごい出目
"リトルドレッサー":おのれ~~ッ!
七星ミルキ:リトルドレッサーの奇跡、ボイラーが一心に受けてたから他の奴らが塩対応してくる
"リトルドレッサー":残りHPは79……!
"リトルドレッサー":撃破されます!こんなにHPあったのに!
七星ミルキ:結構あったなぁ…!?
エニュオ・デュカキス:高…
三部つゆり:た、たけえ
サマンサ・シュヴァイゲル:うおおお
サマンサ・シュヴァイゲル:あぶねえええ
七星ミルキ:出目が跳ねてなかったら生き残ってたの怖すぎ!
GM:エニュオさんのメジャー侵蝕は上げ済み

     "バニラドロップス"[9]
        シノエ[4]
 エニュオ[11/144] チェルシー[19/100]

          10m

       ミルキ[8/157]
    つゆり[8/167] サマンサ[5/96]
        ペテラ[13]

GM:次はミルキちゃんとつゆりさんの手番。どうしますか?
三部つゆり:ドロップスはどうされます?
七星ミルキ:心を入れ替えたのかな
GM:ああ~~もう……!
GM:殺してください
サマンサ・シュヴァイゲル:www
七星ミルキ:手番が来たらそうしてあげますよ!
三部つゆり:大丈夫…!みんな負荷が掛かってるから…!
サマンサ・シュヴァイゲル:殺していいなら殺す!!
GM:私の脳もクロード・カレルと同じ状態に……
サマンサ・シュヴァイゲル:殺さして殺さして殺さして!(ピネガキ)
GM:そんなこと言ったらクロードに失礼か
七星ミルキ:大丈夫ですよ…♡ゆっくり回復しましょうね…♡
"バニラドロップス":バニラドロップスの行動です。
"バニラドロップス":やることは同じですが、エニュオさんとチェルシー以外を対象に取りましょう。
"バニラドロップス":《コンセントレイト:ブラム=ストーカー》《鮮赤の牙》《トランキリティ》《ポイズンフォッグ》。そして《タブレット》だ。
"バニラドロップス":ミルキ、つゆり、サマンサ、ペテラに従者化を仕掛けます。
三部つゆり:4:七星ミルキ 〇敬意/劣等感を昇華して…不利な効果を解除…!これでキラーと邪毒を解除し
三部つゆり:コンボ:胡蝶《原初の黒:時の棺》…!失敗させます…!
三部つゆり:三部つゆりの侵蝕率を12増加(176 → 188)
七星ミルキ:つゆりちゃん…!
"バニラドロップス":やられた……!2度ならず3度までも……!
GM:これをもってPCの手番!行動値8のミルキちゃんつゆりちゃんの手番です
サマンサ・シュヴァイゲル:限界が近づいてる~~
七星ミルキ:ではこの私から!つゆりちゃんの分まで…!
三部つゆり:ミルキさん…先にお願いします…!
七星ミルキ:マイナーはなし、メジャーで【EX:日々の成果を見せます!】《スキルフォーカス》《神機妙算》
七星ミルキ:シノエちゃんのエンゲージ、エネミーに範囲攻撃!
七星ミルキ:残ってるのはシノエちゃんとバニドロの2体やね
七星ミルキ:判定します
七星ミルキ:7dx10+21
DoubleCross : (7DX10+21) → 9[2,4,5,5,9,9,9]+21 → 30

エニュオ・デュカキス:ダメ押しの《妖精の手》、いきますか
七星ミルキ:貰う!
エニュオ・デュカキス:エニュオ・デュカキスの侵蝕率を4増加(144 → 148)
エニュオ・デュカキス:どうぞ!
七星ミルキ:1dx10+31
DoubleCross : (1DX10+31) → 3[3]+31 → 34

七星ミルキ:充分、かな…!
"バニラドロップス":回避します。
"バニラドロップス":じゃないや。回避できないんだこいつは
"バニラドロップス":ガードするだけ!
七星ミルキ:水槽生物!
エニュオ・デュカキス:水槽が動くか~
シノエ・リュコス:こっちも回避!
サマンサ・シュヴァイゲル:まんじりともせず受け入れろ!
シノエ・リュコス:9dx>=34
DoubleCross : (9DX10>=34) → 10[1,2,2,3,5,7,8,10,10]+8[3,8] → 18 → 失敗

七星ミルキ:コワイ!
エニュオ・デュカキス:怖…
シノエ・リュコス:学園天使でも無理!
七星ミルキ:ダメージいきます!
七星ミルキ:4d10+48 諸々有効
DoubleCross : (4D10+48) → 16[1,7,5,3]+48 → 64

七星ミルキ:ちょっと低め!
七星ミルキ:メジャー上昇と反動を受けます
七星ミルキ:七星ミルキの侵蝕率を5増加(157 → 162)
七星ミルキ:七星ミルキのHPを1D10(→ 3)減少(17 → 14)
シノエ・リュコス:シノエ・リュコスは
七星ミルキ:ドキドキ
シノエ・リュコス:HP24。今の攻撃で落ちることになります。
七星ミルキ:やった~~~~~
サマンサ・シュヴァイゲル:よしよしよし
七星ミルキ:見たかスポーツマン共!
シノエ・リュコス:《蘇生復活》。HP1でギリギリ再生します。
七星ミルキ:キャーッ!
"バニラドロップス":一方でバニラドロップスには蘇生エフェクトはない……この攻撃で落ちるしかないのですが
七星ミルキ:よしよし
サマンサ・シュヴァイゲル:なんだってんだよーっ
"バニラドロップス":Dロイス「業師」により、《ラストアクション》を取得しています。
七星ミルキ:こら~~!
"バニラドロップス":《ラストアクション》で再行動。
三部つゆり:ひ、ヒエ~~~
サマンサ・シュヴァイゲル:は!?
"バニラドロップス":ただし、安心してください。
七星ミルキ:しになさ~~い!
エニュオ・デュカキス:何を???
"バニラドロップス":打ち消される《鮮赤の牙》を使うつもりはありません
"バニラドロップス":《コンセントレイト:ブラム=ストーカー》《再生の血》《トランキリティ》《さらなる力》。そして《タブレット》。
"バニラドロップス":対象は
"バニラドロップス":ペテラ・アズテックです。
七星ミルキ:コラ!!!
"バニラドロップス":「賢者の石」。C値を-2します。
七星ミルキ:判定バトルのためにとんでもないもの盛ってきてるな
"バニラドロップス":11dx5+27>=20
DoubleCross : (11DX5+27>=15) → 10[1,2,3,4,4,6,7,7,8,9,10]+10[1,2,6,6,7,8]+10[3,8,8,9]+10[2,5,9]+3[1,3]+27 → 70 → 成功

"バニラドロップス":ペテラのHPを6d10点回復します。
"バニラドロップス":6d10
DoubleCross : (6D10) → 41[1,9,7,10,5,9] → 41

"バニラドロップス":そのまま戦闘不能。Eロイスの効果も解除されます。
GM:行動値13、ペテラの手番に入ります。
サマンサ・シュヴァイゲル:待って!
サマンサ・シュヴァイゲル:ちょっと作戦会議!
サマンサ・シュヴァイゲル:お待たせしました
サマンサ・シュヴァイゲル:まずかんな先生のロイス切ってレネゲイドキラー解除!
サマンサ・シュヴァイゲル:そんでデビルストリング2/3を起動!
サマンサ・シュヴァイゲル:タブレットを打ち消す!
"バニラドロップス":射程が至近となるので、対象はシノエ・リュコスにします。
"バニラドロップス":シノエのHPを41点回復して戦闘不能。
サマンサ・シュヴァイゲル:ハーッ!ハーッ!
サマンサ・シュヴァイゲル:なんとかなった…!
サマンサ・シュヴァイゲル:浸蝕119に!

        シノエ[4]
 エニュオ[11/148] チェルシー[19/100]

          10m

       ミルキ[8/162]
    つゆり[8/188] サマンサ[5/119]
        ペテラ[13]

GM:つゆりさんの手番になります。
三部つゆり:はい…!コンボ:鳥破《コンセントレイト:ウロボロス》《無形の影》にて、シノエさんを攻撃します…!
三部つゆり:10dx7+8
DoubleCross : (10DX7+8) → 10[1,3,3,4,4,5,7,8,8,9]+10[2,3,9,10]+10[6,10]+3[3]+8 → 41

サマンサ・シュヴァイゲル:出目いい!!
シノエ・リュコス:回避します!
シノエ・リュコス:9dx>=41
DoubleCross : (9DX10>=41) → 8[1,1,3,3,4,4,5,6,8] → 8 → 失敗

シノエ・リュコス:解放の雫がドッジにも使えれば……
三部つゆり:当たった……!ダメージ…!
三部つゆり:5d10+1d10+9
DoubleCross : (5D10+1D10+9) → 20[5,2,1,2,10]+5[5]+9 → 34

三部つゆり:出目!!
三部つゆり:三部つゆりの侵蝕率を7増加(188 → 195)
七星ミルキ:ムゥーッ!
シノエ・リュコス:HPは先程言ったように1!復活エフェクトはありません!
サマンサ・シュヴァイゲル:うぎーっ
サマンサ・シュヴァイゲル:ていうかそうか
サマンサ・シュヴァイゲル:大丈夫なんだ
サマンサ・シュヴァイゲル:コイツ多分
サマンサ・シュヴァイゲル:HP上限が上がってない!!
エニュオ・デュカキス:oh
三部つゆり:そ…そうとは 助かった…
GM:あ、そうだ、回復してたんだ
GM:でも回復しても
GM:HPは24しかなかったですね
サマンサ・シュヴァイゲル:そうだよね…!
七星ミルキ:再生の血で上がってもHPは通常のままね!
サマンサ・シュヴァイゲル:よっしゃああああ
七星ミルキ:よかった~~~~!
エニュオ・デュカキス:なるほど
七星ミルキ:一回落ちた時にそうだったというわけね

 エニュオ[11/148] チェルシー[19/100]

          10m

       ミルキ[8/162]
    つゆり[8/195] サマンサ[5/119]
        ペテラ[13]

GM:ただし、皆さんには最後の戦いが残っています……
GM:サマンサ先生行動をどうぞ
サマンサ・シュヴァイゲル:はい…
サマンサ・シュヴァイゲル:ペテラ・アズテックに『説得』を行いたいです
ペテラ・アズテック:先生……!
サマンサ・シュヴァイゲル:通りますか!可能であれば、技能は《白兵》!
サマンサ・シュヴァイゲル:コンセントレイト:エグザイル+オールレンジで肉体的説得をします!
サマンサ・シュヴァイゲル:10dx7+6
DoubleCross : (10DX7+6) → 10[2,4,5,8,8,9,9,10,10,10]+10[1,1,2,7,8,9,10]+10[1,1,5,9]+3[3]+6 → 39

サマンサ・シュヴァイゲル:使用武器は素手です。
ペテラ・アズテック:対決判定ですが
ペテラ・アズテック:ペテラはリアクションを放棄します。説得を受け入れました。
七星ミルキ:やった~~~
サマンサ・シュヴァイゲル:ペテラちゃん…!
GM:戦闘終了です……!
サマンサ・シュヴァイゲル:よかった…マジで…
サマンサ・シュヴァイゲル:終わったぁあああああああ
七星ミルキ:よかったよ……
七星ミルキ:決着ゥゥゥウゥゥーーー!!
三部つゆり:お疲れ様…でした……!

カナートス臨床医学研究院 B101号室



"死神":〈さァ、勝負だ。ノヴァリス……ノヴァリスの不死の戒則〉
"死神":〈お前、、を乗り越える『必死』が、この世界に存在し得るのかどうか〉
"死神":〈俺はそれが見たい――!〉
GM:その場の誰よりも真っ先に動いていたのは、チェルシー・ミラーだった。
GM:空気が揺らぐ気配すら、彼女の動作には遅れた。恐ろしい速度で"キッチンボイラー"へと突進し――
チェルシー・ミラー:「わぁー」
チェルシー・ミラー:「ジャームの骨だぁー」舌っ足らずな、人間的な情緒を感じられない声。
チェルシー・ミラー:「熱っ、あは、あはははははは」
チェルシー・ミラー:前肢と思われる骨格を咥えている。すれ違いざまに顎の力だけで噛み砕いた。
カート・トゥエ:「……っ、チェルシー!」
カート・トゥエ:「死んじゃう!そんなことしたら……!あなただって病気になるのに!」
カート・トゥエ:「ど……う、しよう」
カート・トゥエ:カート・トゥエは、典型的なカナートス生徒である。
カート・トゥエ:自分達とは隔離されてきた外部の生徒への攻撃に、躊躇いはない。理事会時代にそう訓練されてきた。
カート・トゥエ:だが、シノエ・リュコス。ペテラ・アズテック。自分の唯一の仲間たちに対しては――
三部つゆり:「トゥエさん。ひどいことを言います…!今更かもしれません、が!」叫ぶように。
三部つゆり:「助けてください…!」
カート・トゥエ:「助ける……助、ける……」
カート・トゥエ:死をもたらす劇症型堕天病がある。シノエ・リュコスは死の向こう側にいる健康体だ。
カート・トゥエ:だが――
カート・トゥエ:「あたしは……!」指先を"キッチンボイラー"へと向けた。
カート・トゥエ:「みんな……を!助け、たい!!」
カート・トゥエ:――ヂッ!!
カート・トゥエ:微細な血液弾は、"キッチンボイラー"の骨格の隙間に吸い込まれて消えたように見える。
カート・トゥエ:だが、酸素を喰らい尽くすその血液は……

"キッチンボイラー":「キュゥゥゥルルルルルルルルルル!!」
"キッチンボイラー":バヂュ!!
"キッチンボイラー":内臓が破裂し、さらに大量の血液をドバドバと溢れさせる。
"キッチンボイラー":だが、これまでのような蒸気とはなっていない。血液を沸騰させる機序が失われているのだ。
"キッチンボイラー":酸素こそが、燃焼に必要である。攻性症例225:肺胞液体過換気――カート・トゥエの血液は、体内の酸素を食い尽くす。
七星ミルキ:(ッ!)「今……!」
七星ミルキ:熱という防殻が緩み、風の流れが"キッチンボイラー"への道を作る。
七星ミルキ:構えるのは衝撃鎚『ひなぎく』───ではなく。
七星ミルキ:懐から取り出したハンドガン。
七星ミルキ:通常の銃と異なるシルエットとして、釣り竿のようなリールが着いた無骨なもの。
七星ミルキ:「まずは、」
七星ミルキ:「数をバラします!」
七星ミルキ:ブシュッ!!
七星ミルキ:火薬ではなく、ガスの圧縮音が開放されて銃口代わりの鏃が発射される
七星ミルキ:対ジャーム捕獲用ワイヤー『あさがお』───FHにおいて一般的に流通する、非戦闘装備だ。
"キッチンボイラー":「キュウゥルルルルルルル」
"キッチンボイラー":全身に絡んだワイヤーに対して、防御反応らしいものを見せない。
"キッチンボイラー":そのような行動ロジックが組まれていない。本来ならば全身の熱で溶断される兵装だからだ。
七星ミルキ:先程。"大量"に集められていたドローンに搭載されていたものだ
七星ミルキ:(狙い通り……!熱なら溶かされてましたが!)
"死神":〈"キッチンボイラー"と……〉
"死神":〈力比べするつもりか!?〉
七星ミルキ:「まさか!」銃のマガジン部分に備えたフックを地面に突き刺しながら、2つ、3つのワイヤーを打ち込む。
七星ミルキ:「私には、そんな力技出来ませんよ」
七星ミルキ:ギュル!巻き上げ機構が稼働し、すぐに悲鳴を上げ始める
七星ミルキ:「えぇ……」
七星ミルキ:「私には!」
エニュオ・デュカキス:フックを掴むものがある。生身であれば皮膚を裂く鋼の糸だが、生憎と彼女の腕はそうではない。
エニュオ・デュカキス:「ありがとうございます」
エニュオ・デュカキス:モーターの駆動音に併せる床を踏みしめたソールの悲鳴。眼前の怪物を一息に己の元へ引き寄せようと力を込めた
"キッチンボイラー":「キュルルル、ルルルルルッ」
"キッチンボイラー":バギッ、ミシッ、という音が響く。
エニュオ・デュカキス:生身が軋む。マシーンの補助があれど支えるのは胴体の筋肉。だがAIDAの指令は続行
"キッチンボイラー":"キッチンボイラー"の巨体が、床面に食い込んだその多脚が、引き剥がされつつある音だった。
"死神":〈ジャーム兵器相手に……一人で綱引きするなんざ〉
"死神":〈まともじゃねえな、エニュオ・デュカキス……!〉
エニュオ・デュカキス:「ええ。一人・・では不可能でした」
エニュオ・デュカキス:「手加減は不要。事態は緊急となれば」
エニュオ・デュカキス:「鬼の札は躊躇えません」
エニュオ・デュカキス:行動伝染型道順障害は解除され、クロード・カレルの干渉も消えた
エニュオ・デュカキス:いまこの場ならば使用できる
エニュオ・デュカキス:「特許庁13プラント兵装機能への緊急対応。全項目を停止し無効化」
エニュオ・デュカキス:「兵装を開封します」
エニュオ・デュカキス:自身の背後に出現する気配。室内の淡い光源で照らされるのは、黒金で作られた長方形の物体。
エニュオ・デュカキス:心臓が打つ鼓動のように明滅するランプと、表面に走る分割線。宣言と共にそれが開く。
エニュオ・デュカキス:内側に納まっていたケーブルは眼前にいる主に向かって手を伸ばすように蠢いて。
エニュオ・デュカキス:先端は背に取り付けられた制御ユニットのソケットへ突き刺さり、外装はパズルのようにばらけて身を包む。
エニュオ・デュカキス:血液に代わり情報が巡る。AIDAの思うまま0と1の信号に体が支配されてゆく。
GM:バギャン!!
"キッチンボイラー":拮抗が破れた。エニュオの恐るべき巻き上げに引き寄せられて
"キッチンボイラー":互いの距離が肉薄する!瞬きの間に交錯する――
エニュオ・デュカキス:《躯体情報一致、キュドイモス同調》
エニュオ・デュカキス:目測距離観測。AIDAに準じた思考速度によって現実はスローモーションに捉えられる。
エニュオ・デュカキス:カウントスタート
エニュオ・デュカキス:3:制御ユニット拡張開始──ハードポイント接続/両武装腕回線確立/右腕起動
エニュオ・デュカキス:2:両脚部ランドスピナー固定/始動──異常なし/攻撃姿勢矯正ハーネス、固定完了/内部骨格への凝固剤注入
エニュオ・デュカキス:1:改良型増設バッテリー四基装着……通電開始/右腕装填=電磁回路形成
エニュオ・デュカキス:0:攻撃宣言/特攻Lv4“電磁打突レールガン”アクティヴ
エニュオ・デュカキス:《Stand UP──Enyalios》
エニュオ・デュカキス:一年ぶりの起動音声を懐かしむ間もなく、体は稼働する。
エニュオ・デュカキス:右踵部固定アンカーが床に突き立った。左足──震脚、“キッチンボイラー”をクロスレンジに捉えた。
"キッチンボイラー":"キッチンボイラー"もまた、近接格闘用プログラムを起動したようだった。
"キッチンボイラー":肋骨めいた器官が大顎のように開き、骨質とは思えぬ鋭利な刃を向けて
"キッチンボイラー":エニュオ・デュカキスを食いちぎらんとする――0.5秒にも満たない動作の一部始終までもが
"キッチンボイラー":エニュオには見えた。
エニュオ・デュカキス:躊躇わない。右腕のモーションに付随して、背面の制御ユニットから繋がる武装腕が稼働。
エニュオ・デュカキス:打突。単純質量で生身の人間を吹き飛ばすのも容易い拳は、キッチンボイラーの体躯を揺らすには届かないが
エニュオ・デュカキス:《Trigger ON》
エニュオ・デュカキス:放電。右腕内部の伸縮機構は正しく機能した。電磁加速した鋼鉄の拳は打撃の瞬間に更なる衝撃を撃ち込む。
"キッチンボイラー":――ガ シャアアアアアッ!!
"キッチンボイラー":"キッチンボイラー"の巨体は、エニュオ・デュカキスを『通過』した。
"キッチンボイラー":だが、それはエニュオの体が貫通されたのではない。逆だ。
"キッチンボイラー":エニュオの右腕の打突機構が
"キッチンボイラー":超高速の"キッチンボイラー"の肋骨を、背骨を、後半身の骨格に至るまで
"キッチンボイラー":一直線に迎え撃って、砕き尽くした、、、、、、音だった。
エニュオ・デュカキス:円筒状のバッテリー内部に貯蓄された電力全てを使い果たし、空になった一基を排除。床に快音を響かせ落とす
"死神":〈そいつは……そいつァ、知ってるぞ……エニュオ・デュカキス……!〉
"死神":〈13番プラント実験兵装!真理兵装ブラフマスートラのプロトタイプどもか……!〉
"死神":〈く、はは……!何が『八月革命』だ……どさくさに紛れて、きっちり懐の中に入れてるンじゃねえか……!〉
エニュオ・デュカキス:「どさくさというのは違いますよ」
エニュオ・デュカキス:「これはずっと私が使っていましたから」
エニュオ・デュカキス:八月革命の直前、製品開発特許庁は理事会の製造していた新型の歩兵外装を強奪。
エニュオ・デュカキス:長官の直轄部隊である第13プラント実験部隊が革命時に運用し、戦果を挙げるも以降使用された記録はない
エニュオ・デュカキス:背面に接続した制御ユニットから神経網へ干渉、AIDAによる外部制御を行い、オーヴァードを部品とする構造は確かに強固であったが大半は革命時の戦闘で破損。
エニュオ・デュカキス:個の精神を踏み躙るシステムは否定され、理事会製の制御システムが再現不能であることも重なり──ひとつを除いて廃棄処分となる。
エニュオ・デュカキス:ブラックドッグ特異症例の完全義体フルボーグ構造。
エニュオ・デュカキス:エグザイル変異型の器物使いツールマスターが利用する神経回路の解析。
エニュオ・デュカキス:理事会兵器技術を使用した兵器群、Lシリーズのマン・マシーン・インターフェース。
エニュオ・デュカキス:これを以て理事会兵器、OV専用機甲外装E型“エニューアリオス”とその適合者は再現の先の完成に到達する。
"死神":〈エニュオ・デュカキス〉
"死神":〈お前さんは、別の可能性のカナートス生徒だ〉
"死神":〈そのままじゃあ、日常生活も送れねえような病人を〉
"死神":〈――『兵器』に仕立て上げた成功例!〉
"死神":〈カナートスの病人だって、誰だってお前さんみたいになれる可能性がある!〉
エニュオ・デュカキス:「いりませんよ、こんな可能性など」
エニュオ・デュカキス:「人を道具のために使い、ただ目標を破壊するだけしか能のないガラクタ」
エニュオ・デュカキス:「そんなもので殴り倒されて貴方は満足ですか」
"死神":〈そうじゃねえだろう……エニュオ・デュカキス!お前さんだって分かっているはずだ!〉
"死神":〈お前さんとそこのジャーム兵器の決定的な差異!〉
"死神":〈スイッチを押せば何もかもを皆殺しにする兵器だとしても〉
"死神":〈無尽蔵に力を配って、どんな大敵にも勝っちまうような神聖二重冠の奇跡だとしても〉
"死神":〈使うやつが、それを使うほど、、、、、、、必死じゃなきゃあ出てこねえものなんだ!〉
"死神":〈オフィサーの中で……お前さんの動向を見張ってきた俺の判断は正しかった〉
"死神":〈エニュオ・デュカキス。どれだけ取り澄ましていようが〉
"死神":〈どれだけ理性的なように振る舞おうが〉
"死神":〈お前さんは、オフィサーの中で誰よりも〉
"死神":〈『必死』になれるやつだった!〉
エニュオ・デュカキス:その言葉は正しい。これを表に出した時点で、オフィサーとしての敗北は決定している
エニュオ・デュカキス:理事会兵器を保有している情報が明らかになれば、良くて更迭か地下労働送り。問題は更に特許庁そのものを揺るがす
エニュオ・デュカキス:“それでも”使うことを選んだ。エニュオ・デュカキスは戦場を粉砕する“最強”には程遠く、兵士の域を出ることはない
エニュオ・デュカキス:だが、必要とあれば躊躇わない。目標のために手持ちのカードを全て使ってでも“勝つ”
エニュオ・デュカキス:誇りも理屈も必要ない。……他のオフィサーに対して、少しばかり優位を感じられる点があるなら
エニュオ・デュカキス:兵士としてなら己は、他より優秀であるかもしれないという自負
エニュオ・デュカキス:「ならば勝ちます。私の全てで」
エニュオ・デュカキス:構える。向かうのは“死神”ではない、水槽に浮かぶ殺意の塊
エニュオ・デュカキス:──気がかりは後方。余裕はない。しかし今は一人ではない
"死神":〈俺の最後に掌握したシステムは……〉

"バニラドロップス":〈――こいつだ。"バニラドロップス"の培養制御システム……!〉
"バニラドロップス":〈こいつがブッ壊れれば、俺もお前さんがたの前からは当分おさらばさ〉
"バニラドロップス":〈だが〉
"バニラドロップス":〈だからこそ〉
"バニラドロップス":〈俺も最後に『必死』になれる〉
GM:駆動音とともに、"バニラドロップス"を囲う機械水槽の一角が開く。
GM:――バチャリ!
GM:中からは、一体の"バニラドロップス"が放り出された。
GM:ひどく未成熟な個体だ。液体に塗れて、弱々しく震えている。
"バニラドロップス":〈そして、知ってるかい……〉
"バニラドロップス":〈自分自身が『必死』なやつは〉
"バニラドロップス":〈他の誰かを殺すこともできるってことを!〉
GM:バヂン!!!
GM:そして、破裂する。劇症型堕天病を――
七星ミルキ:「! まずい……!」
GM:この場の全員に、空気感染させる。
GM:それが"死神"の攻撃だ。
三部つゆり:その機械水槽が開き始めた時に覚えた悪寒から、既に精神を統一し。謡いはじめている。
三部つゆり:「極楽へ生まれる内下品下生者最も容易いものを説こう或有衆生
三部つゆり:堕天病――更に劇症型堕天病は、僅かなうちに十字冠だけでなく、それに保護されたOVさえ殺し得る災厄である。
三部つゆり:そして――災害に対して、如何に戦うかということは。多くの人々が努力してきたことだ。
三部つゆり:「幾重にも重い罪を犯し作不善業更に様々な悪行をなした者がいる五逆十惡
三部つゆり:三部つゆりも、その努力の一つである。
三部つゆり:「本来このような人は如此愚人報いとして、以惡業故悪い世界に堕ちて應墮惡道」輪廻の獣という不死不滅の存在。それをいかに無害化するか。
三部つゆり:彼女たち――”晨星”セルは、浄土宗・仏教的レジェンドによって、単純な封印を再構築した。
三部つゆり:シンプルな二つの効果。封印体媒体の移り変わりを”転生輪廻に見立て、”獣”を弱毒化し、
三部つゆり:最終的に十分な弱体化を起こしたならば、”解脱”解決するという機序へ。
三部つゆり:「長く長く苦しまねばならない經曆多劫・受苦無窮」複雑に印形が切られ、頌が続き、阿弥陀如来種字を影が象った。
三部つゆり:「この人が死のうとする時如此愚人・臨命終時尊い教えに出会って慰めを得遇善知識・種種安慰
三部つゆり:「仏を念じる教えを得たのに教令念佛、」広がる悪疫に、美しい鳥の声が響く。
三部つゆり:「彼が死の苦しみで彼人苦逼教えの通り念じる事が出来なくても不遑念佛
三部つゆり:「心に念じずとも如是至心十度口にて仏の名を称えたなら令聲不絶・具足十念…!」
三部つゆり:「その生命が終わるとき命終之時金の蓮を見て見金蓮華」それは空気中にある悪疫を、別の媒体へ転換させる。
三部つゆり:「たちまち極楽に生まれる事が出来るのだと如一念頃・即得往生・極樂世界!」
三部つゆり:金色に輝く蓮が生じる。それが、落ちた”バニラドロップス”と周囲の空間ごと。ぎゅぅ、と。巻き戻すように花弁を閉じ。
三部つゆり:蕾となり、顎が消え、根が巻き戻り、種へ転ずる。――悪疫を、周囲の空気ごと封印している。
三部つゆり:観無量寿経にある極楽浄土への転生節の封印転用。輪廻の獣の封印にも用いられる一節を用いた、無害化転生封印。
三部つゆり:”マスターポルート”の能力として、”未知”の神秘として振るわれたなら到底叶わないはずの手法だった。その場合、封印自体が”未知”の増殖に崩壊していただろう。
三部つゆり:あくまで病としてーーそれでも十二分に脅威である――振るわれたが故にできたことだった。
七星ミルキ:「バニラドロップスを抑制……いえ、これは……隔離したんですね!」
三部つゆり:「ぜっ……、本式じゃないので、何とか間に合いました……!」
"バニラドロップス":〈あいも変わらず胡散臭え術ばかりを使いやがる……〉
"バニラドロップス":〈はっ……どうすりゃあ極楽に生まれ変われるのかだと?〉
"バニラドロップス":〈『患って死にかけてるひとのうわ言を本気にして』〉
"バニラドロップス":〈『そんなバチ当たりなことしてちゃいけませんよ』〉
"バニラドロップス":〈『どうしても入れたいってんなら、芝居で使う小判があったろう。あれがいい』〉
"バニラドロップス":〈地獄の閻魔に賄賂を渡しゃあいい。――『死ぬなら今』だ!〉
三部つゆり:「ええ、そうなんでしょう…何の役にも立ちやしないんでしょう!」
三部つゆり:「でも、それでも!どうしてそんなたわごとが、多くの人を巻き込んだのか!……誰だって、救われたいんです!その救い方の処方箋が、」
三部つゆり:「”信仰”と”宗教”という名前がついているだけですよ…!」
GM:三部つゆりは、完全なる致死の病を――『十字冠を破壊する兵器』を、確かに食い止めてみせた。
GM:だが、その喉の奥から、原因不明の咳が漏れ始めた。
GM:三部つゆりだけではない。七星ミルキも。エニュオ・デュカキスも。サマンサ・シュヴァイゲルも――
GM:今この場に生きて立っているもの全てに、同じ病状が発生しつつある。
カート・トゥエ:「っけほ!げほっ……!この……症状……は!」
七星ミルキ:「ゲホッ!!これ、は、」覚えがある。
エニュオ・デュカキス:バイタルデータ表示。網膜に投影される身体状況は、過去に見たものに近似している
"死神":〈確かに……今の一手で終わるわけがねえのは分かってたさ……〉
"死神":〈どんな細工をすりゃあ『十字冠を破壊する兵器』を無効化できるのか、そんなもんは俺にはてんで見当がつかなかったが〉
"死神":〈お前さんがたが、何もかもを使って『必死』に止めるのは分かってた〉
三部つゆり:「ごほ、がっ、……、ワイルゴッドさんからの、薬は…飲んだのに……これは…っ、」
サマンサ・シュヴァイゲル:「知ってるわ、ええ……!これは!」
サマンサ・シュヴァイゲル:産まれて初めて知った、めまいの感覚。忘れようはずもない。
"死神":〈だがな……先生ってのは生徒を助けるもんだろう。感染させようとした病気は一種類じゃあないのさ〉
ペテラ・アズテック:「はぁ、はぁ、はぁっ……げほ!げほげほ!!」
ペテラ・アズテック:足を引きずるようにして歩いている。"バニラドロップス"の水槽へと向かって。
ペテラ・アズテック:「攻性症例……320……!」
ペテラ・アズテック:「進行性……劇症……感冒……!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「――ペテラちゃん!!」
七星ミルキ:「ペテラちゃん…!!」
カート・トゥエ:「ペテ、ラ……げほっ、やめて……こほっ、こほっ」
カート・トゥエ:「死んじゃう……ほんとに……!」
七星ミルキ:カメラのシャッターを閉じるように、呼吸の通り道が阻害されていく。
七星ミルキ:(トゥエちゃんも呼吸に関する症例……!私達より、症状が…!)
三部つゆり:「ぎ、ぐ……、まずい、ですよ……!あまり、近づかれる、と……次は、まに、あうか…!」
エニュオ・デュカキス:「かといって、彼女に直接……」手をあげることは容易い。彼女はあくまで敵対し、病人であるが。それは我々にとっての敗北である
チェルシー・ミラー:「ぐ、るるっ、ぎゃうっ!!」
チェルシー・ミラー:チェルシー・ミラーは"リトルドレッサー"に食らいつき、その緩慢な動作を食い止めている。
チェルシー・ミラー:だが。「ぎゃるっ、げほっ、げほっ……!おいしい……ごぼっ、おいしい……!」
チェルシー・ミラー:本人も無自覚なまま、咳込み、発汗しはじめている。
七星ミルキ:「けほっ、げほっ……!」
七星ミルキ:汗が滲む、視界がゆがむ。
サマンサ・シュヴァイゲル:「チェルシーちゃん!トゥエちゃん!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ううう……!」
サマンサ・シュヴァイゲル:(本当に、心から)
サマンサ・シュヴァイゲル:(死んでしまうことを決めてしまった人には、それを望んでいるなら)
サマンサ・シュヴァイゲル:(どんなに、どんなに大事に思っていたって)
サマンサ・シュヴァイゲル:仲間のため戦うチェルシーたちと、歩みを止めないペテラが視界に並び
サマンサ・シュヴァイゲル:幾度となく繰り返された自問が、また浮かび上がる。
七星ミルキ:(──この症状を、知っている)
七星ミルキ:(動機、呼吸の阻害、体の震え)
七星ミルキ:カナートスの名前を知った時に罹患して、(あの時の私は、なんの役にも立たなかった)
七星ミルキ:(病気にかかって、倒れて、目を覚ましたのは終わったあと)
七星ミルキ:(……だから)
七星ミルキ:体を動かすことにかけては昔から訓練を続けていた。
七星ミルキ:出来ることを、いつでも出来るように。
七星ミルキ:出来ないことを、出来るようにするために。
七星ミルキ:「……つゆりちゃん!」
七星ミルキ:腰のベルトから2つの筒を引き抜いて、一つをまっすぐに投擲する
七星ミルキ:クンッ。片方をオレンジに塗られた無針注射器。
三部つゆり:それを、何とか受け止める。
七星ミルキ:その片方を自らの太ももに叩きつける。
三部つゆり:それを見て、同じように太腿へ。
七星ミルキ:薬剤がアドレナリンを促し、収縮した血管が、呼吸器が、筋肉が弛緩していく。アレルギーの抑制に使われる応急処置。
七星ミルキ:ペテラ・アズテックとの対応を考えて、ウノ・ワイルゴッドの医療室から借りていたもの
七星ミルキ:「少しなら、動けるはず!」
三部つゆり:「…、助かり、ます……!」
七星ミルキ:「……行く、よ!」
七星ミルキ:共に、十字冠が輝きを増す。
七星ミルキ:其れは、人の道行きに輝きを照らすもの──
七星ミルキ:「────わたしを、導いて!神聖二重冠ダブルクロス!」
三部つゆり:「ええ…!ちからを、かして!神聖二重冠ダブルクロス!」最高生徒会長の証だった其れへ願う。かつてのひとへ。
"死神":〈奇跡の力……!そうくるだろうよ〉
"死神":〈だがな!謎めく霧の家庭教師会クリプトミストチューターズも、掴んでるんだぜ……その力のことは!〉
"死神":〈『奇跡は一度』だ!一度きりの機会……お前さんがたはそいつを活かせるか!?〉
七星ミルキ:「もちろん!」
七星ミルキ:辺りを染める一瞬の閃光。そこから桃色の光が抜け出す。
七星ミルキ:ガション!『ひなぎく』からカートリッジが排出される。
七星ミルキ:ガション!──ガション!ガション!ガション!ガション!
七星ミルキ:都合六発。致命的な衝撃波を封入したカートリッジのオーバーロード
七星ミルキ:(今までの私は、間違っていた───ううん、完成していなかった)
七星ミルキ:幼い頃に手に入れた装備。慣れ親しんだ武装、機構。
七星ミルキ:自分なりに分析して、訓練して、高めていたつもりで。
七星ミルキ:(それでも、まだ足りなかった)
七星ミルキ:8年ぶりに──再会した"設計者"の運用を見た
七星ミルキ:(衝撃は、ただぶつけるものじゃ、ない)
七星ミルキ:ギュウッ!室内に風が吹き荒れる。
"死神":〈"リトルドレッサー"〉
"死神":〈防御だ〉
七星ミルキ:髪と上着がはためきながら、ハンマーの方へと引き寄せられていく。
七星ミルキ:「圧縮して、固定する……」ハンマーを担ぎながらつぶやく。
七星ミルキ:「固定した衝撃は外に出せる───」
七星ミルキ:ギュウウウウ。無色の衝撃波が空間を歪める。通る光を歪める。
七星ミルキ:透明な空気の玉の中で、光景が歪み、乱反射する光。
七星ミルキ:「攻撃は──並行できる」
七星ミルキ:圧縮された衝撃波。一つが致命的な破壊をもたらす光球
七星ミルキ:───それが、6発
七星ミルキ:「"咲き、乱れて"」ハンマーを振りかぶる
七星ミルキ:「──────"ひなぎく"!」
七星ミルキ:ゴ ァッ !
七星ミルキ:光が破裂する。
七星ミルキ:花弁のように広がった光と衝撃が、明確な指向性を持ってリトルドレッサーたちを包みこんだ

"リトルドレッサー":「ひ、ひひひ、ひぃ……」実験室の一角を覆い尽くすほどに膨れ上がった"リトルドレッサー"の巨体は
"リトルドレッサー":"バニラドロップス"の水槽を覆い隠すに十分な体積に至っていた。
"リトルドレッサー":衝撃波は対象物との間にある物体を通過できない。故に
"リトルドレッサー":『ひなぎく』の衝撃も通じることはない――が。
GM:              ――パン!
GM:肉壁越しに、小さな、軽い音が鳴った。
"バニラドロップス":〈……!?ザザッ……なん……だ、こいつァ……!〉
"バニラドロップス":"バニラドロップス"の水槽システムの音声が乱れていた。
"リトルドレッサー":「ひ、ひひ、助け……痛いよー」
七星ミルキ:「衝撃は物理の壁に弱くとも、振動は伝播します」
七星ミルキ:「そして、複数の衝撃の波は」
七星ミルキ:「重なって、増幅する」
"リトルドレッサー":「ごぼ」
"リトルドレッサー":バシャ!!
"リトルドレッサー":遅れて、"リトルドレッサー"の肉体の半分が破裂する。
七星ミルキ:「私の想い攻撃は、阻まれません」
"バニラドロップス":〈なる、ほどな……は、はははは……〉
"バニラドロップス":流血のような水音が続いている。水槽の一角が大きく破損し、溶液が流れ始めているのだ。
"バニラドロップス":〈大した狙いだ……維持システム自体がやられたか……〉
"バニラドロップス":〈このザマじゃあ、ノヴァリスにこいつを散布できるかどうかも――〉
"バニラドロップス":〈……いや〉
"バニラドロップス":〈関係ねえ〉
"バニラドロップス":〈終わった後のことなんざ……なんにも関係ねえ〉
"バニラドロップス":〈こいつは『今』、お前さんがたを殺せる『十字冠を破壊する兵器』だ……!それだけでいい!〉
"バニラドロップス":〈どんなミサイルだろうと、どんなヒーローだろうと間に合わねえ!〉
"バニラドロップス":〈はっ……ははははは!お前さんがたが生きるためには、『必死』になるしかねえってことだ!!〉
七星ミルキ:「それでも」
七星ミルキ:「私達が、ここに居ます!」
七星ミルキ:「何も、手遅れになんて」
七星ミルキ:「させません!」
七星ミルキ:割れた水槽。弾けてなお動くリトルドレッサー。………"シノエ・リュコス"。
七星ミルキ:すべてを目にして、分析する。……相手のことを、考え続ける。
七星ミルキ:視界の外、背後に動く気配を感じながら、考えを巡らせ続けていく。
シノエ・リュコス:眼前でチェルシー・ミラーと"リトルドレッサー"が戦闘を繰り広げる中
シノエ・リュコス:シノエ・リュコスの挙動は明らかに異様だった。
シノエ・リュコス:目の前の環境に特に興味を示さず、ただニコニコと笑いながら佇んでいるだけのようにすら見えた。
シノエ・リュコス:思えば、昼の交戦時にもそのような挙動をしていたはずだ。
シノエ・リュコス:目の前の戦闘が激化してから、初めてその状況に気付いて動いたかのような。
"キッチンボイラー":だが、その一方。再び動きつつあった存在もいた。
"キッチンボイラー":"死神"の哄笑に呼応したのか、あるいは七星ミルキが発動した衝撃の伝播で覚醒したのか――
"キッチンボイラー":エニュオ・デュカキスによって破砕され戦闘不能と思われた"キッチンボイラー"は
"キッチンボイラー":周囲の物質を骨格に取り込み、継ぎ接ぎめいて再構築し
"キッチンボイラー":活動を再開しつつあった。
"キッチンボイラー":多量の流血でカート・トゥエに打ち込まれた血液を流し尽くし、体内温度を高め始めている。
"キッチンボイラー":エニュオやミルキの背後。つゆりとサマンサの眼前。偶然か、あるいは戦闘アルゴリズムの必然か、全員の中央に位置取るような形である。
"キッチンボイラー":「キュルルルルルルルルル、ルルルルルルル……!」
三部つゆり:それを見過ごさぬように、白い少女が続いて動いた。
三部つゆり:彼女の冠が、四枚羽根からそれを束ねる二重円――否。
三部つゆり:四方に伸びる光と翼、それを支える円。後光ハイロゥの、神聖二重冠を結ぶ。
三部つゆり:「すべての毒蛇anujānāmiあらゆる恐ろしい毒bhikkhave imāniと」右手、銃口から延びるように。
三部つゆり:「その他の危険cattāriとを打ち砕くahirājakulānimettena」白く弾ける雷杭が伸びる。
三部つゆり:「聖なる薬たるマントラのようにcittena pharitum」それは、元は黒かったはずの雷。
三部つゆり:ソル・ジファンの黒い雷を反転模倣し構成した杭を、地面へ叩きつけた。
三部つゆり:「この護呪の威力の及ぶ範囲ではattaguttiyā」頌は、古のかたちの仏典を伝えたパーリ語によるもの。
三部つゆり:雷が下生えのように伸び、”キッチンボイラー”へ。
三部つゆり:「どのような場所でもattarakkhāyaいついかなる時でもattaparittam」カンダ・パリッタ。蘊経とも呼ばれる、
三部つゆり:「ありとあらゆる生命にとっての災いを打ち砕くkātum!」蛇を始めとした毒・病を退けるための護呪である。
三部つゆり:白い雷が、打ち込まれた白黒杭を起点に――大樹が産まれる様子を早回しにするように――伸びて、伸びて、伸びてゆく。
三部つゆり:完成した白い大樹は、――病を引き裂いて、消えていった。
"キッチンボイラー":非現実的な、ひどく遅い雷を、しかし"キッチンボイラー"は避け得なかった。
"キッチンボイラー":枝分かれしたエネルギーが、骨の隙間から内側へと食い込んで、"キッチンボイラー"を内燃器官とは異なる熱で焼いた。
"キッチンボイラー":浄化の熱である。
"キッチンボイラー":「キュ」
"キッチンボイラー":獣の鳴き声のような声を発した――元は人間であるはずなのに。
"キッチンボイラー":バ キ ン!
"キッチンボイラー":空中に跳ね上げられた"キッチンボイラー"の首の接合が弾けて外れた。
"キッチンボイラー":無数の肢が。背骨の節が。バラバラと落ちて積み重なる。
"死神":〈あの"キッチンボイラー"を……殺しやがったか〉
"死神":〈認めてやるよ。ただの生徒にできる芸当じゃねえ……〉
"死神":〈だがな……三部つゆり。"霊安室"の兵器は、ただ殺せば終わるもんじゃねえのさ……!〉
"キッチンボイラー":バラバラになったパーツの中に、ただひとつ、原型を保ったままの部位がある。
三部つゆり:肩を大きく動かして息をしている。大きな消耗と隙があった――連続しての行動は、彼女にはひどく難しい。「…、ま、さか…!」目を見開く。
"キッチンボイラー":胴体で囲われた肋骨。高熱の心臓がその中で拍動している。
"キッチンボイラー":その拍動が徐々に早くなっていく。それがつゆりには分かった。
三部つゆり:「――まずい…、炸裂します…!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「――分かったわ!!」
サマンサ・シュヴァイゲル:その予兆が見えたとき、既に踏み込みの姿勢を見せていた。
サマンサ・シュヴァイゲル:(綺麗だった)
サマンサ・シュヴァイゲル:(それに、温かかった)
サマンサ・シュヴァイゲル:目の前で瞬いた二つの閃光は、網膜に焼き付いている。
サマンサ・シュヴァイゲル:それがペテラ・アズテックの、死へのひたむきな絶望かくごに呑まれそうになっていた肉体を奮い立たせる。
サマンサ・シュヴァイゲル:(まだ何か、私にだって、出来ることがある!)
サマンサ・シュヴァイゲル:「先生に任せて!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「うぉおおおおおおおおおーっ!!」
サマンサ・シュヴァイゲル:そして力強く床材を踏み砕き、走り出そうとして――
エニュオ・デュカキス:「バカですか!!」普段の取り繕った顔からは飛び出すことのない大声が響く
エニュオ・デュカキス:「昼間とはわけが違う! いま、先生の症例は抑えてる状態でしかない!」
エニュオ・デュカキス:「死ぬつもりならここでされても困るだけです!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「きゃうっ!?」
サマンサ・シュヴァイゲル:後ろから捕まえられて、つんのめる。
サマンサ・シュヴァイゲル:「あ……ああわ……アウアウアウ……!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「全くもって……仰る通りです……!」
サマンサ・シュヴァイゲル:ほんの数秒前までの威勢はどこへやらで、水をかけられた犬のようにしょんもりと縮こまる。
エニュオ・デュカキス:眉根を寄せた顔のまま、眼前の教師を睨み上げる。その視線を感じている最中
エニュオ・デュカキス:ガチャリと。わずかな重さを伴って装着音が聞こえただろうか
サマンサ・シュヴァイゲル:「これ、は」
サマンサ・シュヴァイゲル:感染痕の酷い左掌を見つめる。
サマンサ・シュヴァイゲル:滑らかに鱗のように動く装甲がそれを覆い、肩口まで生物のように這い上がり
サマンサ・シュヴァイゲル:突き刺すようだった痛みとしびれが癒えていく。
エニュオ・デュカキス:「高いギプスになりますよ」
エニュオ・デュカキス:「それこそ先生のお給料の数ヶ月分です。だから」
エニュオ・デュカキス:「無事に返すか、修理代が払えるようにしてください」
サマンサ・シュヴァイゲル:「……エニュオちゃんには」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ずっと、お世話になってばっかりだわ」
サマンサ・シュヴァイゲル:「カッコ悪い先生で、いつもごめんね」
サマンサ・シュヴァイゲル:眉を下げて、手甲の掌を見つめる。
エニュオ・デュカキス:「なら、“次は”怒られないようにお願いします」
エニュオ・デュカキス:「どうか無事に」
エニュオ・デュカキス:これ以上止める言葉はない
"キッチンボイラー":拍動は、もはや間隔を認識できないほどに早まっていた。
"キッチンボイラー":すぐにでも爆発する――全員が致命傷を負い、"キッチンボイラー"の熱に感染すれば、シノエ・リュコスとペテラ・アズテックを止める手立てはない。
サマンサ・シュヴァイゲル:「ええ!約束よ!」
サマンサ・シュヴァイゲル:振り返り、真っ直ぐに突っ込む。
サマンサ・シュヴァイゲル:「怒ってるエニュオちゃんよりも、笑っているエニュオちゃんの方が素敵だわ!」
サマンサ・シュヴァイゲル:爆発寸前、超高熱を帯びたジャームの体表へと躊躇いなく肉薄し
サマンサ・シュヴァイゲル:――ずどん!!
サマンサ・シュヴァイゲル:心臓へとガントレットを突きこむ!
サマンサ・シュヴァイゲル:「ぬぅううううううううっ」
"キッチンボイラー":ヂッ!バヂッ!!
"キッチンボイラー":熱を帯びた血液が溢れる!
"キッチンボイラー":生身の腕であれば、それだけで骨まで焼け溶けていただろう――だが。
サマンサ・シュヴァイゲル:めぎめぎと、頬を裂く火傷をものともせず
サマンサ・シュヴァイゲル:鋼の腕で巨体を持ち上げ――
サマンサ・シュヴァイゲル:「どぉおおおおおおおりゃああああああ!!」
サマンサ・シュヴァイゲル:ぶぢいいいいっ!!
サマンサ・シュヴァイゲル:心臓を引き抜き、至近距離で握り潰した!!
"キッチンボイラー":"キッチンボイラー"の心臓は、爆裂を待たず四散した。
"死神":〈そうだ。"キッチンボイラー"の自爆への唯一の対処方法はそれだった……〉
"死神":〈だが……呆れたもんだ。十字冠を持たないお前さんに、迷わずそれができるなんてな〉
"死神":〈分からなくなってくるぜ。俺とお前さんのどっちが……真っ当な『先生』なのか〉
サマンサ・シュヴァイゲル:「あなたがしていることと同じよ!お墓頭さん!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「私にだって、生徒のみんなが教えてくれる」
サマンサ・シュヴァイゲル:「一生懸命、生きるってことを」
サマンサ・シュヴァイゲル:「明日も、明後日も」
サマンサ・シュヴァイゲル:「生徒みんなと約束が、沢山あるんだもの!」
"死神":〈そうだろうな。一生懸命……いい言葉だ〉
"死神":〈そして、そういう途方もねえ明日や明後日の価値を犠牲にして得られるものがあることも〉
"死神":〈……証明してやる……!今、ここで!〉
シノエ・リュコス:音があった。
シノエ・リュコス:ヒュゥゥゥ……ヒュゥゥゥ……
シノエ・リュコス:隙間風か、咽び泣く声のような、不吉な異音。
シノエ・リュコス:「ああ……」
シノエ・リュコス:「みんな……どうして、そんなに必死になるのかな」
カート・トゥエ:「シノエ……!やめようよ、シノエ!あたし達との思い出があるなら……」
カート・トゥエ:「ジャ、ジャームだって……もしシノエがジャームだって……」
カート・トゥエ:「"キッチンボイラー"や"リトルドレッサー"とも、あたし達、うまくやってきたから……」
カート・トゥエ:「けほっ、けほっ……そ、そうだよね……?」
七星ミルキ:「っ」乾いた口を動かす。
七星ミルキ:「シノエ、さん!」身体が震えそうになる。留める。
七星ミルキ:真っ白な少女に対するだけで刻まれた恐怖が蘇る。
七星ミルキ:「辛くっても、苦しくっても……」
七星ミルキ:「死ぬことを望まない子だって、いるんです…!」
七星ミルキ:「だから、こんなことをしなくても……!」
シノエ・リュコス:「わたしね」
シノエ・リュコス:「生き返る前は、毎日毎日、こわくて苦しかったよ」
シノエ・リュコス:「ねえ――ちょうどこの真上の訓練室で」ガラス張りの実験棟は、カナートスの生徒が生物兵器としての訓練を受けさせられていた場だ。
シノエ・リュコス:「死にたいっていつも泣いてたの」
七星ミルキ:「…………!」
シノエ・リュコス:「だから、わたしが放り込まれたところに、『十字冠を破壊する兵器』があるってきいたから」
シノエ・リュコス:「わたし、自分で感染したんだ……ふふ、ふふふふふ」
七星ミルキ:「それ、は」病室を回る中、他の生徒達にも聞いたシノエ・リュコスの姿。
シノエ・リュコス:「全然、なんともないでしょう?」
シノエ・リュコス:袖を指で挟むように両手を広げて、くるりと回ってみせる。
七星ミルキ:「…………そうです、ね。健康に、見えます」
七星ミルキ:「私は、生前のシノエさんを知りません。今は、とても笑っているように見えます」
七星ミルキ:「でも……」
七星ミルキ:「貴方を知るトゥエさんは、貴方を止めています。……変わっていると、感じています」
七星ミルキ:「本当に……なんとも、ないんでしょうか?」
シノエ・リュコス:「ほら。なんともないでしょう。見てよ」
シノエ・リュコス:「私の姿を見て――」

シノエ・リュコス:ヒュゥゥゥ……ヒュゥゥゥ……
七星ミルキ:「えっ……?」
シノエ・リュコス:布を被った幽霊のような怪異。
シノエ・リュコス:星徒シノエ。それが彼女の流星体である。
シノエ・リュコス:ヒュゥゥゥ……ヒュゥゥゥ……
シノエ・リュコス:背筋を凍らせるような音だけが漏れている。
シノエ・リュコス:「わたしは今、すごく幸せ――」
シノエ・リュコス:「だけどね、まだほしいものがあるの……」
シノエ・リュコス:「みんなも、こっち、、、にきて」
七星ミルキ:「……は、……はっ…!」呼吸だけに集中する。
七星ミルキ:背中は凍りついたように寒く、汗が吹き出るのに全然熱くない。
七星ミルキ:その感覚を知っている───かつて、同じ存在から齎された。
七星ミルキ:一生懸命。必死。────その先にあるモノ
七星ミルキ:(ヘルさんから、言われていた。会う前から、決めつけては駄目、って)
七星ミルキ:(知りたいなら、直接話せ、と)
七星ミルキ:だから躊躇した。一方的に決めつけることも。もしかしたら。
七星ミルキ:(もしかしたら、わかりあえるかも──)
七星ミルキ:身体が、震える、、、
七星ミルキ:クロード・カレルと対峙した時でさえ存在しなかった、無意識の動き。
七星ミルキ:其れは絶対。其れは誰の近くにもある
七星ミルキ:言葉をかわすより前に、"目"を合わせただけで通じる──"終わり"の気配
七星ミルキ:(これが、)
七星ミルキ:("死"────────)
シノエ・リュコス:ざわり、と
シノエ・リュコス:空気に不可視の波が広がったように思う。
シノエ・リュコス:色彩が変わるわけでも、音を伴うわけでもない。
シノエ・リュコス:だが、生物の本能として分かる、死の気配が、全員を呑み込もうとする――
三部つゆり:「目を閉じなさいッ!!!」烈火のような声が、七星ミルキの背を叩いた。
三部つゆり:シノエの流星体に対して、右眼を開いている――ボタンの死んだ目。
三部つゆり:死んだもの、死者の眼からならば。”死”を捉えることができる。――先の会敵時と同じ理屈。
七星ミルキ:「きゃっ!」咄嗟に、指示通りに目を閉じる。言われた通りにするクセは、身体に染み込んでいる
三部つゆり:「極楽世界の池の水を思い描け次當想水」影が、赤黒から黒々と湧き出ずる。
三部つゆり:「極楽には極樂國土8つの池があり有八池水」周囲を満たし浸すように。
三部つゆり:「それぞれの池の水は一一池水七つの宝の輝きを映し煌めき七寶所成
三部つゆり:「実に滑らかで其寶柔輭」その影水を湧かす少女の腕は黒く染まり、
三部つゆり:「最も優れた宝玉たる如意宝珠から生まれる從如意珠王生!」手には黒い宝珠がある。
三部つゆり:人中の竜たる胡緑蘭が用いた、”懐玉”の術。その劣化模倣行使。
三部つゆり:中華に於いて、龍とは水を司る神である。――神は、死を認識できる。死を司る神がいるように。
三部つゆり:その宝玉の視線が、全周を見つめる。
三部つゆり:災いを。死の伝染を止めてゆく――
シノエ・リュコス:つゆりの術式は、この状況下でも通用した。先の戦闘で死を食い止めたのと同じように。
シノエ・リュコス:『死』の伝播は止まった。布のような流星体に覆われたシノエ・リュコスの表情は見えない。
シノエ・リュコス:ヒュゥゥゥゥゥゥ……ヒュゥゥゥゥ
七星ミルキ:自分と、シノエ・リュコスだけが存在する世界から視野がひろがる。
七星ミルキ:つゆりの声が聞こえて、冷たくも温度のある水の感覚が身体を包みこんだ
七星ミルキ:「生き、てる……!」
七星ミルキ:氷の粒を飲み込むような震えと共に息を吐き出す。
GM:ただし。死を止める術式を実際に行い、分かっていることはもう一つある。
GM:多大な消耗と反動を術者に強いること。恐らく、連続しての使用は真に魂を削る試みになる。
GM:一方でシノエ・リュコスはどうか。あの攻撃をどの程度の間隔で連発し、使用のたびにどの程度のリソースを支払うのか。それとも――
三部つゆり:「見すぎないで。”魅入って”しまうから……」此方も何度も打てるという訳でもない。今後もとどめ続けることは、本当にまずい。
三部つゆり:(だけど……あの子の攻撃は、私がやらないといけない……!)
三部つゆり:理屈ではない、オカルトじみたものだからこそ。それに対しての専門家であり、止められる手段を持つ者は、私だけだ。
七星ミルキ:「ん……!」崖を好奇心で覗き込むように、不思議とシノエに向けそうになった視線を足元に切る。
七星ミルキ:進行性劇症感冒。アドレナリン。臨死。すべての要素に心臓は早鐘を打ち、生存を主張する。
七星ミルキ:「ありがと……たすかった!」シノエ・リュコスから目をそらすように、別の動きに反応する
GM:一方。部屋の奥では、先程から戦闘音が響き続けている。
チェルシー・ミラー:「あははは、あはははははははっ」
チェルシー・ミラー:「シノエちゃーん、ペテラちゃーん、サマンサちゃーん」
チェルシー・ミラー:虚ろな目で、敵味方関係なく名を呼びながらも
チェルシー・ミラー:"リトルドレッサー"を追撃し、奥の"バニラドロップス"の制御装置を破壊しようと天井や壁面を跳ね回っている。
"死神":"死神"は施設内の防衛システムでその動きを牽制し、水槽へと近付けまいとしている。
"死神":〈チェルシー・ミラー……お前さん、その状態でも〉
"死神":〈本当は、自我があるんだろう〉
"死神":〈惨めなもんだ。自分がどれだけ無様になっているのかを、自分で見ながらでないと戦えねえんだからよ……〉
チェルシー・ミラー:〈あははははは!おいしそう!みーんな、おいしそう!〉
サマンサ・シュヴァイゲル:「チェルシーちゃんは」
サマンサ・シュヴァイゲル:「惨めなんかじゃない!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「イヤだって思いながら、嫌われたくないって思いながら」
サマンサ・シュヴァイゲル:「それでも力を貸してくれたもの!勇気があるの!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「いま行くわ!チェルシーちゃん!」
サマンサ・シュヴァイゲル:大声で叫びながら、こちらも駆け出す。
サマンサ・シュヴァイゲル:ガントレットはまだ動く、薄れていた体の痛みが戻る前に。
"死神":〈さっきから随分と威勢がいいが、サマンサ・シュヴァイゲル――〉
"死神":〈体の調子は大丈夫かい?〉
GM:サマンサは、その時、足がもつれて倒れた。
サマンサ・シュヴァイゲル:「~~~ッ!」
サマンサ・シュヴァイゲル:びだーん!頭からひっくりかえる!
"死神":〈見ろよ……!これまでの実験記録じゃあ例がなかったくらいの〉
"死神":〈急速な感染だ!すごいもんだぜ!〉
七星ミルキ:「……ゲホ!!ゲホッ!!」つゆりに支えられながら咳き込む。
ペテラ・アズテック:「はぁ、はぁ……っ!」
七星ミルキ:「前は、まだ、」(時間があったはずなのに…!)
ペテラ・アズテック:誰からも攻撃対象になることなく
ペテラ・アズテック:自分自身も必死に壁際を這い、ゆっくりと進みながら
ペテラ・アズテック:それでも、ペテラ・アズテックは自分にできる一つだけのことをした。
ペテラ・アズテック:それは、自分を蝕む病を――
ペテラ・アズテック:他のものに感染させることができる、ということ。
三部つゆり:「ぐ、ギ………、」歯を食いしばっている。その間から、血がにじみ出ていた。
七星ミルキ:「ペテラちゃん……!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「はぁ、はぁあああ」
サマンサ・シュヴァイゲル:息が熱い、内臓を直接炙られるように。
サマンサ・シュヴァイゲル:マグマのような"キッチンボイラー"の体内に腕を突っ込んだ時よりも
サマンサ・シュヴァイゲル:さらに猛烈な熱が全身から湧き出してくる感覚。
エニュオ・デュカキス:「第六プラントの検証より変異速度が速い……これほどの進化スピードは、彼女の」
ペテラ・アズテック:「ハァ、ハァ……!もう、少しで」
ペテラ・アズテック:「もう少しで、死ねる……!」
ペテラ・アズテック:「――神聖ダブル二重冠クロス!!」

"死神":〈はははははははは!これだ!これこそが!〉
"死神":〈何も持ち合わせのねえ、最底辺の弱者でも、最期の最期に何もかもを覆す!〉
"死神":〈本当の奇跡、、、、、ってやつじゃあねえかい!?なあ!?〉
サマンサ・シュヴァイゲル:「……こんなの」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ぜんぜん……まったく……平気だわ……!」
サマンサ・シュヴァイゲル:額から血をぼたぼた落としながら、立ち上がる
サマンサ・シュヴァイゲル:「全身がちぎれそうだけど、頭がわれそうだけど」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ずっとそうなの!!おあいにくさまよ!!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ペテラちゃんのせいで悪くなったところなんて全然ないわ!!!」
ペテラ・アズテック:「サマンサ……先……生……」
ペテラ・アズテック:「~~~っ」ぎゅっと目をつぶって
ペテラ・アズテック:再び、足を引きずりながら、"バニラドロップス"の水槽へと壁伝いに歩き始める。
サマンサ・シュヴァイゲル:「すぐに……すぐに行くから……」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ペテラちゃん……!」
サマンサ・シュヴァイゲル:血を吐きながら、こちらも這うように進む。
エニュオ・デュカキス:このわずかな時間で戦況は最悪に落ちる。体の自由も利かず、本命の終わりには届かない
エニュオ・デュカキス:先程の“シノエ・リュコス”を直視することはできなかった。本能的なものか、理解しえない領分を判断したのか
エニュオ・デュカキス:吐息。それにすら熱と炎症を起こした粘膜の血の味が混じって
エニュオ・デュカキス:「七星さん。三部さん」
エニュオ・デュカキス:「やれますね?」
エニュオ・デュカキス:主語を省いた、何を指すかも示さない単語
三部つゆり:唇から血を零しながら、こくりと頷いた。喉は灼けてしまった後のようで、碌に言葉もそのままでは発せないが。
七星ミルキ:代わりに、2人分の声を返す。どれだけ消耗しても体を動かすことだけは出来る
七星ミルキ:「──やります!」
エニュオ・デュカキス:笑う。思えば七星さんとカナートスには随分と関わってきたものだが
エニュオ・デュカキス:ここに辿り着いたのは間違いなく。彼女の力だ
エニュオ・デュカキス:「サマンサ先生!」
エニュオ・デュカキス:「ペテラさんをお願いします!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「!!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「エニュオちゃん……!」
エニュオ・デュカキス:「貴方の仕事です!」
サマンサ・シュヴァイゲル:仕事。
サマンサ・シュヴァイゲル:その言葉を使う意味を知っている。それは、エニュオ・デュカキスにとって。
サマンサ・シュヴァイゲル:何度となく自分を勇気づけてくれた、生徒であり――尊敬する恩人にとって。
サマンサ・シュヴァイゲル:「ええ」
サマンサ・シュヴァイゲル:「先生、がんばるわ!!」
サマンサ・シュヴァイゲル:”誇り”を飲みくだし、己に刻み込むように頷いた。
エニュオ・デュカキス:返答はなかった。必要のないことをする時間は残されていない
"死神":〈来るか。エニュオ・デュカキス……!〉
"リトルドレッサー":もはや三分の一ほどの体積になっていた"リトルドレッサー"の肉体が
"リトルドレッサー":薬剤を注入され、再び歪に暴走する。細胞寿命を引き換えにした急速ブーストだった。
"死神":〈『死神死神と邪険にすんなよ』〉
"死神":〈『俺とお前には深い因縁があるんだ』――〉
"死神":〈……勝負だ。お互い、手札も残り少ねえだろう〉
エニュオ・デュカキス:「……」
エニュオ・デュカキス:脚部スピナーを設置。高速回転。上半身を低く、クラウチングスタートのような加速体勢
エニュオ・デュカキス:「『いいだろう。やってみな。ただし、自分でやるんだぜ、おれは手を出せねぇ。寿命が尽きたやつを助けるわけにゃいかねぇからな』」
エニュオ・デュカキス:スタート
エニュオ・デュカキス:床を削り取りながら。高速で目標へ疾走する
エニュオ・デュカキス:脳内に響く警告音とテキスト。AIDAはこの勝負を否定し、逃走を選択しろと叫ぶ
エニュオ・デュカキス:データの喪失を回避しろという命令はどこか、命を失うことへの恐怖にも見えた。しかし
エニュオ・デュカキス:「黙っていろ」呟く。機械風情が人間を使うな。
エニュオ・デュカキス:「そいつを寄越せ!!!!」
エニュオ・デュカキス:十字冠の輝き。神聖二重冠の起動が制御を駆逐し、自らの意思を以て疾走する
エニュオ・デュカキス:“エニューアリオス”の左武装腕は酷くいびつな形で成り立っている。別々の機体から寄せ集めた材料を組みつけたような、膨れ上がったと思えばひどく細いシルエット。
エニュオ・デュカキス:電磁打撃を搭載する右に対して、真理兵装のテストタイプという色を残した左はオーヴァードという生体部品を活用するための機構がある。
エニュオ・デュカキス:リトルドレッサーを一撃で排除し得る可能性を持つのはこれだけだ。しかし不確定な武装に命を預けるというリスクも消えない。
エニュオ・デュカキス:“八月革命”の際に使用した時、敵部隊の殲滅には成功した。代償は外殻の八割と自身の両手足の喪失。
"リトルドレッサー":触れれば感染する。半分以上を破壊しても再生する。
"リトルドレッサー":"リトルドレッサー"を攻略する手段があるとすれば
"リトルドレッサー":一撃で、触れると同時に、全身を消し飛ばすということ。
GM:『八月革命』の時の理論値で届くかどうかは不明だ。今のエニュオが理論値に到達できるのかも。
GM:だが――
エニュオ・デュカキス:左腕の機構は単純だ。目標に対してゼロ距離で生成した熱を叩きつける。
エニュオ・デュカキス:武装左腕内部のシリンダーによって圧縮された大気は、加速する分子同士の衝突で熱量を増大させる。
エニュオ・デュカキス:例を上げれば大気圏突入だ。およそ秒速10kmで衛星が地球に落下する最中、先端で圧縮される大気は濃度にもよるが一万度を超える。
エニュオ・デュカキス:尤も容易に辿り着くことはできない。想定されたのはエグザイル発症者の攻撃エフェクト《ウルトラボンバー》を用いての瞬間圧縮。
エニュオ・デュカキス:装着者の生体細胞からエフェクトを強制励起し、起爆剤として使用したことで最低限の熱量へ到達に成功した。
エニュオ・デュカキス:しかし起爆と同時に左掌からの熱量放出が遅れれば、蒸発した左武装腕から装着者の肉体を3000度の暴風が焼き尽くすことになる。真理兵装とは名ばかりの失敗作。
エニュオ・デュカキス:それでも。勝算はある。ほんのわずかでも己の手の中にある
エニュオ・デュカキス:ならば賭ける。千に一つ万に一つの可能性を考え、これを残してきた
エニュオ・デュカキス:クロスレンジ──白兵距離
"リトルドレッサー":"リトルドレッサー"の対応は単純だった。エニュオの拳を、異常増殖した細胞で包み込むように、捉えようとする。
"リトルドレッサー":そうして、触れつつあった腕が。触手が。仮足が
"リトルドレッサー":刹那の時間で起こる引き潮のように、拳から離れた。
"リトルドレッサー":受け止めるどころか、触れることさえできなかった。
"リトルドレッサー":その瞬間、“エニューアリオス”の前に立ち塞がり、その速度と熱に晒された瞬間
"リトルドレッサー":細胞内部の水分が蒸発して、爆裂したからだ。
GM:その様子を見る者達は、ただ
GM:ガン、という鋭く短い爆発音を聞いた。
エニュオ・デュカキス:掴んだ。
エニュオ・デュカキス:二重冠が輝く。己を燃やし、ただ一点に叩き込む
エニュオ・デュカキス:臨界
エニュオ・デュカキス:「トリガー──“真理兵装・偽装日輪ブラフマーストラ”」
エニュオ・デュカキス:さて。当人は知らぬ話であるが──
エニュオ・デュカキス:────「すべての物を同じ物差しで測り、その代わりになるものを用意する」────
エニュオ・デュカキス:────「真理を知らずに迷う? 美味い物を食べれば良い! 不安がある? 楽しい事をすれば良い」────
エニュオ・デュカキス:────「それらを実現するのは、全てを代替する”価値”だ」────
エニュオ・デュカキス:放たれるのは偽りの太陽。しかしここは空のない、生者と死者が蠢く暗闇の中で、病と血の匂いが満ちる地獄の底において。
エニュオ・デュカキス:この太陽が偽りであることに、何の意味があるだろうか
GM:先程まで確かに存在し、水槽までの射線を阻んでいた"リトルドレッサー"は
GM:今はどこにもない。文字通り、蒸発したのだった。跡形もなく。
"死神":〈く……はは……ははは……〉
"死神":〈『お前、とんでもないことをしてくれたな』……〉
"死神":〈『もともと死ぬはずのものを生かされちまったら』〉
"死神":〈『俺たち死神は』〉
"死神":〈『商売上がったりだ』……〉
GM:禁忌の兵装の反動は多大だ。エニュオは起き上がれない――『八月革命』の頃と同じだ。
GM:だが、"死神"の言葉はどこか、そんなエニュオの姿への称賛のようでもあった。あるいは、最初からそうだったのだろうか。
エニュオ・デュカキス:がしゃん。全てのバッテリーを使い切り、残ったそれは糸の切れた操り人形だ
エニュオ・デュカキス:倒れ込んだまま動かない。それでいい
エニュオ・デュカキス:これが私の必死せんじょうだった。あの時は一人だった
エニュオ・デュカキス:今は、違う
GM:"死神"の攻撃は、"リトルドレッサー"だけではなかった。
GM:十分に育った"バニラドロップス"の分裂体も、"リトルドレッサー"の陰で炸裂させ、劇症型堕天病を再び感染させようとしていた。
GM:だが、それらも豪熱で焼却された。今や、この戦場に残る敵は――
シノエ・リュコス:「みんな……みんな、一緒にきてよ」
シノエ・リュコス:「ふふふふふふ。すごく幸せだよ。すごく楽しいの」
シノエ・リュコス:「生きていたころとは違うのよ」
カート・トゥエ:「……つゆりさん」
カート・トゥエ:ふと、トゥエが疑問を口にした。
カート・トゥエ:「シノエの攻撃って、どんなだったの?」
三部つゆり:「……概念的になりますが、”死”の伝播…と言えばいいでしょうか。ホラー映画の、怪物の様に…”逃げられない死”というものをぶつけてくる」
カート・トゥエ:「……そうか。そうだったんだ」
カート・トゥエ:「ねえ、つゆりさん」
カート・トゥエ:「それは、きっと――」
シノエ・リュコス:それは、カート・トゥエの言葉を遮るかのようだった。
シノエ・リュコス:死の伝播が始まる。つゆりが、再び覚悟を決めなければならないことを意味していた。
三部つゆり:「私の仕事です――少しだけ、待っていて下さい」最後に、トゥエさんへ笑って。「答えは、後で聞かせて下さいね」
三部つゆり:赤黒い穢れた影が、針のかたちとなって装填される。こめかみにつきつけて、撃ち放つ。
三部つゆり:その瞬間に固定されたように。思考が加速し、加速し、加速し――最果てへ辿り着く。

三部つゆり:三部つゆりは、己の身体をかくも欠損させられながら、内にある”輪廻の獣”を恨んでいない。
三部つゆり:正確には、恨む様な相手と見做していない――これは、なぜか。
三部つゆり:己を蝕む災厄に、原因が…犯人がいるのに、恨み憎まずにいる理由は何か。

三部つゆり:「いろは姉さん」おぞましき輪廻の生たる、深淵を見つめながら。彼女は以前呟いた、誰かの名前を告げた。
三部つゆり:「あおば姉さん。うい姉さん。ゆめみ。きょうこ」それは全て、彼女が知る同系封印体たちの名前だ。
三部つゆり:彼女の前に、封印としての役を果たしたか、果たせなかったかして、”死んだ”姉妹たち。
三部つゆり:”共命鳥”と名付けられたこの獣は、数百年単位で封印されてきた。その多くは、人柱を用いて。
三部つゆり:そして。この獣の封印の役を務める、ということは。どうであれ、
三部つゆりその一部になること・・・・・・・・・だ。三部つゆりは知っている。眼で見た。記憶を追体験したこともある――

三部つゆり:この獣から取り出した穢れた影から、なぜ聖なるものを、彼女が取り出す事が出来たのか。
三部つゆり:誰かが、己を捧げてきた献身の歴史がここにあるからだ。
三部つゆり:呪いを、災いを――そして死を遠ざけるために、その一部となってしまった人達。
三部つゆり:たとえそれが、誰かに押し付けられ、それ以外の道を塞がれていたのだとして。
三部つゆり:彼らの人格も、心も、言葉も、もはやどこにもないとして。
三部つゆり:為されたこと。その事実の、尊厳が失われる事。それだけ、、、、はない。
三部つゆり:少なくとも、三部つゆりは、そう信じる。そうだと確信している――
三部つゆり:「ちからを、かして。お願い…!」困ったような。
三部つゆり:姉妹たちに、どうか助けて欲しい、と妹が言うようなこえだった。
三部つゆり:――その事は、誰にだって否定させない。
三部つゆり:ちかりちかりと、いくつか。
三部つゆり:影しかないはずの、黒い世界で白く光るものがあった。それを掴む。加速が解ける。舞い戻る。

三部つゆり:そのとき。白いものが散り、幾人かのひとがたを取ったようにみえたかもしれない。
三部つゆり:おそらく、ただの錯覚だった。彼らは、意志も言葉も記憶さえ、もはやどこにも残っていないのだから。

三部つゆり:<色は匂へど散りぬるを諸行無常 我が世誰ぞ常ならむ是生滅法
三部つゆり:<有為の奥山今日こえて生滅滅已 浅き夢見し酔ひもせず寂滅為楽
三部つゆり:影から声が響いた。それこそが彼女の、かのじょたちのうただった。
三部つゆり:「咲、け吹き消せ!」
三部つゆり:「”輪廻の獣モクシャ・サンサーラ”…!」何か、吐息のようなものが吹き抜けた。
三部つゆり:攻撃が停止する。そしてそれが、攻撃の威力が、さらさらと――
三部つゆり:花弁となって散ってゆく。桜の花の、白くうっすらと赤い。
三部つゆり:封印術式機序の内二つ目。”輪廻”に対する、”解脱転換”の解放だった。
シノエ・リュコス:白い布の塊が、幼子のような疑問の声をあげた。
シノエ・リュコス:「……なんで?」
シノエ・リュコス:「なんで、おねえちゃんは、ひとりじゃないの?」
三部つゆり:「私は、封印の楔」
三部つゆり:「私は、いつか怪物になる娘」
三部つゆり:「……そして。私こそが、」
三部つゆり:「輪廻の獣アルマス・レグナムだから」
シノエ・リュコス:「ずるい」
シノエ・リュコス:「ずるい。ずるい。ずるい。ずるい」
シノエ・リュコス:表情も、身振りもないが
シノエ・リュコス:布の塊が震え、苦悩するように悶えた。
シノエ・リュコス:「なんで、おねえちゃんは、死んでもひとりじゃないの!?」
シノエ・リュコス:「誰も……誰も、こっちに来てくれないのに!」
シノエ・リュコス:「ずるい。いいなあ!」
シノエ・リュコス:「わたしもほしいよお!」
三部つゆり:顔色はもはや青を通り越し、白くなっている。単純なエフェクトだけでない。”死”を直視し続けた事による消耗も、彼女を蝕んでいる――
三部つゆり:「、はっ……、」反論の為の口さえ碌に動かなかった。
七星ミルキ:「つゆりちゃん」体が震えている。声が震えている。固く握りしめた手に、爪が食い込む
七星ミルキ:「ごめんね、一つ、お願いしていいかな」
七星ミルキ:「私、これから、すごい無茶なことする」
七星ミルキ:「だから……」
七星ミルキ:「応援。貰って、良いかな。」
七星ミルキ:「がんばれ、って」
三部つゆり:「……、が……ん、ばって…、」そこまで言って、
三部つゆり:白の少女は笑って、あなたの背を叩いた。ぽすん、と触れるだけではあったが。
七星ミルキ:「…………へへ」はにかんで、一歩踏み出す
七星ミルキ:「うん」
七星ミルキ:たっ。軽やかに走り出す。───シノエ・リュコスの元へ。
七星ミルキ:一歩ごとに心臓は凍りつき、汗は吹き出る。
七星ミルキ:「シノエさん!────シノエ・リュコス!」
チェルシー・ミラー:それと時を同じくして、チェルシーも壁を蹴り、シノエへと挟撃を行っていた。
チェルシー・ミラー:「シノエちゃん、シノエちゃん、シノエちゃん!」
シノエ・リュコス:「いいな。いいな。いいな」
シノエ・リュコス:「わたしも、あれがよかった」
シノエ・リュコス:シノエ・リュコスの様子は、先程と同じように異様だった。ほとんど周囲の戦況に対して反応していない。
七星ミルキ:「私の、私の名前は、」
七星ミルキ:「ミルキ。七星ミルキ!」
七星ミルキ:声よ枯れろ、とばかりに張り上げる。
シノエ・リュコス:「七星ミル、キ……」
七星ミルキ:その姿を見るだけで体中の熱とは別に、意識が冷え込む。
七星ミルキ:「好きなものは、甘いものと漫画!料理よりは、お菓子つくりが得意!」
七星ミルキ:「特技、特技、は……!」
七星ミルキ:眼の前が震える。やめたくなる。やめない。
七星ミルキ:舌を噛み、ろれつは回らない。
七星ミルキ:それでも、目を閉じることと──泣くことだけはしない。
七星ミルキ:(ごめんね。私、ここに来て一つだけ嘘をついた)
七星ミルキ:(『死んだら終わり』────、それだけは)
七星ミルキ:死んだら、終わりだと思う。死んだら、何も出来ない。
七星ミルキ:だけど
七星ミルキ:死んだら終わりなら──どうして、ただ名前を刻んだだけの墓標に祈るのか?
七星ミルキ:(届いてほしいから)
七星ミルキ:"死んでない"──そう思い続けて、ここまでやってきた
七星ミルキ:だけど、同じくらい、確実に死んでしまった人も居て
七星ミルキ:その人たちに祈る子たちが居る
七星ミルキ:(居なくなった人たちが終わりだと思いたくないから)
七星ミルキ:(残したものが、繋げたものがここにあるなら──)
七星ミルキ:(終わった先があると、信じたいから)
七星ミルキ:「私、私は、……!」
七星ミルキ:「"合同カタコンベ保全委員会"!」
七星ミルキ:「シノエ・リュコス!シノエ、ちゃん!」
七星ミルキ:「貴方が死を寂しがっても、皆を連れて行く必要なんか、ない!」
七星ミルキ:「私達の思いは!残された人たちの思いは!」
七星ミルキ:「トゥエちゃんも、チェルシーさんも、ヘルさんも、貴方のことを覚えて、想っているから!」
シノエ・リュコス:「いやだ」
シノエ・リュコス:「いやだ。みんな死ねばいいんだ」
七星ミルキ:「……あなたのそば、、、、、、にある!」
シノエ・リュコス:「みんな、わたしみたいに死ねばいいんだああ」
七星ミルキ:足を止める。冷や汗がにじみ、身体は消耗している。
シノエ・リュコス:「あはははははは、ははははは、ははは」
七星ミルキ:二重冠の輝きも薄れ、内心は恐怖に満ちて。
七星ミルキ:────シノエ・リュコスの前にいる。
七星ミルキ:「大丈夫」
七星ミルキ:「私も、居るから」
七星ミルキ:「あなたを、一人になんて……させない」
七星ミルキ:布の塊──そう見えるものを、抱きしめる。
シノエ・リュコス:ぞわり、と
七星ミルキ:(あ、───)自分の中から、喪われていく。
シノエ・リュコス:無の感覚が広がっていった。
シノエ・リュコス:見える全てが。聞こえる全てが。触れる全てが。
シノエ・リュコス:世界の何もかもを取り残して、どこかへと行ってしまう。
七星ミルキ:白。と真っ先に想った。だけど、それは白ではない。
七星ミルキ:すべての色のようで、なんの色もないようで。
七星ミルキ:表現する言葉は一つ──"無"。
七星ミルキ:(『そっか』)
七星ミルキ:言葉を紡いでるのすらあやふやになる。
七星ミルキ:(『ここに、あなたが居るんだね』)
七星ミルキ:(『…………シノエちゃん』)
七星ミルキ:たしかに。
七星ミルキ:これはさみしいな、と。
七星ミルキ:主体を失った自分の想いだけが、浮かんでいた。
GM:七星ミルキは倒れた。
GM:彼女と同時に強襲を仕掛けたチェルシー・ミラーもまた、手傷すら与えられないまま倒れていた。
GM:ただ、『死』を与えるという力――そのような力があるとしたら、誰が抗えるだろうか?
七星ミルキ:「『──けど、大丈夫だよ。シノエちゃん)】
七星ミルキ:《"どんなに、さみしくても}〉
七星ミルキ:見てくれている人は、居るから。
チェルシー・ミラー:「シノエ……」うつ伏せに倒れたまま、かすかに呟いていた。
チェルシー・ミラー:「よかった………………」うわ言だ。
チェルシー・ミラー:「……無事で……戻ってきて、くれて……」涙を流している。
GM:ずっとカナートスを気にかけていたクロード・カレルは
GM:ノドスにとっての最大の仇敵であるはずの星徒を――シノエ・リュコスを、何故か生かしたままでいた。
GM:それは、なぜだったのか。
カート・トゥエ:「……」
カート・トゥエ:震える声で呟く。
カート・トゥエ:「治ってない」
GM:もはや死に体のつゆりだけが、傍らで呟かれた言葉を聞いた。
三部つゆり:「ァ、ぁ……」もはや声帯は言葉を紡ぐ能力を喪失した。
三部つゆり:だが。
三部つゆり:その言葉を、確かに彼女は聴いた
三部つゆり:聴いたのだから、私は為さねばならなかった。何をしようと。
カート・トゥエ:「つゆり、さん」
カート・トゥエ:「違うよ。シノエがしていることは」
カート・トゥエ:「死なんかじゃない――」
GM:それは、当人もそれを初めて見る者も、誰もが『死』と認識している概念だった。
GM:故につゆりの術も有効だった。だが。
GM:生前のシノエ・リュコスを知る、カナートスの生徒にとって、それは。
カート・トゥエ:「シノエの病気は、治ってなかったんだ」
GM:シノエ・リュコスは、戦闘の最中でも、周囲の状況が見えていないように立ち尽くしていることがある。
カート・トゥエ:「周りのものが何もかも、全部感じなくなって」震える声で言う。
カート・トゥエ:「生きてる時……シノエはずっと、それを怖がってて」
カート・トゥエ:「攻性症例305:感応見当識障害」
カート・トゥエ:「違う、つゆりさん」
カート・トゥエ:「あれは死じゃなくて……」
カート・トゥエ:「病気なんだよ……!」
カート・トゥエ:「だって、死んだら誰も戻ってこれないんだもの!」
カート・トゥエ:「そうでしょう!?」
GM:死んだ後に、何が起こるのか。
GM:それを本当に知っている人間などいない――星徒でさえ。
三部つゆり:「……、」もはや吐息しか零れない。だが、それでも。
三部つゆり:カート・トゥエには分かった。彼女の影が、感謝するように彼女を撫でた。
三部つゆり:<オン・マヤラギランデイ・ソワカ孔雀よ。悪疫と魔を喰らう偉大なるものよ
カート・トゥエ:「ずっと」
三部つゆり:影がのどに張り付いている。声帯を強引に震わせているのだった。
カート・トゥエ:「ずっと苦しんでたんだ」
三部つゆり:<オン・ア・ウン・ラ・ケン・ソワカ四方、東西南北を司る四天王よ!>
三部つゆり:もはや視界は碌にモノを捕えていない。
三部つゆり:それでも、影は生命を探り当てている。それは生あるものを飲み込み拡大し続ける、生ける冥府にして輪廻であるから。
カート・トゥエ:「シノエは……生き返ってからも、ずっと!」
三部つゆり:だが、もはや碌に体も動かない――本当にそうか?
三部つゆり:かつての日々を思い出せ。あのラス・ヴィダスの一番長い日を。
三部つゆり:かの天恵の狙撃手に対してお前はどう対抗した?――影が白の少女を蝕んで、腕が上がる。
カート・トゥエ:「助けてあげて」
カート・トゥエ:「シノエを……助けて!」
三部つゆり:眼を見開いた。それだけが反応だったが――
三部つゆり:もはや声もろくに出せない。これ以上の追加の威力は絞り出せない――何でもよい。絞り出せ。
三部つゆり:(――あ、)
三部つゆり:それに気づいたのは、本当に本当に、追い詰められていたからだろう。
三部つゆり:三部つゆりは、都築ソウマの減速能力を模倣した。なら、それの、反転は――
三部つゆり:余裕があるなら、絶対になかった発想だった。
三部つゆり:かれのちからは、ただの模倣であっても――彼女にとって本当に大切な、何とか残った新雪の野のように美しい想い出だったから。
三部つゆり:(ごめんなさい)
三部つゆり:(ゆるしてください。いいえ。)銃の先に、透明な窓が開く。開く。開く――
三部つゆり:(ゆるさなくても、かまいません)
三部つゆり:(あなたがいきていたら)絶対に、目の前の生徒の危機を。助けを求めて呼ぶ声を。見過ごさなかったと、そう思っていいだろうか?
三部つゆり:疑問に答えをだせないまま、引き金を引いた。
三部つゆり:その針が、透明な窓を通るたびに――本来の減速を反転させた、異様な加速を見せてゆく。
三部つゆり:疑問に答えはない。もはや死んだ者が、ましてや世界さえ遠ざけられたものが応えるはずがなかった。
三部つゆり:ただ、
三部つゆり:三部つゆりは、己の想い出さえくべて、為すべきと信じたことをした。それだけがすべてだった。
シノエ・リュコス:シノエ・リュコスは、つゆりの銃撃の射線から逃れようとした。
シノエ・リュコス:ひどく緩慢な、死に体の少女の銃口だ。誰であれ、シノエのような幼子でも、十分に可能なことだった。
-:しかし、シノエの最後の動きを
-:誰かが、三部つゆりがよく知るような何者かの影が
-:手を引いて止めたようだった。――死の世界にいる誰かが。
GM:最後の祈りを込めた銃撃が、星徒シノエ・リュコスを撃ち抜き。
GM:そうして、どうなったのかは分からない。



GM:だが、七星ミルキだけは……
GM:まどろむ夢の中のような意識で、声を聞いていた。
シノエ・リュコス:ヒュゥゥゥゥゥ……ヒュゥゥゥゥ……
シノエ・リュコス:声だ。
七星ミルキ:(───)
シノエ・リュコス:今なら分かる。咽び泣くような音、ではない。
シノエ・リュコス:まさしく、それは咽び泣く声だったのだと。
シノエ・リュコス:「いやだああ」
シノエ・リュコス:「いやだよお」
シノエ・リュコス:「なんで、なんでわたしは――」
シノエ・リュコス:「みんなを置いていかなきゃいけないの」
七星ミルキ:抱きしめているのか、手を繋いでいるのか、離してしまったのか。
七星ミルキ:体の感覚は定かじゃなくて、それでも何かをしてあげたい、と思った
シノエ・リュコス:「寂しいよおお」
シノエ・リュコス:「ひとりはいやだよお」
シノエ・リュコス:「うああああああ」
シノエ・リュコス:「うわああああん」
シノエ・リュコス:布に覆い隠された体は、今やひどく小さい。
シノエ・リュコス:地面を這いずるようにして、七星ミルキにしがみついていた。
七星ミルキ:『シノエちゃん』かがみ込む。意識だけはそう思って、目線を合わせる
七星ミルキ:こちらも、倒れてしまっているだけかも知れない──声を出せているのかも、定かではない
      ――甘えっ子かな。昔も今もそう。
      かわいがられてたんだよ。この部屋にもよく来てくれてた
      やっぱり、色んな子達にぺたぺたくっついて
シノエ・リュコス:「だれか」
シノエ・リュコス:「わたしと一緒に来てよおおお」
      ――色んなところに連れて行こうとしてる。
七星ミルキ:『………』すべてを見通すような彼女の言葉を、思い出す。
七星ミルキ:居なくなった誰かと一緒に居ること
七星ミルキ:私はいつだって、そうしたかった。
七星ミルキ:『大丈夫。だいじょうぶ、だよ』
七星ミルキ:手に触れる。包み込むように抱きしめる。
シノエ・リュコス:「うそだ」
シノエ・リュコス:「うそだ」
七星ミルキ:『会いに行く』
七星ミルキ:『どれだけ時間がかかっても』
七星ミルキ:『どれだけ離れてても、どれだけ違ってても』
七星ミルキ:『たとえ────世界が違ってても』
シノエ・リュコス:「みんな、わたしが置いていっちゃうんだ」
シノエ・リュコス:「わたしが――」
シノエ・リュコス:「死んじゃったから……」
七星ミルキ:その表情に、笑みはない。
七星ミルキ:七星ミルキという少女が生来、そうであったように。
七星ミルキ:誰かに憧れてそうしているように。
七星ミルキ:常の振る舞いは、今はない。
七星ミルキ:ただそうするという──意志だけが形をなしている。
七星ミルキ:『あなたが、死んでいても──死んでいなくても』
七星ミルキ:『そうすると決めて、行動する人に、不可能なんて、ない』
シノエ・リュコス:「うう、うううう」
シノエ・リュコス:咽び泣く声がする。
シノエ・リュコス:ミルキの腹の上で、酷く小さく、手のひらよりも小さくなってしまったが
シノエ・リュコス:縋り付いて泣いている。
七星ミルキ:『さみしがらないで……シノエちゃん』
七星ミルキ:『私の、想いは……ううん』
七星ミルキ:『人の想いは』
七星ミルキ:『誰にも阻まれない』
七星ミルキ:撫で続ける。
シノエ・リュコス:「ううううう」
シノエ・リュコス:「うう……ううううう…………」
GM:やがて、その泣き声も消えていく。
GM:星徒シノエ・リュコスは地上から消えた。
七星ミルキ:『大丈夫………』
七星ミルキ:感覚も上下もない世界で、一人。
七星ミルキ:それでも、空を──輝く星を見上げた。
七星ミルキ:その頬を一雫、流れるものがあったけれど。
七星ミルキ:身体のない世界では、錯覚だったのだと思う。

GM:――三部つゆりは、虚ろな意識で、シノエ・リュコスの消失を確認した。
GM:あやされる幼子のようにしがみついて、消えていった、ただ一時の死者。
三部つゆり:本当は、彼女の病は治らず、彼女が放っていたものも死ではなかった。
三部つゆり:言葉を、対応を間違えたのかもしれない、という思いもあった。
三部つゆり:だけど、多くは違った。(ミルキ、さんは……引き摺り込まれずに、済んだ……)
三部つゆり:そんな、安心だった。だからこそ余計に、自分の醜さに吐き気さえして。
三部つゆり:自分は、嘘を付いたのだと思った。イクス4さんの言ったあの時の誓いは、あの時だけのものにすぎなかったのか?
三部つゆり:(私は……、)ひどく惨めな気持ちだった。(こんなものなのかな……)
-:「――おとなの言うことをたくさん聞いて、そのとおりにするってことは」
-:「もしかしたら、一番すごくないことかもしれない」
GM:つゆりの手を、誰かが握っている感触があった。
GM:今のつゆりよりも一回り小さい、けれど、知っている手のように思えた。
三部つゆり:(だれ………?)ミルキさんは、既に倒れていて。エニュオさんはもっと遠くで、そもそも金属のそれで、サマンサ先生はもっと大きかった。
-:「あのな、つゆり」
-:「だから、自分の言うことを、ずっとその通りにするのだって……」
-:「しなきゃいけないことじゃないのかも」
三部つゆり:(う)ひどく、懐かしかった。
三部つゆり:ずっと探していた声のような。でも、聞こえるはずがないような。もはや、意識は酷くうつろで。
三部つゆり:「で、も……」
三部つゆり:「わた、しは……、そう、しないと………」
三部つゆり:「もう……やだよ……、だんだん……わすれて、いくの。どんな声をしていたか…どんな服を、着てたか……」どんな言葉を交わしたか。
三部つゆり:「どんどん……すくなくなって…。わたし、」
三部つゆり:「ほんとうに、すきだったの…?ほんとうに、そうなら……」
三部つゆり:「わすれないよ」
-:「なんだ、そんなこと」くすくすと笑ったようだった。
-:「昔のことだもん。なんでも覚えてられる人はいないよ――」
-:「思い出せばいいんだ」
-:「何度だって、思い出せばいい」
-:「ぼくは、こんな声をしている」記憶の通りの声だった。
三部つゆり:「う」
三部つゆり:「うう」
-:「手をにぎると、こんな心地で」
-:「つゆりは、それをちゃんと覚えていてくれた」
三部つゆり:「うぅうう……!」手に、温かな感触があるような気がした。
-:「つゆりが、思い出してくれたんだ」
-:「……ありがとう」
三部つゆり:「ぅあぁあああ……」
三部つゆり:ずっとずっと、聴きたかった声だった。
三部つゆり:記憶の中の再生にすぎないのだろうか。
三部つゆり:分からなくて、でも。
三部つゆり:「わ、わた、わたし……、ず、ずっと……」
三部つゆり:「ずっと…!」
三部つゆり:なにを言おうとしたのだろう。
三部つゆり:あまりに多過ぎた。探してた。会いたくて。今度こそ――
三部つゆり:そこで、ゆっくりと意識が闇に落ちてゆく。
三部つゆり:ただ、その時の彼女の表情は。
三部つゆり:ずっとずっと、探していたものを、ようやく見つけられた幼子のような。
三部つゆり:そんな、泣きそうな、どこか安らいだ表情だった。
-:「――ああ、大丈夫だ」
-:そんなつゆりを膝の上に乗せて、髪を撫でている。
-:彼女もまた、最後にシノエ・リュコスの回避を食い止め、感応見当識障害の侵食を受け、まともに動ける状態ではない。
-:だが、つゆりの記憶を映したように、穏やかな表情をしていた。
イクス4:「お前は、約束を守ったんだよ……三部つゆり」
イクス4:「……本当に、ありがとう」

"死神":〈はは、はははははは……〉
"死神":〈もう終幕か……〉
"死神":〈不思議なもんだ……サマンサ・シュヴァイゲル〉
"死神":〈エニュオ・デュカキスでもなく、三部つゆりでもなく〉
"死神":〈あんたが残るなんてな……〉
サマンサ・シュヴァイゲル:「……」
サマンサ・シュヴァイゲル:ひゅーひゅーと、かすれた呼吸を繰り返し
"死神":〈体を張って守る、お得意の教育スタイルは〉
"死神":〈やめにしたのかい?〉
サマンサ・シュヴァイゲル:「この子たちが」
サマンサ・シュヴァイゲル:「任せてくれた、ことを」
サマンサ・シュヴァイゲル:「するわ」
サマンサ・シュヴァイゲル:とぎれとぎれの声を紡ぐ。崩れ落ちそうな意識と肉体を、繋ぎ止めるように。
"死神":〈お前さんが、そのボロボロの体で――〉
"死神":〈この"バニラドロップス"までたどり着いて、破壊すれば〉
"死神":〈お前さんの勝ちだ。こいつを守るジャームは、ひとり残らずあんたの生徒が全滅させちまったからな〉
サマンサ・シュヴァイゲル:「……」
サマンサ・シュヴァイゲル:こくりと頷き、言われるがまま、指し示される方へと。
サマンサ・シュヴァイゲル:嘘だけは言わない。実証のために。
サマンサ・シュヴァイゲル:その公正さを信じている。
カート・トゥエ:「――ペテラ!」悲鳴のような声が後ろで響いた。
カート・トゥエ:「もうやめて!」
カート・トゥエ:「シノエの病気は治らなかったんだ!だからペテラ!」
カート・トゥエ:「もしペテラが……堕天病で死んだって、きっと……!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「トゥエ……ちゃん」
サマンサ・シュヴァイゲル:朦朧とした視界をそちらに向ける。
サマンサ・シュヴァイゲル:トゥエの視線の先に、映る者へ。
ペテラ・アズテック:「ひゅーっ、ひゅーっ……」
ペテラ・アズテック:サマンサと反対の壁際。
ペテラ・アズテック:サマンサよりも遥かに遅い歩みで
ペテラ・アズテック:ペテラ・アズテックが這い進んでいた。
ペテラ・アズテック:「わかって……ます……もう、とっくに……」
ペテラ・アズテック:「でも……」
ペテラ・アズテック:「シ、シノエちゃんを……ずっと、ひとりぼっちに……」
ペテラ・アズテック:「させたくない……」
ペテラ・アズテック:それは執念だった。
ペテラ・アズテック:彼女が重度のSMIT感染下で動けている理由は
ペテラ・アズテック:他の感染者より慣れているというだけのことでしかない。
ペテラ・アズテック:それでも、進もうとしている。必死に。
"死神":〈生を求めるお前さんと〉
"死神":〈死を求めるペテラ・アズテック〉
"死神":〈どっちが勝つ!?ザザッ……見せてくれ!どっちが本当の『必死』なんだ!?〉
サマンサ・シュヴァイゲル:「……ペテラちゃん」
サマンサ・シュヴァイゲル:ジャームのことは、既に忘れていた。
サマンサ・シュヴァイゲル:”死神”の声も、もう聞こえていない。
サマンサ・シュヴァイゲル:トゥエの声を聞き、ペテラの姿を見た、その瞬間から。
サマンサ・シュヴァイゲル:進行方向を変えていた。ペテラの方向へと。
ペテラ・アズテック:「せ、先生……」
ペテラ・アズテック:「ごめんなさい……ご迷惑を……けほっ、けほっ……」
ペテラ・アズテック:「わたし、悪い生徒です……言うことを聞かないし……みんなを、困らせてばかり……」
ペテラ・アズテック:「でも、最後に……もう、これ以上、迷惑をかけませんから……」
ペテラ・アズテック:「げほっ、げほっ……最後の……わがままだけを……」
サマンサ・シュヴァイゲル:「……」
サマンサ・シュヴァイゲル:壁の支えを離れて、歩き出す。
GM:部屋を横切ってペテラへと近づく分
GM:同じく緩慢な歩みしかできないサマンサは、遅れることになる。
サマンサ・シュヴァイゲル:十数メートルの距離が、果てしなく遠く思えた。
GM:追いつけるだろうか。彼女が"バニラドロップス"へと到達する前に。
GM:間に合うだろうか。
ペテラ・アズテック:「はーっ……はーっ……」
ペテラ・アズテック:ペテラは、ただ、一つの目的だけに向かっていた。
カート・トゥエ:一人意識を保っていたカート・トゥエも、とうに倒れていた。彼女はサマンサよりも遥かに体重が軽い。SMITに重度感染してしまっている。
サマンサ・シュヴァイゲル:「ペテラ、ちゃん」
サマンサ・シュヴァイゲル:言葉を紡ぐだけで、横隔膜が張り裂けそうになる。
サマンサ・シュヴァイゲル:堕天病とSMITの合併症により、もう一度体が崩れていくのがわかる。
サマンサ・シュヴァイゲル:「ペテラ、ちゃん……!」
サマンサ・シュヴァイゲル:構わない。声を振り絞る。
サマンサ・シュヴァイゲル:この瞬間にしか伝えられないことがあるのなら。
サマンサ・シュヴァイゲル:「職員室の!」
ペテラ・アズテック:「げほっ、げほっ!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「サマンサ・シュヴァイゲル!です!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「もう一度、ペテラちゃんと」
サマンサ・シュヴァイゲル:「お話しできて、嬉しいわ!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「あの時は……少しだけしか」
サマンサ・シュヴァイゲル:「お話できなかったもの……」
ペテラ・アズテック:「う、嬉しかった……」
ペテラ・アズテック:「わたしのことで、そんなに……悲しんだり、喜んだりしてくれて……」
ペテラ・アズテック:「カナートスの外でも、怖くないんだって教えてくれて……」
サマンサ・シュヴァイゲル:「本当は、もっともっと」
サマンサ・シュヴァイゲル:「お話したかったの」
ペテラ・アズテック:「げほっ、げほっ……」四つ足でほとんど這うようにして、水槽の端に到達している。
ペテラ・アズテック:「でも、やめてください……もう……そんなことを、言わないで……」
ペテラ・アズテック:「今度とか」
ペテラ・アズテック:「もう一度とか」
ペテラ・アズテック:「………わたしに……言わないで……!」
ペテラ・アズテック:さらに急速に感染が進んでいく。
ペテラ・アズテック:半分はペテラの意志だろう。だが、半分は違う。彼女は生きているだけで周囲を苦しめてしまう病原であるから。
サマンサ・シュヴァイゲル:「ペテラちゃん」
サマンサ・シュヴァイゲル:そんな理屈も忘れている。
サマンサ・シュヴァイゲル:自分の苦しみの因果関係すら、気にする時間が惜しかった。
サマンサ・シュヴァイゲル:ただ前にいきたい。
サマンサ・シュヴァイゲル:(この子の)
サマンサ・シュヴァイゲル:(声が聞こえる方に)
サマンサ・シュヴァイゲル:「ペテラちゃん」
サマンサ・シュヴァイゲル:「先生、カナートスで色んな子とお話したの」
ペテラ・アズテック:ペテラは、緊急解放レバーをほとんど抱え込むようにしていた。
ペテラ・アズテック:維持システムが完全に破壊され、太陽に匹敵する高熱余波に晒された"バニラドロップス"はいずれ死滅するだろう。
ペテラ・アズテック:だが、今、内容物を解き放てば――劇症型堕天病に感染することだけはできる。
サマンサ・シュヴァイゲル:数秒後に何が起きるのかも、理解しない。
サマンサ・シュヴァイゲル:ただ信じる、言葉が聞こえてくれることを。
サマンサ・シュヴァイゲル:「ヘルちゃん、レセルちゃんに、トゥエちゃん」
サマンサ・シュヴァイゲル:「チェルシーちゃんとインナちゃん」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ルーちゃん、イクスちゃん」
ペテラ・アズテック:「うう、ううううう……」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ウノちゃんに、ノドスのクロードくん」
ペテラ・アズテック:歯を食いしばって、涙をこらえている。
サマンサ・シュヴァイゲル:「……それに、シノエちゃんも」
サマンサ・シュヴァイゲル:「みんな苦しんで、悲しんで」
サマンサ・シュヴァイゲル:「それと戦って、自分の答えを見つけようとしてた」
サマンサ・シュヴァイゲル:「どんな大人よりも強くて勇敢な子たちだった」
ペテラ・アズテック:「わたしはできなかった!」
ペテラ・アズテック:「できなかったんです!わたしは弱かったから!」
ペテラ・アズテック:「げほっ、げほっ……死ぬほどの、病気でも、ないくせに」
ペテラ・アズテック:「耐えられないくらい、弱かったから!」
ペテラ・アズテック:「わたしに、わたしにできるのは……役に……立てるのは……」
ペテラ・アズテック:「シノエちゃんを……一人にさせない、ことだけだから……」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ペテラちゃん」
サマンサ・シュヴァイゲル:「先生も分からないわ」
サマンサ・シュヴァイゲル:「どうして生きないといけないのか」
サマンサ・シュヴァイゲル:「みんなとお話しても、分からなかったの」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ただ産まれたから、生きないといけない」
サマンサ・シュヴァイゲル:「いつまでも苦しさと戦い続けないといけない、なんて」
サマンサ・シュヴァイゲル:「そんなの……残酷すぎる」
サマンサ・シュヴァイゲル:絞り出すように、声を紡ぐ。
サマンサ・シュヴァイゲル:「みんなは強くて立派だった、でも……ずっとそうでないといけないなんて」
サマンサ・シュヴァイゲル:「辛くて、苦しいもの」
ペテラ・アズテック:「うううっ……うう……ううう、ぐっ……」
ペテラ・アズテック:ペテラは泣いていた。悲しみだけではない。
ペテラ・アズテック:レバーを引くだけの力がなかった。情けなさに涙を流していた。
ペテラ・アズテック:「先、生……」
ペテラ・アズテック:「助けてください」
サマンサ・シュヴァイゲル:「大丈夫」
サマンサ・シュヴァイゲル:「今行くわ」
サマンサ・シュヴァイゲル:ずっと、真っ直ぐに向かっている。
サマンサ・シュヴァイゲル:その掌を、レバーに重ね合わせる。
サマンサ・シュヴァイゲル:ペテラの小さな手を、包み込むように。
サマンサ・シュヴァイゲル:「……遅くなって、ごめんなさい」
サマンサ・シュヴァイゲル:「着いたわ、ペテラちゃん」
ペテラ・アズテック:「う、うううっ、ぐすっ……」
ペテラ・アズテック:「先生……ほ、本当に……」
ペテラ・アズテック:「こんな、わたしのこと」
ペテラ・アズテック:「げほっ、げほっ………うう、ええええ……」
ペテラ・アズテック:ペテラは、レバーを引こうとしたのかもしれない。
ペテラ・アズテック:だが、できなかった。
ペテラ・アズテック:それは、力が弱いからだったのか。必死の力が、この最後の局面で消え失せてしまったのか。
サマンサ・シュヴァイゲル:「ペテラちゃん」
サマンサ・シュヴァイゲル:自重がかかっている。もはや微かにペテラが体重をかけるだけでも、レバーは降りるだろう。
サマンサ・シュヴァイゲル:「だけど先生にも」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ひとつだけ、分かったことがあったの」
サマンサ・シュヴァイゲル:「……生きていてほしい理由は、少しだけ分かった」
サマンサ・シュヴァイゲル:信じることしかできない。
サマンサ・シュヴァイゲル:「一緒にいたいの」
サマンサ・シュヴァイゲル:「あなたと、一秒でも長く」
ペテラ・アズテック:「わたしが……わたしが、レバーを引いたら……」
ペテラ・アズテック:「せ、先生も」
ペテラ・アズテック:「………先生も、死んじゃいます……!」
ペテラ・アズテック:「げほっ、げほっ……ごほっ!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「……」
サマンサ・シュヴァイゲル:「好きなお花の名前を知りたいわ」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ペテラちゃんがどうして好きなのか、どんなふうに好きだと思ったのか」
サマンサ・シュヴァイゲル:「お話してほしい、どんなことだっていい」
サマンサ・シュヴァイゲル:レバーから手を離さない。
サマンサ・シュヴァイゲル:そこには、小さな掌があったから。
ペテラ・アズテック:「見たことがない……」
ペテラ・アズテック:「ないです……花の名前も知らないです……一つも!」
サマンサ・シュヴァイゲル:その下にある物がなんなのか、覚えてさえいない。
サマンサ・シュヴァイゲル:「それなら」
サマンサ・シュヴァイゲル:「これから、好きになれるわ」
サマンサ・シュヴァイゲル:穏やかに微笑んでいる、意識は虚ろになりつつある。
サマンサ・シュヴァイゲル:「ペテラちゃんが好きになれるお花を、絵に描いて」
サマンサ・シュヴァイゲル:「それを探しに行くの……ずっと、遠くまで……」
ペテラ・アズテック:「先生」
ペテラ・アズテック:「先生……!」
ペテラ・アズテック:ペテラ・アズテックは、レバーではなく、倒れ込むサマンサを支えようとした。
サマンサ・シュヴァイゲル:「……一緒よ」
ペテラ・アズテック:「死んじゃだめだからね!先生!」
サマンサ・シュヴァイゲル:ペテラの腕の中で、言葉が零れだした。
ペテラ・アズテック:「げほっ、げほっ……わたし、わたしは」
サマンサ・シュヴァイゲル:「あと……ほんの少しだけ……ペテラちゃん」
サマンサ・シュヴァイゲル:「生きて……いるのは」
ペテラ・アズテック:「わたしは……」ずっと、死を望んでいても――
サマンサ・シュヴァイゲル:死という安らかな絶対の孤独よりも。
サマンサ・シュヴァイゲル:それを見つめ続けなければならない揺れ動く日々は。
ペテラ・アズテック:「ほ、他の誰かが………死んじゃうのは、だって、そんなのは……」
サマンサ・シュヴァイゲル:「寂しい……ことだから……」
ペテラ・アズテック:「すごく、寂しいから……」
サマンサ・シュヴァイゲル:「……」
サマンサ・シュヴァイゲル:その言葉に頷いて
サマンサ・シュヴァイゲル:「ペテラちゃん……どうかお願い……」
サマンサ・シュヴァイゲル:「あと……ほんの少しだけ長く……」
サマンサ・シュヴァイゲル:「先生と……みんなと……」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ジウォンちゃんと……」
サマンサ・シュヴァイゲル:「どうか、一緒にいさせて」
サマンサ・シュヴァイゲル:「一緒に、いてほしいの」
サマンサ・シュヴァイゲル:腕の中で見上げる。
サマンサ・シュヴァイゲル:消えていく意識の中で、心から
サマンサ・シュヴァイゲル:もはや誰かもわからない目の前の相手にそれを望んだ。
ペテラ・アズテック:「サマンサ……先生……」
ペテラ・アズテック:「わたし……わたし、絶対に……助けるから……」
ペテラ・アズテック:「先生……」
GM:死を求め続けたペテラ・アズテックは、最後に、その執念を捨てた。
GM:それは、他の誰かを生かすためだった。

"死神":〈……ああ〉
"死神":〈まさかこいつが、この噺のオチだったのか……く、くはは……ひひひひ……〉
"死神":〈『死神の小間使いなんて商売になるかい』〉
"死神":〈『いい儲け話を教えてやる』〉
"死神":〈『医者だよ』〉
"死神":〈『――お前は医者になるんだ』……〉
GM:沸騰した生物溶液の中で、"バニラドロップス"が死滅していく。
GM:一つ一つ、蝋燭の火が燃え尽きていくかのようだった。
"死神":〈『ひひひ…ザザッ……ザ…そんなに震えんな……』〉
"死神":〈『火が……ザッ……消えちまうよ……』〉
GM:誰も聞くことのないその呟きも
GM:電子のノイズに掠れて、やがて消えていく。
"死神":〈『ザーッ……消える……消えるぞ……』〉
"死神":〈『ほうら……』〉
"死神":〈『消え……………』〉



GM:バックトラックです。
GM:今回使用されたEロイスは14個。

【Eロイス】
シノエ・リュコス「星徒」
"キッチンボイラー"「苦痛のこだま」「苦痛のこだま」
"リトルドレッサー"「絶対拒絶」「絶対拒絶」
"バニラドロップス"「殺戮衝動」「惨劇の輪廻」
"ストロッツァ・サタリエル"「機神」「究極存在」「虐殺機関」「破壊神顕現」「悪夢の鏡像」「不滅の妄執」「楔の呪い」

GM:楔の呪いは2個換算なので、15個のダイスを振れます。
GM:それと、もう一つ
GM:イクス4のNPCカード、および未使用だったチェルシー・ミラーの《スティルネス》は
GM:このタイミングで使用しても構いません。どうしますか?
七星ミルキ:つゆりちゃん!
七星ミルキ:リラックスしな!
三部つゆり:良ければ二人ともつゆりに戴けたら 幸いです……!
七星ミルキ:OK
七星ミルキ:2つともつゆりちゃんに使用します
エニュオ・デュカキス:どうぞ
サマンサ・シュヴァイゲル:もってけ!
三部つゆり:イクス4さんの効果で 3;赤:都築ソウマ 慕情/遺志〇 Sロイス→昇華 此方を復活させたいです
七星ミルキ:えらい
三部つゆり:これで昇華数が2になります…!
クロード・カレル:ソウマ会長……
チェルシー・ミラー:チェルシーの《スティルネス》で吸い取れるのは、侵蝕8ぶんです
チェルシー・ミラー:最大レベルまで上げてもこんなもんなので、誰もこんなエフェクト取ってない理由がわかろうというもの
三部つゆり:持って行って~~ 8下がります
三部つゆり:三部つゆりの侵蝕率を-8増加(195 → 187)
三部つゆり:ありがとうございます…これでEロイスを、振っていきます!
GM:はーい!みなさんも振ってちょうだいな
七星ミルキ:ふりまーす
七星ミルキ:162-15d10
DoubleCross : (162-15D10) → 162-84[9,4,4,3,7,9,10,2,2,6,3,10,4,3,8] → 78

七星ミルキ:シャァー!
七星ミルキ:素振り
七星ミルキ:78-4d10
DoubleCross : (78-4D10) → 78-20[4,1,8,7] → 58

エニュオ・デュカキス:下げます
エニュオ・デュカキス:148-15d10
DoubleCross : (148-15D10) → 148-73[10,3,6,7,2,3,9,6,1,2,3,2,8,5,6] → 75

エニュオ・デュカキス:素振りで
エニュオ・デュカキス:75-4d10
DoubleCross : (75-4D10) → 75-26[5,5,10,6] → 49

エニュオ・デュカキス:下がりすぎた
三部つゆり:187-15d10
DoubleCross : (187-15D10) → 187-96[7,8,3,3,3,9,9,9,7,9,1,10,4,9,5] → 91

三部つゆり:一倍。
三部つゆり:91-4d10
DoubleCross : (91-4D10) → 91-10[3,3,3,1] → 81

七星ミルキ:つゆりちゃんの出目こわいな!!
三部つゆり:出目怖すぎ
エニュオ・デュカキス:ひどい
サマンサ・シュヴァイゲル:ふる!
サマンサ・シュヴァイゲル:123-15d10
DoubleCross : (123-15D10) → 123-78[10,3,8,8,3,5,8,10,1,6,7,4,3,1,1] → 45

サマンサ・シュヴァイゲル:下がりすぎ
サマンサ・シュヴァイゲル:あえて倍ぶり
サマンサ・シュヴァイゲル:45-8d10
DoubleCross : (45-8D10) → 45-51[8,9,8,5,10,1,5,5] → -6

GM:オーヴァードが治った!!
サマンサ・シュヴァイゲル:人間になっちゃった
七星ミルキ:4点!
三部つゆり:5点です…!
サマンサ・シュヴァイゲル:経験点3!
エニュオ・デュカキス:3点です
GM:Dロイスは11個登場しています。

【Dロイス】
イクス4「記憶探索者」
シノエ・リュコス「学園天使」
"キッチンボイラー"「対抗種」「吸血鬼」「強化兵」
"リトルドレッサー"「特異点」「復讐者」「優しい奇跡」
"バニラドロップス"「黄昏の支配者」「業師」「賢者の石」

GM:経験点はいつもの5点とシナリオ10点にこれら11点を足して
GM:26点になるのかな……侵蝕経験点を足して申告してください
GM:いや、Eロイスも足すんだっけ
GM:じゃあ41点になります
七星ミルキ:45点!
三部つゆり:41+5点で…あ、Sロイス復活させたら乗るのかな
GM:乗りますよ!
サマンサ・シュヴァイゲル:44!
三部つゆり:ありがとうございます…!51点です!
エニュオ・デュカキス:44点頂きます

【経験点】
缶詰さん:45点
EXstさん:44点
嗣子さん:46点
森田さん:44点
GM(珪素):60点

GM:以上でバックトラックは終了になりますが
GM:今回の事件が無事解決したことで
GMカナートス臨床医学研究院所属PCの作成を解放したいと思います。
七星ミルキ:やった~!
三部つゆり:わ~~!
サマンサ・シュヴァイゲル:やったああ!!
エニュオ・デュカキス:ワオワオ
GM:学区の方針として、今後は十字冠を破壊する兵器を探すことはなくなりましたが
GM:卒業のためのイースターエッグ探索や、ノヴァリスのどこかにある治療法を探しに行くなどのモチベーションはまだあるでしょう。
七星ミルキ:学校の方針として打ち出してる理念の方ですね
七星ミルキ:他の医療部への協力とかもし始める子多そう。
GM:また、治療記録を入手し、ジェネシスからの支援を受けることによって病状が改善され、新たに行動できるようになった生徒もいるはずです。
七星ミルキ:よかった~
GM:そうですね。単純に他の学区と交流したり、得意分野を生かして働くために外に出ていく生徒も多いでしょう。
GM:あと、他のカナートス生と仲良しにしてね カナートス生同士の仲が悪いと私が悲しいから……
七星ミルキ:皆仲いいからね
七星ミルキ:ミルキもかなしい
三部つゆり:本当だぜ 仲良くして…
七星ミルキ:くすくす 仲良くしないと死神様がくるよ…
GM:本日の進行は以上。ステージ終盤の解放要素なので別に活用していただかなくても全然結構ですが
GM:できるようになったよというだけのお知らせでした。
七星ミルキ:了解でーす!
GM:よろしくお願いします。
七星ミルキ:よろしくおねがいします!
三部つゆり:ありがとうございます…!本当に嬉しいお知らせ
サマンサ・シュヴァイゲル:おにゃーしゃー!
エニュオ・デュカキス:ありがとうございます





◆Ending◆エニュオ・デュカキス




カナートス臨床医学研究院 101号室


GM:死の恐怖へと立ち向かう戦いが終わった。
GM:カナートス臨床医学研究院に巣食っていたシノエ・リュコスは撃破され、"死神"も姿を消した。
GM:クロード・カレルは、電子上に存在していた痕跡すら残っていなかった。彼がカナートスにいたことを示す証拠は、膨大な治療記録だけだ。
GM:劇症型堕天病株は根絶され、カナートスの防衛戦力であった"霊安室"の兵器も、全滅した。
GM:だが、事件はそれで全てが終わったわけではない――エニュオ・デュカキスは、契約を果たす必要がある。

ヘル・クロタリアス:「ええ~、今ジェネシスってそんなことになってるの!?」
ヘル・クロタリアス:「もっとこの項目のこと聞かせて……!総合経営研究所なんてあったの知らなかったよ!」
ヘル・クロタリアス:電子データで渡された契約書を、隅から隅まで心底面白そうに読みふけっている。
ヘル・クロタリアス:「面白すぎる~!」
エニュオ・デュカキス:「契約書をそこまで楽しそうに読む方と会ったのは初めてです」
エニュオ・デュカキス:二ヶ月は安静に、そう言われた。しかし101号室を訪れた時の姿はグレー・スーツに眼鏡をかけた普段のスタイルで
エニュオ・デュカキス:多少の痛みはある。脊椎と物理的に繋がっていたエニューアリオスの制御機構の離脱手術を終えて、鎮痛剤で抑えている状況だ
エニュオ・デュカキス:それでも寝ているわけにはいかない。霊安室の防衛兵器を破壊した以上、早期に再訪を果たさねばならなかった
エニュオ・デュカキス:「ヘイズさんから簡単にお話は通っていたかと思いますが」
エニュオ・デュカキス:「改めての説明は必要でしょうか?」
ヘル・クロタリアス:「……ううん」
ヘル・クロタリアス:少し息をついたが、憂うような表情は一瞬のことだ。
ヘル・クロタリアス:「なんとなく、最後にはこうなるのかな、って思ってたから」
ヘル・クロタリアス:「……」
ヘル・クロタリアス:「……シノエは、本当に死んじゃったんだね」
エニュオ・デュカキス:「……」
エニュオ・デュカキス:「はい」誤魔化すことはしない。
エニュオ・デュカキス:実際のところ、リトルドレッサーを撃破した後の状況はAIDAに記録された周辺情報から読み取ったものが大半だ
エニュオ・デュカキス:シノエ・リュコスがどうなったのかは……映像記録では判断しきれず、七星さんの言を受けて
エニュオ・デュカキス:「……私より、詳しい話は七星さんの方が良いでしょう」
エニュオ・デュカキス:「彼女は……いま、最も外からカナートスと関わり続けた一人ですから」
ヘル・クロタリアス:「……そうだね。あの子にもすごく感謝してるんだよ。本当に……」
ヘル・クロタリアス:噛みしめるように呟く。
ヘル・クロタリアス:「……契約の内容自体は」
ヘル・クロタリアス:「わたしは異論はないよ。カナートスをこれからも維持していくためには」
ヘル・クロタリアス:「ジェネシス以上に嬉しい支援者はいないと思う」
ヘル・クロタリアス:「もっと足元を見た契約でも良かったのに。迷惑かけたでしょ?」笑う。
エニュオ・デュカキス:「正しい対価であると判断しましたが」眼鏡のブリッジを押して
エニュオ・デュカキス:「己の安売りは愚策ですよ」
エニュオ・デュカキス:「買い叩かれる上に相手が下に見てきます。いいことはありません」
エニュオ・デュカキス:全てを確認する時間はなかったが、ざっと調べただけでも医薬関係の新規特許が山のように積まれている
エニュオ・デュカキス:医療行為そのものは救命活動であるため、特許として登録することはできないが
エニュオ・デュカキス:成分そのものの新規性を示す物質特許、化合物製造の用途特許、処方内容に関わる製剤特許
エニュオ・デュカキス:さらに生体組織の解析手法や分析機材の独自技術。一つとっても莫大な利益を稼ぐだろう
ヘル・クロタリアス:「そうだね。わたしは話を聞くだけで悪い想像も良い想像もしちゃうけど」笑う。
ヘル・クロタリアス:「……。きっと、いいことなんだろうな……」
ヘル・クロタリアス:「ジェネシスの手助けで、カナートスの技術で救われる人がもっと増えるといい」
ヘル・クロタリアス:「もちろん、専門技術者だってわたし達の方から派遣するつもり。カナートスの中だけで閉じこもってるわけにはいかないものね」

イクス4:「……いや、でも、だからって」
イクス4:ベッド脇に座っていたイクス4が、不満げな声を発した。
イクス4:「いきなり製品開発特許庁だかに行くんですか!?オレが!?」
エニュオ・デュカキス:「優秀な人材を遊ばせる余裕はないのですよ。こちらも」
エニュオ・デュカキス:「霊安室の防衛機構を処分した補填はこちらも用意しましたが、カナートスに必要なのは実績です」
イクス4:「はあ……」
イクス4:「でもオレを使うのって大変だと思うぜ……自分で言うのもなんだが……」
イクス4:「オレ、人の記憶が自分の記憶と混じっちまうんだよ」
イクス4:「マトモな社会生活を送れるなんて考えたこともねえ」
イクス4:「他の奴に言われたことを自分に言われたことだと、ずっと勘違いしてたりする」
イクス4:「確かに、こんなでもカナートスの中じゃマシな方かもしれないけどさ……」
エニュオ・デュカキス:「貴方がどういう結果を出せるかは、私の使い方次第です」
エニュオ・デュカキス:「人材を有効に使えないのであれば私が失敗したということ。それで構いません」
エニュオ・デュカキス:「上の仕事は割り振りと、責任を取ることですから」
エニュオ・デュカキス:「なので今後よろしくお願いします」
ヘル・クロタリアス:「だってさ」
イクス4:「ヘル先輩~……」頭を掻く。
イクス4:「……オレは……いや、カナートスの連中は皆そうだったが」
イクス4:「何かをする時は、ずっと自分の責任でやってきた。看護師や医師になると、なおさらそうなんだろうな……」
イクス4:「でも、自分の責任を誰かに預けるなんてのは……」
イクス4:「……想像したこともなかったぜ。難しいな……」
エニュオ・デュカキス:「こればかりは慣れてもらうしかありません」
エニュオ・デュカキス:「封鎖が解けて今後は出入りが増えてゆきます。面会可能な患者への社会復帰の一環として、メサイアの合コン委員会にも協働は頼んでいますが」
エニュオ・デュカキス:「関わることと、交わることは違う。相応の痛みも伴うでしょう」
ヘル・クロタリアス:「……でも、いつかはわたし達も、そういうことを勉強しなくちゃいけない」
ヘル・クロタリアス:「ずっと入院していたせいで、想像できなかったことでも――」
ヘル・クロタリアス:「わたし達はいつか、治るためにここにいるんだから」
ヘル・クロタリアス:「イクス4が一番手で勉強するんだよ。カナートスの学生だからね!」
イクス4:「はぁ……分かりましたよ」
イクス4:「エニュオ・デュカキス。……いや、センパイって言ったほうがいいのかな。これからは……」
エニュオ・デュカキス:「お好きに。便宜上は部下となりますが、正確には協力者です」
エニュオ・デュカキス:「呼び方を変えてゆくかは……貴方の社会性の発揮方法として見ていきましょう」
イクス4:「……あの、さ」
イクス4:「310号室の患者……ノエリアってやつがいるんだ」
イクス4:「細胞がスカスカのほこりみたいになって、まともな形にもなれなかったやつが……」
イクス4:「……治療記録のお陰で、少しだけ、改善の兆しがあったらしい。骨格が形成されてきたって……」
イクス4:「……だから、その」
イクス4:「あんたを撃って、悪かった。エニュオ・デュカキス」
エニュオ・デュカキス:「貴方は貴方のすべきことをした」
エニュオ・デュカキス:「思うところがゼロにはなりませんが、信じるために戦った。私達も己のために霊安室を破壊し、カナートスを掻きまわした」
エニュオ・デュカキス:「それで決済です。悪いと思う気持ちが抜けないというなら、価値を示しなさい」
エニュオ・デュカキス:「カナートスの名は未だ、風説に包まれたままです。それを払拭し、新たに存在を知らしめなければ先は見えない」
イクス4:「ハッ、そうかもしれないな。最初からそう思えば話はシンプルだった」
イクス4:「オレがしたことの分と、アンタにしてもらったことの分」
イクス4:「――マジメに働くことにするよ。とりあえずな」
エニュオ・デュカキス:「期待しています」
エニュオ・デュカキス:はっきりわかるように口元を笑わせて
ヘル・クロタリアス:「じゃあ、仲直りしたところで」
ヘル・クロタリアス:「口頭でも、改めてお願いするね」
ヘル・クロタリアス:「カナートス研究院は、今後、ジェネシスインダストリアルカンパニー製品開発特許庁の」
ヘル・クロタリアス:「共同研究機関として、契約を締結します」
ヘル・クロタリアス:「エニュオ・デュカキスさん」
ヘル・クロタリアス:「これからも、どうか、わたし達を……」
ヘル・クロタリアス:「この子達を」
ヘル・クロタリアス:「よろしくお願いします」深く頭を下げた。
エニュオ・デュカキス:「良き未来のため、協力に感謝します」
エニュオ・デュカキス:頭を下げる。ここからがもう一度の始まりだ

エニュオ・デュカキス:病室を出て廊下を進む。静かな館内の空気は、初めて訪れた時と大きく印象を変えている
エニュオ・デュカキス:──あの後に“死神”先生の気配は感じられない。バニラドロップスとの干渉も含め、既にその存在を消したのか。あるいはまだ潜んでいるのか
エニュオ・デュカキス:死に関わる存在を名乗り続けた彼がどうなったのか、最早探ることは難しいだろう
エニュオ・デュカキス:ジェネシスもまた大きく変わる気配がある。ノヴァリスという世界の小さな箱庭の中で起きた物語も終わりを迎える
エニュオ・デュカキス:変わってゆく。わからないまま、世界は動いてゆく
エニュオ・デュカキス:吐息。だが、それもいつものこと。自らが何故長官という立場に座り、こうして生きているのかも。わからないことが次々と積みあがる
エニュオ・デュカキス:それでも。似合わないと思っていても、託された立場を守り続けた末に得たものも多い
エニュオ・デュカキス:いつかこれを誰かに渡す時が来るかもしれない。……そして、いま必要なのは
エニュオ・デュカキス:「──『おあとがよろしいようで』」
エニュオ・デュカキス:高座を降りて、次の舞台へ。新たな役者を呼ぶために。続く者は如何に──





◆Ending◆三部つゆり




ラス・ヴィダス商業学校連盟 第10仮設診療所


GM:三部つゆりは、日常へと帰ってきた。
GM:自己の喪失である死と直面する戦いは、もしかしたら、彼女が立ち戻るよすがすらも犠牲にしかねないものだったが――
GM:ラス・ヴィダスは、そんな非日常を気にかけてくれることもない。再び、慌ただしく激しい、再生の日々が始まるのだ。
GM:あれから、丸二日はカナートスでの静養を要した。
GM:緊急事態のため帰還が遅れることを、エニュオ・デュカキスが現場に伝えてくれていたことを知ったことは後のことだ。
GM:その連絡を受けて、つゆりの代わりに堕天病患者達の看護に奔走していた者がいる――後藤スダチだ。
ラス・ヴィダス生徒:「へへ……三つ編みの姉ちゃん、いい胸してんじゃねえか!揉ませろ!」

後藤スダチ:「ぎゃあーっ!?何なのここの生徒!やめてください!」
三部つゆり:揉めている二人の後ろから、影が差して。
三部つゆり:「いい加減に……しなさいっ……!」ごがん、と固いクリップボードがラス・ヴィダス生徒の頭に叩き込まれる。
ラス・ヴィダス生徒:「アギャアーッ!」
ラス・ヴィダス生徒:「ひ……ひでえ……哀れな堕天病患者のアタシを……」
ラス・ヴィダス生徒:「あっ、三部つゆり!」
ラス・ヴィダス生徒:「ようやく帰ってきたのかよ!」病床からヤジが飛ぶ。
三部つゆり:「何回目なのもう…!そうです、三部つゆり!復帰しましたからね…!うるさーい!本当に大変だったんだよ!」
三部つゆり:散れ散れ!と手を振り回してスダチちゃんの周りから人を遠ざける。
後藤スダチ:「はあ、はあ……つゆりさん……」
後藤スダチ:息を切らして、俯いたまま
後藤スダチ:つゆりの肩に手をかける。
三部つゆり:「はあ……本当に、迷惑を…すみません」大分急いで来たのだろう。息が切れている。
後藤スダチ:「大変……だったよ……」
後藤スダチ:カナートス臨床医学研究院突入の際に合流した後藤スダチは、実際のところは別人――イクス4の変身体だった。
後藤スダチ:後藤スダチ本人は言うまでもなく、カナートスで繰り広げられていた戦いの大半は知る由もない。
三部つゆり:「ウチの人ら、とにかく図太い奴が多いから……本当に急に押し付ける形になってしまって……」
後藤スダチ:「でも、無事でよかった……」
後藤スダチ:「なんかこう、私が余計なこと発見しちゃったせいで」
後藤スダチ:「つゆりさんが危ない目に遭っちゃったら、申し訳なさすぎるし……」
三部つゆり:少し沈黙する。まあ、危ない事はたくさんあったのだが……「まあ、スダチさんのお陰で大分助かりましたから」
三部つゆり:「ともあれ、一杯やって貰いましたし…引継ぎと、休憩合わせて少し奥に行きましょう。本当に」
三部つゆり:「お疲れ様でした」淡く笑って。
後藤スダチ:「ううん。こちらこそ」
GM:二人は、以前と同じような空きオフィスの建物内へと場所を移した。
GM:ラス・ヴィダスの生徒は強かだ。たとえ堕天病患者とて、油断はならない……と、三部つゆりは身に沁みて知っている。
後藤スダチ:「長官にも何度も確認しちゃったことだけど」
後藤スダチ:つゆりの十字冠を心配そうに眺める。
後藤スダチ:「堕天病には感染してないんだよね?」
GM:正式な会合ではないので、会議室に入るまでもない話ではあった。階段に座り込んで会話している。
三部つゆり:「そのはずです。劇症型なら、もっと早期に反応があるはずですし…検査でも、陰性でしたからね」
三部つゆり:二段ほど踊場から登ったところに座り、足を揃えながら伸ばしている。
後藤スダチ:「……サマンサ先生は?」
後藤スダチ:つゆりのこと以上に心配そうである。サマンサ・シュヴァイゲルの暴走癖をつくづく痛感している一人だった。
三部つゆり:「やっぱり無理をしたのか…容態自体は安定してるけど、カナートスで静養中かな。やっぱりすぐに起き上がって動き回るわけには行かないみたい」
三部つゆり:「お見舞いは受け付けて貰えるくらいにはなってるみたいだから、後はゆっくり治していくところみたいだね」
三部つゆり:「…だから、安心していいって」一番腕がいい人がそう保証してくれたよ、と。
後藤スダチ:「堕天病の治療薬って、製造工程に遺産が絡んでるから」
後藤スダチ:「各地の製薬プラントで作られた原液を、一度ラス・ヴィダスまで集めて製造しなきゃいけないらしいけど……」
後藤スダチ:「ラス・ヴィダスだけでも手が回ってないから……堕天病に感染しちゃったサマンサ先生は、容態次第ではもっと後回しになるかも」
後藤スダチ:「…………辛くないかな」
後藤スダチ:「あんなに人の役に立ちたくて、ずっと走り回ってるような人だったのに……」
三部つゆり:「……」確かにそうだった。何というか、あまりに物事が激動したのもあったけれど、
三部つゆり:こういう視点がすっぽり抜けてしまっていた。「……抑制剤自体は、カナートスの方で現行流通分よりいいものがある、とは言うけど…確かにね」
三部つゆり:「……」
三部つゆり:少し考えこんで。「お見舞い、私行くつもりなんだ」
後藤スダチ:「私も……行きたいけど」
後藤スダチ:「行けるかな……行くか……」スケジュール表を睨んでいる。
三部つゆり:その様子を見て笑って。
三部つゆり:「多分、そうやって。忙しい合間でも縫って来てくれたなら、喜んでくれると思うから」
三部つゆり:「…出来ることを、してみたいんだ」
三部つゆり:「不安なこととか、分からない事とか、そもそも確かめようもない事とか…一杯あるから。だから、出来ることに集中して、そうできれば、って」
後藤スダチ:「あはは。なにか、心境の変化みたいなのがあったりして?」
後藤スダチ:「詳しいことは長官の仕事に抵触しそうだなって思って聞いてなかったけど――」
後藤スダチ:「つゆりさんは、カナートスでどんなことがあったの?」
三部つゆり:「そう、だなあ……確かに、そう言う事に引っかからないように話すと……」
三部つゆり:合コン委員会のミルキさん。オフィサーのエニュオさん。職員室のサマンサ先生。カナートスの皆。
三部つゆり:色んな出会いがあり、病があることと、その苦しみの一端を知って。自分も罹ることもあった。
三部つゆり:死ぬことを求める人がいて。生きようと必死になる人たちもいた。どうにか出来ることを探していたのは、どちらも同じで。
三部つゆり:そして、最後の夢の中の、ような--
三部つゆり:ふ、と少し普段より、明確に笑みのかたちをとった表情。
三部つゆり:「今から見れば、いい出会いが一杯あったよ」
後藤スダチ:「あはは。なんか、そんな風に言われると」
後藤スダチ:「私も救われるかも」
三部つゆり:「あはは……その節は本当に色々とご心配をおかけして…」
三部つゆり:「ありがとうね、本当」色んな意味を込めての言葉だった。
三部つゆり:「本当に小さいはずのことを、見逃さずに教えてくれたお陰で……私は、やるべきこと…ううん」
三部つゆり:「やりたいことが、きちんとできたと思うから」
後藤スダチ:「え!?えへへ、そんな大したことしてたかな……」
後藤スダチ:「でも、よかった!サマンサ先生以外の心配事はないって分かったから」
後藤スダチ:肘関節をストレッチしている。
後藤スダチ:「しっかり仕事に戻らなきゃね!休憩時間終わり!」
三部つゆり:「あ、いや…………何人かに、ちょっと変な反応されるかもだけど…!一応あまり気にしないでね!お見舞いの時!」
後藤スダチ:「え……何……?」
後藤スダチ:「私が変な反応されるの?どうして?」
三部つゆり:「いや……スダチさんにすごく似た姿を取った人がいて……」
三部つゆり:「その問題はもう解決したんだけどね…!」
三部つゆり:「スダチさん自身の問題では全くない事は説明してあるはずだから…!」
後藤スダチ:「え、えええ~っ」
後藤スダチ:「どういうこと!?え!?私がなぜ!?」
三部つゆり:「わ、私も又聞きだからこうとしか言えなくて……!ごめんなさい……!」
三部つゆり:「本当に気になるならエニュオさんとかに聞いて貰って……ね!私も口添えとか手助けはするから…!」
後藤スダチ:「待って!逆に気になるよ~!どうなってるの~~!?」つゆりを追いかけていく。
三部つゆり:「こ…これ以上はエニュオさんとかのお仕事とかに関わるかもだから……!」
三部つゆり:逃げる必要はないはずなのだが、流れなのか逃げていく。
三部つゆり:--何となくおかしくなって、笑いが零れた。
三部つゆり:私は帰って来た。
三部つゆり:まだ慣れていなくて、大変で、どうにもぎこちないけれど。
三部つゆり:私が愛するべき、愛したい日々に。
三部つゆり:(ねえ)
三部つゆり:(ゆるしてくれますか)
三部つゆり:(私が………あなたがいないのに、楽しくしても)
三部つゆり:きっとそれは、答えのない疑問ではなかった。
三部つゆり:私自身こそが、答えを出すべき事で――
三部つゆり:「うん、お仕事、再開だ……!」
三部つゆり:いまは、まだ。そっとしまっておきたいことだったから。
三部つゆり:日常が始まる。
三部つゆり:慌ただしく、激しく、猥雑で、治安も悪いけれど――
三部つゆり:笑いと明るさがある、そんな日々が。





◆Ending◆七星ミルキ




メサイア学園 合同カタコンベ


GM:――死のないノヴァリスにあって、彼女達は、あるいはカナートスよりも遥かに死に寄り添ってきた生徒達だった。
GM:メサイアの合同カタコンベには、第二次ノヴァリス紛争で死んだ生徒達と、消失したノドスの生徒達、そしてごく一部は、理事会のエージェント達の墓碑が安置されている。
GM:七星ミルキはこの戦いで、多くのものを見た。どれだけ願っても果たせなかった者との再会。あるいは、どれだけ願っても逃れられなかった永別を。
GM:全ては繋がっていたことだったのかもしれない。ミルキがジェネシスの路地でペテラ・アズテックに出会って……
GM:カナートスから訪れたカリス・リュシドールに、学区の命運を託されたことも。
GM:その合同カタコンベへと、久しぶりにミルキは帰還した。
七星ミルキ:ジェネシスへ赴いたのは、元々はノドス捜索に関連する情報交換のためだった
七星ミルキ:カナートス学区に関わる一連に関わることになった自分はともかく、他の合コン委員は通常の業務を行っている。
七星ミルキ:諸々を追えて遅れて帰還する頃、事件の報告は委員会にも伝わっていた。
七星ミルキ:数々の病。"死神"先生。霊安室の兵器。星徒。────ノドス。
七星ミルキ:出迎えたのは温かな雰囲気と、柔らかい気遣い。
七星ミルキ:ミルキの状況も伝わっていたため、目立って問い詰められる……なんてことはなかったが。
七星ミルキ:(………うん)
七星ミルキ:(やんわりと仕事を変わられていますね……)
七星ミルキ:気遣われているなぁ、と実感する。
七星ミルキ:カタコンベは普段から騒がしい方ではないが、今日は一段と静か。
七星ミルキ:フア、とあくびが出た。───これも、後遺症と言うのでしょうか?

三城郷ミチカ:「こーら、七星委員長~?」
七星ミルキ:「ひゃいっ!?」
七星ミルキ:びくん、と肩が跳ねる
七星ミルキ:「い、いえいえ、これはサボってるわけじゃなくてですね!? つい考え事を…!」
三城郷ミチカ:「……あははっ、慌てなくていいよミルキちゃん」
七星ミルキ:両手でワタワタと弁明する。
七星ミルキ:「……あえ?」
七星ミルキ:「ミ、ミチカせんぱい?……先生!」
三城郷ミチカ:わざとらしく呼びかけたあと、いつも通りの調子で表情を崩す。
七星ミルキ:「驚かさないでくださいよぉ」こちらもへにゃりと笑う
三城郷ミチカ:「ごめんごめん。どうしても戻る前に挨拶しておきたくて」ミルキが不在の間、職員室から出向して委員会を手伝っていた。

カリス・リュシドール:「あ、あの……」物陰から半分だけ顔を出している。
カリス・リュシドール:「お世話になっております。私も来てよかったでしょうか……」
七星ミルキ:「カリスちゃん!?」
七星ミルキ:「わ、わ、どうしたの?いらっしゃいませだよ」
カリス・リュシドール:「まだ仮釈放?みたいなものらしいですけど」
カリス・リュシドール:「ミルキちゃんに会いたいって要望を出したら、なんだかあっさり受理されちゃいました」
七星ミルキ:「そうなんだ~!良かったねぇ」
七星ミルキ:「あ、紹介しますねミチカ先生。カナートスのカリスちゃんです。こっちは先輩のミチカ先生」
カリス・リュシドール:「優しい……んですかね?トランペッターの皆さんって……」
七星ミルキ:「そう。トランペッターさんは再犯しない子には優しいんだよ」
カリス・リュシドール:「こんにちは。カナートスのカリス・リュシドールです」深々とお辞儀をする。
三城郷ミチカ:「はじめましてカリスちゃん。ミルキちゃんからお話は聞いてます」柔らかく微笑む。
カリス・リュシドール:「え!?そ、それは……その節はご迷惑を……」
三城郷ミチカ:「あ、いいのいいの!今日は訪ねて来てくれてありがとう。ゆっくりして行ってね」
七星ミルキ:「うんうん、後でお菓子も出すね」
三城郷ミチカ:「済んだことは気にしないで、パーッと楽しもう!」
カリス・リュシドール:「お菓子……」
カリス・リュシドール:「……じゃなくて、その」
カリス・リュシドール:「ミルキさん……カナートスに行ったんですよね」
七星ミルキ:「うん。……先に行ってきたよ」
カリス・リュシドール:「すごく色々あったんじゃ……私、ニュースでジェネシスに事業買収されたって聞いて、びっくりしてしまいました」
七星ミルキ:「カリスちゃんがくれたパスのお陰でなんとかなったんだ。ありがとうね」
七星ミルキ:「あぁー……びっくりするよね」
七星ミルキ:「私以外、ほとんど学区の代表の偉い人みたいな感じだったから。いつの間にかすごいことになってたよ」
カリス・リュシドール:「みんなが無事だといいんですけど……」心配そうに眉尻を下げる。
カリス・リュシドール:「カナートスの設備は、差し押さえられたりしたらすごく困る子もいて……」
七星ミルキ:「それは大丈夫!」
七星ミルキ:「多分、カナートスの子たちを守るための措置のはずだから」
七星ミルキ:「一緒にカナートスの子達ともお話したし。悪いようにはならないはずだよ」
カリス・リュシドール:「……そうだったんですね。じゃあ、皆もちゃんと決めたんだ」
カリス・リュシドール:「……。ミルキさんの話なら、信じられます」
三城郷ミチカ:「うんうん、メサイアと違ってオフィサーはちゃんとした契約書交わすし、いつの間にか原本が無くなってたりもしないから、安心していいよ」
カリス・リュシドール:「メサイアってすごいんですね……」慄いている。
七星ミルキ:「? ありがとう」よくわかってない。
七星ミルキ:「ヘルさんとのお話もしたみたいだから、そこは間違いないはず……あっ」
七星ミルキ:「カリスちゃんからお願いされてた物も、ちゃんと持ってきたよ。後で渡すね?」
七星ミルキ:病室から回収してきたカバンは委員会で保管している。
カリス・リュシドール:「……?あっ!」
カリス・リュシドール:「そ、そんなのずっと後でよかったんですけど……あはは……」
カリス・リュシドール:「そんなことのために、大変なことにばかり首を突っ込んじゃうなんて」
カリス・リュシドール:「相変わらずなんですね、ミルキさん」微笑む。
七星ミルキ:「そ、そうかな。ついでぐらいのつもりだったんだけど……」髪の毛を指でぐるぐる。
三城郷ミチカ:「うーん……」二人の様子を見て、パッと閃いたように表情を変える。
三城郷ミチカ:「七星委員長、やっぱりまだカナートス出向の疲労が取れていないようですね」
七星ミルキ:「え?うん……どうしたんですかその口調?」
カリス・リュシドール:「そうなんですか?」まばたきをする。
七星ミルキ:「万全ではないけど……」
三城郷ミチカ:「仕方がありません……色々ありましたから。そこで!」
七星ミルキ:「あっミチカせんぱいが関係なく話を進めるモード!久々に見た…!」
カリス・リュシドール:「そうなんですか?」
七星ミルキ:「そうなの!アクセルを踏んでくるよ…!」
三城郷ミチカ:「予定を変更して、本日の委員会活動は私が代行します!ミルキちゃんは一日たっぷり充電してくること!」
七星ミルキ:「えっえっ」
七星ミルキ:「さっきもう戻るみたいなことを言ってたような」
三城郷ミチカ:「いいのいいの、一日くらいずれても大丈夫!」
三城郷ミチカ:「他の先生もよくやってるんだよね~。みんな現場主義だから」
七星ミルキ:「ほんとに大丈夫なんですか……!?」
七星ミルキ:「確かに皆さん忙しそうですけど……」ほわんほわん。職員室への差し入れ時を思い出す
三城郷ミチカ:「いいの!先生に任せなさい!」こう言う時だけは先生ぶる。
七星ミルキ:「先生……!」
七星ミルキ:そう、眼の前に居るのは先生だ。ならば言うことには従うべきではないか……?
七星ミルキ:生来の指示待ち性格が顔を出す。
三城郷ミチカ:「そんなことよりミルキちゃん?メサイア流の、いや、合コン流の充電とはどうするべきか、わかってるよね?」
七星ミルキ:「は、はい」反射的に返事をする。
七星ミルキ:背筋が伸びる。
七星ミルキ:「休憩、歓談、発散、です」
七星ミルキ:「よく休み、よく話し、よく遊ぶ……ですよね?」
三城郷ミチカ:「よろしい!」ミルキとカリスの肩に手をおいて
三城郷ミチカ:「はい、それじゃあ行った行った!」
七星ミルキ:ふわり、と爽やかな香りがする。
七星ミルキ:飾り付けるわけではなく、清潔な少し甘い香り。本人の人柄を感じさせる香り。
七星ミルキ:「え、えぇ~?」
七星ミルキ:「そ、それじゃ、……行きますけど」
七星ミルキ:少し歩いては伺うように振り向いている。
七星ミルキ:「いいんですか?」
七星ミルキ:「本当に行っちゃいますよ?」
三城郷ミチカ:「もう、大丈夫だってば」苦笑して
三城郷ミチカ:「ちゃんと帰ってくるでしょ、ミルキちゃんは」
カリス・リュシドール:「え、あの……」
カリス・リュシドール:「ミルキさんがご休憩ということなら、私はお邪魔でしょうか……」申し訳なさそうに言う。
七星ミルキ:「……むう」
七星ミルキ:気恥ずかしさにぷくりと頬をふくらませる。
七星ミルキ:「いいの。いこいこ、カリスちゃん」
七星ミルキ:「ここにいると、ミチカ先生から私の昔の話とか聞かされるよ」
七星ミルキ:ぐいぐい、と両肩を押す
七星ミルキ:「それじゃ、ミチカ先生!」
七星ミルキ:「お願いしますからね!」
三城郷ミチカ:ニコニコ顔で二人に手を振っている。
カリス・リュシドール:「あ、わわ……あわ……」手を引かれて、カタコンベの奥についていく。
七星ミルキ:つかつか、と半分ほど行った所で表情を戻して手を振り返し、カタコンベの角を曲がった
カリス・リュシドール:「本当に迷いなく進めるんですね、ミルキさん」
カリス・リュシドール:「すごいな……私じゃ何回往復しても覚えられる気がしないです」
七星ミルキ:「そういうの覚えるの、得意なんだ」
七星ミルキ:「流石に全部覚えてるのは珍しいけど……それでも、他の子だって行きたい場所の道だけはちゃんと覚えてるよ」
七星ミルキ:「カリスちゃんも、そのうち覚えられるんじゃないかな?……っと、右ね」
七星ミルキ:話しながらカタコンベを進み、時折あると知らないと気付かない横道にも入っていく。
GM:七星ミルキが向かった先は、生徒の墓石が並ぶ一角だった。
GM:――『楽園の三百人』と呼ばれている。第二次ノヴァリス紛争で命を落とし、そして時に星徒としてノヴァリスに現れるようになった死者達。
GM:だが、そんな星徒も、かつて生きていた者との連続性を持たない、異なる可能性の存在に過ぎないというのなら。
GM:この三百人には誰も、決して、再会することはないのだろう。
GM:死者が蘇ることはない。
カリス・リュシドール:「………シノエさんのことは、聞いています」
カリス・リュシドール:「今でも、信じられませんけれど……」
カリス・リュシドール:「でも……どこかで納得している自分もいて」
カリス・リュシドール:「死者が生き返るなんてことは」
カリス・リュシドール:「やっぱり、なかったんですね……」
七星ミルキ:「………………うん」
七星ミルキ:「私は……合コンでも、行方不明組だからさ」
七星ミルキ:「"実は死んでない"って信じることも、大事だったんだけど」
七星ミルキ:「それはきっと、死んだことから目を逸らすとか」
七星ミルキ:「……死んだら、命は終わるってことを──不可逆だってことを、ちゃんと知ってないといけないんだよね」
七星ミルキ:(……ミチカ先輩は)
七星ミルキ:(きっと、それがわかってたんだろうな)
カリス・リュシドール:「……あ」
カリス・リュシドール:シノエ・リュコスの墓碑は修復されていた。
カリス・リュシドール:だが、カリスが驚いたのは
カリス・リュシドール:合コン委員会の手による補修のことだけではなかった。
カリス・リュシドール:「花が、あります」
七星ミルキ:「あ……」
七星ミルキ:それは、合コン委員会が備える花とも違っていた。
七星ミルキ:メサイア学区ではあまり流通していない、珍しい形と色合い。
七星ミルキ:「……先に、来てる人が居たんだね」
カリス・リュシドール:屈み込んだまま、両手で口元を覆っていた。
カリス・リュシドール:大きな瞳から、いくつもの涙が流れた。
カリス・リュシドール:「……………」
カリス・リュシドール:「シノエさん…………ああ……」
七星ミルキ:「…………」少しだけ目をつむる。
七星ミルキ:カナートスで出会った子たちは、皆誰かを心配していた。
七星ミルキ:ウノ・ワイルゴッドが一人で背負うことも。シノエ・リュコスの身に起きた災難も。
七星ミルキ:あの学区ではきっと
七星ミルキ:(一人じゃ、なかった)
七星ミルキ:(そう簡単に一人になんて、なれないんだよ。シノエちゃん)
七星ミルキ:カリスの背中を優しく撫でる。祈ってあげてほしい、と思いを込めて。
カリス・リュシドール:「ごめんね……」
カリス・リュシドール:「……寂しい思いをさせて……」
カリス・リュシドール:「シノエさん……ごめんね……」
七星ミルキ:「……先に行ってしまった子は、きっと寂しがっているけれど」
七星ミルキ:「きっと、追いつけるよ」
七星ミルキ:「想い続ければ……きっと」
七星ミルキ:カリスを励ますようで、自分にも言い聞かせるような言葉。
カリス・リュシドール:ミルキの言葉に答えられる余裕はなかったが、
カリス・リュシドール:何度も頷く。
カリス・リュシドール:「あはは……ごめんなさい、ミルキさん」
カリス・リュシドール:涙を拭うが、その端から、まだ溢れ続けているようだった。
カリス・リュシドール:「しばらく、ここにいてあげてもいいですか?」
七星ミルキ:「うん………ゆっくりしていいよ。私は、他の所も回ってくるから」
七星ミルキ:「いっぱい」
七星ミルキ:「いっぱい、話してあげて」
七星ミルキ:背中をさする感覚に、あの時のシーツの感触が重なる。
七星ミルキ:墓碑銘を見る。300名の、今は諳んじる事ができる名前達。───いくつかは、名前しか知らない、人たち。
七星ミルキ:葬送係という役職がある
七星ミルキ:星徒の存在を知った直後に、三城郷ミチカ先輩が発足した"楽園の300人"への対応係。
七星ミルキ:目的は星徒への対処を行うことであるが──それは副次的な目的だ。
七星ミルキ:星徒は生前の記憶を有する。当然、彼女たちは身内のもとに姿を表すことが多い。
七星ミルキ:その保護を行うことが第一。そして………
七星ミルキ:”死者の尊厳を守ること"
七星ミルキ:同じ記憶と、同じ能力と、同じ姿。これらを持つ彼女たちに、悪事を働かせない──悲しませない。
七星ミルキ:その理念は知っていた。必要だと思っていた。けれど。
七星ミルキ:"理解"出来たのはきっと、この瞬間だった。
七星ミルキ:(シノエちゃんみたいに、ずっと悲しんでしまう子を出さない)
七星ミルキ:(そのため、だったんですよね──ミチカさん)
七星ミルキ:修復した文字を指でなぞる。音だけじゃなく、感触も刻み込むように。
七星ミルキ:「また、来るから」
七星ミルキ:小さく呟いて、足音を立てないように別の墓所に向かった。

七星ミルキ:カタコンベ内は地下洞窟であり、不意の行動音はすべて反響する。
七星ミルキ:それでも合コン委員会となれば足音を響かせないまま移動することは出来る。
七星ミルキ:墓所に騒音は厳禁で、眠りも祈りも妨げるから。
七星ミルキ:そのままいくつかの墓石を通って、ひときわ大きな空間に出る
七星ミルキ:地下墓地を抜けた先、地上へと昇る階段。
七星ミルキ:川岸にぽつんと、ひときわ大きな黒い石碑が立っており──
七星ミルキ:そこに、先客が居た。
三部つゆり:――目にまず映ったのは、工業製品じみた白色だった。
三部つゆり:緩く吹く風に、その白を流しながら。墓標を前に、眼を閉じている少女がいた。
三部つゆり:ゆっくりとその眼を開き、あなたの方へ振り向く。
七星ミルキ:始めから、そう作られているような存在だった。
七星ミルキ:命を祀る場にふさわしい、汚れのない白。
七星ミルキ:人形じみた少女がこちらを見た時、ようやく時間が動いていたのだと知ることが出来る光景だった
七星ミルキ:「こんにちは、つゆりちゃん」
七星ミルキ:「お邪魔しちゃいました?」
三部つゆり:「ミルキさん?……いえ、ただ……眼を閉じて、なにも考えていなかっただけですから」
三部つゆり:淡く小さく笑みを浮かべて。
三部つゆり:「ミルキさんは……定例の見回りでしょうか。此方こそ、お邪魔しています」
七星ミルキ:「あはは……実はお仕事じゃないんです」
七星ミルキ:「こわい先輩に休みなさいって怒られちゃいまして」おどけて言う。
三部つゆり:「それはまた……大変でしたね」
七星ミルキ:「いらっしゃい、つゆりちゃん。隣、ご一緒しても?」
三部つゆり:「ええ。勿論、構いません」
七星ミルキ:「では、お邪魔しまして」
七星ミルキ:隣に並ぶ。川岸は地下と違って、風がある。香りがある。
七星ミルキ:生命の香りがする──その中で、隣の少女の存在は不思議と希薄だった。
三部つゆり:どこか、墓標と川を通して、はるか遠くを見ているようだった。
三部つゆり:かつてそこにあったという、ノドス学区のある位置を通じて--
三部つゆり:歩いていけない隣にある、今のノドス学区を思い浮かべるように。
七星ミルキ:同じように目線を送る。
七星ミルキ:お互い、墓標に向ける目線は少し違う。それは名前の位置であったり、その向こうに感じるものであったり。
七星ミルキ:祈る。だたし、こちらは何も考えない……という事は器用に出来ない。
七星ミルキ:幼い頃からずっと考え続けてきた。身体の動かし方。使う武器のこと。訓練のこと。
七星ミルキ:身体に毎回数字を指定するような煩雑な処理を行いながら、生きてきた。
七星ミルキ:「つゆりちゃん」
七星ミルキ:「私ね」
七星ミルキ:「ノドスへ行こう、って思った」
三部つゆり:「……そうですか。確かに…行けたら、色々できそうですね……」自分とは全く違った考え方だった。
三部つゆり:「私は……」
三部つゆり:「ノドスを、此方に戻すか、ノヴァリスごと外と繋がる空間へ解放しよう、と考えていましたから」
七星ミルキ:「……あはは」
七星ミルキ:きょとん、と目を丸くした後。パチパチと動かし、笑う。
七星ミルキ:「すごいな。すごい発想だ」
七星ミルキ:「私は、向こうからアプローチ出来るなら、こっちから……って思ってたんだけど」
七星ミルキ:「そっか」
七星ミルキ:「見つけてやれば良いんだね」
三部つゆり:「多分…ソル・ジファンから。解放を求めているのだと言われたので…最初から、それしか頭になく…」
七星ミルキ:「あははははは!」
七星ミルキ:快活に笑う
七星ミルキ:ノドスの探索は殆ど行われていなかった。ノドス生徒の介入がわかり、その存在が実証されて
七星ミルキ:後藤スダチが持ちかけてきた計画で、希望を感じて。
七星ミルキ:もっといろいろな人が動いて。自分より頭のいい人もたくさん協力してくれて
七星ミルキ:それなら、と思っていたのに。
七星ミルキ:「まさか」まさか───見つけることは前提だとは!
七星ミルキ:「うん、いいね。さすがつゆりちゃんだ」
七星ミルキ:「スケールが大きい。私一人だとこじんまりしちゃうからな」
三部つゆり:「……そんなにおかしいです…?結局、根幹はそれなんですから…」
七星ミルキ:「いや、おかしくない。おかしいのは私だったとも」
七星ミルキ:テンションが口調の乱れに繋がっている。
七星ミルキ:「そうだよね。ここまでやってるんだから、根本的に解決しなきゃだよ」
三部つゆり:「はあ……変なテンションにまでなっちゃって」
七星ミルキ:「良いの。嬉しいんだから」
七星ミルキ:「嬉しい時は笑って楽しむのが作法だよ?」
三部つゆり:「そう…ですか?まあ、ならいいんですけど……」
七星ミルキ:「ノヴァリスを戻すか、一緒に外に出す。いいね。それが一番良いよ」
三部つゆり:墓標の下には、花がある。シノエ・リュコスの墓にもあった、スターチスのドライフラワー。
七星ミルキ:その花を見る。「……それって」
七星ミルキ:「そっか。先客はつゆりちゃんだったのね」
三部つゆり:「ええ……私は結局、ただ攻撃を止めて、撃つことしか出来ませんでしたから」
三部つゆり:「せめて、花くらいは」
三部つゆり:スターチスの花言葉は、
三部つゆり:「「変わらぬ心」「永久不変」「途絶えぬ記憶」。……彼女には合わないかな?でも」
三部つゆり:「”いたずら心”、”驚き”。……こっちは、悪くないと思う」
七星ミルキ:「……あはは」
七星ミルキ:「そうね。シーツを被った子供いたずらっ子だったもの」
三部つゆり:「ええ。……私は、彼女が被ったシーツの怪物を、本物だと思った」
三部つゆり:「だから、ああした。後悔は…あるけど、もう一度あったとしても、同じことをする」
七星ミルキ:「…………うん」
七星ミルキ:「幽霊の正体見たり……って言うけどさ」
七星ミルキ:「シーツの下の花が枯れているだなんて、誰も証明できない」
七星ミルキ:「……おばけが自分からシーツを脱ぐときに、キレイに笑う女の子だって、いるかも知れないんだもの」
三部つゆり:「危ないよ」
三部つゆり:答えは分かり切っているけど、言うべきだと思った。
七星ミルキ:「うん」
七星ミルキ:言われるのはわかっていた。
七星ミルキ:攻性症例305:感応見当識障害。
七星ミルキ:すべての感覚を失う、病気。
七星ミルキ:それはミルキにとって、初めての感覚だった。
七星ミルキ:指の角度も足の動きも、心臓の鼓動も。
七星ミルキ:通常以上に感じとって生きていた少女が、『何も感じない』
七星ミルキ:生きている状態を完全に把握しているがゆえに───死に限りなく近いあの場所は、遠かった。
七星ミルキ:「……ふあ」あくび
七星ミルキ:一度感覚を休んだ反動なのか。
七星ミルキ:新たに回りだした脳がしばらくオーバー気味に動いていて、すぐに眠くなってしまう。
七星ミルキ:「ごめん……聞き流してるわけじゃないんだよ?」
七星ミルキ:「ちょっと、今は頑張り過ぎちゃうというか…」
三部つゆり:「いいえ。委員長職も大変でしょうし…先の疲労も、完全には抜けていないでしょう」
三部つゆり:「構いませんよ。見張りは任せて貰っても」
七星ミルキ:「………そう?」
七星ミルキ:合コン委員会の鉄則。休憩、歓談、発散。
七星ミルキ:やりたいことはやった。楽しくお話も、まぁした。
七星ミルキ:「じゃあ……甘えさせてもらおうかな」
七星ミルキ:「肩、借りて良い?」
三部つゆり:「ええ」
七星ミルキ:「……膝でも良い?」合コン委員長らしく、ちょっといたずらっぽい顔。
三部つゆり:溜息。
三部つゆり:「構いません。…でも、そんなに厚くないので、起きた後は知りませんが」
七星ミルキ:「呆れられた……!」楽しげな声
七星ミルキ:「良いの、良いの」発言を撤回される前に横になる。
七星ミルキ:自分の髪の毛を巻き込んで膝に頭をおいた。
三部つゆり:楽しそうな様子に、小さく笑って。そのままスカートを払い、横になり易いようにする。
七星ミルキ:横になり天を見上げる。
七星ミルキ:真っ白な世界から帰ってきて以来、戻ってきた感覚が暴走して敏感になっている。
七星ミルキ:嗅覚も触覚も、視覚も。
七星ミルキ:目は空の向こうに星を感じている。
七星ミルキ:そして。
七星ミルキ:頭の下の膝から、とくんとくんと。
七星ミルキ:決して人形にはない生命を感じる。
七星ミルキ:「つゆりちゃん」
七星ミルキ:「私達」
七星ミルキ:「生きてるねぇ……」
七星ミルキ:声がすでにまどろみ始めている
三部つゆり:「ええ。そうです」
三部つゆり:「たとえ、病気になっても。髪色が変わっても。今までずっと会いたかった人に、もう一度逢えても」
三部つゆり:「私達はまだ、生きている」てのひらを、太陽にかざした。
七星ミルキ:「うん」翳した手の影が顔に落ちる。
七星ミルキ:自ら輝く、ひときわ大きな星。
七星ミルキ:風が通り抜けて、感覚は眠りに落ちていく。自分の心音と、傍らにいる人の血潮を感じながら。
七星ミルキ:生きている。生きているなら、まだ終わりじゃない。
七星ミルキ:「ノドスの、男子たち」
七星ミルキ:場所が遠い?世界が違う?──相手が遠ざけてくる?
七星ミルキ:そんなことは、全く問題ではない。
七星ミルキ:遠いなら近づく。違うなら乗り越える。相手が逃げるのなら……
七星ミルキ:世界の垣根すら、壊す。
七星ミルキ:それが、共にいる少女と最初にした約束だったから。
七星ミルキ:「ぶっとばすぞぉ……」
七星ミルキ:すでに寝言になった言葉は、半分以上せせらぎに溶けていった





◆Ending◆サマンサ・シュヴァイゲル




カナートス臨床医学研究院 404号室


GM:カナートス地下での壮絶な死闘の後、サマンサ・シュヴァイゲルの記憶はしばらく途切れている。
GM:本当に死んでしまったのかもしれない――という自覚すら抱きはしなかった。
GM:だが、そんな死の淵からも、サマンサは再び覚醒した。
GM:ペテラ・アズテックが助けを呼び、カナートスの生徒達が総出で、倒れた彼女らを救い出したのだった。
GM:ウノの手術を受けて間もない上に、再び重度合併症に感染したサマンサの状態は、極めて絶望的だったらしいが
GM:それでも、カナートスの生徒達は自分達にできる限りの手を尽くした。
GM:なぜなら、サマンサ・シュヴァイゲルは、カナートスの全員にとっての恩人で――
GM:そして、そうでなくとも
GM:助けを必要とする患者だったからだ。

ソ・ジウォン:「サマンサ先生!」
ソ・ジウォン:「またシュエフィと遊んでるんですか!?安静にしなさいってあれだけ言いましたよね!?」

ルー・シュエフィ:「ふぇ……」サマンサの膝に座ってドラマを見ているところだった。
サマンサ・シュヴァイゲル:「あっ!?ジウォンちゃん!違うのよ!これは!これはね……!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ルーちゃ、じゃない……シュエフィちゃんが」
サマンサ・シュヴァイゲル:「お見舞いに来てくれるの、嬉しくて」
サマンサ・シュヴァイゲル:「つい!!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「出来心なの!!」
サマンサ・シュヴァイゲル:くあっ!
ソ・ジウォン:「勢いで言っても騙されませんよ!」
ソ・ジウォン:「ほら口出して!」サマンサの両腕はまだ動かすことを許されていない。
ソ・ジウォン:「お薬がた~くさん出てますからね」
サマンサ・シュヴァイゲル:「はい!分かりましたっ!!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「お薬大好きです!!」
サマンサ・シュヴァイゲル:ビシッと背筋を正す
ソ・ジウォン:飲むと混乱しそうな味の薬の数々をサマンサの口に詰め込み
ソ・ジウォン:大量の水で流し込む。
サマンサ・シュヴァイゲル:「もごもごばりばりむぐむぐ」
ソ・ジウォン:「本当に大丈夫なのかなこの処方……人間の患者にこんな投与したら死んじゃうと思うんだけど……」
サマンサ・シュヴァイゲル:「とっても苦くて、渋いわ!!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「でもみんなが先生のために作ってくれたんだもの」
サマンサ・シュヴァイゲル:「おいしい!おいしい!ばりばり。」
ルー・シュエフィ:「それは絶対うそだよ……」
ルー・シュエフィ:「大丈夫……?」頭を撫でてあげようとする。
サマンサ・シュヴァイゲル:「うう……ルーちゃん優しい」
サマンサ・シュヴァイゲル:「でも、嘘じゃないの」
サマンサ・シュヴァイゲル:「痛いとか苦いとかって、先生は嬉しい気持ちがあるとどこかに行っちゃうわ」
サマンサ・シュヴァイゲル:「先生単純なの!!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ああっ、またルーちゃんって呼んじゃった……!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「一度覚えたことが、覚え直せない!これは単純のよくない所ね!」
ルー・シュエフィ:「えへへ……」
ルー・シュエフィ:「ルーって呼ばれるの、なんかくすぐったくて、新鮮かも」
ルー・シュエフィ:もじもじとする。
サマンサ・シュヴァイゲル:「や、やさしすぎる~」
ソ・ジウォン:「ほら、シュエフィもとっとと降りる」
サマンサ・シュヴァイゲル:「かわいすぎる~」
ソ・ジウォン:小さな体を抱えて、サマンサの膝から下ろす。
ソ・ジウォン:「こんなにベタベタしちゃって……患者さんなのよ?」
サマンサ・シュヴァイゲル:顔をギュッとしながらもぞもぞ動いている。
サマンサ・シュヴァイゲル:手足が拘束されていなければ抱き着いていたであろう。
GM:ルー・シュエフィは、かつてよりも遥かに道順障害が改善されたらしい。そのことを嬉しそうに話していた。
GM:今では誰かに付き添って案内さえしてもらえれば、他の病室に辿り着くこともできるのだそうだ。
GM:クロード・カレルの手から七星ミルキへと返されたカナートスの治療記録には、いくつもの手が加わっていた。
GM:理事会すら放棄した患者の症状を治療する研究。または、攻性症例の暴走を抑制する研究――
GM:無論、その全てが実を結んだわけではなかったのだろう。少なくとも、この事件では間に合わなかった。
GM:それでも、クロード・カレルは
GM:ノドスの作戦の結果としてノヴァリスから放り出されることになる、無関係の、見知らぬ少女たちに
GM:その作戦を主導した科学者として、少しでも責任を果たそうとしていた。
サマンサ・シュヴァイゲル:「……」
サマンサ・シュヴァイゲル:シュエフィの笑顔を見るうちに、不意に黙り込んで
サマンサ・シュヴァイゲル:どこか遠くへと視線を向ける。
ソ・ジウォン:「う」
ソ・ジウォン:「急に大人しくなっても気味が悪いって」
サマンサ・シュヴァイゲル:「あっ」
ソ・ジウォン:「暴れ出さないよね……?」心配そうに見る。
サマンサ・シュヴァイゲル:「ごめんなさい急にボーっとしちゃって!」
ルー・シュエフィ:「先生どうしたの?」
サマンサ・シュヴァイゲル:「……うん」
サマンサ・シュヴァイゲル:「思い出してたの、クロードくんと」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ウノちゃんのこと」
サマンサ・シュヴァイゲル:「2人は本当に賢くて、優しくて」
サマンサ・シュヴァイゲル:「先生よりもずっと長い間、カナートスのみんなのことを見て、考えていて」
サマンサ・シュヴァイゲル:「2人のしたことを、邪魔して取り上げてしまったのは」
サマンサ・シュヴァイゲル:「それしかないって思っていたからだけど……少しだけ」
サマンサ・シュヴァイゲル:「それしかなかったのかな、って思うこともあるの」
サマンサ・シュヴァイゲル:「先生単純だから、いつもやってから自信がなくなっちゃう」
サマンサ・シュヴァイゲル:弱弱しく苦笑する
ソ・ジウォン:「そんなことはないよ。サマンサ先生が頑張ってくれなかったら、治療記録も手に入らなかった」
ソ・ジウォン:「私達が『それしかない』って思ってしまうような絶望の中でも」
ソ・ジウォン:「信じて走ってくれたからだと思うんだ――他になにか、、、あるはずだ、って」
ソ・ジウォン:「ウノだって、自分の患者を殺したかったわけじゃない」
ソ・ジウォン:「クロードって人も、きっと、カナートスを消してしまいたいなんて思ってなかった」
ソ・ジウォン:「私も……私だって」
ソ・ジウォン:「ペテラに……生きてほしかった、から」唾を飲み込んで、涙をこらえたようだった。
ソ・ジウォン:「先生は、みんなが願ってたことを叶えたんだよ」
サマンサ・シュヴァイゲル:「そうだったら嬉しい」
サマンサ・シュヴァイゲル:「弱音を、聞いて欲しかったの」
サマンサ・シュヴァイゲル:傍らのジウォンへ微笑みかける。
サマンサ・シュヴァイゲル:「ペテラちゃんは……あれから」
サマンサ・シュヴァイゲル:「私のことも、ミルキちゃんのことも、エニュオちゃんのことも」
サマンサ・シュヴァイゲル:「チェルシーちゃんのことも、トゥエちゃんのことも」
サマンサ・シュヴァイゲル:「みんなのことを助けてくれたわ、たった1人で、一生懸命にがんばって」
サマンサ・シュヴァイゲル:「一緒にいたいと思ってくれたから」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ジウォンちゃんのお陰で、ペテラちゃんが生きていてくれた」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ペテラちゃんのお陰で、私が生きてるわ」
サマンサ・シュヴァイゲル:「……ありがとう、ジウォンちゃん」
ソ・ジウォン:「……そうなのかもね」
ソ・ジウォン:「生きてるっていうのは、いつも自分の周りにいる人達の、お互いのお陰で」
ソ・ジウォン:「私達がサマンサ先生に思ってる感謝と同じように」
ソ・ジウォン:「サマンサ先生も、ペテラ達に感謝してくれてたんだ」
ソ・ジウォン:「――どっちがあげている、みたいな話じゃないんだろうね」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ええ!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「元気になったら、カナートスのみんなに」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ありがとうを言いに行きたいわ!」
ソ・ジウォン:「はいはい、そのためには早く元気にならないとね」
サマンサ・シュヴァイゲル:「お話してくれて、助けてくれて」
サマンサ・シュヴァイゲル:「出会ってくれて、ありがとうって!」
ソ・ジウォン:「もう、いいから」恥ずかしそうに、呆れたように笑う。
サマンサ・シュヴァイゲル:「先生、この学校が大好きなの!」
ルー・シュエフィ:「よかったですね……ジウォン……!」
ルー・シュエフィ:「先生にきてもらって……」
ソ・ジウォン:「……」観念したように、ため息をつく。
ソ・ジウォン:「……ペテラがね」
ソ・ジウォン:「未来の話を……するようになったんだ」
ソ・ジウォン:「元気になったらどんなところに行きたいとか」
ソ・ジウォン:「何を食べたいとか……それと」
ソ・ジウォン:「植物園に、花を見に行きたいとか」
ソ・ジウォン:「治療記録のお陰で、あの子の症状がよくなったからかもしれないけど」
ソ・ジウォン:「……きっと、それだけじゃないと思ってる」
ソ・ジウォン:「先生は、すごいよ」
ソ・ジウォン:「カナートスの、どんな医者にもできなかったことをしたんだ」
サマンサ・シュヴァイゲル:「先生は」
サマンサ・シュヴァイゲル:「単純なだけじゃないかしら」
サマンサ・シュヴァイゲル:「カナートスのみんなは、クロードくんも」
サマンサ・シュヴァイゲル:「賢くて、この世界が酷い場所だって、知っていて」
サマンサ・シュヴァイゲル:「自分でやりたくないと思ったことも、決心できるから」
サマンサ・シュヴァイゲル:「……イヤだったの、それがイヤで、イヤで」
サマンサ・シュヴァイゲル:「泣いちゃって、暴れちゃって」
サマンサ・シュヴァイゲル:「全部なんとかしてくれたのは、ミルキちゃんやジウォンちゃんたちだわ」
サマンサ・シュヴァイゲル:「先生らしくないでしょ?」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ジウォンちゃんのお見舞いに行った時と同じね、駄々こねて、邪魔してただけなんだもの」
ルー・シュエフィ:「でも、先生……私と遊んでくれるよ……?」オロオロとしている。
ソ・ジウォン:「ほんとに」困ったように笑う。
ソ・ジウォン:「珍しく大人しいと思ったら、柄にもなく落ち込んじゃって」
ソ・ジウォン:「先生、ぜんぜん入院生活に慣れてないね。だから気が滅入っちゃうんだ」
ソ・ジウォン:「先生らしいことができてないって?」
ソ・ジウォン:「何言ってるのよ」
ソ・ジウォン:「こんなに、慕っている生徒がたくさんいて」
ソ・ジウォン:「こんな風になりたいって思われていて」
ソ・ジウォン:「それって、先生ってことじゃないの?」
サマンサ・シュヴァイゲル:「!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ジウォンちゃん……」
サマンサ・シュヴァイゲル:唇が震える。涙が潤む。
サマンサ・シュヴァイゲル:「ぐす……ええ、そうね」
サマンサ・シュヴァイゲル:「そうなの!入院ってしたことなくて」
サマンサ・シュヴァイゲル:「考えちゃうの!みんなが苦労してたのがよく分かるわ!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「でも負けないわ!先生ばっかり弱虫になりたくない!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「先生がんばるわ!先生なんだもの!」
サマンサ・シュヴァイゲル:元気を取り戻す。
サマンサ・シュヴァイゲル:「うおおおおおおおお!」
サマンサ・シュヴァイゲル:もがきもがき。落ち着いていられないのだ。
ソ・ジウォン:「静かにしなさい!もう……!」
ソ・ジウォン:「ちょっと!そっちの子達も!」
ソ・ジウォン:「そんな一度に面会に来られても困りますからね!」扉の方に向かって叫ぶ。
ソ・ジウォン:「パーティー会場じゃないんですから!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「へ?」
サマンサ・シュヴァイゲル:視線を送る。
七星ミルキ:「あっ」扉から少しだけ覗き込んでいる。
七星ミルキ:「えへへ、バレちゃいましたねぇ」観念して姿を見せる。
サマンサ・シュヴァイゲル:「ミルキちゃん!」
三部つゆり:「あはは、すみません…お見舞いに来ましたよ、サマンサ先生!」扉から手を振る。
サマンサ・シュヴァイゲル:「つゆりちゃん!?」
七星ミルキ:「せっかくなら一緒に行こうってなりまして……」
七星ミルキ:「あっ、お見舞いに来たのは、私達だけじゃありませんよ?」
七星ミルキ:ふふふ、と笑顔で手招き。
三部つゆり:「そう言う訳で来ちゃいました。ええ、ほら!」
七星ミルキ:「じゃじゃーんっ」
エニュオ・デュカキス:「契約も終わりましたので、様子を見に」
サマンサ・シュヴァイゲル:「エニュオちゃん!」
後藤スダチ:「あはは、私もいまーす……」小さく手を振る。
サマンサ・シュヴァイゲル:「スダチちゃんも!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「心配してたの!途中でどこかに行っちゃったから!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「無事でよかったぁ……!」
サマンサ・シュヴァイゲル:今更胸をなでおろす。
後藤スダチ:「本当に何があったの私!?」
七星ミルキ:「ええとーうん……」
七星ミルキ:「本人が気にしてないならいいんじゃないかな!ねっ!」
三部つゆり:「まあ…説明するだけはしたんですけど……はい」
チェルシー・ミラー:「私も来ました、先生!」
サマンサ・シュヴァイゲル:「チェルシーちゃん~!」
レセル・イル・イオフィエル:「あの……私も……」
サマンサ・シュヴァイゲル:「レセルちゃんっ!」
ウノ・ワイルゴッド:「…………」
ウノ・ワイルゴッド:「私は回診で来ただけですけど」
サマンサ・シュヴァイゲル:「ウノちゃん!!いつもお世話になってます!!」大声。
ソ・ジウォン:「だから、もう!」
ソ・ジウォン:「こんなに入ってこないで!」
ソ・ジウォン:「病室で騒がない!暴れない!」
GM:サマンサ・シュヴァイゲルが健康体を取り戻すのは、まだ先の話だろう。
GM:だがサマンサは、かつてのように心折れて、一人寂しく人生を諦めていた時とは違う。
GM:今、彼女は、誰よりも強い体に
GM:多くの生徒達に支えられた心を宿している。
GM:きっと、再び立ち上がる。誰もがそれを願っているから。
ソ・ジウォン:「あはははは、あはははは」
ソ・ジウォン:多くのお見舞い客にもみくちゃにされながらも
ソ・ジウォン:いつしか、ジウォンも笑っていた。
サマンサ・シュヴァイゲル:(チェルシーちゃんに、お手紙の返事をもらわなくちゃ)
サマンサ・シュヴァイゲル:(レセルちゃんと、熱帯魚の飼い方を覚えなくちゃ)
サマンサ・シュヴァイゲル:(ルーちゃんとピクニックの予定を立てて)
サマンサ・シュヴァイゲル:(ペテラちゃんのこと、もっともっと、ジウォンちゃんに聞いて)
サマンサ・シュヴァイゲル:(ウノちゃんをお手伝いできることはないかしら)
サマンサ・シュヴァイゲル:(ミルキちゃんとクロードくんが幸せになるために、何かしてあげられないかしら)
サマンサ・シュヴァイゲル:(元気になったら、つゆりちゃんとイルカを見に行って)
サマンサ・シュヴァイゲル:(トゥエちゃんも一緒に来てくれるかしら)
サマンサ・シュヴァイゲル:(エニュオちゃんに差し入れを持っていくの、今度は怒られないように、そっと静かに)
サマンサ・シュヴァイゲル:(スダチちゃんに選んでもらうのがいいかしら)
サマンサ・シュヴァイゲル:(ヘルちゃんやイクスちゃんも、そこにいるのかしら)
サマンサ・シュヴァイゲル:「――ああ」
サマンサ・シュヴァイゲル:考えても考えても
サマンサ・シュヴァイゲル:目の前に並ぶ子供たちを見て、そこから湧き上がってくる連想は止まらない。
サマンサ・シュヴァイゲル:「これから、何をしようかしら!」
GM:死に至る病とは絶望のことである。
GM:けれど、それは、決して
GM:不治の病ではない。




『死に至る病』完



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